JP6358592B2 - 内接歯車型膨張機 - Google Patents

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Description

本発明は、発電サイクル等の熱機関サイクルに適用可能な高効率の内接歯車型膨張機に関するものである。
現在、自動車のエンジン、工場や太陽熱などの排熱源からランキンサイクルを用いて動力回収・発電を行うシステムの設計開発が盛んに行われている。しかし、実用化されているシステムの多くは、熱源温度が200℃以上で出力が10kW以上の比較的大規模な装置であり、熱源温度が100℃以下でありかつ出力が100〜1kW程度にまで小型化したシステムを実用化した例はほとんどない。
こうした小型ランキンサイクルシステムを実用化するには、システムの正味熱効率を向上する高効率の膨張機が必要とされている。
ところで、本発明者らは、小型ランキンサイクルの実用化のため、システム内に通常、設けられる作動流体ポンプを用いずに熱交換器の熱源を切り替えることにより作動流体を駆動するポンプレスランキン型サイクルを既に提案している(特許文献1及び特許文献2)。
しかしながら、既提案のサイクルは、膨張機として膨張バルブを疑似的に利用して、そのサイクルが動作することを実証した段階であり、既提案のサイクルにおいても、これに適用可能な高効率の膨張機が必要とされている。
こうした要望に対して、本発明者らは特許文献3に示すような内接歯車型膨張機を既に提案している。しかしながら、高効率化に向けて未だに改善の余地がある。
次に、改善すべき課題を、図8の各図を参照しながら説明する。図8(a)にアウターロータ20及びインナーロータ10の側面概略図を示す。図8(b)は、図8(a)中のZ−Z線で破断した概略図を示す。図8(b)に示すように、従来の膨張機においては、アウターロータ20及びインナーロータ10の幅をW、ロータケーシング30の深さをDと表記したとき、DがWより大きく設計されている。このように設計しなければ、アウターロータ20及びインナーロータ10が軸(ロータ軸90)方向に隣接するカバー部材50と接触するようになり、適切な回転が得られなくなる。つまり、これらのロータ10,20の側面には適切な回転を得るためのクリアランス(D−Wのギャップ)Gが必ず存在する。
しかしながら、このクリアランスGの存在は、望ましくない漏れ損失を引き起こしてしまう。具体的には、図8(a)〜(c)に示すように、入口(吸入通路)44から上記ロータ10,20の外歯13,内歯21間に区画された空間(ロータ室)2内に導入された高圧の作動流体が、ロータ室2に留まることなく、ロータ側面にある上記クリアランスGを通ってロータ室2外へ漏れ出すようになる(図8(c)中の破線で示した矢印を参照)。そして、この漏れ出した流体はロータ10,20の回転には全く寄与することなく出口(吐出通路)45側に流れ出すようになる。つまり、この漏れ損失が、従来の膨張機の容積効率低下の主要因となっている。なお、ロータ10,20には両側面があるため、どちらの側面にもクリアランスG及びこれに起因した漏れ損失が生じる場合がある。
特開2011−012644号公報 特開2011−012645号公報 特開2012−188975号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、発電サイクル等の熱機関サイクル(特に小型かつ低温度差ランキンサイクル)に適用可能な高効率の内接歯車型膨張機を提供することを目的とする。
また、本発明のもう一つの目的は、作動流体の漏れによる損失を抑制した高効率の内接歯車型膨張機を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の末、特許文献3に開示の内接歯車型膨張機において、軸方向側面カバーに対し構造的改良を施せば、上記目的のための膨張機として適用できることを見出し、本発明を完成するに至った。
より具体的には、本発明者らは、図8(d)に示すように、
(1)吸入・吐出ポート42,43を有した第1カバー40とは反対の側である第2カバー50側に、シリンダ及びピストンに似た働きをする可動機構を持たせ、
(2)バネのような機械的外力又は流体に生じる圧力、或いは双方の力を利用して、この可動機構をロータ室2側(つまり第1カバー40側)に押し戻す力Fを生ぜしめ、さらに好ましくは、
