JP6365862B2 - 金属製構造物の電気防食診断方法及び診断装置 - Google Patents

金属製構造物の電気防食診断方法及び診断装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えば桟橋、護岸、消波堤等の港湾構造物、石油掘削関連施設、シーバース、洋上備蓄基地等の海洋関連施設、あるいはオイルタンク等の貯蔵施設などに代表されるような金属製構造物の電気防食診断方法及び診断装置に関する。
通常、鋼材を使用した金属製構造物の一種であるジャケット式桟橋では、骨組みとなる鋼材に対して2種類の防食が行われており、空気と海水両方に触れる飛沫帯及び干満帯には、耐海水性ステンレス鋼ライニングが施されており、また、海中の鋼材に対しては流電陽極方式による電気防食が行われている(非特許文献1参照)。
流電陽極方式による電気防食とは、アルミニウム合金などの犠牲陽極を防食対象(例えば、海水に触れる鋼材)に、溶接等により電気的に接続して、犠牲陽極と防食対象間(犠牲陽極と海水に触れる鋼材間)の電位差により発生する電流を防食電流として、防食対象(海水に触れる鋼材)を防食状態に保つものである。
ところで、流電陽極方式による電気防食で使用される犠牲陽極は、その性質上、時間経過とともに消耗し、発生する電流量、即ち、防食電流量は減少する。そのため、犠牲陽極の発生電流量の測定による犠牲陽極の寿命評価が必要となる。
現在では、金属製構造物の電気防食状態の診断方法として、金属製構造物近傍の電位測定による防食状態の簡易検査による診断と、ダイバーによる、金属製構造物に取り付けられた犠牲陽極の詳細検査による診断が行われている(非特許文献2参照)。
上述のような既存の電気防食診断方法では、防食状態の簡易検査による診断を行う場合に、その診断結果の信頼性や安全性が問題となることがあり、また、大型金属製構造物の電気防食状態をダイバーによる犠牲陽極の詳細検査により診断する場合に、検査作業に時間や労力のコストが問題となる。
そこで、既存の電気防食状態の診断方法で存在しているこれらの問題点を解決するために、本願発明の発明者のグループは、金属製構造物近傍の電位から、数値解析を用いて、金属製構造物に取り付けられた犠牲陽極の電流量を同定する、「犠牲陽極の発生電流量の逆解析手法」を提案している(非特許文献3参照)。
宮田義一,若林徹,浜田秀則共著,「耐海水性ステンレス鋼ライニングを施した海洋鋼構造物の電気防食特性」,港空研報告,第45巻,第2号,2006年6月 審良善和,山路徹,小林浩之,板倉新,高橋小夜佳,鈴木大介共著,「河口付近沿岸部に位置する耐海水性ステンレス鋼被覆を施したジャケット式桟橋の電位分布」,材料と環境,2011年 大野弘樹,天谷賢治,大西有希共著,「大規模海洋構造物における犠牲陽極発生電流量の逆解析」,日本機械学会第23回計算力学講演会CD−ROM論文集,p.309−310,2010年
上記非特許文献3を用いた手法では、ダイバーによる犠牲陽極の詳細検査の軽減を図ることが可能となる。
しかしながら、電位は測定点ごとに測定して犠牲陽極の電流を同定する必要があるため、例えば大井埠頭や羽田空港D滑走路のような大型の金属製構造物の場合には電位計測点の総数が膨大となり、測定に要する時間や労力の軽減及びこれに伴うコストの低減を図ることが難しいという問題がある。
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、少ない電位計測点で多くの犠牲陽極の電流量を同定することができ、もって金属製構造物の電気防食状態の経済的及び効率的な診断を可能とする金属製構造物の電気防食診断方法及び診断装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる第1の構成は、
複数の犠牲陽極を取り付けて電解質中に沈設させた金属製構造物の電気防食診断方法であって、
任意に選んだ前記犠牲陽極による防食効果が現れる前記金属製構造物の電位を計測するために、金属製構造物に沿って、鉛直方向に照合電極を移動させて、複数深度の測定点で、電解質の電位を電位測定値として取得する第1ステップと、
電位測定値及び電気防食状態の事前情報と第1の数値解析を用いることにより、個別の犠牲陽極の表面電位(同定値)及び電流密度(同定値)を同定する第2ステップと、
同定した個別の犠牲陽極の表面電位(同定値)及び電流密度(同定値)と犠牲陽極分極モデルを適用した偏微分方程式の離散化手法による順解析(第2の数値解析)を用いることにより、金属製構造物全体について各部の表面電位(推定値)及び個別の犠牲陽極の電流値(推定値)を推定する第3ステップと、
第2の数値解析によって推定された個別の犠牲陽極の電流値(推定値)から個別の犠牲陽極の消耗量を算出する第4ステップと、
予め定められた各基準値と前記金属製構造物全体について各部の表面電位(推定値)、個別の犠牲陽極の電流値(推定値)及び個別の犠牲陽極の消耗量とをそれぞれ比較し、金属製構造物の電気防食診状態を診断する第5ステップと、
を有することを特徴とする、と云うものである。
上記本発明の主たる第1の構成では、犠牲陽極近傍の電位を数点測定し、犠牲陽極の電流値を数値解析により同定する。そして同定された電流値から犠牲陽極の電位−電流密度の関係を示す犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)を求め、この犠牲陽極分極モデルを金属製構造物全体の複数の犠牲陽極に適用して数値解析することにより、金属製構造物各部の表面電位及び個別の犠牲陽極の電流値の算出と、さらにはこの犠牲陽極の電流値から個別の犠牲陽極の消耗量の算出を達成する。
また本発明の他の構成は、上記した金属製構造物の電気防食診断方法の主たる構成に、第2ステップの直後に、第1の数値解析によって同定された個別の犠牲陽極の電流密度(同定値)及び表面電位(同定値)をグラフ上にプロットし、個別の犠牲陽極について所定の要件を満たす近似式を個別の犠牲陽極分極モデルとして計算する追加ステップが設けられ、
