JP6358175B2 - 燃料ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、機関へ向けて燃料を吐出する燃料ポンプに関する。
従来、例えば特許文献1に開示されているように、フィードポンプによって燃料タンクから圧送された燃料をさらに昇圧する高圧燃料ポンプが知られている。高圧燃料ポンプは、往復運動によって燃料を吐出させるプランジャ、プランジャを往復変位させるカム、プランジャ及びカムの間に介在するタペット、タペットをカムに押し当てるコイルスプリング、及びこれらを収容するポンプハウジングを備えている。
こうした構成の高圧燃料ポンプでは、カムが高速回転した場合に、往復運動するプランジャ及びタペット等がカムからジャンプしてしまう懸念がある。このようなジャンプを抑制するために、特許文献1の高圧燃料ポンプには、ダンパー室が設けられている。ダンパー室は、タペット等の動きを鈍らせるダンパー機能を発揮できる。
特開2012‐188954号公報
さて、特許文献1に開示の構成において、ダンパー室によるダンパー機能は、ダンパー室内にて圧縮された流体が圧縮抵抗力を発生させる最大リフトとなるカム位相の近傍にて、主に発揮されるのみとなる。しかし通常、ジャンプは、カム位相が最大リフトに到達する以前のカム加速度が最大になるときに発生する。故に、タペット等のジャンプを効果的に抑制するためには、カム位相が最大リフトに到達する以前から、ジャンプの発生を防ぐ力を作用させることが望ましい。また特に、機関への燃料の吐出が不要となる無負荷運転時において、プランジャは、実質的に燃料を圧送しなくなる。その結果、プランジャをカムへ向けて押す力が減少し、プランジャ及びタペット等のジャンプが発生し易くなっていた。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、無負荷運転状態にて、ジャンプの発生を効果的に抑制可能な技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、開示された一つの発明は、燃料タンク(90)から圧送された燃料を昇圧し、機関(110)へ向けて吐出する燃料ポンプであって、往復運動によって燃料を吐出させるプランジャ部(24)と、機関から入力される動力によって回転することにより、プランジャ部を往復運動させるカム部(29)と、プランジャ部及びカム部の間に介在するタペット部(25)と、タペット部をカム部へ向けて押すバネ部(26)と、タペット部を往復変位可能に収容するタペット収容室(22)、及びタペット部によってタペット収容室と区画されカム部を収容するカム収容室(23)、を形成するケース体(20)と、機関への燃料の吐出が実質的に不要となる無負荷運転状態において、タペット収容室の圧力によってタペット部がカム部へ向けて押されるよう、当該タペット収容室の圧力を制御する圧力制御部(47)と、を備えている。
この発明のように、タペット収容室及びカム収容室がタペット部によって互いに区画されていれば、タペット収容室及びカム収容室の圧力差がタペット部に作用し得る。故に、圧力制御部によるタペット収容室の圧力の制御によれば、無負荷運転時において、タペット部は、バネ部によってカム部へ向けて押されるだけでなく、タペット収容室の圧力によっても、カム部に押し当てられる。こうしたタペット収容室の圧力は、カム位相が最大リフトに到達する以前から、ジャンプの発生を防ぐ方向の力として、バネ部による押し当てを補助できる。したがって、無負荷運転状態におけるプランジャ部及びタペット部のジャンプは、効果的に抑制される。
また、開示された他の一つの発明は、燃料タンク(90)から圧送された燃料を昇圧し、機関(110)へ向けて吐出する燃料ポンプであって、往復運動によって燃料を吐出させるプランジャ部(24)と、機関から入力される動力によって回転することにより、プランジャ部を往復運動させるカム部(29)と、プランジャ部及びカム部の間に介在するタペット部(25)と、タペット部をカム部へ向けて押すバネ部(26)と、タペット部を往復変位可能に収容するタペット収容室(22)、及びタペット部によってタペット収容室と区画されカム部を収容するカム収容室(23)、を形成するケース体(220)と、機関への燃料の吐出が実質的に不要となる無負荷運転状態において、カム収容室の圧力によってタペット部がカム部に対して浮上するよう、当該カム収容室の燃料圧力を制御する圧力制御部(248)と、を備えている。
