JP6368849B2 - 磁場調整支援システムおよび磁場調整方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医療診断用に用いる核磁気共鳴断層写真装置(MRI)などのように、コイルや鉄などの磁性体等を配置して磁場を発生する磁石装置において、所望の磁場強度の分布に磁場を調整するシステムおよび磁場調整方法を提供する。
核磁気共鳴を利用した診断では、磁場強度と診断箇所が対応しているので、マグネットシステムが発生する磁場強度に要求される精度は磁場強度の百万分の1程度の変動が問題にされる精度である。MRI装置における磁場には大別して3種類がある。それらは静磁場、傾斜磁場、高周波磁場であり、詳細には、
(1) 時間的に定常で空間的にも一定な磁場(静磁場)。通常0.1から数テスラ以上の強さである。撮像を行う空間(通常直径で30-40cmの球もしくは楕円体の空間)内で数ppm程度の変動範囲である。
(2) 1秒程度以下の時定数で変化して、空間的に傾斜した磁場(傾斜磁場)
(3) 核磁気共鳴に対応した周波数(数MHz以上)の高周波の電磁波によるもの(高周波磁場)である。
本発明は主に(1)の静磁場に関連するものであるが、磁気共鳴画像装置においては、特に人体の断層撮影を行う領域において、この磁場の磁場強度の分布は時間的に一定で、かつ空間的にも極めて高精度な均一性が要求される。
ここで言う高精度とは、たとえば40cm直径の撮像空間FOV(Field of View)で、±1.5ppmのように百万分の1のオーダの残差磁場の精度が要求される。このようにきわめて高精度な均一性が要求される磁場分布を実現するためには、磁石を製作・励磁の後に磁場を精度よく調整する必要がある。
一般に製作誤差による誤差磁場は均一磁場に要求される許容誤差磁場に比べて1000倍以上大きい。したがって製作後の据え付け時に要求される磁場調整(シミング)は、残差磁場(誤差磁場)を数100ppmから数ppmへ低減させる作業となるため、きわめて高精度な磁場調整装置およびその手法が要求される。
従来の手法として特許文献1は、特異値分解を利用して磁気モーメントの配置計算を行い、これに基づいて実施するシミング手法を開示している。ここで述べられている手法は、打ち切り特異値分解と電流ポテンシャルを使って、磁気モーメントまたは鉄片などの分布を計算し、その結果でシミング作業を行うというものである。
従来手法によるシミングを実施する際の機構(シミング機構)を、図2の左側に示す。該図において、磁場は紙面において上下方向に走っており、想定している磁気共鳴画像装置は垂直磁場型(開放型)のMRI装置である。
上下の円面は鉄片や磁石片等の磁性体(シム片)を配置するシムトレイで、ここに配置するシム片で、中心部に回転楕円で書いた関心領域(VOI; Volume Of Interestであるが、ここでは、FOVを含む磁場シミングの対象とする領域)の磁場分布を平坦化(シミング)する。つまり特許文献1は、求めた電流分布を磁気モーメントの分布に換算し、その上で、鉄量や磁石または小コイルに換算してシミングする方法が書かれている。
特許文献1における計算方法について概要は次のとおりとなる。
まず、磁気を計測するセンサ(磁気センサ)を用いてVOI上における磁気を計測して目標誤差との差分(誤差磁場)を求める。次に取得した誤差磁場を打ち消すような磁場の分布をシムトレイ上のシム片からVOI域の多数(数百点程度)の磁場評価点への応答行列を特異値分解によって取得する。そして、取得した固有モード(シムトレイ上のシム片分布とVOI磁場分布、のそれぞれの固有分布関数、およびその間の関係を示す特異値からなる)群を用いて磁場調整(シミング)を行っている。図2のうち右側に提示する図は、VOIの目標磁場強度からの誤差磁場成分を、固有モードの重ね合わせで表したときの強度に分解し、特異値の大きさの順に並べ、グラフ化したものである。固有モード群のうち、低次(特異値の小さい)固有モードで誤差磁場が発生されていることが解る。特許文献1では、図2の右図の丸で囲った強度の大きな固有モードを選択し、磁場調整で調整した。
また、非特許文献1は、プラズマを所定空間内に維持するために、閉曲面からなる電流面を仮定し、この閉曲面に囲まれた内部にプラズマが閉じ込められる場合において、プラズマ表面の磁場を再現するような電流分布を決める方法が書かれている。非特許文献1では、曲面を三角要素の集合として曲面を表し、この曲面上に与えられた磁場分布を再現するような電流分布を求める方法が記載されている。曲面を三角要素の集合体として捉える考え方は、特許文献1にも共通する。
特許第4902787号公報 特許第4921935号公報
M. ABE, T. NAKAYAMA, S. OKAMURA, K. MATSUOKA , "A new technique to optimize coil winding path for the arbitrarily distributed magnetic field and application to a helical confinement system", Phys. Plasmas. Vol.10, No.4, (2003)1022. M. Abe, K. Shibata, "Consideration on Current and Coil Block Placements with Good Homogeneity for MRI Magnets using Truncated SVD", IEEE Trans. Magn., vol. 49, no. 6, pp. 2873-2880, June. 2013.
しかし、従来のシミング手法では、磁場の計測位置と調整後の磁場の評価位置との関係について検討がなかった。具体的には、計測位置と評価位置とが異なるような場合に従来技術で高精度な磁場調整を行うことは困難であった。本発明はこの課題に着目し、計測位置と評価位置とが異なるような場合においても高精度な磁場調整を可能とするシミング方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するにあたり本発明は様々な実施形態が考えられるが、その一例として、「機械的機構を用いて相互に固定されたセンサ部を有し、多数の磁場計測点の磁場計測を実行可能な磁場計測装置と、前記磁場計測装置によって取得された磁場分布を再現するような磁気モーメントもしくは電流分布を、予め定められた閉曲面上で推定し、前記推定された磁気モーメントもしくは電流分布から前記閉曲面内に存在する任意点の磁場分布を推定し、前記推定された磁場分布に基づき、前記任意点の磁場分布を修正する補正磁場を生じさせるシム磁性体の分布を出力する磁場調整支援部と、を備える磁場調整支援システム。」が挙げられる。
本発明によれば、磁場の計測位置と、調整後の磁場の評価位置が異なるような場合であっても高精度な磁場調整を実施することができる。