第3ステップでは、金属製構造物全体について個別の犠牲陽極分極モデル(犠牲陽極の近似式)を適用して第2の数値解析を行うものとした、との構成を加えたものである。
上記構成の金属製構造物の電気防食診断方法では、少ない電位測定数を基に個別の犠牲陽極分極モデルを算出すると共に、算出された個別の犠牲陽極分極モデルを適用して数値解析することにより、より精度の高い金属製構造物各部の表面電位及び個別の犠牲陽極の電流値の算出達成と、さらにはこの犠牲陽極の電流値から個別の犠牲陽極の消耗量の算出を達成し得る。
また本発明の他の構成は、上記した金属製構造物の電気防食診断方法の構成に、第1の数値解析によって同定された個別の犠牲陽極の電流密度(同定値)及び表面電位(同定値)について上限値、平均値及び下限値を通る犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)をそれぞれ計算し、
第3ステップでは金属製構造物全体について、上限値、平均値及び下限値を通る犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)を適用して第2の数値解析を行う、との構成を加えたものである。
上記構成の金属製構造物の電気防食診断方法では、上限値、平均値及び下限値を通る3つの犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)を適用して数値解析することにより、最も危険寄りの推定結果、平均的な推定結果及び最も安全寄りの推定結果の取得を達成し得る。
また本発明の他の構成は、上記した金属製構造物の電気防食診断方法の構成に、海底に埋設された鋼材について、上限値、平均値及び下限値に関する土中鋼材の近似式(土中鋼材分極モデル)をそれぞれ計算し、第3ステップでは金属製構造物全体について、前記上限値、平均値及び下限値を通る土中鋼材の近似式(土中鋼材分極モデル)の組み合わせを適用して第2の数値解析を行う、との構成を加えたものである。
上記構成の金属製構造物の電気防食診断方法では、第2の数値解析の境界条件に上限値、平均値及び下限値に関する土中鋼材の近似式(土中鋼材分極モデル)を加えて組み合わせることにより、更に安全寄りの推定結果の取得を達成し得る。
また本発明の他の構成は、上記した金属製構造物の電気防食診断方法の構成に、電気防食状態の事前情報は、設計時における犠牲陽極の電流量、金属製構造物の表面抵抗、解析領域のオフセット電位、及び解析領域を囲む仮想境界を通して流れる電流に関する統計的情報である、との構成を加えたものである。
上記構成の金属製構造物の電気防食診断方法では、犠牲陽極の表面電位、電流密度及び電流量の同定を達成し得る。
また本発明の他の構成は、上記した金属製構造物の電気防食診断方法の構成に、第1の数値解析としてベイズ推定を用いる、との構成を加えたものである。
上記構成の金属製構造物の電気防食診断方法では、計測電位数を少なくしてもその他の犠牲陽極の表面電位、電流密度及び電流量の同定を達成し得る。
また本発明の他の構成は、上記した金属製構造物の電気防食診断方法の構成に、偏微分方程式の離散化手法による順解析(第2の数値解析)として有限要素法、境界要素法、差分法、有限体積法のいずれかを用いる、との構成を加えたものである。
上記構成の金属製構造物の電気防食診断方法では、金属製構造物各部の表面電位及び個別の犠牲陽極の電流値の算出を達成する。
本発明の主たる第2の構成は、複数の犠牲陽極を取り付けて電解質中に沈設させた金属製構造物の電気防食診断装置であって、
任意に選んだ犠牲陽極による防食効果が現れる金属製構造物の電位を計測するために、金属製構造物に沿って、鉛直方向に照合電極を移動させて、複数深度の測定点で、電解質の電位を電位測定値として取得すると共に電位測定値を得て所定の計算を行う演算手段と金属製構造物に関する事前情報を入力する情報入力手段とを有して構成され、
演算手段が少なくとも、電位測定値及び電気防食状態の事前情報と第1の数値解析を用いることにより、個別の犠牲陽極の表面電位(同定値)及び電流密度(同定値)を同定する手段と、
同定した個別の犠牲陽極の表面電位(同定値)及び電流密度(同定値)と犠牲陽極分極モデルを適用した偏微分方程式の離散化手法による順解析(第2の数値解析)を用いることにより、金属製構造物全体について各部の表面電位(推定値)及び個別の犠牲陽極の電流値(推定値)を推定する手段と、
第2の数値解析によって推定された個別の犠牲陽極の電流値(推定値)から個別の犠牲陽極の消耗量を算出する手段と、
予め定められた各基準値と金属製構造物全体について各部の表面電位(推定値)、個別の犠牲陽極の電流値(推定値)及び個別の犠牲陽極の消耗量とをそれぞれ比較し、金属製構造物の電気防食診状態を診断する手段と、を有することを特徴とする、と云うものである。
上記本発明の主たる第2の構成では、犠牲陽極近傍の電位を数点測定し、犠牲陽極の電流値を数値解析により同定する。そして同定された電流値から犠牲陽極の電位−電流密度の関係を示す犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)を求め、この犠牲陽極分極モデルを金属製構造物全体の複数の犠牲陽極に適用して数値解析することにより、金属製構造物各部の表面電位及び個別の犠牲陽極の電流値の算出と、さらにはこの犠牲陽極の電流値から個別の犠牲陽極の消耗量の算出を達成する。
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明の金属製構造物の電気防食診断方法及び診断装置では、電位計測数を少なくすることができるため、金属製構造物の電気防食状態の診断を経済的及び効率的に行うことが可能となり、電位測定に要する作業時間や労力を抑えることができ、これに伴うコストを軽減することができる。
また請求項2に記載の、第2ステップの直後に、第1の数値解析によって同定された個別の犠牲陽極の電流密度(同定値)及び表面電位(同定値)をグラフ上にプロットし、個別の犠牲陽極について所定の要件を満たす近似式を個別の犠牲陽極分極モデルとして計算する追加ステップが設けられ、