(3)この押し戻す力Fを、ロータ室2内の作動流体が第2カバー50側に向かって作用する力fと同等の力(又はこの力fより若干大きな力)に調整自在にすることにより、双方の力F,fを相殺して、上述のクリアランスGを略零にする構造を見出した。
すなわち本発明は、例えば、以下の構成・特徴を備えるものである。
(態様1)
内歯を有したアウターロータと、
前記内歯と噛合する外歯と、軸穴とを有したインナーロータと、
前記内歯と前記外歯との間に区画され、かつ、作動流体を流通可能なロータ室と、
前記軸穴に挿通されかつ前記インナーロータを回転可能に軸支するロータ軸と、
前記アウターロータを回転可能に支持する軸受が設けられた内周面を有するロータケーシングと、
前記ロータ室の軸方向一側に設けられ、かつ、作動流体用の吸入・吐出ポートが該側に向けて形成された第1カバーと、
前記ロータ室の軸方向他側に設けられた第2カバーと、
を備えた内接歯車型膨張機であって、かつ、
第2カバーは、圧力室が設けられた固定部と、該固定部に軸方向移動可能に支持されかつ前記アウターロータ及び前記インナーロータに対面した可動板とを備え、
前記可動板には、前記ロータ室と前記圧力室との間を接続し作動流体の往来を可能にする通気孔と、カウンターポートとが形成され、
前記カウンターポートは前記吸入・吐出ポートに対応した形状を成す第1・第2ポートを有し、かつ、第1・第2ポートはそれぞれ、前記ロータ室を挟んで前記吸入・吐出ポートに対向した位置に設けられ、
前記圧力室内の作動流体は前記可動板を第1カバー側へ押し戻す力を発生させることを特徴とする内接歯車型膨張機。
(態様2)
前記圧力室は、第1カバーの吸入ポート位置付近に向かい合うように、第2カバーの中心から偏って配置され、かつ、
前記通気孔の一端が、前記カウンターポートの第1ポートに連結されていることを特徴とする態様1に記載の内接歯車型膨張機。
(態様3)
前記固定部には、前記可動板を第1カバー側へ付勢する付勢装置がさらに設けられていることを特徴とする態様1又は2に記載の内接歯車型膨張機。
(態様4)
前記付勢装置は、前記可動板に接触可能な摺動体と、該摺動体に付勢力を付与する付勢力発生部材とを備えることを特徴とする態様3に記載の内接歯車型膨張機。
(態様5)
前記可動板を押し戻す方向に作用する前記圧力室内の面積を調整可能な調整部がさらに設けられていることを特徴とする態様1〜4のいずれかに記載の内接歯車型膨張機。
(態様6)
前記可動板を押し戻す方向に作用する前記圧力室内の面積、及び、前記付勢力発生部材での付勢力の少なくとも一方を調整可能な調整部がさらに設けられていることを特徴とする態様4に記載の内接歯車型膨張機。
ここで、「内接歯車型膨張機」とは内歯歯車(上記アウターロータ)と外歯歯車(上記インナーロータ)とからなる一対の内接歯車を使用する膨張機のことである。なお、内接歯車以外の歯車として、外歯歯車同士が噛合う外接歯車がある。また、本発明の内接歯車には、アウターロータとインナーロータの歯車又は歯の輪郭がトロコイド曲線を形成する一対の内接歯車(トロコイド歯車、実施例で後述)の他、インボリュート曲線やサイクロイド曲線を形成する内接歯車(インボリュート歯車やサイクロイド歯車)を用いても良い。
本発明の膨張機によれば、上述の如く軸方向に移動可能な可動板が設けられているため、第1・第2カバーと、アウターロータ及びインナーロータとの間(つまり、ロータ室の両側面)での余分なクリアランスGを排除(限りなく小さく)でき、ロータ室のいずれの側面からの流体の漏れを抑制することが可能となるため、優れた容積効率を有するようになる。
本発明の膨張機の斜視図である。 本発明の膨張機の分解斜視図である。 別の方向から観察した分解斜視図である。 本発明の膨張機の平面図及び右側面図である。 本発明の膨張機の断面概略図である。 本発明の可動板を説明した図である。 本発明の第1摺動体を説明した図である。 従来の膨張機のカバー構造と本発明の膨張機のカバー構造とを比較した図である。
以下、添付の図面を参照しながら下記の具体的な実施形態に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施形態に何等限定されるものではない。
(本発明の膨張機の構成)
