JP6361707B2 - 振動片、センサーユニット、電子機器、および、振動片の製造方法 - Google Patents

振動片、センサーユニット、電子機器、および、振動片の製造方法 Download PDF

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本発明は、振動片、振動片を用いたセンサーユニット、それらの振動片やセンサーユニットを搭載した電子機器、および、振動片やセンサーユニットの製造方法に関する。
車両における車体制御やカーナビゲーションシステムの自車位置検出、また、デジタルカメラやデジタルビデオカメラなどの振動制御補正機能(所謂手ぶれ補正)などを充実させる角速度センサーとしての振動ジャイロセンサー(以下振動ジャイロと呼ぶ)が広く利用されている。振動ジャイロは、高弾性材料としての水晶などの圧電性単結晶物からなるジャイロ振動片により、物体の揺れや回転などの振動によってジャイロ振動片の一部に発生する電気信号を角速度として検出し、回転角を算出することによって物体の変位を求めるものである。
ジャイロセンサーに用いられる振動片としては、従来より、水晶などの圧電体材料により形成された圧電振動片(振動ジャイロ素子)が広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載の振動片は、水晶からなる基部と、基部の一端部から並行させて延伸された一対の振動腕と、を含む、所謂音叉型の圧電振動片である。各振動腕の主面(第1表面)には振動腕を励振する駆動電圧を供給する駆動電極(励振電極)が設けられ、第1表面と直交する側面には検出電極が設けられている。そして、駆動電極に駆動信号(励振信号)を印加することにより、振動腕を振動させることができる。ここで、この振動片に駆動信号を印加して振動腕を第1表面に沿った方向に振動(面内振動)させているときに、振動腕の延伸方向の軸(例えば、水晶Z板を基材とした振動ジャイロ素子の場合、Y軸)を検出軸として回転させると、コリオリの力により振動腕が第1表面と直交する方向に振動(面外振動)する。この面外振動の振幅は振動片の回転速度に比例することから角速度として検出することができる。
上記のような振動ジャイロ素子の基部や振動腕は、圧電体材料、例えば水晶を、フォトリソグラフィーを用いてエッチング加工することにより一体に形成することができる。もともと、振動腕の断面形状は矩形状となるように設計されるが、水晶のエッチング異方性や加工プロセスのばらつきなどにより、矩形状とならずに、平行四辺形や菱形、あるいは、もっと複雑な不定形を呈する。このとき、振動腕の断面形状が、もともと設計されていた矩形状から大きくずれると、振動腕の振動方向が設計値からずれて、所謂漏れ出力という望まない振動漏れが発生し、振動ジャイロ素子の検出感度を劣化させる要因になる。このような漏れ出力を抑制する方法として、振動腕の基部との付け根近傍に切削部を設けた振動ジャイロ素子が、例えば、特許文献3に紹介されている。
特許文献2の振動ジャイロ素子(角速度センサー素子)は、基部と、基部から延伸された振動腕と、を有し、振動腕には、振動腕の幅方向の振動を励振する駆動電極と、振動腕の厚み方向となる垂直振動による電荷を検出する検出電極と、が設けられている。そして、振動腕の基部との付け根近傍において、振動腕の幅方向の少なくとも一方の端部に、レーザー加工により形成された複数の切削部が設けられている。振動腕の基部との付け根近傍に設けられた切削部によって、質量分布を変化させることにより漏れ出力(斜め振動)を抑制することができると記載されている。
特開平5−256723号公報 特開2008−209215号公報
しかしながら、特許文献2に記載の振動ジャイロ素子では、漏れ出力抑制のための精緻な調整を行うには、極微細な切削部を設ける必要があり、近年、進展している振動ジャイロ素子(振動片)の小型化に伴って、切削部の形成が更に困難になるとともに、切削部の形成によって振動ジャイロ素子の機械的な強度が弱くなるという課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
〔適用例1〕本適用例にかかる振動片は、基部と、前記基部から延出された第1振動腕および第2振動腕と、前記第2振動腕に設けられた調整部と、を含み、前記第2振動腕の出力信号は、前記第1振動腕の漏れ振動の出力信号に対して逆位相であることを特徴とする。
この構成によれば、第2振動腕の調整部の一部を除去、または付加することにより、第1振動腕の振動の漏れ出力を打ち消して抑制できることを発明者は見出した。これにより、振動片の外形の一部を加工して漏れ出力の抑制調整を行う従来の方法に比して、小型化に有利であるとともに、精緻な調整が可能となるので、小型で、機械的強度が高く、且つ、高感度な特性を有する振動片を提供することができる。
〔適用例2〕上記適用例にかかる振動片において、前記第1振動腕には、駆動電圧が印加される駆動電極と、前記第1振動腕の駆動時に加えられた物理量に応じて発生する振動を電気的に検出する検出電極と、が設けられたことを特徴とする。
この構成によれば、角速度や加速度等の物理量が振動片に加わったときに検出電極を用いて物理量を検出することができ、本実施例の振動片を用いれば小型で高感度な特性を有するセンサーを実現することができる。
〔適用例3〕上記適用例にかかる記載の振動片において、前記調整部には金属膜が設けられ、前記金属膜と前記検出電極とが電気的に接続されたことを特徴とする。
この構成によれば、第2振動腕の調整部に設けた金属膜の一部を、例えばレーザー照射により除去したり、または、蒸着やスパッタリングにより金属膜を付加したりすることにより第2振動腕の電荷(電流)を制御することによって、より精緻な漏れ出力の抑制調整を行うことができる。
〔適用例4〕上記適用例にかかる振動片において、前記基部、前記第1振動腕、および、前記第2振動腕が圧電体材料により形成され、前記第2振動腕が前記圧電体材料の分極軸と交差する方向に延出されたことを特徴とする。
このように、振動片を圧電体材料を用いて形成することにより、圧電体材料の圧電現象を用いて振動腕の駆動と出力電圧の検出を容易に行うことができる。
〔適用例5〕上記適用例にかかる振動片において、前記第1振動腕は、前記基部の一端から延出された駆動用振動腕と、前記基部の他端から延出された検出用振動腕と、を含むことを特徴とする。
このような構成の振動片は、駆動系の振動腕と検出系の振動腕とが分離されることから、駆動系の振動腕と検出系の振動腕との電極間あるいは配線間の静電結合が低減され、検出感度が安定する。
〔適用例6〕上記適用例にかかる振動片において、前記第2振動腕は、前記検出用振動腕側に延出されたことを特徴とする。
このように、検出用振動腕に設けられた検出電極に電気的に接続された調整用電極を有する調整用振動腕と、駆動電極が設けられた駆動用振動腕とが隣接せずに離れて配置されるので、駆動信号と検出信号が結合することにより起こり得る検出感度の劣化を抑えることができる。
〔適用例7〕上記適用例にかかる振動片において、前記第2振動腕の先端部には、前記調整部が設けられた幅広部が備えられたことを特徴とする。
この構成によれば、第2振動腕の長さの増大を抑えながら漏れ振動の抑制効果を向上させることができるとともに、漏れ振動を抑制するための調整範囲が広くとれるので、より小型で高感度な特性を有する振動片を提供することができる。
〔適用例8〕上記適用例にかかる振動片において、前記第2振動腕の長さが、前記第1振動腕の長さよりも短いことを特徴とする。
この構成によれば、漏れ出力を調整するための第2振動腕の振動が、第1振動腕(駆動用振動腕と検出用振動腕)による振動片の主要な振動を阻害することがないので、振動片の振動特性が安定するとともに、振動片の小型化にも有利である。
〔適用例9〕本適用例にかかるセンサーユニットは、上記適用例にかかる振動片と、前記第1振動腕を励振させる駆動回路と、前記第1振動腕に生じる検出信号を検出する検出回路と、を含む電子部品と、前記振動片および前記電子部品を収容するパッケージと、を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、センサーユニットは、上記適用例のいずれか一例に記載の効果を奏する振動片を備えたセンサーユニットを提供できる。
加えて、上記構成のようなパッケージタイプのセンサーユニットは、小型化・薄型化に有利であるとともに耐衝撃性が高いという特徴を有する。
