JP6370212B2 - カードリーダ - Google Patents
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Description
本発明は、カードに記録されたデータの読取やカードへのデータの記録を行うカードリーダに関する。
従来、ガソリンスタンドの給油装置に搭載されて使用される手動式のカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。特許文献1および2に記載のカードリーダは、カードの挿入口が形成されるとともに給油装置の操作パネルに固定される前面フレームと、前面フレームに固定される本体フレームとを備えている。本体フレームは、袋状に形成されカードの奥側部分が収容されるカード収容部と、カード収容部の前端に形成される鍔状の隔壁部とを備えており、隔壁部の前面が前面フレームに固定されている。カード収容部の外部には、制御基板が取り付けられている。
また、特許文献1および2に記載のカードリーダでは、前面フレームと隔壁部との間に、環状に形成されたシール部材が配置されている。このシール部材は、カードが通過する部分を外周側から囲むように配置されている。そのため、このカードリーダでは、カードの挿入口から浸入した水等の液体がカード収容部の外部へ浸入するのを防止することが可能になっている。すなわち、このカードリーダでは、カード収容部の外部の、制御基板の配置箇所へ液体が浸入するのを防止することが可能になっており、このカードリーダは、制御基板の配置箇所への液体の浸入を防止する防水機能を備えている。
また、特許文献2に記載のカードリーダは、挿入口から浸入した水等の液体がカード収容部の中で凍結するのを防止するための加熱器を備えている。この加熱器は、たとえば、半導体加熱器であり、カードの厚さ方向におけるカード収容部の一方の外側面付近に配置されている。また、この加熱器は、たとえば、電熱線とファンモータとを備えており、カードの幅方向におけるカード収容部の一方の外側面付近に配置されている。
特許文献2に記載のカードリーダでは、加熱器が設けられているため、挿入口から浸入した水等の液体がカード収容部の中で凍結するのを防止することが可能である。一方で、カードリーダが使用される業界では、より温度の低い場所でカードリーダが使用されても、カード収容部の中での液体の凍結を防止することが可能なカードリーダが求められている。
そこで、本発明の課題は、防水機能を備えるカードリーダにおいて、より温度の低い場所で使用されても、カードが収容されるカード収容部の中での液体の凍結を防止することが可能なカードリーダを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードの挿入口が形成される前面フレームと、前面フレームに固定される本体フレームと、環状に形成されるシール部材と、本体フレームを加熱する加熱機構とを備え、挿入口へのカードの挿入方向側を奥側とし、挿入口からのカードの抜取り方向側を手前側とすると、本体フレームは、挿入口から挿入されたカードの奥側部分が収容される袋状のカード収容部と、鍔状に形成されカード収容部の手前端に繋がる隔壁部とを備え、シール部材は、前面フレームと隔壁部との間に配置されるとともにカードが通過するカード通過路を外周側から囲むように配置され、加熱機構は、カード収容部に収容されるカードの厚さ方向の両外側からカード収容部に接触する2個の接触部を有し熱伝導性材料で形成される伝熱部材と、伝熱部材に取り付けられるヒータとを備えることを特徴とする。
本発明のカードリーダでは、本体フレームは、挿入口から挿入されたカードの奥側部分が収容される袋状のカード収容部と、カード収容部の手前端に繋がる隔壁部とを備えている。また、本発明では、環状に形成されたシール部材が、前面フレームと隔壁部との間に配置されるとともに、カード通過路を外周側から囲むように配置されている。そのため、本発明では、カードの挿入口から浸入した液体が、カード収容部の外部へ浸入するのを防止することが可能になる。すなわち、本発明では、カードの挿入口から浸入した液体が、カード収容部の外部の、制御基板等の配置箇所へ浸入するのを防止することが可能になる。
また、本発明では、ヒータが取り付けられる伝熱部材は、カードの厚さ方向の両外側からカード収容部に接触する2個の接触部を備えている。そのため、本発明では、カードの厚さ方向の両側からカード収容部を斑なく加熱することが可能になる。したがって、本発明では、カードリーダがより温度の低い場所で使用されても、カード収容部の中での液体の凍結を防止することが可能になる。
