特許文献1が開示する円筒研削装置は、砥石台を載せたスライドベースを基準に支持アームを延ばし、砥石台の砥石車の対向位置関係に定寸装置の計測子を配置している。これから、支持アームは、工作物や前記工作物を回転自在に支持するテーブル(工作物は、テーブル上を移動自在な2基の支持台それぞれが有する一対のセンタに挟まれて支持されている)との干渉を避けるために、前記工作物やテーブルを跨いで延びる湾曲した長尺部材になる。これは、支持アームの大型化や重量増加を招き、前記支持アームの基礎となるスライドベースに載せた砥石台の送り精度や位置決め精度に悪影響を与える懸念がある。
また、上記長尺部材となる支持アームに支持される定寸装置は、支持アームの剛性が不十分であると、周囲からの振動を受けて定寸装置も振動する虞があり、この場合、正確な計測ができなくなる問題が生じる。更に、砥石車から回転軸線延在方向にずれた位置で研削部位の大きさを計測したい場合、特許文献1が開示する円筒研削装置は、いちいち研削作業を中断して砥石台を載せたスライドベースごと定寸装置を移動させなければならず、不便であった。
このように特許文献1が開示する円筒研削装置は、装置全体の大型化や重量増加を招いて砥石台の送り精度や位置決め精度に影響を与え、その結果工作物の研削精度を低下させる問題があったり、支持アームの剛性不足により定寸装置の計測精度が低下したり、更には砥石車からずれた位置の研削部位の計測が難しい問題があった。こうした支持アームに起因する問題は、接触子を砥石台の砥石車に対向させる振止装置にもあった(装置全体の大型化や重量増加、振止効果低減等)。そこで、支持アームを省略するため、砥石台を載せたスライドベースを基礎とせずに定寸装置又は振止装置を設けた円筒研削装置を開発するため、検討した。
検討の結果開発したものが、回転軸線Rを中心に工作物を回転自在に支持するテーブルを、回転軸線延在方向に位置固定にしてベッドに設け、前記工作物を研削する砥石車を有する砥石台を、前記回転軸線直交方向に自動で移動自在にしてスライドベースに設け、前記スライドベースを前記回転軸線延在方向に自動で移動自在にしてベッドに設けた円筒研削装置において、工作物の定寸装置又は振止装置を載せ、回転軸線延在方向に他動で移動自在な連動台をテーブルに設けて、前記スライドベースと連動台とを連結機構で連結解除自在にしてなり、連結機構は、スライドベースと連動台との一方から回転軸線延在方向に交差して進退する連結凸部と、前記スライドベースと連動台との他方に設けられた連結穴との組み合わせであり、前記連結凸部を連結穴に抜き差しすることによりスライドベースと連動台との連結を解除することを特徴とする円筒研削装置(砥石台移動型)である。
連結解除機構は、スライドベースの移動が連動台に伝達されて両者が連動する状態(連結状態)と、スライドベースの移動が連動台に伝達されず、連動台が移動しない状態(解除状態)とを切り換える。これから、砥石台移動型の円筒研削装置は、連結機構がスライドベースと連動台とを連結すれば、スライドベースに連結された連動台を回転軸線延在方向に移動させ、連結機構がスライドベースと連動台との連結を解除すれば、スライドベースが回転軸線延在方向に移動しても相対的に連動台を回転軸線延在方向に位置固定させる。
砥石台移動型の円筒研削装置は、連結機構がスライドベースと連動台とを連結した状態で、スライドベースの移動により砥石台を回転軸線延在方向に移動させ、砥石台の砥石車と定寸装置の計測子又は振止装置の接触子との位置関係を回転軸線延在方向に変化させることなく前記砥石台と工作物との位置関係を回転軸線延在方向にずらし、連結機構がスライドベースと連動台との連結を解除した状態で、スライドベースの移動により前記砥石台を回転軸線延在方向に移動させ、工作物と定寸装置の計測子又は振止装置の接触子との位置関係を回転軸線延在方向に変化させることなく砥石台の砥石車と前記定寸装置の計測子又は振止装置の接触子との位置関係を回転軸線延在方向にずらす。
砥石台が「回転軸直交方向に自動で移動自在」とは、前記砥石台が移動手段(例えばボールネジ機構等)を有し、回転軸線直交方向に自ら移動することを意味する。また、スライドベースが「回転軸線延在方向に移動自在」とは、前記スライドベースが移動手段(例えばボールネジ機構等)を有し、回転軸線延在方向に自ら移動することを意味する。砥石台は、スライドベースに載せられているので、前記スライドベースの移動により回転軸線延在方向に移動自在になっている。そして、連動台が「回転軸線延在方向に他動で移動自在」とは、連動台が移動手段を有さず、スライドベースと連動台とが連結した状態で、スライドベースの移動(他力)によってのみ移動できることを意味する。
連結機構によりスライドベースと連動台とを連結した際、砥石台の砥石車と、連動台に載せられた定寸装置の計測子又は振止装置の接触子とが対向位するように砥石台と連動台との位置関係が設定されれば、連結機構がスライドベースと連動台との連結を解除し、スライドベースの移動により砥石台を移動させれば、砥石車と定寸装置の計測子又は振止装置の接触子とがオフセットされた位置関係(回転軸延在方向に位置ずれした位置関係。以下、同じ)となる。
