JP6361863B2 - 計算機合成ホログラム、拡散板、プロジェクタ用スクリーン、及び投影システム - Google Patents

計算機合成ホログラム、拡散板、プロジェクタ用スクリーン、及び投影システム

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Description

本発明は、所定の照射位置から白色光源を照射すると所定の観察位置で白色観察可能な計算機合成ホログラム、拡散板、プロジェクタ用スクリーン、及び投影システムに関するものである。
従来、プロジェクタ用スクリーンとして光拡散表面シート及び指向性光拡散層を用いる技術が提案されている。例えば、特許文献1には、複数の領域に分割された指向性光拡散層を光拡散表面シートで覆うことで構成される大画面スクリーンが提案されている。
特開2006−133505号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたプロジェクタ用スクリーンは、層状レンズ等を用いた光拡散表面シートと、指向性光拡散層と、両者を接合する接合剤と、が必要なので、薄型化が困難であると共に、輝度が低下するおそれがあった。
本発明は、容易に薄型化が可能であり、高輝度で白色観察することが可能な計算機合成ホログラム、拡散板、プロジェクタ用スクリーン、及び投影システムを提供することを目的とする。
本発明にかかる一実施形態の計算機合成ホログラムは、
所定の入射角で入射した入射光を所定の角度範囲に拡散する仕様の複数の要素ホログラムを配列し、
前記要素ホログラムのうち同じ仕様の前記要素ホログラムを縦横2次元的に配列して要素ホログラム群を複数形成し、
複数の前記要素ホログラム群は、それぞれが異なる角度の仕様であって、
それぞれ異なる角度の仕様の複数の前記要素ホログラム群は、縦横2次元的に配列され、
複数の前記要素ホログラムに入射した白色光が拡散し、拡散した前記白色光が、白色光として所定の白色観察域に到達する
ことを特徴とする。
本発明にかかる一実施形態の計算機合成ホログラムでは、
1つの前記要素ホログラム群は、複数の前記要素ホログラムが正方形に配列されて形成される
ことを特徴とする
本発明にかかる一実施形態の計算機合成ホログラムでは、
複数の前記要素ホログラム群は、長方形を形成するように配列される
ことを特徴とする
本発明にかかる一実施形態の拡散板は、
前記計算機合成ホログラムを含み、
複数の前記要素ホログラムに入射した白色光が拡散し、拡散した前記白色光が、白色光として所定の白色観察域に到達する
ことを特徴とする。
本発明にかかる一実施形態のプロジェクタ用スクリーンは、
前記拡散板を含み、
プロジェクタが所定の角度で出射した所定の白色光を拡散する
ことを特徴とする。
本発明にかかる一実施形態の投影システムは、
前記プロジェクタ用スクリーンと、
前記プロジェクタ用スクリーンに所定の角度で所定の白色光を出射するプロジェクタと、
を備えることを特徴とする。
本発明の計算機合成ホログラム、拡散板、プロジェクタ用スクリーン、及び投影システムによれば、高輝度で白色観察することが可能となる。
本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンを示す。 本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンの要素ホログラム群を示す。 本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの位相分布の一例を示す。 本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの演算ステップのフローを示す。 本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの入射光に対する出射光の範囲を示す。 本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの観察範囲が狭い場合の各波長の回折を個々に示す。 本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの観察範囲が狭い場合の各波長の回折を示す。 本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの観察範囲が広い場合の各波長の回折を個々に示す。 本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの観察範囲が広い場合の各波長の回折を示す。 本実施形態に係る実施例1のスクリーンを用いた投影光学系の上下方向の設計角度を示す。 本実施形態に係る実施例1のスクリーンを用いた投影光学系の上下方向の回折範囲を示す。 本実施形態に係る実施例1のスクリーンを用いた投影光学系の左右方向の設計角度を示す。 本実施形態に係る実施例1のスクリーンを用いた投影光学系の左右方向の回折範囲を示す。 本実施形態に係る実施例2のプロジェクタ用スクリーンを示す。 本実施形態のスクリーンを上下方向に10分割した投影光学系の上下方向の回折範囲を示す。 本実施形態のスクリーンを左右方向に10分割した投影光学系の左右方向の回折範囲を示す。
以下、図面を参照して本発明にかかる計算機合成ホログラムからなる拡散板によって構成されるプロジェクタ用スクリーン10について説明する。
図1は、本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンを示す。図2は、本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンの要素ホログラム群を示す。
