≪硬化性組成物≫
硬化性組成物は、特定の構造の(A)エポキシ化合物と、(B)着色剤と、(C)酸発生剤とを含む。また、硬化性組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、(A)〜(B)の成分の他の成分を含んでいてもよい。以下、硬化性組成物に含まれる成分について説明する。
〔(A)エポキシ化合物〕
硬化性組成物は、(A)エポキシ化合物として、下記式(1)で表されるエポキシ化合物を含む。硬化性組成物は、下記式(1)で表されるエポキシ化合物を含むため、色むらが少なく、硬度と基材に対する接着性とに優れる硬化物を与える。
(式(1)中、Xは単結合、−O−、−O−CO−、−S−、−SO−、−SO
2−、−CH
2−、−C(CH
3)
2−、−CBr
2−、−C(CBr
3)
2−、−C(CF
3)
2−、及び−R
19−O−CO−からなる群より選択される2価の基であり、R
19は炭素数1〜8のアルキレン基であり、R
1〜R
18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、及び有機基からなる群より選択される基である。)
式(1)中、R19は、炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基又はエチレン基であるのが好ましい。
R1〜R18が有機基である場合、有機基は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、炭化水素基であっても、炭素原子とハロゲン原子とからなる基であっても、炭素原子及び水素原子とともにハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ケイ素原子のようなヘテロ原子を含むような基であってもよい。ハロゲン原子の例としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子、フッ素原子等が挙げられる。
有機基としては、炭化水素基と、炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基と、ハロゲン化炭化水素基と、炭素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基と、炭素原子、水素原子、酸素原子、及びハロゲン原子からなる基とが好ましい。有機基が炭化水素基である場合、炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも、脂肪族炭化水素基でも、芳香族骨格と脂肪族骨格とを含む基でもよい。有機基の炭素数は1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が特に好ましい。
炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、及びn−イコシル基等の鎖状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−n−プロペニル基(アリル基)、1−n−ブテニル基、2−n−ブテニル基、及び3−n−ブテニル基等の鎖状アルケニル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ビフェニル−4−イル基、ビフェニル−3−イル基、ビフェニル−2−イル基、アントリル基、及びフェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、α−ナフチルエチル基、及びβ−ナフチルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素基の具体例は、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、及びパーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、及びパーフルオロデシル基等のハロゲン化鎖状アルキル基;2−クロロシクロヘキシル基、3−クロロシクロヘキシル基、4−クロロシクロヘキシル基、2,4−ジクロロシクロヘキシル基、2−ブロモシクロヘキシル基、3−ブロモシクロヘキシル基、及び4−ブロモシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,6−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基;2−クロロフェニルメチル基、3−クロロフェニルメチル基、4−クロロフェニルメチル基、2−ブロモフェニルメチル基、3−ブロモフェニルメチル基、4−ブロモフェニルメチル基、2−フルオロフェニルメチル基、3−フルオロフェニルメチル基、4−フルオロフェニルメチル基等のハロゲン化アラルキル基である。
炭素原子、水素原子、及び酸素原子からなる基の具体例は、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基、及び4−ヒドロキシ−n−ブチル基等のヒドロキシ鎖状アルキル基;2−ヒドロキシシクロヘキシル基、3−ヒドロキシシクロヘキシル基、及び4−ヒドロキシシクロヘキシル基等のハロゲン化シクロアルキル基;2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2,4−ジヒドロキシフェニル基、2,5−ジヒドロキシフェニル基、2,6−ジヒドロキシフェニル基、3,4−ジヒドロキシフェニル基、及び3,5−ジヒドロキシフェニル基等のヒドロキシアリール基;2−ヒドロキシフェニルメチル基、3−ヒドロキシフェニルメチル基、及び4−ヒドロキシフェニルメチル基等のヒドロキシアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、及びn−イコシルオキシ基等の鎖状アルコキシ基;ビニルオキシ基、1−プロペニルオキシ基、2−n−プロペニルオキシ基(アリルオキシ基)、1−n−ブテニルオキシ基、2−n−ブテニルオキシ基、及び3−n−ブテニルオキシ基等の鎖状アルケニルオキシ基;フェノキシ基、o−トリルオキシ基、m−トリルオキシ基、p−トリルオキシ基、α−ナフチルオキシ基、β−ナフチルオキシ基、ビフェニル−4−イルオキシ基、ビフェニル−3−イルオキシ基、ビフェニル−2−イルオキシ基、アントリルオキシ基、及びフェナントリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、α−ナフチルメチルオキシ基、β−ナフチルメチルオキシ基、α−ナフチルエチルオキシ基、及びβ−ナフチルエチルオキシ基等のアラルキルオキシ基;メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロピルオキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−n−プロピルオキシエチル基、3−メトキシ−n−プロピル基、3−エトキシ−n−プロピル基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピル基、4−メトキシ−n−ブチル基、4−エトキシ−n−ブチル基、及び4−n−プロピルオキシ−n−プチル基等のアルコキシアルキル基;メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、n−プロピルオキシメトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基、2−n−プロピルオキシエトキシ基、3−メトキシ−n−プロピルオキシ基、3−エトキシ−n−プロピルオキシ基、3−n−プロピルオキシ−n−プロピルオキシ基、4−メトキシ−n−ブチルオキシ基、4−エトキシ−n−ブチルオキシ基、及び4−n−プロピルオキシ−n−ブチルオキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、及び4−メトキシフェニル基等のアルコキシアリール基;2−メトキシフェノキシ基、3−メトキシフェノキシ基、及び4−メトキシフェノキシ基等のアルコキシアリールオキシ基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、及びデカノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、α−ナフトイル基、及びβ−ナフトイル基等の芳香族アシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、及びn−デシルオキシカルボニル基等の鎖状アルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、α−ナフトキシカルボニル基、及びβ−ナフトキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、及びデカノイルオキシ基等の脂肪族アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基、α−ナフトイルオキシ基、及びβ−ナフトイルオキシ基等の芳香族アシルオキシ基である。
R1〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、及び炭素数1〜5のアルコキシ基からなる群より選択される基が好ましく、特に硬化性組成物を用いて得られる硬化物の硬度の観点からR1〜R18が全て水素原子であるのがより好ましい。
式(1)で表されるエポキシ化合物のうち、好適な化合物の具体例としては以下の化合物1及び2が挙げられる。
硬化性組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、式(1)で表されるエポキシ化合物とともに、式(1)で表されるエポキシ化合物以外のエポキシ化合物を含んでいてもよい。式(1)で表されるエポキシ化合物ともに使用できるエポキシ化合物の例は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、及びビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラックエポキシ樹脂;トリシクロデセンオキサイド基を有するエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の環式脂肪族エポキシ樹脂;ナフタレン型フェノール樹脂のエポキシ化物等の芳香族エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂;3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセニルカルボキシレート、リモネンジエポキシド、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセニルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス3−シクロヘキセニルメチルエステル、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス3−シクロヘキセニルメチルエステルのε−カプロラクトン付加物、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステル、及びエポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−3−シクロヘキセニルメチルエステルのε−カプロラクトン付加物等の脂環式エポキシ樹脂である。
硬化性組成物が式(1)で表されるエポキシ化合物の他のエポキシ化合物を含む場合、硬化性組成物中のエポキシ化合物中の総質量に対する式(1)で表されるエポキシ化合物の量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
〔(B)着色剤〕
着色剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。着色剤は、従来から種々の硬化性組成物に使用されている染料、顔料等の着色剤から適宜選択して使用することができる。着色剤としては顔料が好ましく、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。着色剤の色相は、黒色、白色のような無彩色であっても、有彩色であってもよい。
黒色の着色剤の好適な例としては、カーボンブラック、チタンブラック、ペリレンブラックや、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、錫、及び銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸鉛又は金属炭酸塩等が挙げられる。白色の着色剤の好適な例としては、チタンホワイト、亜鉛華、リトポン、硫化亜鉛、鉛白、鉛亜鉛華、ケイ酸鉛、タングステン白、マンガン白等の白色顔料が挙げられる。
また、pK値4.5以下の触媒の存在下、水中において25℃で、下記式(i)で表される化合物と下記式(ii)で表される化合物とをモル比1:2で反応させることにより、若しくは、下記式(i)で表される化合物と下記式(iii)で表される2〜5種の化合物とをモル比1:2で反応させることにより得られる着色剤も、黒色の着色剤として好適に使用することができる。pK値4.5以下の触媒としては、例えば、p−トルエンスルホン酸が挙げられる。以下、本明細書では、このような反応を経て得られる黒色の着色剤を「ラクトンブラック」と記す。ラクトンブラックは、例えば、特表2012−515233号公報に記載の方法で調製することができる。
(上記式(i)〜(iii)において、
R
1b及びR
2bは、互いに独立にH、C
1−C
24アルキル基、C
3−C
24シクロアルキル基、C
2−C
24アルケニル基、C
3−C
24シクロアルケニル基、C
2−C
24アルキニル基、C
7−C
24アラルキル基、又はC
6−C
24アリール基であり、前記C
1−C
24アルキル基、C
3−C
24シクロアルキル基、C
2−C
24アルケニル基、C
3−C
24シクロアルケニル基、及びC
2−C
