JP5471775B2 - ホログラム製造方法および露光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の干渉縞を記録されたホログラムを製造するための製造方法および露光装置に係り、とりわけ、不要な干渉縞が記録されること防止して回折効率の高いホログラムを製造するホログラム製造方法および露光装置に関する。
従来、二光束の干渉により生じる干渉縞をホログラム記録材料(感光材料)に記録してなる体積型ホログラムが、知られている。体積型ホログラムは、いわゆるブラッグ条件と呼ばれる波長および光路方向に関する条件を満たす光を、高い回折効率で回折する光学素子である。このホログラムは、その回折機能よって、高い意匠性および高い識別性を呈することから、種々の分野で使用されている。とりわけ、ホログラムは、その高い識別性によって、優れた真贋判定指標を提供することができ、これにより、真正性を標示する真正性標示体としても用いられている。
体積型ホログラムは、干渉性を有した参照光および物体光を互いに異なる方向からホログラム記録材料に照射することにより、製造され得る。この製造方法では、二つの光束が干渉することにより干渉縞(干渉パターン)が生成され、感光性を有したホログラム記録材料は、この干渉縞をなす光の強弱パターンに対応して反応する。結果として、干渉縞が、何らかの縞状パターン、例えば屈折率の変化、透過率の変化、あるいは、形状変化(凹凸パターンの形成)として、ホログラム記録材料に記録される。そして、ブラッグ条件を満たす光は、感光材料に記録された干渉縞によって、高い回折効率で回折されるようになる。
さらに昨今では、ホログラム記録材料に複数の干渉縞を記録することによって、作製されたホログラムの意匠性および識別性を向上させることも検討されている(例えば、特許文献1および特許文献2)。
特開2008−122670号公報 特開2005−70341号公報
ところで、特許文献1では、複数の参照光および複数の物体光をホログラム記録材料に同時に入射させることによって、複数の干渉縞をホログラム記録材料に同時に記録するようになっている。ただし、特許文献1に開示された方法では、同一のレーザ光源から発生された複数の物体光が互いに異なる方向からホログラム記録材料に同時に入射しているため、複数の物体光が互いに干渉しあって、不要な干渉縞も多数感光材に記録されてしまうことが予想される。
ホログラムが不要な干渉縞を含む場合、再生照明光が不要な方向にも回折され、この結果、意図した方向への回折効率が低下してしまう。したがって、像が予定した各方向に明るく再生され得ず、この結果、各方向に再生される像の変化を十分に認識することができないといった不具合も生じ得る。この場合、ホログラムに期待された機能、すなわち、意匠性の向上や、真贋判定指標の提供といった機能が十分に発揮され得なくなる可能性がある。また、ホログラムが意図しない方向へ光を回折する場合、当該ホログラムがもはや目的とする用途、例えば何らかの回折作用を期待されたホログラフィック光学素子として使用することが不可能ともなる。
その一方で、物体光および参照光を用いたホログラム記録材料の露光を、干渉縞単位で順次行っていく方法も知られているが、順次露光により同一のホログラム記録材料に複数の干渉縞を順次形成していく場合、作製工程数が増加し、これにともなってホログラムの製造コストが増加してしまう、といった不具合が生じる。さらには、回折効率を調節するためのホログラム記録材料の調整や露光条件の最適化も著しく困難となってしまう。
なお、特許文献2では、単一のレーザ光源から発生されたレーザ光源をまず物体光の系統と参照光の系統とに分岐させ、次に、同数の分岐物体光および分岐参照光に各系統をさらに分岐させる。その後、多数の分岐物体光および多数の分岐参照光が同時にホログラム記録材料に照射され、多数の干渉縞がホログラム記録材料に並行して記録される。各分岐物体光は、それぞれ、いずれか一つの分岐参照光と対応付けられ、各物体光または参照光の光路は、対応付けられたいずれか一つの参照光または物体光のみとの光路差が可干渉な長さとなるように設計され、他の物体光および参照光との光路差が可干渉な長さの範囲外となるように設計されている。
特許文献2に開示された方法によれば、対応付けられた物体光と参照光との間でのみ干渉が生じるため、不要な干渉縞がホログラム記録材料に記録されることを防止することができる。しかしながら、始めに分割した複数の物体光と複数の参照光との間において特定の物体光および参照光の組み合わせのみ干渉性を持たせるといった特許文献2の方法では、各光路長の測定および設計が極めて煩雑となる。また、レーザ光源からのレーザ光をホログラム記録材料に誘導するまでの光学系が非常に大型化してしまう。そして、このような不具合は、コヒーレント長が比較的に長いレーザ光を用いた場合に、とりわけ顕著となる。これらの点から、特許文献2に開示された方法では、不要な干渉縞が記録されてしまうことを安定して防止することは困難である。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、複数の干渉縞を記録されたホログラムであって高い回折効率で光を回折することができるホログラムを安定して製造することができるホログラム製造方法および露光装置を提供することを目的とする。
本発明によるホログラム製造方法は、
ホログラム記録材料を露光してホログラムを製造するホログラム製造方法であって、
一つのレーザ光源から発生されたレーザ光を、二以上の数の参照光および二以上の数の物体光として、前記ホログラム記録材料に同時に照射する工程を含み、
前記一つのレーザ光源から発生されたレーザ光は、分岐手段によって前記二以上の数の分岐光に分岐され、その後、各分岐光が、分離手段によって、それぞれ参照光および物体光に分離され、
前記二以上の数の分岐光から選択される二つの分岐光の、前記一つのレーザ光源から当該分岐光に対応する各分離手段までの、光路長の差は、すべて、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長い。
本発明によるホログラム製造方法において、直列的に順に並べて配置された前記二以上の数よりも一つ少ない数のビームスプリッターからなる前記分岐手段によって、前記二以上の数の分岐光が順に得られていくようにしてもよい。
本発明によるホログラム製造方法において、前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの前記一つのレーザ光源から最も離間した最下流側のビームスプリッターから、当該最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの一方に対応する分離手段までの光路長は、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長よりも長くしてもよい。
