JP6369349B2 - カソードルミネッセンス測定用治具及びカソードルミネッセンスの測定方法 - Google Patents

カソードルミネッセンス測定用治具及びカソードルミネッセンスの測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6369349B2
JP6369349B2 JP2015028585A JP2015028585A JP6369349B2 JP 6369349 B2 JP6369349 B2 JP 6369349B2 JP 2015028585 A JP2015028585 A JP 2015028585A JP 2015028585 A JP2015028585 A JP 2015028585A JP 6369349 B2 JP6369349 B2 JP 6369349B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
jig
conductive
electron beam
cathodoluminescence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015028585A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016151464A (ja
Inventor
勝一 佐藤
勝一 佐藤
和広 相良
和広 相良
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Handotai Co Ltd filed Critical Shin Etsu Handotai Co Ltd
Priority to JP2015028585A priority Critical patent/JP6369349B2/ja
Publication of JP2016151464A publication Critical patent/JP2016151464A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6369349B2 publication Critical patent/JP6369349B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Testing Or Measuring Of Semiconductors Or The Like (AREA)

Description

本発明は、カソードルミネッセンス測定装置に用いられるサンプル載置のためのカソードルミネッセンス測定用治具、及びカソードルミネッセンスの測定方法に関する。
最近では、半導体デバイスのさらなる微細化、高性能化のため、より高品質な半導体基板が求められている。そのための物理・化学分析を用いた多種多様の評価手法が知られており、それらの範囲や手法は極めて広い。具体例として、最も工業的に重要であるシリコン基板の評価法を例に挙げて説明する。
電気特性評価は、実際のデバイス評価に近い方法であり、また空間分解能と感度が優れた評価法である。デバイス材料としてのシリコンウェーハの電気特性評価法としては、GOI(Gate Oxide Integrity)やライフタイム、DLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)等が知られている。
GOIはシリコン基板の最表面を20nm程度酸化し、これに電極を形成して絶縁破壊特性を評価するものであり、シリコン基板表層の評価を行う方法である。GOIは、CZ(Czochralski)シリコン結晶中に存在するCOP(Crystal Originated Particle)や、酸素析出などに感度が良く、重要な評価手法である。しかし、電気特性劣化原因は、電気特性測定のみから判断することが難しい。
デバイスの解析には物理解析も重要である。FT−IRやラマン、フォトルミネッセンス(PL)法などに代表される分光学的手法では、元素情報以外の重要な情報、例えば、有機材料の結合状態や結晶の応力・歪、欠陥、キャリア濃度等の情報を得ることが出来るものの、空間分解能という点では必ずしも充分ではない。
空間分解能の高い解析として、SEM(Scanning Electron Microscopy)、TEM(Transmission Electron Microscopy)などの電子線をプローブとした手法が用いられている。
カソードルミネッセンス(Cathode Luminescence、以下ではCLと表すことがある)法は、電子線をプローブとした評価手法の一つである。高い空間分解能で試料の応力・歪分布、欠陥分布、キャリア分布を評価することが出来る。CLとは電子線を試料に照射したときに放出される紫外、可視、近赤外領域の発光のことである。
図2にCL法による測定の原理の模式図を示す。
特性X線は内郭電子遷移に由来しており、主に元素情報を反映するが、CLは伝導帯の底付近から価電子帯の頂上付近への遷移(バンド間遷移)に対応するために、元素情報ではなく結晶としての性質を反映する。近年の半導体基板の特性向上及び半導体デバイスの微細化に伴い、半導体デバイス不良原因が必ずしも形態として捉えられることができない、いわゆる点欠陥に起因していることが多くなってきている。そのため、CLが結晶としての性質を反映することは大きなポイントであり、結晶性を維持しつつ、その中で結晶性の違いを検出できる点がCL法の大きな特徴であり、利点である。