第3ステップでは、金属製構造物全体について個別の犠牲陽極分極モデル(犠牲陽極の近似式)を適用して第2の数値解析を行うものとした構成では、少ない電位測定数であっても精度の高い金属製構造物各部の表面電位及び個別の犠牲陽極の電流値を算出することができ、さらにはこの犠牲陽極の電流値から個別の犠牲陽極の消耗量を算出することができる。
また請求項3に記載の、第1の数値解析によって同定された個別の犠牲陽極の電流密度(同定値)及び表面電位(同定値)について上限値、平均値及び下限値を通る犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)をそれぞれ計算し、
第3ステップでは金属製構造物全体について、上限値、平均値及び下限値を通る犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)を適用して第2の数値解析を行うものとした構成では、最も危険寄りの推定結果、平均的な推定結果及び最も安全寄りの推定結果を得ることができる。
また海底に埋設された鋼材について、上限値、平均値及び下限値に関する土中鋼材の近似式(土中鋼材分極モデル)をそれぞれ計算し、第3ステップでは金属製構造物全体について、前記上限値、平均値及び下限値を通る土中鋼材の近似式(土中鋼材分極モデル)の組み合わせを適用して第2の数値解析を行うものとした構成では、第2の数値解析の境界条件に3種類(上限値、平均値及び下限値)の土中鋼材の近似式(土中鋼材分極モデル)を加えて組み合わせることにより、更に安全寄りの推定結果を取得することができる。
また請求項5に記載の、電気防食状態の事前情報は、設計時における犠牲陽極の電流量、金属製構造物の表面抵抗、解析領域のオフセット電位、及び解析領域を囲む仮想境界を通して流れる電流に関する統計的情報であるとの構成を加えたものでは、犠牲陽極の表面電位、電流密度及び電流量を確実に同定することができる。
また請求項6に記載の、第1の数値解析としてベイズ推定を用いる構成では、計測電位数を少なくしても、他の犠牲陽極の表面電位、電流密度及び電流量を高精度に同定することが可能となり、金属製構造物の電気防食状態の診断を経済的及び効率的に行うことできる。
また請求項7に記載の、第2の数値解析として有限要素法を用いる構成では、金属製構造物各部の表面電位及び個別の犠牲陽極の電流値を算出することができ、金属製構造物の電気防食状態の診断を経済的及び効率的に行うことができる。
本発明の対象となる金属製構造物の一例としてのジャケット式桟橋の正面図ある。 本発明の金属製構造物の電気防食診断装置を示す構成図である。 電位計測法を示す説明図である。 本発明の金属製構造物の電気防食診断方法における第1の実施形態を示すフローチャートである。 海洋環境における金属製構造物の解析モデルを示す図である。 同定した犠牲陽極の電流密度と表面電位とをプロットすると共に各グループに属する犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)の一例を示すグラフである。 同定した犠牲陽極表面電位の上限値、平均値及び下限値における犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)の一例を示すグラフである。
前述したように、本発明の発明者のグループは、計測した海洋鋼構造物近傍の電位から犠牲陽極の発生電流量を同定する逆問題を解く逆解析手法を提案している(非特許文献3参照)。
本発明では、非特許文献3に開示された逆解析手法をさらに発展させて実環境における金属製構造物(即ち、海水、淡水、土壌等の電解質に接する金属製構造物)に適用できる解析モデル(数理モデル)の構築、電解質と、電解質に接する金属製構造物近傍(例えば、電解質が海水であるという海洋環境と、海洋環境における金属製構造物近傍)の電位測定に起因する解析パラメータの不確定性を考慮した逆問題の設定(観測方程式の構築)、及び、電気防食状態の事前情報を利用するベイズ推定による逆問題の適切化を行う(構築した観測方程式により、電気防食状態を反映する未知の解析パラメータを同定する)ことにより、既存の電気防食状態の診断方法に替わる、金属製構造物の電気防食状態を簡単、定量的、経済的かつ効率的に診断できるようにした、新たな電気防食診断技術を開発した。
つまり、本発明は、電解質に接している金属製構造物の電気防食状態を診断する金属製構造物の診断方法に関し、金属製構造物に取り付けられている犠牲陽極から所定の距離離れた複数の測定点で測定された電位測定値、及び電気防食状態の事前情報から、ベイズ推定を用いて、観測方程式の電気防食状態を反映する未知の解析パラメータを同定し、同定した解析パラメータを数値解析により金属製構造物全体に適用し、金属製構造物全体の電気防食状態を診断するようにしている。
ここで、本発明で使用する電気防食状態の事前情報とは、犠牲陽極の電流量、金属製構造物の表面抵抗、解析領域のオフセット電位、及び、解析領域を囲む仮想境界を通して流れる電流に関する統計的情報である。また、統計的情報とは、平均値、標準偏差若しくは確率密度の分布関数である。
また、電気防食状態を反映する未知の解析パラメータ(即ち、電気防食状態を表す未知の解析パラメータ)とは、犠牲陽極の電流量、解析領域のオフセット電位、及び、解析領域を囲む仮想境界を通して流れる電流量である。これらのパラメータのうち犠牲陽極の電流量以外のパラメータは一部を省略して観測方程式を構築してもよい。
本発明で行われるベイズ推定は、次の2つの工程で構成される。
工程(1):
電位測定値及び電位の標準偏差を考慮して観測方程式を解いて、電気防食状態を表す未知の解析パラメータの計測値から得られた統計情報による平均値及び標準偏差を求める。
工程(2):
電気防食状態を表す未知の解析パラメータの事前情報及び、電気防食状態を表す未知の解析パラメータの計測値から得られた統計情報による平均値及び標準偏差から、事後の尤度分布の平均値及び標準偏差を求める。