本発明によるホログラム製造方法において、
前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの前記一つのレーザ光源から最も離間した最下流側のビームスプリッターから、当該最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの一方に対応する分離手段までの光路長は、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長よりも長くし、
前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの隣り合う二つのビームスプリッター間における光路長は、すべて、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長くしてもよい。
本発明による露光装置は、
ホログラム記録材料を露光するための露光装置であって、
一つのレーザ光源と、
前記一つのレーザ光源から発生されたレーザ光を二以上の数の分岐光に分岐させる分岐手段と、
各分岐光を、前記ホログラム記録材料にそれぞれ照射される参照光および物体光に分離させる分離手段と、を備え、
前記二以上の数の分岐光から選択される二つの分岐光の、前記一つのレーザ光源から当該分岐光に対応する各分離手段までの、光路長の差は、すべて、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長い。
本発明による露光装置において、分離手段は、前記二以上の数と同数だけ設けられ、各分離手段は、前記二以上の数の分岐光のいずれか一つと対応付けられていてもよい。
本発明による露光装置において、前記分岐手段は、直列的に順に並べて配置された前記二以上の数よりも一つ少ない数のビームスプリッターであってもよい。
本発明による露光装置において、前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの前記一つのレーザ光源から最も離間した最下流側のビームスプリッターから、当該最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの一方に対応する分離手段まで、の光路長が、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長くしてもよい。このような本発明による露光装置において、前記最下流側のビームスプリッターと、前記最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの前記一方に対応する分離手段と、の間に折り返しミラーが配置されていてもよい。
本発明による露光装置において、
前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの前記一つのレーザ光源から最も離間した最下流側のビームスプリッターから、当該最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの一方に対応する分離手段まで、の光路長が、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長くし、
前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの隣り合う二つのビームスプリッター間における光路長は、すべて、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長くしてもよい。このような本発明による露光装置において、前記最下流側のビームスプリッターと、前記最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの前記一方に対応する分離手段と、の間に折り返しミラーが配置され、
前記隣り合う二つのビームスプリッターの間に、それぞれ、折り返しミラーが配置されていてもよい。
本発明によれば、ホログラム記録材料に不要な干渉縞が記録されてしまうことを安定して効果的に防止することができる。これにより、複数の干渉縞を記録されたホログラムであって高い回折効率で光を回折することができるホログラムを安定して製造することができる。
図1は、本発明の一実施の形態によるホログラム製造方法および露光装置によって製造され得るホログラムの一例を示す図であって、当該ホログラムの光学的作用を説明するための図である。 図2は、図1のホログラムを示す図であって、当該ホログラムの他の光学的作用を説明するための図である。 図3は、図1および図2のホログラムの製造方法(露光方法)を説明するための図である。 図4は、図1および図2のホログラムの製造方法およびホログラムの製造に用いられる露光装置を説明するための図である。 図5は、図3に対応する図であって、ホログラムの製造方法の一変形例を説明するための図である。 図6は、図4に対応する図であって、図5に示されたホログラムの製造方法の一変形例を実現するための露光装置の一例を説明するための図である。 図7は、図3に対応する図であって、ホログラムの製造方法の他の変形例を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図4は、本発明の一実施の形態におけるホログラム製造方法および露光装置を説明するための図である。このうち、図1および図2は、本実施の形態により作製され得るホログラムの光学的作用を説明するための図であり、図3および図4は、図1および図2に示されたホログラムの製造方法および露光装置を説明するための図である。
以下に説明する実施の形態において製造対象となるホログラム10は、複数の干渉縞11a,11b,11c、より詳細には、第1〜第3の三つの干渉縞11a,11b,11cが記録された体積型ホログラムから構成されている。とりわけ、本実施の形態において、ホログラム10は、反射型体積ホログラム(リップマンホログラム)から構成されている。
図1および図2に示すように、ホログラム10の第1〜第3の干渉縞11a,11b,11cは、そのブラッグ回折条件を満たす光を、高い回折効率で回折するようになっている。本実施の形態では、図1及び図3に示すように、第1〜第3の干渉縞11a,11b,11cは、共に、第1方向d1に沿って進みホログラム10へ入射する第1波長の光Laによって、そのブラッグ回折条件を満たされるようになっている。ただし、図1に示すように、第1〜第3の干渉縞11a,11b,11cは、第1方向d1に沿って進みホログラム10へ入射する第1波長の光Laを、互いに異なる複数の方向d1,d2,d3へ回折するようになっている。
