JP6365657B2 - 送電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、送電装置に関する。
従来より、M(Mは2以上の整数)個の送電回路と、前記M個の送電回路を制御する制御手段とを備える非接触送電装置がある。前記送電回路は、直列に接続されたキャパシタと送電コイルとを含む送電側LCタンク回路と、前記送電側LCタンク回路に電力を供給する発振回路とを有する。前記M個の送電回路の送電コイルは、マトリクス状に配置され、前記制御手段は、前記M個の送電回路の送電コイルのうち少なくとも2個の送電コイルから到達する磁界の変化の位相が受電回路の受電コイルにおいて揃うように、前記M個の送電回路の各発振回路が発生する信号の位相を制御する(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−199975号公報
ところで、従来の非接触送電装置は、ある1つの受電回路の受電コイルにおいて磁界の位相が揃うようにした場合には、別の位置にある他の受電回路の受電コイルでは磁界の位相が揃わなくなる。このため、複数の受電回路の受電コイルに同時に効率良く電力を送電することができない。
そこで、複数の受電器に効率良く電力を送電できる送電装置を提供することを目的とする。
本発明の実施の形態の送電装置は、電子機器の搬送路に沿って配設される複数の1次側共振コイルであって、前記搬送路に沿って搬送される前記電子機器の2次側共振コイルに磁界共鳴によって電力を送電する複数の1次側共振コイルと、交流源と前記複数の1次側共振コイルとの間に接続され、前記交流源から前記複数の1次側共振コイルに供給される電力の位相を調整する、複数の位相調整部と、前記複数の1次側共振コイルに対する、前記搬送路を搬送される前記電子機器の位置を検出する位置検出部と、前記交流源と前記複数の1次側共振コイルとの間に接続され、前記交流源から前記複数の1次側共振コイルに供給される電力を増幅する複数の増幅器と、前記位置検出部によって検出される前記電子機器の位置に基づき、前記複数の増幅器における電力の増幅度合を調整する制御部と、前記搬送路に沿って搬送される前記電子機器の通過を検出する通過検出部とを含み、前記複数の位相調整部は、それぞれ、前記交流源から前記複数の1次側共振コイルに供給される電力の位相が揃うように、前記複数の1次側共振コイルに供給される電力の位相を調整し、前記制御部は、前記通過検出部の検出結果に基づいて前記複数の1次側共振コイルのうちの1つに対応する電子機器が存在しないと判定すると、当該対応する電子機器が存在しない1次側共振コイルの前記搬送路における前後に位置する一対の1次側共振コイルに対応する一対の前記増幅器の増幅度合が小さくなるように調整する
複数の受電器に効率良く電力を送電できる送電装置を提供することができる。
磁界共鳴を利用した充電システム30の構成を示す図である。 図1に示す充電システムの等価回路を示す図である。 実施の形態1の送電装置100を用いた送電システムを示す図である。 実施の形態1の送電装置100の位相補正器120−1〜120−Nの構成を示す図である。 電力の位相差αと受電電力との関係を示す図である。 電力の位相差αが0度の場合における、位置ずれに対する受電電力の特性を示す図である。 実施の形態1の送電装置100における位置ずれに対する送電電力の特性を示す図である。 実施の形態2の送電装置200を用いた送電システムを示す図である。 実施の形態3の送電装置300を用いた送電システムを示す図である。 上流側から2番目と4番目のPC500の受電器20に含まれる2次側共振コイル3が受電する電力の位置ずれに対する特性を示す図である。 実施の形態3の送電装置300における位置ずれに対する送電電力の特性を示す図である。 実施の形態3の送電装置300の制御部340が実行する処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の送電装置を適用した実施の形態について説明する。
<実施の形態1>
図1は、磁界共鳴を利用した充電システム30の構成を示す図であり、図2は、図1に示す充電システムの等価回路を示す図である。
図1に示すように、実施の形態1の充電システム30は、送電器10と受電器20を含む。
送電器10は、1次側コイル1、1次側共振コイル2、及び整合回路5を含む。送電器10には、交流電源40が接続される。送電器10は、交流電源40が出力する電力を受電器20に送電する。
受電器20は、2次側共振コイル3、2次側コイル4、整流回路6、及びDC/DCコンバータ7を含む。受電器20には、バッテリ50が接続される。受電器20は、送電器10から伝送される電力を受電し、バッテリ50に出力する。
まず、送電器10に含まれる1次側コイル1、1次側共振コイル2、及び整合回路5と、交流電源40について説明する。
図1に示すように、1次側コイル1は、ループ状のコイルであり、両端間に整合回路5を介して交流電源40が接続されている。1次側コイル1は、1次側共振コイル2と非接触で近接して配置されており、1次側共振コイル2と電磁界結合される。1次側コイル1は、自己の中心軸が1次側共振コイル2の中心軸と一致するように配設される。中心軸を一致させるのは、1次側コイル1と1次側共振コイル2との結合強度を向上させるとともに、磁束の漏れを抑制して、不必要な電磁界が1次側コイル1及び1次側共振コイル2の周囲に発生することを抑制するためである。
また、図2の等価回路に示すように、1次側コイル1は、インダクタンスL1のコイルとして表すことができる。なお、1次側コイル1は、実際には抵抗成分とキャパシタ成分を含むが、図2では省略する。
1次側コイル1は、交流電源40から整合回路5を経て供給される交流電力によって磁界を発生し、電磁誘導(相互誘導)により電力を1次側共振コイル2に送電する。
図1に示すように、1次側共振コイル2は、1次側コイル1と非接触で近接して配置されて1次側コイル1と電磁界結合されている。また、1次側共振コイル2は、所定の共振周波数を有し、非常に高いQ値を有するように設計されている。1次側共振コイル2の共振周波数は、2次側共振コイル3の共振周波数と等しくされている。なお、図1では見やすさの観点から1次側共振コイル2の両端は開放されているが、1次側共振コイル2の両端の間に、共振周波数を調整するためのキャパシタが直列に接続される場合もある。
1次側共振コイル2は、所定の間隔を隔てて、対向するように配置される。1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間隔は、例えば、数メートル程度であってもよい。1次側共振コイル2と2次側共振コイル3の共振Qが十分大きければ、数メートル程度離れていても、磁界共鳴による電力の伝送が可能である。
また、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3とは、互いの中心軸が一致する場合に、磁界共鳴の状態が最も良好になるが、磁界共鳴方式は、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との中心軸がずれていても電力を送電することができる。これは、電磁誘導方式に対する大きなメリットである。すなわち、磁界共鳴方式は、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との位置ずれに対しても強いというメリットがある。
