JP6361707B2 - 振動片、センサーユニット、電子機器、および、振動片の製造方法 - Google Patents
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加えて、上記構成のようなパッケージタイプのセンサーユニットは、小型化・薄型化に有利であるとともに耐衝撃性が高いという特徴を有する。
〔振動ジャイロ素子〕
まず、本発明の振動片を振動ジャイロ素子に具体化した実施形態について説明する。図1は、振動片としての振動ジャイロ素子の一実施形態を示す模式平面図である。
図1に示すように、振動片としての振動ジャイロ素子1は、基材(主要部分を構成する材料)を加工することにより一体に形成された基部21と、第1振動腕としての駆動用振動腕22a,22bおよび検出用振動腕23a,23bと、第2振動腕としての調整用振動腕25a,25bとを有している。
また、振動ジャイロ素子1を成す平板は、水晶からの切り出し角度の誤差を、X軸、Y軸及びZ軸の各々につき多少の範囲で許容できる。例えば、X軸を中心に0度から2度の範囲で回転して切り出したものを使用することができる。Y軸及びZ軸についても同様である。
また、振動ジャイロ素子1は、水晶の結晶X軸(電気軸)と交差する方向に延出された一対の第2振動腕として調整用振動腕25a,25bを有している。本実施形態の振動ジャイロ素子1において、調整用振動腕25a,25bは、基部21の駆動用振動腕22a,22bおよび検出用振動腕23a,23bと直交する方向(X軸方向)の両端部からX軸に沿ってそれぞれ延伸された一対の連結腕24a,24bの先端部から、駆動用振動腕22a,22bと並行させて設けられている。即ち、調整用振動腕25a,25bは、連結腕24a,25aの先端部から、Y軸に沿って(+Y方向に)延伸されている。
第2振動腕としての調整用振動腕25a,25bは、第1振動腕としての駆動用振動腕22a,22bおよび検出用振動腕23a,23bよりも全長が小さく形成されている。これにより、漏れ出力を調整するための調整用振動腕25a,25bの振動が、第1振動腕(駆動用振動腕と検出用振動腕)による振動ジャイロ素子1の主要な振動を阻害することがないので、振動ジャイロ素子1の振動特性が安定するとともに、振動ジャイロ素子1の小型化にも有利となる。
このような振動ジャイロ素子1の外形形状は、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチング(ウエットエッチングまたはドライエッチング)により形成することができる。なお、振動ジャイロ素子1は、1枚の水晶ウエハーから複数個取りすることが可能である。
図2は、振動ジャイロ素子の電極配置を一方の主面側から斜視して示す模式斜視図、図3は、振動ジャイロ素子の電極配置を他方の主面側から斜視して示す模式斜視図である。
なお、図2および図3では、本実施形態の電極配置において特徴的な検出用振動腕23a,23bと調整用振動腕25a,25bとの電極の接続関係を主に説明しており、駆動用振動腕22a,22bに設けられる駆動系の電極(駆動電極)の接続関係は従来の振動ジャイロ素子の駆動系の電極の接続関係と同様であるため、図示を省略している。
図2において、振動ジャイロ素子1の基部21の一端部から並行させて延伸された一対の駆動用振動腕22a,22bの両主面のうちの一方の主面には、駆動電圧を印加するための駆動用の電極である駆動電極32a,33aが設けられている。また、各駆動用振動腕22a,22bの両側面のうちの一方の側面には、駆動電極34b,35bがそれぞれ設けられている。
また、図3に示すように、各駆動用振動腕22a,22bの上記一方の主面と対向する他方の主面には、駆動電極32b,33bがそれぞれ設けられている。また、各駆動用振動腕22a,22bの上記一方の側面と対向する他方の側面には、駆動電極34a,35aがそれぞれ設けられている。
図2において、振動ジャイロ素子1の基部21の他端部から並行させて延伸された一対の検出用振動腕23a,23bの両側面のうちの一方の側面には、振動により発生した基材(水晶)の歪を検出するための検出用の電極である検出電極36a,38a、および、検出電極37a,39aが設けられている。具体的には、一対の検出用振動腕23a,23bのうち、検出用振動腕23aの両側面のうち一方の側面において、検出用振動腕23aの延伸方向に沿った両端部近傍に、互いに電位の異なる一対の検出電極36a,38aが設けられ、検出用振動腕23bの一方の側面において、検出用振動腕23bの延伸方向に沿った両端部近傍に、互いに電位の異なる一対の検出電極37a,39aが設けられている。