具体的には、図1および図3に示すように、第1方向d1に沿って進みホログラム10へ入射する第1波長の光(再生照明光)Laは、第1干渉縞11aによって回折され、第1波長の第1の再生光Lb1として、第1方向d1とは異なる第2方向d2に反射される。また、第1方向d1に沿って進みホログラム10へ入射する第1波長の光(再生照明光)Laは、第2干渉縞11bによって回折され、第1波長の第2の再生光Lb2として、第1方向d1および第2方向d2の両方と異なる第3方向d3に反射される。さらに、第1方向d1に沿って進みホログラム10へ入射する第1波長の光(再生照明光)Laは、第3干渉縞11cによって回折され、第1波長の第3の再生照明光Lb3として、第1〜第3方向d1,d2,d3のいずれとも異なる第4方向d4に反射される。
すなわち、ホログラム10は、一方向から入射する特定波長の光を少なくとも二方向、図示する例では三方向に分離する光分離機能を有している。とりわけ、図示する例では、一つの方向から入射する平行光束を、互いに異なる複数の方向へ進む平行光束として分離するようになっている。このようなホログラム10は、例えば、特定波長を中心とする極めて狭い波長帯域内の波長を有する光を発光するアプリケーションと共に使用され、アプリケーションで発光された光を異なる方向へ分離させる光分離素子として使用され得る。
また、図2に示すように、第1〜第3の干渉縞11a,11b,11cは、それぞれ、上述した第1〜第3再生光Lb1,Lb2,Lb3とは逆向きに進んでホログラム10へ入射する第1波長の光によって、そのブラッグ回折条件を満たされるようになっている。そして、図2および図3に示すように、第1〜第3の干渉縞11a,11b,11cは、それぞれ第2〜第4方向d2,d3,d4に沿って進みホログラム10へ入射する第1波長の光Lc1,Lc2,Lc3を、同一の方向d1へ回折するようになっている。
具体的には、図2および図3に示すように、第2方向d2に沿って進みホログラム10へ入射する第1波長の光(第1の再生照明光)Lc1は、第1干渉縞11aによって回折され、第1波長の再生光Ldとして、第1方向d1に反射される。また、第3方向d3に沿って進みホログラム10へ入射する第1波長の光(第2の再生照明光)Lc2は、第2干渉縞11bによって回折され、第1波長の再生光Ldとして、第1方向d1に反射される。さらに、第4方向d4に沿って進みホログラム10へ入射する第1波長の光(第3の再生照明光)Lc3は、第3干渉縞11cによって回折され、第1波長の再生照明光Ldとして、第1方向d1に反射される。
すなわち、ホログラム10は、互いに異なる少なくとも二方向、図示する例では三方向から入射する特定波長の光を一方向に合成する光合成機能を有している。とりわけ、図示する例では、複数方向から入射する各平行光束を、一つの方向へ平行光束として合成するようになっている。このようなホログラム10は、例えば、特定波長を中心とする極めて狭い波長帯域内の波長を有する光を異なる方向へ向けて発光するアプリケーションと共に使用され、アプリケーションで発光された異なる方向からの光を一方向へ合成する光合成素子として使用され得る。
とりわけ、本実施の形態によるホログラム10には、以下に説明するその製造方法に起因して、不要な干渉縞が記録されていない。このため本実施の形態によるホログラム10によれば、光が不要な方向に回折されることを効果的に防止することができる。これにより、入射光を期待した方向へ極めて高い回折効率で回折することができ、ホログラム10への入射光、例えばアプリケーションで発光された光の利用効率を効果的に上昇させることができる。また、不要な干渉縞によって、入射光が、意図しない方向へ回折されることが防止されるので、予定した光学的機能を安定して確保することができる。
次に、以上のようなホログラム10を製造する方法の一例について説明する。以下に説明する方法では、単一のレーザ光源40を含んだ露光装置(光学系)30を用いて、ホログラム記録材料20に複数の干渉縞11a,11b,11cを記録することによって、反射型体積ホログラムからなるホログラム10を作製する。
まず、ホログラムの製造に用いられる露光装置(光学系、露光装置)30について説明する。図4に示すように、露光装置30は、単一のレーザ光源40と、一つのレーザ光源40から発生されたレーザ光を二以上の数の分岐光BL1,BL2,BL3に分岐させる分岐手段45と、各分岐光BL1,BL2,BL3をホログラム記録材料20にそれぞれ照射される参照光Lr1,Lr2,Lr3および物体光Lo1,Lo2,Lo3に分離させる分離手段50と、を有している。
また、露光装置30は、光を反射させるためのミラーM、光を広げる(発散させる)ためのスペイシャルフィルタSF、および、スペイシャルフィルタSFによって広げられたレーザ光を平行光化するレンズC等をさらに有している。そして、このような概略構成により、レーザ光源40からのレーザ光をホログラム記録材料20へ平行光束として入射させる光路が画成されている。
とりわけ、この露光装置30によって画成される光路については、露光装置30に含まれるすべての分岐光BL1,BL2,BL3から任意に選択される二つの分岐光の、レーザ光源40から当該分岐光に対応する各分離手段50までの、光路長の差が、すべて、レーザ光源40から発生されるレーザ光のコヒーレント長より長くなっている。ここで、コヒーレント長とは、レーザ光源から発生されたレーザ光が可干渉性を保持し得る光路長のことである。
分岐手段45は、分岐光BL1,BL2,BL3の数よりも一つ少ない数だけ設けられたビームスプリッター(光分割手段)45a,45bからなっている。ビームスプリッター45a,45bは、入射してきた光を二つに分割する機能を有した種々の光学素子または光学機器である。複数のビームスプリッター45a,45bは、直列的に並べて配置されている。すなわち、複数のビームスプリッター45a,45bが、レーザ光源40に最も近い上流側からレーザ光源40から最も離間した下流側へ順に並べて配置され、最下流側に配置されたビームスプリッター以外の他のビームスプリッターで分岐された二つの光のうちの一方のみが次のビームスプリッターへ導かれるようになり、他方は分離手段へ導かれるようになる。つまり、ビームスプリッターが直列的に並べて配置されている場合、最下流側のビームスプリッター以外の各ビームスプリッターによって、レーザ光源40で発生されたレーザ光L40から分岐光が一つずつ順に取り出されていく。また、複数のビームスプリッター45a,45bが直列的に並べて配置されている場合、最下流側に配置されたビームスプリッター45bで分岐された二つの光のみが、両方とも、対応する分離手段50へ導かれるようになる。