〔適用例10〕本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれか一項にかかる振動片を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、上記適用例のいずれか一項にかかる漏れ出力を抑制する調整が施された高感度の振動片を備えているので、高機能で安定した特性を有する電子機器を提供することができる。
〔適用例11〕本適用例にかかる振動片の製造方法は、基部と、該基部から延出される第1振動腕および第2振動腕と、を形成する第1ステップと、前記第2振動腕に調整部を形成する第2ステップと、前記第1振動腕の漏れ振動の出力信号を測定する第3ステップと、前記第2振動腕の前記調整部の一部を除去または付加することにより、前記第2振動腕の出力信号を前記漏れ振動の出力信号に対し逆位相となるように調整する第4ステップと、を含むことを特徴とする。
この構成によれば、第2振動腕の調整部の一部を除去、または付加する調整を行うことにより、第1振動腕の検出振動の漏れ出力を打ち消して抑制できることを発明者は見出した。これにより、振動片の外形の一部を加工して漏れ出力の抑制調整を行う従来の方法に比して、小型化に有利であるとともに、精緻な調整が可能となるので、小型で高感度を有する振動片を製造することができる。
〔適用例12〕上記適用例にかかる振動片の製造方法において、さらに前記第2振動腕の周波数を調整するステップを含むことを特徴とする。
この構成によれば、駆動用振動腕が有する共振周波数をfd、調整用振動腕が有する共振周波数をftとしたとき、漏れ出力を補正する前にfdとftとの大小関係を適切に設定できるので、漏れ出力をより精度良く補正することができ、高感度な振動片を製造することができる。
〔適用例13〕本適用例にかかるセンサーユニットの製造方法は、基部と、該基部から延出される第1振動腕および第2振動腕と、を形成する第1ステップと、前記第2振動腕に調整用電極を形成する第2ステップと、前記調整用電極と回路素子を含む検出回路とを接続する第3ステップと、前記第1振動腕の漏れ振動の出力信号と前記第2振動腕の出力信号との間の差動信号を出力する第4ステップと、前記回路素子の定数を変更することにより前記差動信号を補正する第5ステップと、を含むことを特徴とする。
この構成によれば、検出回路の回路素子の回路定数を調整することにより、漏れ出力を低く抑える調整をすることができる。したがって、レーザーなどにより膜体の一部をトリミングしたり、スパッタや蒸着により膜体を付加したりする工程が不要となるので、比較的簡便な工程で漏れ出力が抑制された感度の高いセンサーユニットを製造することができる。
振動片としての振動ジャイロ素子を示す模式平面図。 振動ジャイロ素子の電極配置を一方の主面側から斜視して示す模式斜視図。 振動ジャイロ素子の電極配置を他方の主面側から斜視して示す模式斜視図。 振動ジャイロ素子の変形例1を示す模式平面図。 (a)は、振動ジャイロ素子を搭載したセンサーユニットとしてのジャイロセンサーを上側から俯瞰して説明する概略平面図、(b)は、(a)のA−A線断面図。 ジャイロセンサーの製造方法(第2の実施形態)を示すフローチャート。 (a)〜(c)は、振動ジャイロ素子の第1振動腕のうちの検出用振動腕と、第2振動腕としての調整用振動腕との位相の関係を示す説明図。 (a)〜(c)は、振動ジャイロ素子の第1振動腕のうちの検出用振動腕と、第2振動腕としての調整用振動腕との位相の関係を示す説明図。 第3の実施形態とは異なるジャイロセンサーの製造方法の別の実施形態(第4の実施形態)を説明するブロック図。 振動ジャイロ素子の変形例2を示す模式平面図。 振動ジャイロ素子の変形例3を説明する模式平面図。 上記実施形態及び変形例の振動片(振動ジャイロ素子)、または、センサーユニット(ジャイロセンサー)を搭載した電子機器の一実施形態(第5の実施形態)を模式的に示すものであり、(a)は、デジタルビデオカメラの斜視図、(b)は、携帯電話機の斜視図、(c)は、情報携帯端末(PDA)の斜視図。
以下、本発明の振動片、および、それを備えたセンサーユニットの一実施形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
〔振動ジャイロ素子〕
まず、本発明の振動片を振動ジャイロ素子に具体化した実施形態について説明する。図1は、振動片としての振動ジャイロ素子の一実施形態を示す模式平面図である。
図1に示すように、振動片としての振動ジャイロ素子1は、基材(主要部分を構成する材料)を加工することにより一体に形成された基部21と、第1振動腕としての駆動用振動腕22a,22bおよび検出用振動腕23a,23bと、第2振動腕としての調整用振動腕25a,25bとを有している。
本実施形態の振動ジャイロ素子1は、基材として圧電体材料である水晶を用いた例を説明する。水晶は、電気軸と呼ばれるX軸、機械軸と呼ばれるY軸及び光学軸と呼ばれるZ軸を有している。本実施形態では、水晶結晶軸において直交するX軸及びY軸で規定される平面に沿って切り出されて平板状に加工され、平面と直交するZ軸方向に所定の厚みを有した所謂水晶Z板を基材として用いた例を説明する。なお、ここでいう所定の厚みは、発振周波数(共振周波数)、外形サイズ、加工性などにより適宜設定される。
また、振動ジャイロ素子1を成す平板は、水晶からの切り出し角度の誤差を、X軸、Y軸及びZ軸の各々につき多少の範囲で許容できる。例えば、X軸を中心に0度から2度の範囲で回転して切り出したものを使用することができる。Y軸及びZ軸についても同様である。
振動ジャイロ素子1は、中心部分に位置する略矩形状の基部21と、基部21のY軸方向の端部のうち一方の端部(図中+Y方向)からY軸に沿って並行させて延伸された一対の第1振動腕としての駆動用振動腕22a,22bと、基部21の他方の端部(図中−Y方向)からY軸に沿って並行させて延伸された一対の第1振動腕としての検出用振動腕23a,23bと、を有している。このように、基部21の両端部から、一対の駆動用振動腕22a,22bと、一対の検出用振動腕23a,23bとが、それぞれ同軸方向に延伸された形状から、振動ジャイロ素子1は、H型振動片(H型振動ジャイロ素子)と呼ばれることがある。H型の振動ジャイロ素子1は、駆動用振動腕22a,22bと検出用振動腕23a,23bとが、基部21の同一軸方向の両端部からそれぞれ延伸されているので、駆動系と検出系が分離されることから、駆動系と検出系の電極間あるいは配線間の静電結合が低減され、検出感度が安定するという特徴を有する。なお、本実施形態ではH型振動片を例に駆動用振動腕および検出用振動腕を各々2本ずつ設けているが、振動腕の本数は1本であっても3本以上であっても良い。また、1本の振動腕に駆動電極と検出電極を形成しても良い。
また、振動ジャイロ素子1は、水晶の結晶X軸(電気軸)と交差する方向に延出された一対の第2振動腕として調整用振動腕25a,25bを有している。本実施形態の振動ジャイロ素子1において、調整用振動腕25a,25bは、基部21の駆動用振動腕22a,22bおよび検出用振動腕23a,23bと直交する方向(X軸方向)の両端部からX軸に沿ってそれぞれ延伸された一対の連結腕24a,24bの先端部から、駆動用振動腕22a,22bと並行させて設けられている。即ち、調整用振動腕25a,25bは、連結腕24a,25aの先端部から、Y軸に沿って(+Y方向に)延伸されている。
第2振動腕としての調整用振動腕25a,25bは、第1振動腕としての駆動用振動腕22a,22bおよび検出用振動腕23a,23bよりも全長が小さく形成されている。これにより、漏れ出力を調整するための調整用振動腕25a,25bの振動が、第1振動腕(駆動用振動腕と検出用振動腕)による振動ジャイロ素子1の主要な振動を阻害することがないので、振動ジャイロ素子1の振動特性が安定するとともに、振動ジャイロ素子1の小型化にも有利となる。
基部21の中央は、振動ジャイロ素子1の重心位置としての重心であることができる。X軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交し、重心を通るものとする。振動ジャイロ素子1の外形は、重心を通るY軸方向の仮想の中心線に対して線対称であることができる。これにより、振動ジャイロ素子1の外形はバランスのよいものとなり、振動ジャイロ素子の特性が安定して検出感度が向上するので好ましい。
このような振動ジャイロ素子1の外形形状は、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチング(ウエットエッチングまたはドライエッチング)により形成することができる。なお、振動ジャイロ素子1は、1枚の水晶ウエハーから複数個取りすることが可能である。