このCL法における発光のメカニズムは材料によって異なるが、半導体の場合は、(1)電子・正孔対の生成、(2)キャリアの拡散、(3)発光再結合の3つが存在する。シリコンの場合は、バンドギャップ(約1.1eV)に相当するTOフォノン線が強く観察される。これは、シリコンが間接遷移型半導体であるため、フォノン放出を伴うバンド間遷移となるためである。結晶欠陥や不純物がバンドギャップ内にエネルギー準位を形成するとバンド間遷移発光以外に、欠陥や不純物を介した発光が生じる。
CL測定装置としては、一般的に電子線源としてSEMを用い、これに試料からの発光を検出する検出器・分光器、さらに格子振動を抑えて発光強度を得るためのステージ冷却などの機構が必要である。CL法の特徴としては、高分解能であること、広範囲波長の発光スペクトルが得られること、加速電圧を変化させることで深さ分析が可能なことがある。また、電子線源としてSEMを使用する装置概要からも分かる通り、SEM法による形態観察、元素分析などの結果とCLの比較が可能であり、デバイスの解析に有力な分析法である。
半導体ウェーハのCL法による評価を目的とした評価装置や評価方法が、例えば特許文献1、2及び3に開示されている。
前述のように、CL法の特徴としては、電子線源としてSEMの加速電圧を変化させることで深さ分析が可能な点がある。しかし、通常のSEM装置の加速電圧は最大30kV(加速エネルギー30keV)程度で、この時のシリコン基板への電子線の侵入深さは約9.3μmと浅い。このため、シリコン基板の評価において、表面のみのCL評価では欠陥を十分に検出することが難しく、シリコン基板の品質を改善するにはより深い領域の評価が望まれていた。
半導体ウェーハの深さ方向や断面方向の評価のために、サンプルの試料台を工夫した評価装置や評価方法が、例えば特許文献4及び5に開示されている。
特許文献4では、電子線源としてSEMを利用したEDX(エネルギー分散型X線分光器)及び格子歪構造解析用プロセッサを搭載した装置を用いてサンプルの評価を行う。この装置では試料固定台を傾斜、もしくはサンプルのへき開面を上向きに固定して電子線を照射することが記載されている。
特許文献5には、電子線源としてSEMを利用した反射電子回折パターン(EBSP:Electron Backscatter Diffraction Pattern)評価において、サンプルをカーボンペーストや銀ペーストなどの導電性樹脂(導電性接着剤)を用いて固定板に接着して、この固定板を傾斜して電子線を照射することが記載されている。
しかしながら、特許文献1〜5のサンプルの試料台(サンプルを載置する治具)は、半導体ウェーハの深さ方向や断面方向のCL評価に利用するには、必ずしも適切なものではなかった。
特開2008−249478号公報 特開2010−245165号公報 特開2010−287778号公報 特開平09−105729号公報 特開2002−005857号公報
物理解析であるCL法は、発光特性を利用するため、半導体基板の種類や不純物濃度の影響が極めて大きい。特に、シリコンは間接遷移型材料であるので発光強度が極めて小さく、正確な解析に必要なデータを充分に得ることは難しかった。
この改善にはSEMの電子線によるサンプルのチャージアップ(帯電)対策、CL測定時のサンプル冷却温度管理などを通じて、CLスペクトルのバックグラウンドノイズの低減やCLスペクトルの飽和対策を行うことが重要である。
従来のCL測定装置で用いられるサンプルを載置する治具においても、サンプルのチャージアップ対策がなされている。
特許文献1には、試料台(サンプル載置用治具)の材質として電子線によるサンプルのチャージアップを防ぐため銅やアルミニウムなどが望ましいことや、試料台はx−y−z軸方向に微調整ができることが好ましいことが記載されている。また、特許文献5には、前述のようにカーボンペーストや銀ペーストなどの導電性樹脂を用いて試料を固定板に接着することにより、チャージアップを防止することが記載されている。
図5は、CL測定装置で用いられるサンプルを載置する従来のカソードルミネッセンス測定用治具(以下では従来の治具と言うことがある)の一例を示す、(a)断面概略図、及び(b)上面概略図である。
従来の治具では、小さく割ったシリコンサンプル14の測定断面を上にして、背面(裏面)をカーボンペーストなどの導電性樹脂15でカソードルミネッセンス測定用治具100の壁面に固定する。サンプル表面部で発生した吸収電子流は、導電性が低いシリコンサンプル14の表面から背面へ伝わり導電性樹脂15を通過して、カソードルミネッセンス測定用治具100の壁面(裏面電極)に到達する。このため吸収電子流が小さくなりやすい。
そして、SEMの電子線によって発生した熱も、同様のプロセスで取り除かれる。特にカーボンペーストなどの導電性樹脂は厚みがあり、接着時にペーストに含まれていた溶剤が抜けるときの影響で密着性が劣る。このため熱伝導性が劣化しやすい。
さらに、カーボンペーストなどの導電性樹脂は、ペーストの厚みの影響で鉛直方向に位置精度良くサンプルを接着することが難しい。接着作業が難しく、乾燥までに時間がかかるので、やり直しが大変であるなどの課題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、CL法においてサンプルとサンプルを載置する治具の間の導電性や熱伝導性を向上させ、サンプルに照射する電子線の加速電圧を高くすることにより、より深い位置のCLを測定し、CL測定の感度を向上させることができるカソードルミネッセンス測定用治具と、カソードルミネッセンスの測定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、試料に電子線を照射し該試料から発生する発光を測定するカソードルミネッセンス測定装置に用いられる前記試料を載置するカソードルミネッセンス測定用治具であって、
