JP6365192B2 - Ni合金鋳造品の鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Ni合金鋳造品の鋳造方法に係り、特に、ジェットエンジンのタービン部品、ケーシング等に用いられるNi合金鋳造品の鋳造方法に関する。
Ni(ニッケル)合金鋳造品は、耐食性や高温強度に優れていることから、ジェットエンジンのタービン部品、ケーシング等へ適用されている。また、Ni合金はホールペッチ(Hall−Petch)の法則に従うことが知られており、結晶粒が微細化すると耐力が向上する。このような理由から、Ni合金鋳造品の高温強度を向上させるために、鋳込み温度等の鋳込み条件を変えることにより、結晶粒を微細化することが行われている。
特許文献1には、航空機エンジンのタービンエキゾーストケース等の高温強度部材の大型鋳物の精密鋳造では、高温での機械的強度を向上させるために、結晶粒を微細化することが有効であることが記載されている。
特許第3194354号公報
ところで、Ni合金鋳造品の鋳造方法において、鋳込み温度が高いと結晶粒が粗大化することから、鋳込み温度を低くして結晶粒を微細化することが行われている。しかし、鋳込み温度を低くしても結晶粒の微細化の程度については十分ではなく、Ni合金鋳造品の高温強度をより向上させるために、結晶粒をより微細化することが望まれている。また、鋳込み温度が低くなると、湯廻り不良等により鋳造欠陥が発生する可能性がある。
そこで本発明の目的は、結晶粒をより微細化可能なNi合金鋳造品の鋳造方法を提供することである。
本発明に係るNi合金鋳造品の鋳造方法は、鋳型内に純Co粉末を、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で投入するCo粉末投入工程と、前記純Co粉末が投入された鋳型内に、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中でNi合金溶湯を注湯して鋳込む鋳込み工程と、を備えることを特徴とする。
本発明に係るNi合金鋳造品の鋳造方法は、前記Co粉末投入工程において、前記純Co粉末は、Ni合金鋳込み量と純Co粉末投入量との合計に対する前記純Co粉末投入量の比率が、0.1質量%以上0.5質量%以下となるようにして投入されることを特徴とする。
本発明に係るNi合金鋳造品の鋳造方法において、前記純Co粉末の平均粒径は、0.1μm以上5.0μm以下であることを特徴とする。
本発明に係るNi合金鋳造品の鋳造方法は、前記鋳込み工程において、鋳込み温度が1480℃以上1530℃以下であることを特徴とする。
上記構成によれば、Ni合金溶湯の凝固時に、Co(コバルト)成分が結晶核を発生させる核発生物質として作用するので、Ni合金鋳造品の結晶粒をより微細化することが可能となる。
本発明の実施の形態において、Ni合金鋳造品の鋳造方法を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態において、Ni合金鋳造品の鋳込みの準備を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態において、鋳型内へのCo粉末の投入方法を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態において、Ni合金鋳造品の鋳込み方法を説明するための模式図である。 本発明の実施の形態において、実施例1の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品の外観表面観察結果を示す写真である。 本発明の実施の形態において、実施例2の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品の外観表面観察結果を示す写真である。 本発明の実施の形態において、比較例1の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品の外観表面観察結果を示す写真である。 本発明の実施の形態において、比較例2の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品の外観表面観察結果を示す写真である。 本発明の実施の形態において、比較例3の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品の外観表面観察結果を示す写真である。