本発明で用いる磁場推定計算体系の代表例を示した図。 従来のシミング方法において、左図はシミング計算体系を示す図、右図は固有モード強度とシミングに選択する固有モードを説明する図。 MRI用磁石とMRI装置の全体図。 コイル配置概念図で、磁場強度を示しており、左図はコイル配置と磁場強度の放射状の等高線図、右図上は磁場強度の等高線が主コイル6個の場合を示す図、右図下は主コイルが7個の場合を示す図。なお、磁場等高線は目標磁場に対して±1.5ppmで示した。また左図で左右に走っている線は磁力線である。 主コイル数6個の場合の固有モードに対応して、いずれもそのコイル変形で発生する磁場変化の固有モードと電流分布の関係を示す図。 コイルブロック配置の計算方法の考え方に関する図であり、連続形状を検討する段階で、コイルの矩形断面の辺上に電流を考え、その電流値を推定し、辺位置を変動させて、コイル位置と断面の形状を最適化する概念を示す図。 いずれも、同軸配置のコイルブロックの位置変動と断面の変形で発生する磁場の固有モードを示す図。 水平磁場型MRI装置の代表的なシミング計算体系を示す図で、シムトレイ(小四角形状)と磁場計測面(球面)の配置を示す図。 左図および右図はいずれも、磁気センサと磁場計測治具を説明する図。 計測磁場分布を示す図。 高次成分のみ抽出した場合の計測位置での磁場分布の図。 周回方向一様な固有モード番号と、計測磁場の固有モード強度および磁場推定計算の残差PP値との関係を示す図。 本発明による方法で高次固有モード成分で磁場再構成を行った磁場分布の図であり、左図は周回方向一様な固有モード成分で7番目以上、右図は8番目以上の成分で再考した図。 高次固有モードで、磁場計測中心を移動させた場合の磁場計算で、得られた磁場分布から残差磁場のPP値を移動量の関数で示した図。 半径25cm球面で計測した磁場を元に、本発明の磁場推定計算手法で半径20cm位置の磁場分布を計算した場合の磁場分布の一例を示す図。 本発明を適用した磁場シミング工程を示すフローチャート。 本発明の実施形態に係るシミングシステムの概要図。
(実施形態の説明)
実施形態の説明に入る前に、特許文献1についてもう少し説明を加える。特許文献1では、磁場の計測位置を磁場評価点とし、計測位置での磁場をシミングするように、鉄片などの磁気モーメントを配置している。このようにしてシミングを実行すると、磁場の均一性は磁場評価点位置付近で良い結果を示す。
例えば、磁場評価点を図2の左図のように、球体または回転楕円体(半月または半楕円面を磁力線に平行な中心軸の周りに回転させて形成される)の表面上に配置する場合を考える。なお、図2は従来のシミング方法において、左図はシミング計算体系を示す図、右図は固有モード強度とシミングに選択する固有モードを説明する図である。この場合、小球領域の表面に磁場評価点を配置し、幾何学的な装置中心部に磁場計測の中心位置を配置すると、磁場の均一度は、装置中心部の狭い領域では良く、一方、その外側の領域ではやや劣化する。また逆に大きな球面上に磁場評価点を採ると、広い球体表面近傍の領域で磁場は均一化されるが、小球領域あたりでは均一度が低くなる。なお、大きな球面とは、例えばMRIでは直径50cm程度であり、小球とは直径20-45cm程度と考えるとよい。
細かい領域毎に磁場が変化する磁場成分(特許文献1で言うところの固有モード番号の大きな固有モード成分)は、大球面で磁場を計測し、シミング時の磁場評価面も大きくした方が望ましい。このように考えると、磁場計測位置とは別に、シミング時の磁場評価位置を決める必要があると言える。
実際のシミングでは、鉄片の物量や配置の誤差などで、1つの磁石に対するシミングでも繰り返しシミング作業を行い、この間に磁場評価面位置を変更する場合もある。つまり、シミング作業の初期(1回目など)では大きめの球面上を磁場評価面とし、その後小さな球面(もしくは回転楕円対面)を磁場評価面とする場合もある。このような場合には特に磁場評価面を磁場計測面とは別に採用する必要がある。
したがって、磁場の計測位置と磁場の評価位置が異なるような場合であっても、磁場の評価位置における均一性を高めるためには、通常数百点計測される磁場に対して、評価位置における磁場を高精度に演算・推定することが一つの解決策として考えられる。
以降、本発明の発明者が検討した計測位置と異なる位置における磁場を推定・計算(内外挿計算)し、シミングを実行できるシミング方法およびシミングシステムについて説明する。
まず、特許文献1では、磁石製造後に撮像に供する前に磁場分布を磁場調整(シミング)し、FOV4付近で均一な磁場分布を得る方法が書かれている。この微調整では、行列の特異値分解、
A=Σuiλivi t (1)
を利用し、その分解で得た比較的低次(大きな特異値)の固有モードからおおよそ100番目の固有モードについて、その補正に必要な磁気モーメント量(受動的シミングでは鉄片量やその他磁性体量に換算)に換算し、シムトレイ3上に配置していた。ここで、vi, ui, λiは、それぞれi番目のCP値分布、磁場分布の固有分布とその換算を表す特異値(T/m)である。
直観的な理解としては、viが配置されるべき磁性体量や磁気モーメントであり、uiがそのviと対応する固有の磁場分布であり、λiはviに対してuiがどのように出力されるかを示し、いわばuiに対するviの増幅率となる。したがって、λiが大きいほど小量の磁性体配置に対して形成される磁場の強度分布は大きく、反対にλiが小さいほど磁性体の配置量に対し生成される磁場の強度の感度は低くなる。このことから効率的(小さいシム磁性体の配置量で磁場強度の均一度を達成する)な磁場調整は、λiが大きな固有モードに着目して実施するとよいことが理解できる。なお、固有モード番号とは、固有値が大きなものから数値を割り振った際に付与される番号である。
ここで、特許文献1は、シミング作業時に配置すべき磁性体量や磁性体を配置すべき位置を、特異値分解によって取得している。
これに対し、本実施形態では、計測された磁場分布を再構成する磁場の固有分布およびその固有分布に対応する電流分布のセット(固有モード)を特異値分解によって取得する。
すなわち、発明者は、実際に計測された磁場分布をその計測位置上において高精度に再現することが、特異値分解によって取得された複数の固有モードを足し合わせることによって可能であることに着目した。計算内容における相違点として、特許文献1は再構成しようとする磁場分布が目標磁場分布と計測磁場分布の差分だが、本実施形態の場合、再構成しようとする磁場分布が計測磁場分布そのものである。
計測磁場分布の再構成計算は、磁場計測後に次の計算を実行することで可能となる。まず計測した磁場分布を正確に再現できるダイポールモーメントの配置を計算する。その後、各ダイポールモーメントによって生じる磁場から、磁場計測点における磁場を再構成するという手順で実施する。
ダイポールモーメントの配置およびその大きさを取得するにあたっては、磁場計測を実施した領域1(計側面1)を内包するような仮想曲面8を設定する。この仮想曲面8は三角要素の集合体として認識できる。三角要素間の節点に仮想的な電流ポテンシャルを配置したモデルを設定することで、特異値分解を実行することが可能である(図1参照)。なお、電流ポテンシャルとは単位面積あたりの磁気モーメントと考えると、両者の関係は理解しやすい。
この特異値分解によって取得される固有モードをできるだけ多数取得する。なぜなら一つの固有モードによる計測磁場の再現性には限界があるため、固有モードが多いほどより計測磁場の再現性の精度を増すことができるためである。なお、より多くの固有モードを取得するには、磁場計測点を増やすとか、より細かな三角要素で仮想曲面8を構成することが有効である。固有モードは、磁場の固有分布とその固有分布に対応する電流分布の組み合わせとして認識される。このため、計測磁場の粒度や磁気モーメントの配置粒度が細かいほど、粒度が粗いときには取得されない固有モードが出現しやすくなり、計測磁場の再現性を増すことができるためである。
