しかしながら、従来の管路点検装置では、膨縮バッグ104への加圧流体の供給を適度に制限し、膨縮バッグ104と管路P内面との間隙を狭小に保ちながら、膨縮バッグ104とともにテレビカメラ101を移動させるものであったが、膨縮バッグ104と管路P内面との間隙を狭小に保ちながら移動させても、膨縮バッグ104が管路P内面と擦れて折れ曲がることがあり、その膨縮バッグ104が折れ曲がると折れ曲がり箇所が管路P内で詰まり、膨縮バッグ104とともにテレビカメラ101を前進させることができなくなるという問題があった。また、先端部分および基部が比較的肉厚に形成された膨縮バッグ104を使用しているので、膨縮バッグ104とともにテレビカメラ101を移動させる際に、膨縮バッグ104自体が重たくなり、自走型テレビカメラ101などの高価な装置を用いたとしても、テレビカメラ101を管路P内に挿入する距離が制限されるという問題もあった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、管路内にカメラを容易に挿入することができ、また管路の濁水が滞留している部分および濁水が滞留していない部分のいずれの部分であっても、管路内面の異常箇所をより精度良く点検することができる管路点検装置およびそれを用いた管路点検工法を提供することを目的とする。
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、管路内にカメラを挿入して管路の内部を点検することができる管路点検装置であって、先端にカメラが装着されたカメラ付きロッドと、該カメラ付きロッドに装着されたカメラを後方部に内包し、閉塞された透明チューブと、透明チューブの先端部に取り付けられ、該カメラ付きロッドを管路内に挿入する際に、該透明チューブの先端を支持する透明チューブ支持手段と、透明チューブ内に空気を送り込むとともに、該透明チューブ内の空気を排出させるエアーホースと、を有し、透明チューブ支持手段は、透明チューブの先端を支持することにより透明チューブが管路内に詰まることなくカメラ付きロッドを挿入することができることを特徴とするものである。
本発明によれば、透明チューブの先端部に取り付けられ、カメラ付きロッドを管路内に挿入する際に、透明チューブの先端を支持する透明チューブ支持手段が設けられているので、透明チューブ支持手段により透明チューブが支持され、透明チューブを膨らませない状態で管路に挿入しても透明チューブが管路内で詰まり難くなり、容易にかつ円滑にカメラ付きロッドを管路内に挿入することができる。
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係る管路点検装置であって、透明チューブ支持手段は、先方部が透明チューブの先端部に取り付けられ、後方部がカメラ付きロッドに固定された補助ロッドであり、補助ロッドは、管路内にカメラ付きロッドを挿入する際に、透明チューブの先端を支持することを特徴とするものである。
本発明によれば、先方部が透明チューブの先端部に取り付けられ、後方部がカメラ付きロッドに固定された補助ロッドを設けているので、補助ロッドにより透明チューブの先端が支持され、透明チューブを膨らませない状態で管路に挿入しても透明チューブが管路内で詰まり難くなり、容易にかつ円滑にカメラ付きロッドを管路内に挿入することができる。
本発明のうち第3の態様に係るものは、第1の態様に係る管路点検装置であって、透明チューブ支持手段は、中空形状で、外周後方部に透明チューブの先端部が取り付けられ、透明チューブ内の空気が抜き取られることにより後方からカメラ付きロッドが挿入されるカメラガイドであり、カメラガイドは、管路内にカメラ付きロッドを挿入する際に、後方からカメラ付きロッドが挿入されることにより透明チューブの先端を支持することを特徴とするものである。
本発明によれば、外周後方部に透明チューブの先端部が取り付けられ、透明チューブ内の空気が抜き取られることにより中空形状内に後方からカメラ付きロッドが挿入されるカメラガイドを設けているので、透明チューブを膨らませない状態で管路に挿入しても透明チューブが管路内で詰まり難くなり、容易にかつ円滑にカメラ付きロッドを管路内に挿入することができる。
本発明のうち第4の態様に係るものは、第2の態様に係る管路点検装置であって、透明チューブ内の空気の圧力と管路内の圧力との圧力差が所定の圧力以上になると該透明チューブ内の空気を排出させる排気弁を、さらに有するものである。
管路長が200m程度の長さの管路内面を点検する場合には、細いエアーホースを用いているため透明チューブ内の空気の圧力調整が難しくなるが、本発明によれば、透明チューブ内の空気の圧力と管路内の圧力との圧力差が所定の圧力以上になると透明チューブ内の空気を排出させる排気弁を設けているので、透明チューブ内に過剰な圧力がかかることなく、管路後方へのカメラ付きロッドの移動が容易になるとともに、透明チューブが破損することを防止することができる。これにより、管路の内面を効率良く点検することができるとともに、透明チューブの破損によるコスト増大を防止することができる。
本発明のうち第5の態様に係るものは、第1〜第3のいずれかの態様に係る管路点検装置であって、カメラ付きロッドは、透明チューブ内に空気が送られ透明チューブが濁水が滞留している管路内面に密着した状態で、管路断面の略中心部で透明チューブに装着されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、カメラ付きロッドは、透明チューブが濁水が滞留している管路内面に密着した状態で、管路断面の略中心部で透明チューブに装着されているので、管路の内面を偏ることなく均等に点検することができる。
本発明のうち第6の態様に係るものは、第2の態様に係る管路点検装置であって、透明チューブ支持手段は、透明チューブ内に空気が送られ、透明チューブが管路内面に密着した状態で、透明チューブ先端の中央部に取り付けられている透明チューブ接続部材を介して取り付けられていることを特徴とするものである。
本発明のうち第7の態様に係るものは、第1〜第3の態様に係る管路点検装置であって、透明チューブは、厚みが略0.1mm〜略0.5mmの透明なシートから製作されることを特徴とするものである。
本発明によれば、厚みが略0.1mm〜略0.5mmの透明なシートから製作されたチューブを用いているので、軽量となり長い管路でもカメラ付きロッドを挿入することができ、長距離挿入が可能となる。
本発明のうち第8の態様に係るものは、第3の態様に係る管路点検装置であって、カメラ付きロッドの外周で透明チューブが装着された箇所の後方に設けられ、透明チューブ内の空気が抜き取られ内側に折りたたまれた状態で、透明チューブの折りたたまれた後方を挟み込むことにより把持するチューブホルダーを、さらに有し、チューブホルダーに把持されている透明チューブの後方部は、透明チューブ内に空気が送り込まれ、透明チューブが膨張することにより把持が外れることを特徴とするものである。
本発明によれば、透明チューブ内の空気が抜き取られ内側に折りたたまれた状態で、透明チューブの折りたたまれた後方を挟み込むことにより把持するチューブホルダーを有しているので、チューブホルダーで透明チューブの後方が把持されながらカメラ付きロッドを管路内に円滑かつ容易に挿入することができる。また、この状態で、透明チューブ内に空気が送り込み、濁水が滞留している管路の内面に透明チューブを密着させることにより、カメラ付きロッドに装着されたカメラにより濁水が滞留している管路内面をスムーズに撮影し点検することができる。
本発明のうち第9の態様に係るものは、第3の態様に係る管路点検装置であって、カメラガイドの先端部に取り付けられ、蓋閉塞バネのバネ引張力により閉塞され、所定の圧力以上の押圧力で開放する遮水蓋と、カメラ付きロッドの先端部が挿入され、カメラ付きロッドの先端のカメラを保護するカメラ保護パイプと、をさらに有し、透明チューブ内の空気が抜き取られることにより、カメラ付きロッドが挿入されたカメラ保護パイプが遮水蓋を押圧して開放させ、カメラ付きロッドの先端のカメラが透明チューブ外に露出することを特徴とするものである。
本発明によれば、透明チューブ内の空気が抜き取られることにより、カメラ付きロッドが挿入されたカメラ保護パイプがカメラガイドの先端部に取り付けられた遮水蓋を押圧して開放させ、カメラ付きロッドの先端のカメラが透明チューブ外に露出することにより、カメラ付きロッドの先端のカメラにより濁水が滞留していない管路内面を撮影し点検することができる。
本発明のうち第10の態様に係るものは、第9の態様に係る管路点検装置であって、遮水蓋は、透明チューブに送り込まれた空気の圧力が所定の圧力以上になると開放し、透明チューブ内の空気を排出させることを特徴とするものである。
管路長が200m程度の長さの管路内面を点検する場合には、細いエアーホースを用いているため透明チューブ内の空気の圧力調整が難しくなるが、本発明によれば、遮水蓋が透明チューブに送り込まれた空気の圧力が所定の圧力以上になると開放し、透明チューブ内の空気が排出されるので、透明チューブ内に過剰な圧力がかかることなく、管路後方へのカメラ付きロッドの移動が容易になるとともに、透明チューブが破損することを防止することができる。これにより、管路の内面を効率良く点検することができるとともに、透明チューブの破損によるコスト増大を防止することができる。
本発明のうち第11の態様に係るものは、第9の態様に係る管路点検装置であって、カメラ保護パイプの先端外面に複数個回転可能に設けられたOリングと、Oリングは、カメラガイド内にカメラ保護パイプが挿入される際に、カメラガイドの内面により圧縮され回転することを特徴とするものである。
本発明によれば、カメラ保護パイプの先端外面に取り付けられたOリングがカメラガイドの内面により圧縮された状態になるので、カメラガイドの先方部の遮水蓋を開放させてカメラ付きロッドの先端のカメラが透明チューブ外に露出させても、管路内の濁水が透明チューブ内に入ることを防止することができる。また、透明チューブが膨らんだ状態から透明チューブ内の空気を抜き取りながらカメラガイド内にカメラ保護パイプが挿入される際には、カメラ保護パイプの先端外面に取り付けられたOリングが回転するので、小さな挿入力でカメラ保護パイプをカメラガイド内にスムーズに挿入させることができる。
本発明のうち第12の態様に係るものは、第3の態様に係る管路点検装置であって、カメラガイドは、後端部を放射線状に径を大きくしたラッパ形状であることを特徴とするものである。
本発明によれば、カメラガイドは後端部を放射線状に径を大きくしたラッパ形状をしているので、カメラ保護パイプをカメラガイド内に挿入しやすくすることができる。
本発明のうち第13の態様に係るものは、第9の態様に係る管路点検装置であって、カメラ付きロッドの先端のカメラは、透明チューブ内の空気が抜き取られ、透明チューブ外に露出している状態で、管路断面の略中心部で透明チューブ支持手段に支持されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、カメラ付きロッドの先端のカメラが透明チューブ外に露出している状態で、管路断面の略中心部で透明チューブ支持手段に支持されているので、管路の内面を偏ることなく均等に点検することができる。