24アルキニル基において、水素原子の一部又は全部は、ハロゲン原子及びC
1−C
8アルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、前記C
7−C
24アラルキル基及びC
6−C
24アリール基において、水素原子の一部又は全部は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C
1−C
8アルキル基、及びC
1−C
8アルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、
R
3bは、H、F、Cl、R
8b、若しくはOR
8bであり、
R
4b、R
5b、及びR
6bは、互いに独立にH、F、Br、Cl、COOH、COOR
8b、CONH
2、CONHR
8b、CONR
8bR
8b、CN、COR
8b、SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NHR
8b、SO
2NR
8bR
8b、SO
2R
8b、NO
2、R
8b、OR
8b、SR
8b、NR
8bR
8b、NHCOR
8b、若しくは
であり、又は
R
3bとR
4b、R
4bとR
5b、若しくはR
5bとR
6bとは、互いに結合して、C
1−C
6アルキレンジオキシ基、C
3−C
6アルキレン基、C
3−C
6アルケニレン基、若しくは1,4−ブタジエニレン基を形成し、前記C
1−C
6アルキレンジオキシ基、C
3−C
6アルキレン基、C
3−C
6アルケニレン基、及び1,4−ブタジエニレン基において、水素原子の一部若しくは全部は、F、OR
8b、NO
2、オキソ基、チオキソ基、及びSO
3Hからなる群より選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、
R
7bは、H、C
1−C
24アルキル基、C
3−C
24シクロアルキル基、C
2−C
24アルケニル基、C
3−C
24シクロアルケニル基、C
2−C
24アルキニル基、C
2−C
12ヘテロシクロアルキル基、C
7−C
24アラルキル基、C
1−C
12ヘテロアリール−C
1−C
8アルキル基、C
6−C
24アリール基、又はC
1−C
12ヘテロアリール基であり、前記C
1−C
24アルキル基、C
3−C
24シクロアルキル基、C
2−C
24アルケニル基、C
3−C
24シクロアルケニル基、C
2−C
24アルキニル基、及びC
2−C
12ヘテロシクロアルキル基において、水素原子の一部又は全部は、F、オキソ基、及びチオキソ基からなる群より選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、かつ、炭素鎖は、少なくとも1個のO、S、又はNR
8bにより中断されていてもよく、C
7−C
24アラルキル基、C
1−C
12ヘテロアリール−C
1−C
8アルキル基、C
6−C
24アリール基、及びC
1−C
12ヘテロアリール基において、水素原子の一部又は全部は、オキソ基、チオキソ基、F、Br、Cl、COOH、COOR
8b、CONH
2、CONHR
8b、CONR
8bR
8b、CN、COR
8b、SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NHR
8b、SO
2NR
8bR
8b、SO
2R
8b、NO
2、R
8b、OR
8b、SR
8b、NR
8bR
8b、NHCOR
8b、及び
からなる群より選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、
各R
8bは、互いに独立にC
1−C
24アルキル基、C
3−C
24シクロアルキル基、C
2−C
24アルケニル基、C
3−C
24シクロアルケニル基、C
2−C
24アルキニル基、C
2−C
12ヘテロシクロアルキル基、C
7−C
24アラルキル基、C
1−C
12ヘテロアリール−C
1−C
8アルキル基、C
6−C
24アリール基、若しくはC
1−C
12ヘテロアリール基であり、前記C
1−C
24アルキル基、C
3−C
24シクロアルキル基、C
2−C
24アルケニル基、C
3−C
24シクロアルケニル基、C
2−C
24アルキニル基、及びC
2−C
12ヘテロシクロアルキル基において、水素原子の一部若しくは全部は、F、オキソ基、チオキソ基、OR
9b、SR
9b、及びNR
9bR
9bからなる群より選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、C
7−C
24アラルキル基、C
1−C
12ヘテロアリール−C
1−C
8アルキル基、C
6−C
24アリール基、及びC
1−C
12ヘテロアリール基において、水素原子の一部若しくは全部は、オキソ基、F、Br、Cl、COOH、CONH
2、CONHR
9b、CONR
9bR
9b、SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NHR
9b、SO
2NR
9bR
9b、CN、NO
2、OR
9b、SR
9b、NR
9bR
9b、NHCOR
9b、及び
からなる群より選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、又は
ビシナル位の2個のR
8bは、互いに結合して、−O−CO−O−、−O−CS−O−、−CO−N−CO−、−N−CO−N−、−N=S=N−、−N−C=C−、−O−C=C−、−S−C=C−、−O−C=N−、−S−C=N−、−N−N=N−、−N=C−C=C−、−C=N−C=C−、−N=C−C=N−、−C=N−N=C−、−C=N−C=N−、若しくは−C=C−C=C−を形成し、各−C=及び−N−は、互いに独立にH若しくはR
9bを結合しており、又は
ジェミナル位若しくはビシナル位の2個のR
8bは、互いに結合して、C
3−C
8アルキレン基若しくはC
3−C
8アルケニレン基を形成し、前記C
3−C
8アルキレン基及びC
3−C
8アルケニレン基において、水素原子の一部若しくは全部は、F、オキソ基、及びチオキソ基からなる群より選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、かつ、1個若しくは隣接しない2個のメチレン基は、O、S、若しくはNR
9bで置換されていてもよく、
各R
9bは、互いに独立にC
1−C
8アルキル基、C
3−C
6シクロアルキル基、ベンジル基、フェニル基、若しくはC
1−C
5ヘテロアリール基であり、前記C
1−C
8アルキル基、C
3−C
6シクロアルキル基、若しくはベンジル基において、水素原子の一部若しくは全部は、オキソ基、チオキソ基、F、及びO−C
1−C
5ヘテロアリール基からなる群より選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、前記フェニル基及びC
1−C
5ヘテロアリール基において、水素原子の一部若しくは全部は、F、Br、Cl、CO−C
1−C
8アルキル基、COOH、CONH
2、CONHC
1−C
8アルキル基、CON(C
1−C
8アルキル)
