以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1には、本実施の形態による水車入口弁制御装置(以下、単に入口弁制御装置)1の系統図が示されている。本実施の形態による入口弁制御装置1は、図中符号100で示される水車入口弁(以下、単に入口弁)を開閉制御する。入口弁100は、主弁101と側弁102とで構成されている。図1には、入口弁制御装置1によって閉鎖された主弁101と側弁102とが示されている。
先ず、入口弁制御装置1の概略構成について説明する。本実施の形態による入口弁制御装置1は、図中符号11で示す主弁用油圧式サーボモータによって主弁101を開閉制御し、図中符号12で示す側弁用油圧式サーボモータによって側弁102を開閉制御する。
図1及び図2に示すように、主弁101は、流路Fを開閉させる弁体101Aと、当該弁体101Aの側部に一端部が連結された弁操作アーム101Bと、弁操作アーム101Bの他端部に連結された重錘101Cと、を有している。弁操作アーム101Bの中間部には、入口弁制御装置1の前述の主弁用油圧式サーボモータ11が備える駆動ロッド11R(図1参照)の一端部が回転可能に連結されている。
主弁用油圧式サーボモータ11は、ピストンを摺動可能に保持したシリンダ11Sを有し、駆動ロッド11Rの他端部は前記ピストンに連結されている。主弁用油圧式サーボモータ11は、シリンダ11S内において前記ピストンの一側(図中下側)に形成された、圧油が供給される圧油室11Aを有しており、入口弁制御装置1は、圧油室11Aに圧油を供給する状態と圧油室11A内の圧油を排出する状態とを切り替えることによって、主弁101の開閉を切り替えることが可能となっている。図1においては、圧油室11A内の圧油が排出された状態が示されており、この状態において主弁101は閉じている。なお、シリンダ11S内において前記ピストンの他側(図中上側)には、圧油の排出室11Bが形成され、当該排出室11Bは配管を介して後述の集油槽13に接続されている。
入口弁制御装置1は、閉じられた主弁101を開く際に、圧油室11Aに圧油を供給する。この場合、主弁101の弁操作アーム101Bが主弁用油圧式サーボモータ11の駆動ロッド11Rによって押し上げられる(図7参照)。これにより、主弁101が開くようになっている。また、入口弁制御装置1は、開いた状態の主弁101を閉じる際には、圧油室11A内の圧油を排出する。この場合、重錘101Cが自重によって主弁101に対して閉じる方向への負荷を作用させ、押し上げられていた主弁101の弁操作アーム101Bが下降する。これにより、主弁101が閉じるようになっている。すなわち、主弁用油圧式サーボモータ11は、自身に対する圧油の給排によって主弁101を開閉するようになっている。
一方、側弁102には、入口弁制御装置1の前述の側弁用油圧式サーボモータ12が連結されている。
側弁用油圧式サーボモータ12は、圧油が供給される圧油室として、開方向の圧油室12A(図中下側)と閉方向の圧油室12B(図中上側)とを有しており、入口弁制御装置1は、開方向の圧油室12Aに圧油を供給する状態と閉方向の圧油室12Bに圧油を供給する状態とを切り替えるようになっている。すなわち、入口弁制御装置1は、側弁用油圧式サーボモータ12に対する圧油の供給先を切り替えることによって、側弁102の開閉を切り替えることが可能となっている。図1においては、圧油室12Bに圧油が供給された状態が示されており、この状態において側弁102は閉じている。
入口弁制御装置1は、閉じられた側弁102を開く際に、圧油室12Aに圧油を供給する。これにより、側弁102が開くようになっている。なお、この際、圧油室12B内の圧油は排出されるようになっている。また、入口弁制御装置1は、開いた側弁102を閉じる際には、圧油室12Bに圧油を供給する。これにより、側弁102が閉じるようになっている。なお、この際、圧油室12A内の圧油は排出されるようになっている。
以下、入口弁制御装置1について詳述する。