図1〜図3は、本発明の実施例に係る内接歯車型膨張機1(以下、単に「膨張機」とも呼ぶ)の概略を示した斜視図及び分解斜視図である。ここで、図2及び図3は、膨張機1の構成部品を軸(ロータ軸90)方向に分解した図であり、図3は図2とは反対の方向から観た分解斜視図である。図4(a)及び(b)、並びに図5は、本実施例の膨張機1の平面図及び右側面図、並びに断面概略図である。ここで、図5はロータ軸90を通過するように破断した断面を主に示すが、図4(b)中の一点鎖線(縦方向)に沿って破断した部分も切り抜いて示す。また、図6は、本実施例の可動板52の左側面図(a)、正面図(b)、右側面図(c)、斜視図(d)、及び図6(a)又は(c)中Z−Z線で破断した断面図(e)である。また、図7は、本実施例の第1摺動体551の左側面図(a)、正面図(b)、右側面図(c)、斜視図(d)、及び図7(a)又は(c)中Z−Z線で破断した断面図(e)である。なお、図1〜3においては、構成部品同士を固定するボルト等の付属部品の一部は、構成部品の見易さ向上等の観点から図示していない。
これらの図1〜3に示すように、膨張機1は円筒形を成す複数の部材から構成される。これらの部材は、具体的には、インナーロータ10、アウターロータ20、これらのロータ10,20を収容するロータケーシング30、ロータケーシング30を軸方向両側から挟むように取り付けられる第1・第2カバー40,50、中間プレート60、シールケース70、台座80等である。
(構成部品の組み付け構造)
なお、インナーロータ10、第1カバー40、中間プレート60、シールケース70の円筒断面中央には、ロータ軸90を挿通するための軸穴11,41,61,71が設けられている。また、ロータケーシング30と、第1・第2カバー40,50は、複数本(図4(a)では4本)のボルトB1が挿入されて互いに一体に組み付けられる。同様に、第1カバー40と台座90とは複数本(図4(b)では4本)のボルトB2によって互いに接続される。このように上述の部品10,20,30,40,50,60,70,80,90は一体に組み付けられ、本実施例の膨張機1が形作られる(図1〜3を参照)。
(ロータ軸の回転構造)
第1カバー40の軸穴41には、図5に示すように、ロータ軸90を回転可能に支持可能なニードルベアリング49が設けられ、シールケース70の軸穴71には、ロータ軸90を回転可能に支持可能なボールベアリング72やオイルシール73が設けられる。ロータ軸90の一端には、インナーロータ10のキー溝12に嵌合するキー91が設けられる。以上の構成より、膨張機1内に挿通されたロータ軸90は、インナーロータ10で得られた回転力を膨張機1の外部へ伝達可能となる。
次に、本発明の作用効果を発揮する主要な構成部品の構造や特徴について詳述する。アウターロータ20は内歯21を有する一方、インナーロータ10は内歯21と噛合する外歯13を有する。これにより、内歯21と外歯13との間に作動流体が流通する内部空間(ロータ室)2が区画される。なお、ロータ10,20の構成自体は従来の構成と変更が無いため、図8(a)も適宜、参照されたい。また、ロータ軸90は、上述のとおり、軸穴11に挿通され、かつ、インナーロータ10を回転可能に軸支する。ロータケーシング30の内周面31には、アウターロータ20を回転可能に支持する軸受(図5では、ニードルベアリング)32が設けられる。
従って、第1カバー40と第2カバー50とは、ロータ室2を挟んで軸方向にその一側と他側に設けられることになる。第1カバー40は、製造上及び組立上の理由から、図2〜図5中の第1・第2部材40a,40bのように複数の部品で分割されていてもよい。第1カバー40(具体的には第2部材40b)には、ロータ室2に向けて吸入・吐出ポート42,43が形成されている。吸入ポート42は、第1カバー40(第1部材40a)の外周面に一端が開口した吸入通路44から高圧の作動流体を受け入れてロータ室2へ供給する。作動流体はロータ室2を押し広げながらインナーロータ10及びアウターロータ20を回転させ、作動流体が有する運動エネルギーの一部を機械的な仕事に変換する。その後、作動流体はロータ室2から吐出ポート43及び吐出通路45を通り、第1カバー40(第1部材40a)の外周面に設けられた吐出通路45の開口部から外部へ排出される。つまり、第1カバー40は、吸入・吐出通路44,45や吸入・吐出ポート42,43が集中的に形成されたポート本体の役目を果たす。
本発明では、本発明の目的を達成するために、第2カバー50に、これから述べる独創的な構造を採用していることに留意されたい。一方、従来の膨張機では、第2カバー50は、単純な平板状を成し、ロータ室2の軸方向他側に蓋をする役割を果たすのみである(図8(b)を参照)。