以下に本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、Ni(ニッケル)合金鋳造品の鋳造方法を示すフローチャートである。Ni合金鋳造品の鋳造方法は、Co(コバルト)粉末投入工程(S10)と、鋳込み工程(S12)と、を備えている。
まず、Ni合金鋳造品の鋳込みの準備について説明する。図2は、Ni合金鋳造品の鋳込みの準備を説明するための模式図である。
鋳造装置10は、Ni合金原料を溶解するための溶解室12と、鋳型14を配置するための鋳型室16と、を備えている。溶解室12と鋳型室16との間には、溶解室12と鋳型室16とを開閉可能に仕切る仕切りバルブ18が設けられている。
溶解室12には、Ni合金原料を溶解してNi合金溶湯20を溜める溶解坩堝22が設けられている。Ni合金原料の溶解には、例えば、インダクションスカル溶解法等を用いることが可能である。溶解坩堝22は、例えば、水冷された銅製坩堝で形成されており、Ni合金溶湯20を鋳型14内に注湯するために傾動可能に構成されている。溶解坩堝22の周りには、例えば、誘導加熱用の高周波コイルヒータ24等が設けられている。
鋳型室16には、鋳型14を載置するための鋳型台を有し、鋳型14を上昇または下降させる昇降体26が設けられている。鋳型室16には、Co(コバルト)粉末28を入れるためのCo粉末用容器30が設けられている。Co粉末用容器30については、耐火金属やセラミックスで形成することができる。Co粉末用容器30は、Co粉末28を鋳型14内に投入するために傾動可能に構成されている。なお、Co粉末用容器30については、溶解室12に設けるようにしてもよい。
鋳造装置10には、溶解室12と鋳型室16とを排気して真空雰囲気とするための真空ポンプ等の排気手段(図示せず)が設けられている。鋳造装置10には、溶解室12と鋳型室16とに不活性ガス(アルゴンガス等)を導入するためのガスボンベ等のガス供給手段(図示せず)が設けられている。
鋳造装置10には、仕切りバルブ18の開閉、溶解坩堝22の傾動、昇降体26の上昇下降、Co粉末用容器30の傾動、溶解室12及び鋳型室16の排気やガス供給等を制御するために制御手段(図示せず)が設けられている。制御手段(図示せず)は、一般的なコンピュータシステム等により構成されている。
鋳型14は、セラミックス等の耐火材料で形成されている。鋳型14については、例えば、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、ジルコニア(ZrO)、イットリア(Y)、セリア(CeO)等の酸化物により形成することが可能である。鋳型14の形状については、特に、限定されることはない。鋳型14には、タービン翼、ケーシング等のNi合金部品を鋳造するための一般的な鋳型を用いることが可能である。
Co粉末投入工程(S10)は、鋳型14内にCo粉末28を、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で投入する工程である。図3は、鋳型14内へのCo粉末28の投入方法を説明するための模式図である。
まず、鋳型室16に鋳型14を入れて、鋳型14を昇降体26の鋳型台に載置する。鋳型14は、鋳型室16に入れる前に、予熱炉等で、例えば、1100℃から1500℃、好ましくは1400℃から1450℃に予熱されるようにしてもよい。次に、鋳型室16を排気して、鋳型室16を真空雰囲気にする。真空度については、例えば、0.13Pa(1×10−3Torr)から1.3Pa(1×10−2Torr)である。なお、鋳型室16を排気した後に、鋳型室16にアルゴンガス等の不活性ガスを導入して、鋳型室16を不活性ガス雰囲気としてもよい。次に、Co粉末用容器30を傾動させて、鋳型14内にCo粉末28を投入する。
Co粉末28は、Ni合金溶湯20の凝固初期に、Ni合金溶湯20と接触することにより、結晶核を発生させる核発生物質として機能する。これにより、Ni合金鋳造品の結晶粒を微細化することが可能となる。また、鋳型14内にCo粉末28を、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で投入することにより、例えば、鋳型14が予熱されていた場合でもCo粉末28の酸化が防止されるので、Ni合金鋳造品の品質低下の原因となる酸化コバルト等からなる介在物の形成が抑制される。