図1に示すように、入口弁制御装置1は、圧油の供給によって主弁101を開く方向に駆動する主弁駆動部に対応する前述の主弁用油圧式サーボモータ11と、圧油の供給先を切り替えることによって側弁102の開閉を切り替える前述の側弁用油圧式サーボモータ12と、を備えている。また、入口弁制御装置1は、油が貯留される集油槽13と、集油槽13から油を汲み上げて主弁用油圧式サーボモータ11に圧油を圧送するための定容量ポンプ14と、集油槽13から油を汲み上げて側弁用油圧式サーボモータ12に圧油を圧送するための可変容量ポンプ15と、を備えている。主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11Aと定容量ポンプ14とは、主弁用主圧油配管16によって接続されており、側弁用油圧式サーボモータ12の圧油室12A及び圧油室12Bと可変容量ポンプ15とは、側弁用主圧油配管36によって接続されている。
主弁用主圧油配管16には、第1のパイロット逆止操作弁17が設けられており、主弁用主圧油配管16における第1のパイロット逆止操作弁17の下流側の位置からは、ドレン配管16Dが分岐している。ドレン配管16Dは集油槽13に連通しており、主弁用油圧式サーボモータ11(詳しくは圧油室11A)に供給された圧油を排出するために設けられている。当該ドレン配管16Dには、第2のパイロット逆止操作弁18が設けられている。なお、ドレン配管16Dを通流する圧油は、集油槽13に流れることが可能となっている。また、本実施の形態では、主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11Aに直接接続されて集油槽13まで延びる、ドレン配管16Dとは別のドレン用の配管(図示省略)が設けられ、当該配管には開閉弁70が設けられている。開閉弁70は手動開閉式の弁である。開閉弁70は、水車の通常の運転の際には閉じられているが、本実施の形態では、開閉弁70を開くことによって、定容量ポンプ14等の油圧が消失した際に圧油室11A内の圧油を排出することが可能となっている。
主弁用主圧油配管16における第1のパイロット逆止操作弁17の上流の位置、従ってドレン配管16Dの接続位置の上流側の位置からは主弁用分岐配管19が分岐しており、当該主弁用分岐配管19には主弁用電磁弁装置20が設けられている。主弁用電磁弁装置20は、第1のパイロット逆止操作弁17及び第2のパイロット逆止操作弁18へのパイロット操作用の圧油の供給を制御する装置である。ここでのパイロット操作用の圧油とは、第1のパイロット逆止操作弁17及び第2のパイロット逆止操作弁18の開閉を制御するための圧油である。
第1のパイロット逆止操作弁17は、主弁用電磁弁装置20を介して圧油を供給されない状態において主弁用主圧油配管16における上流側から下流側への圧油の通流、すなわち主弁用油圧式サーボモータ11(詳しくは圧油室11A)への圧油の供給を制限し、主弁用電磁弁装置20を介して圧油を供給される状態において主弁用主圧油配管16における上流側から下流側への圧油の通流、すなわち主弁用油圧式サーボモータ11(詳しくは圧油室11A)への圧油の供給を許容するようになっている。
また、第2のパイロット操作逆止弁18は、主弁用電磁弁装置20を介して圧油を供給されない状態においてドレン配管16Dにおける上流側から下流側への圧油の通流、すなわち主弁用油圧式サーボモータ11(詳しくは圧油室11A)からの圧油の排出を制限し、主弁用電磁弁装置20を介して圧油を供給される状態においてドレン配管16Dにおける上流側から下流側への圧油の通流、すなわち主弁用油圧式サーボモータ11(詳しくは圧油室11A)からの圧油の排出を許容するようになっている。
本実施の形態において前述の主弁用分岐配管19は、主弁用主圧油配管16から分岐する主分岐配管部19Mと、主分岐配管部19Mから延びて第1のパイロット操作逆止弁17に接続される第1の分岐配管19Aと、主分岐配管部19Mから延びて第2のパイロット操作逆止弁18に接続される第2の分岐配管19Bと、を有している。そして、本実施の形態において主弁用電磁弁装置20は、第1の分岐配管19Aに設けられた第1の単式電磁弁21と、第2の分岐配管19Bに設けられた第2の単式電磁弁22と、を有している。
本実施の形態において第1の単式電磁弁21は、ソレノイドと、電気信号の供給による当該ソレノイドの駆動に応じて流路を切り替えるスプール(図示省略)と、を有する3ポートのポペット式電磁弁として構成されている。第1の単式電磁弁21は、非励磁の状態(図1の状態)で出力ポートとドレンポートとを連通させることで第1の分岐配管19Aを遮断し、励磁の状態(図7の状態)で入力ポートと出力ポートとを連通させることで第1の分岐配管19Aの一部を構成するようになっている。また、第1の単式電磁弁21は、出力ポートとドレンポートとを連通させる位置に向けて前記スプールを常時付勢するスプリング21Eを有している。すなわち、スプリング21Eは、非給電時に、前記スプールが出力ポートとドレンポートとを連通させる位置をとるためのスプリングである。