また、本発明では、伝熱部材が、カードの厚さ方向の両外側からカード収容部に接触する2個の接触部を備えているため、伝熱部材に取り付けられるヒータが1個であっても、カードの厚さ方向の両側からカード収容部を斑なく加熱することが可能になる。したがって、本発明では、カードの厚さ方向の両側に配置される2個のヒータを加熱機構が備えている場合と比較して、カードリーダのコストを低減することが可能になる。
本発明において、カードリーダは、制御用のリジッド基板を備え、リジッド基板は、カードの厚さ方向の外側から接触部を覆っていることが好ましい。このように構成すると、接触部によって温められたカード収容部の周りの温かい空気がカード収容部の周りから逃げていくのを、リジッド基板を用いて抑制することが可能になる。したがって、カード収容部を効果的に加熱することが可能になり、その結果、カード収容部の中での液体の凍結を効果的に防止することが可能になる。また、接触部によって温められたカード収容部の周りの温かい空気が逃げていくのを抑制することが可能になるため、ヒータがオンしている時間を短縮することが可能になり、その結果、ヒータの消費電力を低減することが可能になる。また、このように構成すると、制御用のリジッド基板を用いて、カード収容部の周りの温かい空気が逃げていくのを抑制することが可能になるため、カード収容部の周りの温かい空気が逃げていくのを抑制するための部材が別途設けられている場合と比較して、カードリーダの構成を簡素化することが可能になる。
本発明において、リジッド基板は、接触部の全体を覆っていることが好ましい。このように構成すると、接触部によって温められたカード収容部の周りの温かい空気が逃げていくのを効果的に抑制することが可能になる。したがって、カード収容部をより効果的に加熱することが可能になり、その結果、カード収容部の中での液体の凍結をより効果的に防止することが可能になる。また、接触部によって温められたカード収容部の周りの温かい空気が逃げていくのを効果的に抑制することが可能になるため、ヒータがオンしている時間をより短縮することが可能になり、その結果、ヒータの消費電力をより低減することが可能になる。
本発明において、カードリーダは、たとえば、カードの厚さ方向の一方側からカード収容部に接触する接触部を覆うカバー部材を備え、リジッド基板は、カードの厚さ方向の他方側からカード収容部に接触する接触部を覆っている。この場合には、接触部によって温められたカード収容部の周りの温かい空気が逃げていくのをカードの厚さ方向の両側で抑制することが可能になる。したがって、カード収容部をより効果的に加熱することが可能になり、その結果、カード収容部の中での液体の凍結をより効果的に防止することが可能になる。また、接触部によって温められたカード収容部の周りの温かい空気が逃げていくのをカードの厚さ方向の両側で抑制することが可能になるため、ヒータがオンしている時間をより短縮することが可能になり、その結果、ヒータの消費電力をより低減することが可能になる。
本発明において、カードの挿入方向とカードの厚さ方向とに直交する方向をカードの幅方向とすると、カード収容部には、カードの幅方向の外側から接触部を覆う壁部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、接触部によって温められたカード収容部の周りの温かい空気が逃げていくのを、壁部を用いて抑制することが可能になる。したがって、カード収容部を効果的に加熱することが可能になり、その結果、カード収容部の中での液体の凍結を効果的に防止することが可能になる。また、接触部によって温められたカード収容部の周りの温かい空気が逃げていくのを抑制することが可能になるため、ヒータがオンしている時間を短縮することが可能になり、その結果、ヒータの消費電力を低減することが可能になる。
本発明において、伝熱部材は、たとえば、アルミニウム合金の平板が略角溝型に折り曲げられることで形成されている。
本発明において、伝熱部材には、カード収容部に対する伝熱部材の位置決めを行うための伝熱部材側係合部が形成され、カード収容部には、伝熱部材側係合部に係合する収容部側係合部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、カード収容部への伝熱部材の取付が容易になる。