Co粉末28には、純Co粉末(Co単体粉末)またはCo合金粉末を用いることが可能である。純Co粉末またはCo合金粉末は、Ni合金中に固溶するので、Ni合金鋳造品の品質を低下させる介在物の形成を抑制できるからである。より詳細には、酸化コバルト等の非金属材料からなるコバルト化合物を用いる場合には、Ni合金鋳造品の中に、このようなコバルト化合物が巻き込まれて介在物を形成し、Ni合金鋳造品の品質が低下する場合がある。これに対して純Co粉末またはCo合金粉末はNi合金中に固溶することから、Ni合金鋳造品中の介在物の形成が抑制され、Ni合金鋳造品の品質を向上させることができる。
Co粉末28にCo合金粉末を用いる場合には、Co−Ni合金粉末や、Ni合金中に含まれる合金成分とCoとのCo合金からなるCo合金粉末を用いることが好ましい。例えば、Ni合金鋳造品をINCONEL 718(登録商標)で鋳造する場合には、このNi合金の合金成分が、Ti(チタン):0.65質量%以上1.15質量%以下、Al(アルミニウム):0.20質量%以上0.80質量%以下、Cr(クロム):17.00質量%以上21.00質量%以下、Nb(ニオブ):4.75質量%以上5.50質量%以下、Mo(モリブデン):2.80質量%以上3.30質量%以下、Ni(ニッケル):50.00質量%以上55.00質量%以下、残部がFe(鉄)及び不可避的不純物から構成されているので、Co合金粉末には、Co−Ti合金粉末、Co−Al合金粉末、Co−Cr合金粉末、Co−Nb合金粉末、Co−Mo合金粉末、Co−Ni合金粉末、Co−Fe合金粉末等を用いることが好ましい。
Co粉末28については、ガスアトマイズ粉や水アトマイズ粉等を用いることが可能である。Co粉末28には、O(酸素)、C(炭素)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Na(ナトリウム)、Mg(マグネシウム)等の不可避的不純物を含んでいてもよい。
Co粉末28の平均粒径については、0.1μm以上5.0μm以下であることが好ましく、0.7μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。Co粉末28の平均粒径が0.1μmより小さい場合には、Co粉末28の粒径が小さいので、Co粉末28が核発生物質として機能しない可能性があるからである。Co粉末28の平均粒径が5.0μmより大きい場合には、Co粉末28を鋳型14内に所定量投入したときに、平均粒径が5.0μm以下である場合と比較して、Ni合金溶湯20と接触するCo粉末28の接触面積の合計が低下するので、結晶粒の微細化にムラが生じる可能性があるからである。また、Co粉末28の平均粒径については、0.7μm以上1.0μm以下とすることにより、Ni合金鋳造品の結晶粒をより均一に微細化することが可能となる。Co粉末28の平均粒径については、例えば、フィッシャー法(FSSS法:Fisher Sub−Sieve Sizer)により測定可能である。なお、Co粉末28の平均粒径が、0.7μm以上1.0μm以下である場合には、Co粉末28の比表面積が、1.4m/g以上1.8m/g以下であり、Co粉末28の嵩密度が、0.6g/cm以上0.9g/cm以下であることが好ましい。このようなCo粉末28を用いることにより、Ni合金鋳造品の結晶粒を更に均一に微細化することが可能となる。Co粉末28の比表面積については、空気透過法等により測定可能である。
Co粉末28は、Ni合金鋳込み量とCo粉末投入量との合計に対するCo粉末投入量の比率が、0.1質量%以上0.5質量%以下となるように投入されることが好ましい。Ni合金鋳込み量とCo粉末投入量との合計に対するCo粉末投入量の比率Xは、Ni合金鋳込み量A、Co粉末投入量Bとしたとき、X=B/(A+B)で算出される。
Ni合金鋳込み量とCo粉末投入量との合計に対するCo粉末投入量の比率が0.1質量%以上であるのは、0.1質量%より小さいと、Ni合金鋳込み量に対するCo粉末投入量が少ないので、結晶粒の微細化が生じない場合や、結晶粒の微細化にムラが生じる可能性があるからである。