同様に、本実施の形態において第2の単式電磁弁22は、ソレノイドと、電気信号の供給による当該ソレノイドの駆動に応じて流路を切り替えるスプール(図示省略)と、を有する3ポートのポペット式電磁弁として構成されている。第2の単式電磁弁22は、非励磁の状態(図1の状態)で入力ポートと出力ポートとを連通させることで第2の分岐配管19Bの一部を構成し、励磁の状態(例えば、図7の状態)で、出力ポートとドレンポートとを連通させることで第2の分岐配管19Bの一部を遮断するようになっている。第2の単式電磁弁22は、入力ポートと出力ポートとを連通させる位置に向けて前記スプールを常時付勢するスプリング22Eを有している。すなわち、スプリング22Eは、非給電時に、前記スプールが入力ポートと出力ポートとを連通させる位置をとるためのスプリングである。
なお、本実施の形態による入口弁制御装置1では、第1の単式電磁弁21及び第2の単式電磁弁22がポペット式電磁弁であるが、この場合、ポペット式電磁弁の方が、パイロット式電磁弁に比べて摺動部分が少ない等の理由から、パイロット式電磁弁よりも圧油の内部リーク量を抑制することができる。もっとも、第1の単式電磁弁21及び第2の単式電磁弁22としてパイロット式電磁弁が用いられてもよい。
主弁用電磁弁装置20は、第1の単式電磁弁21及び第2の単式電磁弁22を切り替えることによって、主弁101を開く際に第1のパイロット逆止操作弁17に圧油を供給する状態で且つ第2のパイロット操作逆止弁18に圧油を供給しない「第1の状態(以下、主弁開状態)」と、主弁101を閉じる際に第1のパイロット操作逆止弁17に圧油を供給しない状態で且つ第2のパイロット操作逆止弁18に圧油を供給する「第2の状態(以下、主弁閉状態)」と、を切替可能に構成されている。
具体的に、本実施の形態において主弁用電磁弁装置20は、第1の単式電磁弁21及び第2の単式電磁弁22を共に励磁の状態とすることで、「第1の状態」、すなわち「主弁開状態」となるように構成されており、一方、第1の単式電磁弁21及び第2の単式電磁弁22を共に非励磁の状態とすることで、「第2の状態」、すなわち「主弁閉状態」となるように構成されている。そして、「第1の状態(主弁開状態)」では、主弁101が開き、「第2の状態(主弁閉状態)」では主弁101が閉じるようになっている。
また、本実施の形態では、主弁用主圧油配管16の主弁用分岐配管19の接続位置の上流側の位置に、下流側から上流側への圧油の通流を制限する逆止弁27が設けられている。逆止弁27は、定容量ポンプ14が停止された際に、主弁用主圧油配管16を通して定容量ポンプ14側に圧油が通流することを抑制するために設けられている。
次に、側弁用油圧式サーボモータ12と可変容量ポンプ15との間の構成について説明する。図1に示すように、本実施の形態において前述した側弁用主圧油配管36は、可変容量ポンプ15から延びる主配管部36Mと、主配管部36Mから延びて側弁用油圧式サーボモータ12の開方向の圧油室12Aに接続される開側配管36Aと、主配管部36Mから延びて側弁用油圧式サーボモータ12の閉方向の圧油室12Bに接続される閉側配管36Bと、を有している。
開側配管36Aには、第3のパイロット逆止操作弁37が設けられており、開側配管36Aにおける第3のパイロット逆止操作弁37の下流側の位置からは、ドレン配管36ADが分岐している。ドレン配管36ADは集油槽13に連通しており、側弁用油圧式サーボモータ12(詳しくは圧油室12A)に供給された圧油を排出するために設けられている。当該ドレン配管36ADには、第4のパイロット逆止操作弁38が設けられている。なお、ドレン配管36ADを通流する圧油は、集油槽13に流れることが可能となっている。
また、閉側配管36Bには、第5のパイロット逆止操作弁39が設けられており、閉側配管36Bにおける第5のパイロット逆止操作弁39の下流側の位置からは、ドレン配管36BDが分岐している。ドレン配管36BDは集油槽13に連通しており、側弁用油圧式サーボモータ12(詳しくは圧油室12B)に供給された圧油を排出するために設けられている。当該ドレン配管36BDには、第6のパイロット逆止操作弁40が設けられている。なお、ドレン配管36BDを通流する圧油は、集油槽13に流れることが可能となっている。