本発明のうち第14の態様に係るものは、第8の態様に係る管路点検装置であって、カメラガイドの外周方向に取り付けられるカメラガイドバンドと、カメラガイドバンドによりカメラガイドに取り付けられ、中心部を管路断面の略中心に位置させたカメラガイドに取り付けられたカメラガイドバンドから管路の内面までの略長さのカメラガイドセンタリングピンとを有するカメラガイドセンタリングバンドと、チューブホルダーの外周方向に取り付けられるチューブホルダーバンドと、該チューブホルダーバンドによりチューブホルダーに取り付けられ、中心部を管路断面の略中心に位置させたカメラ付きロッドの外周に設けられたチューブホルダーに取り付けられたチューブホルダーバンドから管路の内面までの略長さのチューブホルダーセンタリングピンとを有するチューブホルダーセンタリングバンドと、をさらに有するものである。
本発明によれば、中心部を管路断面の略中心に位置させたカメラガイドに取り付けられたカメラガイドバンドから管路の内面までの略長さのカメラガイドセンタリングピンを有するカメラガイドセンタリングバンドと、中心部を管路断面の略中心に位置させたカメラ付きロッドの外周に設けられたチューブホルダーに取り付けられたチューブホルダーバンドから管路の内面までの略長さのチューブホルダーセンタリングピンを有するチューブホルダーセンタリングバンドを設けているので、カメラの視野の中心が管路の断面中央となり、管路の内面を偏ることなく管路全体を均等に撮影し点検することができる。また、カメラ付きロッドを管路に挿入するときや管路から引き抜くときに、管路内に段差や障害物がある場合でも、カメラガイドセンタリングバンドおよびチューブホルダーセンタリングバンドにより管路のセンターが確保されるので、透明チューブが管路の段差や障害物に当たることによる透明チューブの破損を防止することができる。
本発明のうち第15の態様に係るものは、第2の態様に係る管路点検装置用いた管路点検工法であって、管路内にカメラ付きロッドを挿入して濁水が滞留している管路の内部を点検することができる管路点検工法であって、透明チューブを膨らませない状態で、カメラ付きロッドの先端を管路内の所定の位置まで挿入するカメラ付きロッド挿入工程と、該カメラ付きロッド挿入工程によりカメラ付きロッドの先端が管路内の所定の位置まで挿入された後に、エアーホースにより空気を透明チューブ内に送り、該透明チューブを膨らませることにより、管路の内面に透明チューブを密着させる透明チューブ密着工程と、該透明チューブ密着工程が実行された後に、カメラ付きロッドを後方方向に引戻しながら、カメラ付きロッドの先端に装着されたカメラにより濁水が滞留している管路内面を撮影し、該撮影された濁水が滞留している管路内面の映像を地上に送る管路内面映像送信工程と、該管路内面映像送信工程により地上に送られた濁水が滞留している管路内面の映像をモニター画面に表示するモニター画面表示工程と、を有し、該モニター画面表示工程は、濁水が滞留している管路の内面に透明チューブを密着させた状態で、カメラ付きロッドの先端に装着されたカメラにより撮影された濁水が滞留している管路内面の映像を地上のモニターに表示することを特徴とするものである。
本発明によれば、濁水が滞留している管路の内面に透明チューブを密着させた状態で、カメラ付きロッドの先端に装着されたカメラにより撮影された濁水が滞留している管路内面の映像を地上のモニターに表示するので、濁水が滞留している管路内面の点検を確実かつ能率的に行うことができる。
本発明のうち第16の態様に係るものは、第9の態様に係る管路点検装置用いた管路点検工法であって、濁水が略滞留していない管路の内部を点検する濁水不滞留管路点検工法と、濁水が滞留している管路の内部を点検する濁水滞留管路点検工法と、を有し、濁水不滞留管路点検工法は、透明チューブを膨らませない状態にして、カメラ付きロッドの先端のカメラをカメラガイドの先端部の遮水蓋から該透明チューブ外に露出させるカメラ露出工程と、透明チューブを膨らませない状態で、カメラ付きロッドの先端を管路内に挿入させるカメラ付きロッド挿入工程と、カメラ付きロッド挿入工程の実行中に、カメラガイドの先端部の遮水蓋から透明チューブ外に露出したカメラ付きロッドの先端に装着されたカメラにより略滞留していない管路内面を撮影し、該撮影された濁水が略滞留していない管路内面の映像を地上に送る濁水不滞留管路内面映像送信工程と、該濁水不滞留管路内面映像送信工程により地上に送られた濁水が滞留していない管路内面の映像をモニター画面に表示する濁水不滞留管路モニター画面表示工程と、を有し、該濁水不滞留管路モニター画面表示工程は、カメラ付きロッドの先端に装着されたカメラにより撮影された濁水が略滞留していない管路内面の映像を地上のモニターに表示させることを特徴とし、濁水滞留管路点検工法は、透明チューブを膨らませない状態で、カメラ付きロッドの先端を管路内の所定の位置まで挿入するカメラ付きロッド挿入工程と、該カメラ付きロッド挿入工程によりカメラ付きロッドの先端が管路内の所定の位置まで挿入された後に、エアーホースにより空気を透明チューブ内に送り、該透明チューブを膨らませることにより、管路の内面に透明チューブを密着させる透明チューブ密着工程と、該透明チューブ密着工程が実行された後に、カメラ付きロッドを後方方向に引戻しながら、カメラ付きロッドの先端に装着されたカメラにより濁水が滞留している管路内面を撮影し、該撮影された濁水が滞留している管路内面の映像を地上に送る濁水滞留管路内面映像送信工程と、該濁水滞留管路内面映像送信工程により地上に送られた濁水が滞留している管路内面の映像をモニター画面に表示する濁水滞留管路モニター画面表示工程と、を有し、該濁水滞留管路モニター画面表示工程は、濁水が滞留している管路の内面に透明チューブを密着させた状態で、カメラ付きロッドの先端に装着されたカメラにより撮影された濁水が滞留している管路内面の映像を地上のモニターに表示することを特徴とするものである。
本発明によれば、管路内の濁水の滞留の有無によってカメラ付きロッドの先端のカメラの撮影方法を変更させることにより、濁水が滞留している部分の撮影では、濁水が滞留している管路の内面に透明チューブを密着させた状態で、カメラ付きロッドの先端に装着されたカメラにより撮影された管路内面の映像を地上のモニターに表示させることにより、濁水が滞留している管路内面の点検を行うことができ、濁水が略滞留していない部分の撮影では、カメラガイドの先端部の遮水蓋から透明チューブ外に露出させたカメラ付きロッドの先端のカメラにより撮影された濁水が略滞留していない管路内面の映像を地上のモニターに表示させることにより、濁水が略滞留していない管路内面の点検を確実かつ能率的に行うことができる。これにより、濁水の滞留の有無に拘わらず、管路内面の点検を確実かつ能率的に行うことができる。
本発明のうち第17の態様に係るものは、第16の態様に係る管路点検工法であって、カメラ露出工程は、透明チューブを膨らませた状態から透明チューブ内の空気をエアーホースを介して徐々に排出させながらカメラ付きロッドを先方方向に押すことにより、透明チューブと管路内面との摩擦力により透明チューブが折りたたまれ、カメラ保護パイプがカメラガイドの先方の遮水蓋を開放し、カメラ付きロッドの先端のカメラを該透明チューブ外に露出させることを特徴とするものである。
本発明によれば、濁水滞留管路内面映像送信工程が実行された後に、透明チューブを膨らませた状態から透明チューブ内の空気を徐々に排出させながらカメラ付きロッドを先方方向に押すことにより、透明チューブと管路内面との摩擦力により透明チューブが内側に折りたたまれ、カメラ保護パイプがカメラガイドの先方の遮水蓋を開放し、カメラ付きロッドの先端のカメラを透明チューブ外に露出させて、カメラ付きロッドの先端のカメラにより管路の濁水が略滞留していない部分の内面を撮影し、その撮影された映像が地上に送られるので、管路の濁水が滞留している部分の内面を点検した後、スムーズに管路の濁水が略滞留していない部分の内面を点検することができる。
本発明のうち第18の態様に係るものは、第16または第17の態様に係る管路点検工法であって、透明チューブ密着工程は、カメラ保護パイプの先端部が該透明チューブ外に露出した状態から透明チューブ内にエアーホースを介して空気が送り込まれることにより透明チューブが膨らみ、カメラ保護パイプがカメラガイドの後方から抜き出された状態で管路の内面に透明チューブが密着することを特徴とするものである。
本発明によれば、カメラ保護パイプの先端部が透明チューブ外に露出した状態から透明チューブ内にエアーホースを介して空気が送り込まれることにより透明チューブが膨らみ、カメラ保護パイプがカメラガイドの後方から抜き出された状態で管路の内面に透明チューブが密着するので、管路の濁水が滞留していない部分の内面を点検した後、スムーズに管路の濁水が略滞留している部分の内面を点検することができる。
以上のように本発明の管路点検装置およびそれを用いた管路点検工法によれば、透明チューブを膨らませない状態で、透明チューブが詰まることなく、容易にかつ円滑にカメラ付きロッドを管路内に挿入することができる。
(第1実施形態)
以下、本発明の管路点検装置の第1実施形態について図面を参照にしながら説明する。ここで、図1は本発明の第1実施形態における管路点検装置を用いて点検される管路を示す断面図である。
図1に示すように、人孔(マンホール)1と相隣合う人孔1とは管路2で連通され、管路2には電気ケーブル等が挿通されている。管路点検装置3は、この管路2の段差、開き、亀裂、破損等の異常箇所を点検するものである。ここで、後述するように、管路点検装置3は、管路2内に濁水が滞留していても正確かつ確実に管路2の異常箇所を点検することができる。
次に、管路点検装置3を用いて行う管路2の異常箇所点検作業の全体構成について説明する。ここで、図2は本発明の第1実施形態における管路点検装置を用いた点検作業状況を示す全体概略図である。
図2に示すように、管路2の異常箇所は管路点検装置3を用いて地上のモニター画面4で点検することができる。具体的には、地上に配置されたロッド巻取リール6に巻かれている高剛性材料からなるカメラ付きロッド9を人孔1を介して地中内に挿入される。このカメラ付きロッド9の地中内への挿入の際には、地上のオペレータ7が地上の作業者10aおよび地下の作業者10bにトランシーバで連絡し、地上の作業者10aがロッド巻取リール6を回転させ、地下の作業者10bがロッド巻取リール6に巻かれたカメラ付きロッド9を引っ張りながら管路2内に押込むことによりカメラ付きロッド9の先端が管路2内の点検位置まで挿入される。
カメラ付きロッド9の先端を管路2内の点検位置まで挿入させると、地上のオペレータ7が地上の作業者10aおよび地下の作業者10bにトランシーバで連絡し、地上の作業者10aおよび地下の作業者10bにより管路2内のカメラ付きロッド9を引っ張ることによりロッド巻取リール6を逆回転させ、カメラ付きロッド9が引戻される。そして、カメラ付きロッド9が後方方向に引戻される際には、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより管路2内面の映像が撮影され、その映像が制御機8のモニター画面4および地下のモニター画面5に表示され、制御機8で録画記憶される。
次に、管路点検装置3の構成について具体的に説明する。ここで、図3は本発明の第1実施形態における管路点検装置の斜視図であり、図4は同管路点検装置の分解斜視図である。
図3および図4に示すように、管路点検装置3は、カメラ付きロッド9と、透明チューブ12と、補助ロッド13(透明チューブ支持手段)と、エアーホースA14と、エアーホースB15aに取り付けられた排気弁15bとを有している。なお、本実施形態では排気弁15bを設けたが、これに限らず、排気弁15b(エアーホースB15aも含む)は必須の構成でなく排気弁15b(エアーホースB15aも含む)を設けない構成にしてもよい。