また、図3に示すように、各検出用振動腕23a,23bの上記一方の側面と対向する他方の側面には、検出電極37b,39b、および、検出電極36b,38bが設けられている。具体的には、一対の検出用振動腕23a,23bのうち、検出用振動腕23aの他方の側面において、検出用振動腕23aの延伸方向に沿った両端部近傍に、互いに電位の異なる一対の検出電極36b,38bが設けられ、検出用振動腕23bの他方の側面において、検出用振動腕23bの延伸方向に沿った両端部近傍に、互いに電位の異なる一対の検出電極37b,39bが設けられている。
また、各検出用振動腕23a,23bの両側面で対向する検出電極どうしは同電位となっている。即ち、検出用振動腕23aの両側面において、対向する検出電極36aと検出電極36bとが同電位であるとともに、対向する検出電極38aと検出電極38bとが同電位であり、また、検出用振動腕23bの両側面において、対向する検出電極37aと37bとが同電位であるとともに、対向する検出電極39aと検出電極39bとが同電位になっている。ここで、各検出用振動腕23a,23bにおいて同電位の対向する検出電極のうち一方、例えば、検出用振動腕23aの両側面に対向させて設けられた検出電極38a,38bと、検出用振動腕23bの両側面に対向させて設けられた検出電極39a,39bが、グランド電極となっている。
図2において、振動ジャイロ素子1の基部21の一端部および他端部と直交する方向の両端部からそれぞれ延伸された一対の連結腕24a,24bの先端から、駆動用振動腕22a,22bと並行させて延伸された一対の調整用振動腕25a,25bの両主面のうちの一方の主面には、調整部としての調整用電極45a,46aがそれぞれ設けられている。また、各調整用振動腕25a,25bの両側面のうちの一方の側面には、調整部としての調整用電極47a,48aがそれぞれ設けられている。
また、図3に示すように、各調整用振動腕25a,25bの上記一方の主面と対向する他方の主面には、調整部としての調整用電極45b,46bがそれぞれ設けられている。また、各調整用振動腕25a,25bの上記一方の側面と対向する他方の側面には、調整部としての調整用電極47b,48bがそれぞれ設けられている。
具体的には、図2および図3に示すように、検出用振動腕23aの検出電極36aと調整用振動腕25aの調整用電極45aとが電極間配線41aを介して接続され、検出電極38aと調整用電極47aとが電極間配線43aを介して接続され、検出電極36bと調整用電極45bとが電極間配線41bを介して接続され、検出電極38bと調整用電極47bとが電極間配線43bを介して接続されている。
また、検出用振動腕23bの検出電極37aと調整用振動腕25bの調整用電極46aとが電極間配線42aを介して接続され、検出電極39aと調整用電極48aとが電極間配線44aを介して接続され、検出電極37bと調整用電極46bとが電極間配線42bを介して接続され、検出電極39bと調整用電極48bとが電極間配線44bを介して接続されている。
このような構成の振動ジャイロ素子1によれば、駆動用振動腕22a,22bに所定の励振信号を印加して振動させた状態で、振動ジャイロ素子1に角速度が加わったときに、検出用振動腕23a,23bがコリオリ力による振動を呈するのに伴って調整用振動腕25a,25bが励振され、その調整用振動腕25a,25bに設けた膜体(本実施形態では調整用電極)の重さを増減させたり、膜体としての調整用電極の体積を増減させて電荷量を変化させることにより、検出用振動腕23a,23bの望まない漏れ出力を抑制できることを発明者は見出した。
したがって、例えば、振動ジャイロ素子1の基材である水晶のエッチング異方性や、製造ばらつきなどにより、駆動用振動腕22a,22bや検出用振動腕23a,23bの断面形状が望まない形状となった場合に起こり得る漏れ出力に起因する検出感度の低下を抑制することができるので、感度の高い振動片としての振動ジャイロ素子を提供することができる。
上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1において、調整用振動腕25a,25bは、先端部に質量を付加する形状変化を加えることにより、振動ジャイロ素子の高感度化に寄与する効果をさらに向上させることができる。
図4は、第2振動腕としての調整用振動腕の先端に幅広部を設けた振動片としての振動ジャイロ素子の変形例を示す模式平面図である。なお、図4において、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。