(第2カバーの構造)
次に、第2カバー50の構造について詳しく説明する。
第2カバー50は、図2及び図3に示すように、円柱状の固定部51と、円板状の可動板52と、含んでいることに留意されたい。固定部51は、さらに、製造上及び組立上の理由から、図示の第1・第2固定部53,54のように複数の部品で分割されていてもよい。図示では、第1固定部53は可動板52を囲繞可能な開口部531を有したスリーブを成し、第2固定部54は固体部本体を成す。なお、可動板52は、後述するように、第2カバー50の固定部51に軸方向に移動可能に支持されるとともに、アウターロータ20、インナーロータ10、及びロータ室2の側面に対面するように保持される。
(可動板の構造)
可動板52は、図5及び図6の(a)〜(e)に示すように、比較的小さな直径及び比較的大きな厚みを有した板本体521と、比較的小さな外径及び比較的小さな厚みを有した外縁部522と、を有する。この可動板52を囲繞可能な第1固定部(スリーブ)53の開口部531は、図3に示すように、板本体521と外縁部522とを収容できるよう、これらの要素に対応した形状(つまり、比較的小さな内径と比較的大きな内径とを有した段差構造532)を成す。
可動板52の外縁部522にはピン523を挿通する貫通穴524が設けられ、この貫通穴524の直径と位置に対応した窪み533がスリーブ53の段差部532にも設けられ、窪み533の底にピン523の先端が突き当たる(図5を参照)。これにより、可動板52は、スリーブ53の開口部531の内周面上を軸方向に移動可能となる。また、図5及び図6(b)に示すように、板本体521の外周面には円周に沿って溝525が設けられ、この溝525内にO−リング526が配置され、可動板52とスリーブ53との間の間隙からの気体(作動流体)の漏出を防ぐことができる。
可動板52の板本体521は、図6(b)〜(e)に示すように、各ロータ10,20やロータ室2の側に配向された第1側面527と、第2固定部(固体部本体)54の側に配向された第2側面528と、を備える。第2固定部54には、収容室(図2では、固定部本体54を貫通した中空円筒空間)541が設けられる。
(付勢装置の構造)
収容室541には、ロータ室2に向けて可動板52を移動させる付勢装置55が収容される。付勢装置55は、例えば、図5の切り抜き部分に示すように、第1・第2摺動体551,552と、第1・第2摺動体551,552の間に設けられた付勢力発生部材(図示ではバネ体)553と、を少なくとも含む。付勢力発生部材553は、第1・第2摺動体551,552に夫々、摺動力(弾性力)を付与しながら、第1・第2摺動体551,552の間を所定距離だけ離間させるため、その離間距離に応じた中空空間(圧力室)542が形成されることになる。つまり、この実施例では、第2固定部54の収容室541内に付勢装置55と圧力室542とが設けられた構成を成す。なお、第2摺動体552は、取付ボルト554によって固定部本体54に取り付け可能なカバーキャップ555内に収容されても良い。第1・第2摺動体551,552は、隣接部材と接する面にO−リングが適宜、配設されている。
(圧力室への高圧作動流体の導入)
可動板52と第1摺動体551とには夫々、通気孔52c,551cが設けられる。これにより、ロータ室2と圧力室542とを連通し、ロータ室2内の作動流体を、通気孔52c,551cを通して圧力室542内に流入させること(言い換えれば、ロータ室2と圧力室542との間で作動流体を往来させること)ができる。
より好ましくは、第1摺動体551には突出部551pが設けられ、この突出部551pの内にも上記通気孔551cが形成されており、一方、可動板52の通気孔52cは第2側面528に開口した窪み529を含み、この窪み529に突出部551pが嵌め込まれる。これにより、ロータ室2内の作動流体は、可動板52の通気孔52c、窪み529、第1摺動体551の通気孔551cの順で流れて行き、最終的に圧力室542に到達する。そして、圧力室542は収容室541の内周壁及び第2摺動体552によって閉じられているので、通気孔551cから圧力室542へ流入した作動流体は、通気孔551c以外からは漏れ出すことはない。なお、図5中のハッチングは、吸入通路44から吸入ポート42及びロータ室2を経由して圧力室542に進入した作動流体を示す。