また、連結機構によりスライドベースと連動台とを連結した際、砥石台の砥石車と、連動台に載せられた定寸装置の計測子又は振止装置の接触子とがオフセットされるように砥石台と連動台との連結位置関係が設定されれば、連結機構がスライドベースと連動台との連結を解除し、スライドベースの移動により砥石台を移動させれば、砥石車と定寸装置の計測子又は振止装置の接触子とを回転軸線延在方向に一致させ、対向位置関係にできる。
連結機構は、スライドベースと連動台との一方から回転軸線延在方向に交差して進退する連結凸部と、前記スライドベースと連動台との他方に設けられた連結穴との組み合わせであり、前記連結凸部を連結穴に抜き差しすることによりスライドベースと連動台との連結を解除する構成が好ましい。連結穴は、貫通又は非貫通を問わない。連結凸部は、スライドベースと連動台との一方から前進し、スライドベースと連動台との他方に設けられた連結穴に差し込まれると、回転軸線延在方向で前記連結穴に掛合し、スライドベースと連動台との連結状態を作り出す。
具体的な連結機構は、先端が錐状又は錐台状に形成された連結凸部を、前記錐状又は錐台状の転写構造であるすり鉢状の連結穴に押し当てる構成や、断面一様な棒体である連結凸部を、前記棒体の断面に等しい断面の長尺な連結穴に嵌合させる構成を例示できる。進退手段は、油圧、空気圧又は電動の直動シリンダを例示できる。こうした連結凸部は、連動台の移動方向である回転軸線延在方向に直交する方向、すなわち回転軸線直交方向に進退することが望ましい。また、連結穴は、連結凸部に掛合又は差し込むロックピン、連結凸部のガタツキを押さえる付勢ピンや、連結凸部の押しつけ又は嵌め込みを検知する検知ピンを突出させておいてもよい。
スライドベースとの連結が解除された連動台が不用意に動くことを防止するため、連動台は、ベッド又はテーブルと副連結機構で連結解除自在とし、連結機構が作動してスライドベースと連動台とを連結すれば前記副連結機構が非作動となって前記連動台をベッド又はテーブルから解放し、連結機構が非作動になってスライドベースと連動台との連結を解除すれば前記副連結機構が作動して前記連動台をベッド又はテーブルに連結するとよい。すなわち、連結機構と副連結機構とは、排他的に作動させる。
副連結機構は、連動台がベッド又はテーブルと一体となって位置固定される状態(連結状態)と、連動台がベッド又はテーブルから離れて移動できる状態(解除状態)とを切り換えることができればよく、例えばベッド又はテーブルと連動台との一方から他方に向けて進退して前記他方に押し付けられる圧接ブロックからなる構成や、ベッド又はテーブルと連動台との一方が他方に対して把持解放自在なチャックからなる構成や、ベッド又はテーブルに設けられた回転軸線延在方向に延びる固定軸と、連動台に設けられて前記固定軸を把持解放自在なチャックとの組み合わせからなる構成を例示できる。
連結機構及び副連結機構の作動又は非作動の切り替えは、作業者による手作業でもよいが、労力の低減、切り替えの確実性及び安全性の観点から、例えば連結機構を基準に前記連結機構が作動(スライドベースと連動台との連結)すれば副連結機構を自動的に非作動(連動台の解放)にさせ、逆に連結機構が非作動(スライドベースと連動台との連結を解除)となれば副連結機構を自動的に作動(連動台の固定)させるとよい。連結機構の作動及び非作動は、例えば上記連結穴に設けた非接触式の検知センサが連結凸部の圧接又は挿入を検知することをスイッチとして利用する。このように、連動台は、常に連結機構又は副連結機構のいずれか一方が作動している状態とし、完全な自由状態をなくすとよい。
本発明は、スライドベースを省略して砥石台を回転軸線直交方向にのみ移動自在とし、テーブルを回転軸線延在方向に移動自在とする円筒研削装置にも適用できる。具体的には、回転軸線Rを中心に工作物を回転自在に支持するテーブルを、回転軸線延在方向に自動で移動自在にしてベッドに設け、前記工作物を研削する砥石車を有する砥石台を、回転軸線直交方向にのみ自動で移動自在にしてベッドに設けた円筒研削装置において、工作物の定寸装置又は振止装置を載せ、回転軸線延在方向に他動で移動自在な連動台をテーブルに設けて、前記ベッド(ベッドに位置固定され、砥石台を載せる砥石台ベースを含む。以下、同じ)と連動台とを連結機構で連結解除自在にしてなり、連結機構は、ベッドと連動台との一方から回転軸線延在方向に交差して進退する連結凸部と、前記ベッドと連動台との他方に設けられた連結穴との組み合わせであり、前記連結凸部を連結穴に抜き差しすることによりベッドと連動台との連結を解除することを特徴とする円筒研削装置(テーブル移動型)である。
連結解除機構は、連動台がベッドと一体になって、テーブルの移動に抗して前記連動台が位置固定される状態(連結状態)と、連動台がベッドから解放され、テーブルの移動が連動台に伝達されて両者が連動する状態(解除状態)とを切り換える。これからテーブル移動型の円筒研削装置は、連結機構がベッドと連動台とを連結すれば、テーブルが移動しても相対的に連動台を回転軸線延在方向に位置固定させ、連結機構がベッドと連動台との連結を解除すれば、テーブルと一体的に連動台を回転軸線延在方向に移動させる。