カメラ付きロッド9は、強度および弾性率に優れ、軽量のカーボンファイバーを材質とした棒状形状で構成され、先端にカメラ11aが装着され、そのカメラ11aの長手方向周辺にはカメラ保護パイプ11b(図4参照)が装着されている。具体的には、カメラ付きロッド9の径は略12mm、曲げ剛性は略40Nm2であり、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aの径は16mmである。なお、本実施形態では、カメラ付きロッド9をカーボンファイバーから構成されるとしたが、これに限らず、グラスファイバーなどの他の材質から構成させてもよい。また、本実施形態では、径が略12mm、曲げ剛性が略40Nm2のカメラ付きロッド9、径が16mmのカメラ11aを用いたが、カメラ付きロッド9の径および曲げ剛性、カメラ11aの径は、これに限定されるものではない。
透明チューブ12は、厚みが略0.2mmで、伸縮性のあるウレタンゴムからなる透明なシートから製作され、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aが後方部に内包され、内部が密閉された形態を有している。ここで、透明チューブ12の長さは、透明チューブ12に内包されるカメラ11aの視野長(例えば、略100cm)、つまりカメラ11aにより撮影できる範囲長さと、カメラ付きロッド9の取付けに必要な長さ(例えば、略50cm)、つまり透明チューブ12の後端部から透明チューブ12の内部に突出して取り付けられているカメラ付きロッド9の先端までの長さを加えた長さ(例えば、略150cm)である。このように、透明チューブ12の長さは、カメラ11aの視野長に合わせることにより、空中と同様の視認性を得ることができる。また、透明チューブ12の管路2方向の補助ロッド13周辺にはスケール表示ロープ(図示略)が貼り付けられている。このスケール表示ロープ(図示略)は、後述するように、透明チューブ12内に空気が送り込まれ透明チューブ12が膨張したときなどに、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aにより撮影され、そのカメラ11aにより撮影された映像は地上の制御機8のモニター画面4および地下のモニター画面5に表示され制御機8に記憶される。これにより、地上のオペレータ7および地下の作業者10bは点検対象になっている管路2の異常部の大きさを確認することができる。なお、本実施形態では、透明チューブ12を伸縮性のあるウレタンゴムから構成されたが、これに限らず、伸縮性のあるシリコンゴムを用いてもよい。このように、透明チューブ12が伸縮性のあるウレタンゴムやシリコンゴムから構成される場合は、その伸縮性により透明チューブ12の径が管路2の径より小さく、例えば管路2の径より略1cm程度小さくすることもできる。また、透明チューブ12を、安価な材質であるポリ塩化ビニルから構成するようにしてもよい。このように、透明チューブ12がポリ塩化ビニルから構成される場合は、ポリ塩化ビニルは伸縮性をほとんど有しないため、透明チューブ12の径が管路2の径と略同一の透明チューブ12が用いられる。以上のように、透明チューブ12の材質は特に限定するものでなく、透明チューブ12は管路2の径と略同一〜略1cm程度小さい径のものが用いられる。また、本実施形態では、透明チューブ12の厚みを略0.2mmとしたが、これに限らず、略0.1mm〜略0.5mmの厚みとしてもよい。このように、略0.1mm〜略0.5mmの薄い厚みの透明チューブ12を用いることにより、透明チューブ12の重さが障害とならず、カメラ付きロッド9を管路2の遠距離まで挿入することができる。また、透明チューブ12の長さを略150cmとしたが、これに限らず、略100cm〜略150cmとしてもよい。
補助ロッド13は、軽量で弾性を有するカーボンファイバーを材質とした径が略5mmの棒状形状で構成され、先方部が透明チューブ12先端の中央部に取り付けられている透明チューブ接続リング17aを介して透明チューブ12の先端部に取り付けられ、後方部がカメラ付きロッド9に移動できない状態で固定されている。ここで、透明チューブ接続リング17aは、透明チューブ12先端を閉塞するために取り付けられた透明チューブ閉塞フック18に接続されている。この透明チューブ閉塞フック18は、透明チューブ12の先端の内部に取り付けられる透明チューブ閉塞フック内部材18aと、透明チューブ閉塞フック内部材18aとともに透明チューブ12の先端部を挟み込むことにより、透明チューブ12の先端部を閉塞させる透明チューブ閉塞フックバンド18bから構成されている。なお、本実施形態では、補助ロッド13をカーボンファイバーから構成されるとしたが、これに限らず、グラスファイバーなどの他の材質から構成させてもよい。また、本実施形態では、補助ロッド13を透明チューブ接続リング17aを介して透明チューブ12の先端部に取り付けたが、これに限らず、透明チューブ接続ワイヤーなどの他の透明チューブ接続部材(透明チューブ接続リング17a含む)を介して取り付けるにしてもよい。また、本実施形態では、補助ロッド13の先方部を透明チューブ接続リング17aを介して間接的に透明チューブ12の先端部に取り付けるとしたが、これに限らず、補助ロッド13の先方部を透明チューブ12の先端部に直接取り付けるようにしてもよい。さらに、本実施形態では、径が略5mmの補助ロッド13を用いたが、補助ロッド13の径はこれに限定されるものではない。
エアーホースA14は、滑り特性のよい材質から構成され、透明チューブ12内に空気(エアー)を送り込むホースである。エアーホースA14は、内径略6.5mm、重量略57g/m、50mの長さで構成され、カメラ付きロッド9の先端を管路2内に200m挿入させるときは、50mのエアーホースA14を4本接続させることにより、透明チューブ12内に空気が送り込まれる。なお、本実施形態では、50mの長さのエアーホースA14を用いたが、これに限らず、50m以外の他の所定の長さ(50m含む)のエアーホースA14を用いてもよい。
排気弁15bは、エアーホースB15aに取り付けられ、透明チューブ12内の空気の圧力と管路2内の圧力との圧力差が5kPa以上になると透明チューブ12内の空気を排出させる弁である。具体的には、透明チューブ12内の空気の圧力と管路2内の圧力との圧力差が5kPa以上になると排気弁15bが開放し、透明チューブ12内の空気がエアーホースB15aから自然排気される。このように、排気弁15bが設けられているので、透明チューブ12内の圧力が一定以上の圧力にならず、透明チューブ12の内圧が制限される。なお、本実施形態では、透明チューブ12内の空気の圧力と管路2内の圧力との圧力差が5kPa以上になると透明チューブ12内の空気を排出させるとしたが、これに限らず、5kPa以上の圧力差以外の他の所定の圧力差(5kPa以上含む)になると透明チューブ12内の空気を排出するようにしてもよい。また、エアーホースA14の地上での送排気操作箇所には排気用分岐弁(図示略)が設けられている。この排気用分岐弁(図示略)を開放することにより、透明チューブ12内の空気を排出させることができる。本実施形態では、排気用分岐弁(図示略)を開放して自然排気させているが、これに限らず、排気用分岐弁(図示略)を開放し、その先から吸気させるようにしてもよい。
次に、管路点検装置3の製造手順について簡単に説明する。
透明チューブ12の先端に透明チューブ閉塞フック18が取り付けられ、これにより透明チューブ12の先端が閉塞される。そして、透明チューブ12の先端の透明チューブ閉塞フック18に透明チューブ接続リング17aが取り付けられ、その透明チューブ接続リング17aに補助ロッド13の先端が接続される。
次に、透明チューブ12を膨らました状態で、カメラ付きロッド9が透明チューブ12の断面略中心部になるように、カメラ付きロッド9を透明チューブ12後端部から挿入するとともに、透明チューブ12の後端部が締付けホルダー19aおよびホルダー内挿通口部19bを用いてカメラ付きロッド9、エアーホースA14および、エアーホースB15a(排気弁15b含む)とともに締め付けられ取り付けられる。具体的には、ホルダー内挿通口部19bの各挿通口にカメラ付きロッド9、エアーホースA14、およびエアーホースB15aが挿通され、その状態でホルダー内挿通口部19bの外側から締付けホルダー19aにより締め付ける。これにより、透明チューブ12後端部で、カメラ付きロッド9、エアーホースA14およびエアーホースB15a(排気弁15b)が締付けホルダー19aにより束ねられた状態となる。このように、透明チューブ12後端部は透明チューブ12内の空気が漏れないように密閉される。また、補助ロッド13の後方部は補助ロッドホルダー20によりカメラ付きロッド9に固定させている(図3参照)。
次に、管路点検装置3を用いた管路点検工法について説明する。ここで、図5は本発明の第1実施形態における管路点検装置を用いた管路点検工法のフローチャートを示す図であり、図6(a)は同管路点検装置のカメラ付きロッドの管路への挿入途中状況を示す図であり、図6(b)は同管路点検装置の透明チューブを膨らませた状態を示す図であり、図7は図6(b)のA―A断面図を示す図である。
S1において、カメラ付きロッド挿入工程が実施される。このカメラ付きロッド挿入工程では、透明チューブ12を膨らませない状態で、管路2内の点検対象となる所定の位置までカメラ付きロッド9が押し込まれ挿入される(図6(a)参照)。具体的には、地上のオペレータ7が地上の作業者10aおよび地下の作業者10bにトランシーバで連絡し、地上の作業者10aがロッド巻取リール6を回転させ、地下の作業者10bがカメラ付きロッド9を引っ張りながら管路2内に押込むことによりカメラ付きロッド9の先端が管路2内の点検位置(所定の位置)まで挿入される。ここで、管路2内の点検位置(所定の位置)というのは、管路2のこれから点検を行う濁水が滞留している部分の挿入方向の端部付近のことである。この管路2内にカメラ付きロッド9が挿入される際に、補助ロッド13の先方が透明チューブ12の先端部の透明チューブ接続リング17aに取り付けられているので、補助ロッド13により透明チューブ12が支持され、透明チューブ12が折れ曲がり難くなり、透明チューブ12が詰まることなく容易にかつ円滑にカメラ付きロッド9を管路2内に挿入することができる。ここで、カメラ付きロッド挿入工程で管路2内に濁水が滞留している位置が検出されると、その管路2内の濁水が滞留している部分の位置が制御機8に記憶され、上述したカメラ付きロッド9が挿入される点検対象となる所定の位置からその記憶された位置までの濁水が滞留している管路2の内面が点検される。
次に、S2に進む。