従って、圧力室542内の作動流体も高圧の状態となる。第1摺動体551の内側面(圧力室542に向いた側面)551iは、圧力室542内の作動流体の高圧により、可動板52をロータ室2側に押し戻す方向に力を受けることになる。この効果を最大限発揮させる為に、上記内側面551iは可動板52の側面527,528に平行であることが好ましい。
(カウンターポートの配設)
また、可動板52の第1側面527(ロータ室2側)には、カウンターポート56がさらに形成されていることが好ましい(図2及び図6を参照)。このカウンターポート56は、第1カバー40(40b)上に設けられた吸入ポート42に対応した形状を有しかつ該吸入ポート42に対向する位置に形成された第1ポート561と、吐出ポート43に対応した形状を有しかつ該吐出ポート43に対向する位置に形成された第2ポート562を有することがさらに好ましい。これにより、ロータ室2の両側で同様の作動流体収容空間が形成され、ロータ室2内で時々刻々と変動する圧力の均衡が保たれ易くなる。
なお、圧力室542は、第1カバー40(40b)の吸入ポート42位置付近に向かい合うように、第2カバー50(54)の中心から偏って(実施例では圧力室542の中心軸が第2カバー50の中心軸に対して偏芯して)配置されていることが好ましい。これにより、可動板52の望ましい位置でロータ室2を押し戻す力Fを発生させることができる。加えて、上述の通気孔52cの一端(開口端)52c1が、図5並びに図6(a)及び(e)に示すように、第1ポート561内に形成されていることがさらに好ましい。ロータ室2を介して吸入ポート42に連結された第1ポート561内の作動流体は、吐出ポート43に連結された第2ポート562の作動流体よりも圧力が高くなる。このように形成された通気孔52cは、第1ポート561と圧力室542とを連通することになるため、圧力室542内の作動流体も極めて高圧となり、ひいては第1摺動体551が可動板52を押し戻す力Fを最大限にする。
また、第1摺動体551の外周面551sや外側面551oには、O−リング557,558が収容された溝551g1,551g2が形成されていることが好ましい(図7参照)。これにより、通気孔551c、可動板52の窪み529、圧力室542内の作動流体が、収容室541の内壁と外周面551sとの隙間もしくは可動板52と外側面551oとの隙間から漏れ出すことを防ぐことが可能となる。
(本発明の作用)
以上のような構成の付勢装置55や圧力室542を設けることで、(1)機械的外力又は(2)流体に生じる圧力、或いは双方の力を発生させ、これらの力を利用してこの可動板52をロータ室2(つまり第1カバー40)側に押し戻す力Fを生ぜしめることができる(図5及び図8(d)を参照)。
(双方向の力の相殺)
さらに、この押し戻す力Fを、ロータ室2内の作動流体が第2カバー50側に向かって作用する力fと同等の力(又はこの力より若干大きな力)に調整自在にすることにより、双方の力F,fを相殺して、上述のクリアランスGを略零にすることが可能となる。これにより、上述の力F,fが作用し合う可動板52とロータ10,20との間には、作動流体による膜が形成され、その膜は微小な厚さであるために、作動流体がロータ側面から絶えず漏出するといった従来の問題は起こらない。言い換えれば、本発明の膨張機1は、このような力F,fのバランス状態を生成・保持することにより、第2カバー50(の可動板52)と、ロータ10,20との間で、ロータ室2からの作動流体の漏れを極力抑制することが可能となるため、優れた容積効率を有するようになる。
また、本発明の膨張機1は、付勢力や流体圧力を微調整できる調整部(後述の付勢力調整器具や流体圧力調整機構)を有することが好ましく、これにより上記押し戻す力Fの微調節が可能になる。具体的には、この調整部は、圧力室542内の作動流体が可動板52を押し戻す力(又は、この押し戻す力と付勢装置55の付勢力との総和)Fを、吸入ポート42内の作動流体がロータ10,20(ロータ室2)を第2カバー50側へ押す力fに等しいか又は若干大きくなるように調整できようになる。
(付勢力の微調整)
上記押し戻す力の調節のために、図5に示すように、付勢力発生部材553の付勢力(例えば、ばね力)を微調整しても良く、例えば、カバーキャップ555内に設けられた調整ボルト556等の付勢力調整器具を用いても良い。
(流体圧力の微調整)