この発明によれば、無負荷運転時において、タペット部は、バネ部によってカム部へ向けて押さ下げられていても、カム収容室の圧力により、カム部から浮上した状態となる。こうしたカム収容室の圧力は、カム位相が最大リフトに到達する以前から作用し、ジャンプの発生を防ぎ得る。したがって、無負荷運転状態におけるプランジャ部及びタペット部のジャンプは、効果的に抑制される。
尚、上記括弧内の参照番号は、本発明の理解を容易にすべく、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
本発明の第一実施形態によるサプライポンプを含む燃料供給システム全体を模式的に示す図である。 DME燃料を供給するサプライポンプにおいて、無負荷最高回転数の向上が必要な理由を説明するための図である。 圧力調整処理の詳細を図4と共に示すフローチャートである。 圧力調整処理の詳細を図3と共に示すフローチャートである。 油圧力の負荷による効果を説明するための図である。 第二実施形態によるサプライポンプを含む燃料供給システム全体を模式的に示す図である。 圧力調整処理の詳細を図7と共に示すフローチャートである。 圧力調整処理の詳細を図6と共に示すフローチャートである。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第一実施形態)
図1に示す本発明の第一実施形態によるサプライポンプ100は、フィードポンプ10、燃料ライン80、及び制御ユニット50等と共に燃料供給システムを構成している。燃料供給システムは、燃料タンク90及び内燃機関110と共に車両に搭載され、燃料タンク90に貯留された燃料を内燃機関110へ供給する。
燃料タンク90は、ジメチルエーテル(Dimethyl Ether,DME)を燃料として貯留している。燃料タンク90内のDME燃料は、燃料蒸気圧に応じた圧力で加圧されることにより、液化されている。燃料タンク90には、安全弁が設けられている。安全弁は、燃料タンク90内の圧力が所定の上限圧力を超えた場合に開弁する。
内燃機関110は、車両のエンジンルーム内に格納されている。内燃機関110は、具体的にはディーゼル機関であり、各気筒に配置されたインジェクタから噴射されるDME燃料を各気筒内にて圧縮する。内燃機関110は、各燃焼室において圧縮により燃焼するDME燃料の熱エネルギを動力に変換する。
内燃機関110には、コモンレール70が設けられている。コモンレール70は、鉄鋼材等の金属材料によって形成された管状の部材である。コモンレール70は、燃料供給システムによって供給されたDME燃料を、圧力を維持させたまま蓄積する。コモンレール70は、各インジェクタにDME燃料を供給する。コモンレール70には、制御ユニット50と電気的に接続されたレール圧力センサ71が設けられている。レール圧力センサ71は、コモンレール70内のレール圧力に応じた出力を制御ユニット50へ向けて出力する。
次に、燃料供給システムの詳細を説明する。
フィードポンプ10は、燃料タンク90の内部に配置された電動ポンプである。フィードポンプ10は、電動モータの動力を用いて、燃料タンク90に貯留されたDME燃料を吸い込む。フィードポンプ10は、DME燃料にフィード圧力(例えば3MPa程度)を加えて昇圧させ、低圧燃料流路を通じてサプライポンプ100へ向けて圧送する。
燃料ライン80は、燃料タンク90と内燃機関110との間において、DME燃料を流通させる燃料の流路を形成している。燃料ライン80は、低圧配管81、高圧配管83、及びリターン配管84等によって構成されている。これらの配管は、ポリエステル又はアラミド等により補強されたゴム製のホース材、及び湾曲させた金属製の管状部材等によって形成されている。
低圧配管81は、フィードポンプ10とサプライポンプ100とを繋いでいる。低圧配管81は、燃料タンク90に貯留されたDME燃料をフィードポンプ10からサプライポンプ100に流通させる低圧燃料流路を形成している。低圧配管81には、燃料フィルタ82が設けられている。燃料フィルタ82は、低圧燃料流路を流れるDME燃料から異物を取り除くことができる。
高圧配管83は、サプライポンプ100とコモンレール70とを繋いでいる。高圧配管83は、サプライポンプ100によって吐出された高圧のDME燃料をコモンレール70に流通させる高圧燃料流路を形成している。
