JP6358492B2 - 耐プラズマ性部材 - Google Patents

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Description

本発明の態様は、一般的に、耐プラズマ性部材に関し、具体的にはチャンバー内でドライエッチング、スパッタリングおよびCVD等の処理を行う半導体製造装置に使用される耐プラズマ性部材に関する。
半導体の製造プロセスにおいては、被加工物のパーティクルの低減と、製造されるデバイスの不具合の低減による歩留まりの向上と、が求められている。
これに対して、チャンバーの天井部が石英ガラスにより構成され、天井部の内面に形成された微小凹凸部の平均表面粗さが0.2〜5μmである電子デバイスの製造装置がある(特許文献1)。また、ポア(pore:孔)や粒界層が存在せず、耐プラズマ性部材からの脱粒の発生を抑制・低減する耐プラズマ性部材がある(特許文献2)。また、プラズマ反応器の構成部品のプラズマ露出面上にセラミック又はポリマー材料などがプラズマ溶射された被膜を備えたプラズマ反応器の構成部品であって、ポリマー堆積物の付着を促進する表面粗さ特性を有するプラズマ反応器の構成部品がある(特許文献3)。特許文献3に記載されたプラズマ反応器の構成部品によれば、処理中のパーティクル汚染を低減することができる。また、窒化珪素質焼結体からなる基体の表面に、SiOまたは周期律表第3a族元素と珪素との複合酸化物からなる中間層を介して、金属のフッ化物、酸化物および窒化物のうち少なくとも1種からなる耐食性表面層を形成してなる耐プラズマ性部材がある(特許文献4)。特許文献4に記載された耐プラズマ性部材によれば、窒化珪素質焼結体がより低損失で高強度になるため、耐食性がさらに改善し、破壊に対する信頼性も高まる。
半導体の製造プロセス中では、パーティクルを低減させるためにチャンバーの内壁をプレコート膜(被膜)で略均一に覆う場合がある。プレコート膜は、半導体デバイスに悪影響を与えない材料により形成される。チャンバーの内壁を被膜で略均一に覆う場合には、被膜の密着強度あるいは密着力を高め、被膜が剥がれ難いようにする必要がある。また、チャンバー内で生成される反応生成物や、パーティクルなどが発生しても、チャンバー内を覆う被膜は、反応生成物やパーティクルなどを被膜自身の表面に付着させ捕獲する必要がある。昨今では、半導体デバイスの微細パターン化が進み、ナノレベルでのパーティクルのコントロールが求められている。
特許第3251215号公報 特許第3864958号公報 特開2012−54590号公報 特開2001−240482号公報
チャンバーの内壁を覆う被膜の密着強度あるいは密着力を高めることができる、あるいはパーティクルを低減することができる耐プラズマ性部材を提供することを目的とする。
第1の発明は、基材と、前記基材の表面に形成されイットリア多結晶体を含み耐プラズ
マ性を有する層状構造物と、を備え、前記層状構造物は、第1の凹凸構造と、前記層状構造物の表面の全体において前記第1の凹凸構造に重畳して形成され前記第1の凹凸構造よりも微細な凹凸であって前記結晶粒子の大きさの微細な凹凸を有する第2の凹凸構造と、を有することを特徴とする耐プラズマ性部材である。
この耐プラズマ性部材によれば、半導体の製造プロセス中に発生するパーティクルを低減させる目的として半導体デバイスに悪影響を与えないプレコート膜(被膜)でチャンバーの内壁を略均一に覆うことができる。また、被膜の密着強度あるいは密着力を高めることができる。層状構造物は、第2の凹凸構造が第1の凹凸構造に重畳して形成された構造(フラクタル構造に類似する構造)を有する。そのため、微細な凹凸構造によるアンカー効果が得られ、基材に対して安定した密着強度あるいは密着力を得ることができる。また、アンカー効果が得られた層状構造物の上に形成された被膜は、反応生成物やパーティクルなどをより確実に被膜自身の表面に付着させ捕獲することができる。これにより、半導体の製造プロセス中に発生するパーティクルを低減させることができる。
第2の発明は、第1の発明において、前記第1の凹凸構造は、前記層状構造物の表面の一部に形成され結晶粒子の集団が脱落した空隙を有し、前記第2の凹凸構造は、前記層状構造物の表面の全体に形成され前記結晶粒子の大きさの微細な凹凸を有することを特徴とする耐プラズマ性部材である。
この耐プラズマ性部材によれば、層状構造物の表面の略全体にわたって、微細な凹凸構造によるアンカー効果が得られ、基材に対してより安定した密着強度あるいは密着力を得ることができる。また、アンカー効果が得られた層状構造物の上に形成された被膜は、反応生成物やパーティクルなどをより確実に被膜自身の表面に付着させ捕獲することができる。これにより、半導体の製造プロセス中に発生するパーティクルを低減させることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記層状構造物の表面の算術平均Saは、0.025μm以上0.075μm以下であり、前記層状構造物の表面の負荷曲線から求められるコア部の実体体積Vmcは、0.03μm/μm以上0.08μm/μm以下であり、前記層状構造物の表面の負荷曲線から求められるコア部の中空体積Vvcは、0.03μm/μm以上0.1μm/μm以下であり、前記層状構造物の表面の界面の展開面積率Sdrは、3以上28以下であることを特徴とする耐プラズマ性部材である。
この耐プラズマ性部材によれば、層状構造物の表面の3次元表面性状がより明確となる。これにより、被膜の密着強度あるいは密着力をより高めることができる。また、被膜は、反応生成物やパーティクルなどをより確実に被膜自身の表面に付着させ捕獲することができる。これにより、半導体の製造プロセス中に発生するパーティクルをより低減させることができる。
第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記第1の凹凸構造および前記第2の凹凸構造は、化学的処理が施されることにより形成されたことを特徴とする耐プラズマ性部材である。
この耐プラズマ性部材によれば、被膜の密着強度あるいは密着力を高め、パーティクルを低減するためのより好ましい第1の凹凸構造および第2の凹凸構造を得ることができる。
第5の発明は、基材と、前記基材の表面に形成されイットリア多結晶体を含み耐プラズマ性を有する層状構造物と、を備え、前記層状構造物は、第1の凹凸構造と、前記層状構造物の表面の全体において前記第1の凹凸構造に重畳して形成され前記第1の凹凸構造よりも微細な凹凸であって前記結晶粒子の大きさの微細な凹凸を有する第2の凹凸構造と、を有し、平均結晶粒子の径が50ナノメートル(nm)以下であって、面解析におけるカットオフが0.8μmである場合において、前記層状構造物の表面の算術平均Saは、0.010μm以上0.035μm以下であり、前記層状構造物の表面の負荷曲線から求められるコア部の実体体積Vmcは、0.01μm/μm以上0.035μm/μm以下であり、前記層状構造物の表面の負荷曲線から求められるコア部の中空体積Vvcは、0.012μm/μm以上0.05μm/μm以下であり、前記層状構造物の表面の界面の展開面積率Sdrは、1以上17以下であり、前記層状構造物の表面の二乗平均平方根傾斜SΔqは、0.15以上0.6以下であることを特徴とする耐プラズマ性部材である。
この耐プラズマ性部材によれば、半導体の製造プロセス中に発生するパーティクルを低減させる目的として半導体デバイスに悪影響を与えないプレコート膜(被膜)でチャンバーの内壁を略均一に覆うことができる。また、被膜の密着強度あるいは密着力を高めることができる。
第6の発明は、第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記層状構造物は、前記イットリア多結晶体の粗密構造を有することを特徴とする耐プラズマ性部材である。
チャンバーの内壁を被膜で覆う場合には、被膜の密着強度あるいは密着力を高め、被膜が剥がれ難いようにする必要がある。
これに対して、本発明の耐プラズマ性部材によれば、層状構造物がイットリア多結晶体の粗密構造を有するため、第1の凹凸構造と、第2の凹凸構造と、が生じやすい。すなわち、第1の凹凸構造は、密度が粗の部分において形成されやすい。そのため、第2の凹凸構造が第1の凹凸構造に重畳して形成されやすいと考えられる。これにより、被膜の密着強度あるいは密着力を高めることができる。
第7の発明は、第6の発明において、前記粗密構造のうちの粗の部分は、前記層状構造物の表面の層から前記表面の層よりも深い層へ向かうと小さくなることを特徴とする耐プラズマ性部材である。
チャンバーの内壁を被膜で覆う場合には、被膜の密着強度あるいは密着力を高め、被膜が剥がれ難いようにする必要がある。
