JP6766786B2 - シリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法、及び半導体デバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
特に近年では、半導体デバイスの高性能化に伴い、極微量の炭素濃度を高感度で評価する必要があるため、この問題が顕在化している。
シリコン基板中に置換型炭素(以下、Csと称する)が存在する場合、粒子線照射で生成されたIがCsを弾き出すことにより、格子間炭素(以下、Ciと称する)が生成される。更にCiは、他のCsと反応することでCiCsを形成したり、シリコン基板中に含まれる他の不純物である格子間酸素(以下、Oiと称する)と反応することでCiOiを形成する(例えば、非特許文献4)。また、Cs濃度が低い場合は、Csに消費されなかったI濃度が増加し、I同士がクラスタリングすることにより、Iクラスターが発生しやすくなる。
チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶基板(以下CZシリコン基板と呼ぶ場合がある)に含まれる炭素濃度を評価する方法であって、
予め複数の炭素濃度の異なる試験用の前記シリコン単結晶基板を準備して、該これらのシリコン単結晶基板に粒子線を照射する第1の工程と、
前記粒子線を照射した前記複数の炭素濃度の異なるシリコン単結晶基板において、それぞれ過剰キャリアを注入した後の経過時間に対するキャリア濃度の減衰曲線を測定する第2の工程と、
前記第2の工程により測定された前記複数の異なる炭素濃度毎のシリコン単結晶基板のキャリア濃度の減衰曲線と炭素濃度との相関関係を求める第3の工程と、
該相関関係から評価したいシリコン単結晶基板に粒子線照射し、その後過剰キャリアを注入した後の経過時間に対するキャリア濃度の減衰曲線を測定して該シリコン単結晶基板中の炭素濃度を評価する第4の工程と
を含むことを特徴とするシリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法を提供する。
このように、シリコン単結晶基板に電子線を照射すると、シリコン単結晶基板に含まれる炭素が、電気的に活性化し、キャリアの発生・再結合に影響を及ぼすようにすることができる。また、電子線は、シリコン単結晶基板に対する透過能が高いので、シリコン単結晶基板の厚み方向全体に含まれる炭素を電気的に活性化させることができる。このことにより、評価領域に含まれる、電気的に活性化した炭素の絶対数を多くすることができるので、炭素濃度を高感度で評価できる。
このような照射線量で電子線を照射することで、シリコン単結晶基板中の炭素濃度が極微量である場合でも、キャリアの発生・再結合に影響を及ぼすようにすることができるので、炭素濃度を高感度で評価することができる。照射線量を1×1015/cm2以上にすることで、炭素濃度が低くてもキャリアの発生・再結合に影響を及ぼしにくくなることを防止できる。照射線量の上限は特に問わないが、例えば、1×1016/cm2以下にすることで、照射に時間がかかるために効率的でなくなることを防止できる。
このように、μ−PCD法を用いることにより、過剰キャリア減衰曲線を極めて簡便に速く測定することができる。
シリコン単結晶基板に粒子線を照射した後、過剰キャリア減衰曲線を測定した場合、過剰キャリア減衰曲線は、減衰速度が速い前半部分と減衰速度が遅い後半部分から成り、さらに、減衰速度が遅い後半部分において炭素の影響が大きくなるため、減衰速度が速い前半部分を除いた部分である減衰速度が遅い後半部分を用いることにより高感度で炭素濃度を評価することができる。
前記キャリア濃度の減衰曲線と炭素濃度との相関関係から求めた測定値が、予め定められた判定値以下となるシリコン単結晶基板は、確実に炭素濃度が所望の値以下に低いので、このようなシリコン単結晶基板を用いて半導体デバイスを製造することにより、特性の優れた半導体デバイスを製造することができ、特に、パワーデバイスや撮像素子を製造する場合に好適である。