また、Ni合金鋳込み量とCo粉末投入量との合計に対するCo粉末投入量の比率が0.5質量%以下であるのは、0.5質量%であれば結晶粒の微細化が十分可能であり、0.5質量%より多くのCo粉末28を投入しても、これ以上の結晶粒の微細化効果が得られないからである。なお、コバルトは高価な金属材料であるので、Ni合金鋳込み量とCo粉末投入量との合計に対するCo粉末投入量の比率を0.5質量%以下とすることにより、Ni合金鋳造品の鋳造コストを低減することができる。
Co粉末28は、Ni合金鋳込み量とCo粉末投入量との合計に対するCo粉末投入量の比率が、0.25質量%以上0.5質量%以下となるように投入されることがより好ましい。Co粉末28を、この範囲で投入することにより、結晶粒をより均一に微細化することが可能となると共に、鋳造コストを低減することができる。
鋳込み工程(S12)は、Co粉末28が投入された鋳型14内に、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中でNi合金溶湯20を注湯して鋳込む工程である。図4は、Ni合金鋳造品の鋳込み方法を説明するための模式図である。
まず、仕切りバルブ18を開放し、昇降体26を上昇させて、Co粉末28が投入された鋳型14を溶解室12の方へ移動させる。次に、溶解坩堝22を傾動させて、Ni合金溶湯20を鋳型14内に注湯する。Ni合金溶湯20の鋳型14内への注湯時の流動や対流等により、鋳型14内のNi合金溶湯20中にCo粉末28が略均一に分散される。
鋳込み温度については、1480℃以上1530℃以下であることが好ましい。鋳込み温度が1480℃よりも低いと、湯廻り不良等により鋳造欠陥が生じ易いからである。また、鋳込み温度が1530℃よりも高いと、結晶粒が粗大化し易いからである。また、鋳込み温度については、湯廻り不良等により鋳造欠陥が生じない範囲で低い温度に設定されることがより好ましい。このような低い鋳込み温度で鋳込むことにより、結晶粒の粗大化が更に抑制されるので、Co粉末28の作用と合わせて結晶粒をより微細化することが可能となる。なお、鋳型温度については、例えば、1100℃から1500℃、好ましくは1400℃から1450℃とすることができる。
次に、昇降体26を下降させることにより、Ni合金溶湯20が注湯された鋳型14を鋳型室16へ移動させて冷却し、仕切りバルブ18を閉じる。Ni合金溶湯20が凝固を開始すると、Ni合金溶湯20中に分散したCo粉末28が結晶核を発生させる核発生物質として作用するので、Ni合金鋳造品の結晶粒が微細化される。
このようにして、結晶粒が微細化されたNi合金鋳造品が鋳造される。なお、Ni合金鋳造品を鋳造するためのNi合金については、特に限定されることなく、Coを含有するNi合金であってもよく、Coを含有しないNi合金であってもよい。また、鋳造法についても、Ni合金の鋳造で用いられる一般的な普通鋳造法、重力鋳造法等を用いることができる。
以上、上記構成によれば、鋳型内にCo粉末を、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で投入するCo粉末投入工程と、Co粉末が投入された鋳型内に、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中でNi合金溶湯を注湯して鋳込む鋳込み工程と、を備えているので、Ni合金溶湯の凝固初期に、Co粉末のコバルト成分が、結晶核を発生させる核発生物質として作用するので、Ni合金鋳造品の結晶粒をより微細化することが可能となる。また、上記構成によれば、鋳型内にCo粉末を投入して鋳造することから、鋳型の材質や鋳型の形状等に依存せずに結晶粒を微細化できるので、Ni合金鋳造品の生産性を向上させることができる。更に、上記構成によれば、Ni合金溶湯の鋳型内への注湯時の流動や対流等により、鋳型内のNi合金溶湯中にCo粉末が略均一に分散されるので、Ni合金鋳造品の表面側だけでなく、Ni合金鋳造品の内部まで結晶粒を略均一に微細化することが可能となる。
Ni合金鋳造品の鋳造試験を行った。
(鋳造方法)
実施例1の鋳造方法について説明する。Ni合金原料には、INCONEL 718(登録商標)を使用した。鋳型には、アルミナ(Al)で形成したセラミックス製鋳型を使用した。Ni合金鋳造品の形状については、矩形状とした。Ni合金鋳造品のサイズについては、40mm×100mm×5mm、40mm×100mm×10mm、40mm×100mm×20mmの3種類とした。