各調整用振動腕125a,125bの主面には、振動ジャイロ素子11の漏れ出力を調整するための膜体としての調整用電極145a,145bがそれぞれ設けられている。なお、図示を省略したが、調整用電極は、上記実施形態の振動ジャイロ素子1と同様に、各調整用振動腕の両主面、および、両側面に設けることができる。
また、膜体149a,149bは、他の電極と同じ金属材料により形成してもよいし、不導体材料により形成してもよい。他の電極と同じ金属材料により膜体149a,149bを形成することにより、他の電極と同時に効率よく製造することができる。また、不導体材料により膜体149a,149bを形成することによれば、膜体形成材料の選択肢が広がる点で有利となるが、膜体形成材料としては、なるべく密度の高い(比重が大きい)材料を用いることが好ましい。
〔ジャイロセンサー〕
次に、上記振動ジャイロ素子を備えたセンサーユニットとしてのジャイロセンサーについて、図面を参照しながら説明する。
図5は、ジャイロセンサーの一実施形態を説明するものであり、(a)は上側からみた概略平面図、(b)は(a)のA−A線断面を示す概略断面図である。
なお、図5(a)では、ジャイロセンサーの内部の構造を説明する便宜上、ジャイロセンサーの上方に設けられた蓋体としてのリッド70を取り外した状態を図示している。また、本実施形態のジャイロセンサー50の構成では、振動片として、上記変形例1の幅広部としての錘部127a,127bを有する第2振動腕としての調整用振動腕125a,125bを備えた振動ジャイロ素子11を搭載した例を説明する。
また、複数のIC接続端子66が設けられた第2層基板62上に、第3層基板63によりIC接続端子66を囲むように形成される段差上には、振動ジャイロ素子11が中継基板80を介して接合される振動片接続端子67が設けられている。
パッケージ60に設けられた上記の各種端子は、対応する端子どうしが、図示しない引き回し配線やスルーホールなどの層内配線により接続されている。
ICチップ90は、パッケージ60の凹部の凹底部分に設けられたダイパッド65上に、例えばろう材(ダイアタッチ材)99によって接着・固定されている。また、本実施形態では、ICチップ90とパッケージ60とが、ワイヤーボンディング法を用いて電気的に接続されている。すなわち、ICチップ90に設けられた複数の電極パッドと、パッケージ60の対応するIC接続端子66とが、ボンディングワイヤー49により接続されている。
中継基板80は、パッケージ60の凹部内に振動ジャイロ素子11を支持する複雑な支持構造を形成することなく、振動ジャイロ素子11を所定の弾性を持たせながら支持するとともに、振動ジャイロ素子11とパッケージ60との電気的な接続を中継するための配線基板である。本実施形態の中継基板80は、振動ジャイロ素子11の支持部分が配置される基部21が配置される領域に設けられた開口部(デバイス穴)82を有する絶縁性の基材と、基材の一方の主面に設けられた複数の電極リード85と、対応する電極リード85と基材の層内配線などにより電気的に接続された接続電極86と、を有している。複数の電極リード85は、一端側が基材上に設けられ、他端側が基材の開口部82の中央に向かってオーバーハングされた状態で延出されている。
中継基板80には、例えば、従来から知られるTAB(Tape Automated Bonding)実装用のTAB基板を用いることができる。フープ状の絶縁性基材に多数の中継基板80が等間隔で形成されるTAB基板を用いることにより、中継基板80の製造から振動ジャイロ素子11の実装までを連続して効率よく行うことができる。
なお、中継基板80は、本実施形態で説明したTAB基板に限らず、例えば、リードフレームなどにより形成する構成とすることもできる。
なお、本実施形態では、中継基板80を介して振動ジャイロ素子11をパッケージ60内に接合する形態を説明したが、これに限らず、振動ジャイロ素子11の振動漏れなどが起こらない支持構造であればよい。例えば、パッケージ60の凹部内に、接続端子を有する支持部を設け、この支持部に振動ジャイロ素子11を接合・支持する支持構造を形成する構成としてもよい。
上記凹部空間は、減圧空間または不活性ガス雰囲気に密閉・封止することができる(詳細は後述する)。
〔ジャイロ素子、ジャイロセンサーの製造方法〕
次に、上記第2の実施形態のセンサーユニットとしてのジャイロセンサーの製造方法の一実施形態を例にジャイロ素子およびジャイロセンサーの製造方法を説明する。
