以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1〜図3を用いて、本実施形態に係る検査装置の構成について説明する。この検査措置200は、図1に示すように、検査テーブル10、基板搬送テーブル50、及び、撮像ユニット80を有して構成されている。なお、以降の説明において、検査装置200で検査される被検査体は、ICチップやコネクタといった各種電子部品が実装された電子基板(以下、「基板2」と称する)であるものとして説明するが、本発明の検査対象がこのような電子基板に限定されることはない。また、被検査体としての基板2を移動させて撮像ユニット80により画像を取得する方向(走査方向)をY軸とし、検査テーブル10に略平行な平面において、このY軸と直交するする方向(後述する走査ラインが延びる撮像方向)をX軸とする。
この検査装置200において、基板搬送テーブル50は、検査テーブル10の下方に配置された支持プレート52、及び、この支持プレート52上に支持され、検査テーブル10の上方に配置されてX軸方向に略平行に延びる2本の搬送レール54を有している。また、この搬送レール54に対しては、位置決めモータ56a、及び、この位置決めモータ56aにより搬送レール54上の基板2をX軸方向に移動させる搬送ベルト56bからなる位置決め機構56が設けられている。この位置決め機構56は、搬送レール54(搬送ベルト56b)上に載置された基板2のX軸方向の位置決めをするものであり、その動作については後述する。なお、本実施形態における基板2は、表面側がいわゆるリフロー面とされ、裏面側がいわゆるDIP面とされている。
また、基板搬送テーブル50は、検査装置200の下方に設けられ、Y軸方向に延びるガイドシャフト(図示せず)が挿通される挿通部を有している。そして、当該ガイドシャフトには、搬送モータ58a(図4に図示)により駆動される送りねじ(ボールねじ)58bが螺合しており、この送りねじ58bを回転させることにより、基板搬送テーブル50をY軸方向に移動させて、基板2を撮像ユニット80へと移動させる(搬送する)ことができる。
また、図2に示すように、撮像ユニット80には、基板2の表面側、すなわちリフロー面側を上方から撮像するための表面側撮像ユニット80a、及び、基板2の裏面側、すなわちDIP面側を下方から撮像するための裏面側撮像ユニット80bを有して構成されている。ここで、表面側撮像ユニット80aは、搬送レール54の上方に配置され、裏面側撮像ユニット80bは、表面側撮像ユニット80aとともに基板2を挟むように搬送レール54の下方に配置されている。
表面側撮像ユニット80aは、表面側照明ユニット100a、表面側支持フレーム36a、ベースフレーム38、第1撮像部30a、第2撮像部30b、焦点調整モータ40、第1中間レンズ42a、第2中間レンズ42b等を有する。また、裏面側撮像ユニット80bは、裏面側照明ユニット100b、裏面側支持フレーム36b、第3撮像部30c、第4撮像部30d、第3中間レンズ42c、第4中間レンズ42d等を有する。以下、適宜、第1撮像部30a、第2撮像部30b、第3撮像部30c及び第4撮像部30dを「撮像部30」と呼び、表面側照明ユニット100a及び裏面側照明ユニット100bを「照明ユニット100」と呼ぶ。
表面側支持フレーム36aには、第1撮像部30a、第2撮像部30b、第1中間レンズ42a及び第2中間レンズ42bが取り付けられている。ここで、第1撮像部30aは、第1レンズ32a及び第1ラインセンサ34aを含み、第2撮像部30bは、第2レンズ32b及び第2ラインセンサ34bを含む。これらの第1撮像部30a及び第2撮像部30bは、基板2の表面側を撮像するために、この基板2の上方にX軸方向に並んで配置されている。なお、第1レンズ32a及び第1中間レンズ42aからなる光学系、並びに、第2レンズ32b及び第2中間レンズ42bからなる光学系の光軸は、後述する表面側照明ユニット100aのハーフミラー110aにより折り曲げられており、第1ラインセンサ34a及び第2ラインセンサ34b側はY軸方向に延び、基板2に対しては略垂直方向(検査テーブル10の平面(X軸及びY軸を含む平面)に略直交する方向(図1に示すZ軸方向))に延びるように構成されている。また、第1レンズ32a、第1ラインセンサ34a、第1中間レンズ42a、第2レンズ32b、第2ラインセンサ34b、及び、第2中間レンズ42bは、第1撮像部30a及び第2撮像部30bの撮像範囲(後述する走査ライン)の少なくとも一部が重なるように配置されている。このように、複数の撮像部30a,30bを用いることにより、基板2の表面をX軸方向に並ぶ2つの領域に分割してそれぞれの撮像部30a,30bでそれぞれの領域を撮像するため、高い解像度で基板2の表面を撮像可能となり、検査精度を向上させることができる。また、複数の撮像部30a,30bを用いることにより、撮像した画像の処理を分散して実行できることから、検査速度を向上させることが可能となる。
また、本実施形態では、表面側撮像ユニット80aの表面側支持フレーム36aが、ベースフレーム38上に基板2の走査方向(Y軸方向)に摺動自在に支持されており、表面側支持フレーム36aは、焦点調整モータ40によってベースフレーム38に対して移動させられる。すなわち、焦点調整モータ40を作動させることにより、表面側支持フレーム36aに固定されている第1撮像部30a、第2撮像部30b、第1中間レンズ42a及び第2中間レンズ42bをベースフレーム38に対してY軸方向に一体に移動させることができる。
一方、裏面側撮像ユニット80bの第3撮像部30cは、第3レンズ32c及び第3ラインセンサ34cを含み、第4撮像部30dは、第4レンズ32d及び第4ラインセンサ34dを含む。そして、裏面側撮像ユニット80bの第3撮像部30c、第4撮像部30d、第3中間レンズ42c及び第4中間レンズ42dは、ベースフレーム38等の下方に位置決めされている裏面側支持フレーム36b上に取り付けられている。この裏面側撮像ユニット80bの第3撮像部30c及び第4撮像部30dは、基板2の裏面側を撮像するために、基板2の下方にX軸方向に並んで配置されている。なお、第3レンズ32c及び第3中間レンズ42cからなる光学系、並びに、第4レンズ32d及び第4中間レンズ42dからなる光学系の光軸は、後述する裏面側照明ユニット100bのハーフミラー110bにより折り曲げられており、第3ラインセンサ34c及び第4ラインセンサ34d側はY軸方向に延び、基板2に対しては略垂直方向(Z軸方向)に延びるように構成されている。また、第3レンズ32c、第3ラインセンサ34c、第3中間レンズ42c、第4レンズ32d、第4ラインセンサ34d、及び、第4中間レンズ42dは、第3撮像部30c及び第4撮像部30dの撮像範囲(後述する走査ライン)の少なくとも一部が重なるように配置されている。この裏面側撮像ユニット80bも、複数の撮像部30c,30dを用いることにより、高い解像度で基板2の裏面を撮像可能となり、検査精度を向上させることができる。また、複数の撮像部30c,30dを用いることにより、撮像した画像の処理を分散して実行できることから、検査速度を向上させることが可能となる。
図1及び図2から明らかなように表面側撮像ユニット80aの第1及び第2ラインセンサ34a,34bはX軸方向に並んで配置されており、基板2上の第1及び第2レンズ32a,32b並びに第1及び第2中間レンズ42a,42bからなる光学系による第1及び第2ラインセンサ34a,34bと共役な位置の像をこれらのラインセンサ34a,34bで撮像することができる。また同様に、裏面側撮像ユニット80bの第3及び第4ラインセンサ34c,34dもX軸方向に並んで配置されており、基板2上の第3及び第4レンズ32c,32d並びに第3及び第4中間レンズ42c,42dからなる光学系による第3及び第4ラインセンサ34c,34dと共役な位置の像をこれらのラインセンサ34c,34dで撮像することができる。以下、基板2上の撮像位置(撮像範囲)を「走査ライン」と呼ぶ。この走査ラインは、基板2を撮像ユニット80により走査する方向(Y軸方向)に対して略直交する方向(X軸方向)に延びている。すなわち、基板2を走査方向(Y軸方向)に移動させて撮像ユニット80で基板2の表裏面を走査する(走査ライン上の画像を取得する)ことにより、被検査体である基板2の表裏面全体の画像を取得することができる。
