JP2022153274A - 複合構造物および複合構造物を備えた半導体製造装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022153274000001
【課題】耐パーティクル性(low-particle generation)を高めることができる、半導体製造装置用部材として用いられる複合構造物およびそれを備えた半導体製造装置を提供することを目的とする。
【解決手段】基材と、前記基材上に設けられ、表面を有する構造物とを含む複合構造物であって、前記構造物がYAlを主成分として含み、かつそのインデンテーション硬度が6.0GPaより大である複合構造物は、耐パーティクル性に優れ、半導体製造装置用部材として好ましく用いられる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、半導体製造装置用部材として好ましく用いられる、耐パーティクル性(low-particle generation)に優れた複合構造物およびそれを備えた半導体製造用装置に関する。
基材表面にセラミックスをコートして、基材に機能を付与する技術が知られている。例えば、半導体製造装置などのプラズマ照射環境下で用いられる半導体製造装置用部材として、その表面に耐プラズマ性が高い被膜を形成したものが用いられている。被膜には、例えば、アルミナ(Al)、イットリア(Y)等の酸化物系セラミックス、フッ化イットリウム(YF)、イットリウムオキシフッ化物(YOF)などのフッ化物が用いられる。
さらに酸化物系セラミックスとしては、酸化エルビウム(Er)あるいはErAl12、酸化ガドリニウム(Gd)あるいはGdAl12、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG:YAl12)または、YAlなどを用いた保護層を用いる提案がなされている(特許文献1および特許文献2)。半導体の微細化に伴い、半導体製造装置内の各種部材にはより高いレベルでの耐パーティクル性が求められている。
特表2016-528380号公報 特表2017-514991号公報
本発明者らは、今般、イットリウムおよびアルミニウムの酸化物YAl(以下、「YAM」と略記する)を主成分として含む構造物の硬度と、プラズマ腐食に伴うパーティクル汚染の指標である耐パーティクル性との間に相関関係があることを見出し、耐パーティクル性に優れた構造物の作成に成功した。
したがって、本発明は、耐パーティクル性(low-particle generation)に優れた複合構造物の提供をその目的としている。さらにこの複合構造物の半導体製造装置用部材としての用途、およびそれを用いた半導体製造装置の提供をその目的としている。
そして、本発明による複合構造物は、基材と、前記基材上に設けられ、表面を有する構造物とを含む複合構造物であって、前記構造物がYAlを主成分として含み、かつそのインデンテーション硬度が6.0GPaより大であることを特徴とするものである。
また本発明による複合構造物は、耐パーティクル性が要求される環境において用いられるものである。
さらに、本発明による半導体製造装置は、上記の本発明による複合構造物を備えた者である。
本発明による構造物を有する部材の模式断面図である。 標準プラズマ試験1後の構造物表面からの深さとフッ素原子濃度との関係を示すグラフである。 標準プラズマ試験2後の構造物表面からの深さとフッ素原子濃度との関係を示すグラフである。 構造物の表面の標準プラズマ試験1および2後のSEM像である。
複合構造物
本発明による複合構造物の基本構造を、図1を用いて説明する。図1は、本発明による複合構造物10の断面模式図である。複合構造物10は、基材15の上に設けられた構造物20とからなり、構造物20は表面20aを有する。
本発明による複合構造物が備える構造物20は、いわゆるセラミックコートである。セラミックコートを施すことにより、基材15に種々の物性・特性を付与することが出来る。なお、本明細書にあっては、構造物(またはセラミック構造物)とセラミックコートとは、特に断らない限り、同義に用いる。