本実施形態のプロジェクタ用スクリーン10(以下、単に「スクリーン」という)は、図1に示すように、複数の要素ホログラム群11を平面上に並べて形成される。また、要素ホログラム群11は、図2に示すように、複数の要素ホログラム1を平面上に並べて形成される。すなわち、スクリーン10は、分割された複数の要素ホログラム群11の集合からなり、要素ホログラム群11は、分割された複数の要素ホログラム1の集合からなる。要素ホログラム1は、等方散乱するよりも拡散角度が狭くなるように設定されている。したがって、その集合体であるスクリーン10も等方散乱するよりも拡散角度が狭くなっている。
要素ホログラム1は、要素ホログラム群11を形成する計算機合成ホログラムから構成される。1つの要素ホログラム群11は、2次元的に縦3×横3に配列された要素ホログラム1によって形成される。実施例1の要素ホログラム1は、すべて同じものである。また、実施例1の要素ホログラム1の形状は、正方形からなる。
本実施形態のスクリーン10は、2次元的に縦4×横6に配列された要素ホログラム群11によって形成される。実施例1の要素ホログラム群11は、すべて同じものであり、正方形からなる。また、スクリーン10は、横長の長方形となる。
なお、要素ホログラム1の形状は正方形に限らず、他の形状でもよい。例えば、長方形、三角形等でもよい。また、隣り合う要素ホログラム1は、必ずしも密着する必要はなく、実質上接近して配置された状態であれば、所定の隙間が空いていてもよい。さらに、要素ホログラム群11は、要素ホログラム1の形状に対応して形成してもよい。
以下の説明では、容易に理解できるように透過型の要素ホログラム1について説明するが、本実施形態のような反射型の要素ホログラム1についても同様に適用可能である。
図3は、本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの位相分布の一例を示す。
計算機合成ホログラムからなる要素ホログラム1は、2次元的にアレー状に配置された微小なセルの集合体からなるもので、各セルは各々が反射光もしくは入射光に対して独自の位相を与える光路長を有しており、かつ、垂直に入射する光束を所定の観察域内に実質的に回折し、その観察域外には実質的には回折しないような第1の位相分布と、斜めから所定の入射角で入射する光束を垂直に出射するような第2の位相分布とを加算して得られる位相分布を有しているものである。
ここで、第1の位相分布は、ホログラム面に垂直に平行光で照明した場合に所定の観察域へのみ光を回折する計算機合成ホログラムの位相分布であり、図3(a)に例示したような位相分布φHOLOのものである。
また、第2の位相分布は、背後から入射角θで入射した光を正面方向へ回折する位相回折格子の位相分布であり、図3(b)中、破線で示すような位相分布を、デジタルな階段状の関数に近似した位相分布φGRATである。
これら二つの位相分布φHOLO、およびφGRATを加算したものが、図3(c)に示すような特許文献3に記載の計算機合成ホログラムの位相分布φであり、この位相分布φを有する計算機合成ホログラムは、背後から斜めに入射角θで入射した光を所定の前方の観察域へ回折する計算機合成ホログラムである。
なお、一般に計算機合成ホログラムを求めるには、次のようにする。今、あるホログラムを想定し、それからの再生距離がホログラムの大きさにくらべて十分大きく、ホログラム面に垂直に平行光で照明した場合、再生像面で得られる回折光は、ホログラム面での振幅分布、および位相分布のフーリエ変換で表される(フラウンホーファー回折)。
そこで、従来、再生像面に所定の回折光を与えるために、ホログラム面と再生像面との間で束縛条件を加えながら、フーリエ変換と逆フーリエ変換を交互に繰り返しながら、ホログラム面に配置する計算機合成ホログラムを求める方法が、Gerchberg−Saxton反復計算法として知られている。
ここで、ホログラム面での光の分布をh(x,y)、再生像面での光の分布をf(u,v)とすると、各々は次の式(1)、および(2)で書ける。
h(x,y)=AHOLO(x,y)exp(iφHOLO(x,y)) (1)
f(u,v)=AIMG (u,v)exp(iφIMG (u,v)) (2)
上記において、AHOLO(x,y)はホログラム面での振幅分布、φHOLO(x,y)はホログラム面での位相分布であり、AIMG (u,v)は再生像面での振幅分布、φIMG u,v)は再生像面での位相分布である。
上記のフーリエ変換、および逆フーリエ変換は次の式(3)、および(4)のようになる。
Figure 0006361863
ここで、今後の議論を分かりやすくするため、ホログラム面での振幅分布AHOLO(x,y)をAHOLO、ホログラム面での位相分布φHOLO(x,y)をφHOLO 、再生像面での振幅分布AIMG (u,v)をAIMG 、再生像面での位相分布φIMG (u,v)をφIMG で表現する。
図4は、本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの演算ステップのフローを示す。図5は、本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの入射光に対する出射光の範囲を示す。
図4は、演算ステップのフローチャートであり、ステップ1で、図5中のホログラム面領域x0 ≦x≦x1 、y0 ≦y≦y1で、ホログラムの振幅AHOLOを1に、ホログラムの位相φHOLOをランダムな値に初期化して、ステップ2で、その初期化した値に上記式(3)のフーリエ変換を施す。ステップ3で、フーリエ変換で得られた再生像面での振幅AIMG が所定の領域、例えばu0 ≦u≦u1 、v0 ≦v≦v1 内でほぼ一定値になり、その所定領域外でほぼ0になったと判断された場合は、ステップ1で初期化した振幅と位相が所望の計算機合成ホログラムとなる。