また、図2の等価回路に示すように、1次側共振コイル2は、インダクタンスL2のコイルと、キャパシタンスC2のキャパシタを有するループ回路として表すことができる。キャパシタンスC2は、1次側共振コイル2の両端間に周波数調整用に接続されるキャパシタの容量である。なお、1次側共振コイル2は、実際には抵抗成分を含むが、図2では省略する。
1次側共振コイル2の共振周波数は、交流電源40が出力する交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。1次側共振コイル2の共振周波数は、1次側共振コイル2のインダクタンスL2とキャパシタンスC2によって決まる。このため、1次側共振コイル2のインダクタンスL2とキャパシタンスC2は、1次側共振コイル2の共振周波数が、交流電源40から出力される交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。
なお、1次側共振コイル2は、寄生容量だけで共振周波数を設定でき、かつ、1次側共振コイル2の浮遊容量を固定できる場合は、両端が開放されていてもよい。
整合回路5は、1次側コイル1と交流電源40とのインピーダンス整合を取るために挿入されており、インダクタLとキャパシタCを含む。
交流電源40は、磁界共鳴に必要な周波数の交流電力を出力する電源であり、出力電力を増幅するアンプを内蔵する。交流電源40は、例えば、数百kHzから数十MHz程度の高周波の交流電力を出力する。
以上の1次側コイル1、1次側共振コイル2、及び整合回路5を含む送電器10は、交流電源40から1次側コイル1に供給される交流電力を磁気誘導により1次側共振コイル2に送電し、1次側共振コイル2から磁界共鳴により電力を受電器20の2次側共振コイル3に送電する。
次に、受電器20に含まれる2次側共振コイル3、2次側コイル4、整流回路6、及びDC/DCコンバータ7と、バッテリ50について説明する。
図1に示すように、受電器20に含まれる2次側共振コイル3は、1次側共振コイル2と所定の間隔を隔てて、対向するように配置される。
図1では見やすさの観点から2次側共振コイル3の両端は開放されているが、2次側共振コイル3の両端間には、共振周波数を調整するためのキャパシタが直列に接続される場合もある。
2次側共振コイル3は、1次側共振コイル2と同一の共振周波数を有し、非常に高いQ値を有するように設計されている。
2次側共振コイル3と1次側共振コイル2との間隔は、例えば、数メートル程度であってもよい。2次側共振コイル3と1次側共振コイル2は、共振Qが十分大きければ数メートル程度離れていても、磁界共鳴による電力の伝送が可能である。
また、2次側共振コイル3は、2次側コイル4と非接触で近接して配置されており、2次側コイル4と電磁界結合される。
また、図2の等価回路に示すように、2次側共振コイル3は、インダクタンスL3のコイルと、キャパシタンスC3のキャパシタを有するように表すことができる。キャパシタンスC3は、2次側共振コイル3の両端間に周波数調整用に接続されるキャパシタの容量である。なお、2次側共振コイル3は、実際には抵抗成分を含むが、図2では省略する。
2次側共振コイル3の共振周波数は、2次側共振コイル3のインダクタンスL3とキャパシタンスC3によって決まる。このため、2次側共振コイル3のインダクタンスL3とキャパシタンスC3は、2次側共振コイル3の共振周波数が、1次側共振コイル2の共振周波数と、交流電源40から出力される交流電力の周波数と同一の周波数になるように設定されている。
なお、2次側共振コイル3は、寄生容量だけで共振周波数を設定でき、かつ、2次側共振コイル3の浮遊容量を固定できる場合は、両端が開放されていてもよい。
2次側共振コイル3を含む受電器20は、送電器10の1次側共振コイル2から磁界共鳴によって送電される電力を中継し、2次側コイル4に送電する。
図1に示すように、2次側コイル4は、1次側コイル1と同様のループ状のコイルであり、2次側共振コイル3と電磁界結合されるとともに、両端間に整流回路6が接続されている。
2次側コイル4は、自己の中心軸が2次側共振コイル3の中心軸と一致するように配設されている。2次側コイル4は、2次側共振コイル3と非接触で近接して配置されており、2次側共振コイル3と電磁界結合される。中心軸を一致させるのは、2次側共振コイル3と2次側コイル4の結合強度を向上させるとともに、磁束の漏れを抑制して、不必要な電磁界が2次側共振コイル3及び2次側コイル4の周囲に発生することを抑制するためである。
また、図2の等価回路に示すように、2次側コイル4は、インダクタンスL4のコイルとして表すことができる。なお、2次側コイル4は、実際には抵抗成分とキャパシタ成分を含むが、図2では省略する。
2次側コイル4は、2次側共振コイル3から電磁誘導(相互誘導)により電力を受電し、電力を整流回路6に供給する。
整流回路6は、4つのダイオード7A〜7D及びキャパシタ7Eを有する。ダイオード7A〜7Dは、ブリッジ状に接続されており、2次側コイル4から入力される電力を全波整流して出力する。キャパシタ7Eは、ダイオード7A〜7Dを含むブリッジ回路の出力側に接続される平滑用キャパシタであり、ダイオード7A〜7Dを有するブリッジ回路で全波整流された電力を平滑化して直流電力として出力する。
DC/DCコンバータ7は、整流回路6の出力側に接続されており、整流回路6から出力される直流電力の電圧をバッテリ50の定格電圧に変換して出力する。DC/DCコンバータ7は、整流回路6の出力電圧の方がバッテリ50の定格電圧よりも高い場合は、整流回路6の出力電圧をバッテリ50の定格電圧まで降圧する。また、DC/DCコンバータ7は、整流回路6の出力電圧の方がバッテリ50の定格電圧よりも低い場合は、整流回路6の出力電圧をバッテリ50の定格電圧まで昇圧する。
以上の2次側共振コイル3、2次側コイル4、整流回路6、及びDC/DCコンバータ7を含む受電器20は、送電器10から送電される交流電力を直流電力に変換し、さらにバッテリ50の定格電圧に変換してバッテリ50に供給する。
バッテリ50は、繰り返し充電が可能な二次電池であればよく、例えば、リチウムイオン電池を用いることができる。
なお、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4は、例えば、銅線を巻回することによって作製される。しかしながら、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4の材質は、銅以外の金属(例えば、金、アルミニウム等)であってもよい。また、1次側コイル1、1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4の材質は異なっていてもよい。
このような充電システム30において、1次側コイル1及び1次側共振コイル2が電力の送電側であり、2次側共振コイル3及び2次側コイル4が電力の受電側である。