図4に示す例において、分離手段50は、各分岐光BL1,BL2,BL3に対して一つずつ設けられたビームスプリッター(光分割手段)50a,50b,50cからなっている。すなわち、分離手段50は、分岐手段45と同様に、入射してきた光を二つに分割する機能を有した種々の光学素子または光学機器としてのビームスプリッター50a,50b,50cからなっている。ただし、本実施の形態において、分離手段50は、分岐手段45とは異なり、分岐光BL1,BL2,BL3の数と同数のビームスプリッター50a,50b,50cを含んでいる。
各分離手段50は、当該分離手段50からホログラム記録材料20までの対応する参照光Lr1,Lr2,Lr3の光路長と、当該分離手段50からホログラム記録材料20までの対応する物体光Lo1,Lo2,Lo3の光路長との差が、レーザ光源40から発生されるレーザ光のコヒーレント長以下となるように、配置されている。そもそも、各分離手段50は、露光装置30の全体構成を簡略化させる観点からも、ホログラム記録材料20に近接して配置されていることが好ましい。
また、本実施の形態においては、直列的に順に並べて配置された分岐手段(ビームスプリッター)45のうちのレーザ光源40から最も離間した最下流側の分岐手段(ビームスプリッター)45bから、当該最下流側の分岐手段(ビームスプリッター)45bで分岐された二つの分岐光のうちの一方に対応する分離手段50cまで、の光路長が、レーザ光源40から発生されるレーザ光のコヒーレント長より長くなっている。同様に、分岐手段(ビームスプリッター)45が複数設けられている本実施の形態においては、直列的に順に並べて配置された分岐手段(ビームスプリッター)45のうちのレーザ光L40の光路に沿って隣り合う二つの分岐手段(ビームスプリッター)45a,45bの間における光路長が、レーザ光源40から発生されたレーザ光のコヒーレント長より長くなっている。その一方で、上述した一つの分離手段(最下流側の分岐手段45bで分岐された二つの分岐光BL2,BL3のうちの一方に対応する分離手段50c)を除き、各分離手段50は対応する分岐手段45の近傍に配置され、露光装置30の小型化に寄与している。このような構成によれば、任意に選択された二つの分岐光のレーザ光源40から対応する分離手段50までの光路長の差をレーザ光のコヒーレント長よりも長くすることを可能にしながら、露光装置30の構成を単純化するとともに、露光装置30の設置スペースを省スペース化することもできる。
とりわけ、本実施の形態においては、最下流側の分岐手段(ビームスプリッター)45bと、最下流側の分岐手段(ビームスプリッター)45bで分岐された二つの分岐光BL2,BL3のうちの一方に対応する分離手段50cと、の間に折り返しミラー55が配置され、この間における光路長をレーザ光のコヒーレント長よりも長くしている。同様に、隣り合う二つの分岐手段(ビームスプリッター)45の間に、それぞれ、折り返しミラー55が配置され、この間における光路長をレーザ光のコヒーレント長よりも長くしている。折り返しミラー55は、複数の反射手段(典型的にはミラー)の間で光を多数回往復させることにより、少ないスペースで極めて長い光路長を確保することができる。これにより、任意に選択された二つの分岐光のレーザ光源40から対応する分離手段50までの光路長の差をレーザ光のコヒーレント長よりも長くすることを可能にしながら、露光装置30の構成を単純化するとともに、露光装置30の設置スペースを省スペース化することもできる。
なお、レーザ光源40として、種々の公知のレーザ光源を用いることができる。例えば、レーザ光源40として、高出力でレーザ光を発振させることができる、ヘリウム−ネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、ネオジウムヤグレーザー等のレーザ光源を用いることができる。また、感光性を有したホログラム記録材料20としては、種々の公知の感光材を用いることができる。例えば、ホログラム記録材料20として、フォトポリマー、銀塩乳剤、重クロム酸ゼラチン、フォトレジスト等を用いることができる。
次に、このような露光装置30を用いてホログラム10を作製する方法について、説明する。
図4に示すように、露光装置(光学系)30のレーザ光源40から発生された第1波長のレーザ光L40は、まず、分岐手段45a,45bによって二以上の数の分岐光BL1,BL2,BL3に分岐される。具体的には、まず第1の分岐手段45aによって、レーザ光源40からのレーザ光L40から、第1の分岐光BL1が分岐される。次に、第2の分岐手段45bによって、レーザ光L40が第2の分岐光BL2と第3の分岐光BL3とに分離される。
その後、各分岐光BL1,BL2,BL3に対して一つずつ設けられた分離手段50a,50b,50cによって、各分岐光がそれぞれ参照光Lr1,Lr2,Lr3および物体光Lo1,Lo2,Lo3に分離される。具体的には、第1の分離手段50aによって、第1の分岐光BL1が第1参照光Lr1および第1物体光Lo1に分けられ、第2の分離手段50bによって、第2の分岐光BL2が第2参照光Lr2および第2物体光Lo2に分けられ、第3の分離手段50cによって、第3の分岐光BL3が第3参照光Lr3および第3物体光Lo3に分けられる。
そして、第1〜第3参照光Lr1,Lr2,Lr3および第1〜第3物体光Lo1,Lo2,Lo3は、ミラーM等の手段によって進路を適宜変更された後、スペイシャルフィルタSFおよびレンズCによって、ホログラム記録材料20の所望の領域の全域へ入射し得る程度まで広げられた平行光束として、ホログラム記録材料20へ入射する。すなわち、一つのレーザ光源40から発生されたレーザ光が、二以上の数の参照光Lr1,Lr2,Lr3および二以上の数の物体光Lo1,Lo2,Lo3として、ホログラム記録材料20に同時に照射される。
この結果、ホログラム記録材料20内において、第1参照光Lr1と第1物体光Lo1が干渉し、明暗の縞からなる光の干渉縞が形成される。感光性を有したホログラム記録材料20は、この明暗の縞に対応して反応する。この結果、ホログラム記録材料20内に、この明暗の縞に対応したパターンの第1干渉縞11aが記録され、これにより、ホログラム10へ回折機能が付与される。一例として、ホログラム記録材料20がフォトポリマーからなる場合には、屈折率変調パターンとして第1干渉縞11aが記録される。
また同様にして、第2参照光Lr2と第2物体光Lo2が干渉してなる明暗の縞に対応したパターンで第2干渉縞11bがホログラム記録材料20に記録され、第3参照光Lr3と第3物体光Lo3が干渉してなる明暗の縞に対応したパターンで第3干渉縞11cがホログラム記録材料20に記録される。