ステップ 3でこのような条件が満足されないと判断された場合は、ステップ4で束縛条件が付与される。具体的には、上記の所定領域内では再生像面での振幅AIMG は例えば1にされ、その外では0にされ、再生像面での位相φIMG はそのままに維持される。そのような束縛条件が付与された後、ステップ5で、上記式(4)のフーリエ逆変換が施される。そのフーリエ逆変換で得られたホログラム面での値は、ステップ6で束縛条件が付与され、振幅AHOLOは1にされ、位相φHOLOは多値化(元の関数をデジタルな階段状の関数に近似(量子化))される。なお、位相φHOLOが連続的な値を持ってもよい場合は、この多値化は必ずしも必要ない。
そして、ステップ2でその値にフーリエ変換が施され、ステップ3で、フーリエ変換で得られた再生像面での振幅AIMG が所定の領域、例えばu0 ≦u≦u1、v0 ≦v≦v1 内でほぼ一定値になり、その所定領域外でほぼ0になったと判断された場合は、ステップ6で束縛条件が付与された振幅と位相が所望の計算機合成ホログラムとなる。ステップ3でこのような条件が満足されないと判断された場合は、ステップ4→5→6→2→3のループがステップ3の条件が満足されるまで(収束するまで)繰り返され、最終的な所望の計算機合成ホログラムが得られる。
ここで、ステップ3で、再生像面で振幅AIMG がほぼ所定の値に収束したと判断する評価関数としては、例えば次のような式(5)を用いる。ただし、u,vに関するΣ(和)は、u0 ≦u≦u1 、v0 ≦v≦v1 内のホログラムのセルにおける値の和を取ることを意味し、〈AIMG (u,v)〉はそのセル内における理想的な振幅である。この(評価関数)が例えば0.01以下になることをもって収束したと判断する。この他、評価関数としては、計算ループの反復の前回の振幅の値と今回の値の差を用いた次のような式(6)を用いることもできる。ここで、AIMG i-1は前回の振幅の値、AIMG iは今回の振幅の値である。
Figure 0006361863
このようにして求めた位相分布から、実際のホログラムの深さ分布を求める。深さ分布の求め方は、ホログラムを反射型で用いるときと、透過型で用いるときとで異なり、反射型の場合には、式(7a)により、また、透過型の場合には、式(7b)によって,図3(c)のφ(下記式中ではφ(x,y))を、計算機合成ホログラムの深さD(下記式中ではD(x,y))に変換を行なう。
D(x,y)=λφ(x,y)/(4πn) (7a)
D(x,y)=λφ(x,y)/{2π(n1−n0)} (7b)
ここで、(x,y)はホログラム面における位置を示す座標、λは基準波長、nは反射層に至るまでの材料の屈折率、n1およびn0は、透過型のホログラムを構成する二つの材質の屈折率であって、二つの屈折率のうち、大きい方がn1であり、小さい方がn0である。
後にも説明するように、上記の式(7a)、および(7b)により、縦横のサイズがΔの微小セル毎に求めた深さD(x,y)のレリーフパターンをホログラム形成用の樹脂層の表面に形成し、所定の反射性層を積層することにより、効果を高めたホログラムとして使用することができる。このΔは、例えば、パターン露光光の送りピッチに相当する。
以上における計算機合成ホログラム1の位相分布の計算自体は、知られた手法を用いて行なうもので、上記のほかにも、例えば、特開昭47−6591号公報に記載の手法を用いることが出来る。また、位相分布を最適化する手法を必要に応じて適用してもよく、遺伝的アルゴリズム、もしくはシミュレーテッド・アニーリング法(焼きなまし法)等を適用できる。
次に、所望の観察領域で白色に観察可能な計算機合成ホログラムについて説明する。所望の観察領域で白色に観察可能な計算機合成ホログラムとは、所定の入射角で入射した所定の基準波長の入射光を所定の角度範囲に拡散し、前記入射角で入射した0次透過光または0次反射光に対して、前記基準波長を含み加法混色した場合に見える波長範囲の最短波長の前記入射角の入射光の最大回折角が、その波長範囲の最長波長の前記入射光の最小回折角よりも大きくなるよう構成されているものである。
以下の説明では、容易に理解できるように透過型の計算機合成ホログラムについて説明するが、本実施形態のような反射型の計算機合成ホログラム1についても同様である。
図6は、本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの観察範囲が狭い場合の各波長の回折を個々に示す。図7は、本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの観察範囲が狭い場合の各波長の回折を示す。
照明光の基準波長λSTDが最短波長λMINと最長波長λMAXとの間にあるものとし、その基準波長λSTDについて計算機合成ホログラム1が設計されている。図6(a)に示すように、基準波長λSTDにて、ある斜めの角度θ(角度は、ホログラム1の法線からの角度で、左回りの角度を正とする。)で入射した照明光3が正面付近の角度範囲β1STD〜β2STD(添字1は最小回折角、添字2は最大回折角とする。なお、最小回折角は、0次透過光に対して最小の角度をなす回折光の回折角、最大回折角は、0次透過光に対して最大の角度をなす回折光の回折角である。)内に回折光5STDとして広がるように設定されている場合、同じ斜めの入射角θで最短波長λMINの照明光3を入射すると、計算機合成ホログラム1は位相回折格子の集合と考えられるので、図6(b)に示すように、回折光5MINが入射する観察領域(角度範囲β1MIN〜β2MIN)は基準波長λSTDの場合よりも下側(0次透過光)にずれる。また、同じ斜めの入射角θで最長波長λMAXの照明光3を入射すると、図6(c)に示すように、回折光5MAXが入射する観察領域(角度範囲β1MAX〜β2MAX)は基準波長λSTDの場合よりも上側(0次透過光側とは反対側)にずれる。