充電システム30は、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間で生じる磁界共鳴を利用して送電側から受電側に電力を送電する磁界共鳴方式である。このため、充電システム30は、送電側から受電側に電磁誘導で電力を送電する電磁誘導方式よりも長距離での電力の伝送が可能である。
上述のように、磁界共鳴方式は、1次側共振コイル2(送電側のコイル)と2次側共振コイル3(受電側のコイル)の位置ずれに対しても、電磁誘導方式よりも強いというメリットがある。このように、磁界共鳴方式は、共振コイル同士の間の距離又は位置ずれについて、電磁誘導方式よりも自由度が高く、ポジションフリーというメリットがある。
このため、実施の形態1では、2次側共振コイル3に対して、1次側共振コイル2が移動する場合について説明する。
図3は、実施の形態1の送電装置100を用いた送電システムを示す図である。
送電装置100は、送電器110−1、110−2、・・・、110−N、位相補正器120−1、120−2、・・・、120−N、増幅器130−1、130−2、・・・、130−N、制御部140、及び通過検出部150を含む。ここで、Nは2以上の整数であり、例えば15である。また、送電装置100には、信号発生器180が接続されている。
送電器110−1、110−2、・・・、110−N、位相補正器120−1、120−2、・・・、120−N、増幅器130−1、130−2、・・・、130−Nは、それぞれ、N個ずつ設けられている。
また、送電装置100は、搬送ベルト400の下側に配設されている。搬送ベルト400は、一例として、工場内に設置されており、ノート型のPC(Personal Computer)500−1、500−2、・・・、500−Nを搬送する。
図3に示す搬送ベルト400の下に送電装置100が配設されている区間は、送電装置100からPC500−1、500−2、・・・、500−Nに磁界共鳴によって電力を送電する区間(送電区間)である。送電区間は、PC500−1、500−2、・・・、500−Nのバッテリを充電するために設けられている。
PC500−1、500−2、・・・、500−Nは、一定の間隔で搬送ベルト400の上を搬送され、停止することなく所定の速度で送電区間を通過する。PC500−1、500−2、・・・、500−Nは、送電器110−1、110−2、・・・、110−Nが配設される間隔と等しい間隔をあけて搬送ベルト400に搭載され、次から次に搬送される。送電区間では、N個のPC500−1、500−2、・・・、500−Nが常に搬送されている。
なお、以下では、送電器110−1、110−2、・・・、110−Nを送電器110−1〜110−Nと記す。また、送電器110−1〜110−Nを特に区別しない場合には、単に送電器110と称す。
同様に、位相補正器120−1、120−2、・・・、120−N、及び、増幅器130−1、130−2、・・・、130−Nを、それぞれ、位相補正器120−1〜120−N、及び、増幅器130−1〜130−Nと記す。また、位相補正器120−1、120−2、・・・、120−N、及び、増幅器130−1、130−2、・・・、130−Nを区別しない場合には、それぞれ、単に位相補正器120、及び、増幅器130と称す。
また、PC500−1、500−2、・・・、500−Nを、PC500−1〜500−Nと記す。PC500−1、500−2、・・・、500−Nを特に区別しない場合には、単にPC500と称す。
送電器110−1〜110−Nは、それぞれ、位相補正器120−1〜120−N、及び、増幅器130−1〜130−Nを介して、信号発生器180に接続されている。
上述のように、送電器110−1〜110−Nは、PC500−1〜500−Nが搬送される際の間隔と等しい間隔をあけて配設されている。
図3では、説明の便宜上、送電器110−1〜110−Nの構成要素として1次側共振コイル2のみを示す。しかしながら、実際には、送電器110−1〜110−Nは、それぞれ、図1及び図2に示す送電器10から1次側コイル1を取り除き、1次側共振コイル2を整合回路5に直接的に接続した構成を有する。
送電器110−1〜110−Nの各1次側共振コイル2は、搬送ベルト400の搬送面の平行になるように(各1次側共振コイル2の中心軸が搬送面と垂直になるように)配設されている。
また、送電器110−1〜110−Nの整合回路5(図1及び図2参照)は、それぞれ、増幅器130−1〜130−Nに接続される。
位相補正器120−1〜120−Nは、それぞれ、信号発生器180と、増幅器130−1〜130−Nとの間に接続されている。位相補正器120−1〜120−Nの各々は、位相調整部及び位相調整回路の一例である。
位相補正器120−1〜120−Nと信号発生器180との間の距離はそれぞれ異なり、位相補正器120−1と信号発生器180との間の距離が最も短く、位相補正器120−Nと信号発生器180との間の距離は最も長い。
位相補正器120−1〜120−Nは、信号発生器180から入力される交流信号の位相を揃えて出力できるように、それぞれ、遅延時間Δt1、Δt2、・・・、ΔtNだけ遅延を与える。
遅延時間Δt1〜ΔtNは、遅延時間Δt1が最も長く、順番に短くなり、遅延時間ΔtNが最も短い。遅延時間Δt1〜ΔtNは、信号発生器180から位相補正器120−1〜120−Nを経て増幅器130−1〜130−Nまで電力が伝送される時間が揃うような時間に設定されている。なお、遅延時間Δt1、Δt2、・・・、ΔtNは、位相補正器120−1〜120−Nと信号発生器180との間における電力の伝送速度が一例として光速Cの0.6倍であるものとして設定してある。
これにより、位相補正器120−1〜120−Nからは、位相が揃えられた(位相が一致した)交流信号が出力される。
増幅器130−1〜130−Nは、それぞれ、位相補正器120−1〜120−Nと、送電器110−1〜110−Nとの間に接続されている。増幅器130−1〜130−Nは、それぞれ、位相補正器120−1〜120−Nで位相が補正された電力を所定の増幅率で増幅して出力する。
制御部140は、通過検出部150の検出結果に応じて、増幅器130−1〜130−Nにおける増幅率を制御する。制御部140は、例えば、内部メモリを有するマイクロコンピュータによって実現される。制御部140は、増幅器130−1〜130−Nの増幅率を制御するための制御データを内部メモリに格納しており、通過検出部150の検出結果に応じて、増幅器130−1〜130−Nにおける増幅率を制御する。なお、制御部140による増幅率の制御については後述する。
通過検出部150は、搬送ベルト400の搬送方向において、送電器110−1よりも上流側に所定距離だけ離れた場所に配設され、PC500−1〜500−Nの通過を検出する。通過検出部150は、例えば、赤外線センサのように物品の通過を検出できるセンサであればよい。通過検出部150は、通過検出部の一例である。
通過検出部150は、検出結果を表す信号を制御部140に出力する。通過検出部150は、PC500−1〜500−Nの通過を検出すると、PC500−1〜500−Nの通過を表す信号を出力する。
なお、実施の形態1では、PC500−1〜500−Nは、送電器110−1〜110−Nが配置される間隔と等しい間隔で搬送ベルト400の上に並べられた状態で搬送され、搬送ベルト400の移動速度は一定である。