そして、側弁用主圧油配管36における主配管部36Mからは側弁用分岐配管49が分岐しており、当該側弁用分岐配管49には側弁用電磁弁装置50が設けられている。側弁用電磁弁装置50は、各パイロット逆止操作弁37〜40へのパイロット操作用の圧油の供給を制御する装置である。ここでのパイロット操作用の圧油とは、各パイロット逆止操作弁37〜40の開閉を制御するための圧油である。
第3のパイロット逆止操作弁37は、側弁用電磁弁装置50を介して圧油を供給されない状態において開側配管36Aにおける上流側から下流側への圧油の通流、すなわち側弁用油圧式サーボモータ12(詳しくは圧油室12A)への圧油の供給を制限し、側弁用電磁弁装置50を介して圧油を供給される状態において開側配管36Aにおける上流側から下流側への圧油の通流、すなわち側弁用油圧式サーボモータ12(詳しくは圧油室12A)への圧油の供給を許容するようになっている。
第4のパイロット操作逆止弁38は、側弁用電磁弁装置50を介して圧油を供給されない状態においてドレン配管36ADにおける上流側から下流側への圧油の通流、すなわち側弁用油圧式サーボモータ12(詳しくは圧油室12A)からの圧油の排出を制限し、側弁用電磁弁装置50を介して圧油を供給される状態においてドレン配管36ADにおける上流側から下流側への圧油の通流、すなわち側弁用油圧式サーボモータ12(詳しくは圧油室12A)からの圧油の排出を許容するようになっている。
第5のパイロット逆止操作弁39は、側弁用電磁弁装置50を介して圧油を供給されない状態において閉側配管36Bにおける上流側から下流側への圧油の通流、すなわち側弁用油圧式サーボモータ12(詳しくは圧油室12B)への圧油の供給を制限し、側弁用電磁弁装置50を介して圧油を供給される状態において閉側配管36Bにおける上流側から下流側への圧油の通流、すなわち側弁用油圧式サーボモータ12(詳しくは圧油室12B)への圧油の供給を許容するようになっている。
第6のパイロット操作逆止弁40は、側弁用電磁弁装置50を介して圧油を供給されない状態においてドレン配管36BDにおける上流側から下流側への圧油の通流、すなわち側弁用油圧式サーボモータ12(詳しくは圧油室12B)からの圧油の排出を制限し、側弁用電磁弁装置50を介して圧油を供給される状態においてドレン配管36BDにおける上流側から下流側への圧油の通流、すなわち側弁用油圧式サーボモータ12(詳しくは圧油室12B)からの圧油の排出を許容するようになっている。
本実施の形態において前述の側弁用分岐配管49は、側弁用主圧油配管36における主配管部36Mから分岐する主分岐配管部49Mと、主分岐配管部49Mから延びて第3のパイロット操作逆止弁37及び第6のパイロット操作逆止弁40に接続される第1の分岐配管49Aと、主分岐配管部49Mから延びて第4のパイロット操作逆止弁38及び第5のパイロット操作逆止弁39に接続される第2の分岐配管49Bと、を有している。そして、本実施の形態において側弁用電磁弁装置50は、第1の分岐配管49Aに設けられた第3の単式電磁弁51と、第2の分岐配管49Bに設けられた第4の単式電磁弁52と、を有している。
本実施の形態において第3の単式電磁弁51は、ソレノイドと、電気信号の供給による当該ソレノイドの駆動に応じて流路を切り替えるスプール(図示省略)と、を有する3ポートのポペット式電磁弁として構成されている。第3の単式電磁弁51は、非励磁の状態(図1の状態)で出力ポートとドレンポートとを連通させることで第1の分岐配管49Aを遮断し、励磁の状態(例えば図7の状態)で入力ポートと出力ポートとを連通させることで第1の分岐配管49Aの一部を構成するようになっている。また、第1の単式電磁弁21は、出力ポートとドレンポートとを連通させる位置に向けて前記スプールを常時付勢するスプリング51Eを有している。
同様に、本実施の形態において第4の単式電磁弁52は、ソレノイドと、電気信号の供給による当該ソレノイドの駆動に応じて流路を切り替えるスプール(図示省略)と、を有する3ポートのポペット式電磁弁として構成されている。第4の単式電磁弁52は、非励磁の状態(図1の状態)で入力ポートと出力ポートとを連通させることで第2の分岐配管49Bの一部を構成し、励磁の状態(例えば図7の状態)で、出力ポートとドレンポートとを連通させることで第2の分岐配管49Bの一部を遮断するようになっている。第4の単式電磁弁52は、入力ポートと出力ポートとを連通させる位置に向けて前記スプールを常時付勢するスプリング52Eを有している。