図6は、センサーユニットとしてのジャイロセンサーの製造方法の一例を説明するフローチャートである。また、図7および図8は、センサーユニットの製造方法の漏れ出力抑制調整ステップにおいて、振動ジャイロ素子の第1振動腕のうちの検出用振動腕と、第2振動腕としての調整用振動腕との位相の関係の一例をそれぞれ示す説明図である。
ICチップ90とパッケージ60の接続は、図5において、パッケージ60の第2層基板62上に配設された複数のIC接続端子66と、対応するICチップ90の電極パッド(不図示)とをボンディングワイヤー49により接続する。
なお、例えば、接合部材59が紫外線硬化タイプのものであれば、接合部材59に所定の強度の紫外線を所定時間照射することにより固化させて振動ジャイロ素子11が接合された中継基板80の接着・固定を行うことができるなど、接合部材59の硬化タイプによって、その方法を選択することができる。
まず、振動ジャイロ素子11の漏れ出力の抑制調整方法の原理について説明する。
振動ジャイロ素子11(図4を参照)のように、基部21のY軸方向の両端部からそれぞれ延伸する駆動用振動腕22a,22bおよび検出用振動腕23a,23bを有するH型振動片に、基部21のX軸方向の両端部からX軸方向に沿って延伸された連結部24a,24bそれぞれの先端部から、Y軸方向に沿って延伸された調整用振動腕125a,125bを備えた構成において、漏れ出力の振動方向が各振動腕のエッチング加工ばらつきによる仕上がり形状によって決まり、それに応じて漏れ出力を抑制する調整を行うことが有効であることを発明者は見出した。
また、振動ジャイロ素子11が、駆動時に図8(a)に示すような動きをしているときには、駆動用振動腕22a,22bの出力波形DS、検出用振動腕23a,23bそれぞれの漏れ出力の出力波形S1モレ,S2モレが、図8(b)に示すような波形を呈する。このような漏れ出力を打ち消すためには、各調整用振動腕125a,125bの位相を、図8(c)に示す位相T1,T2のようにする必要がある。そのためには、駆動用振動腕22a,22bと、調整用振動腕125a,125bとを同相にする必要がある。
ここで、駆動用振動腕22a,22bが有する共振周波数をfd、調整用振動腕125a,125bが有する共振周波数をftとしたとき、fdとftとの関係に応じて、駆動用振動腕22a,22bの位相と調整用振動腕125a,125bの位相とが、同相、または逆相となる関係が次のように成り立つことを発明者は見出した。すなわち、fd<ftのとき、駆動用振動腕22a,22bの位相と調整用振動腕125a,125bの位相とが逆相となり、fd>ftのとき、駆動用振動腕22a,22bの位相と調整用振動腕125a,125bの位相とが同相となることを、発明者は確認した。
まず、調整用振動腕125a,125bに設けられた膜体の一部を除去、または付加したり、調整用振動腕125a,125bの基板を削るなどをして、調整用振動腕125a,125bの質量を減少または増加させることにより、共振周波数を変化させて、駆動用振動腕22a,22bの共振周波数fdと調整用振動腕125a,125bの共振周波数ftとの関係を適切な関係に調整する。具体的には、調整用振動腕125a,125bの先端部に設けられた幅広部としての錘部127a,127bの膜体149a,149bを、例えば、レーザーを照射することによりトリミングするか、または、蒸着やスパッタリングにより膜体149a,149bと同種または異種の膜体を付加して錘部127a,127bの質量を減少あるいは増加させることにより、共振周波数を変化させて、fdとftとの位相の関係を所望の関係(fd<ft、または、fd>ft)に調整する位相調整を行う。
なお、図4では図示を省略したが、振動ジャイロ素子11の各種電極の構成は、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1の電極構成に準じることができる。
なお、例えば、調整用振動腕に幅広部としての錘部がない構成の振動ジャイロ素子の場合には、上記したような2段階の漏れ出力抑制調整ではなく、調整用振動腕に設けられた調整用電極などの膜体の一部を除去、または付加することによって漏れ出力調整を行うことができる。
また、別のリッド70接合方法としては、リッド70をはんだ等の金属ろう材を介してパッケージ60上に接合したり、または、ガラス製のリッド70を用いて、低融点ガラス等でパッケージ60上に接合することもできる。