従って、通過検出部150で先頭のPC500−1の通過を検出すれば、PC500−1〜500−Nが送電器110−1〜110−Nを通過するタイミングは、通過検出部150から送電器110−1までの距離、送電器110−1〜110−N同士の間隔、及び、搬送ベルト400の移動速度に基づいて検知できる。
また、通過検出部150で先頭のPC500−1の通過を検出すれば、PC500−1〜500−NのPC500−1〜500−Nに対する位置を検出することができる。このため、通過検出部150は、位置検出部の一例である。
信号発生器180は、出力端子が位相補正器120−1〜120−Nの入力端子に接続されている。信号発生器180は、送電器110−1〜110−Nから送電する交流電力の元になる交流信号を位相補正器120−1〜120−Nに出力する。
信号発生器180は、交流源の一例であり、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間で生じさせる磁界共鳴による共振の共振周波数に等しい交流信号を発生する回路であればよい。
なお、共振周波数は予め所定の周波数に設定される。ここでは、一例として共振周波数が6.78MHzであることとする。このような磁界共鳴に利用する共振周波数は、法律等によって割り当てが決められる。従って、信号発生器180が出力する交流信号の周波数は、磁界共鳴に利用する共振周波数に合わせて設定すればよい。
搬送ベルト400は、PC500の動作確認試験を行うラインの下流側に設けられており、動作確認試験をパスしたPC500のみを搬送するベルト状の搬送装置である。搬送ベルト400は、搬送路の一例である。
図3には動作確認試験をパスしたPC500−1〜500−Nが搬送ベルト400によって搬送される状態を示す。搬送ベルト400は、図3における左から右の方向(矢印の方向)にPC500−1〜500−Nを搬送する。
PC500−1〜500−Nは、それぞれ、受電器20−1〜20−Nと、負荷回路501−1〜501−Nとを含む。以下では、受電器20−1〜20−N、及び、負荷回路501−1〜501−Nを特に区別しない場合は、それぞれ、単に受電器20、及び、負荷回路501と称す。
受電器20−1〜20−Nは、それぞれ、図1及び図2に示す受電器20と同様であり、2次側共振コイル3、2次側コイル4、整流回路6、DC/DCコンバータ7を有する。受電器20−1〜20−Nの各2次側共振コイル3は、PC500−1〜500−Nが搬送ベルト400に載せられた状態で、搬送ベルト400の搬送面と平行になるように(各2次側共振コイル3の中心軸が搬送面と垂直になるように)配設される。このため、PC500−1〜500−Nが搬送ベルト400に載せられた状態で、各2次側共振コイル3の中心軸と、各1次側共振コイル2の中心軸とは一致する。
負荷回路501−1〜501−Nは、PC500−1〜500−NのCPU(Central Processing Unit)、キャッシュメモリ等の主記憶装置、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置、及び、バッテリ等である。
PC500−1〜500−Nの受電器20−1〜20−Nは、搬送ベルト400によって搬送される間に、送電器110−1〜110−Nから電力を受電する。これにより、PC500−1〜500−Nのバッテリが充電される。
送電装置100は、信号発生器180から位相補正器120−1〜120−Nに入力される交流信号に、それぞれ、遅延時間Δt1〜ΔtNを与えて位相を補正して、増幅器130−1〜130−Nに入力する。
位相が補正された交流信号は、増幅器130−1〜130−Nで増幅されて交流電力となり、それぞれ、送電器110−1〜110−Nから磁界共鳴でPC500−1〜500−Nの受電器20−1〜20−Nに送電される。これにより、PC500−1〜500−Nのバッテリが充電される。
なお、実施の形態1の送電システムは、送電装置100と信号発生器180とを含むシステムである。
図4は、実施の形態1の送電装置100の位相補正器120−1〜120−Nの構成を示す図である。図4には、位相補正器120−1〜120−Nに加えて、制御部140及び信号発生器180を示す。
位相補正器120−1〜120−Nは、同様の構成を有するため、ここでは位相補正器120−1について説明する。
位相補正器120−1は、A/D変換器121、デジタル遅延回路122、及びフィルタ123を有する。
A/D変換器121は、入力端子が信号発生器180の出力端子に接続されており、出力端子がデジタル遅延回路122の入力端子に接続されている。A/D変換器121は、信号発生器180から出力される交流信号(アナログ信号)をデジタル変換して、デジタル遅延回路122に出力する。
デジタル遅延回路122は、入力端子がA/D変換器121の出力端子に接続されており、出力端子がフィルタ123の入力端子に接続されている。また、デジタル遅延回路122には、制御部140から制御信号が入力される。
制御部140から位相補正器120−1〜120−Nのデジタル遅延回路122に入力される制御信号は、それぞれ、上述の遅延時間Δt1〜ΔtNを実現するためのカウント値である。制御部140は、システムクロックに基づいて遅延時間Δt1〜ΔtNの各々に対応するカウント値を表す制御信号を生成し、位相補正器120−1〜120−Nのデジタル遅延回路122に出力する。
デジタル遅延回路122は、A/D変換器121から入力される交流信号(デジタル値)に、制御部140から入力される制御信号に基づく遅延時間を与え、遅延させた交流信号(デジタル値)をフィルタ123に出力する。このようなデジタル遅延回路122としては、例えば、DLL(Delay Locked Loop)を用いることができる。
フィルタ123は、入力端子がデジタル遅延回路122の出力端子に接続され、出力端子がアンプ130の入力端子に接続される。フィルタ123は、デジタル遅延回路122から出力される交流信号(デジタル値)からノイズを除去するとともに、アナログ値に変換した交流信号をアンプ130に出力する。
以上のようにして、位相補正器120−1〜120−Nは、それぞれ、信号発生器180から入力される交流信号を遅延させてアンプ130−1〜130−Nに出力する。位相補正器120−1〜120−Nから出力されるN個の交流信号の位相は、一致している。
このため、送電器110−1〜110−Nから送電される電力の位相は、すべて一致している。このように、送電器110−1〜110−Nから送電される電力の位相を一致させるのは、送電器110−1〜110−Nがそれぞれ受電器20−1〜20−Nに向けて出力する電力は互いに影響を及ぼし合うため、位相が異なると受電器20−1〜20−Nにおける受電効率が低下するからである。
ここで、図5を用いて、位相補正器120−1〜120−Nで交流信号の位相を揃えることなく、位相の異なる交流信号が送電器110−1〜110−Nから出力される場合に、受電器20−1〜20−Nで受電される電力(受電電力)について説明する。
信号発生器180から送電器110−1〜110−Nの各々までのN通りの伝送路の長さの差は、均等であることとする。
送電器110−1〜110−Nのうち、隣り合う2つの送電器110が送電する電力同士の位相差をαとする。また、図5には、送電器110−1〜110−Nに対する受電器20−1〜20−Nの位置ずれによる影響も併せて示す。