以上のように、本発明では、防水機能を備えるカードリーダにおいて、カードリーダがより温度の低い場所で使用されても、カードが収容されるカード収容部の中での液体の凍結を防止することが可能になる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(カードリーダの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1に示すカードリーダ1を別の方向から示す斜視図である。図3は、図1に示すカードリーダ1から加熱機構9を取り外した状態の分解斜視図である。図4は、図2に示すカードリーダ1から加熱機構9を取り外した状態の分解斜視図である。図5は、図1に示すカードリーダ1を別の方向から示す斜視図である。図6は、図1に示す前面フレーム5を取り外した状態のカードリーダ1の前端側部分の斜視図である。
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1に示すカードリーダ1を別の方向から示す斜視図である。図3は、図1に示すカードリーダ1から加熱機構9を取り外した状態の分解斜視図である。図4は、図2に示すカードリーダ1から加熱機構9を取り外した状態の分解斜視図である。図5は、図1に示すカードリーダ1を別の方向から示す斜視図である。図6は、図1に示す前面フレーム5を取り外した状態のカードリーダ1の前端側部分の斜視図である。
本形態のカードリーダ1は、ユーザが手動でカード2を操作して、カード2に記録されたデータの読取やカード2へのデータの記録を行う手動式のカードリーダである。具体的には、カードリーダ1は、カードリーダ1へカード2を挿入する際、または、カードリーダ1からカード2を引き抜く際に、カード2に記録された磁気データを読み取るいわゆるディップ式の磁気カードリーダである。このカードリーダ1は、たとえば、無人またはセルフサービス方式のガソリンスタンドの給油装置等の上位装置に取り付けられて使用される。
カードリーダ1は、カード2に接触してカード2に記録された磁気データを読み取る磁気ヘッド3(図6参照)と、カード2の挿入口4が形成される前面フレーム5と、前面フレーム5に固定される本体フレーム6とを備えている。また、このカードリーダ1は、カードリーダ1を制御するための制御用のリジッド基板7と、環状に形成されるシール部材8(図6参照)と、本体フレーム6を加熱する加熱機構9とを備えている。
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。なお、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
本形態では、手動で操作されるカード2は、図1等に示すX方向に移動する。具体的には、X1方向にカード2が挿入され、X2方向にカード2が抜き取られる。すなわち、X1方向は、カードリーダ1の挿入方向であり、X2方向は、カードリーダ1の抜取り方向である。また、X方向に直交する図1等のY方向は、カードリーダ1内に挿入されたカード2の厚さ方向であり、X方向とY方向とに直交する図1等のZ方向は、カードリーダ1内に挿入されたカード2の幅方向(短手幅方向)である。以下の説明では、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向とする。また、X1方向側を「奥(後ろ)」側、X2方向側を「手前(前)」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
本体フレーム6は、挿入口4から挿入されたカード2の奥側部分が収容される袋状のカード収容部12と、鍔状に形成されカード収容部12の手前端に繋がる隔壁部13と、磁気ヘッド3が配置されるヘッド配置部14(図6参照)と、挿入口4から挿入されたカード2を案内するためのカード案内部15(図6参照)とを備えている。なお、本体フレーム6は、左右方向に2分割される第1フレームと第2フレームとによって構成されており、この第1フレームと第2フレームとが互いに接合されて固定されている。
カード収容部12は、左右方向から見たときの形状が略矩形状となるように形成されている。また、カード収容部12は、左右方向に薄い扁平形状に形成されている。このカード収容部12は、本体フレーム6の奥端側部分を構成している。カード収容部12は、前面のみが開口する袋状に形成されており、カード収容部12の内部には、密閉されたカード2の収容空間が形成されている。換言すれば、カード収容部12は、挿入口4のみが開口する箱状に形成されており、カード2が通過するカード通過路は奥側が袋小路となっている。
カード収容部12の右側面の下端側には、右側に向かって突出する壁部12aが形成されている。壁部12aは、上下方向に直交する略長方形の平板状に形成されている。また、カード収容部12の右側面の上端側かつ奥端側には、右側に向かって突出する壁部12bが形成されている。壁部12bは、ブロック状に形成されている。壁部12aの高さ(左右方向の高さ)と壁部12bの高さ(左右方向の高さ)とはほぼ等しくなっている。