この封止工程では、必要に応じて、パッケージ60とリッド70とにより形成されるキャビティーを減圧空間、または不活性ガス雰囲気にして密閉・封止することができる。例えば、キャビティー内を減圧空間にして密閉封止する場合には、パッケージ60の図示しない封止孔に固形の封止材を配置させた状態で真空チャンバー内に入れ、所定の真空度まで減圧させてジャイロセンサーの内側から出るガスを封止孔から排出させた後、固形の封止材を溶融してから固化させることにより封止孔を閉塞させて封止する。封止材の材料としては、完成したジャイロセンサー50を外部実装基板に実装する際のリフロー温度よりも高い温度を融点として有したものが望ましく、例えば、金と錫(Sn)との合金、あるいは、金とゲルマニウム(Ge)との合金などを用いることができる。これにより、パッケージ60の凹部内に接合された振動ジャイロ素子11及びICチップ90を気密封止することができる。
そして、ステップS10に示すように、電気特性検査や外観検査などの特性検査を行って、規格外の不良品を取り除き、一連のジャイロセンサーの製造工程が終了する。
次に、上記第3の実施形態の製造方法とは異なる、ジャイロセンサーの製造方法の別の実施形態について説明する。
図9は、ジャイロセンサーの別の実施形態(第4の実施形態)を模式的に示すブロック図である。
図9において、S1は、第1振動腕としての検出用振動腕の一側面に設けられた一対の検出電極(図2および図3を参照)のうちの一方の検出電極からの出力を指し、T1は、第2振動腕としての調整用振動腕の一側面に設けられた一対の調整用電極のうち、上記検出電極の出力S1と対応する調整用電極の出力を指し、ST1は、他方の検出電極S2の出力と、他方の調整用電極T2の出力との作動をとった出力信号を指す。
なお、本実施形態のジャイロセンサーの製造方法において、振動ジャイロ素子の漏れ出力の抑制調整工程以外の工程は、上記第3の実施形態と同じであるため説明を省略する。
一方の検出電極の出力S1には、オペアンプA1、抵抗器R1、およびキャパシタC1で構成される電流検出回路が接続されている。
これにより、検出電極からの出力S1の電位は、オペアンプA1の仮想接地によって基準電位に固定される。この結果、S1を出力する検出電極は、屈曲振動モードを励振する振動ジャイロ素子に加わった角速度に応じた検出用振動腕の検出信号を検出する。
また、一方の調整用電極の出力T1には、オペアンプA2、抵抗R2、およびキャパシタC2で構成される電流検出回路が接続されている。この電流検出回路において、抵抗R2やキャパシタC2などの回路素子の回路定数を変化させることにより、漏れ出力を低く調整することができる。
このアンプからの出力と、他方の検出電極の出力S2、および、他方の調整用電極の出力T2との差動をとった出力信号ST1とは、抵抗器R7,R8をそれぞれ経て、オペアンプA4および抵抗器R9で構成されるアンプに接続されている。このアンプは、漏れ出力が低く調整された検出電極の出力S1と出力S2との差動をとるアンプである。このアンプに入力される信号は、励振された振動ジャイロ素子に印加された角速度に比例したコリオリ力によって生じる振動モード成分以外のノイズが軽減されている。そして、このアンプから出力される信号は、ACアンプに接続される。
また、本実施形態のジャイロセンサーの製造方法によれば、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1のように、第2振動腕としての調整用振動腕25a,25bに設けた調整用電極と、対応する検出電極とを接続しなくてもよい。これにより、電極構造が複雑にならずに、製造がし易いという効果を奏する。
上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1では、基部21の一方の軸方向(Y軸方向)の両端部から第1振動腕としての駆動用振動腕22a,22bおよび検出用振動腕23a,23bがそれぞれ並行させて延伸されたH型振動片(振動ジャイロ素子)において、基部21の他方の軸方向(X軸方向)の両端部から延伸された一対の連結腕24a,24bそれぞれの先端部から、第2振動腕としての調整用振動腕25a,25bが駆動用振動腕22a,22b側に並行させて延伸された構成を説明した。これに限らず、第2振動腕は、振動ジャイロ素子の基材として水晶を用いた場合には、水晶の結晶X軸(電気軸)と交差する方向に延びていればよく、例えば、検出用振動腕と並行させて設けてもよい。