これに対して、本発明の耐プラズマ性部材によれば、粗密構造のうちの粗の部分は、層状構造物の表面の層から表面の層よりも深い層へ向かうと小さくなる。そのため、微細な凹凸構造の凹部が層状構造物の表面の層よりも深い層において形成されやすい。これにより、アンカー効果が得られ、基材に対して安定した密着強度あるいは密着力を得ることができる。
第8の発明は、第6の発明において、前記粗密構造は、密の部分の中に密度が前記密の部分の密度よりも小さい粗の部分が三次元的に分布したことを特徴とする耐プラズマ性部材である。
この耐プラズマ性部材によれば、粗密構造は、積層構造物の表面および厚さ方向(深さ方向)に三次元的に分布している。そのため、被膜の密着強度あるいは密着力をさらに高めることができる。
第9の発明は、第1〜第8のいずれか1つの発明において、前記層状構造物は、エアロゾルデポジション法により形成されたことを特徴とする耐プラズマ性部材である。
この耐プラズマ性部材によれば、層状構造物は、イットリア焼成体やイットリア溶射膜などと比較すると緻密な構造を有する。これにより、耐プラズマ性部材の耐プラズマ性は、焼成体や溶射膜などの耐プラズマ性よりも高い。また、耐プラズマ性部材がパーティクルの発生源になる確率は、焼成体や溶射膜などがパーティクルの発生源になる確率よりも低い。これにより、耐プラズマ性部材の耐プラズマ性を維持するとともに、パーティクルを低減することができる。
本発明の態様によれば、チャンバーの内壁を覆う被膜の密着強度あるいは密着力を高めることができる、あるいはパーティクルを低減することができる耐プラズマ性部材が提供される。
本発明の実施の形態にかかる耐プラズマ性部材を備えた半導体製造装置を表す模式的断面図である。 半導体の製造プロセスの一例を例示する模式図である。 耐プラズマ性部材の表面に形成された層状構造物の表面を表す写真図である。 耐プラズマ性部材の表面に形成された層状構造物の表面を拡大した写真図である。 耐プラズマ性部材の表面に形成された層状構造物の断面を表す写真図である。 耐プラズマ性部材の表面に形成された層状構造物の他の表面を表す写真図である。 3次元表面性状パラメータを説明する模式図である。 層状構造物の表面の算術平均を表すグラフ図である。 層状構造物の表面のコア部の実体体積を表すグラフ図である。 層状構造物の表面のコア部の中空体積を表すグラフ図である。 層状構造物の表面における突起頂上の個数密度を表すグラフ図である。 層状構造物の表面における界面の展開面積率を表すグラフ図である。 本実施形態の層状構造物の内部の状態を撮影した写真図である。 本実施形態の層状構造物の内部構造を二値化した写真図である。 本実施形態の層状構造物の上部の状態を撮影した写真図である。 深さ位置に対する面積比率の一例を例示するグラフ図および表である。 プレコート膜の密着強度の測定方法を説明する模式的斜視図である。 プレコート膜の密着強度の測定方法を説明する写真図である。 光学顕微鏡の写真を例示する写真図である。 剥離領域をSEMにより撮影した写真図である。 プレコート膜の密着強度の測定結果の一例を例示する表およびグラフ図である。 面解析におけるカットオフを説明するグラフ図である。 層状構造物の表面の算術平均を表すグラフ図である。 層状構造物の表面のコア部の実体体積を表すグラフ図である。 層状構造物の表面のコア部の中空体積を表すグラフ図である。 層状構造物の表面における突起頂上の個数密度を表すグラフ図である。 層状構造物の表面における二乗平均平方根傾斜を表すグラフ図である。 プレコート膜の密着強度の測定結果の一例を例示する表である。 本実施形態の層状構造物の内部を撮影した写真図である。 層状構造物の形成方法の違いにより平均結晶粒子サイズを比較した表である。 エアロゾルデポジション法により形成された層状構造物についてのXRD測定の結果の一例を例示するグラフ図である。 本実施形態の層状構造物の他の内部を撮影した写真図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる耐プラズマ性部材を備えた半導体製造装置を表す模式的断面図である。
図2は、半導体の製造プロセスの一例を例示する模式図である。
図1に表した半導体製造装置100は、チャンバー110と、耐プラズマ性部材120と、静電チャック160と、を備える。耐プラズマ性部材120は、例えば天板などと呼ばれ、チャンバー110の内部における上部に設けられている。静電チャック160は、チャンバー110の内部における下部に設けられている。つまり、耐プラズマ性部材120は、チャンバー110の内部において静電チャック160の上に設けられている。ウェーハ210等の被吸着物は、静電チャック160の上に載置される。
耐プラズマ性部材120は、例えば、アルミナ(Al)を含む基材121(図5参照)の表面にイットリア(Y)多結晶体を含む層状構造物123(図5参照)が形成された構造を有する。イットリア多結晶体の層状構造物123は、「エアロゾルデポジション法」により形成されている。なお、基材121の材料は、アルミナなどのセラミックスに限定されず、石英、アルマイト、金属あるいはガラスなどであってもよい。
「エアロゾルデポジション法」は、脆性材料を含む微粒子をガス中に分散させた「エアロゾル」をノズルから基材121に向けて噴射し、金属やガラス、セラミックスやプラスチックなどの基材121に微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により脆性材料微粒子に変形や破砕を起させしめてこれらを接合させ、基材121上に微粒子の構成材料からなる層状構造物(膜状構造物ともいう)123をダイレクトに形成させる方法である。この方法によれば、特に加熱手段や冷却手段などを必要とせず、常温で層状構造物123の形成が可能であり、焼成体と同等以上の機械的強度を有する層状構造物123を得ることができる。また、微粒子を衝突させる条件や微粒子の形状、組成などを制御することにより、層状構造物123の密度や機械強度、電気特性などを多様に変化させることが可能である。
なお、本願明細書において「多結晶」とは、結晶粒子が接合・集積してなる構造体をいう。結晶粒子は、実質的にひとつで結晶を構成する。但し、微粒子が破砕されずに構造物中に取り込まれる場合には、結晶粒子は、多結晶である。平均結晶粒子の径は、通常5ナノメートル(nm)以上、50nm以下である。また、平均結晶粒子の径は、30nm以下であることがより好ましい。平均結晶粒子の径については、例えば、XRD(X-ray Diffraction:X線回折)分析を用いたシェラー法などにより算出することができる。
また、本願明細書において「微粒子」とは、一次粒子が緻密質粒子である場合には、粒度分布測定や走査型電子顕微鏡などにより同定される平均粒径が5マイクロメータ(μm)以下のものをいう。一次粒子が衝撃によって破砕されやすい多孔質粒子である場合には、平均粒径が50μm以下のものをいう。
また、本願明細書において「エアロゾル」とは、ヘリウム、窒素、アルゴン、酸素、乾燥空気、これらを含む混合ガスなどのガス中に前述の微粒子を分散させた固気混合相体を指し、一部「凝集体」を含む場合もあるが、実質的には微粒子が単独で分散している状態をいう。エアロゾルのガス圧力と温度は任意であるが、ガス中の微粒子の濃度は、ガス圧を1気圧、温度を摂氏20度に換算した場合に、吐出口から噴射される時点において0.0003mL/L〜5mL/Lの範囲内であることが層状構造物123の形成にとって望ましい。
エアロゾルデポジションのプロセスは、通常は常温で実施され、微粒子材料の融点より十分に低い温度、すなわち摂氏数100度以下で層状構造物123の形成が可能であるところにひとつの特徴がある。
なお、本願明細書において「常温」とは、セラミックスの焼結温度に対して著しく低い温度で、実質的には0〜100℃の室温環境をいう。
層状構造物123の原料となる粉体を構成する微粒子は、セラミックスや半導体などの脆性材料を主体とし、同一材質の微粒子を単独であるいは粒径の異なる微粒子を混合させて用いることができるほか、異種の脆性材料微粒子を混合させたり、複合させて用いることが可能である。また、金属材料や有機物材料などの微粒子を脆性材料微粒子に混合したり、脆性材料微粒子の表面にコーティングさせて用いることも可能である。これらの場合でも、層状構造物123の形成の主となるものは、脆性材料である。
なお、本願明細書において「粉体」とは、前述した微粒子が自然凝集した状態をいう。