隔壁部13は、カード収容部12の手前端から外周側に広がる鍔状に形成されている。隔壁部13の中心側には、カード収容部12に向かってカード2が通過するカード通過路が前後方向に貫通するように形成されている。隔壁部13の上端側および下端側の4箇所には、本体フレーム6を前面フレーム5に固定するためのネジ18が挿通される挿通孔13aが形成されている(図6参照)。なお、隔壁部13には、磁気ヘッド3から引き出されるリード線が通過する通過孔が形成されているが、この通過孔には、シリコン等の封止用材料が充填されている。
図6に示すように、隔壁部13の前面には、シール部材8が配置されるシール配置部19が形成されている。シール配置部19は、隔壁部13の前面から突出する平板状に形成されている。シール配置部19の外周面には、シール部材8が配置されるシール配置溝が形成されている。このシール配置溝は、シール配置部19の外周面からシール配置部19の径方向の内側に向かって窪む環状に形成されている。シール配置部19に配置されるシール部材8は、挿通孔13aよりも径方向の内側に配置されている。また、シール部材8は、ゴム等で形成されている。
ヘッド配置部14およびカード案内部15は、シール配置部19から前側に突出するように形成されている。ヘッド配置部14とカード案内部15とは、上下方向に所定の間隔をあけた状態で形成されている。本形態では、ヘッド配置部14が上側に配置され、カード案内部15が下側に配置されている。なお、ヘッド配置部14には、左右方向で対向配置される2個の磁気ヘッド3が配置されても良いし(図6参照)、挿入口4から挿入されたカード2に左側または右側から接触する1個の磁気ヘッド3が配置されても良い。
前面フレーム5は、カードリーダ1の前面を構成する前面部5aと、前面部5aの奥端に繋がる鍔状の鍔部5bと、鍔部5bの奥側面に繋がるように形成されるとともに鍔部5bから奥側に向かって突出する略筒状の筒部5cとを備えている。前面フレーム5では、前面部5aの前面側および筒部5cの後端以外に開口部はない。本形態では、カードリーダ1が搭載される上位装置の前面パネル(図示省略)の後面に鍔部5bの前面が当接した状態で、カードリーダ1が上位装置に取り付けられている。なお、前面パネルの奥側に水等の液体が浸入しないように、上位装置の前面パネルと鍔部5bとの間には、シール部材(図示省略)が配置されている。このシール部材は、鍔部5bの外周に沿って配置されている。
前面部5aは、ヘッド配置部14の前端側部分を左右両側および上側から覆う第1前面部5dと、カード案内部15の前端側部分を左右両側および下側から覆う第2前面部5eとから構成されている。挿入口4は、前面部5aの前面に形成されている。鍔部5bは、上下方向および左右方向に広がるように形成されるとともに、上下方向に長い略長方形の枠状に形成されている。筒部5cの内周側には、ヘッド配置部14の奥端側部分、カード案内部15の奥端側部分、および、シール配置部19が配置されている。筒部5cの外周面の上端側および下端側の4箇所には、ネジ18が係合するネジ係合部5fが形成されている。ネジ係合部5fは、略円筒状に形成されており、その内周面にメネジが形成されている。
本形態では、本体フレーム6は、隔壁部13の前面の、シール配置部19よりも径方向の外側部分と筒部5cの奥端とが当接した状態で、前面フレーム5に固定されている。前面フレーム5は、ヘッド配置部14、カード案内部15およびシール配置部19を覆っている。また、上述のように、シール配置部19のシール配置溝にシール部材8が配置され、筒部5cの内周側にシール配置部19が配置されている。
シール部材8の外周端側部分は、シール配置部19の外周面よりも外周側に突出しており、筒部5cの内周面の奥端側部分は、シール配置部19に配置されるシール部材8を外周側から押し潰している。このように、シール部材8は、筒部5cとシール配置部19との間に配置されている。すなわち、シール部材8は、環状に形成されるシール部材8の径方向において前面フレーム5と隔壁部13との間に配置されている。また、シール部材8は、隔壁部13に形成されるカード通過路を外周側から囲むように配置されている。
