JP6369115B2 - 透明電極、及び、電子デバイス - Google Patents
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Description
このように、透明電極においては、十分な導電性と光透過性との両立を図ることは困難であった。
1.第1実施形態:3層構造の透明電極
2.第2実施形態:下地層を設けた4層構造の透明電極
3.第3実施形態:光学調整層を設けた5層構造の透明電極
4.第4実施形態:透明電極の用途
5.第5実施形態:電子デバイス(有機EL素子)
6.第6実施形態:電子デバイス(有機EL素子)の用途
図1は、本発明の第1の実施形態に係る透明電極(3層構造)の構成を示す断面模式図である。この図に示すように、透明電極10は、透明基板11と、銀を主成分とする導電性層2と、透明基板11と導電性層2との間に設けられたフッ化カリウム層1を積層した3層構造である。すなわち、例えば透明基板11の上部に、フッ化カリウム層1、導電性層2の順に設けられている。このうち、透明電極10における電極部分を構成する導電性層2は、銀(Ag)を主成分として構成された層である。
透明基板11は、例えばガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができるが、これらに限定されない。
フッ化カリウム層1は、フッ化カリウムを用いて構成され、透明基板11と導電性層2との間に設けられた層である。このようなフッ化カリウム層1は、後述する実施例にも示されるように導電性層2の膜質を良好にするための層であって、導電性層2の下地として隣接して配置されているところが特徴的である。
尚、フッ化カリウム層1の平均厚みは、形成速度及び形成時間により調整する。
導電性層2は、銀を主成分として構成された層であって、銀または銀を主成分とした合金を用いて構成され、透明基板11の一主面上にフッ化カリウム層1を介して設けられた層である。
以上のように構成された透明電極10は、透明基板11と導電性層2との間にフッ化カリウム層1を有する構成である。これにより、透明電極10は、後述する実施例に示されるように面抵抗が低くなると共に、透過率の向上が図られたものとなる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る透明電極(4層構造)の構成を示す断面模式図である。この図に示す透明電極20が、先の図1を用いて説明した透明電極10と異なるところは、透明基板11とフッ化カリウム層1との間に、下地層(光学調整層)を設けて4層構造としたところにあり、他の構成は同一である。このため、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
下地層21は、透明基板11とフッ化カリウム層1との間に設けられた層である。このような下地層21は、後述する実施例にも示されるように透明電極20の導電性及び光透過性を向上させるための層であって、フッ化カリウム層1の下地として隣接して配置されているところが特徴的である。
中でも、導電性層2の反射率や透過率等の光学特性を調整し、透明電極20の光透過性を向上できる観点から、下地層21は光学調整層であることが好ましい。
光学調整層は、導電性層2の反射率や透過率等の光学特性を調整するための層である。このような光学調整層は、透明基板11よりも屈折率の高い層(高屈折率層)であることが好ましい。
尚、光学調整層が、高屈折率層と低屈折率層とで構成されている場合には、透明基板11上に高屈折率層と低屈折率層とがこの順に積層された構成とする。
以上のような光学調整層が透明基板11上に成膜されたものである場合、その成膜方法としては、蒸着法(抵抗加熱、EB法など)またはスパッタ法が挙げられる。特に、EB蒸着であれば、イオンアシストを用いた方法が好適である。このような光学調整層の成膜方法は、これを構成する材料によって適切な方法が選択されることとする。例えば、酸化亜鉛(ZnO)または酸化チタン(TiO2)を用いた光学調整層の成膜であれば蒸着法が適用される。また酸化インジウム(In2O3)、酸化インジウムスズ(ITO)、または酸化ニオブ(Nb2O5)を用いた光学調整層の成膜であればスパッタ法が適用される。
下地層21は、例えば導電性層2の平滑性を高めるための平滑層であってもよい。また、下地層21は、導電性層2を構成する銀原子と相互作用し、安定的に結合するような化合物で構成された層であってもよく、例えば窒素を含有する窒素含有化合物が用いられる。フッ化カリウム層1の下地にこのような層を設けることにより、導電性層2の平滑性や、フッ化カリウム層との相乗効果により膜質を良好にすることが可能となる。
以上のように構成された透明電極20は、図1に示す透明電極10における透明基板11とフッ化カリウム層1との間に、下地層(光学調整層)21を設けて4層構造とした構成である。これにより、透明電極20は、第1実施形態の効果に加えてさらに導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ることが可能となり信頼性が図られたものとなる。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る透明電極(5層構造)の構成を示す断面模式図である。この図に示す透明電極30が、先の図2を用いて説明した透明電極20と異なるところは、導電性層のフッ化カリウム層が設けられた側とは逆側の面に光学調整層を設けて5層構造としたところにあり、他の構成は同一である。このため、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