まず、予め複数の炭素濃度の異なる試験用のチョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶および、評価対象となる、チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶から作製されたシリコン単結晶基板を準備する。このシリコン単結晶基板を準備する方法は、本発明において特に限定されない。例えば、シリコン単結晶の育成工程で混入する炭素を評価したい場合は、該当のシリコン単結晶からウェーハを切断し、切断ダメージを取り除くために化学的エッチング処理を行うことにより準備できる。また、エピタキシャル成長工程で混入する炭素を評価したい場合には、シリコン単結晶基板をエピタキシャル成長炉内でエピタキシャル層を成長させたものを整備することができる。あるいは、エピタキシャル層を成長させずに熱処理だけを施すこともできる。これらの炭素濃度の違いは、予めフォトルミネッセンス法や赤外吸収分光法等の従来法により確認しておくことができる。
具体的には、シリコン単結晶基板に、電子線を照射する。電子線の照射線量は1×1015/cm2以上であることが好ましい。
このように、シリコン基板に電子線を照射することにより、シリコン単結晶基板に含まれる炭素を電気的に活性化させ、キャリアの発生・再結合に影響を及ぼすようにすることができるので、炭素濃度を高感度で評価することができる。照射線量を1×1015/cm2以上にすることで、炭素濃度が低くても、キャリアの発生・再結合に影響を及ぼしにくくなることを防止できる。照射線量の上限は特に問わないが、例えば、1×1016/cm2以下にすることで、照射に時間がかかるために効率的でなくなることを防止できる。
電子線照射時の電子の加速電圧は、格子位置のシリコン原子を格子間位置に弾き出すのに必要な電圧となる約250kV以上であれば良く、上限は特に問わない。
過剰キャリア減衰曲線において、過剰キャリア濃度が低くなった後半部分では、過剰少数キャリア(シリコン基板の導電型がN型の場合は正孔)の減衰が支配的になる。過剰キャリアの減衰は、外力が働いていない場合、過剰な電子と正孔の再結合により進行するので、キャリア再結合中心となる欠陥の濃度が高くなると、過剰キャリアの減衰が促進される。一方、キャリア再結合中心にはならないが、キャリアトラップとなる欠陥が存在すると、キャリアの捕獲と放出を繰り返すことにより、キャリアの再結合が抑制されて、過剰キャリアの減衰が抑制される場合がある。このことから、シリコン単結晶基板の炭素濃度が高くなると、少数キャリアトラップとなる欠陥の濃度が高くなり、過剰少数キャリアの減衰が抑制されることにより、過剰キャリア減衰曲線の後半部分において、炭素の影響が大きくなると考えられる。
具体的には、前記第3の工程で予め取得された過剰キャリア減衰曲線とシリコン単結晶基板中の炭素濃度との相関関係に基づいて、炭素濃度を評価する。
このように、評価したいシリコン基板に粒子線を照射し、その後過剰キャリアを注入した後の経過時間に対するキャリア濃度の減衰曲線を測定し、上記で予め求めたキャリア濃度の減衰曲線と炭素濃度との相関関係を用いることにより、シリコン単結晶基板に含まれる低濃度領域における炭素濃度を、極めて簡便に速く、高感度で評価することができる。
まず、シリコン単結晶から炭素濃度評価用サンプルを作製する。この炭素濃度評価用サンプルを作製する方法は、本発明において特に限定されない。
炭素濃度が約0〜0.04ppmaの範囲で異なる8水準のCZシリコン基板を準備した。準備したシリコン単結晶基板の炭素濃度は、赤外吸収分光法により測定した。その際、準備した8水準のシリコン基板のうち、最も炭素濃度が低いシリコン単結晶基板を参照資料として、すなわち、最も炭素濃度が低いシリコン単結晶基板の炭素濃度をゼロとして、他のシリコン単結晶基板の炭素濃度を測定した。参照試料としたシリコン単結晶基板の実際の炭素濃度は、完全にはゼロではないが、一般的な評価手法では定量が困難なほど極めて低い。
導電型:N型(リンドープ)
抵抗率:49〜71Ω・cm
酸素濃度:3.4〜4.1ppma(JEIDA)
直径:200mm
結晶面方位:(100)
実施例で準備したCZシリコン単結晶基板のうち、炭素濃度が0.01ppmaと0.04ppmaのシリコン単結晶基板に電子線を照射した。このとき、電子線の照射線量は1×1015/cm2とし、電子線の加速電圧は2MVとした。
次に、電子線を照射したシリコン単結晶基板において、低温フォトルミネッセンス(PL)法によりシリコンに由来する発光線(TO線)の強度とCiCs複合体に由来する発光線(G線)の強度を測定し、その強度比(G/TO)を求めた。この低温PL法における測定温度は、一般的に用いられる4.2Kとした。