S2において、透明チューブ密着工程が実施される。この透明チューブ密着工程では、カメラ付きロッド挿入工程(S1)によりカメラ付きロッド9の先端が管路2内の所定の位置まで挿入された後に、エアーホースA14により空気(エアー)が透明チューブ12内に送り込まれ、透明チューブ12を膨らませることにより管路2内に滞留した濁水を排除させながら、管路2の内面に透明チューブ12を密着させる。具体的には、地上のエアコンプレッサー(図示略)からエアーホースA14を介し透明チューブ12内に空気が送り込まれることにより、管路2内に滞留した濁水を排除させながら、管路2の内面に透明チューブ12を密着させる。ここで、管路2内の濁水が滞留している部分については、透明チューブ12を完全に膨らませなくても濁水の浮力により管路2上部に密着することから、透明チューブ12を完全に膨らませないようにして行ってもよい。さらに、管路2内面全周を点検する場合は、その点検箇所で停止し、透明チューブ12内にさらに空気を送り込み透明チューブ12を管路2内周全体に充分密着させるようにして行う。そして、透明チューブ12の膨らんだ状態では、後述するように、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aにより補助ロッド13周辺のスケール表示ロープ(図示略)が撮影され、地上のオペレータ7および地下の作業者10bは点検対象になっている管路2の異常部の大きさを確認することかできる。また、透明チューブ12内に空気が送り込まれることにより透明チューブ12内の空気圧が高くなり、透明チューブ12内の空気圧と管路2内の圧力との圧力差が5kPa(所定の圧力)以上になると排気弁15bが開放し、透明チューブ12内の空気がエアーホースB15aから透明チューブ12外に排出される。このように、透明チューブ12内の空気圧と管路2内の圧力との圧力差が5kPa以上になると透明チューブ12内の空気が排出されるので、透明チューブ12内に過剰な圧力がかかることなく、カメラ付きロッド9を移動し易くなるとともに、透明チューブ12が破損することを防止することができる。そして、S3に進む。
S3において、管路内面映像送信工程が実施される。この管路内面映像送信工程では、透明チューブ密着工程(S2)が実行された後に、後述のS9に示すように、カメラ付きロッド9を後方方向に引戻しながら、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより撮影された管路2内面の鮮明な点検映像が地上に送られる(図6(b)参照)。具体的には、カメラ付きロッド9を後方方向に引戻している途中でカメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより管路2内面が撮影され、また、管路2内面を詳細に撮影する必要がある箇所については、後述のS8でNoと判断し、カメラ付きロッド9の引戻し途中で一時停止させてカメラ11aにより管路2内面が撮影され、そのカメラ11aにより撮影された管路2内面の映像が地上に送られる。このように、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより撮影された管路2内面の映像データは、カメラ11aからカメラ付きロッド9内の配線を介し、地上の制御機8に送られる。ここで、上述したように、透明チューブ12を完全に膨らませなくても管路2内の濁水の浮力により管路2上部に密着することから、透明チューブ12内の空気圧を過剰に加えない状態であれば、透明チューブ12を膨らませた状態でカメラ付きロッド9を後方方向に引戻すことが可能である。また、管路2内面全周を点検する場合は、その点検箇所で停止し、チューブ12内にさらに空気を送り込み透明チューブ12を管路2内周全体に充分密着させてからカメラ11aにより管路2内面が撮影される。このように、本実施形態では、「カメラ付きロッド9を後方方向に引戻しながら、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより撮影された管路2内面の鮮明な点検映像が地上に送られる。」と説明しているが、これは、上述したように、後述のS9に示すように、カメラ付きロッド9を後方方向に引戻す動作中に、カメラ11aにより管路2内面の鮮明な点検映像を撮影する場合に限らず、カメラ付きロッド9を後方方向に引戻し、後述のS8でNoと判断し、一時停止した後にカメラ11aにより管路2内面の詳細な点検映像を撮影する場合も含まれ、また、カメラ11aにより撮影された管路2内面の鮮明な点検映像を地上に送るタイミングについても管路2内の点検作業中(カメラ付きロッド9を後方方向に引戻作業中)であればいずれも含まれることを意味している。そして、S4に進む。
S4において、モニター画面表示工程が実施される。このモニター画面表示工程では、管路内面映像送信工程(S3)により地上に送られた管路2内面の映像をモニター画面4に表示される。具体的には、カメラ付きロッド9内の配線を介し地上の制御機8に送られた管路2内面の映像データにより管路2内面の映像がモニター画面4に表示され制御機8に記憶されるとともに、地下のモニター画面5にも表示される。そして、S5に進む。
S5において、後述のS9に示すように、後方方向に引戻しながらカメラ11aにより管路2内面の映像を撮影しているが、この後方方向に移動しているカメラ付きロッド9を管路2内を前方方向に移動させるかが判断される。具体的には、地上のオペレータ7がカメラ付きロッド9を管路2内で前進させるための指示をしたかが判断される。そして、地上のオペレータ7によりカメラ付きロッド9を前方方向に移動させるための指示が行われた場合は、S5で「Yes」と判断されS6に進む。
S6において、カメラ付きロッド前進工程が実施される。このカメラ付きロッド前進工程では、膨らんでいる透明チューブ12内の空気を排気し、地上の作業者10aおよび地下の作業者10bによりロッド巻取リール6に巻かれたカメラ付きロッド9が引っ張られることにより、再挿入の所定の位置までカメラ付きロッド9が押し込まれ前進させる。具体的には、エアーホースA14の地上操作箇所に設けた排気用分岐弁(図示略)を開放し、膨らんでいる透明チューブ12内の空気をエアーホースA14から自然排気させ、地上のオペレータ7がモニター画面4で管路2内の状況を確認しながら、カメラ付きロッド9の先端を管路2内の所定の位置まで前進させる。ここで、再挿入の所定の位置というのは、管路2の現在点検を行っている濁水が滞留している部分の挿入方向の端部付近のことのみならず、管路2の現在点検を行っている濁水が滞留している部分の任意の位置のことである。また、カメラ付きロッド前進工程は、膨らんでいる透明チューブ12内の空気を排気して行われるが、透明チューブ12内の空気の大半を排気する必要はなく、ある程度の空気を透明チューブ12内から排気すれば十分である。このように、エアーホースA14の地上操作箇所に設けた排気用分岐弁(図示略)を開放させて、透明チューブ12内の空気を排気させることにより、補助ロッド13が折れることなく、円滑かつ容易に管路2内にカメラ付きロッド9を容易に挿入させることができる。そして、S2→S3→S4→S5の処理が実施され、S5で「No」と判断された場合はS7に進む。なお、本実施形態では、「カメラ付きロッド前進工程」を「カメラ付きロッド挿入工程」と別名称で設けたが、「カメラ付きロッド前進工程」は実質的に「カメラ付きロッド挿入工程」と同等の工程であり、その意味で「カメラ付きロッド前進工程」を「カメラ付きロッド挿入工程」と考えてもよい。
S7では、管路2内の点検が終了したかが判断される。そして、管路2内の点検が終了していない場合は、S7で「No」と判断されS8に進む。S8において、カメラ付きロッド9を更に管路2内を後方方向に移動させるかが判断される。具体的には、地上のオペレータ7がカメラ付きロッド9を管路2内で更に後方させるための指示をしたかが判断される。そして、地上のオペレータ7によりカメラ付きロッド9を更に後方方向に移動させるための指示が行われた場合は、S8で「Yes」と判断されS9に進む。
S9において、カメラ付きロッド後退工程が実施される。このカメラ付きロッド後退工程では、上述したように、透明チューブ12を完全に膨らませなくても管路2内の濁水の浮力により管路2上部に密着することから、透明チューブ12内の空気圧を過剰に加えない状態で、透明チューブ12を膨らませた状態でカメラ付きロッド9を後方方向に引戻される。そして、S3に進み、S3→S4→S5→S7の処理が実施され、S7で「Yes」と判断されるまでS3→S4→S5の処理が繰り返し実施される。
以上説明したように、先方部が透明チューブ12の先端部に取り付けられ、後方部がカメラ付きロッド9に固定された補助ロッド13が設けられているので、補助ロッド13により透明チューブ12が支持され、透明チューブ12を膨らませない状態で管路2に挿入しても透明チューブ12が折れ曲がり難くなり、透明チューブ12が詰まることなく容易にかつ円滑にカメラ付きロッド9を管路2内に挿入することができる。また、管路2内の透明チューブ12を膨らませることにより、管路2の点検箇所の濁水が排除されるとともに、透明チューブ12を管路2内面に密着させることにより、正確かつ確実に管路2内面を点検することができる。また、カメラ付きロッド9は、透明チューブ12が管路2内面に密着した状態で、管路2断面の略中心部で透明チューブ12に装着されているので、管路2の内面を偏ることなく均等に点検することができる。また、厚みが略0.1mm〜略0.5mmの透明なシートにより製作された透明チューブ12を用いているので、軽量となり長い管路2でもカメラ付きロッド9を挿入することができ、長距離挿入が可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の管路点検装置の第2実施形態について図面を参照にしながら説明する。ここで、図8は、本発明の第2実施形態における管路点検装置を用いて点検される管路を示す断面図である。
本発明の第2実施形態と第1実施形態の異なる主なところは、第1実施形態では、先方部が透明チューブ12の先端部に取り付けられ、後方部がカメラ付きロッド9に固定された補助ロッド13を用いて、その補助ロッド13により管路2内にカメラ付きロッド9を挿入する際に透明チューブ12の先端を支持させ、カメラ付きロッド9のカメラ11aにより濁水が滞留している管路2の内部を円滑に点検できるようにしたものであるのに対し、第2実施形態では、中空形状で、外周後方部に透明チューブ12の先端部が取り付けられ、透明チューブ12内の空気が抜き取られることにより後方からカメラ付きロッド9が挿入され、透明チューブ12の先端を支持するカメラガイド51を用い、カメラ付きロッド9のカメラ11aにより濁水が滞留している管路2の内部のみならず濁水が滞留していない管路2の内部も円滑に点検できるようにしたところである。なお、第2実施形態においては、第1実施形態と異なるところを中心に説明する。また、第2実施形態では、第1実施形態と同一構成については、同一符号を用い、同一作用効果を奏するものとし説明は省略する。
図8に示すように、人孔(マンホール)1と相隣合う人孔1とは管路2で連通され、管路2には電気ケーブル等が挿通されている。管路点検装置53は、この管路2の段差、開き、亀裂、破損等の異常箇所を点検するものである。ここで、後述するように、管路点検装置53は、管路2内の濁水の有無に拘わらず正確かつ確実に管路2全体の異常箇所を点検することができる。なお、管路2の点検方法については図2を用いて説明した内容から容易に理解できるので説明は省略する。
次に、管路点検装置53の構成について具体的に説明する。ここで、図9は本発明の第2実施形態における管路点検装置の斜視図であり、図10は同管路点検装置の断面図であり、図11は同管路点検装置の分解斜視図である。