本実施形態の計測磁場の再構成について説明を戻すと、特異値分解によって取得された固有モードは、できる限り多数が足し合わされる。その結果、先に述べた三角要素の節点に配置される磁気モーメントの大きさが求められる。得られた磁気モーメントを各節点に配置した後は、空間的に任意の点の磁場強度を高精度に計算することができるため、磁場計測面8の計測値を再現することが可能となる。
なお、磁気センサ(磁場計測機器)の計測は通常、球面上や楕円面上に配置した磁気センサを用いて実行される。そして一般にシミング作業においては、この計側面内の磁場分布を均一化させることが目的となる。
磁場分布の計測位置の中心は、本来は磁石中心である。しかし磁石機器の幾何学的中心で寸法を計測して、その中心に計測機器の中心を一致させても、磁場の中心と一致するとは限らない。特に、シミングすべき磁石機器が超電導磁石の場合は、超電導コイルが極低温領域に存在している。そのため、直接コイルの位置と磁場計測面の位置関係を計測し、把握する事は極めて困難である。
また、MRI装置では、磁場計測機器と均一磁場を発生させる磁石装置との間には、傾斜磁場コイルや高周波アンテナが存在しているため、さらに磁場中心と磁場計測面の位置関係を把握することは難しくなる。
磁場の中心と、磁場計測面の中心が一致してない場合でもシミングは可能である。しかし、現実的に配置できる限られた磁気モーメント(鉄片等)配置量で到達できる均一度は低下する。なお、均一度とは、FOV中での誤差磁場の振幅(peak-to-peak)値を平均磁場強度で割り、ppm単位で表した値である。
ここで、従来は磁石や傾斜磁場の外形に対して計測面の位置を決めていた方法を、改良し、計測中心と磁場中心を一致させることで到達均一度を向上させる可能性に本発明者は着目した。
上述した磁場計測の中心位置と、磁石装置が形成する磁場の中心位置とを一致させるためには、磁石装置が生成する磁場分布を把握していく必要がある。本実施例においてはMRI装置の磁石設計を例に挙げて、この内容を以降説明する。
なお、以降の説明において基本となる考え方は、計測すべき磁場の中心を計測位置の中心と一致させるには、磁場発生源である磁石装置内部の起磁力配置(コイル等の配置)を反映した磁場分布を把握して、その中心に磁気計測面の中心を一致させるというものである。そのためには、まず、磁石装置内部の起磁力配置による磁場分布の特性を知る必要がある。
まずコイルが複数配置されている磁石装置について、コイルの配置とその配置によって形成される磁場分布との関係を説明する。
磁石の中心部の磁場については、非特許文献2および特許文献2が参考になる。これらの文献では、磁場分布が、磁石中のコイルブロックや鉄塊の起磁力配置に依存していることが示されている。
また非特許文献2および特許文献2に示すように、MRI用の磁石としては、撮像領域に強磁場を発生させる主コイルと周囲への漏れ磁場を削減するシールドコイルとで磁場が作られ、それぞれ複数個のコイルブロックが配置されている。撮像領域の磁場については、シールドコイルの作る磁場も含まれるが、撮像領域の磁場はより近いところに配置されている主コイルの影響を強く受け、議論も主コイルと関連した議論となる。
図3は、MRI用磁石とMRI装置の全体図である。磁気共鳴撮像に用いる磁石は撮像領域(FOV)4できわめて均一な磁場強度となっているが、完全に均一に出来ているわけではない。磁石が作る磁場の撮像領域での磁場分布は、これらの文献(非特許文献2および特許文献2)に示すように、FOV4では磁石中のコイルや鉄等の磁場を実際に発生させる部材に起因する磁場がやや強い部分と、その一方で、それらの間に存在する磁場がやや弱い部分とが交互に出現する。また、これらの強弱の回数で、磁場の強い部分を見ると、磁場の強い部分の数は、コイルブロックと鉄材との凸部分の数を合わせた数に相当し、また、磁石設計時の特異値分解で得た磁石軸に対称で軸対称な固有モードの数に一致することが分かっている。つまり、このFOV4付近で見られる磁場分布の強弱分布は、磁石内部の起磁力配置を反映したものである。
磁石中心部付近の磁場分布を詳細に説明する。図4はコイル配置概念図で、磁場強度を示しており、左図はコイル配置と磁場強度の放射状の等高線図、右図上は磁場強度の等高線が主コイル6個の場合を示す図、右図下は主コイルが7個の場合を示す図である。また、図4は非特許文献1,2に記述された考え方でFOV中の磁場分布を計算表示したものである。
図4の右側には磁石中心の磁場分布を中心磁場に対して±1.5ppm以上の相違を等高線で示す。打点域は、目標磁場(この図では3T)より磁場強度が強い領域を示している。
図4において左半分の図は、コイル配置と、磁場強度分布の凹凸を、右側のフォーカス像より広い領域で示し、設計上の磁場分布を模式的に示すものである。放射状に書かれている等高線は、例えば図4の右半分の図に示される、主コイルを6個設置した場合の磁場強度を ±1.5ppmで示している。主コイルを取り巻くように左右に走っている線は磁力線である。横軸は、磁石磁場の幾何学的中心軸(左右の図で軸の方向は異なる)で、軸方向位置を表し、この軸に対して軸対称なコイル配置、磁場分布で設計されている。縦軸は半径方向位置を表している。
主コイルブロック12は撮像領域に近いところ(図では半径50cm付近)に配置され、シールドコイルブロック11は遠いところ(図では半径1m付近)に配置される。この図で重要なことは、磁場の強くなっている領域(打点領域)は主コイル位置に結びついている点である。つまり、主コイルが強い磁場領域を作り、その領域がFOVまでのびてきており、磁場が強い領域の数と主コイル数は一致している。
このような磁場構造とそれを作る主コイル位置と断面形状との関係について、上述した特異値分解を適用すると、コイル配置と磁場の固有分布との間の関係性について下記の知見が得られた。
図5は主コイル数6個の場合の固有モードに対応して、そのコイル変形で発生する磁場変化の固有モード(各フレーム下部)と電流分布(各フレーム上部)の関係を示す図である。各フレームの左右での相違点は、固有モードを算出する際に、電流分布の取り得る空間的な制約条件が異なっている。
各フレームにおいて右半分上段に示す電流分布は水平軸の方向に直交する向きに多数同軸に配置した円形線電流の様子を示す。なお矢印の向きは電流の向きを示し、矢印の長さが電流の大きさを示す。また各フレームにおいて左上段に示す電流分布は、コイル変形による電流分布の変化を示す。各コイルブロックの変形と電流分布の変化の関係は図6に示す。図6は、コイルブロック配置の計算方法の考え方に関する図であり、連続形状を検討する段階で、コイルの矩形断面の辺上に電流を考え、その電流値を推定し、辺位置を変動させて、コイル位置と断面の形状を最適化する概念を示す図である。図6において例えば、コイルブロック13が右側に膨らむように変形した場合、この変化について電流分布の観点から考えると、変形前には存在しなかった位置に新たな線輪電流の電流分布が出現する現象としてコイルブロックの変形を捉えることが可能である。図5の各フレーム左半分上段では、固有分布に対する電流分布を、コイル変形による電流分布変化として捉えている様子を示す。
なお、図5の最右下のフレームは固有モードではない(MODE HIGH)が、磁場及び電流の分布ベクトルですべて1を要素に持つベクトルを想定し、13番までの固有モードの成分をすべて差し引いて求めた分布を規格化したものである。言い換えると、求めた固有モードでは表せない分布を示している。このフレームで、数値はコイル変形と線輪電流モデルで求めた、単位電流ベクトルあたりの磁場強度(2乗平均値rms)である。