次に、振動ジャイロ素子1の電極配置の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図2は、振動ジャイロ素子の電極配置を一方の主面側から斜視して示す模式斜視図、図3は、振動ジャイロ素子の電極配置を他方の主面側から斜視して示す模式斜視図である。
なお、図2および図3では、本実施形態の電極配置において特徴的な検出用振動腕23a,23bと調整用振動腕25a,25bとの電極の接続関係を主に説明しており、駆動用振動腕22a,22bに設けられる駆動系の電極(駆動電極)の接続関係は従来の振動ジャイロ素子の駆動系の電極の接続関係と同様であるため、図示を省略している。
まず、駆動用振動腕22a,22bに設けられた電極について説明する。
図2において、振動ジャイロ素子1の基部21の一端部から並行させて延伸された一対の駆動用振動腕22a,22bの両主面のうちの一方の主面には、駆動電圧を印加するための駆動用の電極である駆動電極32a,33aが設けられている。また、各駆動用振動腕22a,22bの両側面のうちの一方の側面には、駆動電極34b,35bがそれぞれ設けられている。
また、図3に示すように、各駆動用振動腕22a,22bの上記一方の主面と対向する他方の主面には、駆動電極32b,33bがそれぞれ設けられている。また、各駆動用振動腕22a,22bの上記一方の側面と対向する他方の側面には、駆動電極34a,35aがそれぞれ設けられている。
各駆動用振動腕22a,22bの両主面および両側面に設けられた駆動電極32a,32b,33a,33b、および、駆動電極34a,34b,35a,35bは、対向する両主面(表面と裏面)、および、それら両主面を接続して対向する両側面(内側面と外側面)がそれぞれ同電位となるように、対応する電極同士が図示しない接続配線により接続されている。本実施形態では、一方の駆動用振動腕22aにおいて、両主面に設けられた駆動電極32aと駆動電極32bが同電位であり、両側面に設けられた駆動電極34aと駆動電極34bとが同電位であり、また、他方の駆動用振動腕22bにおいては、両主面に設けられた駆動電極33aと駆動電極33bとが同電位であり、両側面に設けられた駆動電極35aと駆動電極35bとが同電位の電極になっている。ここで、各駆動用振動腕22a,22bにおいて同電位の対向する駆動電極のうち一方、例えば、駆動用振動腕22aの両主面に設けられた駆動電極32a,32bと、駆動用振動腕22bの両側面に設けられた駆動電極35a,35bがグランド電極となっている。
次に、検出用振動腕23a,23bに設けられた電極について説明する。
図2において、振動ジャイロ素子1の基部21の他端部から並行させて延伸された一対の検出用振動腕23a,23bの両側面のうちの一方の側面には、振動により発生した基材(水晶)の歪を検出するための検出用の電極である検出電極36a,38a、および、検出電極37a,39aが設けられている。具体的には、一対の検出用振動腕23a,23bのうち、検出用振動腕23aの両側面のうち一方の側面において、検出用振動腕23aの延伸方向に沿った両端部近傍に、互いに電位の異なる一対の検出電極36a,38aが設けられ、検出用振動腕23bの一方の側面において、検出用振動腕23bの延伸方向に沿った両端部近傍に、互いに電位の異なる一対の検出電極37a,39aが設けられている。
また、図3に示すように、各検出用振動腕23a,23bの上記一方の側面と対向する他方の側面には、検出電極37b,39b、および、検出電極36b,38bが設けられている。具体的には、一対の検出用振動腕23a,23bのうち、検出用振動腕23aの他方の側面において、検出用振動腕23aの延伸方向に沿った両端部近傍に、互いに電位の異なる一対の検出電極36b,38bが設けられ、検出用振動腕23bの他方の側面において、検出用振動腕23bの延伸方向に沿った両端部近傍に、互いに電位の異なる一対の検出電極37b,39bが設けられている。
また、各検出用振動腕23a,23bの両側面で対向する検出電極どうしは同電位となっている。即ち、検出用振動腕23aの両側面において、対向する検出電極36aと検出電極36bとが同電位であるとともに、対向する検出電極38aと検出電極38bとが同電位であり、また、検出用振動腕23bの両側面において、対向する検出電極37aと37bとが同電位であるとともに、対向する検出電極39aと検出電極39bとが同電位になっている。ここで、各検出用振動腕23a,23bにおいて同電位の対向する検出電極のうち一方、例えば、検出用振動腕23aの両側面に対向させて設けられた検出電極38a,38bと、検出用振動腕23bの両側面に対向させて設けられた検出電極39a,39bが、グランド電極となっている。
次に、調整用振動腕25a,25bに設けられた調整部としての電極(膜体)について説明する。
図2において、振動ジャイロ素子1の基部21の一端部および他端部と直交する方向の両端部からそれぞれ延伸された一対の連結腕24a,24bの先端から、駆動用振動腕22a,22bと並行させて延伸された一対の調整用振動腕25a,25bの両主面のうちの一方の主面には、調整部としての調整用電極45a,46aがそれぞれ設けられている。また、各調整用振動腕25a,25bの両側面のうちの一方の側面には、調整部としての調整用電極47a,48aがそれぞれ設けられている。
また、図3に示すように、各調整用振動腕25a,25bの上記一方の主面と対向する他方の主面には、調整部としての調整用電極45b,46bがそれぞれ設けられている。また、各調整用振動腕25a,25bの上記一方の側面と対向する他方の側面には、調整部としての調整用電極47b,48bがそれぞれ設けられている。
本実施形態では、検出用振動腕23a,23bの検出電極と、調整用振動腕25a,25bの対応する調整用電極とが、電気的に接続されている。
具体的には、図2および図3に示すように、検出用振動腕23aの検出電極36aと調整用振動腕25aの調整用電極45aとが電極間配線41aを介して接続され、検出電極38aと調整用電極47aとが電極間配線43aを介して接続され、検出電極36bと調整用電極45bとが電極間配線41bを介して接続され、検出電極38bと調整用電極47bとが電極間配線43bを介して接続されている。
また、検出用振動腕23bの検出電極37aと調整用振動腕25bの調整用電極46aとが電極間配線42aを介して接続され、検出電極39aと調整用電極48aとが電極間配線44aを介して接続され、検出電極37bと調整用電極46bとが電極間配線42bを介して接続され、検出電極39bと調整用電極48bとが電極間配線44bを介して接続されている。
上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1によれば、基部21のY軸方向の両端部からY軸に沿った方向に、一対の駆動用振動腕22a,22bと、一対の検出用振動腕23a,23bが並行させて延伸されたH型振動片の構成に加えて、基部21のX軸方向の両端部からX軸方向に沿って延伸された一対の連結腕24a,24bそれぞれの先端から、水晶X軸と交差する方向(本実施形態ではY軸方向に沿った方向)に延伸された第2振動腕としての調整用振動腕25a,25bが設けられている。そして、調整用振動腕25a,25bの両主面および両側面には、検出用振動腕23a,23bに設けられた対応する検出電極と電気的に接続された膜体としての調整用電極45a,45b,46a,46b,47a,47b,48a,48bを設けた。
このような構成の振動ジャイロ素子1によれば、駆動用振動腕22a,22bに所定の励振信号を印加して振動させた状態で、振動ジャイロ素子1に角速度が加わったときに、検出用振動腕23a,23bがコリオリ力による振動を呈するのに伴って調整用振動腕25a,25bが励振され、その調整用振動腕25a,25bに設けた膜体(本実施形態では調整用電極)の重さを増減させたり、膜体としての調整用電極の体積を増減させて電荷量を変化させることにより、検出用振動腕23a,23bの望まない漏れ出力を抑制できることを発明者は見出した。
したがって、例えば、振動ジャイロ素子1の基材である水晶のエッチング異方性や、製造ばらつきなどにより、駆動用振動腕22a,22bや検出用振動腕23a,23bの断面形状が望まない形状となった場合に起こり得る漏れ出力に起因する検出感度の低下を抑制することができるので、感度の高い振動片としての振動ジャイロ素子を提供することができる。
(変形例1)
上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1において、調整用振動腕25a,25bは、先端部に質量を付加する形状変化を加えることにより、振動ジャイロ素子の高感度化に寄与する効果をさらに向上させることができる。