図10は、H型振動片としての振動ジャイロ素子において、第2振動腕としての調整用振動腕を、検出用振動腕側に並行させて設けた振動ジャイロ素子の変形例2を示す模式平面図である。なお、本変形例の振動ジャイロ素子は、調整用振動腕の延伸方向以外の構成は、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1と同じであるため、同一符号を付して説明を省略する。
基部21の他方の軸方向(X軸方向)の両端部からは、一対の連結腕24a,24bがそれぞれ延出され、各連結腕24a,24bの先端部から、検出用振動腕23a,23bの延出方向と並行する方向に第2振動腕としての一対の調整用振動腕175a,175bが延伸されている。
また、図示はしないが、調整用振動腕175a,175bには、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1の調整用振動腕25a,25bと同様に、膜体としての調整用電極が設けられ、検出用振動腕23a,23bに設けられた対応する検出電極(不図示)と電気的に接続されている。
なお、本変形例の振動ジャイロ素子201において、上記変形例1の振動ジャイロ素子11のように、各検出用振動腕23a,23bの先端部や、各駆動用振動腕22a,22bの先端部に、他の部分よりも幅の広い幅広部としての錘部を設けることにより、小型化を保持しながら角速度の検出感度の向上を図ることができる。
次に、上記第1の実施形態の振動ジャイロ素子1、上記変形例1の振動ジャイロ素子11、および、変形例2の振動ジャイロ素子201の他の振動片の変形例について説明する。
図11は、振動ジャイロ素子の変形例3を説明する模式平面図である。
図11に示すように、本変形例の振動ジャイロ素子211は、中心部分に位置する基部121と、基部121のY軸方向の両端部の中央からY軸に沿って延伸された第1振動腕としての検出用振動腕123a,123bと、検出用振動腕123a,123bと直交するように基部121からX軸に沿って延伸された一対の連結腕124a,124bと、各連結腕124a,124bの先端側から検出用振動腕123a,123bと並行させるようにY軸に沿って延伸された第1振動腕としての各一対の駆動用振動腕122a,122b,122c,122dとが一体に形成されている。
さらに、基部121の一方の主面(図中奥側の面)には、検出用振動腕123a,123bに設けられた検出電極、および駆動用振動腕122a〜122dに設けられた駆動電極から引き出され、外部との電気的な接続に供する接続電極112が設けられている。
このような振動ジャイロ素子において、駆動時の左右の駆動腕のバランスの僅かなずれ等によって検出腕がX軸方向に振動し、これが漏れ出力となり感度を劣化させる原因となっていた。この検出腕への漏れ出力を減らすために、従来では駆動腕の錘をレーザー加工してバランスを調整していたが、振動腕の耐久性の劣化の虞があった。これに対し、上記変形例3の振動ジャイロ素子では、調整腕を設け、検出腕に発生した漏れ出力を打ち消す逆位相の出力を、検出腕に直接加えるか、あるいは回路上で加えることで漏れ出力を減らすことができるので、漏れ出力による感度の劣化が抑制された振動ジャイロ素子211を提供することができる。
なお、本変形例の振動ジャイロ素子211においても、上記変形例1の振動ジャイロ素子11と同様に、各検出用振動腕123a,123bの先端部や、各駆動用振動腕122a〜122dの先端部に、他の部分よりも幅の広い幅広部としての錘部を設けることにより、小型化を保持しながら角速度の検出感度の向上を図ることができる。
〔電子機器〕
上記実施形態および変形例で説明した第2振動腕としての調整用振動腕25a,25b,125a,125b,175a,175b,225a,225b,225c,225dを備えた振動片としての振動ジャイロ素子1,11,201,211、および、それらを備えたセンサーユニットとしてのジャイロセンサー50を搭載した電子機器は、小型化を図りながら、漏れ出力が軽減されることにより感度の向上を図ることが可能である。
例えば、図12(a)は、デジタルビデオカメラへの適用例を示す。デジタルビデオカメラ240は、受像部241、操作部242、音声入力部243、及び表示ユニット1001を備えている。このようなデジタルビデオカメラ240に、上記実施形態の振動ジャイロ素子1,11,201,211や、センサーユニットとしてのジャイロセンサー50を搭載することにより、所謂手ぶれ補正機能を具備させることができる。
また、図12(b)は、電子機器としての携帯電話機、図12(c)は、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)への適用例をそれぞれ示すものである。