テーブル移動型の円筒研削装置は、連結機構がベッドと連動台とを連結した状態でテーブルを回転軸線延在方向に移動させ、砥石台の砥石車と定寸装置の計測子又は振止装置の接触子との位置関係を回転軸線延在方向に変化させることなく(一致又はオフセットされた位置関係が維持される。以下、同じ)前記砥石台の砥石車と工作物との位置関係を回転軸線延在方向にずらし、連結機構がベッドと連動台との連結を解除した状態でテーブルを回転軸線延在方向に移動させ、工作物と定寸装置の計測子又は振止装置の接触子との位置関係を回転軸線延在方向に変化させることなく砥石台の砥石車と前記定寸装置の計測子又は振止装置の接触子との位置関係を回転軸線延在方向にずらす。
テーブルが「回転軸線延在方向に自動で移動自在」とは、前記テーブルが移動手段(例えばボールネジ機構等)を有し、少なくとも回転軸線延在方向に自ら移動することを意味する。同様に、砥石台が「回転軸線直交方向に自動で移動自在」とは、前記砥石台が移動手段を有し、回転軸線直交方向に自ら移動することを意味する。また、連動台が「回転軸線延在方向に他動で移動自在」とは、連動台が移動手段を有さず、ベッドと連動台との連結を解除した状態で、前記テーブルの移動(他力)によってのみ移動できることを意味する。
連結機構によりベッドと連動台とを連結した際、砥石台の砥石車と、連動台に載せられた定寸装置の計測子又は振止装置の接触子とが対向するようにベッドと連動台との位置関係が設定されれば、連結機構がベッドと連動台との連結を解除し、テーブルを移動させれば、砥石車と定寸装置の計測子又は振止装置の接触子とがオフセットされた位置関係となる。
また、連結機構によりベッドと連動台とを連結した際、砥石台の砥石車と、連動台に載せられた定寸装置の計測子又は振止装置の接触子とがオフセットされるようにベッドと連動台との位置関係が設定されれば、連結機構がベッドと連動台との連結を解除し、テーブルを移動させれば、砥石車と定寸装置の計測子又は振止装置の接触子とを回転軸線延在方向に一致させ、対向位置関係にできる。
連結機構は、ベッドと連動台との一方から回転軸線延在方向に交差して進退する連結凸部と、前記ベッドと連動台との他方に設けられた連結穴との組み合わせであり、前記連結凸部を連結穴に抜き差しすることによりベッドと連動台との連結を解除する構成が好ましい。連結穴は、貫通又は非貫通を問わない。連結凸部は、ベッドと連動台との一方から前進し、ベッドと連動台との他方に設けられた連結穴に差し込まれると、回転軸線延在方向で前記連結穴に掛合し、ベッドと連動台との連結状態を作り出す。
具体的な連結機構は、先端が錐状又は錐台状に形成された連結凸部を、前記錐状又は錐台状の転写構造であるすり鉢状の連結穴に押し当てる構成や、断面一様な棒体である連結凸部を、前記棒体の断面に等しい断面の長尺な連結穴に嵌合させる構成を例示できる。進退手段は、油圧、空気圧又は電動の直動シリンダを例示できる。こうした連結凸部は、テーブル又は連動台の移動方向である回転軸線延在方向に直交する方向、すなわち回転軸線直交方向に進退することが望ましい。また、連結穴は、連結凸部に掛合又は差し込むロックピン、連結凸部のガタツキを押さえる付勢ピンや、連結凸部の押しつけ又は嵌め込みを検知する検知ピンを突出させておいてもよい。
ベッドとの連結が解除された連動台が不用意に動くことを防止するため、連動台は、テーブルと副連結機構で連結解除自在とし、連結機構が作動してベッドと連動台とを連結すれば前記副連結機構が非作動となって前記連動台をテーブルから解放し、連結機構が非作動になってベッドと連動台との連結を解除すれば前記副連結機構が作動して前記連動台をテーブルに連結するとよい。すなわち、連結機構と副連結機構とは、排他的に作動させる。
副連結機構は、連動台がテーブルと一体となって、テーブルの移動が連動台に伝達されて両者が連動する状態(連結状態)と、連動台がテーブルから解放され、テーブルの移動が連動台に伝達されない状態(解除状態)とを切り換えることができればよく、例えばテーブルと連動台との一方から他方に向けて進退して前記他方に押し付けられる圧接ブロックからなる構成や、テーブルと連動台との一方が他方に対して把持解放自在なチャックからなる構成や、テーブルに設けられた回転軸線延在方向に延びる固定軸と、連動台に設けられて前記固定軸を把持解放自在なチャックとの組み合わせからなる構成を例示できる。
連結機構及び副連結機構の作動又は非作動の切り替えは、作業者による手作業でもよいが、労力の低減、切り替えの確実性及び安全性の観点から、例えば連結機構を基準に前記連結機構が作動(ベッドと連動台との連結)すれば副連結機構を自動的に非作動(連動台の解放)にさせ、逆に連結機構が非作動(ベッドと連動台との連結を解除)となれば副連結機構を自動的に作動(連動台の固定)させるとよい。連結機構の作動及び非作動は、例えば上記連結穴に設けた非接触式の検知センサが連結凸部の圧接又は挿入を検知することをスイッチとして利用する。このように、連動台は、常に連結機構又副連結機構のいずれか一方が作動している状態とし、完全な自由状態をなくすとよい。