図9〜図11に示すように、管路点検装置53は、カメラ付きロッド9と、カメラホルダーA59aと、透明チューブ12と、カメラガイド51(透明チューブ支持手段)と、エアーホースA14と、チューブホルダー52、遮水蓋54、カメラガイドセンタリングバンド55、チューブホルダーセンタリングバンド56とを有している。なお、本実施形態では、遮水蓋54が第一実施形態の排気弁15bの機能を有しているので、第一実施形態のような排気弁15b(エアーホースB15aも含む)を設けていない。
カメラ付きロッド9は、強度および弾性率に優れ、軽量のカーボンファイバーを材質とした棒状形状で構成され、先端にカメラ11aが装着され、そのカメラ11aの長手方向周辺にはカメラ保護パイプ11b(図11参照)が装着されている。このカメラ保護パイプ11bはカメラ付きロッド9の先端のカメラ11aを保護するためのものである。また、カメラ保護パイプ11bとカメラ付きロッド9の先端のカメラ11aの間にOリング(図示略)を設け、そのOリング(図示略)によりカメラ11aが固定されるとともに管路2からの漏水を防止している。そして、カメラ付きロッド9のカメラ11aは、カメラ保護パイプ11bを装着した状態で、カメラ保護パイプ11bの先端から約1mm〜2mm程度後方(カメラ保護パイプ11b内部方向)で固定されている。これにより、カメラ付きロッド9のカメラ11aは、カメラ保護パイプ11bにより視野が遮られることなく管路2の内面を撮影できるとともに、カメラ保護パイプ11bによりカメラ付きロッド9のカメラ11aが保護される。また、カメラ保護パイプ11bの先端外面にはOリング58が取り付けられている。なお、本実施形態では、カメラ保護パイプ11bの先端外面にOリング58を2個取り付けたが、これに限らず、3個以上の複数個取り付けるようにしてもよい。
カメラホルダーA59aは、カメラ付きロッド9とエアーホースA14を挿通し固定するものである。カメラホルダーA59a内先方には、Oリング59cが設けられ、そのOリング59cは先方からOリング押さえ機器59bにより押圧されカメラホルダーA59a内に固定される。また、カメラホルダーA59aの後方にもOリング59dが装着されており、このカメラホルダーA59aの後方のOリング59dは、カメラ付きロッド9がカメラホルダーA59a内に挿入されることで、カメラホルダーA59aの後部に装着される。(図11参照)。このカメラホルダーA59a内に配されたOリング59c、59dにより漏水を防止することができる。
透明チューブ12は、厚みが略0.2mmで、伸縮性のあるウレタンゴムからなる透明なシートから製作され、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aが後方部に内包され、内部が遮水蓋54により閉塞された形態を有している。この透明チューブ12は、内部が膨らんだときの直径が管路2の内径と略同径で、前方のテーパーを緩くし、後方のテーパーをきつくしている。また、透明チューブ12の内部には、カメラガイド51のラッパ部とカメラホルダーA59aの前面とで連結されている連結用ステンレスワイヤー57が設けられ、その連結用ステンレスワイヤー57の周辺にはスケール表示ロープ(図示略)が貼り付けられている。このスケール表示ロープ(図示略)は、管路2の異常部の大きさを確認するためのもので、透明チューブ12内に空気が送り込まれ透明チューブ12が膨張したときに、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aにより管路2の異常部が撮影され、そのカメラ11aにより撮影された異常部の映像は地上の制御機8のモニター画面4および地下のモニター画面5に表示され制御機8に記憶される。これにより、地上のオペレータ7および地下の作業者10bは点検対象になっている管路2の異常部の大きさを確認することかできる。
カメラガイド51は、中空形状で後端部を放射線状に径を大きくしたラッパ形状で形成され、外周後方部に透明チューブ12の先端部が取り付けられ、透明チューブ12内の空気が抜き取られることにより後方からカメラ付きロッド9が挿入されるものである。具体的には、透明チューブ12の先端部をカメラガイド51とゴムバンド60の間に挟み込み、ゴムバンド60の上部から固定バンド61で締め付けることにより、透明チューブ12の破損を防止することができるとともに、透明チューブ12とカメラガイド51の間から透明チューブ12内に漏水することを防止することができる。ここで、上述したように透明チューブ12の前方のテーパーを緩くし、カメラガイド51とゴムバンド60の間に透明チューブ12が入りやすい形状にしている。また、カメラガイド51の後端部を放射線状に径を大きくしたラッパ形状にし、カメラ保護パイプ11bをカメラガイド51内に挿入しやすい形状にしている。このカメラガイド51のラッパ部には、連結用ステンレスワイヤー57と結合させるための連結用ステンレスワイヤー孔(図示略)が形成されている。また、カメラガイド51の内径は21.5mm、カメラ保護パイプ11bの外径は20mmで、片側0.75mmのクリアランスを有し、そして、カメラ保護パイプ11bの外面に装着されたOリング58の断面の径が1mmであるので、カメラ保護パイプ11bがカメラガイド51内に挿入されると、Oリング58はカメラガイド51の内面とカメラ保護パイプ11bの外面の間で圧縮した状態となる。
チューブホルダー52は、カメラ付きロッド9の外周に設けられ、透明チューブ12内の空気が抜き取られ内側に折りたたまれた状態で、透明チューブ12の折りたたまれた後方を挟み込むことにより把持するものである。このチューブホルダー52は、ネジにより結合される2分割の構成からなり、それぞれの先方部にカメラ付きロッド9の軸方向の切欠部52aが形成されている。また、チューブホルダー52の切欠部52aの後方には着脱自在のバネバンド52bが設けられている。このバネバンド52bは、コイルばねから構成され、チューブホルダー52の先端(切欠部52aが形成されている箇所)に内側方向の力(バネ力)を発揮させることができる。また、バネバンド52bを交換することによりバネ力を調整することができる。そして、透明チューブ12内の空気を抜き取ることにより透明チューブ12が折りたたまれ、透明チューブ12の後方がチューブホルダー52の先方部の内側に挟み込まれることにより、そのチューブホルダー52の内側に挟み込まれた透明チューブ12は、その放射線状に広がったチューブホルダー52の内側方向のバネ力で外周から抑えられ、チューブホルダー52に把持固定される。このように、折りたたまれた透明チューブ12の後方をチューブホルダー52により挟み込み固定させることにより、管路点検装置53を前後移動させやすくなるとともに、管路2の段差や障害物から透明チューブ12を保護することができる。また、透明チューブ12がチューブホルダー52により把持固定されている状態から透明チューブ12内に空気が送り込まれることにより、透明チューブ12が膨らみ、その膨らむ力により、透明チューブ12をチューブホルダー52から離脱させることができる。
遮水蓋54は、カメラガイド51の先端部に取り付けられ、蓋閉塞バネ62のバネ引張力により閉塞され、略2N以上の押圧力で開放するものである。すなわち、遮水蓋54は、透明チューブ12内の空気の圧力と管路2内の圧力との圧力差が5kPa以上になると開放し、遮水蓋54の側面積は45mm2であることから、2.25N(略2N)以上の押圧力で開放するものである。具体的には、蓋閉塞バネ62は、固定バンド62aの左右で係止されたバネ掛けプレート62bとワイヤー62cに取り付けられている。そして、カメラ付きロッド9先端のカメラ保護パイプ11bがカメラガイド51から引き抜かれることにより、蓋閉塞バネ62のバネ引張力によりワイヤー62cが引っ張られ、遮水蓋54が閉塞される。このバネ掛けプレート62bは、固定バンド62aにより所定の力(例えば、略2Nの力)で引っ張られているので、遮水蓋54が蓋閉塞バネ62のバネ引張力により閉塞され、管路2内に滞留した濁水が透明チューブ12内に漏水することを防止することができる。このように、遮水蓋54は、略2N以上の押圧力で押圧されていない場合は蓋閉塞バネ62のバネ引張力により閉塞され、管路2内に滞留した濁水が透明チューブ12内に漏水することを防止することができる。また、バネ掛けプレート62bの引っ張り力を変更したいときは、固定バンド62aの前後方向の位置を変更させることにより調整することができる。また、遮水蓋54は遮水蓋防護板54aに取り付けられているので、管路2の挿入時に段差や障害物があっても、遮水蓋54が管路2の段差などに直接衝突せず遮水蓋防護板54aに衝突するので、遮水蓋54を防護することができる。ここで、遮水蓋54の周りにはOリング54bが設けられ、管路2内に滞留した濁水が透明チューブ12内に漏水しないようにしている。また、遮水蓋54は、カメラ付きロッド9先端のカメラ保護パイプ11bによって略2N以上の押圧力で押圧されることにより開放する。さらに、遮水蓋54は、透明チューブ12に送り込まれた空気の圧力が5kPa以上になると開放し、透明チューブ12内の空気を管路2に排出させる。すなわち、透明チューブ12内の空気の圧力と管路2内の圧力との圧力差が5kPa以上になると透明チューブ12内の空気が遮水蓋54を介して管路2内に排出される。このように、遮水蓋54が設けられているので、透明チューブ12内の圧力が一定以上の圧力にならず、透明チューブ12の内圧が制限される。なお、本実施形態では、遮水蓋54が略2N以上の押圧力で開放するとしたが、これに限らず、略2N以上の押圧力以外の他の所定の押圧力(略2N以上含む)になると遮水蓋54が開放するようにしてもよい。
カメラガイドセンタリングバンド55は、カメラガイドバンド63と、カメラガイドセンタリングピン64とを有している。カメラガイドバンド63は、カメラガイド51の外周に取り付けられる。また、カメラガイドセンタリングピン64は、ポリエチレン製で、カメラガイドバンド63によりカメラガイド51に取り付けられ、中心部を管路2断面の略中心に位置させたカメラガイド51に取り付けられたカメラガイドバンド63から管路2の内面までの略長さを有している。具体的には、カメラガイドセンタリングピン64は、円柱形状の棒状部とその棒状部の下辺に形成された平面部からなるものを8個有している。上述したようにカメラガイドセンタリングピン64は、ポリエチレンを材質として形成されているので、柔軟に曲げることができ、細い隙間の管路2であっても通過させることができる。また、カメラガイドバンド63は、上部が分離可能で、カメラガイドセンタリングピン64の棒状部が挿入される棒状部挿入孔が8個形成されている。そして、カメラガイドバンド63の棒状部挿入孔に内部からカメラガイドセンタリングピン64の棒状部がそれぞれ8個挿入され、この状態でカメラガイドセンタリングバンド取付ゴム68の上部からカメラガイドセンタリングバンド55を挟み込むことによりカメラガイド51の外周に設置され、カメラガイドバンド63の上部をネジにより結合させることにより、カメラガイドセンタリングバンド55がカメラガイド51に取り付けられる。なお、大きさが異なる管路2については、長さが異なるカメラガイドセンタリングピン64に交換することにより対応することができる。