図4は、第2振動腕としての調整用振動腕の先端に幅広部を設けた振動片としての振動ジャイロ素子の変形例を示す模式平面図である。なお、図4において、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
図4において、本変形例の振動ジャイロ素子11は、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1と同一構成の基部21と、基部21のY軸方向の両端部からそれぞれ延伸された一対の駆動用振動腕22a,22b、および、一対の検出用振動腕23a,23bを有している。また、基部21のX軸方向の両端部からそれぞれ延伸された連結部24a,24b各々の先端部から、駆動用振動腕22a,22bと並行させて延伸された調整用振動腕125a,125bが設けられている。
各調整用振動腕125a,125bの主面には、振動ジャイロ素子11の漏れ出力を調整するための膜体としての調整用電極145a,145bがそれぞれ設けられている。なお、図示を省略したが、調整用電極は、上記実施形態の振動ジャイロ素子1と同様に、各調整用振動腕の両主面、および、両側面に設けることができる。
各調整用振動腕125a,125bの先端側には、他の部分より幅が大きい(X軸方向の長さが大きい)略矩形状の幅広部としての錘部127a,127bを有している。その各錘部127a,127bの表面には、膜体149a,149bが設けられている。なお、図示を省略したが、膜体は、調整用振動腕125a,125bの錘部127a,127bの両主面、および、両側面に設けることができる。
また、膜体149a,149bは、他の電極と同じ金属材料により形成してもよいし、不導体材料により形成してもよい。他の電極と同じ金属材料により膜体149a,149bを形成することにより、他の電極と同時に効率よく製造することができる。また、不導体材料により膜体149a,149bを形成することによれば、膜体形成材料の選択肢が広がる点で有利となるが、膜体形成材料としては、なるべく密度の高い(比重が大きい)材料を用いることが好ましい。
変形例1の振動ジャイロ素子11によれば、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1で説明した第2振動腕としての調整用振動腕25a,25bと同様に漏れ振動の抑制効果を奏する調整用振動腕125a,125bを備えていて、さらに、各調整用振動腕125a,125bの先端側に幅広部としての錘部127a,127bを有している。これにより、調整用振動腕の長さの増大を抑えながら漏れ振動の抑制効果を向上させることができるとともに、漏れ振動を抑制するための調整範囲が広くとれるので、漏れ振動抑制のための精緻な調整が可能となり、より感度の高い振動ジャイロ素子11を提供することができる。
(第2の実施形態)
〔ジャイロセンサー〕
次に、上記振動ジャイロ素子を備えたセンサーユニットとしてのジャイロセンサーについて、図面を参照しながら説明する。
図5は、ジャイロセンサーの一実施形態を説明するものであり、(a)は上側からみた概略平面図、(b)は(a)のA−A線断面を示す概略断面図である。
なお、図5(a)では、ジャイロセンサーの内部の構造を説明する便宜上、ジャイロセンサーの上方に設けられた蓋体としてのリッド70を取り外した状態を図示している。また、本実施形態のジャイロセンサー50の構成では、振動片として、上記変形例1の幅広部としての錘部127a,127bを有する第2振動腕としての調整用振動腕125a,125bを備えた振動ジャイロ素子11を搭載した例を説明する。
ジャイロセンサー50は、図5に示すように、凹部を有するパッケージ60と、そのパッケージ60の開口部を閉鎖する蓋体としてのリッド70と、パッケージ60内に中継基板80を介して接合された振動ジャイロ素子11、および、電子部品としてのICチップ90と、を有している。
パッケージ60は、例えば、平板状の第1層基板61上に、開口部の大きさが異なる矩形環状の第2層基板62、第3層基板63、および第4層基板64をこの順に重ねて設けることにより段差や突起部を有する凹部が形成され、該凹部内に振動ジャイロ素子11およびICチップ90を収容することが可能になっている。パッケージ60の材質としては、例えば、セラミック、ガラスなどを用いることができる。
パッケージ60の凹部の凹底部分となる第1層基板61上には、ICチップ90が配置されるダイパッド65が設けられている。また、パッケージ60の外底面となる第1層基板61のダイパッド65が設けられた面と異なる面には、外部基板との接合に供する外部実装端子68が設けられている。
パッケージ60の凹部において、第2層基板62によりダイパッド65を囲むように形成される段差上には、ICチップ90の能動面(図5(b)において上方の面)に設けられた複数の電極パッド(図示せず)と対応して接合される複数のIC接続端子66が設けられている。
また、複数のIC接続端子66が設けられた第2層基板62上に、第3層基板63によりIC接続端子66を囲むように形成される段差上には、振動ジャイロ素子11が中継基板80を介して接合される振動片接続端子67が設けられている。
パッケージ60に設けられた上記の各種端子は、対応する端子どうしが、図示しない引き回し配線やスルーホールなどの層内配線により接続されている。
ICチップ90は、振動ジャイロ素子11を駆動振動させるための励振手段としての駆動回路と、角速度が加わったときに振動ジャイロ素子11に生じる検出振動を検出する検出手段としての検出回路と、を有する。具体的には、ICチップ90が有する駆動回路は、振動ジャイロ素子11の一対の駆動用振動腕22a,22bにそれぞれ形成された駆動電極33a,33bおよび駆動電極34a,34b(図2,図3を参照)に駆動信号を供給する。また、ICチップ90が有する検出回路は、振動ジャイロ素子11の一対の検出用振動腕23a,23bにそれぞれ形成された検出電極36a,36bおよび検出電極37a,37bに生じる検出信号を増幅させて増幅信号を生成し、該増幅信号に基づいてジャイロセンサー50に加わった回転角速度を検出する。
ICチップ90は、パッケージ60の凹部の凹底部分に設けられたダイパッド65上に、例えばろう材(ダイアタッチ材)99によって接着・固定されている。また、本実施形態では、ICチップ90とパッケージ60とが、ワイヤーボンディング法を用いて電気的に接続されている。すなわち、ICチップ90に設けられた複数の電極パッドと、パッケージ60の対応するIC接続端子66とが、ボンディングワイヤー49により接続されている。
パッケージ60の凹部内において、ICチップ90の上方には、中継基板80を介して振動ジャイロ素子11が接合されている。
中継基板80は、パッケージ60の凹部内に振動ジャイロ素子11を支持する複雑な支持構造を形成することなく、振動ジャイロ素子11を所定の弾性を持たせながら支持するとともに、振動ジャイロ素子11とパッケージ60との電気的な接続を中継するための配線基板である。本実施形態の中継基板80は、振動ジャイロ素子11の支持部分が配置される基部21が配置される領域に設けられた開口部(デバイス穴)82を有する絶縁性の基材と、基材の一方の主面に設けられた複数の電極リード85と、対応する電極リード85と基材の層内配線などにより電気的に接続された接続電極86と、を有している。複数の電極リード85は、一端側が基材上に設けられ、他端側が基材の開口部82の中央に向かってオーバーハングされた状態で延出されている。
各電極リード85の開口部82においてオーバーハングされている部分は、基材上から開口部82の中央に向かう途中で一旦斜め上方(リッド70側)に屈曲してから、再び開口部82の中央に向かって水平に折り曲げられている。この各電極リード85の他端側(先端部)は、振動ジャイロ素子11の基部21に設けられた外部接続端子(図示せず)と対応する位置に配置され、振動ジャイロ素子11の電気的な接続、および、機械的な接合に供する。
中継基板80には、例えば、従来から知られるTAB(Tape Automated Bonding)実装用のTAB基板を用いることができる。フープ状の絶縁性基材に多数の中継基板80が等間隔で形成されるTAB基板を用いることにより、中継基板80の製造から振動ジャイロ素子11の実装までを連続して効率よく行うことができる。
なお、中継基板80は、本実施形態で説明したTAB基板に限らず、例えば、リードフレームなどにより形成する構成とすることもできる。