ここで、第1参照光Lr1および第1物体光Lo1が干渉してなる明暗の縞、および、これにともなう第1干渉縞11aは、第1参照光Lr1のホログラム記録材料20への入射方向と、第1物体光Lo1のホログラム記録材料20への入射方向と、によってなされる角の二等分線と平行な方向に延びるようになる。同様に、第2干渉縞11bは、第2参照光Lr2のホログラム記録材料20への入射方向と、第2物体光Lo2のホログラム記録材料20への入射方向と、によってなされる角の二等分線と平行な方向に延びるようになり、第3干渉縞11cは、第3参照光Lr3のホログラム記録材料20への入射方向と、第3物体光Lo3のホログラム記録材料20への入射方向と、によってなされる角の二等分線と平行な方向に延びるようになる。
上述したように、レーザ光源40から発生されるレーザ光L40の波長は、第1波長であって、作製しようとしている干渉縞11a,11b,11cから図1および図2に示すような特定の回折作用を及ぼされることを意図された光の波長と同一となっている。したがって、第1干渉縞11aを形成するための第1参照光Lr1および第1物体光Lo1を、それぞれ、第1干渉縞11aに関する第1波長の再生照明光Laおよび再生光Lb1の進行方向と同一の第1方向d1および第2方向d2から、ホログラム記録材料20に入射させる。同様に、第2干渉縞11bを形成するための第2参照光Lr2および第2物体光Lo2を、それぞれ、第2干渉縞11bに関する第1波長の再生照明光Laおよび再生光Lb2の進行方向と同一の第1方向d1および第3方向d3から、ホログラム記録材料20に入射させ、第3干渉縞11cを形成するための第3参照光Lr3および第3物体光Lo3を、それぞれ、第3干渉縞11cに関する第1波長の再生照明光Laおよび再生光Lb3の進行方向と同一の第1方向d1および第4方向d4から、ホログラム記録材料20に入射させる。
このため、図4に示すように、共に第1方向d1からホログラム記録材料20へ入射する第1参照光Lr1、第2参照光Lr2および第3参照光Lr3は、同一の方向に進むように、ハーフミラーHMを介して合成される。そして、図3および図4に示すように、合成光として、スペイシャルフィルタSFおよびレンズCによって所望の程度にまで広げられた平行光束として、上述した第1方向d1から、ホログラム記録材料20へ入射する。このように、干渉縞11a,11b,11cの記録にレーザ光源40が用いられることによって、多数の光がホログラム記録材料20へ入射するようになるものの、各分岐光からの複数の参照光Lr1,Lr2,Lr3は同一方向に沿って同一の面の側からホログラム記録材料20へ入射するようになる。したがって、露光装置30の設定を比較的に容易化することができる。
また、上述したように、本実施の形態において、ホログラム10は、反射型体積ホログラムとして構成されている。したがって、第1干渉縞11aを形成する第1参照光Lr1および第1物体光Lo1を、互いに異なる側から、シート状のホログラム記録材料20に入射させる。同様に、第2干渉縞11bを形成する第2参照光Lr2および第2物体光Lo2を、互いに異なる側から、シート状のホログラム記録材料20に入射させ、第3干渉縞11cを形成する第3参照光Lr3および第3物体光Lo3を、互いに異なる側から、シート状のホログラム記録材料20に入射させる。
以上のようにして、複数の干渉縞11a,11b,11cをホログラム記録材料20に並行して記録することができる。干渉縞の記録工程が終了すると、その後、後処理工程がホログラム記録材料20に施され、反射型体積ホログラムからなるホログラム10が得られるようになる。なお、後処理の内容は、ホログラム記録材料20をなす材料によって異なるが、一例として、紫外線照射および加熱処理が、一連の後処理としてホログラム記録材料20に実施され得る。
本実施の形態においては、一つのレーザ光源40から発振されたレーザ光からなる第1〜第3の参照光Lr1,Lr2,Lr3および第1〜第3の物体光Lo1,Lo2,Lo3を、同時に、ホログラム記録材料20に入射させている。このように同時露光によってホログラム記録材料20に複数の干渉縞11a,11b,11cを形成することにより、ホログラム10を短時間で形成することができる。また、煩雑な作業を伴う露光装置30の準備を、複数回行う必要がない。さらに、各光Lr1,Lr2,Lr3,Lo1,Lo2,Lo3の光量を調節するといった簡易な操作により、各干渉縞11a,11b,11cでの回折効率を調節することができる。すなわち、所望の光学特性を有する干渉縞11a,11b,11cが精度良く形成されたホログラム10を、安価に形成することができる。
またさらに、上述した方法で製造されたホログラム10が、非常に優れた回折効率を呈すること、が確認された。これは、ホログラム10をなすホログラムに不要な干渉縞が記録されていないことに起因している。
図3に示すようにホログラム記録材料20を単純に四方向から同時露光した場合、上述したように同一の分岐光からなる参照光と物体光との干渉だけでなく、異なる方向から入射するその他の光同士も干渉し合う可能性がある。具体的には、第2方向d2からの第1物体光Lo1は、第1方向d1からの第1参照光Lr1だけでなく、第3方向d3からの第2物体光Lo2や第4方向d4からの第3物体光Lo3とも、干渉し合う可能性がある。このような干渉が生じた場合、上述した第1〜第3の干渉縞11a,11b,11cだけでなく、例えば、第2方向d2と第3方向d3とによってなされる角の二等分線と平行な方向に延びる干渉縞や、第2方向d2と第4方向d4とによってなされる角の二等分線と平行な方向に延びる干渉縞もホログラム記録材料20に記録され得る。
しかしながら、本実施の形態においては、一つのレーザ光源40から発生されたレーザ光L40を、まず二以上の分岐光BL1,BL2,BL3に分割し、その後、各分岐光にそれぞれ対応して設けられた分離手段50によって、各分岐光を物体光Lr1,Lr2,Lr3および参照光Lo1,Lo2,Lo3に分離する。そして、二以上の数の分岐光BL1,BL2,BL3から任意に選択される二つの分岐光の、一つのレーザ光源40から当該分岐光にそれぞれ対応する分離手段50までの、光路長の差は、すべて、レーザ光源40から発生されたレーザ光のコヒーレント長より長くなっている。したがって、同一の分岐光から分離された参照光および物体光との間での干渉は生じるが、異なる分岐光から分離された光の間での干渉は生じない。これにより、不要な干渉縞がホログラム記録材料20に記録されることを防止し、回折効率の高い意図した干渉縞11a,11b,11cのみをホログラム記録材料20に記録することができる。