リジッド基板7は、長方形の平板状に形成されている。リジッド基板7には、各種の配線パターンが形成されるとともに、各種の電子部品が実装されている。このリジッド基板7は、カード収容部12の右側面に固定されている。具体的には、カード収容部12の右側面には、右側へ向かって突出する柱状の基板固定突起12cが形成されており、この基板固定突起12cの先端面(右端面)にリジッド基板7が固定されている。そのため、カード収容部12の右側面とリジッド基板7との間には、隙間が形成されている。また、リジッド基板7は、その厚さ方向と左右方向とが一致するように、カード収容部12の右側面に固定されている。基板固定突起12cの高さ(左右方向の高さ)と、壁部12a、12bの高さ(左右方向の高さ)とはほぼ等しくなっており、リジッド基板7は、壁部12a、12bの右端面よりも右側に配置されている。なお、壁部12aは、リジッド基板7を右側から保護する機能を果たしている。
左右方向から見たときのリジッド基板7の大きさは、左右方向から見たときのカード収容部12の大きさよりも小さくなっている。左右方向から見たときに、リジッド基板7は、カード収容部12の下端側部分を除くカード収容部12の右側面のほぼ全域を覆っている。また、リジッド基板7は、壁部12bも覆っている。なお、壁部12aは、基板固定突起12cに固定されるリジッド基板7の下端面よりも下側に配置されており、左右方向から見たときに、リジッド基板7の下端面と壁部12aとの間には、隙間が形成されている。
(加熱機構の構成)
加熱機構9は、熱伝導性材料で形成される伝熱部材24と、伝熱部材24に取り付けられるヒータ25とを備えている。伝熱部材24は、アルミニウム合金で形成されている。また、伝熱部材24は、アルミニウム合金の平板が略角溝状(より具体的には、略四角溝状)に折り曲げられることで形成されている。この伝熱部材24は、カード収容部12の左側面に接触する接触部24aと、カード収容部12の右側面に接触する接触部24bと、接触部24aの奥端と接触部24bの奥端とを繋ぐ接続部24cとから構成されている。すなわち、伝熱部材24は、左右方向の両外側からカード収容部12に接触する2個の接触部24a、24bを備えており、カード収容部12に取り付けられている。
加熱機構9は、熱伝導性材料で形成される伝熱部材24と、伝熱部材24に取り付けられるヒータ25とを備えている。伝熱部材24は、アルミニウム合金で形成されている。また、伝熱部材24は、アルミニウム合金の平板が略角溝状(より具体的には、略四角溝状)に折り曲げられることで形成されている。この伝熱部材24は、カード収容部12の左側面に接触する接触部24aと、カード収容部12の右側面に接触する接触部24bと、接触部24aの奥端と接触部24bの奥端とを繋ぐ接続部24cとから構成されている。すなわち、伝熱部材24は、左右方向の両外側からカード収容部12に接触する2個の接触部24a、24bを備えており、カード収容部12に取り付けられている。
接触部24aは、その厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。この接触部24aは、左右方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されている。接触部24aの上下方向の幅は、カード収容部12の上下方向の幅とほぼ等しくなっている。接触部24aの前後方向の幅は、カード収容部12の前後方向の幅よりも狭くなっている。接触部24aは、カード収容部12の左側面の奥端側部分に接触している。
図3に示すように、接触部24aの前端側の上下の両端側には、カード収容部12に対する伝熱部材24の位置決めを行うためのエンボス部24dが形成されている。エンボス部24dは、右側に向かってわずかに突出するように形成されている。カード収容部12には、エンボス部24dが係合する係合孔12dが形成されている。本形態のエンボス部24dは、伝熱部材側係合部であり、係合孔12dは、収容部側係合部である。
接触部24bは、その厚さ方向と左右方向とが一致するように配置されている。この接触部24bは、左右方向から見たときの形状が略U形状となるように形成されている。すなわち、接触部24bには、基板固定突起12cと接触部24bとの干渉を防止するためのスリット状の切欠き部24eが形成されている。切欠き部24eは、接触部24bの前端面から奥側に向かって所定の範囲に形成されている。接触部24bの上下方向の幅は、カード収容部12の上下方向の幅よりも狭くなっている。接触部24bの前後方向の幅は、カード収容部12の前後方向の幅よりも狭くなっている。本形態では、接触部24bの前後方向の幅は、接触部24aの前後方向の幅とほぼ等しくなっている。