この手法によって形成される複合構造物において、結晶性の脆性材料微粒子を原料として用いる場合、複合構造物の層状構造物123の部分は、その結晶粒子サイズが原料微粒子のそれに比べて小さい多結晶体であり、その結晶は実質的に結晶配向性がない場合が多い。また、脆性材料結晶同士の界面には、ガラス層からなる粒界層が実質的に存在しない。また多くの場合、複合構造物の層状構造物123部分は、基材121の表面に食い込む「アンカー層」を形成する。このアンカー層が形成されている層状構造物123は、基材121に対して極めて高い強度で強固に付着して形成される。
エアロゾルデポジション法により形成される層状構造物123は、微粒子同士が圧力によりパッキングされ物理的な付着で形態を保っている状態のいわゆる「圧粉体」とは明らかに異なり、十分な強度を保有している。
エアロゾルデポジション法において、飛来してきた脆性材料微粒子が基材121の上で破砕・変形を起していることは、原料として用いる脆性材料微粒子と、形成された脆性材料構造物の結晶子(結晶粒子)サイズとをX線回折法などで測定することにより確認できる。すなわち、エアロゾルデポジション法で形成された層状構造物123の結晶子サイズは、原料微粒子の結晶子サイズよりも小さい。微粒子が破砕や変形をすることで形成される「ずれ面」や「破面」には、もともとの微粒子の内部に存在し別の原子と結合していた原子が剥き出しの状態となった「新生面」が形成される。表面エネルギーが高く活性なこの新生面が、隣接した脆性材料微粒子の表面や同じく隣接した脆性材料の新生面あるいは基材121の表面と接合することにより層状構造物123が形成されるものと考えられる。
また、エアロゾル中の微粒子の表面に水酸基がほどよく存在する場合は、微粒子の衝突時に微粒子同士や微粒子と構造物との間に生じる局部のずれ応力などにより、メカノケミカルな酸塩基脱水反応が起き、これら同士が接合するということも考えられる。外部からの連続した機械的衝撃力の付加は、これらの現象を継続的に発生させ、微粒子の変形、破砕などの繰り返しにより接合の進展、緻密化が行われ、脆性材料からなる層状構造物123が成長するものと考えられる。
半導体製造装置100では、高周波電力が供給され、図1に表した矢印A1のように例えばハロゲン系ガスなどの原料ガスがチャンバー110の内部に導入される。すると、チャンバー110の内部に導入された原料ガスは、静電チャック160と耐プラズマ性部材120との間の領域191においてプラズマ化する。
耐プラズマ性部材120は、高密度プラズマを発生させるための重要な部材の1つである。ここで、チャンバー110の内部において発生したパーティクル221がウェーハ210に付着すると、製造された半導体デバイスに不具合が発生する場合がある。すると、半導体デバイスの歩留まりおよび生産性が低下する場合がある。そのため、耐プラズマ性部材120には、耐プラズマ性が要求される。
そこで、例えば図2に表したように、半導体の製造プロセスにおいて、パーティクル221を低減させるためにチャンバー110の内壁をプレコート膜(以下、説明の便宜上「被膜」ともいう。)で覆う場合がある。この場合、プレコート膜は、半導体デバイスに悪影響を与えない材料により形成される。すなわち、図2に表した半導体の製造プロセスについて説明すると、まず、パーティクル221を低減させるために、チャンバー110の内壁を被膜で覆う(ステップS101)。続いて、ウェーハ210をチャンバー110の内部に投入し(ステップS103)、ウェーハ210を静電チャック160に吸着させる(ステップS105)。
続いて、エッチングを行い(ステップS107)、ウェーハ210を静電チャック160から脱着して(ステップS109)、ウェーハ210をチャンバー110の外部へ搬出する(ステップS111)。続いて、チャンバー110の内部にプラズマを発生させ、チャンバー110の内部のクリーニングを行う(ステップS113)。そして再び、ステップS101に関して前述した動作を行う(ステップS101)。
本発明者が得た知見によれば、ステップS107に関して前述したエッチングが完了したときには、プレコート膜はほとんど消失していると考えられる。プレコート膜に使用できる原料やガス種およびプレコート膜の厚みは、その目的や用途に応じて制約がある。特にエッチング工程途中で先行してプレコート膜が消失した部位は、プラズマに直接暴露される。そのため、チャンバー110内の部材には耐プラズマ性が要求される。また一方で、チャンバー110のクリーニング(ステップS113)では、プラズマを発生させてクリーニングを行う。そのため、チャンバー110の内部の部材には、耐プラズマ性が要求される。
これに対して、本実施形態の耐プラズマ性部材120は、イットリア多結晶体を含む層状構造物123がアルミナを含む基材121の表面にエアロゾルデポジション法により形成された構造を有する。エアロゾルデポジション法により形成されたイットリア多結晶体の層状構造物123は、イットリア焼成体やイットリア溶射膜などと比較すると緻密な構造を有する。これにより、本実施形態の耐プラズマ性部材120の耐プラズマ性は、焼成体や溶射膜などの耐プラズマ性よりも高い。また、本実施形態の耐プラズマ性部材120がパーティクルの発生源になる確率は、焼成体や溶射膜などがパーティクルの発生源になる確率よりも低い。
一方で、図2に関して前述した半導体の製造プロセスのように、チャンバー110の内壁を被膜で覆う場合には、被膜の密着強度あるいは密着力を高め、被膜が剥がれ難いようにする必要がある。また、チャンバー110の内部で生成される反応生成物や、パーティクルなどが発生しても、チャンバー110の内部を覆う被膜は、反応生成物やパーティクルなどを被膜自身の表面に付着させ捕獲する必要がある。
これに対して、本実施形態の耐プラズマ性部材120は、研磨処理が施された面と比較して粗い面を有する。すなわち、耐プラズマ性をより高めるために、あるいはチャンバー110の内部のシール性をより高めるために、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物123には研磨処理が施されることがある。これに対して、本実施形態の耐プラズマ性部材120は、研磨処理が施された面と比較して粗い面を有する。具体的には、本実施形態の耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物123は、凹凸構造を有する。
これによれば、本発明者は、耐プラズマ性部材120の耐プラズマ性を維持しつつ、パーティクルを低減することができる知見を得た。
以下、本実施形態の耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物123の凹凸構造について、図面を参照しつつ説明する。
図3は、耐プラズマ性部材の表面に形成された層状構造物の表面を表す写真図である。 図4は、耐プラズマ性部材の表面に形成された層状構造物の表面を拡大した写真図である。
図5は、耐プラズマ性部材の表面に形成された層状構造物の断面を表す写真図である。 なお、図3〜図5は、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)により撮影された写真図である。図3は、超低角散乱反射電子像を表している。
図3に表した写真図の中の左側の写真図は、粗面化された後の層状構造物123cの表面を表している。図3に表した写真図の中の右側の写真図は、粗面化される前であって研磨処理を行った後の層状構造物123bの表面を表している。なお、説明の便宜上、以下の説明においては、粗面化された後の層状構造物を「層状構造物123c」とする。粗面化される前であって研磨処理を行った後の層状構造物を「層状構造物123b」とする。アズデポの状態の層状構造物を「層状構造物123a」とする。本願明細書において、「アズデポ」とは、イットリア多結晶体を含む層状構造物を基材121の表面に形成した直後であって表面処理(例えば研磨処理)を行う前の状態のものをいう。
図4(a)および図4(b)は、アズデポの層状構造物123aの表面を拡大した写真図である。図4(c)および図4(d)は、粗面化される前であって研磨処理を行った後の層状構造物123bの表面を拡大した写真図である。図4(e)および図4(f)は、粗面化された後の層状構造物123cの表面を拡大した写真図である。図4(a)、図4(c)および図4(e)に表した写真図の拡大率(10000倍)は、図4(b)、図4(d)および図4(f)に表した拡大率(50000倍)とは異なる。図4(a)、図4(c)および図4(e)は、層状構造物123a、123b、123cの表面の第1の位置を撮影した写真図である。つまり、図4(c)は、図4(a)に表した層状構造物123aの表面を研磨処理した状態を表す写真図である。図4(e)は、図4(c)に表した層状構造物123bの表面が粗面化された状態を表す写真図である。図4(b)、図4(d)および図4(f)は、層状構造物123a、123b、123cの表面の第2の位置を撮影した写真図である。つまり、図4(d)は、図4(b)に表した層状構造物123aの表面を研磨処理した状態を表す写真図である。図4(f)は、図4(d)に表した層状構造物123bの表面が粗面化された状態を表す写真図である。