また、図3に示すように、照明ユニット100は、表面側撮像ユニット80aにより基板2の表面を撮像するための照明光を照射する表面側照明ユニット100aと、裏面側撮像ユニット80bにより基板2の裏面を撮像するための照明光を照射する裏面側照明ユニット100bと、から構成されている。また、表面側照明ユニット100aは、第1光源102a、2つの第2光源104a,104b、2つの第3光源106a,106b、ハーフミラー110a、及び、2つのアクリルシート112a,112b等を有しており、第1光源102aはハーフミラー110aの上方に配置され、第2光源104a,104b及び第3光源106a,106bは、ハーフミラー110aを挟むように配置されている。また、裏面側照明ユニット100bは、第4光源102b、2つの第5光源104c,104d、2つの第6光源106c,106d、ハーフミラー110b、及び、2つのアクリルシート112c,112d等を有しており、第4光源102bはハーフミラー110bの下方に配置され、第5光源104c,104d及び第6光源106c,106dは、ハーフミラー110bを挟むように配置されている。
表面側照明ユニット100aの第1光源102aは、対応する第1及び第2ラインセンサ34a,34bの走査ラインが延びる方向(X軸方向)に並設された緑色LED(発光ダイオード)群により構成され、この緑色LED群の並設長さは、被検査体である基板2の幅以上とされている。この第1光源102aは、表面側撮像ユニット80aの走査ラインの真上に配置されており、ハーフミラー110aを透過して、基板2の走査ライン上に対して照明光を上から下に概ね垂直に照射するように構成されている。同様に、裏面側照明ユニット100bの第4光源102bも、X軸方向に並設された緑色LED群により構成されており、その並設長さは、基板2の幅以上とされている。この第4光源104bは、裏面側撮像ユニット80bの走査ラインの真下に配置されており、ハーフミラー110bを透過して、基板2の走査ライン上に対して照明光を下から上に概ね垂直に照射するように構成されている。このように、第1光源102a及び第4光源102bからの照明光(落射光)は、ハーフミラー110a,110bを透過して基板2の検査面(走査ライン)に対して入射角がほぼゼロとなるように照射される。本実施形態においては、第1光源102a及び第4光源102bに幅(Y軸方向長さ)を持たせてあり、基板2が反っている場合であっても入射角がゼロになるような落射光成分が存在するように構成されている。
基板2の表面(走査ライン上の表面)からの反射光は、ハーフミラー110aで反射し、第1及び第2中間レンズ42a,42b並びに第1及び第2レンズ32a,32bで集光されて第1及び第2ラインセンサ34a,34bで検出される。また、基板2の裏面(走査ライン上の裏面)からの反射光は、ハーフミラー110bで反射し、第3及び第4中間レンズ42c,42d並びに第3及び第4レンズ32c,32dで集光されて第3及び第4ラインセンサ34c,34dで検出される。
このように、第1及び第4光源102a,102bからいわゆる落射光を基板2に照射し、これを第1〜第4ラインセンサ34a〜34dで検出することにより、基板2内の部品の位置ずれ、欠品、はんだのヌレの判定などを行うことが可能となる。なお、効率的に走査ラインへ照明光を照射するためには、LED群のための基板を中央で2つのサブ基板に分割し、それぞれのサブ基板にLED群を並設してもよい。
表面側照明ユニット100aの第2光源104a,104bは、対応する第1及び第2ラインセンサ34a,34bの走査ラインが延びる方向(X軸方向)に並設された白色LED群により構成され、その並設長さは基板2の幅以上とされている。2つの第2光源104a,104bは、それぞれの照明光が第1光源102aから走査ラインへの光路と干渉しないように、第1光源102aを挟んで走査ラインの両側に1体ずつ配置されている。そのため、これらの第2光源104a,104bからの照明光は、基板2の走査ラインに対して斜めに入射する偏射光となっている。同様に、裏面側照明ユニット100bの第5光源104c,104dは、対応する第3及び第4ラインセンサ34c,34dの走査ラインが延びる方向(X軸方向)に並設された白色LED群により構成され、その並設長さは基板2の幅以上とされている。2つの第5光源104c,104dは、それぞれの照明光が第4光源102bから走査ラインへの光路と干渉しないように、第4光源102bを挟んで走査ラインの両側に1体ずつ配置されている。そのため、これらの第5光源104c,104dからの照明光も、基板2の走査ラインに対して斜めに入射する偏射光となっている。
また、表面側照明ユニット100aの第3光源106a,106bは、対応する第1及び第2ラインセンサ34a,34bの走査ラインが延びる方向(X軸方向)に並設された青色LED群により構成され、その並設長さは基板2の幅以上とされている。2つの第3光源106a,106bは、それぞれの照明光が第1光源102aから走査ラインへの光路と干渉しないように、第1光源102aを挟んで走査ラインの第2光源104a,104bのさらに外側の両側に1体ずつ配置されている。そのため、これらの第3光源106a,106bからの照明光も、基板2の走査ラインに対して斜めに入射する偏射光となっている。同様に、裏面側照明ユニット100bの第6光源106c,106dは、対応する第3及び第4ラインセンサ34c,34dの走査ラインが延びる方向(X軸方向)に並設された青色LED群により構成され、その並設長さは基板2の幅以上とされている。2つの第6光源106c,106dは、それぞれの照明光が第4光源102bから走査ラインへの光路と干渉しないように、第4光源102bを挟んで走査ラインの第5光源104c,104dのさらに外側の両側に1体ずつ配置されている。そのため、これらの第6光源106c,106dからの照明光も、基板2の走査ラインに対して斜めに入射する偏射光となっている。
上述したように、本実施形態においては、第1及び第4光源102a,102bは緑色の照明光を照射し、第2及び第5光源104a,104b,104c,104dは白色の照明光を照射し、第3及び第6光源106a,106b,106c,106dは青色の照明光を照射する。従って、各照明ユニット100a,100bは被検査体である基板2に対して複数の色の光を照射する複合光源として機能する。緑色LEDや青色LEDは、白色LEDよりも明るい光を発することから、第1及び第4光源102a,102bを緑色光源とすると共に第3及び第6光源106a〜106dを青色光源とすることにより、SN比のよいクリアな画像を得ることができる。また、プリント基板は一般に緑色に着色されていることが多いので、第1及び第4光源102a,102bを緑色光源とすれば、落射光により平面を明るく照射することができる。更に、第3及び第6光源106a〜106dを青色光源とすることにより、基板2に実装されたICチップやコネクタ等の部品に低い角度から青い光を照射して部品にレーザー印字された文字等を良好に認識することが可能となる。
また、本実施形態では、第2及び第5光源104a〜104d並びに第3及び第6光源106a〜106dと走査ラインとの間に、これらの光源104a〜104d,106a〜106dからの光を拡散するアクリルシート112a〜112dが配置されている。これにより、第2及び第5光源104a〜104d並びに第3及び第6光源106a〜106dとして点光源であるLEDの集合体を用いても、アクリルシート112a〜112dの拡散作用により、スポット的な光が画像データに写り込んで検査精度を損なうことを抑制できる。また、本実施形態においては、白色光源である第2及び第5光源104a〜104d、緑色光源である第1及び第4光源102a,102b、青色光源である第3及び第6光源106a〜106dの順に、それぞれの光源が独立に一つの走査ラインについて3回点灯され、1回の点灯ごとにラインセンサ34a〜34dで基板2の表裏を撮像する。これにより、基板2に各光源102,104及び106が照明光を照射した状態での画像を得ることができる(白色光が照射された基板2の表裏面全体の画像、緑色光が照射された基板2の表裏面全体の画像及び青色光が照射された基板2の表裏面全体の画像をそれぞれ独立して取得することができる)。