2、SO
3H、SO
2NH
2、SO
2NHC
1−C
8アルキル基、SO
2N(C
1−C
8アルキル)
2、CN、NO
2、C
1−C
8アルキル基、OC
1−C
8アルキル基、SC
1−C
8アルキル基、及びN(C
1−C
8アルキル)
2からなる群より選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、又は
ビシナル位の2個のR
9bは、互いに結合して、−O−CO−O−、−O−CS−O−、−CO−N−CO−、−N−CO−N−、−N=S=N−、−N−C=C−、−O−C=C−、−S−C=C−、−O−C=N−、−S−C=N−、−N−N=N−、−N=C−C=C−、−C=N−C=C−、−N=C−C=N−、−C=N−N=C−、−C=N−C=N−、若しくは−C=C−C=C−を形成し、各−C=及び−N−は、互いに独立にH、F、オキソ基、チオキソ基、C
1−C
8アルキル基、若しくはOC
1−C
8アルキル基を結合しており、又は
ジェミナル位若しくはビシナル位の2個のR
9bは、互いに結合して、C
3−C
8アルキレン基若しくはC
3−C
8アルケニレン基を形成し、前記C
3−C
8アルキレン基及びC
3−C
8アルケニレン基において、水素原子の一部若しくは全部は、オキソ基及びチオキソ基からなる群より選択される少なくとも1種で置換されていてもよく、かつ、1個若しくは隣接しない2個のメチレン基は、O、S、若しくはN(C
1−C
8アルキル)
2で置換されていてもよく、
R
10bは、H、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、F、Cl、Br、NO
2、CN、COOH、又はSO
3Hであり、
R
11bは、H、NO
2、CN、COOH、又はSO
3Hであり、
R
12bは、H、CH
3、C
2H
5、OCH
3、OC
2H
5、F、又はClである。)
式(i)で表される化合物と、式(ii)又は(iii)で表される化合物との好適な組み合わせとしては、例えば、下記表1〜3に記載のものが挙げられる。
有彩色の着色剤としては有機顔料が好ましい。有彩色の有機顔料の好適な例としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものが挙げられる。
C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様で番号のみ記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、185、219;
C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様で番号のみ記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、73;
C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様で番号のみ記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、50;
C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様で番号のみ記載する。)、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、265;
C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様で番号のみ記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
顔料はそのまま用いてもよく、分散剤により分散処理されたものを用いてもよい。顔料を分散処理する方法は特に限定されず、周知の方法に従って顔料を分散処理できる。顔料の分散は、通常、適切な媒体中で、顔料と分散剤とを撹拌又は混練処理して行われる。顔料と分散剤との撹拌又は混練に使用される好適な装置としては、インペラー撹拌装置、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ダイノーミル、及びロールミル等が挙げられる。分散剤により分散処理された顔料は、通常、顔料分散液として使用される。
分散剤は、従来から、顔料分散に用いられている分散剤から適宜選択して使用することができる。好ましい分散剤の例としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤が挙げられる。このような分散剤の具体例としては、例えば、ビックケミー・ジャパン株式会社製の商品名BYK−161、162、163、164、166、170、182、2000、及び2001、ゼネカ株式会社製の商品名ソルスパースS3000、S9000、S17000、S20000、S27000、S24000、S26000、S28000等を挙げることができる。分散剤の使用量は特に限定されないが、顔料100質量部に対して、30〜80質量部が好ましく、50〜80質量部がより好ましい。
顔料と分散剤とを撹拌又は混練する際に用いる媒体は、顔料を分散剤により良好に分散させることができるものであれば特に限定されない。媒体としては有機溶剤が好ましい。媒体として使用できる有機溶剤の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、乳酸メチル、及び乳酸エチル等が挙げられる。これらの溶媒は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。媒体の使用量は、顔料の分散が良好に進行する限り特に限定されない。媒体の使用量は、顔料100質量部に対して、100〜500質量部が好ましく、100〜300質量部がより好ましい。
(B)着色剤の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。(B)着色剤の使用量は、(A)エポキシ化合物100質量部に対して、10〜1000質量部が好ましく、30〜800質量部がより好ましく、60〜600質量部が特に好ましい。なお、(B)着色剤の使用量は、顔料分散液のような着色剤組成物の量ではなく、顔料や染料のような着色剤そのものの使用量である。
上記のように(B)着色剤を多量に用いると、硬化物に色むらが生じやすいが、本発明の硬化性組成物は、硬化性の成分として前述の特定の構造の(A)エポキシ化合物を含むため、色むらが抑制された硬化物を形成することができる。また、上記のように(B)着色剤を多量に用いると、後述する(C)酸発生剤として光酸発生剤を用いる場合に硬化性組成物を低露光量で硬化させにくいが、硬化性組成物は、前述の特定の構造の(A)エポキシ化合物と光酸発生剤とを含む場合、低露光量でも、良好に硬化しやすい。
〔(C)酸発生剤〕
酸発生剤としては、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤、又は加熱により酸を発生する熱酸発生剤が好適に使用される。
光酸発生剤としては、以下に説明する、第一〜第五の態様の酸発生剤が好ましい。以下、光酸発生剤のうち好適なものについて、第一から第五の態様として説明する。