複合構造物10は、例えば、チャンバーを有する半導体製造装置のチャンバー内部に設けられる。複合構造物10がチャンバーの内壁を構成してもよい。チャンバーの内部には、SF系やCF系のフッ素系ガスなどが導入されプラズマが生じ、構造物20の表面20aはプラズマ雰囲気に曝露される。そのため、複合構造物10の表面にある構造物20には耐パーティクル性が要求される。また、本発明による複合構造物は、チャンバーの内部以外に実装される部材として用いられてもよい。本明細書において、本発明による複合構造物が用いられる半導体製造装置は、アニール、エッチング、スパッタリング、CVDなどの処理を行う任意の半導体製造装置(半導体処理装置)を含む意味に用いる。
基材
本発明において基材15は、その用途に用いられる限り特に限定されず、アルミナ、石英、アルマイト、金属あるいはガラスなどを含んで構成され、好ましくはアルミナを含んで構成される。本発明の好ましい態様によれば、基材15の構造物20が形成される面の算術平均粗さRa(JISB0601:2001)は、例えば5マイクロメータ(μm)未満、好ましくは1μm未満、より好ましくは0.5μm未満とされる。
構造物
本発明において、構造物はYAMを主成分として含むものである。また、本発明の一つの態様によれば、YAMは多結晶体である。
本発明において、構造物の主成分とは、構造物のX線回折(X-ray Diffraction:XRD)による定量又は準定量分析により、構造物20に含まれる他の化合物よりも相対的に多く含まれる化合物をいう。例えば、主成分は、構造物中に最も多く含まれる化合物であり、構造物において主成分が占める割合は、体積比又は質量比で50%よりも大きい。主成分が占める割合は、より好ましくは70%より大きく、90%より大きいことも好ましい。主成分が占める割合が100%であってもよい。
本発明において、構造物がYAMに加え含んでいてもよい成分としては、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化ユウロビウム、酸化ガドリニウム、酸化エルビウム、酸化イッテルビウムなどの酸化物、およびイットリウムフッ化物、イットリウムオキシフッ化物などのフッ化物があげられ、これらの二以上の複数を含んでいてもよい。
本発明において、構造物は単層構造に限られず、多層構造であってもよい。組成の異なるYAMを主成分とする層を複数備えることもでき、また、基材と構造物との間に別の層、例えばYを含む層が設けられていてもよい。
インデンテーション硬度
本発明において、YAMを主成分として含む構造物は、インデンテーション硬度が6.0GPaよりも大とされる。これにより、耐パーティクル性を向上させることができる。本発明の好ましい態様によれば、インデンテーション硬度は9GPa以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは11GPa以上である。インデンテーション硬度の上限は、特に限定されず、その要求特性により定めてよいが、例えば20GPa以下である。
ここで、構造物のインデンテーション硬度は、以下の方法により測定される。すなわち、硬度測定は、基材上のYAMを主成分として含む構造物の表面に対して極微小押し込み硬さ試験(ナノインデンテーション)により行う。圧子はバーコビッチ圧子、押し込み深さは200nmの固定値とし、インデンテーション硬さ(押し込み硬さ)HITを測定する。表面におけるHITの測定箇所として傷や凹みを除外した表面を選択する。より好ましくは表面は研磨を施した平滑面とする。測定点数は少なくとも25点以上とする。測定した25点以上のHITの平均値を本発明における硬度とする。その他の試験方法及び分析方法、試験装置の性能を検証するための手順、標準参考試料に求められる条件については、ISO14577に準拠する。
半導体製造装置においては、CF系ガスやSF系ガスなどを用いた腐食性の高いフッ素系プラズマが用いられる。本発明によるYAMを主成分として含む構造物は、こうしたフッ素系プラズマに曝されフッ化された場合にも結晶構造の変化が少ない。したがって、腐食性プラズマに曝される使用時においても構造物表面の結晶構造変化を抑制でき、より低パーティクルを実現することが可能となると考えられる。
本発明の一つの態様によれば、構造物に含まれるYAMが多結晶体であるとき、その平均結晶子サイズは、例えば100nm未満、好ましくは50nm未満、さらに好ましくは30nm未満、最も好ましくは20nm未満である。平均結晶子サイズが小さいことにより、プラズマによって発生するパーティクルを小さくすることができる。