光学調整層31は、先の図2に示した4層構造の透明電極20に用いた下地層21における光学調整層と同様のものであって良い。すなわち、光学調整層31は、高屈折率又は低屈折率の層で構成することにより光透過性(光学アドミッタンス)を調整する層である。尚、光学調整層31が、高屈折率層と低屈折率層とで構成されている場合には、導電性層2上に高屈折率層と低屈折率層とがこの順に積層された構成とする。
すなわち、光学調整層31の厚さ程度では、光学調整層31の厚さ方向の抵抗が非常に小さく、また、導電性層2の導電性が非常に高いため、透明電極30の厚さ方向の導電性はその影響を受けない。
たが、図1に示す透明電極10と組み合わせても良い。
以上のように構成された透明電極30は、図2に示す透明電極20における導電性層2のフッ化カリウム層1が設けられた側とは逆側の面に光学調整層31を設けて5層構造とした構成である。これにより、透明電極30は、第2実施形態の効果に加えてさらに光透過性の向上を図ることが可能となる。
上述した第1〜3実施形態の透明電極は、各種電子デバイスに用いることができる。電子デバイスの例としては、有機EL素子、LED(light Emitting Diode)、液晶素子、太陽電池、タッチパネル等が挙げられる。そして、これらの電子デバイスの電極部材として光透過性が必要とされる場合には、第1〜3実施形態の透明電極を好ましく用いることができる。
<有機EL素子の構成>
図4は、本発明の電子デバイスの一例として、上述した透明電極10を用いた有機EL素子の一構成例を示す断面構成図である。以下にこの図に基づいて有機EL素子40の構成を説明する。
透明電極は、先に説明した本発明の透明電極10であり、有機EL素子40の陽極又は陰極を構成する電極であって、発光機能層3で生じた発光光hの取り出す側に設けられた電極である。この透明電極10は、透明基板11の上部に、フッ化カリウム層1、導電性層2がこの順に設けられた構成である。ここでは特に、導電性層2を構成する層が実質的な電極となる。
発光機能層3は、少なくとも有機材料で構成された発光層3aを含む層である。このよう発光機能層3の全体的な層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であって良い。このような発光機能層3は、一例として、透明電極10および対向電極5のうち陽極として用いられる電極側から順に[正孔注入層/正孔輸送層/発光層3a/電子輸送層/電子注入層]を積層した構成が例示されるが、発光層3a以外の層は必要に応じて設けられることとする。
以上のような発光機能層3は、各層を構成する材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、インクジェット法、印刷法等の公知の薄膜形成方法により順次成膜することによって得ることができる。均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法またはスピンコート法が特に好ましい。さらに層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。これらの各層の成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般に化合物を収蔵したボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10-6Pa〜10-2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1μm〜5μmの範囲で、各条件を適宜選択することが望ましい。
対向電極5は、透明電極10との間に発光機能層3を挟持する状態で設けられ、透明電極10が陽極である場合には陰極として用いられ、透明電極10が陰極である場合には陽極として用いられる。この対向電極5は、金属、合金、有機または無機の導電性化合物、およびこれらの混合物のなかから、仕事関数を考慮して適宜に選択された導電性材料を用いて構成される。具体的には、金、アルミニウム、銀、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属、ITO、ZnO、TiO2、SnO2等の酸化物半導体などが挙げられる。
nmの範囲で透過性または反射性を考慮して選ばれる。
以上のような対向電極5は、選択された導電性材料を蒸着やスパッタリング等の方法により成膜される。
封止材は、有機EL素子40を覆うものであって、光透過性を有していてもいなくても良い。ただし、この有機EL素子40が、対向電極5側からも発光光hを取り出すものである場合、封止材としては、光透過性を有する透明封止材が用いられる。このような封止材は、板状(フィルム状)の封止部材であって接着剤によって透明基板11側に固定されるものであっても良く、封止膜であっても良い。
ここでの図示は省略したが、透明基板11との間に有機EL素子40および封止材を挟んで保護部材を設けても良い。この保護部材は、有機EL素子40を機械的に保護するためのものであり、特に封止材が封止膜である場合には、有機EL素子40に対する機械的な保護が十分ではないため、このような保護部材を設けることが好ましい。
以上のような有機EL素子40の作製は、次のように行う。