中継基板80への振動ジャイロ素子11の接合は、電極リード85の表面に、例えば、すず(Sn)や金(Au)などの接合用の金属層をめっきなどにより予め形成しておき、さらに、振動ジャイロ素子11の基部21に設けられた図示しない外部接続電極にも接合用の金属層を形成しておき、それら各電極リード85と、対応する外部接続電極とを位置合わせして、加熱および加圧することによって金属共晶、あるいは金属接合する方法により行うことができる。この他の接合方法としては、金属バンプや導電性接着剤などの接合部材を介して接合する方法(フリップチップ接合)などを適用することができる。
中継基板80の開口部82にオーバーハングした状態で延出され、複数の電極リード85を介して接合された振動ジャイロ素子11は、フォーミングされた電極リード85の弾性により柔軟に支持される。これにより、ジャイロセンサー50に落下などによる衝撃が加わったときに、電極リード85によって衝撃が緩和され、振動ジャイロ素子11が破損するなどの不具合を回避できるので、ジャイロセンサー50の耐衝撃性を向上させる効果を奏する。
振動ジャイロ素子11が接合された中継基板80は、パッケージ60の凹部内において、ICチップ90の上方に接合される。具体的には、中継基板80の振動ジャイロ素子11に接続された複数の電極リード85と電気的に接続され、中継基板80の振動ジャイロ素子11が接合された面とは異なる面に設けられた接続電極86が、パッケージ60の第3層基板63により形成された段差上に設けられた振動片接続端子67に位置合わせされ、例えば導電性接着剤などの接合部材59により電気的な接続を図りながら接合・固定されている。
なお、本実施形態では、中継基板80を介して振動ジャイロ素子11をパッケージ60内に接合する形態を説明したが、これに限らず、振動ジャイロ素子11の振動漏れなどが起こらない支持構造であればよい。例えば、パッケージ60の凹部内に、接続端子を有する支持部を設け、この支持部に振動ジャイロ素子11を接合・支持する支持構造を形成する構成としてもよい。
ICチップ90および振動ジャイロ素子11が接合されたパッケージ60上には、蓋体としてのリッド70が配置され、パッケージ60の開口を封止している。リッド70の材質としては、例えば、42アロイ(鉄にニッケルが42%含有された合金)やコバール(鉄、ニッケルおよびコバルトの合金)等の金属、セラミックス、あるいはガラスなどを用いることができる。例えば、金属からなるリッド70は、コバール合金などを矩形環状に型抜きして形成されたシールリング69を介してシーム溶接することによりパッケージ60と接合される。パッケージ60およびリッド70によって形成される凹部空間は、振動ジャイロ素子11が動作するための空間となる。
上記凹部空間は、減圧空間または不活性ガス雰囲気に密閉・封止することができる(詳細は後述する)。
上記構成のジャイロセンサー50によれば、上記第1の実施形態で説明した振動ジャイロ素子1の第2振動腕としての調整用振動腕25a,25b(図1〜3を参照)の効果に加え、さらに、先端側に幅広部としての錘部127a,127bを有する調整用振動腕125a,125bを有する振動ジャイロ素子11を備えている。これにより、漏れ出力を抑える調整が可能となることから、検出感度の高いセンサーユニットとしてのジャイロセンサーを提供することができる。
(第3の実施形態)
〔ジャイロ素子、ジャイロセンサーの製造方法〕
次に、上記第2の実施形態のセンサーユニットとしてのジャイロセンサーの製造方法の一実施形態を例にジャイロ素子およびジャイロセンサーの製造方法を説明する。
図6は、センサーユニットとしてのジャイロセンサーの製造方法の一例を説明するフローチャートである。また、図7および図8は、センサーユニットの製造方法の漏れ出力抑制調整ステップにおいて、振動ジャイロ素子の第1振動腕のうちの検出用振動腕と、第2振動腕としての調整用振動腕との位相の関係の一例をそれぞれ示す説明図である。
図6において、ジャイロセンサー50の製造工程では、まず、図5に示すパッケージ60を用意し、ステップS1に示すように、パッケージ60の凹部の凹底部分に設けられたダイパッド65にICチップ90をダイボンディングする。具体的には、ダイパッド65上にダイアタッチ材(図示せず)を適量塗布してから、ICチップ90を位置合わせして載置(仮止め)する。次に、ステップS2に示すように、所定の温度および時間の加熱を施してダイアタッチ材を固化させるダイアタッチ材の乾燥を行なう乾燥1ステップにより、ダイパッド65上にICチップ90を接着・固定する。
次に、ステップS3に示すように、ワイヤーボンディング法により、ICチップ90とパッケージ60との接続をはかるワイヤーボンディングを行う。
ICチップ90とパッケージ60の接続は、図5において、パッケージ60の第2層基板62上に配設された複数のIC接続端子66と、対応するICチップ90の電極パッド(不図示)とをボンディングワイヤー49により接続する。
次に、ステップS4に示すように、振動片としての振動ジャイロ素子11をパッケージ60の凹部内のICチップ90の上方にマウントする。例えば、上記第2の実施形態で説明したように、振動ジャイロ素子11は中継基板80を介してパッケージ60に接合することができる。この場合、まず、中継基板80に振動ジャイロ素子11を接合する。中継基板80への振動ジャイロ素子11の接合は、電極リード85の表面に予めすずや金などの接合用の金属層をめっきなどにより予め形成しておき、さらに、振動ジャイロ素子11の基部21に設けられた図示しない外部接続電極にも接合用の金属層を形成しておき、各電極リード85と、対応する外部接続電極とを位置合わせして、加熱および加圧することによって金属共晶、あるいは金属接合する方法により行うことができる。そして、振動ジャイロ素子11が接合された中継基板80の、振動ジャイロ素子11に接続された複数の電極リード85と電気的に接続され、中継基板80の振動ジャイロ素子11が接合された面とは異なる面に設けられた接続電極86と、パッケージ60の第3層基板63により形成された段差上に設けられた振動片接続端子67とを位置合わせして、例えば導電性接着剤などの接合部材59により仮止めする。その後、接合部材59を固化させて、振動ジャイロ素子11が接合された中継基板80を、パッケージ60内に電気的な接続を図りながら接合・固定する。なお、接合部材59の固化は、接合部材59が熱硬化性のものである場合は、ステップS5に示すように、所定の温度と時間の加熱を施す乾燥2のステップにより行うことができる。
なお、例えば、接合部材59が紫外線硬化タイプのものであれば、接合部材59に所定の強度の紫外線を所定時間照射することにより固化させて振動ジャイロ素子11が接合された中継基板80の接着・固定を行うことができるなど、接合部材59の硬化タイプによって、その方法を選択することができる。
次に、ステップS6に示すように、パッケージ60にICチップ90とともに接合された振動ジャイロ素子11の漏れ出力の抑制調整を行う。
まず、振動ジャイロ素子11の漏れ出力の抑制調整方法の原理について説明する。
振動ジャイロ素子11(図4を参照)のように、基部21のY軸方向の両端部からそれぞれ延伸する駆動用振動腕22a,22bおよび検出用振動腕23a,23bを有するH型振動片に、基部21のX軸方向の両端部からX軸方向に沿って延伸された連結部24a,24bそれぞれの先端部から、Y軸方向に沿って延伸された調整用振動腕125a,125bを備えた構成において、漏れ出力の振動方向が各振動腕のエッチング加工ばらつきによる仕上がり形状によって決まり、それに応じて漏れ出力を抑制する調整を行うことが有効であることを発明者は見出した。
具体的には、振動ジャイロ素子11が、駆動時に図7(a)に示すような動きをしているときには、駆動用振動腕22a,22bの出力波形DS、検出用振動腕23a,23bそれぞれの漏れ出力の出力波形S1モレ,S2モレが、図7(b)に示すような波形を呈する。このような漏れ出力を打ち消すためには、各調整用振動腕125a,125bの位相を、図7(c)に示す位相T1,T2のようにする必要がある。そのためには、駆動用振動腕22a,22bと、調整用振動腕125a,125bとを逆相にする必要がある。
また、振動ジャイロ素子11が、駆動時に図8(a)に示すような動きをしているときには、駆動用振動腕22a,22bの出力波形DS、検出用振動腕23a,23bそれぞれの漏れ出力の出力波形S1モレ,S2モレが、図8(b)に示すような波形を呈する。このような漏れ出力を打ち消すためには、各調整用振動腕125a,125bの位相を、図8(c)に示す位相T1,T2のようにする必要がある。そのためには、駆動用振動腕22a,22bと、調整用振動腕125a,125bとを同相にする必要がある。