なお、上記のように回折光の分布をするのは、計算機合成ホログラム1の法線と照明光3が含まれる平面内であり、計算機合成ホログラム1の法線を含みその平面に直交する面内では、照明光3の両側に回折光が分布する場合を考えている。
さて、このとき、図7に示すように、各回折光5MIN、5STD、および5MAXの全てが重なる部分がないため、すべての波長を同時に観察可能で波長範囲λMIN〜λSTD〜λMAXが可視光域の場合には、白色に観察できる領域は存在せず、観察位置(角度)によって観察される色が変わってしまう。
図8は、本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの観察範囲が広い場合の各波長の回折を個々に示す。図9は、本実施形態に係る実施例1のプロジェクタ用スクリーンに用いる計算機合成ホログラムの観察範囲が広い場合の各波長の回折を示す。
この場合も、図6に示す観察領域が狭い場合と同様、最短波長λMINや最長波長λMAXを入射した場合、(図8(b)、図8(c))、観察領域(角度範囲β1MIN〜β2MIN、β1MAX〜β2MAX)は基準波長λSTDの場合とくらべ、それぞれ下側、上側にずれる。しかし、観察範囲が広いので、図9に示すように、回折光5MIN、5STD、および5MAXの全てが重なる正面付近6(角度範囲β1MAX〜β2MIN)で観察した場合、すべての波長を同時に観察することが可能である。従って、このような領域内を観察者が移動する限り、観察される色の変化はほとんど感じられない。
このように想定したすべての波長が観察可能な領域6が存在するための条件は、図9から明らかなように、想定した波長範囲の最短波長λMINの最大回折角β2MINが最長波長λMAXの最小回折角β1MAXよりも大きいことである。0次透過光に対して回折光5MIN、5STD、および5MAXが図6〜図9のとは反対側に分布する場合は、この関係は逆転するので、0次透過光を基準にすると、0次透過光に対してなす最短波長λMINの最大回折角β2MINが最長波長λMAXの最小回折角β1MAXよりも大きいことと言うことが言える。
すべての波長が重なって白色に観察可能なためには、λMIN=450nm、λMAX=650nmとすれば十分である。従って、少なくとも最短波長λMIN=450nmの最大回折角度β2MINが最長波長λMAX=650nmの最小回折角β1MAXよりも大きい計算機合成ホログラム1においては、領域6内で観察する限り、色の変化がなく白色に観察可能である。
以上から、ある観察領域で、所望の全ての波長を観察したい場合、以下の手順で基準波長λSTDの観察領域β1STD〜β2STDを決定すればよいことが分かる。
(ア)再生用の照明光3の入射角θを決める。
(イ)白色に見える所望の観察角度範囲6を決める。すなわち、最小回折角γ1(=β1MAX)〜最大回折角γ2(=β2MIN)を決める。
ここで、最小回折角γ1、最大回折角γ2は、0次透過光に対してなす最小、最大の角度をなす回折角であり、図6〜図9の分布の場合には、θ<γ1≦γ2の関係にあり、図6〜図9のとは反対に光が分布する場合には、θ>γ1≧γ2の関係にある。
(ウ)所望の観察波長を決める(最短波長λMIN〜最長波長λMAX)。
(エ)基準波長λSTDをλMIN≦λSTD≦λMAXの範囲で決める。
(オ)回折格子の基本式(8)に基づいて、以下の式(9)を用いて、最小回折角γ1、最長波長λMAXから、基準波長λSTDにおける最小回折角β1STDを求める。
sinθd−sinθi=mλ/d (8)
ただし、mは回折次数、dは回折格子のピッチ、λは波長、θiは入射角、θdは回折角である。
(sinγ1−sinθ)/λMAX=(sinβ1STD−sinθ)/λSTD
sinβ1STD=sinθ+(sinγ1−sinθ)×λSTD/λMAX (9)
(カ)同様に、回折格子の基本式(8)に基づいて、以下の式(10)を用いて、最大回折角γ2、最短波長λMINから、基準波長λSTDにおける最大回折角β2STDを求める。
(sinγ2−sinθ)/λMIN=(sinβ2STD−sinθ)/λSTD
sinβ2STD=sinθ+(sinγ2−sinθ)×λSTD/λMIN (10)
そして、照明光の入射角θ、基準波長λSTDにおいて、最小回折角β1STDと最大回折角β2STDとなるように、計算機合成ホログラム1を作製することにより、再生用の照明光3の入射角θに対して、観察角γ1〜γ2の範囲で波長λMIN〜λMAXが観測可能で白色に見える拡散ホログラムが得られる。
以上は、照明光の所望の入射角θ、回折範囲γ1〜γ2、波長範囲λMIN〜λMAXを与えたときの、計算に用いる回折角度範囲β1STD〜β2STDの求めかたである。
一方、基準波長λSTD、照明光の入射角θに対して、最小回折角β1STD、最大回折角β2STDが与えられたときに、波長範囲λMIN〜λMAXの光を同時に観察可能で白色に見える領域が存在するための条件は、最長波長λMAXの最小回折角β1MAX=γ1と、最短波長λMINの最大回折角β2MIN=γ2とを用いて、以下のように与えられる。
(1)回折光が0次透過光に対して正の側に存在する場合(図6〜図9)、
γ2≧γ1
sinγ2≧sinγ1
式(9)と式(10)を用いると、
sinθ+(sinβ2STD−sinθ)×λMIN/λSTD
≧sinθ+(sinβ1STD−sinθ)×λMAX/λSTD
(sinβ2STD−sinθ)/λMIN ≧(sinβ1STD−sinθ)×λMAX
sinβ2STD>sinθであるから、