光酸発生剤における第一の態様としては、下記一般式(c1)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(c1)中、X1cは、原子価gの硫黄原子又はヨウ素原子を表し、gは1又は2である。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。R1cは、X1cに結合している有機基であり、炭素数6〜30のアリール基、炭素数4〜30の複素環基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、又は炭素数2〜30のアルキニル基を表し、R1cは、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールチオカルボニル、アシロキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリール、複素環、アリールオキシ、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキレンオキシ、アミノ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。R1cの個数はg+h(g−1)+1であり、R1cはそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。また、2個以上のR1cが互いに直接、又は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NH−、−NR2c−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、若しくはフェニレン基を介して結合し、X1cを含む環構造を形成してもよい。R2cは炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。
上記一般式(c2)中、X4cは炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数8〜20の複素環化合物の2価の基を表し、X4cは炭素数1〜8のアルキル、炭素数1〜8のアルコキシ、炭素数6〜10のアリール、ヒドロキシ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。X5cは−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NH−、−NR2c−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、又はフェニレン基を表す。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。h+1個のX4c及びh個のX5cはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R2cは前述の定義と同じである。
X3c−はオニウムの対イオンであり、下記式(c17)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオン又は下記式(c18)で表されるボレートアニオンが挙げられる。
上記式(c17)中、R3cは水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。jはその個数を示し、1〜5の整数である。j個のR3cはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(c18)中、R4c〜R7cは、それぞれ独立にフッ素原子又はフェニル基を表し、該フェニル基の水素原子の一部又は全部は、フッ素原子及びトリフルオロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
上記一般式(c1)で表される化合物中のオニウムイオンとしては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム、2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、オクタデシルメチルフェナシルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウム、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、又は4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、等が挙げられる。
上記一般式(c1)で表される化合物中のオニウムイオンのうち、好ましいオニウムイオンとしては下記一般式(c19)で表されるスルホニウムイオンが挙げられる。
上記式(c19)中、R8cはそれぞれ独立に水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアリール、アリールカルボニル、からなる群より選ばれる基を表す。X2cは、上記一般式(c1)中のX2cと同じ意味を表す。
上記式(c19)で表されるスルホニウムイオンの具体例としては、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウムが挙げられる。
上記一般式(c17)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンにおいて、R3cはフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、好ましい炭素数は1〜8、さらに好ましい炭素数は1〜4である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル等の直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐アルキル基;さらにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクヘキシル等のシクロアルキル基等が挙げられ、アルキル基の水素原子がフッ素原子に置換された割合は、通常、80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%である。フッ素原子の置換率が80%未満である場合には、上記一般式(c1)で表されるオニウムフッ素化アルキルフルオロリン酸塩の酸強度が低下する。
特に好ましいR3cは、炭素数が1〜4、かつフッ素原子の置換率が100%の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基であり、具体例としては、CF3、CF3CF2、(CF3)2CF、CF3CF2CF2、CF3CF2CF2CF2、(CF3)2CFCF2、CF3CF2(CF3)CF、(CF3)3Cが挙げられる。R3cの個数jは、1〜5の整数であり、好ましくは2〜4、特に好ましくは2又は3である。
好ましいフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンの具体例としては、[(CF3CF2)2PF4]−、[(CF3CF2)3PF3]−、[((CF3)2CF)2PF4]−、[((CF3)2CF)3PF3]−、[(CF3CF2CF2)2PF4]−、[(CF3CF2CF2)3PF3]−、[((CF3)2CFCF2)2PF4]−、[((CF3)2CFCF2)3PF3]−、[(CF3CF2CF2CF2)2PF4]−、又は[(CF3CF2CF2)3PF3]−が挙げられ、これらのうち、[(CF3CF2)3PF3]−、[(CF3CF2CF2)3PF3]−、[((CF3)2CF)3PF3]−、[((CF3)2CF)2PF4]−、[((CF3)2CFCF2)3PF3]−、又は[((CF3)2CFCF2)2PF4]−が特に好ましい。
上記一般式(c18)で表されるボレートアニオンの好ましい具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C6F5)4]−)、テトラキス[(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート([B(C6H4CF3)4]−)、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C6F5)2BF2]−)、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C6F5)BF3]−)、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート([B(C6H3F2)4]−)等が挙げられる。これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C6F5)4]−)が特に好ましい。
光酸発生剤における第二の態様としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物、並びにトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等の下記一般式(c3)で表されるハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
上記一般式(c3)中、R9c、R10c、R11cは、それぞれ独立にハロゲン化アルキル基を表す。
また、光酸発生剤における第三の態様としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、並びにオキシムスルホネート基を含有する下記一般式(c4)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(c4)中、R12cは、1価、2価、又は3価の有機基を表し、R13cは、置換若しくは未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、又は芳香族性化合物基を表し、nは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
上記一般式(c4)中、芳香族性化合物基とは、芳香族化合物に特有な物理的・化学的性質を示す化合物の基を示し、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基や、フリル基、チエニル基等のヘテロアリール基が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等を1個以上有していてもよい。また、R13cは、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。特に、R12cが芳香族性化合物基であり、R13cが炭素数1〜4のアルキル基である化合物が好ましい。
上記一般式(c4)で表される酸発生剤としては、n=1のとき、R12cがフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基のいずれかであって、R13cがメチル基の化合物、具体的にはα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリル、〔2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロキシチオフェン−3−イリデン〕(o−トリル)アセトニトリル等が挙げられる。n=2のとき、上記一般式(c4)で表される光酸発生剤としては、具体的には下記式で表される光酸発生剤が挙げられる。
また、光酸発生剤における第四の態様としては、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩が挙げられる。この「ナフタレン環を有する」とは、ナフタレンに由来する構造を有することを意味し、少なくとも2つの環の構造と、それらの芳香族性が維持されていることを意味する。このナフタレン環は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。ナフタレン環に由来する構造は、1価基(遊離原子価が1つ)であっても、2価基(遊離原子価が2つ)以上であってもよいが、1価基であることが望ましい(ただし、このとき、上記置換基と結合する部分を除いて遊離原子価を数えるものとする)。ナフタレン環の数は1〜3が好ましい。
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のカチオン部としては、下記一般式(c5)で表される構造が好ましい。
上記一般式(c5)中、R14c、R15c、R16cのうち少なくとも1つは下記一般式(c6)で表される基を表し、残りは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、水酸基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表す。あるいは、R14c、R15c、R16cのうちの1つが下記一般式(c6)で表される基であり、残りの2つはそれぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。
上記一般式(c6)中、R17c、R18cは、それぞれ独立に水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、R19cは、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表す。l及びmは、それぞれ独立に0〜2の整数を表し、l+mは3以下である。ただし、R17cが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。また、R18cが複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