本発明の円筒研削装置は、支持アームを必要とすることなく、スライドベースやテーブルに連動して移動自在な定寸装置又は振止装置を備える。これにより、前記支持アームを設けることに起因する問題(装置構成の大型化や重量増加のほか、支持アームの剛性不足に伴う計測精度の低下や振止効果低減等)が解消される。これは、円筒研削装置の製造コストやメンテナンスコストの低下のほか、定寸装置の計測精度や振止装置の振止効果を、支持アームに支持される定寸装置又は振止装置に比べて向上させる効果をもたらす。
更に、本発明の円筒研削装置は、同様に定寸装置又は振止装置を備える従来の円筒研削装置と異なり、砥石車に対して定寸装置の計測子又は振止装置の接触子を対向位置関係に配置するばかりでなく、砥石車に対して定寸装置の計測子又は振止装置の接触子をオフセットされた位置関係を簡単に設定できる。これは、複数の研削部位を計測できたり、工作物により決定される振止に適した部位での振止ができたりすることを意味し、作業能率を向上させたり、多様な計測態様(例えば、複数の研削部位を計測する場合でも等間隔又は不等間隔が異なる)やより好適な振止を可能にしたりする効果をもたらす。
連結凸部及び連結穴から構成される連結機構は、スライドベースの移動を連動台に伝達したり(砥石台移動型)、テーブルの移動に対してベッドに連動台を固定したり(テーブル移動型)するだけなので強度が必要でなく、スライドベースやテーブルの移動方向(回転軸線延在方向)に掛合できれば十分であり、簡素で、小型かつ軽量に構成できる。これは、円筒研削装置の大型化や重量増加を抑制することに貢献する。また、連結穴に連結凸部を抜き差しする簡素な構成は、不具合の発生や破損を招きにくく、MTBF(平均故障間隔)を長く、MTTR(平均修理時間)を短くして、長期にわたり安定して利用できる利点もある。
連結機構と排他的に作動する副連結機構は、スライドベースやベッドから解放された連動台の位置ずれを防止し、前記連結機構によるスライドベースやベッドと連動台との再連結を確実にして、連動台が不用意に移動して各部と干渉することを防止できる効果を有する。ベッド又はテーブルに設けられて回転軸線延在方向に延びる固定軸と、連動台に設けられて前記固定軸を把持解放自在なチャックとから構成される副連結機構は、前記働きを容易に実現する。また、副連結機構の作動及び非作動が、連結機構の作動及び非作動を契機として制御することから、連結機構及び副連結機構の排他的制御が容易に実現できる。
更に、連結機構に対して排他的に作動する副連結機構は、連結機構の作動の後に非作動とし、連結機構の非作動の前に作動する排他的制御により、連動台が完全な自由状態にならず、不用意な連動台の移動を完全に防止できる。連結機構は、連結凸部及び連結穴の組み合わせによる簡素な構成が好ましく、前記連結凸部が連結穴にずれなく抜き差しできるためには、連動台の位置がずれなく制御できる必要がある。連動台を完全な自由状態にしない排他的制御は、簡素な構成の連結機構が確実に作動又は非作動を切り換えられるようにする働きも有している。
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。本発明は、例えば図1及び図2に見られるように、一対のセンタ11,11により回転軸線Rを中心に工作物6を回転自在に支持するテーブル1を、回転軸線延在方向(Z軸方向)に位置固定にしてベッド4に設け、前記工作物6を研削する砥石車31を有する砥石台3を、前記回転軸線直交方向(X軸方向)に自動で移動自在にしてスライドベース2に設け、前記スライドベース2を前記回転軸線延在方向に自動で移動自在にしてベッド4に設けた砥石台移動型の円筒研削装置(本例)に適用される。
テーブル1は、ベッド4と一体に構成され、回転軸線延在方向に位置固定である。テーブル1は、回転軸線延在方向に互いの先端を対向させた一対のセンタ11,11で工作物6を挟み、前記センタ11自身が自転したり、外部の駆動部材(図示略)から回転動力を受けたりして、前記工作物6を回転自在に支持する。本例の工作物6は、外径が3種類の金属製多段円柱で、各段が並ぶ方向に延びる中心軸線を回転軸線Rとして自転する。センタ11,11は、互いに接近離反して工作物6を挟む先端の間隔を調整自在にしている(接近離反構造は図示略)。
本例のテーブル1は、連動台5を回転軸線延在方向に移動自在とするため、前記連動台5を載せて摺動させる金属製角形棒体である連動台用スライドガイド12,12を、前記回転軸線延在方向に平行にして2本一組で設けている。また、本例のテーブル1は、前記連動台用スライドガイド12,12の間に、回転軸線延在方向に延びる金属製丸棒である固定軸81を設けている。固定軸81は、連動台5に設けたチャック82と合わせて副連結機構8を構成する。