図5(a)は、粗面化される前であって研磨処理を行った後の層状構造物123bの断面を表す写真図である。図5(b)は、粗面化された後の層状構造物123cの断面を表す写真図である。
本発明者は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物123bに化学的処理を施し層状構造物123bの表面を粗面化した。
本願明細書において「化学的処理」とは、水溶液中で水素イオンを生成するものを用いて物体の表面を処理することをいう。例えば、化学的処理としては、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、硫酸、フルオロスルホン酸、硝酸、塩酸、リン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、クロム酸、ホウ酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸、フッ化水素酸、炭酸および硫化水素の少なくともいずれかを含む水溶液を用いた表面処理が挙げられる。
あるいは、本願明細書において「化学的処理」とは、水溶液中で水酸化物イオンを生成するものを用いて物体の表面を処理することをいう。例えば、化学的処理としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化銅、水酸化アルミニウムおよび水酸化鉄の少なくともいずれかを含む水溶液を用いた表面処理が挙げられる。
そして、本発明者は、粗面化前であって研磨処理後の層状構造物123bおよび粗面化後の層状構造物123cを観察した。粗面化前であって研磨処理後の層状構造物123bおよび粗面化後の層状構造物123cを撮影した写真図は、図3〜図5に表した通りである。
すなわち、図3に表したように、化学的処理が施された層状構造物123cの表面は、化学的処理が施される前であって研磨処理を行った後の層状構造物123bの表面と比較して粗面化されている。言い換えれば、化学的処理が施された層状構造物123cの表面は、化学的処理が施される前であって研磨処理を行った後の層状構造物123bの表面と比較して、より深い凹凸構造を有する。
図4(a)、図4(b)、図4(e)、図4(f)および図5(b)に表したように、アズデポの層状構造物123aおよび化学的処理が施された層状構造物123cは、数百nm(例えば約100〜500nm程度)オーダの相対的に大きい第1の凹凸構造125と、数十nm(例えば約10〜50nm程度)オーダの相対的に小さい第2の凹凸構造126と、を有する。言い換えれば、第1の凹凸構造125は、第2の凹凸構造126と比較して大きなうねりを有する。第2の凹凸構造126は、第1の凹凸構造125が有するうねりに重畳して形成され、第1の凹凸構造125と比較して細かい凹凸の粗さを有する。例えば、化学的処理が施された層状構造物123cでは、結晶粒子サイズの微細な凹凸を有する第2の凹凸構造が層状構造物123cの表面の略全面に形成され、結晶粒子の集団が脱落した空隙を有する第1の凹凸構造が層状構造物123cの表面の所々において形成されている。
第2の凹凸構造126は、第1の凹凸構造125に重畳して形成されている。そのため、化学的処理が施された層状構造物123cは、部分の形状が全体の形状と相似した「フラクタル構造」に類似した構造を有する。
本実施形態によれば、半導体の製造プロセス中に発生するパーティクルを低減させる目的として被膜でチャンバー110の内壁を略均一に覆うことができる。また、被膜の密着強度あるいは密着力を高めることができる。前述したように、層状構造物123a、123cは、相対的に小さい第2の凹凸構造126が相対的に大きい第1の凹凸構造125に重畳して形成された構造(フラクタル構造に類似する構造)を有する。そのため、微細な凹凸構造によるアンカー効果が得られ、基材121に対して安定した密着強度あるいは密着力を得ることができる。また、アンカー効果が得られた層状構造物123a、123cの上に形成された被膜は、反応生成物やパーティクルなどをより確実に被膜自身の表面に付着させ捕獲することができる。これにより、半導体の製造プロセス中に発生するパーティクルを低減させることができる。
図6は、耐プラズマ性部材の表面に形成された層状構造物の他の表面を表す写真図である。
なお、図6(a)は、第1の物理的処理を施した後の層状構造物123cの表面を表す写真図である。図6(b)は、第2の物理的処理を施した後の層状構造物123cの表面を表す写真図である。
本発明者は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物123bに第1の物理的処理あるいは第2の物理的処理を施し層状構造物123bの表面を粗面化した。 本願明細書において「物理的処理」とは、機械加工、レーザ加工、放電加工、ブラスト、ショットピーニングおよびプラズマ処理の少なくともいずれかにより物体の表面を処理することをいう。そして、本発明者は、粗面化後における層状構造物123cを観察した。撮影した写真図は、図6(a)〜図6(b)に表した通りである。
物理的処理が施された層状構造物123cの表面は、化学的処理が施された層状構造物123cの表面と同様に粗面化され、凹凸構造を有する。これにより、化学的処理が施された層状構造物123cと同様の効果が得られる。
次に、本発明者が層状構造物の表面状態を検討した結果について、図面を参照しつつ説明する。
図7は、3次元表面性状パラメータを説明する模式図である。
なお、図7(a)は、高さ方向の振幅平均(算術平均)Saを説明するグラフ図である。図7(b)は、コア部の実体体積Vmcおよびコア部の中空体積Vvcを説明するグラフ図である。図7(c)は、定義したセグメンテーション内での突起(あるいは穴)密度を説明する模式的平面図である。
本発明者は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物123a、123cの表面状態を、層状構造物123a、123cの表面の全体を網羅した形で表現し評価することを検討した。図7(a)に表したように、本発明者は、まず、レーザ顕微鏡を用いて層状構造物123a、123cの表面の高さ方向の振幅平均(算術平均)Saを調べた。
レーザ顕微鏡としては、「OLS4000/オリンパス製」を使用した。対物レンズの倍率は、100倍である。ズームは、5倍である。カットオフについては、2.5μmあるいは0.8μmに設定した。
算術平均Saとは、2次元の算術平均粗さRaを3次元に拡張したものであり、3次元粗さパラメータ(3次元高さ方向パラメータ)である。具体的には、算術平均Saは、表面形状曲面と平均面とで囲まれた部分の体積を測定面積で割ったものである。平均面をxy面、縦方向をz軸とし、測定された表面形状曲線をz(x、y)とすると、算術平均Saは、次式で定義される。ここで、式(1)の中の「A」は、測定面積である。
続いて、図7(b)に表したように、本発明者は、負荷曲線から求めるコア部の実体体積Vmcおよび負荷曲線から求めるコア部の中空体積Vvcについて検討した。コア部の実体体積Vmcおよびコア部の中空体積Vvcに関するパラメータは、図7(b)に表したグラフ図のように定義され、3次元体積パラメータである。すなわち、負荷面積率が10%のときの高さが、山部の実体体積Vmpと、コア部の実体体積Vmcおよびコア部の中空体積Vvcと、の境界となる。負荷面積率が80%のときの高さが、谷部の中空体積Vvvと、コア部の実体体積Vmcおよびコア部の中空体積Vvcと、の境界となる。山部の実体体積Vmp、コア部の実体体積Vmc、コア部の中空体積Vvcおよび谷部の中空体積Vvvは、単位面積あたりの体積(単位:m/m)を表す。
続いて、図7(c)に表したように、本発明者は、定義したセグメンテーション内での突起(あるいは穴)193の密度について検討した。具体的には、本発明者は、突起頂上の個数密度Sdsおよび界面の展開面積率Sdrについて検討した。突起頂上の個数密度Sdsおよび界面の展開面積率Sdrは、3次元突起密度である。突起頂上の個数密度Sdsは、単位サンプリング面での頂上個数を表す。突起頂上の個数密度Sdsは、次式で表される。
突起頂上の個数密度Sdsは、頂上の定義により変化する。そのため、突起頂上の個数密度Sdsを求める場合には、頂上の定義を明確にしておく必要がある。