なお、被検査体である基板2に孔が設けられていたり、塞がれるべき孔がはんだで完全に充填されなかったりすることもあり、これらの場合、当該孔を介して一方の照明ユニット100から他方側に光が漏れるおそれがある。そして、一方の照明ユニット100から他方側に漏れた光がラインセンサ34により直接検出されると、いわゆるブルーミングという現象が生じてしまい、基板2の撮像に悪影響が及ぼされてしまうおそれもある。このため、本実施形態において、表面側照明ユニット100aと裏面側照明ユニット100bとは、基板の搬送方向(Y軸方向)に距離Lだけ互いにオフセットして配置される。すなわち、本実施形態では、図3からわかるように、表面側照明ユニット100aが裏面側照明ユニット100bよりも基板2の走査方向上流側に配置されている。オフセット長Lは、ブルーミング抑制の観点から50mm以上とされると好ましい。
以上のように、本実施形態に係る検査装置200において、撮像ユニット80は、被検査体の画像データを取得する撮像部としての機能を有し、基板搬送テーブル50は、作業者によって載置された被検査体を撮像部である撮像ユニット80により画像が取得される位置(検査位置)に移動させるとともに、この検査位置において被検査体を撮像部に対して走査方向(Y軸方向)に相対移動させて被検査体を走査するための搬送部としての機能を有している。
図4は、上述の検査装置200の制御ブロック図である。同図に示されるように、表面側撮像ユニット80aの第1撮像部30aに含まれる第1ラインセンサ34aは、第1画像処理部130aを介して第1スレーブPC140aに接続されており、表面側撮像ユニット80aの第2撮像部30bに含まれる第2ラインセンサ34bは、第2画像処理部130bを介して第2スレーブPC140bに接続されている。これらの第1スレーブPC140a及び第2スレーブPC140bは、表面側撮像ユニット80aに対応した表面側の検査部として機能する。
同様に、裏面側撮像ユニット80bの第3撮像部30cに含まれる第3ラインセンサ34cは、第3画像処理部130cを介して第3スレーブPC140cに接続されており、裏面側撮像ユニット80bの第4撮像部30dに含まれる第4ラインセンサ34dは、第4画像処理部130dを介して第4スレーブPC140dに接続されている。これらの第3スレーブPC140c及び第4スレーブPC140dは、裏面側撮像ユニット80bに対応した裏面側の検査部として機能する。以下、適宜、第1画像処理部130a〜第4画像処理部130dを「画像処理部130」と呼び、第1スレーブPC140a〜第4スレーブPC140dを「スレーブPC140」と呼ぶ。各画像処理部130は、対応する撮像部30によって撮像された画像を処理して画像データを生成するものである。
各スレーブPC140a〜140dは、CPU,ROM,RAM等に加えて、対応する画像処理部130a〜130dから送られる画像データ等を格納するメモリ141a〜141dを有する。また、各スレーブPC140a〜140dには、上述のCPU等により、メモリ141a〜141dに格納された画像データの解析及び検査を実行する解析部142a〜142dが構築されている。更に、各スレーブPC140a〜140dは、検査の合否の判定基準として解析部142a〜142dによる解析に用いられる検査データを格納したライブラリ143a〜143dや、各種データの送受信を行う送受信部144a〜144d等を有している。
スレーブPC140a〜140dの送受信部144a〜144dは、それぞれスイッチングハブ150を介して他のスレーブPC140と相互にデータ通信可能に接続されている。また、スレーブPC140a〜140dは、スイッチングハブ150を介してマスタPC160にも接続されており、これにより、マスタPC160と各スレーブPC140a〜140dとの間のデータ通信も可能とされている。マスタPC160は、CPU,ROM,RAM、メモリ、入出力インターフェース等を有するものであり、検査装置200全体の管理手段として機能する。マスタPC160には、CPU等により、焦点制御部161、照明制御部162、走査制御部163及び搬送制御部164が構築されている。また、マスタPC160は、表示制御部165と、各種データの送受信を行う送受信部166とを有している。図4に示されるように、表示制御部165により、最終的な検査結果を表示させるディスプレイ170が制御され、送受信部166は、上述のスイッチングハブ150に接続されている。
焦点制御部161は、表面側撮像ユニット80aに設けられている焦点調整モータ40の作動を制御するものである。そして、本実施形態においては、焦点制御部161、焦点調整モータ40、及び表面側支持フレーム36aとベースフレーム38との摺動機構等により、像倍率を変えることなく被検査体である基板2に焦点を合わせるための焦点合わせ機構が構成される。また、照明制御部162は、表面側照明ユニット100a及び裏面側照明ユニット100bの点灯・消灯を制御するものであり、走査制御部163は、表面側撮像ユニット80aの第1ラインセンサ34a及び第2ラインセンサ34b並びに裏面側撮像ユニット80bの第3ラインセンサ34c及び第4ラインセンサ34dによる被検査体の走査(撮像)を制御する。更に、搬送制御部164は、位置決めモータ56a及び搬送モータ58aの作動を制御するものであり、搬送レール54(搬送ベルト56b)上にセットされた被検査体である基板2の位置決め方向(X軸方向)への移動や、基板2の走査方向(若しくは、撮像ユニット80に対する基板2の搬送方向であるY軸方向)への1ライン分の移動等は、搬送制御部164により制御される。
なお、マスタPC160の送受信部166は、LAN(Local Area Network)を介して他のPC等に接続されてもよく、これにより、マスタPC160から当該他PCに検査結果等を与えることが可能となる。また、マスタPC160には、図示されないキーボードやマウスといった入力手段が接続され、これらのキーボード等を介して、ユーザは、データ入力や、検査装置200の操作を実行することができる。
[第1の実施形態]
次に、図5〜図9を参照しながら、上述の検査装置200による被検査体の外観検査の手順について説明する。図5に示すフローチャートは、表面のリフロー工程と裏面のDIP工程とを経てICチップやコネクタ等の部品が実装された基板2の表裏面を同時に検査する手順を示すものである。まず、図5に示すように、基板2の検査を実行するに際して、作業者が待機位置にある搬送レール54の搬送ベルト56bの上に、基板2を載置し、この検査装置200のマスタPC160に検査の開始を指示すると、このマスタPC160は、搬送制御部164により、基板2の搬送レール54上のX軸方向の位置決め、すなわち、撮像ユニット80の撮像範囲内を基板2が通過するための位置決めを行う(ステップS10)。ここで、「待機位置」とは、搬送レール54が、この検査装置200の最も基板2の走査方向上流側にあるときの位置を示し、作業者がこの待機位置にある搬送レール54に対して基板2の載置及び取り出し(着脱)を行うように構成されている。なお、マスタPC160に対する検査の開始の指示は、作業者がこのマスタPC160に接続されているキーボード等の入力手段から入力するように構成してもよいし、センサ等により搬送レール54上に基板2が載置されたことを検出することで、マスタPC160がこの検出を検査の開始の指示と判断するように構成してもよい。
ここで、本実施形態においては、待機位置にある搬送レール54上に載置されている基板2のX軸方向の位置を検出するセンサとして、図6(a)に示すように、基板2の走査方向上流側から見たときに左端に配置されている左センサ60a、及び、右端に配置されている右センサ60bを有している。これらのセンサ60a,60bは、検査テーブル10上に配置されている。なお、センサ60a,60bとしては、その上方に基板2があるか否かを検出できるものであればよいので、接触型のセンサを用いてもよいし、非接触型のセンサ(光学的、磁気的センサ)を用いてもよい。また、搬送レール54のX軸方向の一方の端部(図6においては右端側の端部)には、基板2の移動を制限して少なくとも当該方向の基板2の端部を撮像ユニット80の撮像範囲内に位置させるための固定ストッパ56cが設けられている。すなわち、基板2の端部(右側端部)をこの固定ストッパ56cに当接させて搬送レール54上に載置すると、基板2が撮像範囲内に位置決めされるように構成されている。