スライドベース2は、平面視長方形状の金属製板状部材で、砥石台3を回転軸線直交方向へ移動自在に載せているほか、連結機構7を構成する連結凸部71を進退させる直動シリンダ73を取り付けている。スライドベース2は、回転軸線延在方向に延びる断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凸条を底面に設けている。また、スライドベース2は、回転軸線直交方向に延びる断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凹溝及び凸条であるスライドガイド21,21を上面に設けている。スライドベース2は、回転軸線延在方向の移動手段として、ベッド4との間でボールネジ機構(図示略)を設けている。
砥石台3は、スライドベース2より小さな平面視長方形状の金属製板状部材で、鉛直面内で回転する砥石車31を支持しているほか、前記砥石車31の回転動力源であるモータ32を載せている。砥石台3は、回転軸線直交方向に延びる断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凸条を底面に設けている。砥石台3は、回転軸線直交方向の移動手段として、スライドベース2との間でボールネジ機構(図示略)を設けている。
ベッド4は、テーブル1及びスライドベース2を載せる土台で、前記スライドベース2に対して、回転軸線延在方向に延びる断面三角形及び断面方形の凹溝及び凸条であるスライドガイド41,41を上面に設けている。本例のベッド4は、既述したように、テーブル1が一体に構成されており、前記テーブル1を回転軸線延在方向に移動自在とするスライドガイド42,42(後掲図7参照)が設けられていない。
スライドベース2は、底面に設けた断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凸条を、ベッド4の上面に設けた断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凹溝及び凸条であるスライドガイド41,41に掛合及び摺接させ、移動手段(例えばボールネジ機構)により回転軸線延在方向へ自動で移動する。また、砥石台3は、底面に設けた断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凸条を、スライドベース2の上面に設けた断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凹溝及び凸条であるスライドガイド21,21に掛合及び摺接させ、移動手段(例えばボールネジ機構)により回転軸線直交方向へ移動する。
連動台5は、平面視長方形の金属板で、上面に定寸装置51を支持する進退装置512を載せ、底面に連結機構7を構成する連結穴72を開口した連結板を、スライドベース2寄りの端縁から下方へ垂下している。定寸装置51は、進退装置512から上方に突出する側面視L字状の支持具に取り付けられ、砥石車31と対向位置関係に、上下一対の板材からなる計測子511を突出させている。計測子511は、定寸装置51により間隔を調整でき、前記進退装置512が支持具を進退(例えば図2中左右方向に移動)させることにより、定寸装置51と共に工作物6に対して接近離反する。
砥石台移動型である本例の円筒研削装置は、連結機構7により定寸装置51とスライドベース2とを連結解除自在にする。ここで、定寸装置51と振止装置(図示略)とは、目的の相違から構成が異なるものの、計測子511(定寸装置51)又は接触子(図示略)を砥石車31と対向位置関係に配置する点が類似し、前記相違する目的のための使用態様を除けば、定寸装置51をそのまま振止装置に置き換えても説明妥当する。これから、本例により定寸装置51を説明し、振止装置に関する説明を省略する(後述する別例も同様)。
連結機構7は、スライドベース2に設けた直動シリンダ73のロッド端に取り付けた連結凸部71と、連動台5に設けた連結板の連結穴72とから構成される。直動シリンダ73は、回転軸線直交方向にロッドを進退させるので、連結凸部71を連結穴72に対して前記回転軸線直交方向に抜き差しでき、連結凸部71の外周面を連結穴72の内周面に対して回転軸線延在方向に掛合させる。
本例の連結凸部71は、金属ブロックである扁平な多段円柱(全長が短い範囲で段差がある円柱)で、連結穴72に近い側で外径の小さい挿入小径部711と、前記連結穴72に遠い側で外径の大きな掛合大径部712と、前記挿入小径部711及び掛合大径部712を結ぶ中間テーパ部713とから構成され、互いの中心線を同心に揃えている(図1中拡大円部分参照)。連結穴72は、内径が前記掛合大径部712の外径に等しい中空円筒である。本例の連結穴72は連結板を貫通しているが、連結凸部71を差し込めれば貫通していなくてもよい。
本例の連結機構7は、直動シリンダ73が連結凸部71を連結穴72に向けて前進させると、まず外径の小さな挿入小径部711が連結穴72に差し込まれる。挿入小径部711は、外周面と連結穴72の内周面との半径差を許容差として、連結穴72の中心線と前記許容差内の位置ずれがあっても連結穴72に差し込めるようになっている。そして、中間テーパ部713が連結穴72に至ると、仮に連結凸部71の中心線が連結穴72の中心線に対して前記許容差内で位置ずれしていても、中間テーパ部713が連結穴72の内周面に摺接して掛合大径部711を連結穴72に案内する。こうして、連結穴72の内径に等しい掛合大径部711を確実に連結穴72に差し込み、掛合させることができる。