界面の展開面積率Sdrは、サンプリング面に対する界面の増加割合を示すパラメータである。界面の展開面積率Sdrは、四点で形成される小さな界面の展開面積の総和を測定面積で割った値であり、次式で定義される。ここで、式(3)の中の「A」は、定義したセグメンテーションの面積を表す。
本発明者は、前述した算術平均Sa、コア部の実体体積Vmc、コア部の中空体積Vvc、突起頂上の個数密度Sdsおよび界面の展開面積率Sdrにより、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物123a、123cの表面状態を、層状構造物123a、123cの表面の全体を網羅した形で表現し評価できると判断した。
図8は、層状構造物の表面の算術平均を表すグラフ図である。
本発明者は、レーザ顕微鏡を用いて層状構造物の表面の算術平均Saを調べた。カットオフは、2.5μmである。その結果は、図8に表した通りである。図8に表したグラフ図の横軸は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物の形態の別を表す。図8に表したグラフ図の縦軸は、算術平均Sa(μm)を表す。
図8のグラフ図の横軸に表した「溶射」は、イットリア溶射膜である。図8のグラフ図の横軸に表した「鏡面」は、イットリア多結晶体を含む層状構造物123aの表面に鏡面研磨を施したものである。
図3〜図5に関して前述した層状構造物123cは、「化学的処理(2)」に相当する。図3〜図5に関して前述した層状構造物123aは、「アズデポ」に相当する。図6(a)に関して前述した層状構造物123cは、「物理的処理(1)」に相当する。図6(b)に関して前述した層状構造物123cは、「物理的処理(2)」に相当する。
図8のグラフ図の中に表した3本の曲線は、1つのサンプルの中で3回の測定を行ったときのデータを表している。つまり、図8のグラフ図の中に表した3本の曲線は、測定のn数(図8のグラフ図ではn=3)を表している。これは、図9〜図12に関して後述するグラフ図においても同様である。
図8に表したグラフ図によれば、「化学的処理(1)」、「化学的処理(2)」、「アズデポ」、「物理的処理(1)」および「物理的処理(2)」のそれぞれの算術平均Saは、0.025μm以上0.075μm以下の範囲に含まれる。なお、図8に表したグラフ図において、「アズデポ」の算術平均Saは、0.026μmである。図8に表したグラフ図において、「物理的処理(2)」の算術平均Saは、0.030μmである。
図9は、層状構造物の表面のコア部の実体体積を表すグラフ図である。
本発明者は、層状構造物の表面のコア部の実体体積Vmcを負荷曲線から求めた。カットオフは、2.5μmである。その結果は、図9に表した通りである。図9に表したグラフ図の横軸は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物の形態の別を表す。図9に表したグラフ図の横軸は、図8に表したグラフ図の横軸と同様である。図9に表したグラフ図の縦軸は、負荷曲線から求めたコア部の実体体積Vmc(μm/μm)を表す。
図9に表したグラフ図によれば、「化学的処理(1)」、「化学的処理(2)」、「化学的処理(3)」、「アズデポ」、「物理的処理(1)」および「物理的処理(2)」のそれぞれのコア部の実体体積Vmcは、0.03μm/μm以上0.08μm/μm以下の範囲に含まれる。
図10は、層状構造物の表面のコア部の中空体積を表すグラフ図である。
本発明者は、層状構造物の表面のコア部の中空体積Vvcを負荷曲線から求めた。カットオフは、2.5μmである。その結果は、図10に表した通りである。図10に表したグラフ図の横軸は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物の形態の別を表す。図10に表したグラフ図の横軸は、図8に表したグラフ図の横軸と同様である。図10に表したグラフ図の縦軸は、負荷曲線から求めたコア部の中空体積Vvc(μm/μm)を表す。
図10に表したグラフ図によれば、「化学的処理(1)」、「化学的処理(2)」、「化学的処理(3)」、「アズデポ」、「物理的処理(1)」および「物理的処理(2)」のそれぞれのコア部の中空体積Vvcは、0.03μm/μm以上0.1μm/μm以下の範囲に含まれる。
図11は、層状構造物の表面における突起頂上の個数密度を表すグラフ図である。
本発明者は、層状構造物の表面における突起頂上の個数密度Sdsを求めた。カットオフは、2.5μmである。その結果は、図11に表した通りである。図11に表したグラフ図の横軸は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物の形態の別を表す。図11に表したグラフ図の横軸は、図8に表したグラフ図の横軸と同様である。図11に表したグラフ図の縦軸は、突起頂上の個数密度Sdsを表す。
図11に表したグラフ図では、層状構造物の形態の別による突起頂上の個数密度Sdsの有意差を見いだすことはできなかった。
図12は、層状構造物の表面における界面の展開面積率を表すグラフ図である。
なお、図12(a)は、界面の展開面積率が0以上300以下の範囲を表示するグラフ図である。図12(b)は、界面の展開面積率が0以上35以下の範囲を拡大して表示するグラフ図である。
本発明者は、層状構造物の表面における界面の展開面積率Sdrを求めた。カットオフは、2.5μmである。その結果は、図12(a)および図12(b)に表した通りである。図12(a)および図12(b)に表したグラフ図の横軸は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物の形態の別を表す。図12(a)および図12(b)に表したグラフ図の横軸は、図8に表したグラフ図の横軸と同様である。図12(a)および図12(b)に表したグラフ図の縦軸は、界面の展開面積率Sdrを表す。
図12(a)および図12(b)に表したグラフ図によれば、「化学的処理(1)」、「化学的処理(2)」、「化学的処理(3)」、「アズデポ」、「物理的処理(1)」および「物理的処理(2)」のそれぞれの界面の展開面積率Sdrは、3以上28以下の範囲に含まれる。
次に、本発明者が層状構造物の内部の状態を検討した結果について、図面を参照しつつ説明する。
図13は、本実施形態の層状構造物の内部の状態を撮影した写真図である。
図14は、本実施形態の層状構造物の内部構造を二値化した写真図である。
なお、図13および図14は、TEM(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微鏡/日立製作所製 H−9000NAR)により撮影した写真図である。二値化処理については、図14に表した領域A12において行った。
図13に表した層状構造物123(123c)は、イットリア多結晶体を含む。図13に表したイットリア多結晶体の層状構造物123(123c)は、「エアロゾルデポジション法」により形成されている。図1および図2に関して前述したように、エアロゾルデポジション法により形成されたイットリア多結晶体の層状構造物123は、イットリア焼成体やイットリア溶射膜などと比較すると緻密な構造を有する。
一方で、図13に表した領域A11および図14に表した領域A12のように、イットリア多結晶体を含む層状構造物123(123c)の内部には、粗密構造が存在する。つまり、層状構造物123(123c)の内部には、密度が相対的に粗である部分と、密度が相対的に密である部分と、が存在する。図14に表した領域A12では、イットリア多結晶体の密度の粗密は、二値化された濃淡により表されている。淡い色の部分は、密度が粗の部分である。
図2に関して前述した半導体の製造プロセスのように、チャンバー110の内壁を被膜で覆う場合には、被膜の密着強度あるいは密着力を高め、被膜が剥がれ難いようにする必要がある。
図13に表した層状構造物123(123c)の内部には、イットリア多結晶体の粗密構造が存在するため、化学的処理あるいは物理的処理により、数百nmオーダの相対的に大きい第1の凹凸構造125と、数十nmオーダの相対的に小さい第2の凹凸構造126と、が生じやすい。すなわち、化学的処理などでは、密度が密である部分と比較して、密度が粗である部分が浸食されやすい。密度が粗である部分は、密度が密である部分と比較して先に浸食される。そのため、第2の凹凸構造126が第1の凹凸構造125に重畳して形成されやすいと考えられる。これにより、被膜の密着強度あるいは密着力を高めることができる。