溝部が形成された導電性の治具本体と、
前記溝部の一方の溝壁に背面を接着されたサンプルを、前記溝部の他方の溝壁に螺合され該溝壁から前記サンプルの表面に接触して前記治具本体に固定する導電性のねじと、
を有することを特徴とするカソードルミネッセンス測定用治具を提供する。
このように、サンプルの表面に導電性のねじを接触させて治具本体にサンプルを固定することにより、サンプル表面部で発生した吸収電子流を瞬時に取り除くことができ、また電子線照射によって発生した熱も効果的に除去できる。これにより、電子線によるサンプルのチャージアップ防止や安定したサンプルの冷却が可能になり、サンプルに照射する電子線の加速電圧を高くすることにより、より深い位置のCLを測定し、CL測定の感度を向上させることができる。
さらに、上記目的を達成するために、本発明では、試料に電子線を照射し該試料から発生する発光を測定するカソードルミネッセンスの測定方法であって、
サンプルを載置する導電性の治具本体に形成された溝部の一方の溝壁に、前記サンプルの背面を導電性接着剤により接着し、前記溝部の他方の溝壁に螺合された導電性のねじを該溝壁から前記サンプルの表面に接触させて前記サンプルを前記治具本体に固定してカソードルミネッセンスを測定することを特徴とするカソードルミネッセンスの測定方法を提供する。
このように、サンプルの表面に導電性のねじを接触させて治具本体にサンプルを固定してカソードルミネッセンスを測定することにより、電子線によるサンプルのチャージアップ防止や安定したサンプルの冷却が可能になり、サンプルに照射する電子線の加速電圧を高くすることにより、より深い位置のCLを測定し、CL測定の感度を向上させることができる。
このとき、前記導電性接着剤として、導電性シリコーングリースを用いることが好ましい。
このように導電性接着剤として導電性を有するシリコーングリースを用いれば、溝壁との密着性が良いため熱伝導性が向上し、また薄く塗ることができるので鉛直方向に位置精度良くサンプルを接着することができ、さらにサンプルを冷却することでシリコーングリースが凝固し完全に接着するため室温では何回も貼り直すことができる。
以上のように、本発明によれば、サンプルの表面に導電性のねじを接触させて治具本体にサンプルを固定することにより、電子線によるサンプルのチャージアップ防止やCL測定時のサンプルの冷却温度安定性の改善を実現することができ、サンプルに照射する電子線の加速電圧を高くすることにより、より深い位置のCLを測定し、CL測定の感度を向上させることができる。そして、半導体ウェーハの評価に本発明のCLの測定方法を適用することで、ウェーハのミクロ領域の不純物濃度やデバイス活性領域の点欠陥を精度良く評価することができる。さらに、表面ミクロ領域ばかりでなく、ウェーハ深さ方向の不純物濃度や点欠陥を精密に評価することができる。
本発明のカソードルミネッセンス測定用治具の一例を示す、(a)断面概略図、及び(b)上面概略図である。 カソードルミネッセンス法による測定の原理図である。 カソードルミネッセンスのスペクトルを示す図である。 図3の部分拡大図であり、カソードルミネッセンスのスペクトルの一部を示す図である。 従来のカソードルミネッセンス測定用治具の一例を示す、(a)断面概略図、及び(b)上面概略図である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
上記のように、CLの測定において、電子線によるサンプルのチャージアップ防止や安定したサンプルの冷却が可能になるサンプル載置用の治具が求められている。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、試料に電子線を照射し該試料から発生する発光を測定するカソードルミネッセンス測定装置に用いられる前記試料を載置するカソードルミネッセンス測定用治具であって、
溝部が形成された導電性の治具本体と、
前記溝部の一方の溝壁に背面を接着されたサンプルを、前記溝部の他方の溝壁に螺合され該溝壁から前記サンプルの表面に接触して前記治具本体に固定する導電性のねじと、
を有することを特徴とするカソードルミネッセンス測定用治具が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
以下、本発明について、実施態様の一例として、図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
SEMの電子線によるサンプルのチャージアップの現象は、以下のように考えられる。
サンプル表面の電子ビーム照射領域では、入ってくる電子流(主にプローブ電流)Iinと、出ていく電子流Iout(Iout=反射電子流+二次電子流+吸収電子流)のチャージバランスをとる必要がある。
シリコン半導体など導電性が比較的低いサンプルの場合には吸収電子流が小さくなり、チャージアップが起こりやすい。そこで、吸収電子流をできるだけ瞬時に取り除くことが求められている。