接触部24bは、カード収容部12の右側面の奥端側部分に接触している。また、接触部24bは、カード収容部12の右側面の下端側部分に接触している。また、接触部24bは、壁部12aと壁部12bとの間に配置されており、上下方向において、下側から壁部12aに覆われ、上側から壁部12bに覆われている。すなわち、接触部24bは、カード2の幅方向の外側から壁部12a、12bに覆われている。具体的には、接触部24bは、カード2の幅方向の両外側から壁部12a、12bに覆われている。
本形態では、接触部24bの、奥端側部分の一部を除いた大半部分が下側から壁部12aに覆われている。また、接触部24bの奥端側部分が上側から壁部12bに覆われている。なお、本形態では、接触部24bの下端面が壁部12aの上面に接触している。あるいは、上下方向において、接触部24bの下端面は、壁部12aの上面の近傍に配置されており、接触部24bの下端面と壁部12aの上面との間にわずかな隙間が形成されている。また、接触部24bの上端面が壁部12bの下面に接触している。あるいは、上下方向において、接触部24bの上端面は、壁部12bの下面の近傍に配置されており、接触部24bの上端面と壁部12bの下面との間にわずかな隙間が形成されている。
また、上述のように、カード収容部12の右側面には、隙間を介してリジッド基板7が固定されており、接触部24bは、右側からリジッド基板7に覆われている。すなわち、接触部24bは、カード2の厚さ方向の外側からリジッド基板7に覆われており、カード収容部12に右側から接触する接触部24bがリジッド基板7に覆われている。本形態では、接触部24bの上側の約半分の部分がリジッド基板7に覆われている。このように、本形態では、接触部24bは、右側からリジッド基板7に覆われるとともに、上下の両側から壁部12a、12bに覆われており、リジッド基板7と壁部12a、12bとによって形成される空間の中に配置されている。
接続部24cの上下方向の幅は、接触部24bの上下方向の幅と等しくなっている。伝熱部材24は、カード収容部12の奥側からカード収容部12に取り付けられる。伝熱部材24がカード収容部12に取り付けられた状態では、接続部24cの前面とカード収容部12の奥端面との間に隙間が形成されている。なお、カード収容部12への伝熱部材24の取付が容易になるように、接触部24bの前端側部分は、右側に向かって折り曲げられており、手前側に向かうにしたがって右側へ開くように傾斜にしている。
ヒータ25は、略長方形の平板状に形成された樹脂ヒータである。ヒータ25は、カードリーダ1が搭載される上位装置に電気的に接続されており、上位装置からヒータ25に電力が供給されている。このヒータ25は、ヒータ25の温度を検出してヒータ25のオンオフを制御するサーモスタット26を備えている。本形態のサーモスタット26は、機械式サーモスタットである。ヒータ25は、接触部24aの左面に取り付けられている。また、サーモスタット26は、ヒータ25の左面に取り付けられている。ヒータ25の大きさは、接触部24aの大きさとほぼ等しくなっている。なお、ヒータ25は、樹脂ヒータ以外のヒータであっても良い。また、サーモスタット26は、電子式のサーモスタットであっても良い。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、本体フレーム6は、カード2の奥側部分が収容される袋状のカード収容部12と、カード収容部12の手前端に繋がる隔壁部13とを備えている。また、本形態では、環状に形成されたシール部材8が、前面フレーム5と隔壁部13との間に配置されるとともに、隔壁部13に形成されるカード通過路を外周側から囲むように配置されている。そのため、本形態では、挿入口4から浸入した水等の液体が、カード収容部12の外部の、リジッド基板7の配置箇所へ浸入するのを防止することが可能になる。
以上説明したように、本形態では、本体フレーム6は、カード2の奥側部分が収容される袋状のカード収容部12と、カード収容部12の手前端に繋がる隔壁部13とを備えている。また、本形態では、環状に形成されたシール部材8が、前面フレーム5と隔壁部13との間に配置されるとともに、隔壁部13に形成されるカード通過路を外周側から囲むように配置されている。そのため、本形態では、挿入口4から浸入した水等の液体が、カード収容部12の外部の、リジッド基板7の配置箇所へ浸入するのを防止することが可能になる。
本形態では、伝熱部材24は、左右方向の両外側からカード収容部12に接触する2個の接触部24a、24bを備えている。そのため、本形態では、左右の両側からカード収容部12を斑なく加熱することが可能になる。したがって、本形態では、カードリーダ1がより温度の低い場所で使用されても、カード収容部12の中での液体の凍結を防止することが可能になる。