本願明細書において「多結晶体」とは、結晶粒子が接合・集積してなる構造体をいう。結晶粒子は、実質的にひとつで結晶を構成することが好ましい。結晶粒子の径は、例えば5ナノメートル(nm)以上である。
本発明において、結晶子サイズの測定は、例えばX線回折による。平均結晶子サイズとして、以下のシェラーの式により、結晶子サイズを算出することができる。
D=Kλ/(βcosθ)
ここで、Dは結晶子サイズであり、βはピーク半値幅(単位:ラジアン(rad))であり、θはブラッグ角(単位:rad)であり、λはXRDに使った特性X線の波長である。
シェラーの式において、βは、β=(βobs-βstd)により算出される。βobsは、測定試料のX線回折ピークの半値幅であり、βstdは、標準試料のX線回折ピークの半値幅である。Kはシェラー定数である。
YAMにおいて、結晶子サイズの算出に用いることができるX線回折ピークは、YAMの単斜晶における、ミラー指数(hkl)=(013)に帰属される回折角2θ=26.7°付近のピーク、ミラー指数(hkl)=(122)に帰属される回折角2θ=29.6°付近のピーク、ミラー指数(hkl)=(211)に帰属される回折角2θ=30.6°付近のピーク等である。
また、結晶子サイズは、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いた観察によって得られる画像から算出してもよい。例えば、平均結晶子サイズには、結晶子の円相当直径の平均値を用いることができる。
YAMが多結晶である態様において、互いに隣接する結晶子同士の間隔は、好ましくは0nm以上10nm未満である。隣接する結晶子同士の間隔とは、結晶子同士が最も近接した間隔のことであり、複数の結晶子から構成される空隙を含まない。結晶子同士の間隔は、TEMを用いた観察によって得られる画像から求めることができる。
フッ素の侵入深さ
本発明の好ましい態様によれば、本発明による複合構造物が備える構造物は、特定のフッ素系プラズマに曝されたとき、表面から所定の深さでのフッ素原子濃度を所定値よりも小であるものが好ましい耐パーティクル性を示す。本発明のこの態様による複合構造物は、以下の2つの条件下でのフッ素系プラズマに曝露された後、以下に示すそれぞれの表面からの深さにおけるフッ素原子濃度を満たすものである。本発明にあっては、2つの条件下でのフッ素系プラズマに曝露する試験を、標準プラズマ試験1および2とそれぞれ呼ぶこととする。
標準プラズマ試験1および2は半導体製造装置内で想定される種々の条件を想定したものである。標準プラズマ試験1はバイアス電力を印加した条件であり、構造物がチャンバー内部においてシリコンウエハ周辺に位置するフォーカスリング等の部材として用いられ、ラジカル及びイオン衝突による腐食環境に曝されることを想定した試験条件である。標準プラズマ試験1ではSFプラズマに対する性能を評価している。一方、標準プラズマ試験2はバイアスを印加しない条件であり、構造物がチャンバー内部においてシリコンウエハと概ね垂直方向に位置する側壁部材やシリコンウエハに対向する天板部材として用いられ、イオン衝突が少なく、主にラジカルによる腐食環境に曝されることを想定した試験条件である。本発明の好ましい態様によれば、本発明による複合構造物は、少なくとも、これら試験のいずれか一つのフッ素濃度の所定値を満たす。
(1)プラズマ曝露条件
基材上のYAMを主成分として含む構造物について、誘導結合型反応性イオンエッチング(ICP-RIE)装置を用いて、その表面をプラズマ雰囲気に曝露する。プラズマ雰囲気の形成条件は、以下の2条件とする。
標準プラズマ試験1:
プロセスガスとしてSF 100sccm、電源出力としてICP用のコイル出力を1500W、バイアス出力を750Wとする。
標準プラズマ試験2:
プロセスガスとしてSF 100sccm、電源出力としてICP用のコイル出力を1500W、バイアス出力をOFF(0W)とする。つまり静電チャックのバイアス用の高周波電力には印加しない。
標準プラズマ試験1および2に共通して、チャンバー圧力は0.5Pa、プラズマ曝露時間は1時間とする。この条件により形成されたプラズマ雰囲気に、前記構造物表面が曝露されるように、前記半導体製造装置用部材は、前記誘導結合型反応性イオンエッチング装置に備えられた静電チャックで吸着されたシリコンウエハ上に配置する。
(2)構造物表面の、深さ方向におけるフッ素原子濃度の測定方法