マスタPC160の搬送制御部164は、図7に示すように、まず、右センサ60bがオンであるか否か、すなわち、搬送レール54上の基板2が右センサ60bの上方に位置するか否かを判断する(ステップS101)。搬送制御部164は、右センサ60bがオンであると判断すると、位置決めモータ56aを作動させ、搬送ベルト56bにより基板2を左方向に移動させる(ステップS102)。そして、搬送制御部164は、左センサ60aがオンであるか否か、すなわち、搬送レール54上の基板2が左センサ60aの上方に位置するか否かを判断し(ステップS103)、左センサ60aがオンでないと判断すると、さらに、搬送ベルト56bの移動量が所定の閾値Xa以上であるか否かを判断し(ステップS104)、移動量が閾値Xaより小さいときは、ステップS102に戻る。ここで、閾値Xaは、この検査装置200に予め設定されている設計値である。そして、搬送制御部164は、ステップS103で左センサ60aがオンになったと判断するか、ステップS104で搬送ベルト56bの移動量が閾値Xa以上となったと判断すると、位置決めモータ56aによる搬送ベルト56bの移動を停止させる(ステップS105)。なお、ステップS104で搬送ベルト56bの移動量が閾値Xa以上になったときは、搬送レール54上に基板2が載置されていない可能性があるため、ステップS102に戻らずに、検査処理を終了するように構成してもよい。また、ステップS104で、基板2の移動量が所定の閾値Xa以上であるか否かを判断する代わりに、基板2の移動時間が所定の閾値以上であるか否かで判断するように構成してもよい。また、閾値Xaは、検査前に予め入力されている基板2の情報(検査データ)から決定するように構成してもよいし、キーボード等の入力手段から入力するように構成してもよい。
次に、搬送制御部164は、ステップS105で搬送ベルト56bの移動を停止させたとき、または、ステップS101で右センサ60bがオンでないと判断したときに、位置決めモータ56aを作動させ、搬送ベルト56bにより基板2を右方向に移動させる(ステップS106)。また、この搬送制御部164は、右センサ60bがオンであるか否かを判断し(ステップS107)、右センサ60bがオンになるまでステップS106を繰り返す。そして、右センサ60bがオンになったと判断すると、搬送制御部164は、搬送ベルト56bの移動速度を減速してさらに距離Xbだけ右方向に基板2を移動させ(ステップS108)、搬送ベルト56bを停止させて(ステップS109)、基板位置決め処理S10を終了する。ここで、距離Xbは、図6(b)に示すように、右センサ60bと固定ストッパ56cとの位置関係に依存する値であり、基板2の右端側が右センサ60b上に位置したときからこの距離Xbだけ移動させることにより、この基板2の右端を固定ストッパ56cに当接させることができる。
このように、第1の実施形態では、搬送レール54上に載置された基板2を一旦左方向に移動させ、この基板2の左端を左センサ60aで検出し、さらに、基板2を右方向に移動させることにより、基板2の右端を固定ストッパ56cに当接させることができるので(図6(a)の状態)、作業者が搬送レール54上のどの位置に基板2を載置しても、撮像ユニット80の撮像範囲内にあるようにこの基板2の位置決めをすることができる。また、右センサ60bで基板2の右端側を検出したときは、搬送ベルト56bの移動量を減速させるため、固定ストッパ56cに対して基板2をゆっくりと当接させることができるので、この固定ストッパ56cによる基板2の損傷を防止することができる。ここで、本実施形態においては、位置決め機構56を構成する搬送レール54(搬送ベルト56b)上に基板2を載置した状態(この位置決め機構56により基板2を保持しない状態)で、X軸方向の位置決めを可能にしているため、この位置決め機構56及びその位置決めの動作を簡単な構成で実現することができ、さらに、基板2の載置及び取り出し作業も容易になる。なお、「位置決め機構56により基板2を保持しない状態」とは、搬送部である位置決め機構56に載置された被検査体である基板2を、図示しない保持機構(既存のクランプ、バックアップ機構等)により位置決め機構56に対して固定しない状態を含むものとし、位置決め後に、当該保持機構により基板2を固定するか否かは、基板2に応じて適宜選択し得るものとする。また、以上の説明では、右端側に固定ストッパ56cが取り付けられている場合について説明したが、この固定ストッパ56cを左端側に取り付けてもよい。その場合、図7に示す処理のセンサ60a,60bの役割や搬送ベルト56bの移動方向は逆になる(以降の実施形態においても同様である)。
図5に戻り、マスタPC160の焦点制御部161は、検査前に予め入力されている基板2の情報(検査データ)から被検査体である基板2の厚さ情報を取得する(ステップS12)。なお、基板2の厚さは、キーボードやマウス等の入力手段を用いてユーザによってマスタPC160に入力されてもよい。基板2の厚さを取得すると、マスタPC160の焦点制御部161は、所定の記憶領域に格納されている焦点調整テーブルから、ステップS12にて入力された基板2の厚さ情報に応じたベースフレーム38に対する表面側支持フレーム36aの移動量(例えば、0.3〜2.0mm程度)を読み出すと共に、読み出した移動量だけ表面側支持フレーム36aが移動するように焦点調整モータ40を制御する(ステップS14)。
上述のように、表面側撮像ユニット80aの撮像系(光学系)を構成する第1及び第2ラインセンサ34a,34b、第1及び第2レンズ32a,32b、第1及び第2中間レンズ42a,42b等は、何れも表面側支持フレーム36a上に位置決め固定されている。従って、ステップS14にて表面側支持フレーム36aがベースフレーム38に対して移動させられると、被検査体である基板2との焦点距離、すなわち、第1及び第2中間レンズ42a,42bの端面からハーフミラー110aまでの距離L1と、ハーフミラー110aから基板2の表面までの距離L2との合計(図2参照)が変化することになるので、像倍率を変えることなく基板2の表面側に焦点を合わせることができる。このように、検査装置200は、被検査体である基板2の撮像方向における寸法、すなわち、基板2の厚さに応じて基板2との焦点距離(L1+L2)を変化させる焦点合わせ機構を有している。この結果、本実施形態に係る検査装置200によれば、基板2の厚さが変化しても、この基板2の表面に焦点を合わせて鮮明な画像を得ることができるので、精度のよい検査を実行することが可能となる。
上述のようにして、ステップS14における焦点合わせ処理が完了すると、マスタPC160の搬送制御部164は、基板搬送テーブル50を走査方向(Y軸方向)に移動させ、この基板搬送テーブル50による撮像ユニット80への(検査位置への)基板2の移動を開始させる(ステップS16)。本実施形態では、上述のように、表面側照明ユニット100aが裏面側照明ユニット100bよりも基板2の走査方向上流側に配置されている。このため、基板2は、基板搬送テーブル50により、まず、表面側撮像ユニット80aの第1ラインセンサ34a及び第2ラインセンサ34bによる撮像範囲であるスタート位置(走査ライン)まで移動される。そして、基板2が表面側撮像ユニット80aの第1ラインセンサ34a及び第2ラインセンサ34bによる走査範囲であるスタート位置まで搬送されると、マスタPC160の照明制御部162が、表面側照明ユニット100a及び裏面側照明ユニット100bにより基板2への照明光の照射を開始させ、マスタPC160の走査制御部163が、表面側撮像ユニット80aの第1及び第2撮像部30a,30b及び裏面側撮像ユニット80bの第3及び第4撮像部30c,30dによる基板2の表裏面の撮像を開始させる(ステップS18)。
ステップS18にて各撮像ユニット80a,80bによる撮像が開始されると、第1ラインセンサ34a、第2ラインセンサ34b、第3ラインセンサ34c、第4ラインセンサ34dは、一走査単位の基板2の走査(撮像)を同期して行うように走査制御部163により制御される。すなわち、表面側照明ユニット100aによって基板2の表面に照明光が照射された際に、第1撮像部30aの第1ラインセンサ34aは、第1中間レンズ42a及び第1レンズ32aを介して、また、第2撮像部30bの第2ラインセンサ34bは、第2中間レンズ42b及び第2レンズ32bを介して、それぞれ走査ライン上の画像を取得する。更に、裏面側照明ユニット100bによって基板2の裏面に照明光が照射された際に、第3撮像部30cの第3ラインセンサ34cは、第3中間レンズ42c及び第3レンズ32cを介して、また、第4撮像部30dの第4ラインセンサ34dは、第4中間レンズ42d及び第4レンズ32dを介して、それぞれ走査ライン上の画像を取得する。このように、ラインセンサ34a〜34dを用いることにより、エリアセンサを用いて検査面を二次元的に移動・停止させ、これをくり返して順次スポット撮像をする構成に比較して、機構を単純化すると共に、検査時間を短縮化することが可能となる。