また、物理解析であるCL法は、発光特性を利用するため、シリコン格子振動の影響が極めて大きい。この格子振動の対策として、シリコン基板を77K以下、好ましくは30K以下に冷却することで、発光波長がブロードにならないため、より強いCL発光を得ることができる。そこで、CL測定でSEMの電子線によって発生した熱も、できるだけ迅速に取り除くことが求められている。
本発明のカソードルミネッセンス測定用治具について図1を用いて説明する。図1は本発明のカソードルミネッセンス測定用治具(以下では本発明の治具と言うことがある)の一例の(a)断面概略図、及び(b)上面概略図である。
図1に示した本発明の治具10は、半導体ウェーハ断面のカソードルミネッセンス測定用治具である。本発明の治具10は、導電性の治具本体2と導電性のねじ3により構成される。治具本体2には、2つの溝部6が形成されている。ウェーハを小さく割ったサンプル4の測定断面を上にして、サンプル4の背面(裏面)に導電性シリコーングリースなどの導電性接着剤5を塗り、治具本体2に形成された溝部6の一方の溝壁に仮接着させる。ここで、一方の溝壁とは、図1において治具本体2の中心側の溝壁である。そして、溝部6の他方の溝壁(治具本体2の溝部の外側の溝壁)に螺合された導電性のねじ3をその溝壁からサンプル4の表面に接触させて、サンプル4を治具本体2に固定する。図1では、2本の導電性のねじ3でサンプル4を固定する例を示しているが、サンプルの固定に用いる導電性のねじの数は、1本でも、3本以上でもよい。
また、図1では治具本体に2つの溝部6が形成されたカソードルミネッセンス測定用治具を例示したが、治具本体に形成される溝部はひとつでも、3つ以上でもよい。
導電性シリコーングリースは薄く塗ることができるので、サンプル4を鉛直方向に位置精度良く接着することができ、かつ治具本体2との密着性が良いので熱伝導能力が高い。また、冷却することで完全に接着するので、室温ではサンプルを何回も貼り直すことが可能である。従って、その作業に熟練していなくても精度の良いサンプルの接着が可能である。
導電性のネジ3は表面電極として機能する。すなわち、サンプル4の表面部で発生した吸収電子流を、導電性のねじを経由して瞬時に取り除くことができる。また、発生した熱の除去にも効果的である。
導電性のねじ3は、ねじとしての強度は求められていないので、銅、アルミ、真鍮など導電性を重視した材質が好ましい。しかし、CL測定では冷却したサンプルの取り出し時に結露しやすいので、鉄などさびやすい材質は避けた方が良い。
次に、前述の本発明のカソードルミネッセンス測定用治具を用いたカソードルミネッセンスの測定方法について図1を参照して説明する。
本発明のカソードルミネッセンスの測定方法では、導電性の治具本体2に形成された溝部6の一方の溝壁(治具本体2の溝部の中心側の溝壁)に、サンプル4の背面を導電性シリコーングリースなどの導電性接着剤5により接着する。そして、溝部6の他方の溝壁(治具本体2の溝部の外側の溝壁)に螺号された導電性のねじ3をその溝壁からサンプル4の表面に接触させて、サンプル4を治具本体2に固定する。その後、カソードルミネッセンス測定装置により、サンプル4の測定箇所に電子線を照射し、カソードルミネッセンスの測定を行う。
このように、本発明のカソードルミネッセンス測定用治具とそのカソードルミネッセンス測定用治具を用いたカソードルミネッセンスの測定方法により、SEMの電子線によるサンプルのチャージアップ(帯電)防止及びCL測定時のサンプル冷却温度安定性の改善が達成される。それらのことにより、以下で示すように、CLスペクトルのバックグラウンドノイズを低下させることやCLスペクトルの飽和対策を行うことができ、S/N比が高いCL測定が可能となる。従って、CL測定の感度を向上させることができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明のカソードルミネッセンスの測定方法によって評価できる半導体基板としては、特に限定されず、シリコン基板の場合には、研磨済ウェーハ(Polished Wafer)、エピタキシャルウェーハ、またはSOIウェーハ等を評価することができる。
(実施例)
図1に示した本発明のカソードルミネッセンス測定用治具を用いて、サンプルであるシリコンウェーハのCLの測定を行った。使用したカソードルミネッセンス測定装置の構成と測定に係る装置の条件を以下に示す。
CL分光装置: Gatan社製(OXFORD) MONO−CL4
SEM: 日立ハイテクノロジーズ社製 SU−70
治具冷却温度: 30K
倍率: 1000倍
測定対象のウェーハとして、CZシリコンウェーハで、直径は300mm、導電型はP型、結晶方位は[100]、厚さは0.775mmの研磨済ウェーハを準備した。尚、ウェーハをP型にするためのドーパントとしてボロンを用い、基板抵抗率は10Ω・cm、基板酸素濃度は6.2ppmaのものを用いた。またカソードルミネッセンス測定用治具は、材質が真鍮製、溝幅2.5mm、深さ5mmの治具本体と材質が銅製、規格(サイズ)M2の六角穴付き止めねじを用いた。
この測定対象のウェーハに、電子線を2MV、300kGyの照射条件で照射した。これは、G線と呼ばれるCLスペクトルの検出に必要な前処理である。
このウェーハから、サンプルとして、10mm×5mmの大きさにウェーハを割り出した。そのサンプルの背面に導電性シリコーングリースを塗り、サンプルのへき開面を上向きにして図1に示した本発明のカソードルミネッセンス測定用治具10の治具本体2の溝壁に接着し、サンプル4が接着された溝壁と反対側の溝壁に螺合された導電性のねじ3をサンプルの表面に接触させ、治具本体に固定した。そして、上記のカソードルミネッセンス測定装置10でサンプル4からのCLを測定した。