図4(e)および図4(f)に関して前述したように、層状構造物123cの表面には、第1の凹凸構造125と、第2の凹凸構造126と、が分布している。一方、図13および図14に表したように、層状構造物123cの厚さ方向(深さ方向)には、密度が相対的に粗である部分と、密度が相対的に密である部分と、が分布している。このように、本実施形態の層状構造物123cの粗密構造は、密の部分の中に密度が密の部分の密度よりも小さい粗の部分が三次元的に分布した構造を有する。例えば、本実施形態の層状構造物123cは、三次元的な網目状構造を有する。また、本実施形態の層状構造物123cは、蟻の巣構造あるいはサンゴ礁構造を有する。これによれば、被膜の密着強度あるいは密着力をさらに高めることができる。
図15は、本実施形態の層状構造物の上部の状態を撮影した写真図である。
図16は、深さ位置に対する面積比率の一例を例示するグラフ図および表である。
なお、図15(a)〜図15(e)は、本実施形態の層状構造物の上部(上層)の状態をTEM(日立製作所製 HD−2700)により撮影した写真図である。図16(a)は、深さ位置に対する面積比率の一例を例示するグラフ図である。図16(b)は、深さ位置に対する面積比率の一例を例示する表である。
図15(b)は、図15(a)に表した領域A13のうち図15(b)に表した領域A131を二値化した写真図である。図15(c)は、図15(a)に表した領域A13のうち図15(c)に表した領域A132を二値化した写真図である。図15(d)は、図15(a)に表した領域A13のうち図15(d)に表した領域A133を二値化した写真図である。図15(e)は、図15(a)に表した領域A13のうち図15(e)に表した領域A134を二値化した写真図である。つまり、二値化処理を行う領域は、図15(b)に表した領域A131、図15(c)に表した領域A132、図15(d)に表した領域A133および図15(e)に表した領域A134の順に上層(相対的に表面から浅い層)から下層(相対的に表面から深い層)へ向かっている。
図16(a)および図16(b)に表した「深さ位置(1)」は、図15(b)に表した領域A131に相当する。図16(a)および図16(b)に表した「深さ位置(2)」は、図15(c)に表した領域A132に相当する。図16(a)および図16(b)に表した「深さ位置(3)」は、図15(d)に表した領域A133に相当する。図16(a)および図16(b)に表した「深さ位置(4)」は、図15(e)に表した領域A134に相当する。
図15に表した層状構造物123cは、イットリア多結晶体を含む。図15に表したイットリア多結晶体の層状構造物123cは、「エアロゾルデポジション法」により形成されている。層状構造物123cの表面には、化学的処理が施されている。イットリア多結晶体を含む層状構造物123(123c)の密度の粗密は、二値化された濃淡により表されている。淡い色の部分は、密度が粗の部分である。
図15(b)〜図15(e)に表した二値化処理された写真図によれば、層状構造物123cの密度が粗の部分は、上層から下層へ向かうにつれて小さくなる。つまり、層状構造物123cの凹凸構造のうちの凹部は、上層から下層へ向かうにつれて小さくなる。言い換えれば、層状構造物123cの表面における微細な溝は、上層から下層へ向かうにつれて細くなる。
具体的には、図16(a)および図16(b)に表したように、深さ位置(1)〜(4)のそれぞれの面積比率は、深さ位置(1)から深さ位置(4)へ向かうにつれて、87.41%、34.84%、22.70%、2.56%へ減少する。
これによれば、図13および図14に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
次に、本発明者がプレコート膜の密着強度を検討した結果について、図面を参照しつつ説明する。
図17は、プレコート膜の密着強度の測定方法を説明する模式的斜視図である。
図18は、プレコート膜の密着強度の測定方法を説明する写真図である。
図19は、光学顕微鏡の写真を例示する写真図である。
図20は、剥離領域をSEMにより撮影した写真図である。
図19(a)は、層状構造物123bの表面に形成された被膜のスクラッチ痕および剥離領域を例示する写真図である。図19(b)は、層状構造物123cの表面に形成された被膜のスクラッチ痕および剥離領域を例示する写真図である。
図20(a)は、図19(a)に表した領域A21をSEMにより撮影した写真図である。図20(b)は、図19(b)に表した領域A22をSEMにより撮影した写真図である。
まず、本発明者は、層状構造物123の表面にCVD法により被膜(本具体例ではSiO2の膜)を形成した。被膜の厚さは、約0.4〜0.6μm程度である。
続いて、本発明者は、「ナノスクラッチテスタ法」などと呼ばれる方法により、プレコート膜(被膜)の密着強度を測定した。具体的には、スクラッチ試験装置としては、「Nano Scratch Tester(NST)/CSM Instruments製」を使用した。負荷速度は、30ニュートン/分(N/min)である。図17に表した矢印A2のように、本測定方法では、層状構造物123の表面に形成された被膜に対し、圧子251を介して荷重をかける。続いて、図17に表した矢印A3のように、負荷荷重を連続的に増加させつつ層状構造物123の表面に沿って圧子251を移動させ、密着強度を測定する。圧子251の先端の材質は、ダイヤモンドである。圧子251の先端の曲率半径は、100μmである。
続いて、図18(a)に表したように、被膜の略全体の剥離(破壊)が開始する点の直前について、光学顕微鏡により写真を取得した。図18(a)においては、スクラッチ痕141と、剥離領域143と、が表されている。光学顕微鏡により取得した写真の他の例は、図19(a)および図19(b)に表した通りである。図20(a)に表したように、粗面化前であって研磨処理後の層状構造物123bでは、被膜と層状構造物123bとの界面で剥離が生じていることが分かる。図20(b)に表したように、粗面化後の層状構造物123cでは、被膜と層状構造物123cとの界面で剥離が生じていることが分かる。なお、図19(a)に表した領域A23では、被膜が無いことが分かった。
続いて、図18(b)に表したように、取得した光学顕微鏡の写真の上に、OHPシート145を被せた。
続いて、図18(c)に表したように、スクラッチ痕141を略中心とする所定の領域において、被膜の剥離領域143を例えばマーカーなど筆記用具によりトレースした。本具体例では、所定の領域の一辺の長さL1は、70μmである。所定の領域において、70μmの一辺と略直交する他の一辺の長さL2は、170μmである。
続いて、図18(d)に表したように、トレースした剥離領域143を例えば画像処理ソフトを用いて塗りつぶし、画像の二値化処理を行った。画像処理ソフトとしては、「WinROOF Ver.6.5/三谷商事製」を利用した。
続いて、被膜の剥離領域143の面積率を算出した。
図21は、プレコート膜の密着強度の測定結果の一例を例示する表およびグラフ図である。
図21(a)は、プレコート膜の密着強度の測定結果の一例を例示する表である。図21(b)は、プレコート膜の密着強度の測定結果の一例を例示するグラフ図である。
本発明者は、図17〜図20に関して前述した測定方法により、被膜(本具体例ではSiOの膜)の剥離面積率(%)を算出した。膜の剥離面積率および被膜の密着強度の評価は、図21(a)および図21(b)に表した通りである。図21(b)に表したグラフ図の横軸は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物の形態の別を表す。図21(b)に表したグラフ図の左側の縦軸は、被膜の剥離面積率(%)を表す。図21(b)に表したグラフ図の右側の縦軸は、被膜の密着強度の評価を表す。
本発明者は、被膜の剥離面積率が0%以上10%未満の範囲に含まれる場合に、被膜の密着強度を「優(○):OK」と判断した。本発明者は、被膜の剥離面積率が10%以上20%未満の範囲に含まれる場合に、被膜の密着強度を「良(△):OK」と判断した。本発明者は、被膜の剥離面積率が20%以上の場合に、被膜の密着強度を「不可(×):NG」と判断した。図21(a)および図21(b)によれば、「化学的処理(1)」、「化学的処理(2)」、「アズデポ」および「物理的処理(2)」のそれぞれの被膜の剥離面積率は、0%以上20%未満の範囲に含まれる。
なお、「溶射」については、溶射膜の表面の凹凸が他の表面処理と比較して激しく、溶射膜の表面に亀裂が発生していた。また、溶射膜の表面において、多数の剥離箇所が存在した。そのため、「溶射」についての被膜の剥離面積率は、測定不能であった。
図22は、面解析におけるカットオフを説明するグラフ図である。