ここで、電気防食状態を表す未知の解析パラメータの計測値から得られた統計情報とは、電位測定値から観測方程式を逆に解いて求めた未知の解析パラメータの平均値及び標準偏差若しくは尤度分布のことである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の対象となる金属製構造物の一例としてのジャケット式桟橋を示す正面図ある。
まず、本発明である金属製構造物の電気防食診断方法の対象となる金属製構造物の一例について説明する。
金属製構造物1としては、例えば図1に示すような大井埠頭ジャケットに使用されたようなジャケット式桟橋である。この金属製構造物1は、主として鉄製の鋼材からなり、垂直方向に延びる複数の支柱2と、水平方向に延びて支柱2同士を連結する横桁3(上横桁3aと下横桁3b)と、支柱2と上横桁3aとの格点4aと支柱2と下横桁3bとの格点4bの間に斜めに設置された補強部材5などを溶接等の手段により組み立てられた骨組構造からなり、複数の支柱2の上端に床組6を載置させた状態で一体に構築されている。
鋼材を構成する支柱2のうち海面近傍から上端の部分は例えば円筒状の耐海水ステンレス鋼板で被覆され、支柱2のうち常に海中に沈設される部分の表面、横桁3及び補強部材5を構成する鋼材の表面は例えば防食塗装による防食処理が施されている。
このような金属製構造物1は、床組6よりも下側の部分を海中に沈め、支柱2の下端を海底7に埋設することにより設置される。海中に沈設される鋼材(支柱2、横桁3及び補強部材5)の多数の箇所には、電気防食用の犠牲陽極9が固定されている。図3に示すように、犠牲陽極9は陽極部9aがアルミニウム合金からなる棒状の鋳造製品であり、長さ方向の断面中心には鋼製芯金(図示しない)を有し、この鋼製芯金の両端に固定部9b,9bを設けた構成である。犠牲陽極9は、沈設前の金属製構造物1に対し、その固定部9b,9bを鋼材の表面に溶接等することにより強固に固定されている。
海中(電解質中)においては、犠牲陽極9を構成するアルミニウム合金と鋼材との間に生じる電位差により起因して発生する防食電流が鋼材に流れることにより、鋼材の電気防食が達成されている。
図2は本発明の金属製構造物の電気防食診断装置を示す構成図である。
このような金属製構造物1の電気防食状態の診断は、例えば図2に示すような電気防食診断装置100を用いて行うことができる。電気防食診断装置100は、事前情報などのデータ情報を入力する情報入力手段110と、以下に説明する各種のステップでの計算を行う演算手段120とを有して構成され、コンピュータシステム(汎用コンピュータ)に専用のソフトウェアを組み込んで実現するようにしても良いし、情報入力手段を備える専用処理装置(専用ユニット)で構成するようにしても良い。
次に、金属製構造物の電気防食診断方法について説明する。
図4は本発明の金属製構造物の電気防食診断方法における第1の実施形態を示すフローチャートである。
(第1の実施形態)
<第1ステップS1>
第1ステップS1として、多数の犠牲陽極の中から任意に選択した数の犠牲陽極(例えば3個程の犠牲陽極(以下、対象犠牲陽極という))について、対象犠牲陽極から所定の距離離れた海中の電位(金属製構造物近傍の海水の電位)を測定する。ここで測定される電位の値を電位測定値という。
図3に示すように、電位測定値の実測は、ケーブルの先端に電位センサー及び深度センサー等を備えた照合電極(電位測定手段)10を金属製構造物(鋼材)1から所定の距離離れた位置で海中に投下し、海面から海底まで所定の深度毎(例えば0.5m単位)で沈降させながら行う。
<第2ステップS2>
次の第2ステップS2では、対象犠牲陽極について電流量、より好ましくは電流密度の同定を行う。
照合電極(電位測定手段)10を用いて取得した電位測定値を電気防食診断装置100に入力することにより行う。
本実施の形態では、事前情報を利用するベイズ推定を用いた逆解析(第1の数値解析)により、構築した観測方程式により、電位測定値から未知の解析パラメータ(電流量、より好ましくは電流密度)を同定することにより行う。以下にベイズ推定を用いた逆解析について説明する。
2.1 解析モデルの構築
図5は海洋環境における金属製構造物の解析モデルを示す図1同様の図である。
図5に示すように、金属製構造物周辺(即ち、ジャケット式桟橋周辺)の海水及び海底土で満たされた領域Ωを解析領域とする。また、解析領域Ωは、境界Γ、境界Γc1、境界Γc2、境界Γc3、境界Γsea、境界Γair、及び境界Γsoilで囲まれる領域と規定する。
ここで、境界Γは犠牲陽極表面のアノードとなる境界である。境界Γc1は金属製構造物の骨組の鋼材の一部である海中の鋼材でカソードとなる境界である。境界Γc2は金属製構造物の骨組の鋼材の一部である海底土の中の鋼材(以下、「土中の鋼材」と呼ぶ。)でカソードとなる境界である。境界Γc3は金属製構造物の骨組の鋼材の一部である海面付近の耐海水性ステンレス鋼でカソードとなる境界である。境界Γseaは海水を仮想的に分割した海中領域の鉛直面境界(以下、「海中壁」と呼ぶ。)である。境界Γairは海中領域の上部の境界である。そして、境界Γsoilは海底土を仮想的に分割した海底土の中の領域(以下、「土中領域」と呼ぶ。)の境界である。
また、領域Ω内の電位をφとし、領域Ω内の電気伝導度をκとする。境界Γ上の電位をφとし、境界Γc1上の電位をφc1とし、境界Γc2上の電位をφc2とし、境界Γc3上の電位をφc3とし、境界Γsea上の電位をφseaとし、境界Γair上の電位をφairとし、境界Γsoil上の電位をφsoilとする。
更に、境界Γにおける法線方向の電流密度をiとし、境界Γc1における法線方向の電流密度をic1とし、境界Γc2における法線方向の電流密度をic2とし、境界Γc3における法線方向の電流密度をic3とし、境界Γseaにおける法線方向の電流密度をiseaとし、Γairにおける法線方向の電流密度をiairとし、境界Γsoilにおける法線方向の電流密度をisoilとする。
領域Ωにおいては、イオンの損失や増加が生じないとし、海中と、海底土の中(以下、「土中」と呼ぶ。)の電気伝導度が不均一であることを前提としており、領域Ω内の電位φは、下記数1で表す支配方程式を満足する。