尚、本発明の治具ではサンプル表面部の電荷を導電性のねじを通してサンプル外へ逃がすことができるようになったため、サンプルのチャージアップが防止され、従来の治具よりも高い加速電圧のSEM電子線をサンプルに照射して測定することが可能になった。従来の治具を用いた場合(後述の比較例)のSEM電子線の加速電圧が15kV(電子線侵入深さ:2.9μm)であるのに対し、本発明の治具を用いた場合はSEM電子線の加速電圧を20kV(電子線侵入深さ:4.8μm)とすることができた。すなわち、サンプルであるシリコンウェーハのより深い位置からのCLを測定することができるようになり、点欠陥や不純物濃度の深さ方向の評価能力を向上させることができた。
このようにして測定されたCLスペクトルを図3及び図4に示す。
図3に本発明の治具を用い、上記条件で測定したCLスペクトルを実線で示した。図3において、横軸はCLスペクトルの波長であり、縦軸はCLスペクトルのカウント値である。また、図4は図3のCLスペクトルの波長1100〜1350nmの範囲を拡大して表示したものである。
図3に示したCLスペクトルでは、以下の3種類の発光線が検出された。
(1)TO線(1130nm付近): TOフォノンが関係したバンド間遷移発光。
(2)G線(1278nm付近):Gセンター、ノンフォノン(NP)線。
高エネルギー粒子線照射により観測される発光線。
格子間Siと置換位置C(炭素)の複合センター(C−Si−C)の可
能性が考えられている。
(3)C線(1571nm付近):Cセンター、ノンフォノン(NP)線。
酸素Oを含む場合に観測される発光線。
格子間Cと格子間Oの複合センター(C−O)の可能性が考えられている。
図3のCLスペクトルのカウント値は、C線>>G線>TO線である。
図4は図3のCLスペクトルの波長1100〜1350nmの範囲の拡大図である。図3と同様に、本発明の治具を用いた場合のCLスペクトルを実線で示している。
CLスペクトルのカウント値は、最小値でも120000cps以上であり、この値はCL測定のバックグラウンドノイズに相当する。実際のCL発光線の強度はこのバックグラウンドノイズを差し引いたものである。
また実施例のサンプルでは1571nm付近のC線の強度が高く、CLスペクトルが飽和しやすい。そこで正しい強度の測定には、飽和しない測定条件の検討が必要である。本発明の治具を用いた場合には、サンプルのチャージアップが防止され、サンプル冷却温度の安定性も改善する。そのため、加速電圧等の測定条件を従来の治具を用いた場合より広い範囲の中から設定できるので、CLスペクトルの飽和対策にも有効である。
実施例においてサンプルとして用いたようなシリコンウェーハにおけるCLスペクトルの解析について記述する。
TO線はシリコンバンド端発光であり、これは材料特有のものである。
G線が非常に高いウェーハで実際のデバイスを作製すると、電気特性に異常が発生することが判明している。しかし、シリコンウェーハでは、含有される酸素の濃度の影響も大きいために、G線/TO線、C線/TO線、G線/C線などの強度比を使って解析を行う。図4に示した本発明の治具を用いた場合のCLスペクトルでは、G線/TO線の強度比は3程度であるが、炭素などで汚染されたシリコンウェーハではG線/TO線の強度比が30〜500程度以上となり、桁数レベルで圧倒的に高くなる。
このような場合は、炭素により表面のみが汚染されているのか、素材の内部まで汚染されているのかの判断が重要である。この時にTO線がノイズレベルしか発光していないと、正確な評価が困難である。
(比較例)
図5に示した従来のカソードルミネッセンス測定用治具を用いて、サンプルであるシリコンウェーハのCLの測定を行った。使用したカソードルミネッセンス測定用治具およびSEM電子線の加速電圧以外は、実施例と同様とした。すなわち、SEM電子線の加速電圧を15kV(電子線侵入深さ:2.9μm)とした以外は実施例のカソードルミネッセンス測定装置、サンプル作製条件、サンプルの前処理、CL測定条件に合わせた。
測定結果のCLスペクトルを、実施例と比較するために図3に破線で示した。図3の部分拡大図である図4にも同様に、比較例のCLスペクトルを破線で示した。
CLスペクトルのバックグラウンドノイズを実施例と比較例で比較すると、実施例の方がバックグラウンドノイズは下がっていた。一方、発光線の強度は実施例の方が強くなっていた。CLスペクトルのTO線のS/N比を比較すると、実施例ではS/N比=0.12で、比較例ではS/N比=0.03であった。このように、本発明のカソードルミネッセンス測定用治具を用いることにより、S/N比が改善し、CL測定の感度を向上させることができ、精度の高いCL測定が可能となった。
この原因は、導電性のねじ(すなわち、表面電極)を備えた本発明のCL測定用治具を用いると、従来の治具を用いた裏面電極だけの場合よりも、吸収電子流が大きいので、SEM電子線の加速電圧を高くすることができるためだと考えられる。加速電圧を高くすることで、サンプルの内部まで電子線が侵入し、サンプル最表面の影響が相対的に低下し、ノイズに隠れていたTO線の発光が強くなったためと推定される。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
2…治具本体、 3…導電性のねじ、 4…サンプル、 5…導電性接着剤、
6…溝部、 10…カソードルミネッセンス測定用治具、 14…サンプル、
15…導電性樹脂、 100…カソードルミネッセンス測定用治具。