側弁用電磁弁装置50は、第3の単式電磁弁51及び第4の単式電磁弁52を切り替えることによって、「開側状態」と「閉側状態」とを切替可能に構成されている。「開側状態」では、第3のパイロット逆止操作弁37及び第6のパイロット逆止操作弁40に圧油を供給する状態で且つ第4のパイロット操作逆止弁38及び第5のパイロット操作逆止弁39に圧油を供給しない。これにより、側弁102が開く。「閉側状態」では、第3のパイロット逆止操作弁37及び第6のパイロット逆止操作弁40に圧油を供給しない状態で且つ第4のパイロット操作逆止弁38及び第5のパイロット操作逆止弁39に圧油を供給する。これにより、側弁102が閉じる。
このようにして本実施の形態において側弁用電磁弁装置50は、第3の単式電磁弁51及び第4の単式電磁弁52を共に励磁の状態とすることで、「開側状態」となるように構成されており、一方、第3の単式電磁弁51及び第4の単式電磁弁52を共に非励磁の状態とすることで、「閉側状態」となるように構成されている。
また、図1に示すように、本実施の形態による入口弁制御装置1は、アキュムレータ60を更に備えている。アキュムレータ60は、アキュムレータ用配管61を介して可変容量ポンプ15に接続されている。本実施の形態においてアキュムレータ60は、可変容量ポンプ15から圧送される圧油によって、その内部の圧油の圧力が所定の圧力に維持されるようになっている。すなわち、本実施の形態において、可変容量ポンプ15は、側弁102等に圧油を供給することに加え、アキュムレータ60内の圧油の圧力を所定の圧力に維持するようになっている。詳しくは、アキュムレータ60には、アキュムレータ60内の圧油の圧力を検出する圧力スイッチ65が接続されており、可変容量ポンプ15は、圧力スイッチ65により検出された圧力値に応じて、その出力を調整する。このことにより、アキュムレータ60内の油が、所定の油量及び圧力に保持されるようになっている。
アキュムレータ60は、側弁用主圧油配管36の主配管部36Mから主弁用主圧油配管16に延びる補給用配管62を介して、主弁用主圧油配管16に接続されており、内部の圧油を主弁用主圧油配管16に供給することが可能となっている。ここで、アキュムレータ60は、定容量ポンプ14が停止した場合であっても所定の時間(例えば、数十時間)、主弁用主圧油配管16内の圧油の圧力を一定に維持することが可能な程度に、圧油の圧力を維持可能になっている。
なお、補給用配管62には、アキュムレータ60側から主弁用主圧油配管16側への圧油の供給を許容する一方で、主弁用主圧油配管16側からアキュムレータ60側への圧油の供給を制限する逆止弁63が設けられている。これにより、本実施の形態では、定容量ポンプ14からの圧油がアキュムレータ60内等の圧油の圧力に影響を及ぼすことが、防止されるようになっている。
一方で、本実施の形態による入口弁制御装置1は、図3に示すように、主弁101の開度を検出するための複数のリミットスイッチ110と、リミットスイッチ110に電気的に接続された開度検出部25と、開度検出部25の検出に応じて定容量ポンプ14の運転を切り替える切替装置26と、を備えている。
主弁101における弁操作アーム101Bには検出用アーム111が設けられており、当該検出用アーム111が弁体101A及び弁操作アーム101Bの回転に応じてリミットスイッチ110に当接した際に、当該リミットスイッチ110は、開度検出部25に信号を出力するようになっている。これにより、開度検出部25は、主弁101の全開状態、全開状態よりも小さい開度等の、複数の開度の状態を検出することが可能となっている。なお、リミットスイッチ110は、流路Fを画定する水圧鉄管の外側において弁操作アーム101Bに近接する位置で、当該水圧鉄管に固定されている。
本実施の形態において切替装置26は、電磁弁装置20が第1の状態(主弁開状態)である場合において、開度検出部25によって主弁101の全開状態が検出された際に、定容量ポンプ14を停止し、開度検出部25によって全開状態となった主弁101の開度が全開状態よりも小さくなったことが検出された際には、定容量ポンプ14を起動するようになっている。
次に、図1及び図4乃至図8を用いて、本実施の形態による入口弁制御装置1の作用について説明する。図1及び図4乃至図8において、各種配管において実線で示されている部位は、圧油の供給ラインを示し、破線で示されている部位は、圧油の非供給ライン(排油ラインも含む)を示している。