また図5の各フレーム最上部の数値は、各固有モードの番号と左右の磁場分布の内積を示しており1.0ならば全く同じ分布である。これは、すべての固有モードで固有分布の内積は1に近い数値であるため、空間的な配置自由度が高い線輪電流の分布モデルであっても、現実のコイル形状・配置の条件を付した電流分布モデルを採用した場合であっても、ほぼ同じ固有分布が得られることを示している。つまり、固有モードは電流源の形状に依存せず、電流源が配置される筒状のソレノイドの形状に依っている事が解り、以下の議論はMRIのような同軸のコイル配置を行う磁石に汎用的に当てはめることが出来る。
また、図5の各フレームの下部には、2つの電流モデルに対して、特異値を示している。また、各フレーム下部の右側に示す数値のうち、特異値(1段目)の下には、各固有モードが一様磁場(ここでは3Tを例にする)を発生するために受け持つ磁場強度(2乗平均値rms T)を示している。なお、各フレームでは二つの電流分布モデルについて磁場分布を描写しているため、それぞれについて一様磁場を発生するために受け持つ磁場強度を表している。
また、単位磁場強度(rms値)を発生する電流量は、この特異値(単位はここでは単位電流あたりの磁場強度でT/A)λiの逆数と理解できる。つまり、低次(特異値の大きな)固有モードに関する誤差磁場は特許文献1の方法で容易に補正できるが、特許文献1で100番目を超える番号の固有モードは番号が大きくなると、限られたシミングの容量(電流や磁性体量)ではシミングが十分には出来なくなる。
特に図4右に示した磁場分布は、図4左のようにコイル配置自体に依存した固有モードの磁場分布として捉えた場合、この固有モードそのものをシミングすることは難しい。図4の左側下の図では磁場の高い部分は6カ所であり、主コイルが6個の磁石である。また、図4の右側下の図では7カ所の磁場の高い領域があり、主コイル7個の場合の磁石による磁場である。このようなコイル配置自体に依存した固有モードについて磁場を補正するには、コイル1個に相当するような大きな電流もしくは鉄材が必要であり、実際にはシミングできない。つまり、このような高次固有モードは設計時に出来るだけ小さくしておく必要があると共に、シミング方法に寄らずこの高次固有モードの磁場は、シミング後も残存する事になる。
ここで、固有モードの次数は特異値の大きいものから順番で番号を付与している。高次モードとはコイル数以上の磁場が高い領域を持つ固有モードを指し、図5を例に採ると、主コイルブロック12の数Nmが6個(Nm=6)であるので、6カ所の磁場が高い部分を磁場分布で確認できるモード番号(2Nm−1)の11番を含まず、これよりも小さな固有値を持つ固有モードを指す。したがって2Nm+1番目の固有モードを含み、さらにこれより小さな固有値をもつ固有モードは高次とする。図4では、コイル数と関連して議論しているが、コイルブロック13だけでなく、鉄材や永久磁石を使うMRI用磁石もある。この場合、Nmはコイルブロック数でなく磁場が強くなっている領域の数であると理解することが妥当である。なお、図4における固有モードの番号は、ソレノイド状のコイルを、ある軸方向に水平な面で切った際に、上下対称に表れるモードの上半分のみを表示したものである。
同様に、コイル位置の移動に対する固有モードを線輪電流による固有モードと比較して図7に示した。図7はいずれも、同軸配置のコイルブロックの位置変動と断面の変形で発生する磁場の固有モードを示す図である。コイル位置の移動に対する固有モードに関する考え方は、基本的にコイル変形に対する固有モードと同様である。各フレームに書いた数値は、図5と同じ内容である。この図ではコイルブロック位置移動のみで、断面形状の変形は考慮してないためにコイル移動の自由度が、図5の場合より少ない。そのために、軸方向に対称な固有モードが6個に限られている。従って、高次の固有モードは変化・調整出来ない。しかし、図6の場合と同様に線輪電流の固有モードとコイルブロック13位置移動の固有モード分布は、ほぼ同じ分布となっている。
ここまでの議論を総括すると、磁石装置が作る磁場について、固有モードの高次成分から形成される磁場分布は、磁石装置内の主コイルブロック12の設置数や配置を反映しており、また主コイルブロック12の変形や移動があるとしても、変形前の固有磁場分布と変形後の固有磁場分布は、同様の固有分布であると言える。従って、コイルブロック13に断面変形や移動があったとしても、主コイルブロック12の個数Nmと同じ個数の磁場凸領域を持つ固有磁場分布、つまり2Nm+1番目以上(特異値が小さい)の固有モードが高次モードと考えることが妥当である。
また、特異値は、すべての場合で、磁場分布の凸部(高磁場域)が1個増える毎に、単位電流あたりの磁場は一桁小さくなることが示されている。つまり、高次モードでは、基本モード(1番目)に比べて105倍以上の電流が必要であり、逆に100kA相当の誤差成分が高次モードに存在しても1μテスラ程度の磁場を発生するにすぎないことを示している。従って、このような高次の固有モードを持つ誤差磁場は補正できないし、また逆に、磁石に組み立て誤差が有る場合でも、高次成分の固有モードは小さいので、実機磁石の高次固有モード成分は、ほぼ設計上の磁石本来の磁場分布となっていると言える。
特許文献1のシミング手法では、配置面上の電流ポテンシャル分布を、配置面(シムトレイ)上の磁気モーメントから磁場分布への応答行列を特異値分解し、その固有モードの低次の部分を利用して、磁気モーメントの配置を計算して、実作業では計算結果に従って鉄片などの磁気モーメントを配置していく。
高次(小特異値)の固有モードは、必要な鉄片や電流値が課題となる。かつ単位電流に対する固有磁場分布の強度が微小なので、シミングは不要としていた。図2に示した固有モードは周回方向に分布した固有モードも含まれているので、多数の固有モードが存在している。しかし、実際にシミングする固有モードは図では100個程度で、これは、最上位で軸対称成分の2Nm-1番目固有モード成分程度までである。つまり、図4右図のNm=6, Nm=7ではそれぞれ軸対称成分の固有モード番号で11番、13番以下程度に限られる。逆に、軸対称の固有モード番号でNm番目までは、磁石設計時にその固有モード強度は一様磁場を発生するように調整されており、誤差磁場による誤差固有モード強度は小さいためシミングも容易と言える。
以上のように、シミング前後でも高次成分の磁場分布に変化はないと言える。また、高次成分の磁場は磁石内部の主コイルブロック12の配置を反映している。さらに磁石設計時にもこのような高次の固有モード成分は残るように磁場設計されている。
特許文献1のシミングでは計測磁場に対して、実際にシミングするのではなく、計算機内で計算上シミングを行うことが出来る。計算機内で行った計算で良好なシミング結果が予想される条件(目標磁場やシミング時に考慮する固有モードの選択など)で実機のシミングを実行する。
磁場計測は、周回方向に10度から30度毎に磁場を計測して、取得された磁場強度の分布をシミング計算の入力変数とするので、この磁場分布を固有分布に展開し、その中で周回方向に一様な成分の固有分布を選択することで、固有モード成分も検知できる。また、この周回方向に一様な固有モード成分と、磁石が設計上持つ図4の磁場分布を、磁場が強い領域(磁場強度が凸の領域)数と比較すると、シミング時の固有モード番号で図4の磁場分布を作る固有モードが検知できる。そして、磁場が強い領域数と主コイル数が一致する固有モードの特異値より小さい固有モードを選択し、その固有モード成分の磁場を加算すると、計測磁場のうち磁場設計で残留した高次成分の固有モード成分の磁場を抽出できる。