Co粉末については、OMグループ社(OM Group Inc)の純Co粉末であるS−80を使用した。このCo粉末をフィッシャー法(FSSS法)で測定したときの平均粒径は、0.9μmである。このCo粉末には、Coの他に、不可避的不純物として、0.5質量%のOと、300ppmのCと、20ppmのSと、10ppm未満のNiと、20ppmのFeと、10ppm未満のCuと、100ppmのNaと、100ppmのMgが含まれている。また、このCo粉末の比表面積は1.6m/gであり、嵩密度は0.8g/cmである。
鋳造装置には、上述した図2から図4に示す鋳造装置の構成と同様のものを使用した。まず、溶解室で、Ni合金原料の真空溶解を行った。次に、予熱した鋳型を鋳型室に入れ、鋳型室の真空引きを行った。鋳型室が所定の真空度に到達した後に、Co粉末を鋳型内に投入した。実施例1の鋳造方法では、鋳型に投入するCo粉末を、Ni合金鋳込み量とCo粉末投入量との合計に対するCo粉末投入量の比率が0.25質量%となるようにして投入した。次に、仕切りバルブを開き、Co粉末が投入された鋳型を溶解室の方へ移動させた。そして、Co粉末を投入した鋳型内に、真空雰囲気中でNi合金溶湯を注湯して鋳込みを行った。鋳込み温度については1530℃とし、鋳型温度については1400℃とした。次に、Ni合金溶湯を注湯した鋳型を鋳型室の方に移動させて、仕切りバルブを閉じて冷却した。
実施例2の鋳造方法について説明する。実施例2の鋳造方法では、実施例1の鋳造方法と、鋳型に投入するCo粉末のCo粉末投入量の比率が相違している。実施例2の鋳造方法では、鋳型に投入するCo粉末を、Ni合金鋳込み量とCo粉末投入量との合計に対するCo粉末投入量の比率が0.5質量%となるようにして投入した。なお、その他については実施例1の鋳造方法と同じであり、鋳込み温度については1530℃とし、鋳型温度については1400℃とした。
比較例1の鋳造方法について説明する。比較例1の鋳造方法では、実施例1の鋳造方法と、Co粉末を用いない点で相違している。比較例1の鋳造方法では、Co粉末を鋳型に投入しないで、Ni合金溶湯を鋳型に注湯して鋳込みを行った。なお、その他については実施例1の鋳造方法と同じであり、鋳込み温度については1530℃とし、鋳型温度については1400℃とした。
比較例2の鋳造方法について説明する。比較例2の鋳造方法では、実施例1の鋳造方法と、Co粉末を用いない点と、鋳込み温度とが相違している。比較例2の鋳造方法では、Co粉末を鋳型に投入しないで、Ni合金溶湯を鋳型に注湯して、鋳込み温度1480℃で鋳込みを行った。その他については実施例1の鋳造方法と同じであり、鋳型温度については1400℃とした。
比較例3の鋳造方法について説明する。比較例3の鋳造方法では、実施例2の鋳造方法と、Co粉末の投入方法と、鋳込み温度とが相違している。比較例3の鋳造方法では、Co粉末を溶解坩堝に溜めたNi合金溶湯に予め投入して溶解させてから、Co粉末を投入したNi合金溶湯を鋳型に注湯し、鋳込み温度1480℃で鋳込みを行った。なお、溶解坩堝に溜めたNi合金溶湯に投入するCo粉末については、Ni合金鋳込み量とCo粉末投入量との合計に対するCo粉末投入量の比率が0.5質量%となるようにした。その他については実施例2の鋳造方法と同じであり、鋳型温度については1400℃とした。
(金属組織観察)
次に、各鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品の金属組織について外観表面観察を行った。図5は、実施例1の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品の外観表面観察結果を示す写真である。図6は、実施例2の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品の外観表面観察結果を示す写真である。図7は、比較例1の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品の外観表面観察結果を示す写真である。図8は、比較例2の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品の外観表面観察結果を示す写真である。図9は、比較例3の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品の外観表面観察結果を示す写真である。なお、図5から図9において、(a)は、40mm×100mm×5mmのNi合金鋳造品を示しており、(b)は、40mm×100mm×10mmのNi合金鋳造品を示しており、(c)は、40mm×100mm×20mmのNi合金鋳造品を示している。