また、本例の円筒研削装置は、上記連結機構7と排他的に作動する副連結機構8を備えている。副連結機構8は、テーブル1に設けた回転軸線延在方向に延びる固定軸81と、連動台5の底面に設けた空気圧式のチャック82とから構成される。チャック82が固定軸81を把持すると、連動台5はテーブル1に位置固定され、逆にチャック82が固定軸81を解放すると、連動台5はテーブル1から自由となり、回転軸線延在方向に移動自在となる。
本例の副連結機構8は、連結穴72に設けられた非接触センサ(図示略)をスイッチとして、連結機構7と排他的に作動する。すなわち、連結機構7が連結凸部71を連結穴72に差し込むと、非接触センサが連結凸部71を検知し、副連結機構8を非作動としてチャック82が固定軸81を解放する。また、副連結機構8を作動させてチャック82が固定軸81を把持すると、連結凸部71が連結穴72から引き抜かれ、連結機構7による連結が解除される。こうして、連動台5が完全な自由状態(他動による移動ができる状態)とならないようにしている。
このほか、本例の円筒研削装置は、スライドベース2、砥石台3、砥石車31、連結機構7及び副連結機構8の作動及び非作動を制御する制御装置や、各部の動力源である油圧源や圧縮空気源等を備えるが、各図では省略している。制御装置は、すべての作動及び非作動をまとめて処理するため1台のみ設置してもよいし、各部に対応して複数台設置し、各制御装置を連携させるようにしてもよい。本例の場合、連結機構7と副連結機構8とは排他的に制御されるため、同一の制御装置を利用することが好ましい。
本例の円筒研削装置における定寸装置51の利用態様を説明する。連結機構7が作動して連結凸部71を連結穴72に差し込み、副連結機構8が非作動でチャック82が固定軸81を解放している状態では、図1及び図2に見られるように、砥石台3の砥石車31と定寸装置51の計測子511とは、回転軸線延在方向に一致し、対向位置関係にある。このため、砥石車31で工作物6の最大径部分61を研削していれば、計測子511も前記最大径部分61の外径を計測する。このため、連動台5は、テーブル1に位置固定されず、移動しないスライドベース2に位置固定されている。
連結機構7を作動させ、副連結機構8を非作動にさせたままスライドベース2を回転軸線延在方向に移動させると、図3及び図4に見られるように、前記スライドベース2に載せられた砥石台3の砥石車31と、前記スライドベース2に連結された連動台5に載せられた定寸装置51とは、連動して前記回転軸線延在方向に移動する(砥石車31は黒塗り矢印、定寸装置51は白抜き矢印参照)。副連結機構8は、非作動であるため、連動台5の移動を妨げない。こうして、砥石車31が工作物6の最小径部分62を研削するようになれば、計測子511も前記最小径部分62の外径を計測する。
このように、連結機構7が作動している限り、砥石車31が研削する工作物6の研削部位に定寸装置51を対応付け、前記計測部位を計測できる。また、本発明は、定寸装置51を移動させる操作を要することなく、スライドベース2を移動させれば、同期して定寸装置51を移動できる利点がある。また、砥石車31と計測子511とが対向位置関係を保っているため、定寸装置51の移動後に位置調整が不要である利点がある。これらの利点は、いずれも定寸装置51を用いた計測作業の時短効果をもたらしている。
本発明は、砥石車31と定寸装置51の計測子511とをオフセットされた位置関係にもできる。連結機構7を非作動にし、副連結機構8を作動させてスライドベース2を回転軸線延在方向に移動させると、図5及び図6に見られるように、前記スライドベース2に載せられた砥石台3の砥石車31は回転軸線延在方向に移動する(図6中黒塗り矢印)が、前記スライドベース2から解放された連動台5に載せられた定寸装置51は、前記回転軸線延在方向に移動しない(図6中白抜き破線矢印参照)。副連結機構8は、連動台5をテーブル1に位置固定する。こうして、砥石車31が工作物6の最小径部分62を研削するようになっても、計測子511は最大径部分61の外径を計測する。
図示を省略するが、連結機構7を作動させ、副連結機構8を非作動としたままスライドベース2を回転軸線延在方向に移動させた後、前記連結機構7を非作動、副連結機構8を作動させ、スライドベース2だけを更に回転軸線延在方向に移動させても、砥石車31と定寸装置51の計測子511とをオフセットされた位置関係にできる。この場合、例えば上述とは逆に、砥石車31が工作物6の最大径部分61を研削しながら、計測子511は最小径部分62の外径を計測できる。
連動台5を副連結機構8によりテーブル1に位置固定してスライドベース2だけを回転軸線延在方向に移動させる場合(図5及び図6の場合)や、スライドベース2及び連動台5を連結させたまま回転軸線延在方向に移動させ、その後連動台5を副連結機構8によりテーブル1に位置固定してスライドベース2だけを回転軸線延在方向に移動させる場合、スライドベース2の移動は正確であるから、砥石車31と定寸装置51の計測子511とのオフセットされた位置関係は、正確に設定できる。これが、砥石車31と定寸装置51の計測子511とをオフセットされた位置関係にできる本発明の利点でもある。