また、本実施の形態によれば、一つのレーザ光源40から発生されたレーザ光L40が、まず二以上の分岐光BL1,BL2,BL3に分割し、その後で各分岐光を物体光Lr1,Lr2,Lr3および参照光Lo1,Lo2,Lo3に分離している。したがって、上述したような任意の二つの分岐光のレーザ光源から分離手段までの光路長差をレーザ光のコヒーレント長より長く確保するといった光路設計を単純化して行うことができる。これにより、例えば、特許文献2(特開2005−70341号公報)に開示された露光装置と比較して、露光装置(光学系)30の構成を大幅に簡略化することができるとともに、露光装置(光学系)30の設置スペースを大幅に小型化することができる。また、本実施の形態によれば、特許文献2(特開2005−70341号公報)に開示された方法と比較して、コヒーレント長の長いレーザ光を発生させるレーザ光源40を用いた場合の光路長測定および光路設計を格段に容易化させることもできる。
また、上述した実施の形態において、分岐手段50は直列的に順に並べて配置され、分岐光BL1,BL2,BL3が順に得られていくようになっている。これにより、任意の二つの分岐光のレーザ光源40から分離手段50までの光路長差をレーザ光のコヒーレント長より長く確保するといった光路設計を、より単純化して行うことができる。
さらに、上述した実施の形態においては、直列的に順に並べて配置された分岐手段45のうちの隣り合う二つの分岐手段の間において、レーザ光はそのコヒーレント長より長い光路長を進む、且つ、最下流側の分岐手段45bから、当該最下流側の分岐手段45で分岐された二つの光BL2,BL3のうちの一方に対応する分離手段50cまでの間において、レーザ光はそのコヒーレント長よりも長い光路長を進むようになっている。これにより、任意の二つの分岐光のレーザ光源40から分離手段50までの光路長差をレーザ光のコヒーレント長より長く確保するといった光路設計を、さらに単純化して行うことができる。
またこの際、最下流側の分離手段45で分岐された二つの分岐光のうちの一方に対応する分離手段50c以外の分離手段50a,50bを対応する分岐手段45a,45bの近傍に配置することができ、これにより、露光装置(光学系)30をさらに簡略化することができるとともに、露光装置30の設置スペースを小型化することができる。
またとりわけ、隣り合う二つの分岐手段45の間に折り返しミラー55を配置することにより、当該隣り合う二つの分岐手段45の間での光路長をレーザ光のコヒーレント長よりも長く確保している。同様に、最下流側の分離手段45bから当該最下流側の分離手段45で分岐された二つの分岐光のうちの一方に対応する分離手段50cまでの間にも折り返しミラー55を配置することにより、当該最下流側の分岐手段45bと対応する一方の分離手段50cとの間での光路長をレーザ光のコヒーレント長よりも長く確保している。このような構成によれば、レーザ光のコヒーレント長によらず、光路長の設計を簡略化することができるとともに、露光装置30を大幅に簡略化かつ小型化することができる。
以上のような本実施の形態によれば、ホログラム10をなすようになるホログラム記録材料20に不要な干渉縞11cが記録されることを安定して防止することができる。これにより、不要な干渉縞11cによって入射光が意図しない方向に回折されてしまうことを防止することができ、ホログラム10が高い回折効率を呈するようになる。また、このホログラム10は、同時露光により、干渉縞が記録されているので、安価に且つ高精度に製造され得るとともに、光学特性を容易に調節され得る。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
例えば、上述した実施の形態において、分離手段50がビームスプリッター50a,50b,50cからなる例を示したが、この例に限られない。例えば、分離手段50が、透過型ホログラムを含んだ透過型ホログラム原版として構成されていてもよい。一例として、分離手段50が透過型ホログラム原版からなる場合、透過型ホログラムのブラッグ条件を満たすように、透過型ホログラム原版への分岐光の入射方向を決定する。この例では、透過型ホログラムで回折されてなる1次光(回折光)が、例えば物体光としてホログラム記録材料20へ入射し、透過型ホログラムで回折されることなく透過型ホログラム原版を透過した0次光が、例えば参照光としてホログラム記録材料20へ入射するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態において、分離手段50で物体光の光路と参照光の光路とが分離された後に、当該物体光および参照光がそれぞれホログラム記録材料20へ入射するようになっている例を示したが、この例に限られない。例えば、図5および図6に示すように、ホログラム記録材料20の背面に模型51を配置した状態で、ホログラム記録材料20へ前面(模型に対面する背面とは逆の主面)の側から分岐光BL1,BL2そのものを参照光Lr1,Lr2として照射するとともに、ホログラム記録材料20を透過した参照光Lr1,Lr2が模型51で反射されてなる反射光としての物体光Lo1,Lo2をホログラム記録材料20へ背面の側から照射するようにしてもよい。
この露光方法は、いわゆるデニシューク法と呼ばれる露光方法であって、分離手段は、参照光としての光路と物体光としての光路とを分離する模型51となる。すなわち、上述した、レーザ光源40から分離手段51までの光路長は、レーザ光源40からホログラム記録材料20を通過した模型51までの光路の長さとなる。
なお、図5および図6に示す変形例では、一つの分岐手段45によって、レーザ光を二つの分岐光BL1,BL2に分割している。そして、分岐手段45と一方の分岐光BL2に対応する分離手段(本例では模型)51との間に折り返しミラー55が配置され、分岐手段45と一方の分岐光BL2に対応する分離手段51との間の光路長がレーザ光源40から発生されたレーザ光のコヒーレント長さより長くなっている。これにより、第1の分岐光BL1からなる第1参照光Lr1および第1物体光Lo1のいずれかと、第2の分岐光BL2からなる第2参照光Lr2および第1物体光Lo2のいずれかと、が干渉し合うことを防止することができる。
ところで、ホログラム10は、ブラッグ条件を満たすようになる光を高い回折効率で回折することができる。一方、ホログラム10は、透光性を有したフィルム状の部材として構成されるため、その表裏およびその上下のいずれかを反転させて保持されることもある。そして、意図された再生照明光が正面方向から傾斜した方向からホログラム10へ入射する場合、当該ホログラムを表裏および上下の一方だけを反転させて保持していると、入射光は回折されなくなる。その一方で、図5および図6に示された露光方法により作成されたホログラムによれば、二つ記録された干渉縞によって、ホログラムを表裏および上下の一方だけを反転させて保持した場合であって、再生光を観察し得るようにすることができる。例えば、図5および図6に示された露光方法により作成されたホログラムは、複数の方向から入射する光の各々によって、同一の像を再生することができる。