Claims (10)
- チョクラルスキー法により育成されたシリコン単結晶基板に含まれる炭素濃度を評価する方法であって、
予め複数の炭素濃度の異なる試験用の前記シリコン単結晶基板を準備して、該これらのシリコン単結晶基板に粒子線を照射する第1の工程と、
前記粒子線を照射した前記複数の炭素濃度の異なるシリコン単結晶基板において、それぞれ過剰キャリアを注入した後の経過時間に対するキャリア濃度の減衰曲線を測定する第2の工程と、
前記第2の工程により測定された前記複数の異なる炭素濃度毎のシリコン単結晶基板のキャリア濃度の減衰曲線と炭素濃度との相関関係を求める第3の工程と、
該相関関係から評価したいシリコン単結晶基板に粒子線照射し、その後過剰キャリアを注入した後の経過時間に対するキャリア濃度の減衰曲線を測定して該シリコン単結晶基板中の炭素濃度を評価する第4の工程と
を含むことを特徴とするシリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法。 - 前記第1の工程は、前記粒子線として電子線を照射する工程であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法。
- 前記電子線を照射する工程は、照射線量が1×1015/cm2以上であることを特徴とする請求項2に記載のシリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法。
- 前記第2の工程において、前記減衰曲線を測定する方法としてマイクロ波光導電減衰法を用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法。
- 前記第3の工程において、前記複数の異なる炭素濃度毎のシリコン単結晶基板のキャリア濃度の減衰曲線と炭素濃度との相関関係を求める際に、前半部分は減衰速度が速く、後半部分は減衰速度が遅く表される前記測定したキャリア濃度の減衰曲線のうち、前記減衰速度が速い前記前半部分を除いた部分を用いることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法。
- 前記第3の工程において、前記複数の異なる炭素濃度毎のシリコン単結晶基板のキャリア濃度の減衰曲線と炭素濃度との相関関係を求める際に、それぞれの炭素濃度の該減衰曲線におけるキャリア濃度が任意の割合X1(%)まで減衰するのに要する時間t1(μsec)を用いることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法。
- 前記キャリア濃度の割合X1(%)を、1%以上、10%以下とすることを特徴とする請求項6に記載のシリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法。
- 前記第3の工程において、前記複数の異なる炭素濃度毎のシリコン単結晶基板のキャリア濃度の減衰曲線と炭素濃度との相関関係を求める際に、それぞれの炭素濃度の該減衰曲線における過剰キャリア注入後の任意の経過時間t2(μsec)において残存するキャリア濃度の割合X2(%)を用いることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法。
- 前記任意の経過時間t2(μsec)を、1μsec以上、8μsec以下とすることを特徴とする請求項8に記載のシリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法。
- 半導体デバイスを製造する方法であって、予め請求項1ないし請求項9のいずれか一項の炭素濃度評価方法により、前記複数の異なる炭素濃度毎のシリコン単結晶基板のキャリア濃度の減衰曲線と炭素濃度との相関関係を求めておき、該相関関係に基づき、前記半導体デバイスを製造するシリコン単結晶基板に電子線を1×1015/cm2以上の照射線量で照射した後、前記相関関係から求めた測定値が、予め定められた判定値以下となる前記シリコン単結晶基板を用いて、半導体デバイスを製造することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
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