チューブホルダーセンタリングバンド56は、チューブホルダーバンド65と、チューブホルダーセンタリングピン66とを有している。チューブホルダーバンド65は、チューブホルダー52の外周に取り付けられている。また、チューブホルダーセンタリングピン65は、ポリエチレン製で、チューブホルダーバンド65によりチューブホルダー52に取り付けられ、中心部を管路2断面の略中心に位置させたカメラ付きロッド9の外周に設けられたチューブホルダー52に取り付けられたチューブホルダーバンド65から管路2の内面までの略長さを有している。なお、チューブホルダーバンド65およびチューブホルダーセンタリングピン66は、上述したカメラガイドバンド63およびカメラガイドセンタリングピン64と略同一形状であり、チューブホルダーセンタリングバンド56をチューブホルダー52に取り付ける方法もカメラガイドセンタリングバンド55をカメラガイド51に取り付ける方法と同様であるので、説明は省略する。
カメラガイドセンタリングバンド55をカメラガイド51の外周に取り付け、チューブホルダーセンタリングバンド56をチューブホルダー52の外周に取り付けることにより、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aは、カメラ付きロッド9が管路2断面の略中心部で支持されるので、カメラ11aの視野の中心が管路2の断面中央となり、管路2の内面を偏ることなく管路2全体を均等に撮影することができ点検することができる。また、カメラ付きロッド9を管路2に挿入するときや管路2から引き抜くときに、管路2内に段差や障害物がある場合でも、カメラガイドセンタリングバンド55およびチューブホルダーセンタリングバンド56により管路2のセンターが確保されるので、管路2の段差や障害物に透明チューブ12が当たることが少なくなり、透明チューブ12が破損することを防止することができる。
次に、管路点検装置53の製造手順について簡単に説明する。
ゴムバンド60の外側から固定バンド61が取付けられ、また、ゴムバンド60の先方にカメラガイドセンタリングバンド取付ゴム68を設置させた状態で、ゴムバンド60およびカメラガイドセンタリングバンド取付ゴム68の中空内部にカメラガイド51が挿通され、そのゴムバンド60の先端から出たカメラガイド51の先端に遮水蓋54などが取り付けられる。これにより、カメラガイド51とゴムバンド60と遮水蓋54などが一体的に構成される。そして、カメラガイド51とゴムバンド60との間に透明チューブ12が挟み込まれた後に、固定バンド61により締め付けられる。これにより、透明チューブ12の先端が閉塞される。
次に、カメラホルダーA59aのカメラ付きロッド9が挿入される孔の先端からOリング59cが挿入されるとともに後端からOリング59dが挿入され、カメラホルダーA59aの先端のOリング59cがカメラホルダーA59aの孔から抜けないように保持しながら、ゴムバンド69aが外面に取り付けられたカメラホルダーA59aにカメラ付きロッド9とエアーホースA14が挿通される。そして、カメラ付きロッド9の先端から固定バンド70とカメラ保護パイプ11bが装着されるとともに、Oリング59cをカメラホルダーA59aから抜けないように押さえるOリング押さえ機器59bが取り付けられる。そして、カメラホルダーA59aとゴムバンド69aとの間に透明チューブ12が挟み込まれた状態で、ゴムバンド69aが外面から固定バンド69bにより締め付けられる。これにより、透明チューブ12の後端が閉塞される。
次に、透明チューブ12の先端のカメラガイドセンタリングバンド取付ゴム68の外側からカメラガイドセンタリングバンド55が取り付けられ、また、透明チューブ12の後端にチューブホルダー52が取り付けられ、そして、そのチューブホルダー52の外側からチューブホルダーセンタリングバンド56が取り付けられる。
次に、管路点検装置53を用いた管路点検工法について説明する。ここで、図12は本発明の第2実施形態における管路点検装置を用いた管路点検工法のフローチャートを示す図であり、図13は濁水不滞留管路点検工程のフローチャートを示す図であり、図14は濁水滞留管路点検工程のフローチャートを示す図であり、図15(a)は本発明の第2実施形態における管路点検装置のカメラ付きロッドの管路の濁水が滞留していない部分への挿入途中状況を示す図であり、図15(b)は同管路点検装置の透明チューブを膨らませた状態を示す図であり、図15(c)は同管路点検装置のカメラ付きロッドの管路の濁水が滞留している部分の引戻途中状況を示す図であり、図16は図15(b)のA―A断面図を示す図である。
S11において、これから撮影される管路2内の部分について、管路2の濁水が滞留している部分かが判断される。そして、管路2の濁水が滞留していない部分である場合はS12に進み、管路2の濁水が滞留している部分である場合はS13に進む。ここで、「管路2の濁水が滞留していない部分」には、全く管路2内に濁水が滞留していない部分のみをいうのではなく、管路2内に少し濁水が滞留している部分も含まれる。すなわち、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより管路2内面が撮影できる程度の濁水が滞留している部分も含まれる。その意味で、「管路2の濁水が滞留していない部分」は「管路2の濁水が略滞留していない部分」を意味する。
S12において濁水不滞留管路点検工程が実施され、S13においては濁水滞留管路点検工程が実施される。ここで、濁水不滞留管路点検工程については図13を用いて説明し、濁水滞留管路点検工程については図14を用いて説明する。
次に、濁水不滞留管路点検工程について、図13を用いて説明する。ここで、濁水不滞留管路点検工法は、管路2の濁水が滞留していない部分の内部を点検する工程である。
S21において、カメラ露出工程が実施される。このカメラ露出工程では、透明チューブ12を膨らませない状態にして、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aをカメラガイド51の先端部の遮水蓋54から透明チューブ12外に露出させる。このカメラ露出工程は、濁水滞留管路点検工程が実施される前後のいずれに実施されるものでもよい。すなわち、これから管路点検装置53を管路2内に挿入しようとする場合、つまり濁水滞留管路点検工程がまだ実施される前においては、透明チューブ12を膨らませない状態で、折りたたまれた透明チューブ12の後方をチューブホルダー52により挟み込んで固定された状態で、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aをカメラガイド51の先端部の遮水蓋54から透明チューブ12外に露出させて実施される。また、濁水滞留管路点検工程が実施された後にカメラ露出工程が行われる場合は、透明チューブ12を膨らませた状態から透明チューブ12内の空気をエアーホースA14を介して徐々に排出させながらカメラ付きロッド9を先方方向に押すことにより、透明チューブ12と管路2内面との摩擦力により透明チューブ12が折りたたまれ、その状態で、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aをカメラガイド51の先端部の遮水蓋54から透明チューブ12外に露出させて実施される。ここで、上述したように、透明チューブ12の直径を管路2の内径と略同径とし、かつ透明チューブ12の後方のテーパーをきつくしているので、カメラ保護パイプ11bを押し込むときに透明チューブ12が内側に折れ曲がりやすく反転しやすくなっている。また、カメラ保護パイプ11bがカメラガイド51の先方の遮水蓋54を開放することになるが、この場合においても、カメラ保護パイプ11bの先端外面に取り付けられたOリング58がカメラガイド51の内面により圧縮された状態になるので、カメラガイド51の先方部の遮水蓋54を開放させてカメラ付きロッド9の先端のカメラ11aが透明チューブ12外に露出させても、管路2内の濁水が透明チューブ12内に入ることを防止することができる。また、透明チューブ12が膨らんだ状態から透明チューブ12内の空気を抜き取りながらカメラガイド51内にカメラ保護パイプ11bが挿入される際には、カメラ保護パイプ11bの先端外面に取り付けられたOリング58が回転するので、小さな挿入力でカメラ保護パイプ11bをカメラガイド51内にスムーズに挿入させることができる。このように、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aをカメラガイド51の先端部の遮水蓋54から透明チューブ12外に露出させることにより、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aで濁水が滞留していない管路2の内部を撮影することができる。そして、S22に進む。
S22において、カメラ付きロッド挿入工程が実施される。このカメラ付きロッド挿入工程では、透明チューブ12を膨らませない状態で、カメラ付きロッド9の先端を管路2内に挿入させる(図15(a)参照)。具体的には、地上のオペレータ7が地上の作業者10aおよび地下の作業者10bにトランシーバで連絡し、地上の作業者10aがロッド巻取リール6を回転させ、地下の作業者10bがカメラ付きロッド9を引っ張りながら管路2内に押込むことによりカメラ付きロッド9の先端を管路2内に挿入させる。このように、この管路2内にカメラ付きロッド9が挿入される際には、カメラガイド51内に挿入されているので、カメラ付きロッド9が挿入されたカメラガイド51により透明チューブ12が支持され、透明チューブ12が折れ曲がり難くなり、透明チューブ12が詰まることなく容易にかつ円滑にカメラ付きロッド9を管路2内に挿入することができる。また、これから管路点検装置53を管路2内に挿入しようとする際には、チューブホルダー52に透明チューブ12の後方が挟み込まれ把持されているので、管路2内に円滑かつ容易に挿入することができる。次に、S23に進む。
S23において、濁水不滞留管路内面映像送信工程が実施される。この濁水不滞留管路内面映像送信工程は、カメラ付きロッド挿入工程(S22)の実行中に行われる。濁水不滞留管路内面映像送信工程では、カメラガイド51の先端部の遮水蓋54から透明チューブ12外に露出したカメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより濁水が滞留していない管路2の内面が撮影され、その撮影された濁水が滞留していない管路2内面の映像が地上に送られる。具体的には、後述のS25(Yes)に示すように、カメラ付きロッド9の先端を濁水が滞留していない管路2内に挿入させながら、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより管路2内面が撮影され、また、管路2内面を詳細に撮影する必要がある箇所については、後述のS26(No)に示すように、カメラ付きロッド9の挿入途中で一時停止させてカメラ11aにより管路2内面が撮影され、そのカメラ11aにより撮影された管路2内面の映像が地上に送られる。このように、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより撮影された管路2内面の映像データは、カメラ11aからカメラ付きロッド9内の配線を介し、地上の制御機8に送られる。
S24において、濁水不滞留管路モニター画面表示工程が実施される。この濁水不滞留管路モニター画面表示工程では、濁水不滞留管路内面映像送信工程(S23)により地上に送られた管路2内面の映像がモニター画面4に表示される。具体的には、カメラ付きロッド9内の配線を介し地上の制御機8に送られた管路2内面の映像データにより管路2内面の映像がモニター画面4に表示され制御機8に記憶されるとともに、地下のモニター画面5にも表示される。そして、S25に進む。