このようにして抽出した高次の固有モード磁場は、磁石内部のコイルブロックの配置を反映している磁場である。この高次固有モードによる磁場を使うことで磁場の中心を推定することができる。つまり、高次の固有モードによる残差磁場を、特異値分解を利用した磁場再構成で推定計算し、最も小さくなると予想される位置に磁場評価点の中心を移動させて、シミングを行うことができる。
以上説明したように、本発明者が考案した磁場計算手法を用いれば、磁場計測面上での計測位置とは別の任意の位置で磁場強度を計算できる。また、固有モード毎に磁場分布を把握できる。この原理を利用すれば、任意の点の磁場を計算できるので、ねらった位置・領域の磁場分布でより良い均一度となるように、磁場評価点・磁場強化面を選択することができる。また、誤差磁場の影響が少なく、またシミングが難しい高次成分から、磁石内の起磁力配置の情報を得ることが出来、その情報から、磁場計測時の磁気センサ-位置やシミング時の磁場評価面位置を調整することが出来る。
その結果、MRI装置であれば撮像に関して好適な、より良い均一度を得ることが可能となる。
(実施例1)
以降では、これまでに説明した本発明の概念的な内容をより具体的に説明する。
第1の実施例として、水平磁場型MRI装置のシミング時の磁場計測位置の位置調整について説明する。なおここで言う計測位置とは、個々の磁気センサ-位置ではなく、磁気センサを支持する治具の設置位置に関するものであって、球面もしくは回転楕円面である磁場計測面8の中心位置である。また、図17は、本実施例で説明する磁場計測位置の調整が可能なシミングシステム100の概要を示す。
本実施例のシミングシステムは、図17に示すように、磁場内外挿計算部102、均一度評価部103、センサ位置評価部104、シミング計算部105、シミング計算評価部105、表示部107を主な構成として有する。また、図中の矢印の向きは各機能ブロックに関する情報の入出力の流れを示す。
まず、前提として、水平磁場型MRI装置の静磁場について本発明に関連する考え方を説明する。図1は、本実施形態の実施例で用いる磁場推定計算体系の代表例を示した図であり、内側に磁場計測面8があり、外側には計算上で電流分布を仮定する仮想電流面1がある。仮想電流面1は閉曲面である。また、開口部がある場合も、開口部の大きさは装置中心からの立体角が4πの1/10程度以下の曲面であり、全体として磁場計測面8を囲っている。
図8は水平磁場型MRI装置の代表的なシミング計算体系を示す図で、シムトレイ(小四角形状)と磁場計測面(球面)の配置を示す図である。また、図9の左図および右図はいずれも、磁気センサと磁場計測治具を説明する図である。
実際のシミングでは、図8のように配置された、棒状のシムトレイに配置されたシムポケット5群と、図9のような水平方向の磁場に平行な回転軸の回転対称の磁場計測治具を用いる。シムポケット5は、通常、円筒形状をした傾斜磁場コイル24(図3参照)の内部に配置され、シムポケット5群も全体として円筒形状に配置され、シムポケット5(従ってシミング用の磁性体)は磁場計測面8を取り囲むように配置される。
図9左図の磁気センサ-支持板20は中心軸を回転軸とする支持具(非表示)の一部であるが、その板に磁気センサ-(図では×で示す)を固定している。図では24個(i=1から24)が配置され、図9右図では、周回方向に24面の磁場計測面(j=1から24)で、磁場計測を行う。その結果、磁場計測面8(この場合は球面)で576点の磁場計測が行える。
これらの磁場計測点は球面上に配置され、その位置は治具の固定位置を変更することで、すべての磁場計測位置を同時に同じ大きさ・方向に動かすことが出来る。この移動の量と方向は、以下では磁場計測位置の中心の移動と記述する。また、磁場計測の中心位置としている位置は、左側図で原点となっている位置で、半月状の磁気センサ-支持板20の回転軸上で、軸方向中心位置である。磁場計測位置の幾何学的平均値でもある。
磁場計測値Bは、磁場計測面8上で計測された磁場強度値である。一般的なMRI装置が均一磁場をつくるために備える磁石では、磁場はほぼ軸方向(Z方向)である。また、仮想電流面1を三角要素の集合で表現し、その接点jに電流ポテンシャル(CP: Current Potential)Tjを配置すると、仮想電流面1上のCP値の分布はベクトルであらわされ、Tである。また、磁場計測面8上の計測点の磁場BjもベクトルBとあらわされる。ここで、電流ポテンシャルは特許文献1や非特許文献1で論じられているが、通常の電流ポテンシャルは面に垂直方向の磁気モーメントを持つが、ここでは仮想的に全て軸(Z)方向に平行な成分としている。
上記のCP値と磁場の関係は、線形方程式で、
B = A T (2)
となる。Aは電流ポテンシャルから磁場への応答行列である。これを、打ち切り特異値分解法による正則化を利用して近似的に解く。
特異値分解で応答行列Aは下記のように分解できる。
A=Σuiλivi t (3)
ここで、ここで、vi, ui, λiは、それぞれi番目のCP値分布、磁場分布の固有分布とその換算を表す特異値(T/m)である。これを利用し、CP値分布は、目標磁場BTGを再現するように、
T= Σnp 1/2Pi TGvii[A, m3, or Am2] (4)
とかける。ここで、npは磁場計測点数、Pi TGは磁場分布と磁場の固有分布の内積を用いて、
Pi TG=ui tBTG/np 1/2 [T] (5)
であり、Pi TGはBTGを再構成するために必要な固有モード強度である。式(5)で加算は行列Aのランク数と同じ数の固有モードに対して実行できる。しかし、必ずしもその限界まで加算する必要はない。特許文献1では、磁場調整なので、得られる磁場均一度が、磁石仕様に十分な次数まで実行し、それ以上の高次は無視した。ここで、BTGはシミングにより鉄片などで発生させる磁場で、最終的な目標磁場(たとえば3T一様磁場B3T)と計測磁場BMSの差で、
BTG = B3T-BMS (6)
である。
本実施例では、磁石の起磁力配置の情報を持ち、誤差磁場の影響を受け難い、高次の固有モード成分の磁場に注目する。具体的には、コイル数に対応した次数を持ち周回方向で一様な固有モードの番号をM番目とすると、その固有モードの特異値λM以下の小さい特異値を有する固有モードを高次と考え、このような固有モードに関する加算を(4)式で実行する。この計算は、従来の低次でのみ磁場を調整するシミングを行っていた場合と異なって、高次モードに関する加算である。
磁場分布は式(4)で求める電流ポテンシャル分布を用いて、仮想電流面1で囲まれる領域内の任意の点について磁場を計算できる。また、計測点の磁場と計測磁場の差BTGを再現する磁場BRECは、
BREC=Σnp 1/2Pi TGui (7)
であり、この磁場を利用する。この磁場分布や電流ポテンシャル(式(7)及び(4))の再構成を、高次固有モード成分のみで実行することが本実施例の要点である。
図10は、図4右上のようなNm=6個の磁石について、図8に示した磁場計測面8上で、図9に示した磁気センサを用いて計測した磁場の等高線分布を示している。図10で縦軸は、図8では左右方向の中心軸との角度で、横軸は一点鎖線で示した中心軸周りの角度である。角度零はX軸で、図8では紙面に垂直方向である。Y軸は90度方向である。打点領域は目標磁場(ここでは1.5T)より高い磁場(BTG iが負の領域、BTG iはi番目計測点の目標磁場強度)の領域である。直径50cmの球面(今後は50cmDSVと記す、DSVはDiameter Spherical Volume)上で計測している。