本発明は、図7及び図8に見られるように、一対のセンタ11,11により回転軸線Rを中心に工作物6を回転自在に支持するテーブル1を、回転軸線延在方向(Z軸方向)に自動で移動自在にしてベッド4に設け、前記工作物6を研削する砥石車31を有する砥石台3を、回転軸線直交方向(X軸方向)にのみ自動で移動自在にしてベッド4に設けたテーブル移動型の円筒研削装置(別例)にも適用される。
テーブル1は、平面視長方形状の金属製板状部材で、回転軸線延在方向に互いの先端を対向させた一対のセンタ11,11で工作物6を挟み、前記センタ11自身が自転したり、外部の駆動部材(図示略)から回転動力を受けたりして、前記工作物6を回転自在に支持する。別例の工作物6は、外径が3種類の金属製多段円柱で、各段が並ぶ方向に延びる中心軸線を回転軸線Rとして自転する。センタ11,11は、互いに接近離反して工作物6を挟む先端の間隔を調整自在にしている(接近離反構造は図示略)。テーブル1は、回転軸線延在方向に延びる断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凸条を底面に設け、回転軸線延在方向の移動手段として、ベッド4との間でボールネジ機構(図示略)を設けている。
別例のテーブル1は、連動台5を回転軸線延在方向に移動自在とするため、前記連動台5を載せて摺動させる金属製金属製角形棒体である連動台用スライドガイド12,12を、前記回転軸線延在方向に平行にして2本一組で設けている。また、別例のテーブル1は、前記連動台用スライドガイド12,12の間に、回転軸線延在方向に延びる金属製丸棒である固定軸81を設けている。固定軸81は、連動台5に設けたチャック82と合わせて副連結機構8を構成する。
砥石台3は、ベッド4に固定された金属製ブロックである砥石台ベース9より小さな平面視長方形状の金属製板状部材で、鉛直面内で回転する砥石車31を支持しているほか、前記砥石車31の回転動力源であるモータ32を載せている。砥石台3は、回転軸線直交方向に延びる断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凸条を底面に設けている。砥石台3は、回転軸線直交方向の移動手段として、砥石台ベース9との間でボールネジ機構(図示略)を設けている。
砥石台ベース9は、ベッド4の一部として前記ベッドに位置固定されながら砥石台3を載せる土台で、回転軸線延在方向に延びる断面三角形及び断面方形の凹溝及び凸条であるスライドガイド91,91を上面に設けている。また、ベッド4は、テーブル1を載せる土台で、回転軸線延在方向に延びる断面三角形及び断面方形の凹溝及び凸条であるスライドガイド42,42を上面に設けている。ベッド4は、砥石台ベース9及びテーブル1を載せる土台で、砥石台ベース9を位置固定しているほか、テーブル1に対して、回転軸線延在方向に延びる断面三角形及び断面方形の凹溝及び凸条であるスライドガイド42,42を上面に設けている。
砥石台3は、底面に設けた断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凸条を、砥石台ベース9の上面に設けた断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凹溝及び凸条であるスライドガイド91,91に掛合及び摺接させ、移動手段(例えばボールネジ機構)により回転軸線直交方向へ移動する。また、テーブル1は、底面に設けた断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凸条を、ベッド4の上面に設けた断面三角形及び断面方形の非対称な一対の凹溝及び凸条であるスライドガイド42,42に掛合及び摺接させ、移動手段(例えばボールネジ機構)により回転軸線延在方向へ自動で移動する。
連動台5は、平面視長方形の金属板で、上面に定寸装置51を支持する進退装置512を載せ、底面に連結機構7を構成する連結穴72を開口した連結板を、砥石台ベース9寄りの端縁から下方へ垂下している。定寸装置51は、進退装置512から上方に突出する側面視L字状の支持具に取り付けられ、砥石車31と対向位置関係に、上下一対の板材からなる計測子511を突出させている。計測子511は、定寸装置51により間隔を調整でき、前記進退装置512が支持具を進退(例えば図7中左右方向に移動)させることにより、定寸装置51と共に工作物6に対して接近離反する。
テーブル移動型である別例の円筒研削装置は、連結機構7により、定寸装置51とベッド4とを連結解除自在にする。連結機構7は、ベッド4に設けた直動シリンダ73のロッド端に取り付けた連結凸部71と、連動台5に設けた連結板の連結穴72とから構成される。直動シリンダ73は、回転軸線直交方向にロッドを進退させるので、連結凸部71を連結穴72に対して前記回転軸線直交方向に抜き差しでき、連結凸部71の外周面を連結穴72の内周面に対して回転軸線延在方向に掛合させる。連結凸部71及び連結穴72は、上記例示(図1及び図2参照)と同じなので、説明を省略する。