このような漏れ出力の振動方向は、上記したように、各振動腕の加工ばらつきによる仕上がり形状によって変わる。例えば、断面矩形状の振動腕を設計した場合でも、基材である水晶のエッチング異方性によって、断面が平行四辺形状となったり、台形状となったり、あるいは菱形状となったりして、漏れ出力の振動方向に影響を及ぼす。
ここで、駆動用振動腕22a,22bが有する共振周波数をfd、調整用振動腕125a,125bが有する共振周波数をftとしたとき、fdとftとの関係に応じて、駆動用振動腕22a,22bの位相と調整用振動腕125a,125bの位相とが、同相、または逆相となる関係が次のように成り立つことを発明者は見出した。すなわち、fd<ftのとき、駆動用振動腕22a,22bの位相と調整用振動腕125a,125bの位相とが逆相となり、fd>ftのとき、駆動用振動腕22a,22bの位相と調整用振動腕125a,125bの位相とが同相となることを、発明者は確認した。
次に、上記した各種振動腕の関係を踏まえた振動ジャイロ素子11の漏れ出力抑制調整方法の一例を説明する。
まず、調整用振動腕125a,125bに設けられた膜体の一部を除去、または付加したり、調整用振動腕125a,125bの基板を削るなどをして、調整用振動腕125a,125bの質量を減少または増加させることにより、共振周波数を変化させて、駆動用振動腕22a,22bの共振周波数fdと調整用振動腕125a,125bの共振周波数ftとの関係を適切な関係に調整する。具体的には、調整用振動腕125a,125bの先端部に設けられた幅広部としての錘部127a,127bの膜体149a,149bを、例えば、レーザーを照射することによりトリミングするか、または、蒸着やスパッタリングにより膜体149a,149bと同種または異種の膜体を付加して錘部127a,127bの質量を減少あるいは増加させることにより、共振周波数を変化させて、fdとftとの位相の関係を所望の関係(fd<ft、または、fd>ft)に調整する位相調整を行う。
上記位相調整を行った後で、次に、漏れ出力の抑制調整を行う。具体的には、調整用振動腕125a,125bに設けられた調整用電極145a,145bの一部を例えばレーザー照射することによって除去するか、または、蒸着やスパッタリングなどにより電極用金属を付加して、電荷量を減少、または増加させることにより、漏れ出力の影響を最小に抑制する。なお、この場合、調整用振動腕125a,125bの調整用電極145a,145bと、検出用振動腕23a,23bの検出電極(不図示)は、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1と同様に電気的に接続されていることが望ましい。
なお、図4では図示を省略したが、振動ジャイロ素子11の各種電極の構成は、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1の電極構成に準じることができる。
以上、述べたように、本実施形態の漏れ出力抑制調整ステップでは、まず、駆動用振動腕22a,22bの共振周波数fdと、調整用振動腕125a,125bの共振周波数ftとを適切な関係に調整した後に、調整用振動腕125a,125bの調整用電極145a,145bの一部を除去、または付加して電荷量を変化させることにより、漏れ出力を微調整する。
なお、例えば、調整用振動腕に幅広部としての錘部がない構成の振動ジャイロ素子の場合には、上記したような2段階の漏れ出力抑制調整ではなく、調整用振動腕に設けられた調整用電極などの膜体の一部を除去、または付加することによって漏れ出力調整を行うことができる。
漏れ出力の抑制調整を施した後には、次に、ステップS7に示すように、パッケージ60にICチップ90とともに接合された振動ジャイロ素子11の周波数の微調整を行う。周波数調整は、振動ジャイロ素子11の電極の一部をレーザートリミングにより除去して質量を減少させることによる方法や、蒸着やスパッタリングなど振動ジャイロ素子11に質量を付加させることによる方法、あるいは、ICチップ90のデータの書き換えによる方法などにより行うことができる。
次に、ステップS8に示すように、パッケージ60の上側に、例えば金属製の蓋体としてのリッド70を、例えば鉄−ニッケル合金等からなるシールリング69を介してシーム溶接することにより接合し、振動ジャイロ素子11およびICチップ90が収容されたパッケージ60を封止する。
また、別のリッド70接合方法としては、リッド70をはんだ等の金属ろう材を介してパッケージ60上に接合したり、または、ガラス製のリッド70を用いて、低融点ガラス等でパッケージ60上に接合することもできる。
この封止工程では、必要に応じて、パッケージ60とリッド70とにより形成されるキャビティーを減圧空間、または不活性ガス雰囲気にして密閉・封止することができる。例えば、キャビティー内を減圧空間にして密閉封止する場合には、パッケージ60の図示しない封止孔に固形の封止材を配置させた状態で真空チャンバー内に入れ、所定の真空度まで減圧させてジャイロセンサーの内側から出るガスを封止孔から排出させた後、固形の封止材を溶融してから固化させることにより封止孔を閉塞させて封止する。封止材の材料としては、完成したジャイロセンサー50を外部実装基板に実装する際のリフロー温度よりも高い温度を融点として有したものが望ましく、例えば、金と錫(Sn)との合金、あるいは、金とゲルマニウム(Ge)との合金などを用いることができる。これにより、パッケージ60の凹部内に接合された振動ジャイロ素子11及びICチップ90を気密封止することができる。
次に、ステップS9に示すように、封止された状態のジャイロセンサーを、所定温度のオーブンに所定時間投入するベーキングを行う。
そして、ステップS10に示すように、電気特性検査や外観検査などの特性検査を行って、規格外の不良品を取り除き、一連のジャイロセンサーの製造工程が終了する。
上記第3の実施形態の製造方法によれば、振動ジャイロ素子11に設けられて第2振動腕としての調整用振動腕125a,125bの膜体としての調整用電極145a,145b、あるいは膜体149a,149bの一部を除去、または付加することによって漏れ出力抑制のための調整を行っている。これにより、漏れ出力の影響による検出感度の低下を抑制することができるので、高感度を有するセンサーユニットとしてのジャイロセンサーを提供することができる。
(第4の実施形態)
次に、上記第3の実施形態の製造方法とは異なる、ジャイロセンサーの製造方法の別の実施形態について説明する。
図9は、ジャイロセンサーの別の実施形態(第4の実施形態)を模式的に示すブロック図である。
図9において、S1は、第1振動腕としての検出用振動腕の一側面に設けられた一対の検出電極(図2および図3を参照)のうちの一方の検出電極からの出力を指し、T1は、第2振動腕としての調整用振動腕の一側面に設けられた一対の調整用電極のうち、上記検出電極の出力S1と対応する調整用電極の出力を指し、ST1は、他方の検出電極S2の出力と、他方の調整用電極T2の出力との作動をとった出力信号を指す。
なお、本実施形態のジャイロセンサーの製造方法において、振動ジャイロ素子の漏れ出力の抑制調整工程以外の工程は、上記第3の実施形態と同じであるため説明を省略する。
図示しない自励発振回路から振動ジャイロ素子の駆動電極に駆動信号を印加して、振動ジャイロ素子の駆動用振動腕の屈曲振動モードを励振する。
一方の検出電極の出力S1には、オペアンプA1、抵抗器R1、およびキャパシタC1で構成される電流検出回路が接続されている。
これにより、検出電極からの出力S1の電位は、オペアンプA1の仮想接地によって基準電位に固定される。この結果、S1を出力する検出電極は、屈曲振動モードを励振する振動ジャイロ素子に加わった角速度に応じた検出用振動腕の検出信号を検出する。
また、一方の調整用電極の出力T1には、オペアンプA2、抵抗R2、およびキャパシタC2で構成される電流検出回路が接続されている。この電流検出回路において、抵抗R2やキャパシタC2などの回路素子の回路定数を変化させることにより、漏れ出力を低く調整することができる。
漏れ出力を低く調整した出力を含めた上記2つの電流検出回路の出力は、抵抗器R3,R4をそれぞれ経て、オペアンプA3および抵抗器R6で構成されるアンプに接続されている。このアンプは、検出電極の出力S1と、調整用電極の出力T1との差動をとるアンプである。
このアンプからの出力と、他方の検出電極の出力S2、および、他方の調整用電極の出力T2との差動をとった出力信号ST1とは、抵抗器R7,R8をそれぞれ経て、オペアンプA4および抵抗器R9で構成されるアンプに接続されている。このアンプは、漏れ出力が低く調整された検出電極の出力S1と出力S2との差動をとるアンプである。このアンプに入力される信号は、励振された振動ジャイロ素子に印加された角速度に比例したコリオリ力によって生じる振動モード成分以外のノイズが軽減されている。そして、このアンプから出力される信号は、ACアンプに接続される。