以上のように構成された有機EL素子40は、導電性と光透過性とを兼ね備えた透明電極10を発光光hの取り出す側の電極として用い、透明電極10のフッ化カリウム層1との間に導電性層2を挟持する位置に設けられた発光機能層3と、透明電極10との間に発光機能層3を挟持する状態で設けられた対向電極5とを備えた構成である。
これにより、有機EL素子40は、後述する実施例に示されるように所定輝度を得るための駆動電圧の低減により、寿命の向上が図られたものとなる。したがって、素子の性能の向上が図られたものとなる。
そして特に、透明電極20、又は透明電極30の下地層21を光学調整層で形成した場合には、導電性層2の反射率や透過率等の光学特性を調整することが可能となり、金属材料本来の吸収を低減することができる。したがって、このような光学調整層を有する透明電極を用いた場合には、有機EL素子は、上記効果に加えてさらに駆動電圧を抑制できることにより、寿命の向上が図られ、そして特に色度の視野角特性の向上が図られたものとなる。したがって、素子の性能の向上がさらに図られたものとなる。
図4に示す有機EL素子40は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源などの電子デバイスとして適用することができる。発光光源としては、例えば、家庭用照明や車内照明などの照明装置、時計や液晶用のバックライト、看板広告用照明、信号機の光源、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これに限定するものではない。特にカラーフィルターと組み合わせた液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
以降の表1に構成を示すように、試料101〜136の各透明電極を、導電性領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。
以下のようにして、ガラス製の透明基板上に、膜厚10nmで銀(Ag)からなる導電性層を透明電極として形成した。
透明基板をポリエチレンテレフタレート(PET)製の基板で形成したこと以外は、上記試料101と同様の手順で試料102の透明電極を作製した。
透明基板をポリエチレンナフタレート(PEN)製の基板で形成したこと以外は、上記試料101と同様の手順で試料103の透明電極を作製した。
以下のようにして、導電性層を形成する前に酸化チタン(TiO2)で構成された下地層を形成したこと以外は、上記試料101と同様の手順で、試料104の透明電極を作製した。
以下のようにして、導電性層を形成する前に酸化ニオブ(Nb2O5)で構成された下地層を形成したこと以外は、上記試料101と同様の手順で、試料105の透明電極を作製した。
下地層を下記表1に示す各化合物で形成したこと以外は、上記試料105と同様の手順で試料106〜110の透明電極を作製した。
以下のようにして、導電性層を形成する前に下記表1に示す各化合物で構成された下地層を形成したこと以外は、上記試料101と同様の手順で、試料111、112の透明電極を作製した。
以下のようにして、導電性層を形成する前にフッ化リチウム(LiF)で構成されたフッ化リチウム層(塩)を形成したこと以外は、上記試料112の透明電極と同様の手順で、試料113の透明電極を作製した。
以下のようにして、導電性層を形成する前にフッ化リチウム(LiF)で構成されたフッ化リチウム層(塩)を形成したこと以外は、上記試料101の透明電極と同様の手順で、試料114の透明電極を作製した。
透明基板を下記表1に示す材料で形成した以外は、上記試料114と同様の手順で試料115、116の透明電極を作製した。
塩をフッ化カリウム(KF)で構成されたフッ化カリウム層(塩)で形成したこと以外は、上記試料114〜116と同様の手順で試料117〜119の透明電極を作製した。
フッ化カリウム層(塩)を形成する前に下記表1に示すそれぞれの化合物で構成された下地層を形成したこと以外は、上記試料117と同様の手順で、試料120〜126の透明電極を作製した。尚、各化合物で構成された下地層は、上記試料104〜110と同様の手順を用いて作製した。
フッ化カリウム層(塩)を形成する前に下記表1に示すそれぞれの化合物で構成された下地層を形成したこと以外は、上記試料117と同様の手順で、試料127、128の透明電極を作製した。尚、各化合物で構成された下地層は、上記試料111、112と同様の手順を用いて作製した。
以下のようにして、導電性層を銀パラジウム(AgPd)で形成したこと以外は、上記試料121と同様の手順で、試料129の透明電極を作製した。
導電性層を下記表1に示すそれぞれの化合物で形成したこと以外は、上記試料129と同様の手順で、試料130、131の透明電極を作製した。
フッ化カリウム層(塩)を下記表1に示すそれぞれの膜厚で形成したこと以外は、上記試料121と同様の手順で、試料132〜135の透明電極を作製した。
導電性層を形成した後に、酸化ニオブ(Nb2O5)で構成された光学調整層を形成したこと以外は、上記試料121と同様の手順で、試料136の透明電極を作製した。尚、酸化ニオブ(Nb2O5)で構成された光学調整層は、上記試料105の下地層と同様の手順を用いて作製した。
上記で作製した試料101〜136の各透明電極について、(1)波長550nmの光に対する光透過率、および(2)面抵抗を測定した。
(2)面抵抗の測定は、抵抗率計(三菱化学社製MCP−T610)を用い、4端子4探針法定電流印加方式で行った。