S25において、カメラ付きロッド9の先端を管路2内に更に挿入し、カメラ付きロッド9の先端を管路2内に更に前進させる必要があるかが判断される。そして、カメラ付きロッド9の先端を管路2内に更に前進させる必要がある場合はS25で「Yes」と判断され、S25で「No」と判断されるまで、S22→S23→S24→S25の処理が繰り返し実施される。そして、S25で「No」と判断された場合はS26に進む。
S26において、管路2内の濁水が滞留していない部分の点検が終了したかが判断される。管路2内の濁水が滞留していない部分の点検が終了していない場合は、S26で「No」と判断され、S23に進む。このように、S23に進むことにより、カメラ付きロッド9を前方方向に前進(挿入)せず、カメラ付きロッド9の位置が一時停止した状態になる。これは、カメラ付きロッド9の位置を一時停止させて、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより管路2内面の詳細な点検映像を撮影する場合に利用される。そして、S26で「Yes」と判断された場合はS14(図12)に進む。
次に、濁水滞留管路点検工程について、図14を用いて説明する。ここで、濁水滞留管路点検工法は、管路2の濁水が滞留している部分の内部を点検する工程である。
S31において、カメラ付きロッド挿入工程が実施される。このカメラ付きロッド挿入工程では、透明チューブ12を膨らませない状態で、管路2内の点検対象となる所定の位置までカメラ付きロッド9が押し込まれ挿入される。具体的には、地上のオペレータ7が地上の作業者10aおよび地下の作業者10bにトランシーバで連絡し、地上の作業者10aがロッド巻取リール6を回転させ、地下の作業者10bがカメラ付きロッド9を引っ張りながら管路2内に押込むことによりカメラ付きロッド9の先端が管路2内の点検位置(所定の位置)まで挿入される。ここで、管路2内の点検位置(所定の位置)というのは、管路2のこれから点検を行う濁水が滞留している部分の挿入方向の端部付近のことである。この管路2内にカメラ付きロッド9が挿入される際には、カメラガイド51内にカメラ付きロッド9が挿入されるので、カメラ付きロッド9が挿入されたカメラガイド51により透明チューブ12が支持され、透明チューブ12が折れ曲がり難くなり、透明チューブ12が詰まることなく容易にかつ円滑にカメラ付きロッド9を管路2内に挿入することができる。ここで、カメラ付きロッド挿入工程で、管路2内に濁水が滞留している位置が検出されると、その管路2内の濁水が滞留している部分の位置が制御機8に記憶され、上述したカメラ付きロッド9が挿入される点検対象となる所定の位置からその記憶された位置までの管路2内の濁水が滞留している部分の内面が点検される。
次に、S32に進む。
S32において、透明チューブ密着工程が実施される。この透明チューブ密着工程では、カメラ付きロッド挿入工程(S31)によりカメラ付きロッド9の先端が管路2内の所定の位置まで挿入された後に、エアーホースA14により空気(エアー)が透明チューブ12内に送り込まれ、透明チューブ12を膨らませることにより管路2内に滞留した濁水を排除させながら、管路2の内面に透明チューブ12を密着させる(図15(b)参照)。具体的には、地上のエアコンプレッサー(図示略)からエアーホースA14を介し透明チューブ12内に空気が送り込まれることにより、管路2内に滞留した濁水を排除させながら、管路2の内面に透明チューブ12を密着させる。ここで、管路2内の濁水が滞留している部分については、後述するように、透明チューブ12を完全に膨らませなくても濁水の浮力により管路2上部に密着することから、透明チューブ12を完全に膨らませないようにして行ってもよい。さらに、管路2内の濁水が滞留している部分の内面全周を点検する場合は、その点検箇所で停止し、透明チューブ12内にさらに空気を送り込み透明チューブ12を管路2内周全体に充分密着させるようにして行う。そして、透明チューブ12の膨らんだ状態では、後述するように、カメラ付きロッド9の先端のカメラ11aにより連結用ステンレスワイヤー57周辺のスケール表示ロープ(図示略)が撮影され、地上のオペレータ7および地下の作業者10bは点検対象になっている管路2の異常部の大きさを確認することができる。また、透明チューブ12内に空気が送り込まれることにより透明チューブ12内の空気圧が高くなり、透明チューブ12内の空気圧と管路2内の圧力との圧力差が5kPa(所定の圧力)以上になると遮水蓋54が開放し、透明チューブ12内の空気が透明チューブ12外に排出される。このように、透明チューブ12内の空気圧と管路2内の圧力との圧力差が5kPa以上になると透明チューブ12内の空気が排出されるので、透明チューブ12内に過剰な圧力がかかることなく、カメラ付きロッド9を移動し易くなるとともに、透明チューブ12が破損することを防止することができる。そして、S33に進む。
S33において、濁水滞留管路内面映像送信工程が実施される。この濁水滞留管路内面映像送信工程では、透明チューブ密着工程(S32)が実行された後に、後述のS39に示すように、カメラ付きロッド9を後方方向に引戻しながら、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより撮影された管路2内面の鮮明な点検映像が地上に送られる(図15(c)参照)。具体的には、カメラ付きロッド9を後方方向に引戻している途中でカメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより管路2内面が撮影され、また、管路2内面を詳細に撮影する必要がある箇所については、後述のS38でNoと判断し、カメラ付きロッド9の引戻し途中で一時停止させてカメラ11aにより管路2内面が撮影され、そのカメラ11aにより撮影された管路2内面の映像が地上に送られる。このように、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより撮影された管路2内面の映像データは、カメラ11aからカメラ付きロッド9内の配線を介し、地上の制御機8に送られる。ここで、上述したように、透明チューブ12を完全に膨らませなくても管路2内の濁水の浮力により管路2上部に密着することから、透明チューブ12内の空気圧を過剰に加えない状態であれば、透明チューブ12を膨らませた状態でカメラ付きロッド9を後方方向に引戻すことが可能である。また、管路2内面全周を点検する場合は、その点検箇所で停止し、チューブ12内にさらに空気を送り込み透明チューブ12を管路2内周全体に充分密着させてからカメラ11aにより管路2内面が撮影される。このように、本実施形態では、「カメラ付きロッド9を後方方向に引戻しながら、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより撮影された管路2内面の鮮明な点検映像が地上に送られる。」と説明しているが、これは、上述したように、後述のS39に示すように、カメラ付きロッド9を後方方向に引戻し動作中に、カメラ11aにより管路2内面の鮮明な点検映像を撮影する場合に限らず、カメラ付きロッド9を後方方向に引戻し、後述のS38でNoと判断し、一時停止した後にカメラ11aにより管路2内面の詳細な点検映像を撮影する場合も含まれ、また、カメラ11aにより撮影された管路2内面の鮮明な点検映像を地上に送るタイミングについても管路2内の点検作業中(カメラ付きロッド9を後方方向に引戻作業中)であればいずれも含まれることを意味している。そして、S34に進む。
S34において、濁水滞留管路モニター画面表示工程が実施される。この濁水滞留管路モニター画面表示工程では、濁水滞留管路内面映像送信工程(S33)により地上に送られた管路2内面の映像をモニター画面4に表示される。具体的には、カメラ付きロッド9内の配線を介し地上の制御機8に送られた管路2内面の映像データにより管路2内面の映像がモニター画面4に表示され制御機8に記憶されるとともに、地下のモニター画面5にも表示される。そして、S35に進む。
S35において、後述のS39に示すように、後方方向に引戻しながらカメラ11aにより管路2内面の映像を撮影しているが、この後方方向に移動しているカメラ付きロッド9を管路2内の前方方向に移動させるかが判断される。具体的には、地上のオペレータ7がカメラ付きロッド9を管路2内で前進させるための指示をしたかが判断される。そして、地上のオペレータ7によりカメラ付きロッド9を前方方向に移動させるための指示が行われた場合は、S35で「Yes」と判断されS36に進む。
S36において、カメラ付きロッド前進工程が実施される。このカメラ付きロッド前進工程では、膨らんでいる透明チューブ12内の空気を排気し、地上の作業者10aおよび地下の作業者10bによりロッド巻取リール6に巻かれたカメラ付きロッド9が引っ張られることにより、再挿入の所定の位置までカメラ付きロッド9が押し込まれ前進される。具体的には、エアーホースA14の地上操作箇所に設けた排気用分岐弁(図示略)を開放し、膨らんでいる透明チューブ12内の空気をエアーホースA14から自然排気させ、地上のオペレータ7がモニター画面4で管路2内の状況を確認しながら、カメラ付きロッド9の先端を管路2内の所定の位置まで前進させる。ここで、再挿入の所定の位置というのは、管路2の現在点検を行っている濁水が滞留している部分の挿入方向の端部付近のことのみならず、管路2の現在点検を行っている濁水が滞留している部分の任意の位置のことである。また、カメラ付きロッド前進工程は、膨らんでいる透明チューブ12内の空気を排気しながら、カメラ付きロッド9をカメラガイド51に挿入し、さらにカメラ付きロッド9がカメラガイド51を押し、カメラガイド51の後部に支持された透明チューブ12を引き込むことで行われる。このように、エアーホースA14の地上操作箇所に設けた排気用分岐弁(図示略)を開放させて、透明チューブ12内の空気を排気させ、カメラ付きロッド9をカメラガイド51に挿入することにより、円滑かつ容易に管路2内にカメラ付きロッド9を容易に挿入させることができる。そして、S32→S33→S34→S35の処理が実施され、S35で「No」と判断された場合はS37に進む。なお、本実施形態では、「カメラ付きロッド前進工程」を「カメラ付きロッド挿入工程」と別名称で設けたが、「カメラ付きロッド前進工程」は実質的に「カメラ付きロッド挿入工程」と同等の工程であり、その意味で「カメラ付きロッド前進工程」を「カメラ付きロッド挿入工程」と考えてもよい。
S37では、管路2内の濁水が滞留している部分の点検が終了したかが判断される。そして、管路2内の濁水が滞留している部分の点検が終了していない場合は、S37で「No」と判断されS38に進む。S38において、カメラ付きロッド9を更に管路2内を後方方向に移動させるかが判断される。具体的には、地上のオペレータ7がカメラ付きロッド9を管路2内で更に後方させるための指示をしたかが判断される。そして、地上のオペレータ7によりカメラ付きロッド9を更に後方方向に移動させるための指示が行われた場合は、S38で「Yes」と判断されS39に進む。
S39において、カメラ付きロッド後退工程が実施される。このカメラ付きロッド後退工程では、上述したように、透明チューブ12を完全に膨らませなくても管路2内の濁水の浮力により管路2上部に密着することから、透明チューブ12内の空気圧を過剰に加えない状態で、透明チューブ12を膨らませた状態でカメラ付きロッド9が後方方向に引戻される。そして、S33に進み、S33→S34→S35→S37の処理が実施され、S37で「Yes」と判断されるまでS33→S34→S35の処理が繰り返し実施される。そして、S37で「Yes」と判断された場合はS14(図12)に進む。