そして、マスタPC160の搬送制御部164は、基板2が第1〜第4ラインセンサ34a〜34dにより1ラインの走査(撮像)がされるたびに、送りねじ58bを駆動する搬送モータ58aに制御信号を与え、基板2を1ライン分進行させる。これにより、第1〜第4ラインセンサ34a〜34dによる走査(撮像)を一括して実行可能となり、第1〜第4ラインセンサ34a〜34dによる走査(撮像)が実行されないタイミングで搬送制御部164によって基板2が移動させられるので、効率よく基板2の走査を行って検査時間を短縮可能となる。なお、一走査単位とは、例えば基板2の一端から他端までの一方向における1回の走査、あるいは1回の往復走査といったラインセンサ34a〜34bが実行し得る走査の単位をいう。
このようにして、第1〜第4ラインセンサ34a〜34dが基板2の走査方向(Y軸方向)における全長について走査すると、基板2の表裏面の撮像が1回の基板搬送工程中で実行されることになる。すなわち、基板2は、基板搬送テーブル50により、表面側撮像ユニット80aと裏面側撮像ユニット80bとの間を走査方向(Y軸方向)に移動させられ、この間、表面側撮像ユニット80aは基板2の表面を、裏面側撮像ユニット80bは基板2の裏面を、それぞれ1回の基板搬送工程の中で撮像する。なお、1回の基板搬送工程とは、基板2の一方向における搬送工程でもよく、基板2の往復搬送工程であってもよい。
ところで、本実施形態において、各撮像ユニット80a,80bによる基板2の撮像中、照明制御部162は、一走査単位の実行に伴う照明光の照射が同期して行われるように表面側照明ユニット100a及び裏面側照明ユニット100bを制御し、走査制御部163は、表面側照明ユニット100a及び裏面側照明ユニット100bが基板2に照明光を照射したときに基板2の走査(撮像)が同期して行われるように第1〜第4ラインセンサ34a〜34bを制御する。
具体的には、照明制御部162は、同時に同色の光を基板2に対して同期して照射するように表面側照明ユニット100a及び裏面側照明ユニット100bを制御する。また、本実施形態では、例えば、白色光源である第2及び第5光源104a〜104d、緑色光源である第1及び第4光源102a,102b、青色光源である第3及び第6光源106a〜106dがこの順番で作動され、表面側照明ユニット100a及び裏面側照明ユニット100bは、1ライン毎に、白色光、緑色光、青色光をこの順番で基板2に照射する。これにより、例えば表面側照明ユニット100aにより照射された照明光が、周辺の部品による写り込み等によって裏面側照明ユニット100bによって照射されている基板2の裏面に漏洩してしまったとしても、光の干渉の検査結果への悪影響を最小限に抑制することが可能となる。
そして、マスタPC160の走査制御部163は、表面側照明ユニット100a及び裏面側照明ユニット100bの第2及び第5光源104a〜104dから基板2に対して白色光が同時に照射されたときに、各ラインセンサ34a〜34dに一走査単位の走査(撮像)を同期して実行させる。また、走査制御部163は、表面側照明ユニット100a及び裏面側照明ユニット100bの第1及び第4光源102a,102bから緑色光が同時に照射されたときに、各ラインセンサ34a〜34dに更に一走査単位の走査(撮像)を同期して実行させ、表面側照明ユニット100a及び裏面側照明ユニット100bの第3及び第6光源106a〜106dから青色光が同時に照射されたときに、各ラインセンサ34a〜34dに更に一走査単位の走査(撮像)を同期して実行させる。
上述のようにして各撮像ユニット80a,80bによって基板2が撮像される際、第1撮像部30aの第1ラインセンサ34aによって取得された画像は第1画像処理部130aに、第2撮像部30bの第2ラインセンサ34bによって取得された画像は第2画像処理部130bに、第3撮像部30cの第3ラインセンサ34cによって取得された画像は第3画像処理部130cに、第4撮像部30dの第3ラインセンサ34dによって取得された画像は第4画像処理部130dに、それぞれ送信される。
各画像処理部130a〜130dは、対応するラインセンサ34a〜34dから受け取った画像の画像処理を実行する。そして、第1画像処理部130aは第1スレーブPC140aのメモリ141aに画像処理後の画像データを送信・格納し、第2画像処理部130bは第2スレーブPC140bのメモリ141bに画像処理後の画像データを送信・格納する。同様に、第3画像処理部130cは第3スレーブPC140cのメモリ141cに画像処理後の画像データを送信・格納し、第4画像処理部130dは第4スレーブPC140dのメモリ141dに画像処理後の画像データを送信・格納する。
表面側撮像ユニット80a及び裏面側撮像ユニット80bによる基板2の撮像が完了すると、マスタPC160の搬送制御部164は、搬送モータ58aに指令信号を与えて送りねじ58bを回転させることにより、基板搬送テーブル50を検査位置から待機位置に移動させて撮像が終了した基板2を次の工程へと搬出できるようにする(ステップS20)。具体的には、図8に示すように、搬送制御部164は、基板搬送テーブル50を待機位置に移動させ(ステップS201)、作業者が基板2を取り出す位置がX軸方向の左端、中央及び右端のいずれかであるかを判断する(ステップS202)。この取り出し位置は、作業者等がマスタPC160のキーボード等の入力手段を用いて、予め設定するように構成してもよい。あるいは、被検査体である基板2の情報(例えば、この基板2に実装されている部品の配置情報)に基づいて決定してもよい。
搬送制御部164は、ステップS202で取り出し位置が左端であると判断すると、位置決めモータ56aを作動させ、搬送ベルト56bにより基板2を左方向に移動させ(ステップS203)、左センサ60aがオンになったと判断すると(ステップS204)、搬送ベルト56bを停止させ(ステップS205)、基板取り出し処理S20を終了する。
また、搬送制御部164は、ステップS202で取り出し位置が中央であると判断すると、位置決めモータ56aを作動させ、搬送ベルト56bにより基板2を左方向に移動させ(ステップS206)、左センサ60aがオンになったと判断する(ステップS207)か、搬送ベルト56bの移動量が閾値Xcになったと判断する(ステップS208)と、搬送ベルト56bを停止させ(ステップS209)、基板取り出し処理S20を終了する。ここで、移動量の閾値Xcは、X軸方向の基板2の大きさに依存する値である。この閾値Xcは、検査開始前に、作業者が基板2の撮像方向(X軸方向)の大きさ(長さ)を設定することにより、自動的に計算することができる。具体的には、図6(b)に示すように、この検査装置200の基板2を挿入する空間のX軸方向の長さをbとし、この空間の右端から固定ストッパ56cが基板2と当接する面(左端面)までの長さをaとし、基板2のX軸方向の長さをX0としたとき、Xc=(b−X0)/2−aで求めることができる。
また、搬送制御部164は、ステップS202で取り出し位置が右端であると判断すると、そのまま基板取り出し処理S20を終了する。上述したように、ステップS10において、基板2は搬送レール54の右端側(固定ストッパ56cに当接した状態)に位置しているからである。
このように、マスタPC160の搬送制御部164は、搬送部である基板搬送テーブル50を撮像部である撮像ユニット80で被検査体を走査する方向に相対移動させることにより、この被検査体を搬送部に載置する待機位置と、被検査体の画像データを取得する検査位置とを含む所定の位置に移動させる制御部としての機能を有しており、また、本実施形態では、検査開始時に基板2を搬送レール54上のどの位置に載置したとしても、待機位置における搬送レール54上の指定された位置から取り出すことができる。