送電器110−1〜110−Nに対する受電器20−1〜20−Nの位置ずれとは、送電器110−1〜110−Nの1次側共振コイル2に対する、PC500−1〜500−Nに含まれる受電器20−1〜20−Nの2次側共振コイル3の位置ずれを意味する。
図5は、電力の位相差αと受電電力との関係を示す図である。受電電力は、送電電力に対する受電電力の割合(%)で表す。また、図5には、送電器110−1〜110−Nに対する受電器20−1〜20−Nの位置ずれが0ピッチから0.5ピッチの場合における電力の位相差αに対する受電電力の特性を示す。
なお、1ピッチは、送電器110−1〜110−Nのうちの隣り合う送電器110同士の間隔である。このため、位置ずれが0ピッチの場合は、送電器110−1〜110−Nに対する受電器20−1〜20−Nの位置ずれはなく、お互いの中心軸が一致している状態である。
また、位置ずれが0.5ピッチの場合は、送電器110−1〜110−Nのうちの隣り合う送電器110同士の中央に、受電器20−1〜20−Nの中心軸が存在する状態である。位置ずれが0.5ピッチとは、送電器110−1〜110−Nに対する受電器20−1〜20−Nの位置ずれが最大の場合である。
また、磁界共鳴方式では、送電器110−1〜110−Nに対して受電器20−1〜20−Nの位置がずれていても、受電器20−1〜20−Nは電力を受電する。このため、ある一つの受電器20は、自己に対応する送電器110だけではなく、自己に対応する送電器110の隣にある送電器110、及び、そのまたさらに隣にある送電器110からも電力を受電する。
従って、送電器110−1〜110−Nの各々の送電電力の量は、上述のように、受電器20−1〜20−Nの各々が複数の送電器110から受電することを考慮した上で、受電器20−1〜20−Nの各々が適切な量の電力を受電できるような基準値に設定される。
図5に示す受電電力は、このような送電電力の基準値に対する割合を百分率で表す。
なお、図5に示す特性は、以下の条件の下で電磁界シミュレーションによって得られたものである。1次側共振コイル2及び2次側共振コイル3の線径は1mm、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間で生じる磁界共鳴による共振の共振周波数は6.78MHzとした。また、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間で電力を送電する送電距離は、お互いの中心軸が一致している状態で50mmである。
また、1次側共振コイル2としては平面視で長方形状の渦状に巻回したコイルを用いた。長方形の外寸は、縦60mm×横990mmであり、このような長方形に収まるように、平面状に5巻にしたコイルを1次側共振コイル2として用いた。また、隣り合う1次側共振コイル2同士のコイルピッチは1000mm(中心間)であり、隣り合う1次側共振コイル2同士の間に10mmの間隔をおいて、横方向に並べた。
2次側共振コイル3としては平面視で長方形状の渦状に巻回したコイルを用いた。長方形の外寸は、縦60mm×横900mmであり、このような長方形に収まるように、平面状に5巻にしたコイルを2次側共振コイル3として用いた。また、2次側コイル4としては平面視で長方形状の渦状に巻回したコイルを用いた。長方形の外寸は、縦60mm×横900mmであり、このような長方形に収まるように、平面状に2巻にしたコイルを2次側コイル4として用いた。
なお、シミュレーションでは、上述のように平面視で長方形状のコイルを1次側共振コイル2、2次側共振コイル3、2次側コイル4として用いたが、これらのコイルは平面視で円形状又は正方形状等の様々な形状に巻回されたコイルであってもよい。
図5に示すように、位置ずれが0ピッチで位相差αが0度の場合の受電電力の値を百分率(%)で表し、上述した受電電力の値を100%とした。位相差αが0度から180度まで変化すると、受電電力は多少低下するが、約95%以上の値を示した。これにより、位置ずれがなければ位相差αが増大しても、受電電力に対する影響は少ないことが分かった。
また、位置ずれが0.1ピッチから0.5ピッチに増大すると、位相差αが0度の場合の受電電力の変化はほとんど無いが、位相差αが0度から180度まで変化すると、受電電力が低下した。受電電力は、図5に示すように、位相差αの増大に伴い、位置ずれが大きいほど低下した。特に、位置ずれが0.5ピッチで位相差αが180度の場合には、受電電力は略0%であった。これにより、位置ずれがある場合は、位相差αの増大に伴って受電電力が低下することが分かった。
また、上述したように、信号発生器180から送電器110−1〜110−Nの各々までのN通りの伝送路の長さの差は均等であるため、ある送電器110の2つ隣にある送電器110の送電電力の位相と、ある送電器110の送電電力の位相との位相差は2αになる。
従って、送電器110−1〜110−Nの各々の送電電力の位相が異なると、受電器20−1〜20−Nの各々における受電電力が低下することになる。
図6は、電力の位相差αが0度の場合における、位置ずれに対する受電電力の特性を示す図である。すなわち、図6に示す特性は、図5に示す特性で位相差αが0度の場合で、位置ずれが0ピッチから0.5ピッチまでの場合の受電電力を抽出したものである。
図6に示すように、位相差αが0度の場合に、受電電力は、位置ずれが0ピッチの場合の約100%から位置ずれの変化に伴って低下し、位置ずれが0.5ピッチになると約96.5%であった。
このように、位相差αを0度に設定しても、位置ずれによって受電電力が3.5%ほど低下することが分かった。
以上より、実施の形態1の送電装置100では、まず、位相補正器120−1〜120−Nで、それぞれ、信号発生器180から入力される交流信号を遅延させることにより、送電器110−1〜110−Nから送電される電力の位相をすべて一致させる。
すなわち、送電器110−1〜110−Nから送電される電力の位相差が0度になるように、信号発生器180から入力される交流信号に対して位相補正器120−1〜120−Nで与える遅延時間Δt1〜ΔtNを設定する。
また、上述の位相の調整に加えて、送電器110−1〜110−Nの1次側共振コイル2と、PC500−1〜500−Nに含まれる受電器20−1〜20−Nの2次側共振コイル3との位置ずれに応じて、送電器110−1〜110−Nの1次側共振コイル2から送電する電力を調整する。
送電器110−1〜110−Nの1次側共振コイル2と、PC500−1〜500−Nに含まれる受電器20−1〜20−Nの2次側共振コイル3との位置ずれは、通過検出部150でPC500−1の通過を検出することによって検出できる。
上述したように、PC500−1〜500−Nが送電器110−1〜110−Nを通過するタイミングは、通過検出部150から送電器110−1までの距離、送電器110−1〜110−N同士の間隔、及び、搬送ベルト400の移動速度に基づいて検知できる。また、PC500−1〜500−Nと送電器110−1〜110−Nは、搬送ベルト400による搬送方向において互いに等しい間隔で配置される。