リターン配管84は、サプライポンプ100と燃料タンク90とを繋いでいる。リターン配管84は、サプライポンプ100から排出されるDME燃料を燃料タンク90に流通させるリターン流路を形成している。
制御ユニット50は、上述のレール圧力センサ71に加えて、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、冷却水温センサ、燃料温度センサ、並びに空燃比センサ及び酸素濃度センサといった排気ガスセンサ等と接続されている。これら複数のセンサから取得した内燃機関110の運転状態を示す情報、及び車両の運転者による操作情報等に基づいて、制御ユニット50は、内燃機関110の制御目標を決定する。制御ユニット50は、制御目標に従ってインジェクタ及び燃料供給システム等を制御する。
制御ユニット50は、演算回路としてのプロセッサ、RAM、及びフラッシュメモリ等を有するマイクロコンピュータと、インジェクタ及びサプライポンプ等の駆動回路等とを含む構成である。フラッシュメモリには、内燃機関110等を制御するための複数のプログラム及び複数の制御マップが格納されている。
サプライポンプ100は、例えばプランジャポンプ等であり、内燃機関110によって駆動される。サプライポンプ100は、フィードポンプ10によって燃料タンク90から圧送されたDME燃料をさらに昇圧し、内燃機関110のコモンレール70へ向けて吐出する。サプライポンプ100は、ポンプハウジング20、プランジャ24、タペット25、スプリング26、カムローラ27、及びカムシャフト28等によって構成されている。
ポンプハウジング20は、金属材料等によって形成され、上述したサプライポンプ100の各可動構成(24〜29)を収容している。ポンプハウジング20には、加圧室21、カム収容室23、及びタペット収容室22が形成されている。ポンプハウジング20は、各室21〜23及び燃料ライン80を繋ぐ流路として、吸込流路33、吐出流路34、潤滑流路35、戻り流路36、排出流路37、及び逃し流路38を形成している。
加圧室21は、ポンプハウジング20及びプランジャ24によって区画された円柱状の空間である。加圧室21は、プランジャ24及びタペット25を挟んでカム収容室23の反対側に位置している。加圧室21では、カムシャフト28、カムローラ27、タペット25、及びプランジャ24によってDME燃料が加圧される。カム収容室23は、カムシャフト28を回転可能に収容している。カム収容室23には、カムシャフト28の潤滑のために、DME燃料が溜められている(図1のハッチング参照)。カム収容室23は、タペット25によってタペット収容室22と区画されている。
タペット収容室22は、加圧室21とカム収容室23の間に形成されている。タペット収容室22は、タペット25を収容している。タペット収容室22には、DME燃料が充填されている。タペット収容室22及びカム収容室23を区画するポンプハウジング20の内周壁に対して、タペット25は、軸方向に沿って摺動変位可能である。タペット収容室22には、タペット室圧センサ32が設けられている。タペット室圧センサ32は、制御ユニット50と電気的に接続された圧力センサである。タペット室圧センサ32は、タペット収容室22の圧力を計測し、タペット収容室22の圧力に対応した出力を制御ユニット50へ向けて出力する。
吸込流路33は、低圧配管81と加圧室21とを繋いでいる。吸込流路33は、ポンプハウジング20に形成された燃料ギャラリ及び吸入孔等である。吸込流路33は、加圧室21に吸い込まれるDME燃料を流通させる。吸込流路33には、遮断弁41、フィルタ39、及び吸込制御弁43が設けられている。
遮断弁41は、低圧配管81と接続される吸込流路33の入口に設けられている。遮断弁41は、加圧室21から低圧配管81へ向かうDME燃料の逆流を防ぐチェックバルブである。フィルタ39は、吸込流路33を流通するDMEから微細な異物を除去する。
吸込制御弁43は、加圧室21に吸い込まれるDME燃料の量を調整することで、加圧室21から吐出流路34に吐き出される吐出量を制御する。吸込制御弁43は、制御ユニット50と電気的に接続された電磁弁であり、ポンプハウジング20に固定されている。吸込制御弁43は、制御ユニット50から入力される制御信号によって弁体の開閉を制御される。吸込制御弁43は、具体的には、閉弁時期TFEを制御ユニット50によって制御される。閉弁時期TFEが早くされることにより、サプライポンプ100の吐出量が増加する。