以上、述べた第4の実施形態の製造方法によれば、ジャイロセンサーを構成する回路のうち、一方の調整用電極からの出力T1に接続された電流検出回路の回路素子の回路定数を調整することにより、オペアンプA3からの出力が低くなるように調整用電極からの出力T1を調整することができる。したがって、レーザーなどにより調整用電極をトリミングしたり、スパッタや蒸着により調整用電極(膜体)を付加する工程が不要となるので、比較的簡便な工程で漏れ出力が抑制された感度の高いジャイロセンサーを製造することができる。
また、本実施形態のジャイロセンサーの製造方法によれば、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1のように、第2振動腕としての調整用振動腕25a,25bに設けた調整用電極と、対応する検出電極とを接続しなくてもよい。これにより、電極構造が複雑にならずに、製造がし易いという効果を奏する。
(変形例2)
上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1では、基部21の一方の軸方向(Y軸方向)の両端部から第1振動腕としての駆動用振動腕22a,22bおよび検出用振動腕23a,23bがそれぞれ並行させて延伸されたH型振動片(振動ジャイロ素子)において、基部21の他方の軸方向(X軸方向)の両端部から延伸された一対の連結腕24a,24bそれぞれの先端部から、第2振動腕としての調整用振動腕25a,25bが駆動用振動腕22a,22b側に並行させて延伸された構成を説明した。これに限らず、第2振動腕は、振動ジャイロ素子の基材として水晶を用いた場合には、水晶の結晶X軸(電気軸)と交差する方向に延びていればよく、例えば、検出用振動腕と並行させて設けてもよい。
図10は、H型振動片としての振動ジャイロ素子において、第2振動腕としての調整用振動腕を、検出用振動腕側に並行させて設けた振動ジャイロ素子の変形例2を示す模式平面図である。なお、本変形例の振動ジャイロ素子は、調整用振動腕の延伸方向以外の構成は、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1と同じであるため、同一符号を付して説明を省略する。
図10に示すように、変形例2の振動ジャイロ素子201は、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1と同一構成のH型振動片であり、基部21と、基部21の一方の軸方向(Y軸方向)の両端部から第1振動腕としての駆動用振動腕22a,22bおよび検出用振動腕23a,23bがそれぞれ並行させて延伸されている。
基部21の他方の軸方向(X軸方向)の両端部からは、一対の連結腕24a,24bがそれぞれ延出され、各連結腕24a,24bの先端部から、検出用振動腕23a,23bの延出方向と並行する方向に第2振動腕としての一対の調整用振動腕175a,175bが延伸されている。
また、図示はしないが、調整用振動腕175a,175bには、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1の調整用振動腕25a,25bと同様に、膜体としての調整用電極が設けられ、検出用振動腕23a,23bに設けられた対応する検出電極(不図示)と電気的に接続されている。
上記変形例2の振動ジャイロ素子201によれば、検出用振動腕23a,23bの漏れ出力を調整する調整用振動腕175a,175bが、駆動用振動腕22a,22b側ではなく、検出用振動腕23a,23b側に並行させて設けられている。このように、検出用振動腕23a,23bに設けられた検出電極に電気的に接続された調整用電極を有する調整用振動腕175a,175bと、駆動電極が設けられた駆動用振動腕22a,22bとが隣接せずに離れて配置されていることにより、駆動信号と検出信号が結合することにより起こり得る検出感度の劣化を抑えることができる。
なお、本変形例の振動ジャイロ素子201において、上記変形例1の振動ジャイロ素子11のように、各検出用振動腕23a,23bの先端部や、各駆動用振動腕22a,22bの先端部に、他の部分よりも幅の広い幅広部としての錘部を設けることにより、小型化を保持しながら角速度の検出感度の向上を図ることができる。
(変形例3)
次に、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1、上記変形例1の振動ジャイロ素子11、および、変形例2の振動ジャイロ素子201の他の振動片の変形例について説明する。
図11は、振動ジャイロ素子の変形例3を説明する模式平面図である。
図11に示すように、本変形例の振動ジャイロ素子211は、中心部分に位置する基部121と、基部121のY軸方向の両端部の中央からY軸に沿って延伸された第1振動腕としての検出用振動腕123a,123bと、検出用振動腕123a,123bと直交するように基部121からX軸に沿って延伸された一対の連結腕124a,124bと、各連結腕124a,124bの先端側から検出用振動腕123a,123bと並行させるようにY軸に沿って延伸された第1振動腕としての各一対の駆動用振動腕122a,122b,122c,122dとが一体に形成されている。
さらに、基部121のY軸方向の両端部のそれぞれからは、X軸と交差する方向に延伸された第2振動腕としての調整用振動腕225a〜225bが設けられている。本変形例では、基部121のY軸方向の両端部の中央からY軸に沿って延伸された一対の検出用振動腕123aおよび検出用振動腕123bのそれぞれを間に挟んだ両側から、Y軸方向に沿って、即ち、検出用振動腕123a、および、検出用振動腕123bのそれぞれと並行させて延伸された調整用振動腕225a,225c、および、調整用振動腕225b,225dが設けられている。
また、図示はしないが、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1と同様に、振動ジャイロ素子211には、検出用振動腕123a,123bに検出電極が形成され、駆動用振動腕122a〜122dには駆動電極が形成され、調整用振動腕225a〜225dには、例えば、対応する検出電極と電気的に接続された調整用電極などの膜体が設けられている。
さらに、基部121の一方の主面(図中奥側の面)には、検出用振動腕123a,123bに設けられた検出電極、および駆動用振動腕122a〜122dに設けられた駆動電極から引き出され、外部との電気的な接続に供する接続電極112が設けられている。
上記変形例3の振動ジャイロ素子211は、その外形形状からダブルT型と呼ばれることのある振動片構造であり、X軸方向の仮想の中心線、および、Y軸方向の仮想の中心線に対して対称形状となっている。これにより、基部121の接続電極112を介して外部基板と電気的な接続を伴う接合を施すことにより、バランスよく支持されることによって検出感度を向上させることができる。しかも、2対の駆動用振動腕122a〜122dの内側の領域内で、且つ、各検出用振動腕123a,123bを間に挟んだ両側に第2振動腕としての調整用振動腕を有しているので、外形サイズを増大させることがないという利点がある。
このような振動ジャイロ素子において、駆動時の左右の駆動腕のバランスの僅かなずれ等によって検出腕がX軸方向に振動し、これが漏れ出力となり感度を劣化させる原因となっていた。この検出腕への漏れ出力を減らすために、従来では駆動腕の錘をレーザー加工してバランスを調整していたが、振動腕の耐久性の劣化の虞があった。これに対し、上記変形例3の振動ジャイロ素子では、調整腕を設け、検出腕に発生した漏れ出力を打ち消す逆位相の出力を、検出腕に直接加えるか、あるいは回路上で加えることで漏れ出力を減らすことができるので、漏れ出力による感度の劣化が抑制された振動ジャイロ素子211を提供することができる。
なお、本変形例の振動ジャイロ素子211においても、上記変形例1の振動ジャイロ素子11と同様に、各検出用振動腕123a,123bの先端部や、各駆動用振動腕122a〜122dの先端部に、他の部分よりも幅の広い幅広部としての錘部を設けることにより、小型化を保持しながら角速度の検出感度の向上を図ることができる。
(第5の実施形態)
〔電子機器〕
上記実施形態および変形例で説明した第2振動腕としての調整用振動腕25a,25b,125a,125b,175a,175b,225a,225b,225c,225dを備えた振動片としての振動ジャイロ素子1,11,201,211、および、それらを備えたセンサーユニットとしてのジャイロセンサー50を搭載した電子機器は、小型化を図りながら、漏れ出力が軽減されることにより感度の向上を図ることが可能である。