標準プラズマ試験1~2後の構造物の表面について、X線光電子分光法(XPS)を用いて、イオンスパッタを用いた深さ方向分析により、スパッタ時間に対するフッ素(F)原子の原子濃度(%)を測定した。続いて、スパッタ時間を深さに換算するため、イオンスパッタによりスパッタされた箇所とスパッタされていない箇所の段差(s)を触針式表面形状測定器で測定した。段差(s)とXPS測定に用いた全スパッタ時間(t)よりスパッタ単位時間に対する深さ(e)をe=s/tにより算出し、スパッタ単位時間に対する深さ(e)を用いてスパッタ時間を深さに換算した。最後に、表面20aからの深さと、その深さ位置でのフッ素(F)原子濃度(%)を算出した。
本態様において、本発明による複合構造物は、上記準プラズマ試験1および2後、以下に示すそれぞれの表面からの深さにおけるフッ素原子濃度を満たす。
標準プラズマ試験1後:
表面から10nmの深さでのフッ素原子濃度F110nmが3.0%未満であり、より好ましくは、F110nmが1.5%以下さらに好ましくは、F110nmが1.0%以下である。
標準プラズマ試験2後:
表面から10nmの深さでのフッ素原子濃度F310nmが3.0%未満であり、より好ましくは、F310nmが1.0%以下、さらに好ましくは、F310nmが0.5%以下である。
複合構造物の製造
本発明による複合構造物は、上記した格子定数を備える構造物を基材上に実現出来る限り、合目的的な種々の製造方法により製造されてよい。すなわち、基材上に、YAlを主成分として含み、かつ上記した格子定数を備える構造物を形成できる方法により製造されてよく、例えば、物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)によって構造物を基材上に形成できる。PVD法の例としては、電子ビーム物理気相蒸着(EB-PVD)、イオンビームアシスト蒸着(IAD)、電子ビームイオンアシスト蒸着(EB-IAD)、イオンプレーティング、スパッタリング法等が挙げられる。CVD法の例としては熱CVD、プラズマCVD(PECVD)、有機金属CVD(MOCVD)、ミストCVD、レーザーCVD、原子層堆積(ALD)等が挙げられる。また、本発明の別の態様によれば、基材の表面に脆性材料等の微粒子を配置し、該微粒子に機械的衝撃力を付与することで形成することができる。ここで、「機械的衝撃力の付与」方法には、高速回転する高硬度のブラシやローラーあるいは高速に上下運動するピストンなどを用いる、爆発の際に発生する衝撃波による圧縮力を利用する、または、超音波を作用させる、あるいは、これらの組み合わせが挙げられる。
また、本発明による複合構造物は、エアロゾルデポジション法(AD法)により好ましく形成することができる。「AD法」は、セラミックス等の脆性材料などを含む微粒子をガス中に分散させた「エアロゾル」をノズルから基材に向けて噴射し、金属やガラス、セラミックスやプラスチックなどの基材に高速で微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により脆性材料微粒子に変形や破砕を起させ、それによりこれらを接合させて、基材上に微粒子の構成材料を含む構造物(セラミックコート)を、例えば層状構造物または膜状構造物としてダイレクトに形成させる方法である。この方法によれば、特に加熱手段や冷却手段などを必要とせず、常温で構造物の形成が可能であり、焼成体と同等以上の機械的強度を有する構造物を得ることができる。また、微粒子を衝突させる条件や微粒子の形状、組成などを制御することにより、構造物の密度や機械強度、電気特性などを多様に変化させることが可能である。そして、以下に説明する諸条件を、本発明による複合構造体を実現するよう、インデンテーション硬度が満たされるよう設定することで、本発明による複合構造物を製造することができる。
本願明細書において「微粒子」とは、一次粒子が緻密質粒子である場合には、粒度分布測定や走査型電子顕微鏡などにより同定される平均粒径が5マイクロメータ(μm)以下のものをいう。一次粒子が衝撃によって破砕されやすい多孔質粒子である場合には、平均粒径が50μm以下のものをいう。
また、本願明細書において「エアロゾル」とは、ヘリウム、窒素、アルゴン、酸素、乾燥空気、これらを含む混合ガスなどのガス(キャリアガス)中に前述の微粒子を分散させた固気混合相体を指し、「凝集体」を含む場合も包含するが、好ましくは実質的に微粒子が単独で分散している状態をいう。エアロゾルのガス圧力と温度は、求める構造物の物性等を勘案して任意に設定されてよいが、ガス中の微粒子の濃度は、ガス圧を1気圧、温度を摂氏20度に換算した場合に、吐出口から噴射される時点において0.0003mL/L~5mL/Lの範囲内であることが好ましい。
エアロゾルデポジションのプロセスは、通常は常温で実施され、微粒子材料の融点より十分に低い温度、すなわち摂氏数100度以下で構造物の形成が可能である。本願明細書において「常温」とは、セラミックスの焼結温度に対して著しく低い温度で、実質的には0~100℃の室温環境をいう。本願明細書において「粉体」とは、前述した微粒子が自然凝集した状態をいう。
本発明をさらに以下の実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例で用いた構造物の原料として、以下の表に示されるものを用意した。
Figure 2022153274000002
表中、メジアン径(D50(μm))とは、各原料の粒子径の累積分布における50%の径である。各粒子の径は、円形近似にて求めた直径を用いた。
これらの原料と、製膜条件(キャリアガスの種類及び流量など)との組み合わせを変化させて基材上に構造物を備えた複数のサンプルを作製した。得られたサンプルについて標準プラズマ試験1~2後の耐パーティクル性の評価を行った。なお、この例では、サンプルの作製にはエアロゾルデポジション法を用いている。
Figure 2022153274000003
表に示すように、キャリアガスには、窒素(N)又はヘリウム(He)が用いられる。エアロゾルは、エアロゾル発生器内において、キャリアガスと原料粉体(原料微粒子)とが混合されることで得られる。得られたエアロゾルは、圧力差によってエアロゾル発生器に接続されたノズルから、製膜チャンバーの内部に配置された基材に向けて噴射される。この際、製膜チャンバー内の空気は真空ポンプによって外部に排気されている。
サンプル
以上のようにして得られたサンプル1~5の構造物のそれぞれは、主成分としてYAMの多結晶体を含み、その多結晶体における平均結晶子サイズは、いずれも30nm未満であった。
なお、結晶子サイズの測定には、XRDを用いた。すなわち、XRD装置として「X‘PertPRO/パナリティカル製」を使用した。XRDの測定条件として、特性X線はCuKα(λ=1.5418Å)、管電圧45kV、管電流40mA、Step Size 0.0084°、Time per Step 80秒以上、とした。平均結晶子サイズとして、シェラーの式による結晶子サイズを算出した。シェラーの式中のKの値として0.94を用いた。
基材上のYAMの結晶相の主成分の測定は、XRDにより行なった。XRD装置として「X‘PertPRO/パナリティカル製」を使用した。XRDの測定条件として、特性X線はCuKα(λ=1.5418Å)、管電圧45kV、管電流40mA、Step Size 0.0084°、Time per Step 80秒以上、とした。主成分の算出にはXRDの解析ソフト「High Score Plus/パナリティカル製」を使用した。ICDDカード記載の準定量値(RIR=Reference Intensity Ratio)を用いて、回折ピークに対してピークサーチを行った際に求められる相対強度比により算出した。なお、積層構造物である場合における、YAMの多結晶の主成分の測定においては、薄膜XRDにより、最表面から1μm未満の深さ領域の測定結果を用いることが望ましい。
標準プラズマ試験
また、これらのサンプル1~5について、上記した条件の標準プラズマ試験1および2を行い、当該試験後の耐パーティクル性の評価を以下の手順で行った。ICP-RIE装置には「Muc-21 Rv-Aps-Se/住友精密工業製」を使用した。標準プラズマ試験1および2に共通で、チャンバー圧力は0.5Pa、プラズマ曝露時間は1時間とした。この条件により形成されたプラズマ雰囲気に、サンプル表面が曝露されるように、サンプルを、誘導結合型反応性イオンエッチング装置に備えられた静電チャックで吸着されたシリコンウエハ上に配置した。
インデンテーション硬度の測定