この計測磁場に図1の体系での磁場推定計算を適用した例を次に議論する。なお、この磁場推定計算は、先に述べた磁場内外挿計算部102(図17参照)における計算内容である。計測磁場を特異値分解して得られた固有モードのなかで高次固有モードは、既に説明したように、磁石が本来持っている磁場に近い。この、高次固有モードをできるだけ加算して得られた固有分布による磁場分布が図11である。この図では、縦軸Zは軸方向の位置で、横軸Xは水平方向を示しており、X―Z面での磁場分布を示している。磁場強度を等高線で示し、目標磁場(1.5T一様磁場に必要な高次固有モード成分)より磁場の高い部分は打点領域としており、非打点領域は計測磁場がやや高い領域である。高次固有モードによって形成される磁場分布は式(7)から求める。この例の場合、7個の磁場の強い部分が存在する高次固有モードより特異値の小さい固有モード、つまり固有分布に7個以上の磁場の強度が強い領域を有する固有モードを重ね合わせて磁場分布を再構成した。
この磁場分布は、図4左図の磁石設計時の磁場強度分布と一致し、周回方向に主コイル数6個に相当する周回方向に帯状の磁場分布となっており、高次成分が抽出できていることを示している
計測磁場から高次モードを抽出する方法の具体例を示す。ここで、固有モード成分とは、式(6)の磁場について、式(5)を用いて固有モード展開し固有モード強度Pi TGを求め、磁場の固有モードui tを用いて再現した磁場分布である。
この磁場を固有モード強度と特異値の順に番号を付けたグラフで示すと図12に示すような分布となる。図12は周回方向一様な固有モード番号と、計測磁場の固有モード強度および磁場推定計算の残差PP値との関係を示す図である。この中には多くの固有モードの強度(式(5)の絶対値)が対数軸でプロットされているが、縦軸と平行な線分で示された位置にはやや強度の大きな固有モードが存在する。これは、軸を中心にして、その周りの(周回)方向に一様な固有モードであって、基本固有モード群9と定義する。
これらの固有モードのうち、Nm個までの、周回方向一様で軸方向に対称な基本固有モードは、磁石設計時にコイル配置による磁場BDSと一様磁場B3Tとの差の残差磁場
BRE = B3T-BDS (8)
が、零に近い値になるよう設計されている。固有モード強度Piは式(5)を一般的に用いて、
Pi=ui tB/np 1/2 [T] (9)
であるが、残差磁場の固有モード強度はPi RE=ui tBRE/np 1/2である。
設計時の固有モード強度は、Nm番目以下の周回方向一様の基本固有モードについては、シミングによって零に近づけることが出来る。しかし、Nm+1番目以上の周回方向一様の固有モードについては零になるような設計は難しい。これらの高次固有モードは、磁石が有限な長さであり、磁石内に矩形断面のコイル群が離散的に配置されているために発生する磁場成分であって、言わば現実的な磁石では必然的に発生する設計上の残差磁場であるためである。実際、図12でもNm=6個で、6番目の周回方向一様な固有成分までは、他の固有モードと比べて同程度の大きさである。低次の固有モードほど強度が強くなっているが、これは誤差磁場が低次で出現するためである。また、低次の固有モードは特許文献1のような方法によるシミング作業で補正が可能である。このシミング作業の内容計算は、図17に示すシミング計算部105やシミング計算評価部106にて実行される。
磁石を製作し、据え付け励磁後の計測磁場は、一般的には、設計時の磁場に対して組み立て誤差などに由来する誤差磁場が含まれた磁場となる。しかし、これらの誤差磁場は比較的低次の固有モードに属する磁場であり、高次成分は誤差磁場には含まれにくい。ここで、高次成分とは、周回方向に一様で軸方向に対称な固有モードのNm番目固有モードより小さな特異値λMの固有値を持つ、非軸対称成分も含む固有モード群である。逆にλMより大きな特異値の固有モードは低次固有モードと呼ぶことにする。高次成分の固有モードから高次固有モードによる電流ポテンシャルを式(4)で再構成し、式(1)で磁場分布を計算すると、これで計測磁場から高次成分の磁場を抽出した事になる。この高次成分の磁場(固有分布)の抽出はセンサ位置評価部104にて実行する。
これまでの高次成分の議論は、低次固有モードを切り捨てる議論であったが、最高次側の固有モードについても加算する条件を議論する。
固有モード数は、応答行列Aのランク数と同じ数だけ存在し、式(3),(4)の加算の上限はランク数番目の最高次の固有モードまで行うことが可能である。磁場計測点より仮想電流面1の節点数の数が多いので、実際的には、仮想電流面1の節点数程度まで固有モードは存在する。しかし、計算機の能力(数値の大きさの分解能)が原因で、きわめて固有値の小さな固有モードは実際には把握できない。無理に計算しようとすると計算上の誤差を含んでしまい、以後の議論に悪影響を出すこともある。そこで、固有モード番号の上限は磁場の近似精度で選択する。下記の3つの考え方がありいずれを採用してもよい。
(1) 計測磁場に対して近似精度を評価し、十分な精度となるように上限(Mu)を選択する。
(2) 個々の固有モードの大きさを評価し、小さな寄与のものを切り捨てる。
(3) 両者を組み合わせる。
である。
目標とする精度をEre(単位はT,tesla)とすると、これが(1)の十分な精度に相当し、装置の性能に依存するが、MRIでは目標磁場±10-6の程度の誤差、従って1.5T機では±0.15μT程度以下となるようにする必要がある。ここでは、Ere=0.1μTを想定する。従って、誤差のpeak-to-peak値は0.2μTである。この条件となるようにMuを決める。
方法(2)ではPi TGがPmn=0.05μT程度以下のものを切り捨てる。ここで、(1)の精度に比べて小さくした理由は、実際に得られる精度は、多くの固有モードの重ね合わせで有るために、切り捨てる個々の高次固有モードの寄与を小さくしておくためである。
方法(3)は両者の組み合わせである。MuとPnmの2つの変数で、十分な精度が得られるように調整する。試行錯誤的になるが、実際には、Pnmを十分小さくしておき(例えば10-10T程度かそれ以下)、均一度に影響のない程度にしておき、Muと到達均一度の関係をグラフ表示する。これが図12に示した折れ線(ラフ固有モード上限の関数で示した磁場PP値6)である。この折れ線の縦軸がEer以下となるようにMuを選ぶ。
図12で固有モードの選択を説明する。図で折れ線は各固有モードの加算を行って得られる磁場推定計算値と元の計測磁場(図10)との差違を、数百点の計測磁場で最大最小のPeak-to-peak(PP)値6を示している。この図では約570個の固有モードを計算できている。これに近い550個程度の誤差磁場を選択すると、0.2マイクロT(μT)以下の誤差磁場PP値となる。つまり誤差は±0.1マイクロT以内である。
図12で枠内右上の数値は、○をつけた固有モードで磁場再構成した場合の、計測磁場に対する残差磁場の最大最小値である。この大きさは通常のMRI磁場では0.1ppm以下の計算誤差であり、無視できる大きさである。以後では、この考えで、図12で○のついた固有モードから選択して磁場計算を行う。ただし、低次側は次に書く考え方で選択していく。
一方、高次として選択する固有モードは、これまで議論してきたように、Nm=6個の場合、この固有値より小さな(右側)固有値の固有モードを選択する。従って図では基本固有モード群9において7の番号(図11では109番目)を書いた付近から、550番目付近までを選択して式(4)を選択すると高次の固有モードを選択したことになる。