特に本形態では、右側からカード収容部12に接触する接触部24bが、上下の両側から壁部12a、12bに覆われるとともに右側からリジッド基板7に覆われている。そのため、本形態では、接触部24bによって温められたカード収容部12の周りの温かい空気がカード収容部12の周りから逃げていくのを、壁部12a、12bおよびリジッド基板7を用いて抑制することが可能になる。したがって、本形態では、カード収容部12を効果的に加熱することが可能になり、その結果、カード収容部12の中での液体の凍結を効果的に防止することが可能になる。
また、本形態では、接触部24bによって温められたカード収容部12の周りの温かい空気が逃げていくのを、壁部12a、12bおよびリジッド基板7を用いて抑制することが可能になるため、サーモスタット26のオンオフ回数を減らすことが可能になる。したがって、本形態では、機械式のサーモスタット26の寿命を延ばすことが可能になる。また、ヒータ25がオンしている時間を短縮することが可能になり、その結果、ヒータ25の消費電力を低減することが可能になる。
また、本形態では、制御用のリジッド基板7を用いて、接触部24bによって温められたカード収容部12の周りの温かい空気が逃げていくのを抑制することが可能になるため、リジッド基板7に加えて、カード収容部12の周りの温かい空気が逃げていくのを抑制するための部材が別途設けられている場合と比較して、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
また、本形態では、伝熱部材24が、左右方向の両外側からカード収容部12に接触する2個の接触部24a、24bを備えているため、伝熱部材24に取り付けられるヒータ25が1個であっても、左右方向の両側からカード収容部12を斑なく加熱することが可能になる。したがって、本形態では、左右方向の両側に配置される2個のヒータ25を加熱機構9が備えている場合と比較して、カードリーダ1のコストを低減することが可能になる。
本形態では、伝熱部材24に、カード収容部12に対する伝熱部材24の位置決めを行うためのエンボス部24dが形成され、カード収容部12に、エンボス部24dが係合する係合孔12dが形成されている。そのため、本形態では、カード収容部12への伝熱部材24の取付が容易になる。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態では、リジッド基板7は、接触部24bの上側の約半分の部分を覆っているが、リジッド基板7は、接触部24bの全体を覆っても良い。この場合には、接触部24bによって温められたカード収容部12の周りの温かい空気が逃げていくのをリジッド基板7によって効果的に抑制することが可能になる。したがって、カード収容部12を効果的に加熱することが可能になり、その結果、カード収容部12の中での液体の凍結をより効果的に防止することが可能になる。
上述した形態において、リジッド基板7に加えて制御用のリジッド基板が設けられている場合には、接触部24aがこのリジッド基板に覆われても良い。また、上述した形態において、カードリーダ1は、接触部24aを覆う樹脂製等のカバー部材を備えていても良い。この場合には、接触部24bによって温められたカード収容部12の周りの温かい空気が逃げていくのを抑制することが可能になるのに加えて、接触部24aによって温められたカード収容部12の周りの温かい空気が逃げていくのを抑制することが可能になる。すなわち、接触部24a、24bによって温められたカード収容部12の周りの温かい空気が逃げていくのを左右の両側で抑制することが可能になる。したがって、カード収容部12をより効果的に加熱することが可能になり、その結果、カード収容部12の中での液体の凍結をより効果的に防止することが可能になる。なお、カード収容部12の中での液体の凍結をより効果的に防止するために、カード収容部12の肉厚を薄くしても良い。
上述した形態では、カード収容部12に2個の壁部12a、12bが形成されている。この他にもたとえば、カード収容部12に壁部12aのみが形成されても良いし、壁部12bのみが形成されても良い。また、カード収容部12に壁部12aおよび壁部12bが形成されていなくても良い。また、上述した形態では、接触部24bは、右側からリジッド基板7に覆われているが、接触部24bは、リジッド基板7に覆われていなくても良い。