Claims (3)

  1. 試料に電子線を照射し該試料から発生する発光を測定するカソードルミネッセンス測定装置に用いられる前記試料を載置するカソードルミネッセンス測定用治具であって、
    溝部が形成された導電性の治具本体と、
    前記溝部の一方の溝壁に背面を接着されたサンプルを、前記溝部の他方の溝壁に螺合され該溝壁から前記サンプルの表面に接触して前記治具本体に固定する導電性のねじと、
    を有することを特徴とするカソードルミネッセンス測定用治具。
  2. 試料に電子線を照射し該試料から発生する発光を測定するカソードルミネッセンスの測定方法であって、
    サンプルを載置する導電性の治具本体に形成された溝部の一方の溝壁に、前記サンプルの背面を導電性接着剤により接着し、前記溝部の他方の溝壁に螺合された導電性のねじを該溝壁から前記サンプルの表面に接触させて前記サンプルを前記治具本体に固定してカソードルミネッセンスを測定することを特徴とするカソードルミネッセンスの測定方法。
  3. 前記導電性接着剤として、導電性シリコーングリースを用いることを特徴とする請求項2に記載のカソードルミネッセンスの測定方法。
JP2015028585A 2015-02-17 2015-02-17 カソードルミネッセンス測定用治具及びカソードルミネッセンスの測定方法 Active JP6369349B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015028585A JP6369349B2 (ja) 2015-02-17 2015-02-17 カソードルミネッセンス測定用治具及びカソードルミネッセンスの測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015028585A JP6369349B2 (ja) 2015-02-17 2015-02-17 カソードルミネッセンス測定用治具及びカソードルミネッセンスの測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016151464A JP2016151464A (ja) 2016-08-22
JP6369349B2 true JP6369349B2 (ja) 2018-08-08