S14において、管路2内のすべての点検が終了したかが判断される。管路2内のすべての点検が終了していない場合は、濁水不滞留管路点検工程(図13参照)または濁水滞留管路点検工程(図14参照)が再度実施される。そして、S14で「Yes」と判断された場合は管路点検工程が終了する。
(第3実施形態)
次に、本発明の管路点検装置の第3実施形態について図面を参照にしながら説明する。
本発明の第3実施形態と第2実施形態の異なる主なところは、第2実施形態では、カメラ付きロッド9を管路2の挿入方向に挿入し、その管路2の挿入方向の順に、管路2の濁水が滞留していない部分を通過する際には「濁水不滞留管路点検工程」が実施され、そして、管路2の濁水が滞留していない部分を通過し、次の管路2の濁水が滞留している部分を通過する際には「濁水滞留管路点検工程」が実施される、すなわち、カメラ付きロッド9を管路2の挿入方向に挿入し、その管路2を通過する際に濁水の滞留有無を判断し、その管路2の挿入方向の順に「濁水不滞留管路点検工程」または「濁水滞留管路点検工程」が実施されるようにしたのに対し、第3実施形態は、カメラ付きロッド9を管路2の挿入方向に挿入し、まずその挿入の際に「濁水不滞留管路点検工程」が実施され、管路2の挿入方向の一連の「濁水不滞留管路点検工程」が終了した後に、カメラ付きロッド9を後退させ、その後退させる際に「濁水滞留管路点検工程」を実施する、すなわち、カメラ付きロッド9を管路2に挿入する際には「濁水不滞留管路点検工程」が実施され、カメラ付きロッド9を管路2から後退させる際には「濁水滞留管路点検工程」が実施されるようにしたところである。なお、第3実施形態においては、第2実施形態と異なるところを中心に説明する。また、第3実施形態では、第2実施形態と同一構成を用いるため、それらの構成、作用効果の説明は省略する。
次に、管路点検装置を用いた管路点検工法について、図17を用いて説明する。ここで、図17は本発明の第3実施形態における管路点検装置を用いた管路点検工法のフローチャートを示す図である。なお、濁水不滞留管路点検工程のフローチャートおよび濁水滞留管路点検工程のフローチャートについては、第2の実施形態の図13、図14と同様であるので、それらの図面を用いて説明する。
図17に示すように、まずS41において濁水不滞留管路点検工程が実施される。ここで、濁水不滞留管路点検工程については、第2実施形態と同様であるので説明は省略する。そして、S42において、濁水不滞留管路点検工程が終了したかが判断され、S42で「Yes」と判断されるまで濁水不滞留管路点検工程が継続して実施される。そして、S42で「Yes」と判断されるとS43に進む。
S43において、管路2の濁水が滞留している部分かが判断される。そして、管路2の濁水が滞留していない部分である場合はS45に進み、管路2の濁水が滞留している部分である場合はS44に進む。ここで、「管路2の濁水が滞留していない部分」には、全く管路2内に濁水が滞留していない部分のみをいうのではなく、管路2内に少し濁水が滞留している部分も含まれる。すなわち、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより管路2内面が撮影できる程度の濁水が滞留している部分も含まれる。その意味で、「管路2の濁水が滞留していない部分」は「管路2の濁水が略滞留していない部分」を意味する。
S44において、濁水滞留管路点検工程が実施される。この濁水滞留管路点検工程については、第2実施形態で使用した図14を用いて説明する。
S31において、カメラ付きロッド挿入工程が実施される。このカメラ付きロッド挿入工程では、透明チューブ12を膨らませない状態で、カメラ付きロッド9の先端を管路2内の点検位置(所定の位置)まで挿入される。ここで、第3実施形態における濁水滞留管路点検工程のカメラ付きロッド挿入工程は、濁水不滞留管路点検工程のカメラ付きロッド挿入工程(S22)と兼用して実施されている。すなわち、カメラ付きロッド挿入工程により、カメラ付きロッド9が管路2内に挿入され、今回点検しようとする管路2の濁水が滞留している一番奥の位置まで挿入される。ここで、管路2内の点検位置(所定の位置)というのは、管路2のこれから点検を行う一番奥の濁水が滞留している部分の挿入方向の端部付近のことである。なお、本実施形態のカメラ付きロッド挿入工程の「カメラ付きロッド9の先端を管路2内の所定の位置まで挿入される」には、今回点検しようとする管路2の濁水が滞留している一番奥の位置を通過させて、その通過した位置からカメラ付きロッド9を後退させて、
今回点検しようとする管路2の濁水が滞留している一番奥の位置にカメラ付きロッド9が位置させる場合も含まれる。ここで、カメラ付きロッド挿入工程で、管路2内に濁水が滞留している位置が検出されると、その都度管路2内の濁水が滞留している部分の位置が制御機8に記憶され、点検対象となる管路2のそれぞれの濁水が滞留している点検開始位置からそれぞれ記憶された位置までの管路2内の濁水が滞留している部分の内面が点検される。そして、S32に進む。
S32において、透明チューブ密着工程が実施される。この透明チューブ密着工程は、第2実施形態と同様であるので説明は省略する。そして、S33に進む。
S33において、濁水滞留管路内面映像送信工程が実施される。この濁水滞留管路内面映像送信工程は、第2実施形態と同様であるので説明は省略する。そして、S34に進む。
S34において、濁水滞留管路モニター画面表示工程が実施される。この濁水滞留管路モニター画面表示工程は、第2実施形態と同様であるので説明は省略する。そして、S35に進む。
S35において、後述のS39に示すように、後方方向に引戻しながらカメラ11aにより管路2内面の映像を撮影しているが、この後方方向に移動しているカメラ付きロッド9を管路2内の前方方向に移動させるかが判断される。これも第2実施形態と同様で、S35で「Yes」と判断された場合はS36に進む。
S36において、カメラ付きロッド前進工程が実施される。このカメラ付きロッド前進工程についても、第2実施形態と同様であるので説明は省略する。そして、S32→S33→S34→S35の処理が実施され、S35で「No」と判断された場合はS37に進む。
S37では、管路2内の濁水が滞留している部分の点検が終了したかが判断される。そして、管路2内の濁水が滞留している部分の点検が終了していない場合は、S37で「No」と判断されS38に進む。S38において、後方方向に移動しているカメラ付きロッド9を更に管路2内を後方方向に移動させるかが判断される。そして、S38で「Yes」と判断された場合はS39に進む。
S39において、カメラ付きロッド後退工程が実施される。このカメラ付きロッド後退工程についても、第2実施形態と同様であるので説明は省略する。そして、S33に進み、S33→S34→S35→S37の処理が実施され、S37で「Yes」と判断されるまでS33→S34→S35の処理が繰り返し実施される。そして、S37で「Yes」と判断された場合はS45(図17)に進む。
S45において、濁水滞留管路点検工程のすべてが終了したかが判断される。濁水滞留管路点検工程のすべてが終了していない場合はS43に進み、S43→S44→S45の処理が繰り返し実施され、S45で「Yes」と判断された場合は管路点検工程が終了する。
以上説明したように、第2実施形態および第3実施形態によれば、管路2内の濁水の滞留の有無によってカメラ付きロッド9の先端のカメラ11aの撮影方法を変更させることにより、濁水が滞留している部分の撮影では、管路2内の濁水が滞留している部分の内面に透明チューブ12を密着させた状態で、カメラ付きロッド9の先端に装着されたカメラ11aにより撮影された管路2内面の映像を地上のモニターに表示させることにより、管路2内の濁水が滞留している部分の点検を行うことができ、また濁水が滞留していない箇所の撮影では、カメラガイド51(透明チューブ支持手段)の先端部の遮水蓋54から透明チューブ12外に露出させたカメラ付きロッド9の先端のカメラ11aにより撮影された濁水が滞留していない管路2内面の映像を地上のモニターに表示させることにより、濁水が滞留していない管路2内面の点検を確実かつ能率的に行うことができる。これにより、濁水の滞留の有無に拘わらず、管路2内面の点検を確実かつ能率的に行うことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
次に、変形例について説明する。
(変形例1)
本発明の変形例1と第1実施形態と異なるところは、第1実施形態では、カメラ付きロッド9を管路2内に押し込むことによりカメラ付きロッド9を管路2内に挿入させたが、変形例1では、補助ロッド13の先端に取り付けられた透明チューブ閉塞フック18に透明チューブ接続リング17aを介してロープ22を接続し、そのロープ22を前方の人孔から牽引することによりカメラ付きロッド9を管路2内に挿入させるようにしたところが異なる(図18参照)。ここで、図18は本発明の変形例1における管路点検装置を用いた点検作業状況を示す全体概略図である。このように、補助ロッド13先端の透明チューブ接続リング17aに接続されたロープ22を前方の人孔から引っ張りカメラ付きロッド9を管路2内に挿入させることにより、管路2内にカメラ付きロッド9を挿入するときの抵抗が大きい場合でも、管路2内に長距離挿入することができる。
(変形例2)
本発明の変形例2と第1実施形態と異なるところは、第1実施形態では、補助ロッド13を透明チューブ12の外部に取り付けたが、変形例2では、補助ロッド13を透明チューブ12の内部に取り付けたところが異なる。具体的には、変形例2では、ホルダー内挿通口部19b内に補助ロッド13の挿通口を設け、さらに透明チューブ閉塞フック内部材18a内に補助ロッド13の挿通口を設け、そして、補助ロッド13をホルダー内挿通口部19bの挿通口および透明チューブ閉塞フック内部材18aの挿通口に貫通させ、また、補助ロッド13の先端が透明チューブ閉塞フック内部材18aの挿通口に固定されることにより、補助ロッド13の先端部が透明チューブ12が膨らんだ状態で透明チューブ閉塞フック内部材18aにより透明チューブ12の中央部に支持される。また、ホルダー内挿通口部19bの挿通口を貫通した補助ロッド13の後端部は、補助ロッドホルダー20にカメラ付きロッド9とともに固定される。
(変形例3)
本発明の変形例3と第2実施形態と異なるところは、第2実施形態では、カメラガイド51にカメラ保護パイプ11bが装着されたカメラ付きロッド9を貫通させて取り付けたが、変形例3では、カメラガイド51のカメラ付きロッド9が挿通される孔の先端にプラスチックやガラスなどの透明部材(図示略)を嵌め込んで閉塞させ、カメラガイド51にカメラ付きロッド9を貫通させずに透明部材の手前まで挿通させて取り付けるようにしたところが異なる(図示略)。このように、カメラガイド51のカメラ付きロッド9が挿通される孔の先端に透明部材を設けることにより、カメラ保護パイプ11bを設ける必要がなく、また、カメラ付きロッド9をカメラガイド51先端の透明部材(図示略)まで挿通させることにより、カメラ付きロッド9先端のカメラ11aの視野が遮ることなく濁水が滞留していない管路2の内面を撮影することができるとともに、濁水が滞留している管路2の内面については第2実施形態と同様に撮影することができる。