λMIN/λMAX≧(sinβ1STD−sinθ)/(sinβ2STD−sinθ) (11)
(2)回折光が0次透過光に対して負の側に存在する場合(図6〜図9のとは反対)、
γ2≦γ1
sinγ2≦sinγ1
式(9)と式(10)を用いると、
sinθ+(sinβ2STD−sinθ)×λMIN/λSTD
≦sinθ+(sinβ1STD−sinθ)×λMAX/λSTD
(sinβ2STD−sinθ)×λMIN ≦(sinβ1STD−sinθ)×λMAX
sinβ2STD<sinθであるから、
λMIN/λMAX≧(sinβ1STD−sinθ)/(sinβ2STD−sinθ) (11)
従って、式(11)は回折光が正の側、負の側のいずれのときも成り立つ式である。
この式(11)は、照明光の入射角θ、所望の観察波長範囲λMIN〜λMAXを設定したときに、ある基準波長λSTDにおける回折角度範囲β1STD〜β2STDをこの式(11)を満足するように設定すれば、所望の観察波長範囲λMIN〜λMAX全てを同時に観察可能な範囲γ1〜γ2が存在することを意味している。
また、式(11)を変形すると、
sinθ≧λMAXsinβ1STD−λMINsinβ2STD)/(λMAX−λMIN) (12)
となる。
この式(12)は、所望の観察波長範囲λMIN〜λMAX、ある基準波長λSTDにおける回折角度範囲β1STD〜β2STDを与えたときに、この式(12)を満足するような照明光の入射角θを設定した場合にのみ、所望の観察波長範囲λMIN〜λMAX全てを同時に観察可能な範囲γ1〜γ2が存在することを意味している。
なお、以上では、要素ホログラム1の法線と照明光3が含まれる平面内についてのみ考えたが、要素ホログラム1の法線を含みその平面に直交する面内では、照明光の両側に回折光が分布することを前提にしているので、この面内の方向においては、最短波長λMINでの分布範囲が白色に観察できる領域であり、その範囲は基準波長λSTDでの観察領域を上記と同様に変換することにより求められる。
次に、本実施形態に係る実施例1のスクリーン10を用いた投影光学系20(以下、投影システムともいう。)について説明する。本実施形態の投影システムは、プロジェクタPと、スクリーン10と、を備える。また、観察者が白色観察することが可能な領域を白色観察域Eとする。
座標系は、スクリーン10をxy平面とし、スクリーン10のプロジェクタ側の法線方向にz軸をとることとする。そして、スクリーン10は、x = -50mm 〜 x = 50mm、y = -40mm 〜 y = 40mm、z = 0mmとする。また、プロジェクタPは、x = 0mm、y = 160.76mm、z = 600mmからスクリーン10に映像を投影するものとする。さらに、観察者の白色観察域Eを、x = -50mm 〜 x = 50mm、y = -25mm 〜 y = 25mm、z = 600mmとする。白色光の波長は、λmin = 450nm 〜 λmax = 615nmとする。すなわち、白色光は、可視光帯域の周波数成分を万遍なく含んだ光線で、どの波長も強さが一様の光をいう。
まず、本実施形態に係る実施例1のスクリーン10を用いた投影光学系20の上下方向の設計角度について説明する。
図10は、本実施形態に係る実施例1のスクリーンを用いた投影光学系の上下方向の設計角度を示す。
プロジェクタPからスクリーン10の上端(y = 40mm)に入射した白色光は、スクリーン10によって反射・拡散されるが、白色光に含まれる最短波長(λmin = 450nm)から最長波長(λmax = 615nm)までの全ての波長が、白色観察域Eの上端(y = 25mm)から下端(y = -25mm)の範囲に到達する必要がある。
プロジェクタPからスクリーン10の上端への入射角は、光がスクリーン10で反射することを考慮するとθ1in = -11.38°となる。一方、スクリーン10の上端から白色観察域Eの上端への角度は、θ1out1 = -1.43°、スクリーン10の上端から白色観察域Eの下端への角度はθ1out2 = -6.18°となる。
最短波長λmin = 450nmの光に関し、θ1in = -11.38°で入射した光がθ1out1 = -1.43°に回折するための格子間隔は、dmin1 = λmin / (sinθ1out1 - sinθ1in) = 2611nmとなる。
最短波長λmin = 450nmの光に関し、θ1in = -11.38°で入射した光がθ1out2 = -6.18°に回折するための格子間隔は、dmin2 = λmin / (sinθ1out2 - sinθ1in) = 5021nmとなる。
最長波長λmax = 615nmの光に関し、θ1in = -11.38°で入射した光がθ1out1 = -1.43°に回折するための格子間隔は、dmax1 = λmax / (sinθ1out1 - sinθ1in) = 3569nmとなる。
最長波長λmax = 615nmの光に関し、θ1in = -11.38°で入射した光がθ1out2 = -6.18°に回折するための格子間隔は、dmax2 = λmax / (sinθ1out2 - sinθ1in) = 6862nmとなる。
つまり、プロジェクタPからスクリーン10の上端に入射した白色光が、スクリーン10で反射及び拡散し、白色観察域Eの全域で白色観察可能なためには、スクリーン10の上端が、格子間隔2611nmから6862nmまでの回折格子群で形成されている必要がある。
また、プロジェクタPからスクリーン10の下端(y = -40mm)に入射した白色光は、スクリーン10によって反射及び拡散されるが、白色光に含まれる最短波長(λmin = 450nm)から最長波長(λmax = 615nm)までの全ての波長が、白色観察域Eの上端(y = 25mm)から下端(y = -25mm)の範囲に到達する必要がある。