上記R14c、R15c、R16cのうち上記式(c6)で表される基の数は、化合物の安定性の点から好ましくは1つであり、残りは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。この場合、上記2つのアルキレン基は、硫黄原子を含めて3〜9員環を構成する。環を構成する原子(硫黄原子を含む)の数は、好ましくは5〜6である。
また、上記アルキレン基が有していてもよい置換基としては、酸素原子(この場合、アルキレン基を構成する炭素原子とともにカルボニル基を形成する)、水酸基等が挙げられる。
また、フェニル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
これらのカチオン部として好適なものとしては、下記式(c7)、(c8)で表されるもの等を挙げることができ、特に下記式(c8)で表される構造が好ましい。
このようなカチオン部としては、ヨードニウム塩であってもスルホニウム塩であってもよいが、酸発生効率等の点からスルホニウム塩が望ましい。
従って、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のアニオン部として好適なものとしては、スルホニウム塩を形成可能なアニオンが望ましい。
このような酸発生剤のアニオン部としては、水素原子の一部又は全部がフッ素化されたフルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンである。
フルオロアルキルスルホン酸イオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状でも分岐状でも環状でもよく、発生する酸の嵩高さとその拡散距離から、炭素数1〜10であることが好ましい。特に、分岐状や環状のものは拡散距離が短いため好ましい。また、安価に合成可能なことから、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等を好ましいものとして挙げることができる。
アリールスルホン酸イオンにおけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であって、アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。特に、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。好ましいものの具体例として、フェニル基、トルエンスルホニル基、エチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基等を挙げることができる。
上記フルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンにおいて、水素原子の一部又は全部がフッ素化されている場合のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。このようなものとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネート、パーフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロベンゼンスルホネート等が挙げられる。
これらの中でも、好ましいアニオン部として、下記一般式(c9)で表されるものが挙げられる。
上記式(c9)において、R
20cは、下記式(c10)、(c11)で表される基や、下記式(c12)で表される基である。
上記式(c10)中、xは1〜4の整数を表す。また、上記式(c11)中、R21cは、水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表し、yは1〜3の整数を表す。これらの中でも、安全性の観点からトリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートが好ましい。
また、アニオン部としては、下記式(c13)、(c14)で表される窒素を含有するものを用いることもできる。
上記式(c13)、(c14)中、Xcは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは3〜5、最も好ましくは炭素数3である。また、Yc、Zcは、それぞれ独立に少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
Xcのアルキレン基の炭素数、又はYc、Zcのアルキル基の炭素数が小さいほど有機溶剤への溶解性も良好であるため好ましい。
また、Xcのアルキレン基又はYc、Zcのアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。該アルキレン基又はアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、より好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩として好ましいものとしては、下記式(c15)、(c16)で表される化合物が挙げられる。
また、光酸発生剤における第五の態様としては、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、ニトロベンジルトシレート、ジニトロベンジルトシラート、ニトロベンジルスルホナート、ニトロベンジルカルボナート、ジニトロベンジルカルボナート等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールトリメシラート、ピロガロールトリトシラート、ベンジルトシラート、ベンジルスルホナート、N−メチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−トリクロロメチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−フェニルスルホニルオキシマレイミド、N−メチルスルホニルオキシフタルイミド等のスルホン酸エステル類;N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシナフタルイミド等のトリフルオロメタンスルホン酸エステル類;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等のオニウム塩類;ベンゾイントシラート、α−メチルベンゾイントシラート等のベンゾイントシレート類;その他のジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、フェニルジアゾニウム塩、ベンジルカルボナート等が挙げられる。
熱酸発生剤の好適な例としては、有機スルホン酸のオキシムエステル化合物、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、その他の有機スルホン酸のアルキルエステル等が挙げられる。また、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩等も熱酸発生剤として適宜使用することが可能である。これらの中では、加熱されない状態での安定性に優れることから、有機スルホン酸のオキシムエステル化合物が好ましい。