このようにして選んだ固有モードを使って、電流ポテンシャル分布を構成して、磁場を計算する。高次成分のみの磁場分布を磁場計測位置で推定計算した結果を磁場等高線で図13に示す。
なお、ここで求めた電流ポテンシャル分布は、1番目の固有モードから550番目付近の固有モードまでを足し合わせた結果から、1番目の固有モードから109番目付近の低次固有モードを足し合わせた結果を減算して求めてもよい。
この図ではほぼ周回方向に一様な磁場分布を示している。打点領域は磁場が低い領域である。この分布は図4の磁場設計概念を再現しており、これまでの議論の妥当性を示していると言える。
等高線は零と±0.5ppm相当(1.5T一様やB3T等の最終的な目標磁場に対して)の磁場強度の等高線を描いている。また、50cmφ、40cmφ及び40cm(X方向)-37cm(Z方向)の楕円も描いている。50cmφは磁場計測面で、他は磁場シミング時に用いる磁場評価面である。これら楕円と円形の中心は、磁場計測位置の中心である。左側は、周回方向一様な7番目の固有モードを含む高次固有モードで、右は7番目を含まず周回方向一様な8番目固有モードを含む高次成分である。それぞれ、図13では固有モード番号で100番と120番以上の固有モードを選択して磁場分布を再現している。従って、左右で磁場分布の周回方向の凹凸数が異なる。打点領域は最高静磁場が負の領域である。また、左側はX-Z面で、右側はY-Z面である。
これら図に示した磁場分布と磁場計測位置を中心とした円形・楕円を比較すると、Z方向は磁場分布と円形・楕円形は対称性が高い。しかし、y−Z面で磁場分布等高線が左側(Y<0)で円形・楕円形の内側に入り込んでいることが解る。つまり、磁場計測位置の中心を5mm程度右側(Yが正の方向に)動かして、計測位置の調整を行うことが必要と理解できる。このように高次成分から再構成される磁場分布に基づき磁気センサ位置が適当に配置されているか否かに関する情報を、センサ位置評価部104は表示部107に対して出力し、作業者に対して最適なセンサ位置を提示する。
図14は、高次固有モードで、磁場計測中心を移動させた場合の磁場計算で、得られた磁場分布から残差磁場のPP値を移動量の関数で示した図である。つまり、図14は、図10の計測磁場から高次固有モードを抽出し、磁気センサ-の中心位置を計算上で変更しながら、磁場計測面8上の高次固有モードの加算によって表される残差磁場成分のPP値を求めた結果である。X,Y,Zで移動させて、残差磁場のPP値を示した。換言すると、図14は、X,Y,Zそれぞれの方向に磁場計測の中心を動かした場合に、磁場計測面8上において、高次固有モードによる磁場強度分布が示す偏差の様子を視覚化している。図13の左側のように固有モード数120番以上であり、周回対称の7番目以下の固有モードは含まれてない。この図から、X方向、Z方向の位置は最も残差磁場が小さい位置に来ているが、Y方向は、図13で前記したように、5mmだけ移動させた方が、PP値の小さい残差磁場となる事が解る。高次成分はシミングできないので、最も高次の残差磁場が小さくなる位置を中心に磁場評価を行い、シミングする事がより良い均一度を得るために有利である。
このように、実施例1のシミング方法を用いることで、均一度の良いシミングを行うことが可能となる。
(実施例2)
第2の実施例を述べる。特許文献1では、球面または楕円面上などの磁場計測面上で磁場計測し、その計測磁場をそのままシミングコードに入力し、磁性体(鉄片など)や配置などを計算していた。ここで、シミングコードとは、磁場利用領域(MRIでは撮像領域)で磁場を計測し、その磁場分布データを入力とする。入力された磁場分布を平坦化(シミング)するために必要な鉄配置をあらかじめ決めておいた配置領域上で、磁性体の位置と量を計算するコードであった。
特許文献1では、磁場計測位置で、シミング時の磁場評価も行っていた。しかし今回発明した方法は、計測磁場から任意位置(仮想電流面1の内部で)の磁場を計算で求められるので、磁場計測面と磁場評価面を異なった位置にすることが可能である。
一般に、シミングは磁場を評価する位置で、最も均一度が向上する。従って、中心から狭い領域で良い均一度を得られるようにするには、磁場評価を行う面を狭い領域とすることが良い。例えば、装置中心から、半径20cmとする。
一方、磁場計測面は広い範囲での磁場計測が望ましい。これは、計測磁場に含まれる高次成分が、中心から遠い位置で、より計測しやすいためである。通常のMRI装置に関し、計測磁場面の大きさは、中心部のボア径と、磁石内のコイルブロックごとに存在する強い磁場に近づくことを避けるために、制限されるが、直径50cm程度の球面での磁場計測は可能である。撮像領域の大きさから、さらに大きな球面とする必要もないので、ここでは半径50cmなどが妥当と考える。これらの場合、磁石装置の磁場分布を直径50cmの球体(DSV)の表面で計測し、40cmDSV面磁場評価・シミングを行う事になる。このように磁場計測面と磁場評価(調整)面とを別個に取り扱うことは、特許文献1の発明では出来なかった、上述した本実施例のシミング方法では問題なく実行できる。
磁場計測は、半径Rで軸方向位置Z位置(i=1からNp)とし、磁石軸(Z軸)を中心に回転させて、下記のように決められた位置を図9の治具で計測する。
Xm=RiCOS((k-1)2π/Nt)
Ym=RiSIN((k-1)2π/Nt)
Zm=Zi
mはm=(i-1)×Np+kであり、磁場計測点の総数を示す。磁気センサ−はNp個存在し、一つのR-Z面を計測し、Z軸周りにNt個の計測断面を持つとしている。磁場計測点の総数はNpNt個である。
RiとZiはZ方向の仰角φ=(i-1)(απ)/(Np-1)―απ/2 (i=1〜Np)の関数で、
Ri = RSin(φi) (10)
Zi = RCos(φi) (11)
である。ここで、αは0.9〜0.999程度で厳密な値は、磁場計測機の詳細設計上時に決まる。上記は半月状の断面位置で出来るだけ広く計測位置を広げたいが、球面上で、軸に近いところでは、磁気センサ−を配置出来ない領域があるので、αとしてこの領域を取り除いて磁気センサを配置している。磁場計測は半径R面上で行われ、すべての磁気センサは同じ球面でR=25cmとしている。
シミングに使う磁場評価面は、上記のZm, Ym, Zmからシミングコードへの入力位置は、
Xm’ = (0.2/0.25)Xm (12)
Ym’= (0.2/0.25)Ym, (13)
Zm’ = (0.20/0.25)Zm, (14)
とする。この位置で、シミングコードへの磁場入力を行い、シミング時の磁場評価点とする。換言すると、本実施例のシミングシステムは、図17に示す磁場内外挿計算部102が、磁場計測結果に基づき、磁場計測面と異なる面上における磁場分布をシミング計算部105に対して出力し、情報を受け取ったシミング計算部105はその面上における磁場の均一度が仕様を満足するようなシム磁性体(鉄片)の配置や量を計算する。このようにしてシミングコードで計算した結果を、図15に示す。
図15は、半径25cm球面で計測した磁場を元に、本発明の磁場推定計算手法で半径20cm位置の磁場分布を計算した場合の磁場分布の一例を示す図である。半径25cm面で計測した磁場分布(図10)に似た磁場分布であるが、やや振幅が小さくなった分布となっている。これは、半径20cm位置での磁場分布としたためであり、両者は妥当な関係にある。