まず、図12(b)に示す携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットと1002を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、表示ユニット1002に表示される画面がスクロールされる。
また、図12(c)に示すPDA4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニット1003を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が表示ユニット1003に表示される。
このような携帯電話機3000やPDA4000に、上記実施形態の振動ジャイロ素子1,11,201,211や、センサーユニットとしてのジャイロセンサー50を搭載することにより、様々な機能を付与することができる。例えば、図12(b)の携帯電話機3000に、図示しないカメラ機能を付与した場合に、上記のデジタルビデオカメラ240と同様に、手振れ補正を行うことができる。また、図12(b)の携帯電話機3000や、図12(c)のPDA4000に、GPS(Global Positioning System)として広く知られる汎地球測位システムを具備した場合に、上記実施形態の振動ジャイロ素子1,11,201,211や、センサーユニットとしてのジャイロセンサー50を搭載することにより、GPSにおいて、携帯電話機3000やPDA4000の位置や姿勢を認識させることができる。
また、圧電体材料以外の材料を用いて振動片を形成することができる。例えば、シリコン半導体材料などを用いて振動片を形成することもできる。
また、振動片の振動(駆動)方式は圧電駆動に限らない。圧電基板を用いた圧電駆動型のもの以外に、静電気力を用いた静電駆動型や、磁力を利用したローレンツ駆動型などの振動片においても、本発明の構成およびその効果を発揮させることができる。
これに限らず、第1振動腕としての駆動用振動腕や検出用振動腕の自由端側の先端に幅広部としての錘部を設けることにより、振動片(振動ジャイロ素子)の外形サイズの増大を抑えながら共振周波数を低くすることができるなど、小型化および高感度化を図ることができる。
Claims (6)
- 基部と、
前記基部から延出しており、駆動部が設けられている第1振動腕と、
前記基部または前記基部と連続する部分から延出しており、調整部が設けられている第2振動腕と、
検出部と、を備え、
前記調整部と前記検出部とは電気的に接続されており、
前記第1振動腕の漏れ振動による電気信号を低減する位相である電気信号を前記調整部が出力するように、前記第1振動腕の共振周波数と前記第2振動腕の共振周波数とが異なっていることを特徴とする振動片。 - 請求項1に記載の振動片であって、
前記調整部は、前記第1振動腕の漏れ振動による電気信号に対して逆位相の電気信号を出力することを特徴とする振動片。 - 請求項1または2に記載の振動片であって、
前記基部から延出している第3振動腕を備え、
前記検出部は、前記第3振動腕に設けられていることを特徴とする振動片。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の振動片と、
前記駆動部を駆動させる駆動回路と、前記検出部が出力する電気信号を検出する検出回路と、を有している電子部品と、
前記振動片および前記電子部品を収容するパッケージと、を備えていることを特徴とするセンサーユニット。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の振動片を備えた電子機器。
- 基部と、前記基部から延出しており駆動部が設けられている第1振動腕と、前記基部または前記基部と連続する部分から延出しており調整部が設けられている第2振動腕と、前記調整部と電気的に接続されている検出部と、を形成する第1ステップと、
前記第1振動腕の漏れ振動による電気信号を測定する第2ステップと、
前記第1振動腕の漏れ振動による電気信号を低減する位相である電気信号を前記調整部が出力するように、前記第2振動腕の質量を変化させることにより前記第1振動腕の共振周波数と前記第2振動腕の共振周波数とを異ならせる第3ステップと、を含み、
前記第3ステップの後で、前記調整部の面積を変化させて前記調整部が発生する電荷量を調整する第4ステップを行うことを特徴とする振動片の製造方法。
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