図5に戻って、各スレーブPC140a〜140dのメモリ141a〜141dに被検査体である基板2の画像データが格納されると、各々のスレーブPC140a〜140dの解析部142a〜142dは、それぞれのメモリ141a〜141dに格納された画像データの解析を行い、他のスレーブPC140a〜140dにおいて基板2の検査に際して必要なデータの交換を行う(ステップS22)。このステップS22においてスレーブPC140a〜140d間で交換されるデータには、例えば基板2に設けられた位置決め基準としての認識マークの位置を示すデータや、基板2に設けられたバーコード等の識別マークを解析して得られる基板2のシリアルナンバーや製造年月日等のデータといった基板2の検査に際してスレーブPC140a〜140dにおいて共用されるべきデータ(以下「共用データ」という)や、第1撮像部30a及び第2撮像部30b、並びに、第3撮像部30c及び第3撮像部30dにより撮像された部品の画像データが含まれる。
このステップS22における画像データの解析/交換について、図9を参照しながら説明する。図9(a)は、被検査体である基板2の表面を例示する上面図であり、以下、基板2の表面についての画像データの解析及び共用データの共有化について説明する。図9(a)に示されるように、基板2には、この基板2の位置決め基準となる第1認識マーク4a及び第2認識マーク4bが形成されている。また、図9(a)に例示される基板2の略中央部には、表面側撮像ユニット80aの第1撮像部30aの撮像範囲と第2撮像部30bの撮像範囲にまたがるように第1部品6と第2部品8とが実装されている。なお、図示を省略するが、基板2には、各種データが記録されたバーコードが設けられている。
図9(a)からわかるように、基板2の図中左側半分の領域は、第1撮像部30aによって撮像され、図中右側半分は第2撮像部30bにより撮像される。従って、基板2の第1認識マーク4aは、第1撮像部30aにより撮像され、その画像データは、第1スレーブPC140aのメモリ141aに格納される。また、基板2の第2認識マーク4bは、第2撮像部30bにより撮像され、その画像データは、第2スレーブPC140bのメモリ141bに格納される。これにより、第1撮像部30aに対応するスレーブPC140aは、メモリ141aに格納された画像データの解析時に、第1認識マーク4aの画像データからその位置データを取得する。同様に、第2撮像部30bに対応するスレーブPC140bは、メモリ141bに格納された画像データの解析時に、第2認識マーク4bの画像データからその位置データを取得する。そして、第1スレーブPC140aは、第1認識マーク4aの位置データを共用データとして他のスレーブPC140b,140c及び140dに送信し、第2スレーブPC140bは、第2認識マーク4bの位置データを共用データとして他のスレーブPC140a,140c及び140dに送信する。
この結果、検査装置200では、基板2が搬送レール54上で僅かに傾いていたり、基板2の位置が撮像方向(走査ラインが延びるX軸方向)や走査方向(Y軸方向)において若干ずれてセットされていたりしていても、基板2の位置決め基準としての第1認識マーク4a及び第2認識マーク4bの位置データが共用データとして各スレーブPC140a〜140dにおいて共有されることから、各スレーブPC140a〜140dは、対応する撮像部30a〜30dの撮像範囲に認識マークが含まれておらず、あるいは認識マークの一部しか含まれていないような場合であっても、基板2の位置や姿勢を把握することができる。
一方、図9(a)からわかるように、表面側撮像ユニット80aにおいては、第1撮像部30aと第2撮像部30bとの何れにおいても撮像されない領域が発生しないように、第1撮像部30aの撮像範囲と第2撮像部30bの撮像範囲とが、図9(a)において二点鎖線で示されるように一部重複するように定められている。同様に、裏面側撮像ユニット80bにおいても、第3撮像部30cの撮像範囲と第4撮像部30dの撮像範囲とが、一部重複するように定められている。ここで、表面側撮像ユニット80aを例に取って説明すると、図9(b)に示されるように、第1撮像部30aの撮像範囲は、基板2の図中左端から、基板2の撮像方向(X軸方向)における中心線よりも多少図中右側にまで及ぶ。これに対して、第2撮像部30bの撮像範囲は、基板2の図中右端から、基板2の撮像方向(X軸方向)における中心線よりも多少図中左側にまで及ぶ。
そして、本実施形態においては、図9(a)に例示された第1部品6や第2部品8のように、複数の撮像部30の撮像範囲にまたがって配置されている基板2上の部品については、当該部品の中心部を撮像範囲内に含む撮像部30に対応したスレーブPC140が検査を行うように定められている。すなわち、図9(a)からわかるように、第1部品6は、その中心部が第1撮像部30aの撮像範囲に属するので、第1部品6の検査は、第1撮像部30aに対応した検査部としての第1スレーブPC140aにより実行される。これに対して、第2部品8は、その中心部が第2撮像部30bの撮像範囲に属することから、第2部品8の検査は、第2撮像部30bに対応した検査部としての第2スレーブPC140bにより実行される。
この場合、図9(b)からわかるように、第1撮像部30aに対応した第1画像処理部130aによってスレーブPC140aのメモリ141aに画像データが格納された時点では、スレーブPC140aは、その検査対象である第1部品6の画像データのすべてを保持していないことになる。同様に、第2撮像部30bに対応した第2画像処理部130bによってスレーブPC140bのメモリ141bに画像データが格納された時点では、スレーブPC140bは、その検査対象である第2部品8の画像データのすべてを保持していないことになる。
このため、各スレーブPC140a〜140dは、画像データの解析の実行中に、自らの検査対象となっていない部品の画像データを認識すると、当該部品の検査を担うスレーブPC140a〜140d(あるいは、他のスレーブPC140のすべて)に対して当該画像データを送信する。すなわち、図9の例のもとでは、第1スレーブPC140aのメモリ141aには、第2部品8の画像データの一部が含まれることになるが、かかる第2部品8の画像データは、第1スレーブPC140aから第2部品8の検査を担う第2スレーブPC140bに送られ、第2スレーブPC140bは、その画像データをメモリ141bに格納する。また、第2スレーブPC140bのメモリ141bには、第1部品6の画像データの一部が含まれることになるが、かかる第1部品6の画像データは、第2スレーブPC140bから第1部品6の検査を担う第1スレーブPC140aに送られ、第1スレーブPC140aは、その画像データをメモリ141aに格納する。こうして、スレーブPC140a及びスレーブPC140bは、図9(c)に示されるように、自らが検査を担う部品の欠落している画像データを取得する。
上述のようにして、画像データの解析/交換を完了させると、各スレーブPC140a〜140dの解析部142a〜142dは、それぞれ、ライブラリ143a〜143dに格納されている検査データを用いて自らが担う基板2の領域の検査を実行する(ステップS24)。ここで、検査装置200では、検査合否の判定基準としての検査データが、被検査体である基板2に実装されたICチップやコネクタといった各部品について、表面側撮像ユニット80aと裏面側撮像ユニット80bの撮像面(表面又は裏面)に対応させてそれぞれ複数用意されている。
すなわち、従来の検査装置では、基本的に基板の表裏面の検査が同時に行われることがなかったため、検査装置において撮像ユニットの撮像面に応じてフロー、DIPあるいは手付けといった「はんだ形式」を識別する必要はなかった。これに対して、本発明による検査装置200では、被検査体である基板2の表裏面が同時に検査できるようにするために、基板2に実装された各部品について、表面側検査データと裏面側検査データとが少なくとも1つ用意されている。表面側検査データ及び裏面側検査データは、検査において合格とされる「はんだ形状」等を示す画像データ及び数値データからなり、部品に対応したはんだパッドの形状に応じたフロー、DIPあるいは手付けといった「はんだ形式」を識別するための識別子をそれぞれ有している。