なお、解析上において、解析領域Ω内の電位φは金属に対する海水の電位としているので、通常電気化学で用いる、溶液に対する金属の電位の符号を逆転させた量を電位φとして用いる。
ただし、数1において、∇はベクトル微分演算子を表す。φは領域Ω内の電位であり、κは領域Ω内の電気伝導度である。
ここで、境界Γ、境界Γc1、境界Γc2、境界Γc3、境界Γsea、境界Γair、及び境界Γsoilの境界条件を下記数2のようにそれぞれ与える。
上記数2で示されたように、境界Γ、境界Γc2、境界Γc3、境界Γseaには、それぞれの電流量Ianode、Isteel-soil、Istainless、Iseaにより決まる電流密度i(Ianode)、i(Isteel-soil)、i(Istainless)、i(Isea)を与える。ただし、
は外向き法線方向微分を表す。
ここで、境界Γc2のみに、土中レグ表面(即ち、土中の鋼材の表面)の電流密度i(Isteel-soil)は地下深くなるにつれて低減するという、代表的な分布形状を与える。また、境界Γ、境界Γc3、境界Γseaでは、電流密度は一様とする。
そして、上記数2で示されたように、境界Γc1では、金属境界条件として、金属製構造物を構成する海中の鋼材の分極曲線を線形近似したものを用いる。
なお、検査対象となる金属製構造物の近傍で、測定される電位の最大値と最小値の差が最大100[mV]程度であるので、その範囲内では、金属製構造物を構成する鋼材の分極曲線を線形とみなすことが可能である。
上記数2の第2式中のRは分極曲線の傾きであり、金属製構造物の表面抵抗を表す。また、φoffsetは分極曲線を線形近似する際の定数項であり、領域Ω内の電位のオフセット値(以下、単に「オフセット電位」とも言う。)を表す。
分極曲線の傾きRの事前分布は、鋼材試験片を用いた実験により得られた分極曲線を、測定データの電位域で線形近似することにより、取得した。
また、φoffsetは領域Ω内のオフセット電位を表しているため、各境界からの電流量と同じように、未知の解析パラメータとして扱う。
更に、上記数2で示されたように、本実施形態では、境界Γairと境界Γsoilは、絶縁境界として扱う。即ち、本実施形態では、領域Ω外への電流の流入出は、海中壁である境界Γseaのみから起こると仮定する。
本実施形態では、未知の解析パラメータIanode(境界Γの電流量)、Isteel-soil(境界Γc2の電流量)、Istainless(境界Γc3の電流量)、Isea(境界Γseaの電流量)、R(金属製構造物の表面抵抗)、φoffset(領域Ω内のオフセット電位)に仮の値を与え、上記数2で表す境界条件に基づいて、上記数1で表す支配方程式を数値解析で解くことにより、任意の場所における電位計算値(即ち、領域Ω内のオフセット電位や、境界Γ、境界Γc2、境界Γc3及び境界Γseaからの電流量(又は電流密度)、犠牲陽極の電流量)を計算するようにしている。
2.2 逆問題の設定(観測方程式の構築)
本実施形態では、電気防食状態の検査対象となる金属製構造物の近傍を電位の測定点(以下、単に「測定点」とも言う。)とする。
ここで、本実施形態では、複数の測定点で測定された、誤差を含んだ電位の測定値(以下、単に「測定値」とも言う。)を
とする。つまり、
は複数箇所(m箇所)の測定点で測定された、複数個(m個)の測定値φ’1、φ’2、・・・、φ’からなる列ベクトルである。
また、本実施形態では、同定値である、領域Ωの境界を構成する複数種類の境界のうち、n種類の境界(仮想境界)からの電流量(又は電流密度)、犠牲陽極の電流量、及び、領域Ω内のオフセット電位からなる列ベクトルを
とする。つまり、同定値である列ベクトル
は、本実施形態で同定する未知の解析パラメータである。
本実施形態では、金属製構造物1が図5に示すようなジャケット式桟橋の場合に、図1に示された解析領域Ωの境界を構成する7種類の境界から、4種類(n=4)の境界、即ち、境界Γ(犠牲陽極表面のアノードを表す境界)、境界Γc2(カソードとなる土中の鋼材を表す境界)、境界Γc3(カソードとなる耐海水性ステンレス鋼を表す境界)及び境界Γsea(海中壁を表す境界)を未知の解析パラメータとする。
本実施形態では、電位の測定値
を、電位の真の値
と、測定誤差やモデル誤差などの誤差をまとめた誤差(以下、単に「電位の測定誤差」と言う。)
の2つに分離する。
解析領域Ω内の電位は、上記数1で表す支配方程式を満足しているため、測定値
と同定値
の間には、下記数3で表される観測方程式が成立する。
ただし、
はRに依存するm行(n+1)列の観測行列であり、即ち、数3で表す観測方程式の係数行列である。ちなみに、Rは金属製構造物の海中部分の表面抵抗を表し、mは電位を測定する測定点の個数を表し、そして、nは未知の解析パラメータである境界の個数を表し、また、
は電位の測定誤差である。
本実施形態では、有限要素法、境界要素法、差分法、有限体積法などの偏微分方程式の離散化手法に基づいて計算を行うことで観測行列
の各成分を求めることにより、観測方程式を構築する。
本実施形態の観測方程式は、犠牲陽極の電流量、オフセット電位、仮想境界の電流密度(電流量)、構造物の表面抵抗をパラメータとしている。
以上のように、本実施形態では、観測行列
の各成分を求めて数3で表す観測方程式を構築することにより、解析パラメータの不確定性を考慮した逆問題を設定した。
2.3 ベイズ推定による未知の解析パラメータの同定
次に、本実施形態では、事前情報を利用するベイズ推定を用いた逆解析構築した観測方程式に適用し、電位の測定値
から未知の解析パラメータ
を同定する。
ここで、本実施形態では、同定する未知の解析パラメータに関する事前情報若しくは統計的な情報をベイズ推定に利用される事前情報として使用しており、例えば、未知の解析パラメータの事前分布の平均値や標準偏差(分散)を事前情報として使用する。
例えば、犠牲陽極の設計電流値を犠牲陽極の電流量の事前情報として使用することができ、具体的な例として、犠牲陽極の設計電流値の平均値が1.5[A]であり、標準偏差が1.0[A]である。また、金属製構造物の表面抵抗を事前情報としても使用することができ、具体的な例として、金属製構造物の表面抵抗の平均値が2.0[Ωm]であり、標準偏差が0.5[Ωm]である。