表1から明らかなように、試料117〜136の各透明電極、すなわち透明基板と導電性層との間にフッ化カリウム層を有する構成の透明電極は、光透過率が60%以上であるにもかかわらず、面抵抗値も19Ω/sq.未満であり、導電性の向上と光透過性の向上との両立を図ると共に、信頼性の向上が図られた透明電極であることが確認された。
これは、層構成が同様で透明基板と導電性層との間の層のみ異なる試料104〜113と、試料120〜128との各透明電極の評価結果の比較からも確認された。
試料201〜235のボトムエミッション型の各有機EL素子を、発光領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。図10及び下記表2を参照し、作製手順を説明する。尚、下記表2には、試料201〜235の有機EL素子に用いた透明電極の構成を示した。
先ず、試料201〜235において、まず、上記表1に示した構成の各透明電極を形成した。各構造の透明電極の形成手順は、実施例1で対応する構造の透明電極の作製と同様におこなった。
(正孔輸送・注入層51)
正孔輸送注入材料として先に構造式を示した有機材料A(α−NPD)が入った加熱ボートに通電して加熱し、α−NPDよりなる正孔注入層と正孔輸送層とを兼ねた正孔輸送・注入層51を、透明電極10上に成膜した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚20nmとした。
次に、下記構造式に示すホスト材料H4の入った加熱ボートと、下記構造式に示す燐光発光性化合物Ir−4の入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、ホスト材料H4と燐光発光性化合物Ir−4とよりなる発光層52を、正孔輸送・注入層51上に成膜した。この際、蒸着速度がホスト材料H4:燐光発光性化合物Ir−4=100:6となるように、加熱ボートの通電を調節した。また、発光層52の膜厚は、30nmとした。
次いで、正孔阻止材料として下記構造式に示すBAlqが入った加熱ボートに通電して加熱し、BAlqよりなる正孔阻止層53を、発光層52上に成膜した。この際、蒸着速度0.1nm/秒〜0.2nm/秒、膜厚10nmとした。
その後、電子輸送・注入材料として、先に構造式を示した有機材料Bの入った加熱ボートと、フッ化カリウムの入った加熱ボートとを、それぞれ独立に通電し、有機材料Bとフッ化カリウムとで構成された電子注入層と電子輸送層とを兼ねた電子輸送・注入層54を、正孔阻止層53上に成膜した。この際、蒸着速度が有機材料B:フッ化カリウム=75:25になるように、加熱ボートの通電を調節した。また膜厚30nmとした。
次いで、発光機能層3が形成された透明基板11を、真空蒸着装置の真空槽内に移送し、真空槽内を4×10-4Paまで減圧した後、真空槽内に取り付けられたアルミニウムの入った加熱ボートを通電して加熱した。これにより、蒸着速度0.3nm/秒で膜厚100nmのアルミニウムからなる対向電極5を形成した。この対向電極5は、陰極として用いられる。
その後、有機EL素子50を、厚さ300μmのガラス基板からなる封止材(図示を省略する)で覆い、有機EL素子50を囲む状態で、封止材と透明基板11との間に接着剤(シール材)を充填した。接着剤としては、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を用いた。封止材と透明基板11との間に充填した接着剤に対して、ガラス基板からなる封止材側からUV光を照射し、接着剤を硬化させて有機EL素子50を封止した。
試料201〜235で作製した有機EL素子50について、(1)駆動電圧(V)、および(2)色度差(Δxy)を測定した。この結果を下記表2に合わせて示す。
(2)色変化の測定は、各試料201〜235の有機EL素子50に2.5mA/cm2の電流を加え、角度の異なる位置からCIE1931表色系における色度を測定した。この際、透明基板11側の発光面に対する法線方向となる0°の位置と、垂直水平(上下左右)方向にそれぞれ45°の各位置とで色度を測定した。角度の異なる位置において測定した色度の差を、色変化(Δxy)として下記表2に示した。色変化は、色度の視野角特性を表し、数値が小さいほど好ましい結果となる。
表2から明らかなように、透明基板と導電性層との間にフッ化カリウム層を有する構成の透明電極を備える試料217〜235の有機EL素子は、これを有しない試料201〜216の有機EL素子と比較して、駆動電圧、及び、色変化において良好な結果が得られた。したがって、本発明の構成の有機EL素子は、駆動電圧の向上と色度の視野角特性の向上と共に、性能の向上が図られたものであることが確認された。
Claims (6)
- 透明基板と、
銀を主成分とする導電性層と、
前記透明基板と前記導電性層との間に設けられたフッ化カリウムからなる層とを有し、
前記フッ化カリウムからなる層の膜厚が0.5〜2nmの範囲である
透明電極。 - 前記フッ化カリウムからなる層と前記導電性層が接している
請求項1に記載の透明電極。 - 前記透明基板と前記フッ化カリウムからなる層との間に、光学調整層を有する
請求項1又は2に記載の透明電極。 - 前記導電性層と前記フッ化カリウムからなる層が光学調整層により挟持されている
請求項1〜3のいずれかに記載の透明電極。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の透明電極を有する
電子デバイス。 - 前記電子デバイスが有機電界発光素子である
請求項5に記載の電子デバイス。
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