各部品についての表面側検査データは、表面側撮像ユニット80aに対応したスレーブPC140a,140bのうち、当該部品の検査を担うもののライブラリ143a,143bに、各部品についての裏面側検査データは、裏面側撮像ユニット80bに対応したスレーブPC140c,140dのうち、当該部品の検査を担うもののライブラリ143c,143dに、それぞれ格納されている。ただし、基板2の表面の検査を行うスレーブPC140a,140bのライブラリ143a,143bに格納される表面側検査データは、互いに同一のものとされてもよい。同様に、基板2の裏面の検査を行うスレーブPC140c,140dのライブラリ143c,143dに格納される表面側検査データは、互いに同一のものとされてもよい。
これにより、検査装置200では、これらの表面側及び裏面側検査データと、表面側撮像ユニット80a及び裏面側撮像ユニット80bを用いて得られる基板2の画像データと用いることにより、表面側にリフロー面を有すると共に裏面側にDIP面を有する基板2を同時に複数の方向、すなわち、表面側と裏面側とから精度よく検査することが可能となる。なお、上述の表面側及び裏面側検査データは、各スレーブPC140a〜140dのライブラリ143a〜143dにそれぞれ個別に入力されてもよい。また、マスタPC160にすべての表面側及び裏面側検査データを一括して入力し、各スレーブPC140a〜140dが、自らが必要とする検査データをマスタPC160から取得するようにしてもよい。
このように、検査装置200では、各スレーブPC140a〜140dが、メモリ141a〜141dに格納された画像データを解析し、その結果得られる認識マークやバーコード、その他検査に必要なデータである共用データを共有すると共に、検査に必要な画像データを相互に交換し合う。そして、各スレーブPC140a〜140dは、共用データ、画像データ及びそれぞれのライブラリ143a〜143dに格納された検査データを用いて被検査体である基板2の検査をそれぞれ実行する。
このような各スレーブPC140a〜140bの動作は、実質的に、生物の細胞の動きと同様のものである。すなわち、すべての細胞は同じ遺伝子を持ち、あるトリガに従って自らに関係する指令のみを選択して実行するが、これを本実施形態に当てはめると、上述の共用データが遺伝子に相当し、上述のスレーブPC140a〜140dが細胞に相当する。そして、本実施形態では、マスタPC160が各スレーブPC140a〜140bに検査箇所や内容を割り当て、指示する代わりに、各スレーブPC140が自律的に画像データを処理し、検査を実行する。この結果、検査装置200では、基板2の検査を複数のスレーブPC140a〜140dに分担させて、基板2の検査の精度を向上させると共に、検査時間を短縮化することが可能となる。
ステップS24における検査が終了すると、各スレーブPC140a〜140dは、互いに検査結果を共有すべく、他のスレーブPC140及びマスタPC160にそれぞれの検査結果を示すデータを送信する(ステップS26)。また、各スレーブPC140a〜140dのメモリ141a〜141dに格納されている認識マークの位置データ等の共用データも、マスタPC160に送信される。そして、マスタPC160の表示制御部165は、CPUからの指令に応じて、予め入力されている基板2のCADデータや各スレーブPC140a〜140dから受け取ったデータに基づいて、被検査体である基板2についての検査結果をディスプレイ170の画面171に表示させる(ステップS28)。本実施形態の検査装置200では、表示制御部165によって、被検査体である基板2の表面についての検査結果と、基板2の裏面についての検査結果とがディスプレイ170の画面171上に同時に表示される。また、表示制御部165は、各スレーブPC140a〜140dによる検査の結果、不良であると判定された箇所(部品)を合格箇所と明確に識別し得る形式で検査結果を画面171上に表示させる。これにより、ユーザは、特にマウス等を操作しなくても、被検査体である基板2の表面と裏面との検査結果を同時に把握することができる。このように、検査装置200によれば、被検査体である基板2の表裏面双方について速やかに検査が実行された後、ユーザに対して基板2の表面と裏面との検査結果が同時に提供されることから、ユーザの使い勝手を大幅に向上させることができる。
なお、撮像部30及びそれに対応するスレーブPC140は、基板2の表面側すなわち基板2の上方と、基板2の裏面側すなわち基板2の下方とにそれぞれ1組ずつ設けられてもよい。これにより、撮像部30やスレーブPC140の数を削減でき、コストを低減化することができる。この場合、上述の共用データは基板2の表面を検査するスレーブPC140と裏面を検査するスレーブPC140との間で送受信されることから、例えば基板2の一方の面に識別マーク等が無くても、他方の面に識別マークがあれば、その位置データを利用可能となる。これにより、基板2の構成を簡素化することができる。
また、基板2を固定した状態で、照明ユニット100や撮像部30を含む撮像ユニット80を移動させてもよい。これにより、基板2の撮像時に、基板2を安定して保持した状態で撮像ユニット80と基板2との相対的移動を実現することができる。
また、上述の共用データは、スレーブPC140からマスタPC160に送信された後、マスタPC160が各スレーブPC140に送信するようにしてもよい。これにより、各スレーブPC140とマスタPC160との共有データの共有を容易に実現することができる。
更に、上述の実施形態では、表面側撮像ユニット80aにのみ、焦点合わせ機構が設けられているが、被検査体の形状等に応じて、表面側撮像ユニット80a及び裏面側撮像ユニット80bの双方に焦点合わせ機構が設けられてもよい。
また、上述の実施形態においては、被検査体である基板2の表裏面を同時に検査する手順が説明されたが、被検査体の表裏面についての検査結果を同時に表示させるに際し、被検査体の表面についての検査結果及び被検査体の裏面についての検査結果は、別工程で取得されたものであってもよい。また、被検査体の表面についての検査結果及び被検査体の裏面についての検査結果の何れか一方は、他の検査装置によるものであってもよい。
更に、上述の実施形態においては、焦点合わせに必要となる基板厚さの入力がユーザにより実行されるものとして説明されたが、これに限られるものではない。すなわち、被検査体である基板のバーコード等に基板厚さ情報をもたせておき、このバーコードが撮像・解析された時点で焦点合わせが実行されてもよい。
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態では、ステップS20の基板取り出し処理において基板2を所定の取り出し位置に移動するために、検査開始前、基板2の撮像方向(X軸方向)の大きさ(長さ)等を予め設定するように構成した場合について説明したが、この第2実施形態では、基板位置決め処理S10において自動的に算出するように構成した場合について図10及び図11を合わせて用いて説明する。なお、ここでは、基板位置決め処理S10の処理だけを説明するが、その他の処理は第1の実施形態の処理を用いることができる。
図10に示すように、基板位置決め処理S10が開始されると、搬送制御部164は、位置決めモータ56aを作動させて搬送ベルト56bにより基板2を左方向に移動させ(ステップS111)、左センサ60aがオンになったと判断すると(ステップS112)、搬送ベルト56bを停止させる(ステップS113)。次に、搬送制御部164は、位置決めモータ56aを作動させて搬送ベルト56bにより基板2を右方向に移動させるとともに(ステップS114)、その移動量nをカウントし(ステップS115)、右センサ60bがオンになるまでこのステップS114,S115を繰り返す(ステップS116)。そして、搬送制御部164は、右センサ60bがオンになったと判断すると、移動量nを用いて、基板2の撮像方向(X軸方向)の長さX0と、基板取り出し処理S20における搬送ベルト56bの移動量Xcとを計算により算出する(ステップS117)。具体的には、基板2のX軸方向の長さX0は、図11に示すように、検査装置200の基板2を挿入する空間のX軸方向の長さb、基板2の左端が左センサ60aで検出されたときの、この空間の左端から基板2の左端までの距離c、及び、基板2の右端が右センサ60bで検出されたときの、この空間の右端から基板2の右端までの距離dは、既知の値であるため、X0=b−c−d−nにより求めることができる。また、移動量Xcは、図6(b)に示すように、Xc=(b−X0)/2−aで求めることができる。