なお、犠牲陽極の正確な設計電流値は3.5[A]であるが、一般的に犠牲陽極電流量は通電開始数年で設計値の50%弱まで低減する傾向がある。大井埠頭の場合、供用開始から10年が過ぎており、電流が低減していることが想定されることから、本実施形態では事前情報としての犠牲陽極の設計電流値の平均値を1.5[A]としている。
ここで、電位の測定誤差
、金属製構造物(鋼材)の表面抵抗R、及び未知の解析パラメータ(即ち、各境界の電流値(又は電流密度)、オフセット電位、犠牲陽極の電流量)の事前情報を事前分布として正規分
とし、電位の測定値
を得たときの同定値

の尤度関数の事後分布
は下記数4と表せる。
上記数4により、ベイズ推定のアルゴリズムに基づいて、下記数5〜数9が導かれる。
ただし、上記数式において、(・)は行列の転置を表し、(・)−1は逆行列を表し、p(R)は金属製構造物(鋼材)の表面抵抗Rの事前分布である。
また、上記数9は、事前情報として与える未知の解析パラメータの事前分布(正規分布)
、及び、事前情報として与える電位の測定誤差
の事前分布(正規分布)を表しており、
は、未知の解析パラメータの事前分布
の平均値と分散行列(標準偏差)であり、
は電位の測定誤差
の事前分布の平均値と分散行列(標準偏差)である。
本実施形態では、上記数4〜数9に基づいて、未知の解析パラメータの推定尤度分布の平均値(即ち、同定値
の平均値)
、及び、未知の解析パラメータの推定尤度分布の分散共分散行列(即ち、同定値
の分散共分散行列)Pを未知の解析パラメータの同定値として算出(同定)し、算出(同定)した
とPに基づいて、金属製構造物1の電気防食状態を把握するようにしている。
このように、本実施形態では、数7に基づいて同定された
及び数8に基づいて同定されたP、即ち、同定値
の平均値及び分散共分散行列(分散)を、本実施形態で同定する未知の解析パラメータの最終的な同定値とすることにより、各境界(鋼材、ステンレス鋼、犠牲陽極など)の表面電位(同定値)及び電流密度(同定値)が計算される。
2.4 電流量の同定
そして、同定値として得られた犠牲陽極表面の電流密度を積分することにより、犠牲陽極の電流量(同定値)を同定することができる。ここで同定される電流量は、水深ごとに3つのグループ(グループ1(G1)、グループ2(G2)、グループ3(G3))(図1参照)に区切り、個別の犠牲陽極の電流量は同一グループ内では同じであると仮定して、グループ毎に電流量(平均値)を同定する。
本実施形態において、同定された電流量(同定値)の一例は以下の通りである。
G1:0.835[A]
G2:1.070[A]
G3:0.785[A]
なお、同定された犠牲陽極の電流量(同定値)は、シャント抵抗を用いて計測した犠牲陽極の電流値のそれぞれ平均値から標準偏差(1σ)以内に収まる精度であることが検証実験によって実証されている。
<追加ステップ(犠牲陽極分極モデルの計算)Sa>
図6は同定した犠牲陽極の電流密度(同定値)と表面電位(同定値)とをプロットすると共に各グループに属する犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)の一例を示すグラフである。
この追加ステップSaでは、上記同定結果(「2.3 ベイズ推定を用いた逆解析の同定」の結果)から得られる、グループ毎の犠牲陽極の電流密度(同定値)及び犠牲陽極の表面電位(同定値)から、各グループに属する個別の犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)を計算する。
すなわち、図6に示すように、横軸に電流密度(同定値)、縦軸に表面電位(同定値)としてプロットする。本実施の形態では、グループ1、2及び3について、それぞれ18個、21個及び20個の犠牲陽極の電流密度(同定値)、表面電位(同定値)をプロットした。
犠牲陽極分極モデルを線型と仮定し、以下の条件を満たす近似式φ=-R+φ(ただし、φ=表面電位(同定値)、R=分極抵抗、i=電流密度(同定値)、φ=自然電位)を求め、ここから個別の犠牲陽極の分極抵抗Rを計算する。
条件1:電位分布を示すプロット点群中のいずれかの点(電位)を通ること。
条件2:切片φは犠牲陽極9を構成する陽極部9aに採用されるアルミニウム合金の自然電位1.06[V]と仮定すること。
なお、図6中のg1,g2及びg3は、犠牲陽極の近似式(φ=-R+φ;犠牲陽極分極モデル)の一例として、条件1をプロット点群中の平均(電位の平均)を通る場合を示しており、g1はグループ1(G1)に属するNo.25、g2はグループ2(G2)に属するNo.1及びg3はグループ3(G3)に属するNo.29の犠牲陽極の近似式をそれぞれ示している。
表1に犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)から求めた個別の犠牲陽極の分極抵抗Rの計算結果の一例を示す。
グループ1、2及び3に属する個別の犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)の平均は、それぞれ以下の数10、11及び12に示す通りである。
なお、上記数10乃至12はグループ1、2及び3に属する個別の犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)を示すものであるが、海底7に埋設されている土中鋼材についても土中鋼材に与える境界条件を求めることにより、土中鋼材の近似式(土中鋼材分極モデル)を計算(推定)することができる。土中鋼材への電流は、海底土の電気伝導度および鋼材の分極モデルの2つにより定めることが可能である。
<第3ステップS3>
第3ステップS3では、金属製構造物1全体についての各部の表面電位(推定値)及びそれぞれの犠牲陽極の電流値(推定値)を計算する。
例えば、上記第2ステップS2におけるベイズ推定において同定された表面電位・電流密度(同定値)を基に、金属製構造物1全体についての各部の表面電位(推定値)及びそれぞれの犠牲陽極の電流値(推定値)を計算することができる。