前述したように、図1において主弁101及び側弁102は閉じた状態となっている。この状態では、主弁用電磁弁装置20が、第1の単式電磁弁21及び第2の単式電磁弁22を共に非励磁の状態として、第1のパイロット操作逆止弁17に圧油を供給しない状態で且つ第2のパイロット操作逆止弁18に圧油を供給する「第2の状態(主弁閉状態)」となっている。
この場合、図1の実線の圧油の供給ラインに示すように、第1のパイロット操作逆止弁17には、主弁用電磁弁装置20を介して圧油が供給されない。第2のパイロット操作逆止弁18には、主弁用電磁弁装置20を介して圧油が供給される。これにより、主弁用主圧油配管16においては、定容量ポンプ14からの圧油が、第1のパイロット操作逆止弁17から下流側へ通流する、すなわち主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11Aに供給されることが制限される一方、主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11A内の圧油は、第2のパイロット操作逆止弁18及びドレン配管16Dを通って排出される。このようにして、圧油室11A内の圧油が排出され、主弁101は重錘101Cによって閉じる。
更に、図1においては、側弁用電磁弁装置50は、第3の単式電磁弁51及び第4の単式電磁弁52を共に非励磁の状態として、第3のパイロット逆止操作弁37及び第6のパイロット逆止操作弁40に圧油を供給しない状態で且つ第4のパイロット操作逆止弁38及び第5のパイロット操作逆止弁39に圧油を供給する「閉側状態」となっている。この場合、図1の実線の圧油の供給ラインに示すように、第4のパイロット操作逆止弁38及び第5のパイロット操作逆止弁39には、側弁用電磁弁装置50を介して圧油が供給されるが、第3のパイロット逆止操作弁37及び第6のパイロット逆止操作弁40には、側弁用電磁弁装置50を介して圧油が供給されない。これにより、側弁用主圧油配管36においては、可変容量ポンプ15からの圧油が、第3のパイロット操作逆止弁37及び開側配管36Aを通って開方向の圧油室12Aに供給されることが制限される一方、第5のパイロット操作逆止弁39及び閉側配管36Bを通って閉方向の圧油室12Bに供給される。
また、図1においては、側弁用油圧式サーボモータ12の開方向の圧油室12A内の圧油は、第5のパイロット操作逆止弁38及びドレン配管36ADを通って集油槽13に排出される一方、側弁用油圧式サーボモータ12の閉方向の圧油室12B内の圧油は、第6のパイロット操作逆止弁40及びドレン配管36BDを通って集油槽13から排出されることが制限される。このようにして、開方向の圧油室12A内の圧油は集油槽13に排出され、閉方向の圧油室12B内には可変容量ポンプ15から圧油が供給され、側弁102が閉じられる。
以上のような図1に示す状態から、入口弁100の主弁101及び側弁102を開く際には、側弁102を開いた後、主弁101を開く。
この場合、まず、側弁用油圧式サーボモータ12の開方向の圧油室12A内の圧油の排出を制限する。
すなわち、まず、図4に示すように、側弁用電磁弁装置50が、第4の単式電磁弁52を励磁の状態とする。この場合、図4の実線の圧油の供給ラインに示すように、第4のパイロット操作逆止弁38及び第5のパイロット操作逆止弁39に、側弁用電磁弁装置50を介して圧油が供給されない状態となる。これにより、側弁用油圧式サーボモータ12の開方向の圧油室12A内の圧油が、第5のパイロット操作逆止弁38及びドレン配管36ADを通って集油槽13に排出されることが制限される。また、可変容量ポンプ15からの圧油が、第3のパイロット操作逆止弁37を通って開方向の圧油室12Aに供給されることが制限されると共に、第5のパイロット操作逆止弁39を通って閉方向の圧油室12Bに供給されることも制限される。
これにより、側弁用油圧式サーボモータ12の開方向の圧油室12A内に圧油を充填することが可能な状態となる。
次いで、開方向の圧油室12A内に圧油を充填する。
すなわち、図5に示すように、側弁用電磁弁装置50が、第3の単式電磁弁51を励磁の状態とする。この場合、図5の実線の圧油の供給ラインに示すように、第3のパイロット操作逆止弁37及び第6のパイロット操作逆止弁40に、側弁用電磁弁装置50を介して圧油が供給される。これにより、図5の実線の圧油の供給ライン及び白抜きの矢印に示すように、側弁用主圧油配管36においては、可変容量ポンプ15からの圧油が第3のパイロット操作逆止弁37及び開側配管36Aを通って、開方向の圧油室12Aに供給される。また、側弁用油圧式サーボモータ12の閉方向の圧油室12B内の圧油が、図中白抜きの矢印に示すように、第6のパイロット操作逆止弁40及びドレン配管36BDを通って集油槽13に排出される。