Family

ID=56696331

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015028585A Active JP6369349B2 (ja) 2015-02-17 2015-02-17 カソードルミネッセンス測定用治具及びカソードルミネッセンスの測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6369349B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7026371B2 (ja) * 2017-01-27 2022-02-28 学校法人明治大学 炭素濃度測定方法及び炭素濃度測定装置
CN110208299A (zh) * 2019-05-29 2019-09-06 南京理工大学 一种聚焦离子束双束系统样品台

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5763254U (ja) * 1980-10-01 1982-04-15
JPS57202053A (en) * 1981-06-05 1982-12-10 Oki Electric Ind Co Ltd Sample fixing device for scanning electronic microscope
JPH0712763A (ja) * 1993-06-23 1995-01-17 Fine Ceramics Center 表面分析方法及び表面分析装置
JPH0765768A (ja) * 1993-08-26 1995-03-10 Hitachi Electron Eng Co Ltd 走査型電子顕微鏡の試料チャック機構
JP2002075690A (ja) * 2000-08-24 2002-03-15 Japan Vilene Co Ltd 放電用電極

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016151464A (ja) 2016-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4885740B2 (ja) 超伝導x線検出器およびそれを用いたx線分析装置
JP6075307B2 (ja) シリコン単結晶中の炭素濃度評価方法及び半導体デバイスの製造方法
Rafí et al. Electron, neutron, and proton irradiation effects on SiC radiation detectors
JP6048381B2 (ja) シリコン単結晶中の炭素濃度評価方法、及び、半導体デバイスの製造方法
JP6204036B2 (ja) 酸化物半導体薄膜の評価方法、及び酸化物半導体薄膜の品質管理方法
JP6369349B2 (ja) カソードルミネッセンス測定用治具及びカソードルミネッセンスの測定方法
JP5343721B2 (ja) シリコン基板の評価方法及び半導体デバイスの製造方法
JP5720560B2 (ja) 半導体基板の評価方法
EP2708846B1 (en) Method for determining film thickness of soi layer of soi wafer
Rafí et al. Four-quadrant silicon and silicon carbide photodiodes for beam position monitor applications: electrical characterization and electron irradiation effects
Vyvenko et al. X-ray beam induced current/microprobe x-ray fluorescence: synchrotron radiation based x-ray microprobe techniques for analysis of the recombination activity and chemical nature of metal impurities in silicon
Li et al. Electrical and transient current characterization of edgeless Si detectors diced with different methods
CN111128783A (zh) 一种少数载流子寿命的纵向分布测试系统和方法
Todorovic et al. Correlated micro-photoluminescence and electron microscopy studies of the same individual heterostructured semiconductor nanowires
Snyman et al. Characterization of breakdown phenomena in light emitting silicon n+ p diodes
US10978359B2 (en) SiC substrate evaluation method, SiC epitaxial wafer manufacturing method, and SiC epitaxial wafer
JP2009008396A (ja) 検査装置及び検査方法
Marinelli et al. X-ray beam monitor made by thin-film CVD single-crystal diamond
Seifert et al. Synchrotron-based investigation of iron precipitation in multicrystalline silicon
JP4756374B2 (ja) 半導体内の電子状態測定方法。
Mandal et al. An overview of application of 4H-SiC n-type epitaxial Schottky barrier detector for high resolution nuclear detection
JP2006242664A (ja) 3次元構造物分析システム
Zutter Imaging Electrically-Active Defects in Gallium Arsenide and Cobalt Nanowire Devices
JP6766786B2 (ja) シリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法、及び半導体デバイスの製造方法
Macku et al. Comprehensive study of solar cell structure defects by means of noise and light emission analysis

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171205

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180612

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180625

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6369349

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250