硬化性組成物中の酸発生剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。硬化性組成部中の酸発生剤の含有量は、硬化性組成物中のエポキシ化合物の総量100質量に対して、0.1〜50質量部が好ましく、0.5〜30質量部がより好ましく、1〜20質量部が特に好ましい。
〔その他の成分〕
硬化性組成物には、必要に応じて各種の添加剤を加えてもよい。具体的には、溶剤、増感剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、密着増強剤、及び界面活性剤等が例示される。これらの添加剤の使用量は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、添加剤の種類に応じて適宜決定される。
≪硬化性組成物の製造方法≫
硬化性組成物の製造方法は特に限定されない。硬化性組成物は、以上説明した、(A)エポキシ化合物、(B)着色剤、及び(C)酸発生剤と、必要に応じてその他の成分とを、公知の混合装置により均一に混合することにより製造できる。
≪硬化物の製造方法≫
以上説明した硬化性組成物は周知の方法に従って、硬化させることができる。具体的には、種々の基板表面や各種部品中の硬化物の形成箇所に、硬化性組成物を塗布又は充填した後に、硬化性組成物を硬化させればよい。硬化性組成物を硬化させる際には、酸発生剤より酸を発生させる。酸を発生させる方法は、酸発生剤の種類に応じて、硬化性組成物への紫外線又は電子線等の活性エネルギー線のような光の照射と、硬化性組成物の加熱とから選択される。光の照射により、硬化性組成物を硬化させる際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯等が用いられる。
また、酸発生剤が光酸発生剤である場合、所望するパターンのマスクを介して硬化性組成物を露光することによって、硬化物のパターンを形成することもできる。硬化物のパターンを形成する場合には、露光後に、適当な有機溶剤を用いて非露光部を除去することで、パターンを現像することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[調製例1]
以下の方法に従って、顔料分散液A〜Eを調製した。各顔料分散液では、表4に記載の種類の顔料を用いた。顔料分散剤としては、BYK2001(変性アクリル系ブロック共重合物、ビックケミー・ジャパン株式会社製)を用いた。溶剤としては、3−エトキシプロピオン酸エチルを用いた。表4に記載の種類の顔料と、分散剤と、溶剤とを、表4に記載の組成で混合した後、ビーズミルを用いて15時間、顔料の分散処理を行って、顔料分散液A〜Eを調製した。
顔料分散液Dの調製に用いたラクトンブラックは、下記式(I)で表される化合物と、下記式(II)で表される化合物とを、パラトルエンスルホン酸の存在下に、トルエン中で110℃で反応させて得られたものを用いた。
[調製例2]
比較例1〜7において硬化性化合物として用いた、ペンタリスリトールテトラアクリレートと、サルコシン(2−(メチルアミノ)酢酸)とのエステル交換反応物(化合物3)を以下の方法に従って調製した。サルコシン(15.17g、0.17mol)を60℃のメタノール500mlに溶解させた後、得られた溶液に、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(60.0g、0.17mol)のメタノール溶液を加えた。得られた混合液を、5時間加熱還流させた後、メタノールを減圧溜去し、化合物3、75.17gを得た。
[実施例1
、3〜8
、参考例2及び比較例1〜8]
実施例では、硬化性化合物として、下記の化合物
1(前述の(A)エポキシ化合物に相当)を用いた。
参考例2では、硬化性化合物として、下記の化合物2を用いた。比較例1〜7では、調製例2で得た化合物3を硬化性化合物として用いた。比較例8では、ポリグリシジルメタクリレート(質量平均分子量:12600、分散度(質量平均分子量Mw/数平均分子量Mn):2.14)を硬化性化合物(化合物4)として用いた。
実施例
、参考例及び比較例では、酸発生剤として、下記式の化合物を用いた。
実施例7では、着色剤としてカーボンブラック(CFブラック(御国色素株式会社製))を用いた。表5中、カーボンブラック(CFブラック(御国色素株式会社製))をCBと記す。
表5に記載の種類及び量の、硬化性化合物、酸発生剤、及び着色剤を均一に混合して、実施例1、3〜8、参考例2及び比較例1〜8の硬化性組成物を得た。得られた硬化性組成物を用いて、以下の方法に従って、硬化物の、接着強度と、鉛筆硬度と、色むらと、硬化性組成物を硬化させる際に必要な最低露光量とを評価した。これらの評価結果を表5に記す。
<接着強度>
硬化性組成物をガラス基板上にスピンコートした後、100℃、2分間の乾燥を行い、膜厚20μmの硬化性組成物の膜を形成した。硬化性組成物の膜をブロードバンド光で露光して、硬化性組成物の膜を硬化させた。形成された硬化物の膜の接着強度を、EZ−test(株式会社島津製作所製)を用いて、3点曲げ試験法により測定した。
接着強度15N以上を○と判定し、接着強度15N未満を×と判定した。
<鉛筆硬度>
接着強度の評価と同様にして形成された硬化膜について、鉛筆を用いて、荷重1kg±50g、5回の硬度試験を行い、荷重印加後の傷の有無を観察した。5回の試験で硬化膜に傷が付かなかった鉛筆硬度のうち、最も固い鉛筆硬度を試験結果とした。
鉛筆硬度9H以上を◎と判定し、5H以上9H未満を○と判定し、5H未満を×と判定した。
<色むら>
接着強度の評価と同様にして形成された硬化膜について、任意の4箇所のOD値又は輝度を測定し、それらの値の平均値と任意の4箇所のOD値との相対差を求めた。相対差は下記式を用いて算出した。平均値と任意の4箇所のOD値との相対差の絶対値が、いずれも5%未満である場合を◎と判定し、少なくとも1つが5%以上15%未満である場合を○と判定し、少なくとも1つが15%以上である場合を×と判定した。
相対差算出式:(1−任意箇所のOD値/平均OD値)×100=相対差(%)
<最低露光量>
接着強度の評価と同様にして形成した、硬化性組成物の膜厚20μmの膜を、ブロードバンド光により露光する際の、膜を硬化させることが可能な最低露光量を求めた。最低露光量を求める際、上記の方法に従って測定した硬化した膜の鉛筆硬度が4H以上である場合を、膜が硬化したと判定した。最低露光量100mJ/cm2未満を◎と判定し、100mJ/cm2以上150mJ/cm2未満を○と判定し、150mJ/cm2以上を×と判定した。
表5によれば、実施例1、3〜8、参考例2より、所定の構造の(A)エポキシ化合物と、(B)着色剤と、(C)酸発生剤とを含む実施例の硬化性組成物は、色むらが少なく、硬度と基材に対する接着性とに優れる硬化物を与えることが分かる。他方、比較例1〜8によれば、所定の構造(A)エポキシ化合物ではなく、化合物3や、前述の式(1)に含まれない構造のエポキシ化合物である化合物4を硬化性化合物として含む比較例の硬化性組成物を用いると、色むらが少なく、硬度と基材に対する接着性とに優れる硬化物を形成できないことが分かる。