例えば、図12(a)は、デジタルビデオカメラへの適用例を示す。デジタルビデオカメラ240は、受像部241、操作部242、音声入力部243、及び表示ユニット1001を備えている。このようなデジタルビデオカメラ240に、上記実施形態の振動ジャイロ素子1,11,201,211や、センサーユニットとしてのジャイロセンサー50を搭載することにより、所謂手ぶれ補正機能を具備させることができる。
また、図12(b)は、電子機器としての携帯電話機、図12(c)は、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)への適用例をそれぞれ示すものである。
まず、図12(b)に示す携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットと1002を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示ユニット1002に表示される画面がスクロールされる。
また、図12(c)に示すPDA4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニット1003を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が表示ユニット1003に表示される。
このような携帯電話機3000やPDA4000に、上記実施形態の振動ジャイロ素子1,11,201,211や、センサーユニットとしてのジャイロセンサー50を搭載することにより、様々な機能を付与することができる。例えば、図12(b)の携帯電話機3000に、図示しないカメラ機能を付与した場合に、上記のデジタルビデオカメラ240と同様に、手振れ補正を行うことができる。また、図12(b)の携帯電話機3000や、図12(c)のPDA4000に、GPS(Global Positioning System)として広く知られる汎地球測位システムを具備した場合に、上記実施形態の振動ジャイロ素子1,11,201,211や、センサーユニットとしてのジャイロセンサー50を搭載することにより、GPSにおいて、携帯電話機3000やPDA4000の位置や姿勢を認識させることができる。
なお、図12に示す電子機器に限らず、本発明の振動片を備えたセンサーユニット(ジャイロセンサー)を適用可能な電子機器として、モバイルコンピューター、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ゲーム機などが挙げられる。
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態および変形例では、振動片としての振動ジャイロ素子形成材料として水晶を用いた例を説明したが、水晶以外の圧電体材料を用いることができる。例えば、窒化アルミニウム(AlN)や、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、四ほう酸リチウム(Li247)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)などの酸化物基板や、ガラス基板上に窒化アルミニウムや五酸化タンタル(Ta25)などの圧電体材料を積層させて構成された積層圧電基板、あるいは圧電セラミックスなどを用いることができる。
また、圧電体材料以外の材料を用いて振動片を形成することができる。例えば、シリコン半導体材料などを用いて振動片を形成することもできる。
また、振動片の振動(駆動)方式は圧電駆動に限らない。圧電基板を用いた圧電駆動型のもの以外に、静電気力を用いた静電駆動型や、磁力を利用したローレンツ駆動型などの振動片においても、本発明の構成およびその効果を発揮させることができる。
また、上記変形例1では、第2振動腕としての調整用振動腕125a,125bの自由端側の先端に幅広部としての錘部127a,127bを設けて、漏れ出力抑制のための調整の幅を広げた例を説明した。
これに限らず、第1振動腕としての駆動用振動腕や検出用振動腕の自由端側の先端に幅広部としての錘部を設けることにより、振動片(振動ジャイロ素子)の外形サイズの増大を抑えながら共振周波数を低くすることができるなど、小型化および高感度化を図ることができる。
1,11,201,211…振動片としての振動ジャイロ素子、21,121…基部、22a,22b,122a〜122d…第1振動腕としての駆動用振動腕、23a,23b,123a,123b…第1振動腕としての検出用振動腕、24a,24b,124a,124b…連結腕、25a,25b,125a,125b,225a,225b…第2振動腕としての調整用振動腕、32a,32b,33a,33b,34a,34b,35a,35b…駆動電極、36a,36b,37a,37b,38a,38b,39a,39b…検出電極、41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44b…電極間配線、45a,45b,46a,46b,47a,47b,48a,48b…膜体としての調整用電極、49…ボンディングワイヤー、50…センサーユニットとしてのジャイロセンサー、59…接合部材、60…パッケージ、61…第1層基板、62…第2層基板、64…第4層基板、65…ダイパッド、66…IC接続端子、67…振動片接続端子、68…外部実装端子、69…シールリング、70…リッド、80…中継基板、82…開口部、85…電極リード、86…接続電極、90…電子部品としてのICチップ、99…ろう材、112…接続電極、127a,127b…錘部、145a,145b…膜体としての調整用電極、149a,149b…膜体、240…電子機器としてのデジタルビデオカメラ、241…受像部、242…操作部、243…音声入力部、1001…及び表示ユニット、1002…表示ユニット、1003…表示ユニット、3000…電子機器としての携帯電話機、3001…操作ボタン、3002…スクロールボタン、4000…電子機器としてのPDA、4001…操作ボタン、4002…電源スイッチ。

Claims (6)

  1. 基部と、
    前記基部から延出しており、駆動部が設けられている第1振動腕と、
    前記基部または前記基部と連続する部分から延出しており、調整部が設けられている第2振動腕と、
    検出部と、を備え、
    前記調整部と前記検出部とは電気的に接続されており、
    前記第1振動腕の漏れ振動による電気信号を低減する位相である電気信号を前記調整部が出力するように、前記第1振動腕の共振周波数と前記第2振動腕の共振周波数とが異なっていることを特徴とする振動片。
  2. 請求項1に記載の振動片であって、
    前記調整部は、前記第1振動の漏れ振動による電気信号に対して逆位相の電気信号を出力することを特徴とする振動片。
  3. 請求項またはに記載の振動片であって、
    前記基部から延出している第3振動腕を備え、
    前記検出部は、前記第3振動腕に設けられていることを特徴とする振動片。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載の振動片と、
    前記駆動部を駆動させる駆動回路と、前記検出部が出力する電気信号を検出する検出回路と、を有している電子部品と、
    記振動片および前記電子部品を収容するパッケージと、を備えていることを特徴とするセンサーユニット。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の振動片を備えた電子機器。
  6. 基部と、前記基部から延出しており駆動部が設けられている第1振動腕と、前記基部または前記基部と連続する部分から延出しており調整部が設けられている第2振動腕と、前記調整部と電気的に接続されている検出部と、を形成する第1ステップと、
    前記第1振動腕の漏れ振動による電気信号を測定する第2ステップと、
    前記第1振動腕の漏れ振動による電気信号を低減する位相である電気信号を前記調整部が出力するように、前記第2振動腕の質量を変化させることにより前記第1振動腕の共振周波数と前記第2振動腕の共振周波数とを異ならせる第3ステップと、を含み、
    前記第3ステップの後で、前記調整部の面積を変化させて前記調整部が発生する電荷量を調整する第4ステップを行うことを特徴とする振動片の製造方法。
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