吐出流路34は、加圧室21と高圧配管83とを繋いでいる。吐出流路34は、加圧室21にて昇圧されたDME燃料を、高圧配管83へ向けて流通させる。吐出流路34には、加圧室圧センサ31及び吐出弁45が設けられている。加圧室圧センサ31は、制御ユニット50と電気的に接続された圧力センサである。加圧室圧センサ31は、加圧室21と吐出弁45との間の区間に設けられることで、実質的に加圧室21の圧力を計測する。加圧室圧センサ31は、加圧室21の圧力に対応した出力を制御ユニット50へ向けて出力する。吐出弁45は、加圧室21側の圧力が所定の圧力を超えた場合に開弁する逆止弁である。吐出弁45は、コモンレール70から加圧室21へ向けてのDME燃料の逆流を防ぎ、コモンレール70のレール圧力を保持する。
潤滑流路35は、吸込流路33のうちでフィルタ39及び吸込制御弁43の間の区間と、タペット収容室22及びカム収容室23とを繋いでいる。潤滑流路35によって供給されるDME燃料は、各可動構成(24〜29)の接触部分の潤滑に用いられる。潤滑流路35には、カムオリフィス44a及び逆止弁44bが設けられている。カムオリフィス44aは、吸込流路33からタペット収容室22等に供給されるDME燃料の流通量を制御する。逆止弁44bは、タペット収容室22から吸込流路33へ向かうDME燃料の逆流を防ぐ。
戻り流路36は、タペット収容室22とリターン配管84とを繋いでいる。戻り流路36は、タペット収容室22から排出されるDME燃料を、燃料タンク90へ向けて流通させる。戻り流路36には、タペットオリフィス46a、安全弁46b、タペット室圧制御弁47、及びオーバーフロー弁49aが設けられている。
タペットオリフィス46a、安全弁46b、及びタペット室圧制御弁47は、三つに分岐された戻り流路36の分岐路のそれぞれに、並列で設けられている。タペットオリフィス46aは、タペット収容室22から排出されるDME燃料の流通量を制御する。安全弁46bは、タペット収容室22内の圧力が所定の上限圧力を超えた場合に開弁することで、タペット収容室22からのDME燃料の排出を許容する。
タペット室圧制御弁47は、タペット収容室22からのDME燃料の排出量を制御することで、タペット収容室22の燃料圧力を制御する。タペット室圧制御弁47は、制御ユニット50と電気的に接続された電磁弁であり、ポンプハウジング20に固定されている。タペット室圧制御弁47は、デューティ制御型のバルブである。タペット室圧制御弁47の開弁率は、制御ユニット50から入力される制御信号のオンデューティ比が高められることによって上昇する。その結果、タペット収容室22の圧力が降下する。
オーバーフロー弁49aは、リターン配管84と接続される戻り流路36の出口に設けられている。オーバーフロー弁49aは、逆止弁であって、リターン配管84から戻り流路36へ向かうDME燃料の逆流を防ぐ。
排出流路37は、カム収容室23と戻り流路36とを繋いでいる。排出流路37は、戻り流路36と合流する構造により、カム収容室23から排出されたDME燃料を燃料タンク90へ向けて流通させる。排出流路37には、オーバーフローオリフィス49bが設けられている。オーバーフローオリフィス49bは、カム収容室23から排出されるDME燃料の流通量を制御する。排出流路37のうちでオーバーフローオリフィス49bよりも下流側の区間には、回収流路37aが合流している。回収流路37aは、カムシャフト28及びポンプハウジング20の摺動部において、潤滑に使用されたDME燃料を、回収する。
逃し流路38は、吸込流路33のうちでフィルタ39及び吸込制御弁43の間の区間と、戻り流路36又は排出流路37とを繋いでいる。逃し流路38には、逃し弁42が設けられている。逃し弁42は、吸込流路33の圧力が所定の上限圧力を超えた場合に開弁し、吸込流路33のDME燃料の一部を戻り流路36へ向けて流通させる。
プランジャ24は、金属材料等により、円柱状に形成されている。プランジャ24は、ポンプハウジング20に形成されたシリンダ内に、往復変位可能に収容されている。プランジャ24は、ポンプハウジング20の内周壁に対して摺動する。プランジャ24は、カムシャフト28に近づく方向へ変位することで、加圧室21にはDME燃料を流入させる。プランジャ24は、カムシャフト28から離れる方向へ変位することで、加圧室21のDME燃料を加圧する。プランジャ24は、軸方向に沿った往復運動により、加圧室21にDME燃料を吸い込み、加圧室21からDME燃料を吐出させる。