図5から図9に示すように、実施例1及び実施例2の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品は、比較例1から比較例3の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品よりも結晶粒が微細化していた。この理由については、Co粉末が結晶核を発生させるための核発生物質として作用したことによるものと考えられる。図5及び図6に示すように、実施例1の鋳造方法と、実施例2の鋳造方法とでは、Ni合金鋳造品における結晶粒の微細化の程度は、略同程度であった。また、Ni合金鋳造品の板厚の影響については認められず、板厚5mmから20mmのいずれのNi合金鋳造品についても結晶粒を微細化することができた。Ni合金鋳造品の長手方向(鋳造時の鉛直方向)においても、結晶粒が略均一に微細化していた。また、実施例1及び実施例2の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品については、Ni合金鋳造品の表面側だけでなく、その内部についても表面側と同様に結晶粒が微細化していた。
図7及び図8に示すように、比較例2の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品は、比較例1の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品よりも、結晶粒が僅かに微細化していた。この理由については、比較例2の鋳造方法は、比較例1の鋳造方法よりも鋳込み温度が低いことにより、結晶粒の粗大化が抑制されたことによるものと考えられる。
また、図9に示すように、比較例3の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品は、比較例1の鋳造方法で鋳造したNi合金鋳造品よりも、結晶粒が僅かに微細化した程度であった。この理由については、溶解坩堝に溜めたNi合金溶湯にCo粉末を投入した後に、Co粉末が添加されたNi合金溶湯を鋳型内に注湯した場合には、Ni合金溶湯の凝固初期には、Co粉末がNi合金溶湯中に既に溶解されているので、Co粉末が核発生物質としてほとんど機能しなかったことによるものと考えられる。この結果から、Co粉末を鋳型内に予め投入した後に、Co粉末を投入した鋳型内にNi合金溶湯を注湯することにより、Ni合金溶湯の凝固初期にCo粉末と接触させることで、結晶粒を微細化することが可能となることがわかった。
10 鋳造装置、12 溶解室、14 鋳型、16 鋳型室、18 仕切りバルブ、20 Ni合金溶湯、22 溶解坩堝、24 高周波コイルヒータ、26 昇降体、28 Co粉末、30 Co粉末用容器。

Claims (4)

  1. Ni合金鋳造品の鋳造方法であって、
    鋳型内に純Co粉末を、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中で投入するCo粉末投入工程と、
    前記純Co粉末が投入された鋳型内に、真空雰囲気中または不活性ガス雰囲気中でNi合金溶湯を注湯して鋳込む鋳込み工程と、
    を備えることを特徴とするNi合金鋳造品の鋳造方法。
  2. 請求項1に記載のNi合金鋳造品の鋳造方法であって、
    前記Co粉末投入工程において、前記純Co粉末は、Ni合金鋳込み量と純Co粉末投入量との合計に対する前記純Co粉末投入量の比率が、0.1質量%以上0.5質量%以下となるようにして投入されることを特徴とするNi合金鋳造品の鋳造方法。
  3. 請求項1または2に記載のNi合金鋳造品の鋳造方法であって、
    前記純Co粉末の平均粒径は、0.1μm以上5.0μm以下であることを特徴とするNi合金鋳造品の鋳造方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載のNi合金鋳造品の鋳造方法であって、
    前記鋳込み工程において、鋳込み温度が1480℃以上1530℃以下であることを特徴とするNi合金鋳造品の鋳造方法。
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