上述した形態では、伝熱部材24に伝熱部材側係合部としてのエンボス部24dが形成され、カード収容部12に収容部側係合部としての係合孔12dが形成されている。この他にもたとえば、カード収容部12に収容部側係合部としての突起が形成され、この突起に係合する係合孔が伝熱部材側係合部として伝熱部材24に形成されても良い。また、上述した形態では、伝熱部材24は、アルミニウム合金で形成されているが、伝熱部材24は、アルミニウム合金以外の熱伝導性材料で形成されても良い。
上述した形態では、シール部材8は、環状に形成されるシール部材8の径方向において前面フレーム5と隔壁部13との間に配置されている。この他にもたとえば、上述の特許文献2に記載のカードリーダのように、シール部材8は、前後方向において前面フレーム5と隔壁部13との間に配置されても良い。また、上述した形態において、カード2にICチップが内蔵され、カード2の表面にICチップの外部接続端子が形成されても良い。この場合には、外部接続端子に接触するIC接点ブロックがカード収容部12に配置される。また、上述した形態では、カードリーダ1は、手動式のカードリーダであるが、カードリーダ1は、カード2を自動で搬送するカード搬送機構を有するカード搬送式のカードリーダであっても良い。
1 カードリーダ
2 カード
4 挿入口
5 前面フレーム
6 本体フレーム
7 リジッド基板
8 シール部材
9 加熱機構
12 カード収容部
12a、12b 壁部
12d 係合孔(収容部側係合部)
13 隔壁部
24 伝熱部材
24a、24b 接触部
24d エンボス部(伝熱部材側係合部)
25 ヒータ
X1 カードの挿入方向
X2 カードの抜取り方向
Y カードの厚さ方向
Z カードの幅方向
2 カード
4 挿入口
5 前面フレーム
6 本体フレーム
7 リジッド基板
8 シール部材
9 加熱機構
12 カード収容部
12a、12b 壁部
12d 係合孔(収容部側係合部)
13 隔壁部
24 伝熱部材
24a、24b 接触部
24d エンボス部(伝熱部材側係合部)
25 ヒータ
X1 カードの挿入方向
X2 カードの抜取り方向
Y カードの厚さ方向
Z カードの幅方向
Claims (7)
- カードの挿入口が形成される前面フレームと、前記前面フレームに固定される本体フレームと、環状に形成されるシール部材と、前記本体フレームを加熱する加熱機構とを備え、
前記挿入口への前記カードの挿入方向側を奥側とし、前記挿入口からの前記カードの抜取り方向側を手前側とすると、
前記本体フレームは、前記挿入口から挿入された前記カードの奥側部分が収容される袋状のカード収容部と、鍔状に形成され前記カード収容部の手前端に繋がる隔壁部とを備え、
前記シール部材は、前記前面フレームと前記隔壁部との間に配置されるとともに前記カードが通過するカード通過路を外周側から囲むように配置され、
前記加熱機構は、前記カード収容部に収容される前記カードの厚さ方向の両外側から前記カード収容部に接触する2個の接触部を有し熱伝導性材料で形成される伝熱部材と、前記伝熱部材に取り付けられるヒータとを備えることを特徴とするカードリーダ。 - 制御用のリジッド基板を備え、
前記リジッド基板は、前記カードの厚さ方向の外側から前記接触部を覆っていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。 - 前記リジッド基板は、前記接触部の全体を覆っていることを特徴とする請求項2記載のカードリーダ。
- 前記カードの厚さ方向の一方側から前記カード収容部に接触する前記接触部を覆うカバー部材を備え、
前記リジッド基板は、前記カードの厚さ方向の他方側から前記カード収容部に接触する前記接触部を覆っていることを特徴とする請求項2また3記載のカードリーダ。 - 前記カードの挿入方向と前記カードの厚さ方向とに直交する方向を前記カードの幅方向とすると、
前記カード収容部には、前記カードの幅方向の外側から前記接触部を覆う壁部が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカードリーダ。 - 前記伝熱部材は、アルミニウム合金の平板が略角溝型に折り曲げられることで形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカードリーダ。
- 前記伝熱部材には、前記カード収容部に対する前記伝熱部材の位置決めを行うための伝熱部材側係合部が形成され、
前記カード収容部には、前記伝熱部材側係合部に係合する収容部側係合部が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のカードリーダ。
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