図22(a)は、カットオフを2.5μmに設定したときのグラフ図である。図22(b)は、カットオフを0.8μmに設定したときのグラフ図である。
図22(a)および図22(b)のそれぞれには、表面の断面形状を表す「断面曲線」と、第1の凹凸構造125を表す「うねり曲線」と、第2の凹凸構造126を表す「粗さ曲線」と、が表されている。図4(a)〜図4(f)に関して前述したように、第1の凹凸構造125は、第2の凹凸構造126と比較して大きなうねりを有する。第2の凹凸構造126は、第1の凹凸構造125と比較して細かい凹凸の粗さを有する。
図22(a)に表したように、カットオフを2.5μmに設定した場合には、第2の凹凸構造126による粗さ曲線が第1の凹凸構造125によるうねり曲線と重複する範囲が存在する。
これに対して、図22(b)に表したように、カットオフを0.8μmに設定すると、カットオフを2.5μmに設定した場合と比較して、第1の凹凸構造125によるうねり曲線が断面曲線と類似した傾向を示す。一方で、第2の凹凸構造126による粗さ曲線が第1の凹凸構造125によるうねり曲線と重複する範囲は、カットオフ2.5μmに設定した場合と比較して、狭くなる。
これにより、面解析においてカットオフを0.8μmに設定することで、第1の凹凸構造125による「うねり」と、第2の凹凸構造126による「粗さ」と、をより明確に分離できることが確認された。つまり、面解析においてカットオフを0.8μmに設定することで、第1の凹凸構造125と第2の凹凸構造126とをより明確に区別することができる。
図23は、層状構造物の表面の算術平均を表すグラフ図である。
本発明者は、カットオフを0.8μmに設定し、レーザ顕微鏡を用いて層状構造物の表面の算術平均Saを調べた。その結果は、図23(a)および図23(b)に表した通りである。
図23(a)は、第1の凹凸構造125の算術平均を表すグラフ図である。図23(b)は、第2の凹凸構造126の算術平均を表すグラフ図である。図23(a)および図23(b)に表したグラフ図の横軸は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物の形態の別を表す。図23(a)および図23(b)に表したグラフ図の横軸は、図8に表したグラフ図の横軸と同様である。図23(a)および図23(b)に表したグラフ図の縦軸は、算術平均Sa(μm)を表す。
図23(b)に表したグラフ図によれば、「化学的処理(1)」、「化学的処理(2)」、「化学的処理(3)」、「アズデポ」、「物理的処理(1)」および「物理的処理(2)」のそれぞれの第2の凹凸構造126の算術平均Saは、0.010μm以上0.035μm以下の範囲に含まれる。
図24は、層状構造物の表面のコア部の実体体積を表すグラフ図である。
本発明者は、カットオフを0.8μに設定し、層状構造物の表面のコア部の実体体積Vmcを負荷曲線から求めた。その結果は、図24(a)および図24(b)に表した通りである。
図24(a)は、第1の凹凸構造125のコア部の実体体積を表すグラフ図である。図24(b)は、第2の凹凸構造126のコア部の実体体積を表すグラフ図である。図24(a)および図24(b)に表したグラフ図の横軸は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物の形態の別を表す。図24(a)および図24(b)に表したグラフ図の横軸は、図8に表したグラフ図の横軸と同様である。図24(a)および図24(b)に表したグラフ図の縦軸は、負荷曲線から求めたコア部の実体体積Vmc(μm/μm)を表す。
図24(b)に表したグラフ図によれば、「化学的処理(1)」、「化学的処理(2)」、「化学的処理(3)」、「アズデポ」、「物理的処理(1)」および「物理的処理(2)」のそれぞれの第2の凹凸構造126のコア部の実体体積Vmcは、0.01μm/μm以上0.035μm/μm以下の範囲に含まれる。
図25は、層状構造物の表面のコア部の中空体積を表すグラフ図である。
本発明者は、カットオフを0.8μmに設定し、層状構造物の表面のコア部の中空体積Vvcを負荷曲線から求めた。その結果は、図25(a)および図25(b)に表した通りである。
図25(a)は、第1の凹凸構造125のコア部の中空体積を表すグラフ図である。図25(b)は、第2の凹凸構造126のコア部の中空体積を表すグラフ図である。図25(a)および図25(b)に表したグラフ図の横軸は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物の形態の別を表す。図25(a)および図25(b)に表したグラフ図の横軸は、図8に表したグラフ図の横軸と同様である。図25(a)および図25(b)に表したグラフ図の縦軸は、負荷曲線から求めたコア部の中空体積Vvc(μm/μm)を表す。
図25(b)によれば、「化学的処理(1)」、「化学的処理(2)」、「化学的処理(3)」、「アズデポ」、「物理的処理(1)」および「物理的処理(2)」のそれぞれの第2の凹凸構造126のコア部の中空体積Vvcは、0.012μm/μm以上0.05μm/μm以下の範囲に含まれる。
図26は、層状構造物の表面における界面の展開面積率を表すグラフ図である。
本発明者は、カットオフを0.8μmに設定し、層状構造物の表面における界面の展開面積率Sdrを求めた。その結果は、図26(a)および図26(b)に表した通りである。
図26(a)は、第1の凹凸構造125の界面の展開面積率を表すグラフ図である。図26(b)は、第2の凹凸構造126の界面の展開面積率を表すグラフ図である。図26(a)および図26(b)に表したグラフ図の横軸は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物の形態の別を表す。図26(a)および図26(b)に表したグラフ図の横軸は、図8に表したグラフ図の横軸と同様である。図26(a)および図26(b)に表したグラフ図の縦軸は、界面の展開面積率Sdrを表す。
図26(b)によれば、「化学的処理(1)」、「化学的処理(2)」、「化学的処理(3)」、「アズデポ」、「物理的処理(1)」および「物理的処理(2)」のそれぞれの第2の凹凸構造126の界面の展開面積率Sdrは、1以上17以下の範囲に含まれる。
図27は、層状構造物の表面における二乗平均平方根傾斜を表すグラフ図である。
本発明者は、カットオフを0.8μmに設定し、層状構造物の表面における二乗平均平方根傾斜SΔqを求めた。その結果は、図27(a)および図27(b)に表した通りである。
図27(a)は、第1の凹凸構造125の二乗平均平方根傾斜を表すグラフ図である。図27(b)は、第2の凹凸構造126の二乗平均平方根傾斜を表すグラフ図である。図27(a)および図27(b)に表したグラフ図の横軸は、耐プラズマ性部材120の表面に形成された層状構造物の形態の別を表す。図27(a)および図27(b)に表したグラフ図の横軸は、図8に表したグラフ図の横軸と同様である。図27(a)および図27(b)に表したグラフ図の縦軸は、二乗平均平方根傾斜SΔqを表す。
二乗平均平方根傾斜SΔdは、サンプリング面での二次元の二乗平均傾斜角Δqを表す。あらゆる点において、表面傾斜は、次式で表される。
したがって、二乗平均平方根傾斜SΔqは、次式で表される。
図27(b)によれば、「化学的処理(1)」、「化学的処理(2)」、「化学的処理(3)」、「アズデポ」、「物理的処理(1)」および「物理的処理(2)」のそれぞれの第2の凹凸構造126の二乗平均平方根傾斜SΔqは、0.15以上0.6以下の範囲に含まれる。
図28は、プレコート膜の密着強度の測定結果の一例を例示する表である。
本発明者は、カットオフを0.8μmに設定し、図17〜図20に関して前述した測定方法により、被膜(本具体例ではSiOの膜)の剥離面積率(%)を算出した。被膜の剥離面積率および被膜の密着強度の評価は、図28に表した通りである。被膜の密着強度の評価の判断基準は、図21に関して前述した通りである。
図28によれば、「化学的処理(1)」、「化学的処理(2)」、「アズデポ」および「物理的処理(2)」のそれぞれの被膜の剥離面積率は、0%以上20%未満の範囲に含まれる。
なお、「溶射」については、図21に関して前述した理由により、測定不能であった。
次に、エアロゾルデポジション法についてさらに説明する。
図29は、本実施形態の層状構造物の内部を撮影した写真図である。
図30は、層状構造物の形成方法の違いにより平均結晶粒子サイズを比較した表である。