また、別例の円筒研削装置は、上記連結機構7と排他的に作動する副連結機構8を備えている。副連結機構8は、テーブル1に設けた回転軸線延在方向に延びる固定軸81と、連動台5の底面に設けた空気圧式のチャック82とから構成される。チャック82が固定軸81を把持すると、連動台5はテーブル1と一体に移動できるようになり、逆にチャック82が固定軸81を解放すると、連動台5はテーブル1から自由となってテーブル1が移動しても相対的に位置固定される。副連結機構8の構成や作動及び非作動は、上記例示(図1及び図2参照)と同じなので、説明を省略する。
このほか、別例の円筒研削装置は、砥石台3、砥石車31、連結機構7及び副連結機構8の作動及び非作動を制御する制御装置や、各部の動力源である油圧源や圧縮空気源等を備えるが、各図では省略している。制御装置は、すべての作動及び非作動をまとめて処理するため1台のみ設置してもよいし、各部に対応して複数台設置し、各制御装置を連携させるようにしてもよい。別例の場合も、連結機構7と副連結機構8とは排他的に制御されるため、同一の制御装置を利用することが好ましい。
別例の円筒研削装置における定寸装置51の利用態様を説明する。連結機構7が作動して連結凸部71を連結穴72に差し込み、副連結機構8が非作動でチャック82が固定軸81を解放している状態では、図7及び図8に見られるように、砥石台3の砥石車31と定寸装置51の計測子511とは、回転軸線延在方向に一致し、対向位置関係にある。このため、砥石車31で工作物6の最大径部分61を研削していれば、計測子511も前記最大径部分61の外径を計測する。連動台5は、副連結機構8が非作動であるため、ベッド4に対して連結され、テーブル1が移動しても相対的に位置固定されている。
これから、連結機構7を作動させ、副連結機構8を非作動にさせたままテーブル1を回転軸線延在方向に移動させると、図9及び図10に見られるように、前記テーブル1に支持された工作物6は回転軸線延在方向に移動する(工作物6は黒塗り矢印参照)が、ベッド4に連結された連動台5に載せられた定寸装置51は、前記テーブル1に対して相対的に位置固定され、回転軸線延在方向に移動しない(定寸装置51は白抜き破線矢印参照)。副連結機構8は、非作動であるため、テーブル1の移動を妨げない。こうして、砥石車31が工作物6の最小径部分62を研削するようになれば、計測子511も前記最小径部分62の外径を計測する。
また、連結機構7を非作動にし、副連結機構8を作動させてテーブル1を回転軸線延在方向に移動させると、図11及び図12に見られるように、砥石台3の砥石車31に対してテーブル1が支持する工作物6が回転軸線延在方向に移動する(図12中黒塗り矢印参照)ことはもちろん、前記テーブル1と一体になった連動台5に載せられた定寸装置51も、工作物6と共に前記回転軸線延在方向に移動する(図12中白抜き矢印参照)。副連結機構8は、テーブル1と連動台5とを連結し、連動台5をテーブル1に連動させる。こうして、砥石車31が工作物6の最小径部分62を研削するようになっても、計測子511は最大径部分61の外径を計測する。
図示を省略するが、連結機構7を作動させ、副連結機構8を非作動としたままテーブル1を回転軸線延在方向に移動させた後、前記連結機構7を非作動、副連結機構8は作動させ、テーブル1及び連動台5を一体に回転軸線延在方向に移動させても、砥石車31と定寸装置51の計測子511とをオフセットされた位置関係にできる。この場合、例えば上述とは逆に、砥石車31が工作物6の最大径部分61を研削しながら、計測子511は最小径部分62の外径を計測できる。
このように、連結機構7が作動している限り、砥石車31が研削する工作物6の研削部位を対応付け、前記計測部位を計測できる。そして、本発明は、定寸装置51を移動させる操作を要することなく、連結機構7を非作動とし、副連結機構8を作動させてテーブル1を移動させれば、前記テーブル1に同期して定寸装置51を移動されるため、テーブル1が支持する工作物6と定寸装置51の計測子511との位置関係を変化させずに済む利点がある。これは、砥石車31と工作物6との位置関係をずらす場合、定寸装置51の位置調整を不要とする利点であり、定寸装置51を用いた計測作業の時短効果をもたらす。
また、連動台5を連結機構7によりベッド4に位置固定してテーブル1だけを回転軸線延在方向に移動させる場合(図11及び図12の場合)や、ベッド4及連動台5を連結させたままテーブル1を回転軸線延在方向に移動させ、その後連動台5を副連結機構8によりテーブル1に連結して前記テーブル1及び連動台5を一体に回転軸線延在方向に移動させる場合、テーブル1の移動は正確であるから、砥石車31と定寸装置51の計測子511とのオフセットされた位置関係は、正確に設定できる。これが、砥石車31と定寸装置51の計測子511とをオフセットされた位置関係にできる本発明の利点でもある。