従って、通過検出部150で先頭のPC500−1の通過を検出すれば、送電器110−1〜110−Nの1次側共振コイル2と、PC500−1〜500−Nに含まれる受電器20−1〜20−Nの2次側共振コイル3との位置ずれを検出することができる。
また、送電器110−1〜110−Nの1次側共振コイル2から送電する電力の調整は、増幅器130−1〜130−Nの増幅率を制御部140で制御することによって実現する。具体的には、制御部140が図7に示す特性に基づいて増幅器130−1〜130−Nの増幅率を補正することにより、増幅器130−1〜130−Nの増幅率を制御する。
図7は、実施の形態1の送電装置100における位置ずれに対する送電電力の特性を示す図である。図7に示す特性は、制御部140の内部メモリに格納される制御データであり、増幅器130−1〜130−Nの増幅率を制御するために用いられる制御データである。
ここで、位置ずれとは、送電器110−1〜110−Nに対する受電器20−1〜20−Nの位置ずれである。また、図7に示す送電電力は、送電器110−1〜110−Nから送電する電力を百分率(%)で表したものであり、100%は、上述した送電電力の基準値を表す。
図7に示すように、位置ずれが0ピッチの場合は、送電電力を100%に設定する。位置ずれが生じていない場合は、送電電力は基準値(100%)で足りるからである。
また、位置ずれの増大に伴って送電電力を徐々に増大させ、位置ずれが0.5ピッチのときに送電電力が約103.5%になるようにする。また、位置ずれが0.5ピッチよりも大きくなると、送電電力を徐々に低下させ、位置ずれが1.0ピッチのときに送電電力が100%に戻るように設定する。
なお、上述したように、位置ずれは0.5ピッチが最大であり、位置ずれが0ピッチであることと、位置ずれが1.0ピッチであることとは等価であるため、図7に示す特性は、位置ずれが0.5ピッチになるときの送電電力が最大になり、0.5ピッチを境に左右で対称な特性である。
このような特性は、図6に示す特性の逆特性として求めることができる。このため、図7に示す送電電力の最大値は、約103.5%になっている。これは、図6に示したように、位置ずれによって受電電力が約3.5%ほど低下することに対応している。
以上より、実施の形態1の送電装置100の制御部140は、位置ずれに対して送電器110−1〜110−Nから送電する電力が図7に示す特性のように変化するように、増幅器130−1〜130−Nの増幅率を制御する。
上述したように、送電器110−1〜110−Nの1次側共振コイル2と、PC500−1〜500−Nに含まれる受電器20−1〜20−Nの2次側共振コイル3との位置ずれは、通過検出部150でPC500−1の通過を検出することによって検出できる。
従って、通過検出部150がPC500−1の通過を検出する検出結果に基づいて、制御部140が図7に示す特性を用いて増幅器130−1〜130−Nの増幅率を補正すれば、位置ずれによる受電器20−1〜20−Nにおける受電電力の低下分を補正することができる。
以上、実施の形態1によれば、複数の受電器20−1〜20−Nに効率良く電力を送電できる送電装置100を提供することができる。
また、実施の形態1の送電装置100は、1つの信号発生器180が発生する交流信号に基づく交流電力を複数の送電器110から効率良く送電できるため、複数の送電器110の各々に交流電源を設ける必要がなく、装置構成を簡略化できる。
なお、以上では、送電器110が1次側コイル1を含まずに、1次側共振コイル2を整合回路5に直接的に接続した構成を有する形態について説明したが、送電器110は、1次側コイル1を含んでいてもよい。
<実施の形態2>
図8は、実施の形態2の送電装置200を用いた送電システムを示す図である。
送電装置200は、実施の形態1の送電装置100(図3参照)の位相補正器120−1〜120−Nをケーブル220−1〜220−Nに置き換えるとともに、制御部140及び通過検出部150(図3参照)を取り除いたものである。その他の構成は、実施の形態1の送電装置100と同様である。このため、同様の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
実施の形態2の送電装置200では、送電器110−1〜110−Nに対する受電器20−1〜20−Nの位置ずれは考慮しない。このため、実施の形態2の送電装置200は、制御部140及び通過検出部150(図3参照)を取り除いた構成を有する。
位置ずれに対する受電電力の変動は、実施の形態1で図6を用いて説明したように、約3.5%未満である。これに対して、位相補正器120−1〜120−Nで交流信号の位相を揃えることなく、位相の異なる交流信号を送電器110−1〜110−Nから出力した場合には、受電電力は約0%まで低下することが分かっている(図5参照)。
すなわち、実施の形態1の制御部140が行う位置ずれに対する送電電力の補正は、位相補正器120−1〜120−Nを用いて送電器110−1〜110−Nの送電電力の位相を揃えることに比べると、受電器20−1〜20−Nの受電電力に与える影響が小さい。
このため、実施の形態2では、送電器110−1〜110−Nの送電電力の位相を揃えることのみを行う。また、実施の形態2の送電装置200は、実施の形態の位相補正器120−1〜120−Nの代わりに、ケーブル220−1〜220−Nを用いて、交流信号の位相を揃える。
ケーブル220−1〜220−Nは、それぞれ、信号発生器180の出力端子と、増幅器130−1〜130−Nの入力端子との間を接続している。ここで、実施の形態2では、増幅器130−1〜130−Nの増幅率は一定である。
ケーブル220−1〜220−Nの余剰分長さL1〜LNは、それぞれ、信号発生器180の出力端子と、増幅器130−1〜130−Nの入力端子との間の長さが等しくなるように設定されている。ケーブル220−1〜220−Nは、位相調整部及び伝送路の一例である。
増幅器130−1〜130−Nのうち、増幅器130−1は信号発生器180に最も近く、増幅器130−Nは信号発生器180から最も遠い。すなわち、増幅器130−1〜130−Nと信号発生器180との間の伝送路の長さは、増幅器130−1と信号発生器180との間が最も短く、増幅器130−Nと信号発生器180との間が最も長い。
このため、ケーブル220−1〜220−Nの余剰分すなわち、最短で接続可能な長さとの差分の長さL1〜LNは、L1が最も長く、LNが最も短く、信号発生器180の出力端子と、増幅器130−1〜130−Nの入力端子との間の長さが等しくなるように設定されている。
以上のようなケーブル220−1〜220−Nを用いれば、送電器110−1〜110−Nの送電電力の位相を揃えることができ、実施の形態1と同様に、複数の受電器20−1〜20−Nに効率良く電力を送電できる送電装置200を提供することができる。
なお、以上では、ケーブル220−1〜220−Nの長さL1〜LNは、L1が最も長く、LNが最も短い形態について説明した。しかしながら、例えば、長さL1〜LNのうちのいずれかに、共振周波数における電力の1周期分の波長λが含まれる場合には、そのケーブルについては、波長λ分だけ短くしてもよい。