ただし、上記第2ステップS2におけるベイズ推定において同定された表面電位・電流密度(同定値)は、各グループ内の犠牲陽極の電流量は同一と仮定した場合のモデルであり、水平方向によらず、同じ電流が発生していることになるので、ここで計算される金属製構造物1全体についての各部の表面電位(推定値)及びそれぞれの犠牲陽極の電流値(推定値)は大きな誤差を含む可能性がある。
そこで、第3ステップS3では、金属製構造物1全体の多数の犠牲陽極に、数10乃至12により推定された個別の犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)を適用し、数値解析により金属製構造物1全体についての各部の表面電位(推定値)及びそれぞれの犠牲陽極の電流値(推定値)を計算する。
個別の犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)を入力に用いることで水平方向の位置による電流の増減(犠牲陽極の設置位置によるばらつき)をも推定し、金属製構造物1全体について、精度の高い表面電位・電流密度(推定値)を得ることが可能となる。
具体的には、有限要素法による順解析(第2の数値解析)を用いて行うことができ、推定した個別の犠牲陽極の近似式(数10乃至12)、さらには推定した土中鋼材の近似式(土中鋼材分極モデル)を境界条件として計算する。
ここでは、境界Γ、境界Γc1、境界Γc2、境界Γc3、境界Γsea、境界Γair、及び境界Γsoilの境界条件を下記数13のようにそれぞれ与える。
ここで推定される電流量(推定値)はグループ1、2及び3に属する個別の犠牲陽極の電流量であり、その計算結果の一例を表2に示す。
<第4ステップS4>
次の第4ステップS4では、上記第3ステップS3で推定した個別の犠牲陽極の電流量(推定値)と犠牲陽極の表面積との関係から電流密度(推定値)を計算し、続いて犠牲陽極の消耗量を以下の数14の方法で推定する。
ただし、残存量=初期重量−係数×経過時間×発生電流量 であり、
係数は犠牲陽極の種類により決定される値である。
<第5ステップS5>
第5ステップS5では、予め定められている金属製構造物の表面電位、犠牲陽極の電流値及び犠牲陽極の消耗量と、推定された金属製構造物全体についての各部の表面電位(推定値)、個別の犠牲陽極の電流値(推定値)及び個別の犠牲陽極の消耗量とがそれぞれ比較され、金属製構造物の電気防食の状態について診断を行う。
例えば、(1)推定された金属製構造物全体についての各部の表面電位(推定値)が予め定められている金属製構造物の表面電位の基準値未満である場合、(2)推定された個別の犠牲陽極の電流値(推定値)が予め定められている犠牲陽極の電流値の基準値未満である場合、あるいは(3)推定された個別の犠牲陽極の消耗量が予め定められている犠牲陽極の消耗量の基準値を超えている場合には、金属製構造物1の電気防食状態は不良と判断することが可能となる。特に、上記(2)(3)について不良であると判断された犠牲陽極については、別途調査(例えばダイバーによる調査)の候補とすることができる。
(第2の実施形態)
ところで、数10乃至数12に示す個別の犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)は平均を採ったものであり、この平均値のみを使用しての有限要素法による順解析(第2の数値解析)では、犠牲陽極や土中鋼材のばらつきが考慮されておらず、金属製構造物の電気防食診断について安全性や信頼性を高めることに限界がある。
そこで、第2の実施形態では、上記<追加ステップ(犠牲陽極分極モデルの計算)Sa>において、犠牲陽極や土中鋼材のばらつきを考慮することにより、金属製構造物の電気防食診断に対する安全性や信頼性を高めるための方法について説明する。
図7は同定した犠牲陽極表面電位の上限値、平均値及び下限値における犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)の一例を示すグラフを示しており、グループ1に属するNo.25の犠牲陽極分極モデルに関し、条件1についてg1−25(max)を電位(同定値)の上限値とし、g1−25(ave)を電位(同定値)の平均値とし、g1−25(min)を電位(同定値)の下限値として直線近似したものである。
このように一つの犠牲陽極に関し、上限値、平均値及び下限値(いずれも同定値)について3種の犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)をそれぞれ算出する。同様に、土中鋼材について上限値、平均値及び下限値(いずれも同定値)について3種の土中鋼材の近似式(土中鋼材分極モデル)をそれぞれ計算する。
そして、有限要素法による順解析(第2の数値解析)を行って金属製構造物1全体について表面電位・電流密度(推定値)の計算を行うが、この際数13の境界条件として、犠牲陽極表面の境界Γについては推定した3種類(上限値、平均値及び下限値)の犠牲陽極の各分極モデルを、同じく土中鋼材の境界Γc2については推定した3種類(上限値、平均値及び下限値)の土中鋼材の各分極モデルを様々に組み合わせて入力すると共に、これらの組み合わせの数だけ計算を繰り返すことにより、推定される犠牲陽極の電流量(推定値)について、(a)最も危険寄りの推定結果、(b)平均的な推定結果及び(c)最も安全寄りの推定結果を取得する。
そして、取得された(a)の最も危険寄りの推定結果について、上記同様の第4ステップS4及び第5ステップS5を行うことより、金属製構造物の電気防食の状態について安全性及び信頼性の高い診断を行うことが可能となる。
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
上記実施の形態では、アルミニウム合金の自然電位φとして1.06[V]を用いて計算(同定)を行ったが、自然電位φの誤差を考慮し、例えばφ=1.04[V]及び1.08[V]の場合についても同様の計算を行って診断することが好ましく、これにより金属製構造物の電気防食診断方法の安全性及び信頼性を更に高めることが可能となる。