また、可動板52に向いた圧力室542の開口面積又は第1摺動体551の内側面の面積の大きさを微調整することでも、流体圧力が可動板52に及ぼす力を変化させることができる。従って、これらの面積を変更できるような流体圧力調整機構(図示しないが、例えば、圧力室542内に開口面積が異なるよう入れ子状の追加部材や寸法の異なる第1摺動体551の設置)を採用しても良い。
本発明は、上述したように、ロータ側面を介したロータ室からの作動流体の漏れによる損失を抑制した高効率の内接歯車型膨張機を提供することができるため、自動車のエンジン、工場や太陽熱などの排熱源から動力回収・発電を行う通常のランキンサイクルシステムや小型ランキンサイクルシステムのための膨張機として採用可能である。また、本発明の膨張機は高効率であり、本発明者らが既に提案したポンプレスランキン型サイクルシステムのための膨張機として採用することで、既提案のシステムを実用化することが可能である。従って、本発明の膨張機は、産業上の利用可能性が非常に高い。
1 内接歯車型膨張機
2 ロータ室
10 インナーロータ
11 インナーロータの軸穴
13 インナーロータの外歯
20 アウターロータ
21 アウターロータの内歯
30 ロータケーシング
31 ロータケーシングの内周面
32 軸受
40 第1カバー(ポート本体)
42 吸入ポート
43 吐出ポート
50 第2カバー
51 固定部
52 可動板
52c 通気孔
55 付勢装置
56 カウンターポート
90 ロータ軸
542 圧力室
551 摺動体
553 付勢力発生部材
561 カウンターポートの第1ポート
562 カウンターポートの第2ポート

Claims (6)

  1. 内歯を有したアウターロータと、
    前記内歯と噛合する外歯と、軸穴とを有したインナーロータと、
    前記内歯と前記外歯との間に区画され、かつ、作動流体を流通可能なロータ室と、
    前記軸穴に挿通されかつ前記インナーロータを回転可能に軸支するロータ軸と、
    前記アウターロータを回転可能に支持する軸受が設けられた内周面を有するロータケーシングと、
    前記ロータ室の軸方向一側に設けられ、かつ、作動流体用の吸入・吐出ポートが該側に向けて形成された第1カバーと、
    前記ロータ室の軸方向他側に設けられた第2カバーと、
    を備えた内接歯車型膨張機であって、かつ、
    第2カバーは、圧力室が設けられた固定部と、該固定部に軸方向移動可能に支持されかつ前記アウターロータ及び前記インナーロータに対面した可動板とを備え、
    前記可動板には、前記ロータ室と前記圧力室との間を接続し作動流体の往来を可能にする通気孔と、カウンターポートとが形成され、
    前記カウンターポートは前記吸入・吐出ポートに対応した形状を成す第1・第2ポートを有し、かつ、第1・第2ポートはそれぞれ、前記ロータ室を挟んで前記吸入・吐出ポートに対向した位置に設けられ、
    前記圧力室内の作動流体は前記可動板を第1カバー側へ押し戻す力を発生させることを特徴とする内接歯車型膨張機。
  2. 前記圧力室は、第1カバーの吸入ポート位置付近に向かい合うように、第2カバーの中心から偏って配置され、かつ、
    前記通気孔の一端が、前記カウンターポートの第1ポートに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の内接歯車型膨張機。
  3. 前記固定部には、前記可動板を第1カバー側へ付勢する付勢装置がさらに設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内接歯車型膨張機。
  4. 前記付勢装置は、前記可動板に接触可能な摺動体と、該摺動体に付勢力を付与する付勢力発生部材とを備えることを特徴とする請求項3に記載の内接歯車型膨張機。
  5. 前記可動板を押し戻す方向に作用する前記圧力室内の面積を調整可能な調整部がさらに設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内接歯車型膨張機。
  6. 前記可動板を押し戻す方向に作用する前記圧力室内の面積、及び、前記付勢力発生部材での付勢力の少なくとも一方を調整可能な調整部がさらに設けられていることを特徴とする請求項4に記載の内接歯車型膨張機。
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