これにより、側弁用油圧式サーボモータ12の開方向の圧油室12A内に圧油が充填され、側弁102が開く。
次いで、主弁101を開く際には、まず、主弁用油圧式モータ11の圧油室11A内の圧油の排出を制限する。すなわち、図6に示すように、主弁用電磁弁装置20が、第2の単式電磁弁22を励磁の状態とする。この場合、図6の実線の圧油の供給ラインに示すように、第2のパイロット操作逆止弁18に、主弁用電磁弁装置20を介して圧油が供給されない状態となる。これにより、主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11A内の圧油が、第2のパイロット操作逆止弁18及びドレン配管16Dを通って集油槽13に排出されることが制限される。
これにより、主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11A内に圧油を充填することが可能な状態となる。
次いで、主弁用油圧式モータ11の圧油室11A内に圧油を充填する。
すなわち、図7に示すように、主弁用電磁弁装置20が、第1の単式電磁弁21を励磁の状態とする。この状態は、第1の単式電磁弁21及び第2の単式電磁弁22を共に励磁の状態として、第1のパイロット逆止操作弁17に圧油を供給する状態で且つ第2のパイロット操作逆止弁18に圧油を供給しない「第1の状態(主弁開状態)」である。この場合、図7の実線の圧油の供給ラインに示すように、第1のパイロット操作逆止弁17に、主弁用電磁弁装置20を介して圧油が供給される。これにより、図7の実線の圧油の供給ライン及び白抜きの矢印に示すように、定容量ポンプ14からの圧油が、第1のパイロット操作逆止弁17から下流側へ通流することが許容される。これにより、主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11A内に圧油が充填され、主弁101の弁操作アーム101Bが、主弁用油圧式サーボモータ11の駆動ロッド11Rによって、重錘103Cの自重に抗して押し上げられる。そして、図7に示すように、主弁101が開いた状態とされる。
そして、本実施の形態の入口弁制御装置1では、主弁101が全開状態となったことが開度検出部25(図3参照)によって検出された場合には、切替装置26(図3参照)によって定容量ポンプ14が停止される。この状態では、主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11A内の圧油が、第2のパイロット操作逆止弁18及びドレン配管16Dを通って集油槽13に排出されることが制限される。更に、本実施の形態の入口弁制御装置1では、アキュムレータ60からの圧油が、補給用配管62を介して主弁用主圧油配管16に供給可能になっている。これにより、主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11A内の圧油の圧力が低下することを防止し、主弁101の全開状態が維持される。
また、アキュムレータ60からの圧油が、補給用配管62を介して主弁用主圧油配管16に供給されるものの、アキュムレータ60内の圧油の圧力が低下する等して、開度検出部25によって全開状態となった主弁101の開度が全開状態よりも小さくなったことが検出された際には、定容量ポンプ14が起動される。この場合も、定容量ポンプ14からの圧油が主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11A内に充填されることで、主弁101の全開状態が維持される。
このように本実施の形態の入口弁制御装置1では、主弁用電磁弁装置20が第1の状態(主弁開状態)である場合において、主弁101が全開状態となったことが開度検出部25によって検出された場合に、定容量ポンプ14が停止され、定容量ポンプ14の停止中における圧油の圧力の維持にアキュムレータ60が用いられる。そして、開度検出部25によって全開状態となった主弁101の開度が全開状態よりも小さくなったことが検出された際には、定容量ポンプ14が起動される。これにより、定容量ポンプ14の動作時間を低減することで、定容量ポンプ14の寿命の延長を図ることができると共に、水力発電設備において消費される電力の省エネルギー化を図ることができる。