また上記実施の形態では、金属製構造物1として、大井埠頭ジャケットに使用されるようなジャケット式桟橋を示して説明したが、その他例えば護岸、消波堤等の港湾構造物、石油掘削関連施設、シーバース、洋上備蓄基地等の海洋関連施設、オイルタンク等の貯蔵施設などを対象とすることが可能である。
1 ; 金属製構造物
2 ; 支柱
3 ; 横桁
3a ; 上横桁
3b ; 下横桁
4a ; 格点
4b ; 格点
5 ; 補強部材
6 ; 床組
7 ; 海底
9 ; 犠牲陽極
9a ; 陽極部
9b ; 固定部
10 ; 照合電極(電位測定手段)
100; 電気防食診断装置
110; 情報入力手段
120; 演算手段

Claims (8)

  1. 複数の犠牲陽極が取り付けられた電解質中の金属製構造物の電気防食診断方法であって、
    任意に選んだ前記犠牲陽極による防食効果が現れる前記金属製構造物の電位を計測するために、前記金属製構造物に沿って、鉛直方向に照合電極を移動させて、複数深度の測定点で、電解質の電位を電位測定値として取得する第1ステップ(S1)と、
    前記電位測定値及び電気防食状態の事前情報と第1の数値解析を用いることにより、個別の犠牲陽極の表面電位(同定値)及び電流密度(同定値)を同定する第2ステップ(S2)と、
    前記同定した個別の犠牲陽極の表面電位(同定値)及び電流密度(同定値)と犠牲陽極分極モデルを適用した偏微分方程式の離散化手法による順解析(第2の数値解析)を用いることにより、前記金属製構造物全体について各部の表面電位(推定値)及び個別の犠牲陽極の電流値(推定値)を推定する第3ステップ(S3)と、
    前記第2の数値解析によって推定された前記個別の犠牲陽極の電流値(推定値)から個別の犠牲陽極の消耗量を算出する第4ステップ(S4)と、
    予め定められた各基準値と前記金属製構造物全体について前記各部の表面電位(推定値)、前記個別の犠牲陽極の電流値(推定値)及び前記個別の犠牲陽極の消耗量とをそれぞれ比較し、前記金属製構造物の電気防食状態を診断する第5ステップ(S5)と、を有することを特徴とする金属製構造物の電気防食診断方法。
  2. 第2ステップ(S2)の直後に、第1の数値解析によって同定された個別の犠牲陽極の電流密度(同定値)及び表面電位(同定値)をグラフ上にプロットし、個別の犠牲陽極について所定の要件を満たす近似式を個別の犠牲陽極分極モデルとして計算する追加ステップ(Sa)が設けられ、
    第3ステップ(S3)では、金属製構造物全体について前記個別の犠牲陽極分極モデル(犠牲陽極の近似式)を適用して第2の数値解析を行うものとした請求項1記載の金属製構造物の電気防食診断方法。
  3. 第1の数値解析によって同定された個別の犠牲陽極の電流密度(同定値)及び表面電位(同定値)について上限値、平均値及び下限値を通る犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)をそれぞれ計算し、
    第3ステップ(S3)では金属製構造物全体について、前記上限値、平均値及び下限値を通る犠牲陽極の近似式(犠牲陽極分極モデル)を適用して第2の数値解析を行う請求項2記載の金属製構造物の電気防食診断方法。
  4. 海底に埋設された鋼材について、上限値、平均値及び下限値に関する土中鋼材の近似式(土中鋼材分極モデル)をそれぞれ計算し、第3ステップ(S3)では金属製構造物全体について、前記上限値、平均値及び下限値を通る土中鋼材の近似式(土中鋼材分極モデル)の組み合わせを適用して第2の数値解析を行う請求項3記載の金属製構造物の電気防食診断方法。
  5. 電気防食状態の事前情報は、犠牲陽極の電流量、金属製構造物の表面抵抗、解析領域のオフセット電位、及び解析領域を囲む仮想境界を通して流れる電流に関する統計的情報である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属製構造物の電気防食診断方法。
    防食診断方法。
  6. 第1の数値解析としてベイズ推定を用いる請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属製構造物の電気防食診断方法。
  7. 偏微分方程式の離散化手法による順解析(第2の数値解析)として、有限要素法、境界要素法、差分法、有限体積法のいずれかを用いる請求項1乃至6のいずれか一項に記載の金属製構造物の電気防食診断方法。
  8. 複数の犠牲陽極が取り付けられた電解質中の金属製構造物の電気防食診断装置であって、
    任意に選んだ前記犠牲陽極による防食効果が現れる前記金属製構造物の電位を計測するために、前記金属製構造物に沿って、鉛直方向に照合電極を移動させて、複数深度の測定点で、電解質の電位を電位測定値として取得すると共に前記電位測定値を得て所定の計算を行う演算手段と前記金属製構造物に関する事前情報を入力する情報入力手段とを有して構成され、
    前記演算手段が少なくとも、前記電位測定値及び電気防食状態の事前情報と第1の数値解析を用いることにより、個別の犠牲陽極の表面電位(同定値)及び電流密度(同定値)を同定する手段と、
    前記同定した個別の犠牲陽極の表面電位(同定値)及び電流密度(同定値)と犠牲陽極分極モデルを適用した偏微分方程式の離散化手法による順解析(第2の数値解析)を用いることにより、前記金属製構造物全体について各部の表面電位(推定値)及び個別の犠牲陽極の電流値(推定値)を推定する手段と、
    前記第2の数値解析によって推定された前記個別の犠牲陽極の電流値(推定値)から個別の犠牲陽極の消耗量を算出する手段と、
    予め定められた各基準値と前記金属製構造物全体について各部の表面電位(推定値)、前記個別の犠牲陽極の電流値(推定値)及び前記個別の犠牲陽極の消耗量とをそれぞれ比較し、前記金属製構造物の電気防食診状態を診断する手段と、を有することを特徴とする金属製構造物の電気防食診断装置。
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