最後に、搬送制御部164は、搬送ベルト56bの移動速度を減速し、さらに距離Xbだけ右方向に基板2を移動させ(ステップS108)、搬送ベルト56bを停止させて基板2の右端を固定ストッパ56cに当接させ(ステップS109)、基板位置決め処理S10を終了する。
この第2の実施形態のように構成すると、基板2のX軸方向長さX0は、基板位置決め処理S10で基板2の位置決めをする際に自動的に算出することができるので、作業者が予め設定する必要が無く、検査作業を効率化することができる。
[第3の実施形態]
上述した第1及び第2の実施形態では、基板位置決め処理S10において、搬送レール54上に載置された基板2を、一旦左方向に移動させた後、右方向に移動させてこの基板2の右端を固定ストッパ56cに当接させるように構成した場合について説明したが、このような構成の場合、作業者が、搬送レール54の同じ位置に基板2を繰り返し載置した場合、搬送ベルト56bの基板2が載置される箇所が同じ位置になる確率が高くなり、この搬送ベルト56bの摩耗する位置(基板2との接触や位置決めモータ56a又はプーリとの接触による摩耗)が偏ってしまい、寿命が短くなる可能性がある。そこで、図12に示すように、位置決め処理S10が開示されると、搬送制御部164は、位置決めモータ56aを作動させて搬送ベルト56bにより基板2を右方向に移動させ(ステップS121)、移動量が所定量Xdになったと判断すると(ステップS122)、搬送ベルト56bを停止させ(ステップS123)、この位置決め処理S10を終了させるように構成してもよい。この場合、左右センサ60a,60bは不要である。なお、移動量Xdは、搬送レール54上に載置された基板2が固定ストッパ56cに当接するための設計上の距離である。この移動量Xdは、搬送ベルト56bを移動させる時間(位置決めモータ56aを駆動させる時間)で置き換えてもよい(例えば、0.1m秒)。
[第4の実施形態]
上述した第1の実施形態では、基板取り出し処理S20において、搬送レール54上の予め設定された位置(X軸方向の左端、中央、右端のいずれか)から基板2が取り出し可能に構成した場合について説明したが、この取り出し位置を検査結果に応じて決定するように構成することも可能である。なお、この場合、上述したステップS22〜28が実行された後に、基板取り出し処理S20が実行されることになる。
具体的には、図13に示すように、検査結果が表示されると、搬送制御部164は、基板搬送テーブル50を検査位置から待機位置に移動させ(ステップS211)、検査結果が良品であるか不良品であるかを判断する(ステップS212)。この判断の結果、良品であると判断すると、搬送制御部164は、位置決めモータ56aを作動させ、搬送ベルト56bにより基板2を左方向に移動させ(ステップS213)、左センサ60aがオンになったと判断すると(ステップS214)、搬送ベルト56bを停止させ(ステップS215)、基板取り出し処理S20を終了する。一方、不良品であると判断すると、搬送制御部164は、そのまま基板取り出し処理S20を終了する。上述したように、ステップS10において、基板2は搬送レール54の右端側(固定ストッパ56cに当接した状態)に位置しているからである。なお、良品のときは右端から取り出し、不良品のときは左端から取り出すように構成してもよい。このように構成すると、作業者は検査結果を取り出し位置で判断することができ、その後の仕分け等の作業(検査された基板2を次の工程に送るか、再検査等の工程に送るかの判断等)が容易になる。
なお、第1の実施形態で説明したように、検査が終了した基板2を、検査結果に応じて、待機位置における左端、中央、右端のいずれかに移動させるようにしてもよい。例えば、2種類の基板2を検査する場合、良品のうち、第1の種類の基板2は右端に移動させ、第2の種類の基板は中央に移動させ、不良品は左端に移動させるように構成してもよい。この基板の種類は、基板2上の部品の配置や基板2上に表示されたバーコード等を読み取って決定してもよいし、マスタPC160の入力手段から作業者が入力してもよい。
[第5の実施形態]
以上の説明では、図6(a)に示すように、基板2の撮像方向(X軸方向)全体が、撮像ユニット80の撮像範囲内に入る場合について説明した。この第5の実施形態では、図14に示すように、基板2のX軸方向全体の長さが撮像ユニット80の撮像範囲より広く、複数回に亘って走査方向(Y軸方向)に移動させて撮像する(走査する)場合について説明する。なお、ここでは、基板2の大きさが、撮像ユニット80の撮像範囲の半分より大きい場合であって、2回の走査で基板2の全体を撮像する場合について説明する。また、図14に示すように、搬送リール54の左端側にも固定ストッパ56dが取り付けられているものとする。
基板2の検査を実行するに際して、作業者が待機位置にある搬送レール54の搬送ベルト56bの上に基板2を載置し、この検査装置200のマスタPC160に検査の開始を指示すると、マスタPC160は、搬送制御部164により、基板2の搬送レール54上のX軸方向の位置決め、すなわち、撮像ユニット80の撮像範囲内を基板2が通過するための位置決め(上述したステップS10に相当する処理)を行う。
まず、マスタPC160の搬送制御部164は、図15に示すように、左センサ60aがオンであるか否かを判断し(ステップS131)、左センサ60aがオンでないときは、さらに、右センサ60bがオンであるか否かを判断し(ステップS132)、右センサ60bがオンであるときは、位置決めモータ56aを作動させて搬送ベルト56bにより基板2を左方向に移動させ(ステップS133)、左センサ60aがオンになったと判断すると(ステップS134)、搬送ベルト56bを停止させる(ステップS135)。次に、ステップS131で左センサ60aがオンであると判断したとき、ステップS132で右センサ60bがオンでないと判断したとき、及び、ステップS135で搬送ベルト56bを停止させたときは、搬送制御部164は、位置決めモータ56aを作動させて搬送ベルト56bにより基板2を右方向に移動させ(ステップS136)、右センサ60bがオンになったと判断すると(ステップS137)、搬送ベルト56bの移動速度を減速し、さらに所定の距離だけ右方向に基板2を移動させて基板2の右端を固定ストッパ56cに当接させ(ステップS138)、搬送ベルト56bを停止させる(ステップS139)。なお、減速後の搬送ベルト56bの移動量は、第1の実施形態で説明した通りである。
以上の処理を実行すると、図14(a)に示すように基板2の右端が固定ストッパ56cに当接している状態であり、撮像ユニット80の撮像範囲内に、この基板2の左半分が入っている状態となる。この状態で、上述したステップS12〜S18を実行することにより、基板2の左半分の画像を取得することができる。
次に、搬送制御手段164は、搬送レール54を待機位置に移動させ(ステップS140)、さらに、位置決めモータ56aを作動させて搬送ベルト56bにより基板2を左方向に移動させ(ステップS141)、左センサ60aがオンになったと判断すると(ステップS142)、搬送ベルト56bの移動速度を減速し、さらに所定の距離だけ左方向に基板2を移動させて基板2の左端を固定ストッパ56dに当接させ(ステップS143)、搬送ベルト56bを停止させる(ステップS144)。これらの処理により、図14(b)に示すように、基板2の左端が固定ストッパ56dに当選している状態となり、撮像ユニット80の撮像範囲内に、基板2の右半分が入っている状態となる。この状態で、上述したステップS12〜S18を実行することにより、基板2の右半分の画像を取得することができる。
最後に、上述した基板取り出し処理S20を実行し、また、ステップS22〜S28の検査処理を実行することにより、基板2の検査を行うことができる。ここで、基板2の左半分の画像と右半分の画像とを結合する処理は、上述した、画像処理を応用することで実現することが可能である。
なお、以上の説明では、基板2の左半分を撮像した後、右半分を撮像する場合について説明したが、右半分から撮像するように構成してもよい。また、基板2を2分割して撮像する場合について説明したが、3以上に分割して撮像することも可能である(例えば、左端側、中央側、右端側に3分割する場合は、基板取り出し処理S20で説明したように、基板2を中央に位置決めする方法を用いることができる)。
このように、この第5の実施形態の構成によれば、撮像ユニット80の撮像範囲より大きい基板2であっても、簡単な処理で全体の画像を撮像して検査をすることができる。