また、以上では、送電器110−1〜110−Nに対する受電器20−1〜20−Nの位置ずれは考慮せず、増幅器130−1〜130−Nの増幅率を一定にする形態について説明した。しかしながら、実施の形態1と同様に、制御部140及び通過検出部150(図3参照)を用いて、制御部140が図7に示すような特性を用いて、位置ずれに応じて増幅器130−1〜130−Nの増幅率を制御してもよい。
<実施の形態3>
図9は、実施の形態3の送電装置300を用いた送電システムを示す図である。
実施の形態3の送電装置300は、PC500−1〜500−Nのうちの少なくともいずれか1つが抜けている場合における増幅器130−1〜130−Nの増幅率の制御に関するものである。
送電装置300は、実施の形態1の送電装置100の制御部140を制御部340に置き換えたものである。制御部340は、上述のようにPC500−1〜500−Nのうちの少なくともいずれか1つが抜けている場合における増幅器130−1〜130−Nの増幅率の制御を行うものである。
実施の形態3では、一例として、PC500−1〜500−NのうちのPC500−2が抜けている場合について説明する。また、図9では、PC500−3、送電器110−3、位相補正器120−3、増幅器130−3を図示する。
ここで、図10を用いて、送電区間に5つの送電器110が配設されている場合に、本来であれば5つのPC500が送電区間に存在するはずのところに、上流側から3番目のPC500が抜けており、2番目と4番目のPC500の受電器20に含まれる2次側共振コイル3が受電する電力について説明する。
すなわち、搬送ベルト400に沿って配設される送電区間に、4つのPC500(上流側から1番目、2番目、4番目、5番目のPC500)が存在する場合に、2番目と4番目のPC500の受電器20の2次側共振コイル3が受電する電力ついて説明する。
このような状況は、例えば、複数のPC500に対して連続的に動作確認試験が行われた場合に、ある1つのPC500のみが動作確認試験をパスせずに搬送ベルト400に搭載されなかった場合に生じうる。
図10は、上流側から2番目と4番目のPC500の受電器20に含まれる2次側共振コイル3が受電する電力の位置ずれに対する特性を示す図である。ここでの位置ずれは、送電区間における上流側から2番目と4番目の送電器110の1次側共振コイル2に対する、上流側から2番目と4番目のPC500の受電器20に含まれる2次側共振コイル3の位置ずれである。また、位置ずれの単位はピッチであり、これは図5乃至図7で用いた位置ずれと同様である。
なお、図10に示す特性は、以下の条件の下で電磁界シミュレーションによって得られたものである。1次側共振コイル2及び2次側共振コイル3の線径は1mm、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間で生じる磁界共鳴による共振の共振周波数は6.78MHzとした。また、1次側共振コイル2と2次側共振コイル3との間で電力を送電する送電距離は、お互いの中心軸が一致している状態で50mmである。
また、1次側共振コイル2としては平面視で長方形状の渦状に巻回したコイルを用いた。長方形の外寸は、縦60mm×横990mmであり、このような長方形に収まるように、平面状に5巻にしたコイルを1次側共振コイル2として用いた。また、隣り合う1次側共振コイル2同士のコイルピッチは1000mm(中心間)であり、隣り合う1次側共振コイル2同士の間に10mmの間隔をおいて、横方向に並べた。
2次側共振コイル3としては平面視で長方形状の渦状に巻回したコイルを用いた。長方形の外寸は、縦60mm×横900mmであり、このような長方形に収まるように、平面状に5巻にしたコイルを2次側共振コイル3として用いた。また、2次側コイル4としては平面視で長方形状の渦状に巻回したコイルを用いた。長方形の外寸は、縦60mm×横900mmであり、このような長方形に収まるように、平面状に2巻にしたコイルを2次側コイル4として用いた。
図10に示すように、2番目と4番目のPC500の受電器20に含まれる2次側共振コイル3の受電電力は、3番目のPC500が抜けていることにより、100%以上になっており、位置ずれが大きくなるほど増大している。
特に、2番目の2次側共振コイル3は、位置ずれの増大に伴って、送電相手が存在しない3番目の1次側共振コイル2と近くなるため、4番目の2次側共振コイル3よりも位置ずれの増大に伴う受電電力の増大度合が大きい。2番目の2次側共振コイル3の受電電力の最大値は約170%であり、4番目の2次側共振コイル3の受電電力の最大値は約135%である。
このように、いずれかのPC500が抜けている場合には、その前後のPC500の受電器20に含まれる2次側共振コイル3の受電電力が増大する。受電電力が増大しすぎると、PC500のバッテリの過充電等に繋がるおそれがあるため、送電電力を調整することが好ましい。
このため、実施の形態3の送電装置300では、PC500の抜けが生じた場合に、その前後のPC500に対応する送電器110に接続される増幅器130の増幅率を制御部340が制御する。また、PC500が抜けることは、動作確認試験にパスしないPC500が発生した場合に生じる。動作確認試験の合格率は非常に高く、100%に近い確率であるため、動作確認試験にパスしないことは希である。
従って、複数のPC500が連続的に抜けることは通常は考えにくいため、ここでは、N個のPC500が搬送ベルト400によって搬送されている場合に、いずれか1つのPC500が抜けている場合について検討する。
図11は、実施の形態3の送電装置300における位置ずれに対する送電電力の特性を示す図である。図11に示す特性は、制御部340の内部メモリに格納される制御データであり、増幅器130−1〜130−Nの増幅率を制御するために用いられる。
ここで、位置ずれとは、送電器110−1〜110−Nに対する受電器20−1〜20−Nの位置ずれである。また、図11に示す送電電力は、送電器110−1〜110−Nから送電する電力を百分率(%)で表したものであり、100%は、上述した送電電力の基準値を表す。
図11には、前抜けと後抜けの送電電力の特性を示す。前抜けの送電電力の特性は、ある1つの送電器110に対応するPC500よりも1つ前に抜けが生じている場合に、その送電器110の送電電力を調整するための特性である。例えば、図9に示すように、2番目のPC500−2が抜けている場合には、PC500−1に対応する送電器110−1に接続される増幅器130−1の増幅率を制御部340が制御するために用いるのが前抜けの送電電力の特性である。
また、後抜けの送電電力の特性は、ある1つの送電器110に対応するPC500よりも1つ後に抜けが生じている場合に、その送電器110の送電電力を調整するための特性である。例えば、図9に示すように、2番目のPC500−2が抜けている場合には、PC500−3に対応する送電器110−3に接続される増幅器130−3の増幅率を制御部340が制御するために用いるのが後抜けの送電電力の特性である。
上述したように、後抜けの場合は、位置ずれの増大に伴って、PC500の抜けが生じている箇所の1つ前側(上流側)のPC500が、送電相手が存在しない送電器110の1次側共振コイル2と近くなるため、前抜けの場合よりも送電電力を低く設定している。