このように本実施例のシミング方法は、任意の磁場評価点を用いることが出来るので、シミング時の磁場評価点および面は、計測位置、および計測面に依存することはない。本実施例の磁場計算方法を用いれば、仮想電流面1で囲まれた領域の任意の位置について磁場計算が可能である。そのため、計測位置とは無関係に磁場評価位置を選択すればよい。磁場評価点の選択条件は、磁場調整後に利用する領域に近いこと、および、装置軸を中心に周回方向に回転させた位置の選択が望ましい。後者は、周回方向に一様な固有モードの抽出が容易なためである。
式(12)から(14)においては、磁場評価点は、磁場計測点を基準にして、単に原点に近づけて決めている。しかし、この磁場評価点は、磁場計測点数と一致する必要はなく、任意の点で良い。その意味で、磁場評価点を計測点数以上に多くすることは、大きな残差磁場の局所的な出現を防止することにつながるため、より良い均一度に繋がるとも言える。
(実施例3)
以上の2つの実施例を組み合わせた本発明のシミングの手順を図16に示す。図16は、本発明の第3の実施例に係る磁場シミング工程を示すフローチャートである。図16の左図に示すように、本実施例では、これまでのシミング作業に入る前に、本発明による高次固有モード成分による磁気センサ位置の調整を行う。具体的には、ステップS10で磁場計測を行い、ステップS20で計測位置が良好か判断し、ステップS20で磁場の計測位置が良好でない場合は、ステップS30で磁気センサの位置調整を行う。この際、磁場計測支持具位置が不適切でも、計算上磁場評価点を磁気センサ中心位置とは別に、磁場評価点の中心位置を決めて、シミングを行うことも可能である。
図16の左図のステップS20において、計測位置が良好であると判断された場合は、図16の右図に進む。図16の右図において、ステップS70のシミング作業と書かれた部分は、特許文献1でのシミング作業を含む一般的なシミング作業であるが、その前に本発明の例えば実施例1の方法で磁場評価面の磁場分布を推定計算し、この磁場をシミング作業の磁場入力とする。ステップS40で磁場計測を行って、ステップS50で磁場評価面の磁場分布を推定計算すると、磁場評価面上の残差磁場のPP値だけでなく、面内部の磁場も推定できるので、各種の面での磁場評価や体積2乗平均値等の残差磁場の指標を計算できる。それら全般を装置の仕様と比較して得て、ステップS60で磁場の均一度の良否、すなわち磁場均一度が良好かを判断する。その結果、均一度が十分でなくシミングが未完(No)ならばステップS70のシミング作業を繰り返し行い、その後ステップS40の磁場計測、ステップS50の磁場分布の推定計算を行って、均一度の判断に戻ってくる。均一度が良好ならステップS80に進み、シミング作業を終了する。
以上で説明した本実施例のシミング方法によれば,磁場計測位置だけでなく、他のVOI(磁場評価面、シミングすべき面と同一)内の磁場分布も精度良く把握できる。この方法を応用することで、従来の方法より均一度を良好に出来るシミングを実行する事が出来る。
その結果、磁場計測面とは異なったシミング時の磁場評価が可能である。また、磁気センサ-位置の調整でも内部のコイルブロック位置を反映した磁気センサ位置調整も行える。
さらに、磁場評価面と磁場計測位置が異なる事が可能であるため、FOV仕様の異なるMRI装置、つまり、磁場評価面の仕様が異なりFOVの大きさも異なるMRI装置でも、同じ大きさの磁場計測面が利用できるため、多機種で同じ磁場計測器具を用いる事が可能となる。これによって、作業者の負担を非常に軽減することが可能となる。
1 仮想電流面
2 磁場評価面
3 連続配置シムトレイ
4 撮像領域(FOV)
5 離散配置シムトレイのシムポケット
6 固有モード上限の関数で示した磁場PP値
7 磁場強度等高線
8 磁場計測面
9 軸対称固有モードの番号位置
10 MRI用磁石
10f MRI磁石のボア
11 シールドコイルのコイルブロック
12 主コイルのコイルブロック
13 コイルブロック
15 固有モード(選択)
16 固有モード(非選択)
20 磁気センサ-支持板
21 コイルブロック断面表面電流
22 被検診者
23 ベッド
24 傾斜磁場コイル

Claims (8)

  1. 機械的機構を用いて相互に固定されたセンサ部を有し、多数の磁場計測点の磁場計測を実行可能な磁場計測装置と、
    前記磁場計測装置によって取得された磁場分布を再現するような磁気モーメントもしくは電流分布を、予め定められた閉曲面上で推定し、前記推定された磁気モーメントもしくは電流分布から前記閉曲面内に存在する任意点の磁場分布を推定し、前記推定された磁場分布に基づき、前記任意点の磁場分布を修正する補正磁場を生じさせるシム磁性体の分布を出力する磁場調整支援部と、
    を備える磁場調整支援システム。
  2. 請求項1に記載の磁場調整支援システムであって、
    前記磁場調整支援部は、
    前記磁場計測点を囲む電流面を仮想的に配置し、前記電流面から前記計測された磁場への応答関数を特異値分解し、得られる固有モードを用いて前記電流面内の磁場分布を推定し、前記固有モードから高次固有モード成分を抽出し、前記高次固有モード成分による残差磁場が縮小する位置を前記磁場計測装置の中心を移動させる位置として提示する
    ことを特徴とする磁場調整支援システム。
  3. 請求項2に記載の磁場調整支援システムであって、
    前記磁場調整支援部は、前記磁場計測点を表面に有する計測面に内包される領域として前記閉曲面を配置し、前記閉曲面上の磁気モーメントもしくは電流分布を推定計算し、前記推定された結果に基づき前記計測面に内包される点における磁場を推定計算する
    ことを特徴とする磁場調整支援システム。
  4. 請求項1に記載の磁場調整支援システムであって、
    前記磁場調整支援部は、前記磁場計測点を内包する電流面を配置し、電流面から磁場値への応答関数を特異値分解し、得られる固有モードを用いて電流面内の磁場分布を推定する
    ことを特徴とする磁場調整支援システム。
  5. 請求項4に記載の磁場調整支援システムであって、
    前記磁場調整支援部は、前記磁場計測装置の中心位置の移動距離と前記固有モードのうち高次固有モードによる磁場成分の残差磁場PP値との関係を提示する
    ことを特徴とする磁場調整支援システム。
  6. 請求項4に記載の磁場調整支援システムであって、前記磁場調整支援部が、前記磁場計測調整後にシミング作業開始時に前記センサの位置を調整するとともに、前記磁場計測点を囲む電流面を仮想的に配置し、前記電流面から前記計測された磁場への応答関数を特異値分解し、得られる固有モードを用いて前記電流面内の磁場分布を推定し、前記固有モードから高次固有モード成分を抽出し、前記高次固有モード成分による残差磁場が縮小する位置を前記磁場計測装置の中心を移動させる位置として提示して、シミングコードへの磁場入力値を推定計算する
    ことを特徴とする磁場調整支援システム。
  7. 請求項1または請求項2、または請求項4、または請求項6に記載の磁場調整支援システムの磁場調整方法であって、固有モードの選択を行うために、磁場強度と固有モード上限番号の関数で求まる残差磁場のPP値を表示する過程を含む
    ことを特徴とする磁場調整方法。
  8. 請求項7に記載の磁場調整方法であって、磁場強度と固有モード上限番号の関数で求まる残差磁場のPP値の表示と重ねて、軸対称の固有モード番号を表示する過程を含む
    ことを特徴とする磁場調整方法。
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