さらに、図7に示すように、分離手段50が、模型51に代え、反射型ホログラムを含んだ反射型ホログラム原版52,53として構成されていてもよい。具体的には、反射型ホログラム原版52,53をホログラム記録材料20の背面に密着または離間させて配置してもよい。一例として、ホログラム記録材料20を透過した光が反射型ホログラムのブラッグ条件を満たすように、ホログラム記録材料20の前面の側から分岐光BL1,BL2そのものを参照光Lr1、Lr2として照射する。この際、ホログラム記録材料20を透過した第1参照光Lr1が第1反射型ホログラム原版52で回折(反射)され、回折光としての第1物体光Lo1がホログラム記録材料20へ背面の側から入射するようになる。同様に、ホログラム記録材料20および第1反射型ホログラム原版52を透過した第2参照光Lr2が第2反射型ホログラム原版53で回折(反射)され、回折光としての第2物体光Lo2がホログラム記録材料20へ背面の側から入射するようになる。
この例では、分離手段50は、参照光Lr1,Lr2としての光路と物体光Lo1,Lo2としての光路とを分離する反射型ホログラム原版52,53となり、上述したレーザ光源40から分離手段52,53までの光路長は、レーザ光源40からホログラム記録材料20を通過した反射型ホログラム原版52,53までの光路の長さとなる。
なお、図7に示す変形例において、露光装置の全体的な構成は、図6に示された露光装置31と同様にすることができる。これにより、第1の分岐光BL1からなる第1参照光Lr1および第1物体光Lo1のいずれかと、第2の分岐光BL2からなる第2参照光Lr2および第1物体光Lo2のいずれかと、が干渉し合うことを防止することができる。
さらに、上述した実施の形態において、ホログラム10が、反射型ホログラムをなすようになる干渉縞11a,11b,11cを記録される例を示したが、これに限られない。例えば、ホログラム10が、透過型ホログラムをなすようになる干渉縞を記録されるようにしてもよいし、反射型ホログラムをなすようになる干渉縞と透過型ホログラムをなすようになる干渉縞との両方を記録されるようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、ホログラム10が、平行光束からなる入射光(再生照明光)を平行光束からなる回折光(再生光)として回折する光合成機能および光分離機能を発揮する例を示したが、これに限られない。例えば、平行光束からなる入射光を、発散光束、収束光束、散乱光束からなる回折光として回折するようにしてもよいし、入射光が発散光束や収束光束として構成されるようにしてもよい。このようなホログラムは、干渉縞を記録する際の参照光を、入射光(再生照明光)と同様の光束(発散光束や収束光束)とし、干渉縞を記録する際の物体光を、回折光(再生光)と同様の光束(発散光束や収束光束)とすることにより、作製され得る。
さらに、上述した実施の形態において、ホログラム10からの回折光が平行光束として構成される例を示したが、これに限られず、回折光が何らかの像を再生するようにしてもよい。例えば図1に示す例において、第1再生光Lb1が第2方向d2を中心とする第1の視域に第1像を再生し、第2生成光Lb2が第3方向d3を中心とする第2の視域に第1像とは異なる第2像を再生し、第3生成光Lb3が第4方向d4を中心とする第3の視域に第1像および第2像の両方と異なる第3像を再生するようにしてもよい。この例において、第1〜第3の視域のいずれか二つが部分的に重なり合うようにしてもよいし、あるいは、第1〜第3の視域がすべて重なり合わないようにしてもよい。すなわち、このような変形例に係るホログラムよれば、特許文献1(特開2008−122670号公報)に開示されたホログラムと同様に、一方向から入射する光によって、少なくとも二つの方向から互いに異なる像が観察されるよう、像を再生することができる。
さらに、上述した実施の形態において、ある特定波長(第1波長)の光に対して所望の回折作用を及ぼす干渉縞11a,11b,11cを、当該特定波長の光と同一の波長の露光光を用いて、ホログラム記録材料20に記録する例を示したが、これに限られない。作製されるべきホログラム10によって回折されることを意図された光の波長(上述の実施の形態では、第1波長)とは異なる波長の光をホログラム記録材料20に露光することによって、ホログラム10を作製してもよい。ホログラム記録材料20に記録された干渉縞11a,11b,11cは、第1波長とは異なる波長、例えば第2波長を有した光であったとしても、当該干渉縞のブラッグ回折条件を満たす方向から入射する再生照明光を、高い回折効率で回折することができる。この場合、第2波長の再生照明光および当該再生照明光が回折されてなる第2波長の再生光の進行方向から、ホログラム記録材料20に参照光および物体光を入射させることにより、上述したホログラムを作製することができる。
また、このような作製方法の変形例をさらに応用することによって、第1方向から入射する第1波長の第1再生照明光を回折する第1干渉縞と、第1方向から入射する第1波長とは異なる第2波長の第2再生照明光を回折する第2干渉縞と、を有したホログラムを、単一のレーザ光源を用いて、上述した実施の形態で説明した製造方法と同様の方法で製造することもできる。例えば、第1干渉縞を第1波長の第1参照光および第1物体光により記録し、第2干渉縞を第1波長の第2参照光および第2物体光により記録する。この際、第1波長の第1参照光のホログラム記録材料への入射方向は第1方向となり、第1波長の第1物体光のホログラム記録材料への入射方向は、第1再生照明光が第1干渉縞で回折されてなる回折光(再生光)の回折方向(進行方向)となる。一方、第1波長の第2参照光のホログラム記録材料への入射方向は第1方向とは異なる方向となり、第1波長の第2物体光のホログラム記録材料への入射方向は、第2再生照明光が第2干渉縞で回折されてなる回折光(再生光)の回折方向(進行方向)とは異なる方向となる。
一般に、干渉縞の記録に用いられ得る高出力のレーザ光源は限られており、このため、高出力で発生されるレーザ光の波長も特定の波長に限られている。したがって、干渉縞の記録に用いられる光の波長(第1波長)を、容易に入手可能なレーザ光源から発振されるレーザ光の波長とし、作製されたホログラム10によって回折されるべき光の波長(第2波長)を、高出力のレーザ光源から発生され得ない波長とすることも可能となる。この場合、ホログラム10の識別性を格段に向上させることができ、また、コンタクトコピーを実質的に不可能とすることもできる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