プロジェクタPからスクリーン10の下端への入射角は、光がスクリーン10で反射することを考慮するとθ2in = -18.50°となる。
一方、スクリーン10の下端から白色観察域の上端への角度は、θ2out1 = 6.18°、スクリーンの下端から白色観察域の下端への角度はθ2out2 = 1.43°となる。
最短波長λmin = 450nmの光に関し、θ2in = -18.50°で入射した光がθ2out1 = 6.18°に回折するための格子間隔は、dmin1 = λmin / (sinθ2out1 - sinθ2in) = 1059nmとなる。
最短波長λmin = 450nmの光に関し、θ2in = -18.50°で入射した光がθ2out2 = 1.43°に回折するための格子間隔は、dmin2 = λmin / (sinθ2out2 - sinθ2in) = 1315nmとなる。
最長波長λmax = 615nmの光に関し、θ2in = -18.50°で入射した光がθ2out1 = 6.18°に回折するための格子間隔は、dmax1 = λmax / (sinθ2out1 - sinθ2in) = 1447nmとなる。
最長波長λmax = 615nmの光に関し、θ2in = -18.50°で入射した光がθ2out2 = 1.43°に回折するための格子間隔は、dmax2 = λmax / (sinθ2out2 - sinθ2in) = 1797nmとなる。
つまり、プロジェクタPからスクリーン10の下端に入射した白色光が、スクリーン10で反射及び拡散し、白色観察域Eの全域で白色観察可能なためには、スクリーン10の下端が、格子間隔1059nmから1797nmまでの回折格子群で形成されている必要がある。
以上の結果、スクリーン10の上端から下端まで、1種類の光学仕様の計算機合成ホログラムを敷き詰めて形成する場合、格子間隔1059nmから6862nmまでの回折格子群で形成されている必要がある。ここで、計算機合成ホログラムの仕様とは、形状、厚み、及び格子間隔等の寸法、材質等である。
図11は、本実施形態に係る実施例1のスクリーンを用いた投影光学系の上下方向の回折範囲を示す。
これらの回折格子群で形成された要素ホログラム1をスクリーン10に用いた場合、図11に示すように、スクリーン10の上端において、白色光の最短波長は-7.57°から13.16°まで20.73°の範囲に拡散し、白色光の最長波長は、-6.18°から22.55°まで28.74°の範囲に拡散する。またスクリーン10の下端において、白色光の最短波長は-14.58°から6.18°まで20.76°の範囲に拡散し、白色光の最長波長は、-13.16°から15.28°まで28.44°の範囲に拡散する。
次に、本実施形態に係る実施例1のスクリーン10を用いた投影光学系20の左右方向の設計角度について説明する。
図12は、本実施形態に係る実施例1のスクリーンを用いた投影光学系の左右方向の設計角度を示す。
プロジェクタPからスクリーン10の左端(x = 50mm)に入射した白色光は、スクリーン10によって反射及び拡散されるが、白色光に含まれる最短波長(λmin = 450nm)から最長波長(λmax = 615nm)までの全ての波長が、白色観察域Eの左端(x = 50mm)から右端(x = -50mm)の範囲に到達する必要がある。
プロジェクタPからスクリーン10の左端への入射角は、光がスクリーン10で反射することを考慮するとθ1in = 4.76°となる。
一方、スクリーン10の左端から白色観察域Eの左端への角度は、θ1out1 = 0.00°、スクリーン10の左端から白色観察域Eの右端への角度はθ1out2 = -9.46°となる。
最短波長λmin = 450nmの光に関し、θ1in = 4.76°で入射した光がθ1out1 = 0.00°に回折するための格子間隔は、dmin1 = λmin / (sinθ1out1 - sinθ1in) = -5419nmとなる。
格子間隔がマイナスの値となっているが、これは、入射角に対して出射角が小さいためであり、マイナス1次回折光を利用することを意味する。格子間隔がプラスの値の場合と比べ、入射光に対する回折の方向が反対になる。
最短波長λmin = 450nmの光に関し、θ1in = 4.76°で入射した光がθ1out2 = -9.46°に回折するための格子間隔は、dmin2 = λmin / (sinθ1out2 - sinθ1in) = -1819nmとなる。
最長波長λmax = 615nmの光に関し、θ1in = 4.76°で入射した光がθ1out1 = 0.00°に回折するための格子間隔は、dmax1 = λmax / (sinθ1out1 - sinθ1in) = -7406nmとなる。
最長波長λmax = 615nmの光に関し、θ1in = 4.76°で入射した光がθ1out2 = -9.46°に回折するための格子間隔は、dmax2 = λmax / (sinθ1out2 - sinθ1in) = -2485nmとなる。
つまり、プロジェクタPからスクリーン10の左端に入射した白色光が、スクリーン10で反射及び拡散し、白色観察域Eの全域で白色観察可能なためには、スクリーン10の左端が、格子間隔-1819nmから-7406nmまでの回折格子群で形成されている必要がある。
また、プロジェクタPからスクリーン10の右端(x = -50mm)に入射した白色光は、スクリーン10によって反射及び拡散されるが、白色光に含まれる最短波長(λmin = 450nm)から最長波長(λmax = 615nm)までの全ての波長が、白色観察域Eの左端(x = 50mm)から右端(x = -50mm)の範囲に到達する必要がある。