極微小押し込み硬さ試験(ナノインデンテーション)により、基材上の構造物のインデンテーション硬度を以下の手順で評価した。極微小押し込み硬さ試験器(ナノインデンター)として「ENT-2100/エリオニクス製」を使用した。極微小押し込み硬さ試験の条件として、圧子はバーコビッチ圧子を用い、試験モードは押し込み深さ設定試験とし、押し込み深さは200nmとした。インデンテーション硬さ(押し込み硬さ)HITを測定した。HITの測定箇所は構造物表面上でランダムに設定し、測定点数は少なくとも25点以上とした。測定した25点以上のHITの平均値を硬度とした。結果は表2に示されるとおりであった。
フッ素の侵入深さの測定
標準プラズマ試験1および2後のサンプルの表面について、X線光電子分光法(XPS)を用いて、イオンスパッタを用いた深さ方向分析により、スパッタ時間に対するフッ素(F)原子の原子濃度(%)を測定した。XPS装置として「K-Alpha/Thermo Fisher Scientific製」を使用した。続いて、スパッタ時間を深さに換算するため、イオンスパッタによりスパッタされた箇所とスパッタされていない箇所の段差(s)を触針式表面形状測定器で測定した。段差(s)とXPS測定に用いた全スパッタ時間(t)よりスパッタ単位時間に対する深さ(e)をe=s/tにより算出し、スパッタ単位時間に対する深さ(e)を用いてスパッタ時間を深さに換算した。最後に、サンプル表面からの深さと、その深さ位置でのフッ素(F)原子濃度(%)を算出した。
標準プラズマ試験1および2後の構造物表面からの深さとフッ素原子濃度が以下の表に示されるとおりであった。
標準プラズマ試験1後:
Figure 2022153274000004
標準プラズマ試験2後:
Figure 2022153274000005
また、上記データをグラフとして示せば、図2及び図3のとおりとなる。
SEM像
標準プラズマ試験1および2後の構造物の表面のSEM像を次のように撮影した。すなわち、走査型電子顕微鏡(Sccaning Electron Microscope;SEM)を用い、プラズマ曝露面の腐食状態より評価した。SEMは「SU-8220/日立製作所製」を使用した。加速電圧は3kVとした。結果の写真は、図4に示されるとおりであった。
面粗さ(算術平均高さSa)
標準プラズマ試験1後の構造物の面粗さについて、レーザー顕微鏡を用いISO25178に定めるSa(算術平均高さ)を評価した。レーザー顕微鏡は「OLS4500/オリンパス製」を使用した。対物レンズはMPLAPON100XLEXTを用い、カットオフ値λcは25μmとした。結果は、以下の表に示されるとおりであった。
Figure 2022153274000006
結果の評価
以上の結果を踏まえて、上記した表2において、標準プラズマ試験1および2のいずれでもプラズマ腐食の影響が少なかった場合を「◎」、標準プラズマ試験1および2のいずれか1つでプラズマ腐食の影響が少なかった場合を「〇」、標準プラズマ試験1および2のいずれの条件においてもプラズマ腐食の影響があった場合を「×」とする評価とした。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、構造物、基材などの形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
10・・・複合構造物、15・・・基材、20・・・構造物、20a・・・構造物の表面

Claims (8)

  1. 基材と、前記基材上に設けられ、表面を有する構造物とを含む複合構造物であって、
    前記構造物がYAlを主成分として含み、かつそのインデンテーション硬度が6.0GPaより大である、複合構造物。
  2. 前記インデンテーション硬度が、9.0GPa以上である、請求項1記載の複合構造物。
  3. 前記インデンテーション硬度が、10GPa以上である、請求項1記載の複合構造物。
  4. 前記インデンテーション硬度が、11GPa以上である、請求項1記載の複合構造物。
  5. 前記構造物の平均結晶子サイズが、50nm未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合構造物。
  6. 耐パーティクル性が要求される環境において用いる、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合構造物。
  7. 半導体製造装置用部材である、請求項6に記載の複合構造物。
  8. 請求項1~5のいずれか一項に記載の複合構造物を備えた、半導体製造装置。
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