また、本実施の形態による入口弁制御装置1では、図7に示すように、主弁101が開放された状態において仮に電源が消失された時(入口弁制御装置1の非給電時、例えば、単式電磁弁21,22に電気信号が送信されない時)に、主弁101を安全に閉じることができるようになっている。
すなわち、本実施の形態による入口弁制御装置1では、第1の単式電磁弁21が出力ポートとドレンポートとを連通させる位置に向けてそのスプールを常時付勢するスプリング21Eを有しており、第2の単式電磁弁22が、入力ポートと出力ポートとを連通させる位置に向けてそのスプールを常時付勢するスプリング22Eを有している。このことにより、電源が消失された時、すなわち、第1の単式電磁弁21及び第2の単式電磁弁22に対して電気信号を入力不可な時には、図8に示すように、主弁用電磁弁装置20は、第1のパイロット操作逆止弁17に圧油を供給しない状態で且つ第2のパイロット操作逆止弁18に圧油を供給する「第2の状態」、すなわち「主弁閉状態」となる。
このため、電源が消失された時には、図8における白抜きの矢印に示すように、主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11A内の圧油が、主弁用主圧油配管16における第1のパイロット操作逆止弁17の下流側の部位を経由して第2のパイロット操作逆止弁18を通り、ドレン配管16Dから排出される。これにより、重錘101Bが自重によって主弁101に対して閉じる方向への負荷を作用させ、圧油によって押し上げられていた主弁101の弁操作アーム101Bが下降する。これにより、主弁101を安全に閉じることができる。
以上のように本実施の形態による入口弁制御装置1によれば、電源が消失された時に入口弁100の主弁101を安全に閉じることができる。また、主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11Aから圧油を排出させることによって、主弁101を閉じることができる。このため、主弁101を閉じるために圧油の圧力や油量を確保しておくことを不要とすることができ、例えば、従来の図9で示す入口弁制御装置200で用いられていた圧油タンク205を不要とできる。この結果、水車発電設備の建設コストや、入口弁制御装置1の保守及び管理コストを抑制することもできる。
更に、アキュムレータ60が用いられることによって、定容量ポンプ14が停止された場合であっても、主弁用油圧式サーボモータ11の圧油室11A内に圧油が充填されることで、主弁101の全開状態が維持される。また、アキュムレータ60が用いられることによって、定容量ポンプ14が故障した場合に主弁101を安全に閉じることもできる。すなわち、定容量ポンプ14が故障した場合であっても、アキュムレータ60からの圧油によって、主弁用電磁弁装置20が、第1のパイロット操作逆止弁17に圧油を供給しない状態で且つ第2のパイロット操作逆止弁18に圧油を供給する「第2の状態」、すなわち「主弁閉状態」となることが可能である。このため、主弁101を安全に閉じることができる。更に、本実施の形態では、定容量ポンプ14及びアキュムレータ60が故障等して、第2のパイロット操作逆止弁18に圧油を供給不能な状況になった場合であっても、開閉弁70(図1または図7参照)を開くことで、圧油室11A内の圧油を集油槽13に排出できる。このため、電源、並びに、定容量ポンプ14及びアキュムレータ60からの油圧が消失された場合においても、主弁101を閉じることができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記の実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、上記の実施の形態では、主弁用主圧油配管16における第1のパイロット逆止操作弁17の下流側の位置からドレン配管16Dが分岐しているが、ドレン配管16Dは、主弁用主圧油配管16における第1のパイロット逆止操作弁17の上流側の位置から分岐していてもよい。また、主弁用主圧油配管16における第1のパイロット逆止操作弁17の下流側の位置に、第1のパイロット逆止操作弁17と同様の構成のパイロット逆止操作弁が更に設けられていてもよい。この場合、これら2つのパイロット逆止操作弁の間の位置からドレン配管16Dを分岐させることが好適である。
また、上記の実施の形態では、電磁弁装置20が2つの単式電磁弁によって構成されているが、電磁弁装置20が1つの電磁弁によって構成されていても構わない。