プロジェクタPからスクリーン10の右端への入射角は、光がスクリーン10で反射することを考慮するとθ2in = -4.76°となる。
一方、スクリーン10の右端から白色観察域Eの左端への角度は、θ2out1 = 9.46°、スクリーン10の右端から白色観察域Eの右端への角度はθ2out2 = 0.00°となる。
最短波長λmin = 450nmの光に関し、θ2in = -4.76°で入射した光がθ2out1 = 9.46°に回折するための格子間隔は、dmin1 = λmin / (sinθ2out1 - sinθ2in) = 1819nmとなる。
最短波長λmin = 450nmの光に関し、θ2in = -4.76°で入射した光がθ2out2 = 0.00°に回折するための格子間隔は、dmin2 = λmin / (sinθ2out2 - sinθ2in) = 5419nmとなる。
最長波長λmax = 615nmの光に関し、θ2in = -4.76°で入射した光がθ2out1 = 9.46°に回折するための格子間隔は、dmax1 = λmax / (sinθ2out1 - sinθ2in) = 2485nmとなる。
最長波長λmax = 615nmの光に関し、θ2in = -4.76°で入射した光がθ2out2 = 0.00°に回折するための格子間隔は、dmax2 = λmax / (sinθ2out2 - sinθ2in) = 7406nmとなる。
つまり、プロジェクタPからスクリーン10の右端に入射した白色光が、スクリーン10で反射及び拡散し、白色観察域Eの全域で白色観察可能なためには、スクリーン10の右端が、格子間隔1819nmから7406nmまでの回折格子群で形成されている必要がある。
以上の結果、スクリーン10の左端から右端まで、1種類の光学仕様の要素ホログラム1を敷き詰めて形成する場合、格子間隔-1819nm〜1819nmまでの回折格子群で形成されている必要がある。ここで、格子間隔がマイナスの値からプラスの値にわたっているが、この場合には、格子間隔-1819nm〜-∞および∞〜1819nmの間隔の回折格子群で形成されていることを意味する。格子間隔の範囲がプラスの値とマイナスの値を含む場合、格子間隔の逆数で考えると、必要な格子間隔の範囲が明確となる。スクリーン10の左端の格子間隔は-1819nm〜-7406nmの範囲、スクリーン10の右側の格子間隔は1819nm〜7406nmの範囲であるが、格子間隔の逆数をそれぞれ求めると、スクリーン10の左端は-1/1819〜-1/7406の範囲、スクリーン10の右端は1/1819〜1/7406の範囲であり、そのすべてを含む範囲は、-1/1819〜1/1819となる。つまり、必要な格子間隔の範囲はその逆数の、-1819nm〜-∞および∞〜1819nmとなる。以降、-∞と∞の記載は省略し、回折格子の範囲を-1819nm〜1819nmという記載にする。
図13は、本実施形態に係る実施例1のスクリーンを用いた投影光学系の左右方向の回折範囲を示す。
これらの回折格子群で形成された要素ホログラム1をスクリーン10に用いた場合、図13に示すように、スクリーン10の左端において、白色光の最短波長は-9.46°から19.30°まで28.76°の範囲に拡散し、白色光の最長波長は、-14.78°から24.91°まで39.69°の範囲に拡散する。またスクリーン10の右端において、白色光の最短波長は-19.30°から9.46°まで28.76°の範囲に拡散し、白色光の最長波長は、-24.91°から14.78°まで39.69°の範囲に拡散する。
したがって、各要素ホログラム1で的確に回折光を出射させることができ、等方散乱する光の反射角度範囲よりも狭い所定の白色観察域EにおいてプロジェクタPの映像を高輝度に白色観察することが可能となる。また、各要素ホログラム1を全て同じ仕様とすることができ、データ量を少なくすることができる上、容易にシームレス多面付けをすることが可能となり、短期間に低コストで製造することが可能となる。
図14は、本実施形態に係る実施例2のプロジェクタ用スクリーンを示す。
実施例2のスクリーン10は、異なる第1要素ホログラム群11A〜第24要素ホログラム群11Xが2次元的に配列されて形成される。実施例2では、第1要素ホログラム群11A〜第6要素ホログラム群11Fが最上段に並び、第7要素ホログラム群11G〜第12要素ホログラム群11Lが2段目に並び、第13要素ホログラム群11M〜第18要素ホログラム群11Rが3段目に並び、第19要素ホログラム群11S〜第24要素ホログラム群11Xが4段目に並ぶ。すなわち、実施例2のスクリーン10は、縦4×横6の24個の異なる要素ホログラム群を有する。
各要素ホログラム群11A〜11Xは、図14に示すように、それぞれ異なる第1要素ホログラム1A〜第24要素ホログラム1Xで形成される。例えば、第1要素ホログラム群11Aは、縦3×横3の9枚の第1要素ホログラム1Aから形成され、第24要素ホログラム群11Xは、2次元的に縦3×横3の9枚の第24要素ホログラム1Xが配列されて形成される。
このような構成の実施例2のスクリーン10は、プロジェクタPの映像が所定の白色観察域Eで白色観察可能となるように、プロジェクタPから出射した光を各要素ホログラム群11A〜11Xの各要素ホログラム1A〜1Xで反射及び拡散する。
図15は、本実施形態のスクリーンを上下方向に10分割した投影光学系の上下方向の回折範囲を示す。図16は、本実施形態のスクリーンを左右方向に10分割した投影光学系の左右方向の回折範囲を示す。
例えば、本実施形態のスクリーンを上下方向に10分割した場合、スクリーン10の上端での拡散範囲は、白色光の最短波長で7.62°、白色光の最長波長で10.40°、スクリーン10の下端での拡散範囲は、白色光の最短波長で11.06°、白色光の最長波長で15.27°となる。