10 ホログラム
11a 干渉縞(第1干渉縞)
11b 干渉縞(第2干渉縞)
11c 干渉縞(第3干渉縞)
20 ホログラム記録材料
30 露光装置(光学系)
40 レーザ光源
45 分岐手段
45a 分岐手段(第1分岐手段)
45b 分岐手段(第2分岐手段、最下流側の分岐手段)
50 分離手段
50a 分離手段(第1分離手段)
50b 分離手段(第2分離手段)
50c 分離手段(第3分離手段)
51 模型(分離手段)
52 反射型ホログラム原版(第1分離手段)
53 反射型ホログラム原版(第2分離手段)
55 折り返しミラー

Claims (10)

  1. ホログラム記録材料を露光してホログラムを製造するホログラム製造方法であって、
    一つのレーザ光源から発生されたレーザ光を、二以上の数の参照光および二以上の数の物体光として、前記ホログラム記録材料に同時に照射する工程を含み、
    前記一つのレーザ光源から発生されたレーザ光は、分岐手段によって前記二以上の数の分岐光に分岐され、その後、各分岐光が、分離手段によって、それぞれ参照光および物体光に分離され、
    前記二以上の数の分岐光から選択される二つの分岐光の、前記一つのレーザ光源から当該分岐光に対応する各分離手段までの、光路長の差は、すべて、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長い、
    ことを特徴とするホログラム製造方法。
  2. 直列的に順に並べて配置された前記二以上の数よりも一つ少ない数のビームスプリッターからなる前記分岐手段によって、前記二以上の数の分岐光が順に得られていく、
    ことを特徴とする請求項1に記載のホログラム製造方法。
  3. 前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの前記一つのレーザ光源から最も離間した最下流側のビームスプリッターから、当該最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの一方に対応する分離手段までの光路長は、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長よりも長い
    ことを特徴とする請求項2に記載のホログラム製造方法。
  4. 前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの前記一つのレーザ光源から最も離間した最下流側のビームスプリッターから、当該最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの一方に対応する分離手段までの光路長は、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長よりも長く、
    前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの隣り合う二つのビームスプリッター間における光路長は、すべて、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長い、
    ことを特徴とする請求項2に記載のホログラム製造方法。
  5. ホログラム記録材料を露光するための露光装置であって、
    一つのレーザ光源と、
    前記一つのレーザ光源から発生されたレーザ光を二以上の数の分岐光に分岐させる分岐手段と、
    各分岐光を、前記ホログラム記録材料にそれぞれ照射される参照光および物体光に分離させる分離手段と、を備え、
    前記二以上の数の分岐光から選択される二つの分岐光の、前記一つのレーザ光源から当該分岐光に対応する各分離手段までの、光路長の差は、すべて、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長い、
    ことを特徴とする露光装置。
  6. 前記分岐手段は、直列的に順に並べて配置された前記二以上の数よりも一つ少ない数のビームスプリッターである、
    ことを特徴とする請求項5に記載の露光装置。
  7. 前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの前記一つのレーザ光源から最も離間した最下流側のビームスプリッターから、当該最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの一方に対応する分離手段まで、の光路長が、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長い、
    ことを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
  8. 前記最下流側のビームスプリッターと、前記最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの前記一方に対応する分離手段と、の間に折り返しミラーが配置されている、
    ことを特徴とする請求項7に記載の露光装置。
  9. 前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの前記一つのレーザ光源から最も離間した最下流側のビームスプリッターから、当該最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの一方に対応する分離手段まで、の光路長が、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長く、
    前記直列的に順に並べて配置されたビームスプリッターのうちの隣り合う二つのビームスプリッター間における光路長は、すべて、前記一つのレーザ光源から発生された前記レーザ光のコヒーレント長より長い、
    ことを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
  10. 前記最下流側のビームスプリッターと、前記最下流側のビームスプリッターで分岐された二つの分岐光のうちの前記一方に対応する分離手段と、の間に折り返しミラーが配置され、
    前記隣り合う二つのビームスプリッターの間に、それぞれ、折り返しミラーが配置されている、
    ことを特徴とする請求項9に記載の露光装置。
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