図1に関して前述したように、層状構造物123は、エアロゾルデポジション法により形成されている。エアロゾルデポジション法によれば、特に加熱手段などを必要とせず、常温で層状構造物123が形成が可能である。そのため、層状構造物123(123a)と基材121との間の界面、あるいは層状構造物123(123a)の内部には、粒界層が存在しない。
図29は、TEMにより撮影した写真図である。図29に表した写真図では、イットリア多結晶体の層状構造物123が石英の基材121の表面にエアロゾルデポジション法により形成されている。図29に表した写真図によれば、層状構造物123(123a)と基材121との間の界面、あるいは層状構造物123(123a)の内部には、粒界層は存在しなかった。また、アモルファス相や異相は、誘起されていなかった。
これによれば、粒界層の有無は、層状構造物123がエアロゾルデポジション法により形成されたものであるか否かの判断材料の1つとなり得る。
また、エアロゾルデポジション法(AD法)では、加熱プロセスがなく、微粒子が変形あるいは破砕される。そのため、エアロゾルデポジション法によって形成される複合構造物において、結晶性の脆性材料微粒子を原料として用いる場合、複合構造物の層状構造物123の部分の結晶粒子サイズは、原料微粒子サイズ、焼結体の結晶粒子サイズおよび溶射膜の結晶粒子サイズに比べて小さい。
図29に表した写真図にように、イットリア多結晶体の結晶粒子サイズは、約15〜20nm程度であった。また、図30に表した比較表のように、エアロゾルデポジション法(AD法)により形成されたイットリア多結晶体の平均結晶粒子サイズは、XRD(X-ray Diffraction:X線回折)分析により算出すると19nmであった。一方で、イットリア焼結体の平均結晶粒子サイズは、218nmであった。イットリア溶射膜の平均結晶粒子サイズは、71nmであった。つまり、エアロゾルデポジション法により形成されたイットリア多結晶体の平均結晶粒子サイズは、約15〜20nm程度であり、イットリア焼結体の平均結晶粒子サイズおよびイットリア溶射膜の平均結晶粒子サイズよりも小さい。
これによれば、平均結晶粒子サイズは、層状構造物123がエアロゾルデポジション法により形成されたものであるか否かの判断材料の1つとなり得る。
本実施形態においては、平均結晶粒子の径は、通常5ナノメートル(nm)以上、50ナノメートル(nm)以下である。また、平均結晶粒子の径は30ナノメートル(nm)以下であることがより好ましい。
図31は、エアロゾルデポジション法により形成された層状構造物についてのXRD測定の結果の一例を例示するグラフ図である。
エアロゾルデポジション法によって形成される複合構造物において、結晶性の脆性材料微粒子を原料として用いる場合、結晶の配向性はない。これに対して、CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法などによって形成される複合構造物においては、結晶性の脆性材料微粒子を原料として用いる場合、結晶の配向性がある。
図31に表したグラフ図のように、エアロゾルデポジション法により形成された層状構造物123の結晶構造は、立方晶と単斜晶とを含む混晶構造である。エアロゾルデポジション法により形成された層状構造物123の結晶は、配向性を有していない。
これによれば、結晶の配向性の有無は、層状構造物123がエアロゾルデポジション法により形成されたものであるか否かの判断材料の1つとなり得る。
図32は、本実施形態の層状構造物の他の内部を撮影した写真図である。
図32は、TEMにより撮影した写真図である。図32に表した写真図では、イットリア多結晶体の層状構造物123が石英の基材121の表面にエアロゾルデポジション法により形成されている。層状構造物123の部分には、基材121の表面に食い込むアンカー層128が形成されている。このアンカー層128が形成されている層状構造物123は、基材121に対して極めて高い強度で強固に付着して形成される。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、半導体製造装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや耐プラズマ性部材120および静電チャック160の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
100 半導体製造装置、 110 チャンバー、 120 耐プラズマ性部材、 121 基材、 123、123a、123b、123c 層状構造物、 125 第1の凹凸構造、 126 第2の凹凸構造、 128 アンカー層、 160 静電チャック、 191 領域、 193 突起(あるいは穴)、 210 ウェーハ、 221 パーティクル、 251 圧子、 141 スクラッチ痕、 143 剥離領域、 145 OHPシート

Claims (9)

  1. 基材と、
    前記基材の表面に形成されイットリア多結晶体を含み耐プラズマ性を有する層状構造物
    と、
    を備え、
    前記層状構造物は、
    第1の凹凸構造と、
    前記層状構造物の表面の全体において前記第1の凹凸構造に重畳して形成され前記第1の凹凸構造よりも微細な凹凸であって前記結晶粒子の大きさの微細な凹凸を有する第2の凹凸構造と、
    を有し、
    平均結晶粒子の径が50ナノメートル(nm)以下であることを特徴とする耐プラズマ性部材。
  2. 前記第1の凹凸構造は、前記層状構造物の表面の一部に形成され結晶粒子の集団が脱落した空隙を有し、
    前記第2の凹凸構造は、前記層状構造物の表面の全体に形成され前記結晶粒子の大きさの微細な凹凸を有することを特徴とする請求項1記載の耐プラズマ性部材。
  3. 前記層状構造物の表面の算術平均Saは、0.025μm以上0.075μm以下であり、
    前記層状構造物の表面の負荷曲線から求められるコア部の実体体積Vmcは、0.03μm/μm以上0.08μm/μm以下であり、
    前記層状構造物の表面の負荷曲線から求められるコア部の中空体積Vvcは、0.03μm/μm以上0.1μm/μm以下であり、
    前記層状構造物の表面の界面の展開面積率Sdrは、3以上28以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐プラズマ性部材。
  4. 前記第1の凹凸構造および前記第2の凹凸構造は、化学的処理が施されることにより形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の耐プラズマ性部材。
  5. 基材と、
    前記基材の表面に形成されイットリア多結晶体を含み耐プラズマ性を有する層状構造物
    と、
    を備え、
    前記層状構造物は、
    第1の凹凸構造と、
    前記層状構造物の表面の全体において前記第1の凹凸構造に重畳して形成され前記第1の凹凸構造よりも微細な凹凸であって前記結晶粒子の大きさの微細な凹凸を有する第2の凹凸構造と、
    を有し、
    平均結晶粒子の径が50ナノメートル(nm)以下であって、
    面解析におけるカットオフが0.8μmである場合において、
    前記層状構造物の表面の算術平均Saは、0.010μm以上0.035μm以下であ
    り、
    前記層状構造物の表面の負荷曲線から求められるコア部の実体体積Vmcは、0.01
    μm/μm以上0.035μm/μm以下であり、
    前記層状構造物の表面の負荷曲線から求められるコア部の中空体積Vvcは、0.01
    2μm/μm以上0.05μm/μm以下であり、
    前記層状構造物の表面の界面の展開面積率Sdrは、1以上17以下であり、
    前記層状構造物の表面の二乗平均平方根傾斜SΔqは、0.15以上0.6以下である
    ことを特徴とする耐プラズマ性部材。
  6. 前記層状構造物は、前記イットリア多結晶体の粗密構造を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の耐プラズマ性部材。
  7. 前記粗密構造のうちの粗の部分は、前記層状構造物の表面の層から前記表面の層よりも深い層へ向かうと小さくなることを特徴とする請求項6記載の耐プラズマ性部材。
  8. 前記粗密構造は、密の部分の中に密度が前記密の部分の密度よりも小さい粗の部分が三次元的に分布したことを特徴とする請求項6記載の耐プラズマ性部材。
  9. 前記層状構造物は、エアロゾルデポジション法により形成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の耐プラズマ性部材。
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