また、前抜け及び後抜けの両方の場合において、位置ずれが0.5ピッチのときに、送電相手が存在しない送電器110の1次側共振コイル2からの受電電力が最も大きくなるため、図11に示すように、前抜け及び後抜けの送電電力は、位置ずれが0.5ピッチのときに最小になるような特性に設定されている。
なお、搬送ベルト400は常に動いており、PC500の抜けが生じている箇所は、時間とともに送電区間の上流側から下流側に移動する。このような移動に伴い、前抜けと後抜けに対応する増幅器130は、移り変わって行く。
従って、制御部340は、通過検出部150の検出結果に基づいてPC500の抜けを検出した後は、搬送ベルト400の移動速度、送電区間の長さ、及び、送電器110−1〜110−N同士の間隔に基づいて、前抜けと後抜けに対応する増幅器130を周期的に入れ替えて、増幅率の制御を行えばよい。
図12は、実施の形態3の送電装置300の制御部340が実行する処理を示すフローチャートである。このフローは、送電装置300の電源が投入されることによってスタートする。
制御部340は、PC500の抜けがあるかどうかを判定する(ステップS1)。PC500の抜けがあるかどうかは、通過検出部150からPC500の通過を検出した信号が周期的に制御部340に入力されるかどうかで判定すればよい。複数のPC500が動作確認試験に連続的にパスしていれば、通過検出部150からPC500の通過を検出した信号が所定の時間間隔で周期的に制御部340に入力されるからである。
制御部340は、抜けがあると判定した場合(S1:YES)は、図11に示す特性を表す制御データを用いて、前抜けと後抜けの増幅率の制御を行う(ステップS2)。これにより、PC500の抜けの前後のPC500に対応する送電器110に接続された増幅器130の増幅率が図11に示す特性に従って制御される。
また、上述したように、搬送ベルト400は常に動いており、PC500の抜けが生じている箇所は、時間とともに送電区間の上流側から下流側に移動するため、制御部340は、前抜けと後抜けに対応する増幅器130を周期的に入れ替えて、増幅率の制御を行う。
制御部340は、ステップS2による制御を終了するかどうかを判定する(ステップS3)。搬送ベルト400によって順次PC500が搬送されて行き、PC500の抜けが無くなった場合は、ステップS2による制御を行う必要はなくなるからである。
具体的には、制御部340は、後抜けの制御を行う増幅器130が増幅器130−Nに達した後に、さらに所定の時間が経過した時点で、ステップS2による制御を終了する。制御部340は、ステップS2による制御を終了すると判定した場合は(S3:YES)、フローをステップS1にリターンさせる。
また、制御部340は、ステップS1で抜けが生じていない(S1:NO)と判定した場合は、増幅器130−1〜130−Nに対して通常制御を行う(ステップS4)。通常制御とは、増幅率を基準値に設定する制御である。これにより送電器110−1〜110−Nの送電電力は基準値(100%)に設定される。
また、制御部340は、ステップS3で制御が終了していない(S3:NO)と判定した場合には、フローをステップS2にリターンし、制御が終了したと判定するまで繰り返しステップS2による処理を実行する。
以上のように、制御部340による前抜けと後抜けに対する増幅率の制御が行われる。
以上、実施の形態3によれば、動作確認試験にパスしなかったPC500が発生して、送電区間においてPC500の抜けが生じた場合においても、複数の受電器20に効率良く電力を送電できる送電装置300を提供することができる。
なお、前抜けと後抜けに対応する増幅器130の間に位置する増幅器130の増幅率は基準値に設定すればよい。増幅器の基準値とは、送電電力の基準値(100%)を実現する増幅率である。
また、前抜けから後抜けまでの3つに対応する増幅器130以外の増幅器130の増幅率は、基準値に設定してもよいし、実施の形態1の制御部140と同様に、位置ずれに応じて図7に示す特性に基づいて増幅率を補正してもよい。
以上、本発明の例示的な実施の形態の送電装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
1 1次側コイル
2 1次側共振コイル
3 2次側共振コイル
4 2次側コイル
5 整合回路
6 整流回路
7 DC/DCコンバータ
10 送電器
20 受電器
30 充電システム
40 交流電源
50 バッテリ
100 送電装置
110−1〜110−N 送電器
120−1〜120−N 位相補正器
130−1〜130−N 増幅器
140 制御部
150 通過検出部
180 信号発生器
200 送電装置
220−1〜220−N ケーブル
300 送電装置
340 制御部

Claims (5)

  1. 電子機器の搬送路に沿って配設される複数の1次側共振コイルであって、前記搬送路に沿って搬送される前記電子機器の2次側共振コイルに磁界共鳴によって電力を送電する複数の1次側共振コイルと、
    交流源と前記複数の1次側共振コイルとの間に接続され、前記交流源から前記複数の1次側共振コイルに供給される電力の位相を調整する、複数の位相調整部と
    前記複数の1次側共振コイルに対する、前記搬送路を搬送される前記電子機器の位置を検出する位置検出部と、
    前記交流源と前記複数の1次側共振コイルとの間に接続され、前記交流源から前記複数の1次側共振コイルに供給される電力を増幅する複数の増幅器と、
    前記位置検出部によって検出される前記電子機器の位置に基づき、前記複数の増幅器における電力の増幅度合を調整する制御部と、
    前記搬送路に沿って搬送される前記電子機器の通過を検出する通過検出部と
    を含み、
    前記複数の位相調整部は、それぞれ、前記交流源から前記複数の1次側共振コイルに供給される電力の位相が揃うように、前記複数の1次側共振コイルに供給される電力の位相を調整し、
    前記制御部は、前記通過検出部の検出結果に基づいて前記複数の1次側共振コイルのうちの1つに対応する電子機器が存在しないと判定すると、当該対応する電子機器が存在しない1次側共振コイルの前記搬送路における前後に位置する一対の1次側共振コイルに対応する一対の前記増幅器の増幅度合が小さくなるように調整する、送電装置。
  2. 前記複数の位相調整部は、それぞれ、前記交流源と前記複数の1次側共振コイルとの間に接続される位相調整回路である、請求項1記載の送電装置。
  3. 前記複数の位相調整部は、前記交流源から前記複数の1次側共振コイルに供給される電力の位相が揃うように、前記交流源と前記複数の1次側共振コイルとの間における電力の伝送距離が調整される、複数の伝送路である、請求項1記載の送電装置。
  4. 前記制御部は、前記電子機器と前記1次側共振コイルとの位置ずれが大きくなると、前記増幅器における電力の増幅度合を大きくする、請求項1乃至3のいずれか一項記載の送電装置。
  5. 前記制御部は、前記位置検出部によって検出される前記電子機器の位置に基づき、前記対応する電子機器が存在しない1次側共振コイルの前記搬送路における前後に位置する1次側共振コイルに対応する前記増幅器の増幅度合を調整する、請求項1乃至4のいずれか一項記載の送電装置。
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