また、本実施形態のスクリーンを左右方向に10分割した場合、スクリーン10の左端での拡散範囲は、白色光の最短波長で12.13°、白色光の最長波長で16.68°、スクリーン10の右端での拡散範囲は、白色光の最短波長で12.13°、白色光の最長波長で16.68°となる。
したがって、各要素ホログラム1A〜1Xで的確に回折光を出射させることができ、等方散乱する光の反射角度範囲よりも狭い所定の白色観察域EにおいてプロジェクタPの映像をより高輝度に白色観察することが可能となる。また、各要素ホログラム1A〜1Xの反射及び拡散方向をそれぞれ変更することができ、より高輝度にすることが可能となる。すなわち、スクリーン10を上下左右に分割した要素ホログラム群11で構成し、各要素ホログラム群11の位置に応じて最低限必要な範囲で適切に拡散角度を設定することで、無駄に光が広がらないようになり、高輝度とすることが可能となる。
なお、要素ホログラム群11内の要素ホログラム1は、同じ仕様としてもよい。同じ仕様とすると、データ量が少なく、短期間に低コストで製造することが可能となる。
さらに、少なくとも一部の要素ホログラム群11を同じ仕様の要素ホログラム1で形成してもよい。この場合、任意の要素ホログラム群11を同じ仕様としてもよい。任意の要素ホログラム群11を同じ仕様とすると、データ量がより少なくなり、より短期間に低コストで製造することが可能となる。
このように、本実施形態の計算機合成ホログラムによれば、所定の入射角で入射した入射光を所定の角度範囲に拡散する複数の要素ホログラム1を配列し、複数の要素ホログラム1に入射した白色光が拡散し、拡散した白色光が、白色光として所定の白色観察域に到達するので、高輝度で白色観察をすることが可能となる。
また、本実施形態の計算機合成ホログラムは、複数の要素ホログラム1のうち同じ仕様の要素ホログラム1が配列されて要素ホログラム群11を形成し、複数の要素ホログラム群11が配列され、複数の要素ホログラム群11のうち少なくとも1つは他の要素ホログラム群11の要素ホログラム1aとは異なる仕様の要素ホログラム1bから形成されるので、より高輝度で白色観察をすることが可能となる。
また、本実施形態のプ計算機合成ホログラムでは、複数の要素ホログラム1のうち同じ仕様の要素ホログラム1が配列されて要素ホログラム群11を形成し、複数の要素ホログラム群11が配列され、複数の要素ホログラム群11は、それぞれ異なる仕様の要素ホログラム1を含むので、より高輝度で白色観察をすることが可能となる。
また、本実施形態の計算機合成ホログラムでは、それぞれの要素ホログラム群11に含まれるそれぞれの要素ホログラム1は、入射した白色光を、所定の白色観察域E内に拡散するので、より高輝度で白色観察をすることが可能となる。
さらに、本実施形態の拡散板は、前記計算機合成ホログラムを含み、複数の要素ホログラム1に入射した白色光が拡散し、拡散した白色光が、白色光として所定の白色観察域に到達するので、高輝度で白色観察をすることが可能となる。
さらに、本実施形態のプロジェクタ用スクリーン10は、前記拡散板を含み、プロジェクタが所定の角度で出射した所定の白色光を拡散するので、高輝度で白色観察をすることが可能となる。
さらに、本実施形態の投影システム20は、 請求項6に記載のプロジェクタ用スクリーン10と、プロジェクタ用スクリーン10に所定の角度で所定の白色光を出射するプロジェクタと、を備えることを特徴とする。
以上、計算機合成ホログラム、拡散板、プロジェクタ用スクリーン、及び投影システムをいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
1…計算機合成ホログラム
10…プロジェクタ用スクリーン(計算機合成ホログラム,拡散板)
11…要素ホログラム群
20…投影光学系
P…プロジェクタ
E…白色観察域

Claims (6)

  1. 所定の入射角で入射した入射光を所定の角度範囲に拡散する仕様の複数の要素ホログラムを配列し、
    前記要素ホログラムのうち同じ仕様の前記要素ホログラムを縦横2次元的に配列して要素ホログラム群を複数形成し、
    複数の前記要素ホログラム群は、それぞれが異なる角度の仕様であって、
    それぞれ異なる仕様の複数の前記要素ホログラム群は、縦横2次元的に配列され、
    複数の前記要素ホログラムに入射した白色光が拡散し、拡散した前記白色光が、白色光として所定の白色観察域に到達する
    ことを特徴とする計算機合成ホログラム。
  2. 1つの前記要素ホログラム群は、複数の前記要素ホログラムが正方形に配列されて形成され

    ことを特徴とする請求項1に記載の計算機合成ホログラム。
  3. 複数の前記要素ホログラム群は、長方形を形成するように配列される
    ことを特徴とする請求項1に記載の計算機合成ホログラム。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の計算機合成ホログラムを含み、
    複数の前記要素ホログラムに入射した白色光が拡散し、拡散した前記白色光が、白色光として所定の白色観察域に到達する
    ことを特徴とする拡散板。
  5. 請求項に記載の拡散板を含み、
    プロジェクタが所定の角度で出射した所定の白色光を拡散する
    ことを特徴とするプロジェクタ用スクリーン。
  6. 請求項に記載のプロジェクタ用スクリーンと、
    前記プロジェクタ用スクリーンに所定の角度で所定の白色光を出射するプロジェクタと、
    を備えることを特徴とする投影システム。
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