タペット25は、金属材料により、有底の円筒状に形成されている。タペット25は、プランジャ24及びカムシャフト28の間に配置されている。タペット25は、底部25aをプランジャ24と接触させている。タペット25は、外周壁をポンプハウジング20の内周壁に接触させており、内周壁に対して摺動可能である。タペット25は、ポンプハウジング20の内周壁と共にタペット収容室22とカム収容室23とを区分けしている。タペット25がポンプハウジング20内を往復変位することにより、タペット収容室22及びカム収容室23の各容積は変動する。
スプリング26は、金属製の線材を螺旋状に形成したコイルスプリングである。スプリング26は、軸方向に押し縮められた状態で、プランジャ24の外周側に配置されている。スプリング26は、タペット25の底部25aにリテーナを介して載置されている。スプリング26は、ポンプハウジング20に対して、タペット25をカムシャフト28へ向けて押し付けている。
カムローラ27は、金属材料等によって円柱状に形成されている。カムローラ27の大部分は、タペット25に収容されている。カムローラ27の軸方向は、カムシャフト28の軸方向に沿っている。カムローラ27は、タペット25の底部25aを挟んでプランジャ24の反対側に位置し、底部25aとカムシャフト28との間に介在している。カムローラ27は、円筒面状の外周面を、底部25a及びカムシャフト28に弾性接触させている。カムローラ27は、カムシャフト28の回転により、周方向に回転しつつ、タペット25と一体的にプランジャ24の軸方向に沿って往復変位する。
カムシャフト28は、金属材料によって形成されている。カムシャフト28は、例えば内燃機関110のクランクシャフト等によって駆動される。カムシャフト28は、内燃機関110から入力される動力によって回転する。カムシャフト28の回転は、クランクシャフトの回転と同期している。カムシャフト28の回転数は、クランクシャフトの回転数に比例して増減する。
カムシャフト28には、ジャーナル部28a及びカム部29が設けられている。ジャーナル部28aは、カムシャフト28の軸方向においてカム部29の両側に一つずつ設けられている。各ジャーナル部28aは、ポンプハウジング20に形成された軸受け面20aによって回転可能に支持されている。カム部29は、カム収容室23に収容されている。カム部29の外周面は、複数(三つ)のカム山を形成している。カム部29の外周面は、カムローラ27と接触している。カム部29は、カムシャフト28の回転により、プランジャ24、タペット25、及びカムローラ27を往復運動させる。
次に、サプライポンプ100の使用可能範囲の詳細を、図2に基づき、図1を参照しつつ説明する。図2において、四本の限界線L1〜L4によって囲まれた領域は、軽油を圧送するサプライポンプにおいて、使用可能とされる回転数及び吐出圧力(レール圧力)の範囲を示している。限界線L1は、油膜切れによって規定される限界線である。限界線L2は、サプライポンプ100の耐圧限界によって規定される限界線である。限界線L3は、摺動部の焼き付き限界によって規定される限界線である。そして、限界線L4は、無負荷状態においてプランジャ24等にジャンプが発生する回転数に基づいて規定される限界線である。
無負荷状態とは、内燃機関110へのDME燃料の吐出が実質的に不要となっている状態である。この無負荷状態では、加圧室21おけるDME燃料の圧縮行程が実質的に無くなるため、プランジャ24をカム部29へ向けて押す油圧力が減少する。故に、プランジャ24及びタペット25等は、カム部29からジャンプし易くなる。
ここで、DME燃料を圧送する場合のサプライポンプ100は、軽油を圧送する場合と比較して低い吐出圧力で燃料を吐出しても、軽油の場合と同等の機関性能と排気ガスの清浄さとを内燃機関110に発揮させることができる。こうした低圧化の実現が可能であれば、内燃機関110をさらに高出力化させるために、定格回転数Nratedを高めることで、吐出量を増やすことがサプライポンプ100には要求される(図2の破線参照)。
その結果、定格回転数Nratedの上昇に伴い、無負荷状態における最高回転数(以下、無負荷最高回転数)NMRを高める必要が生じる。この無負荷最高回転数NMRを高めるには、スプリングの付勢力を高める手法が一般的である。しかし、付勢力の高い大型のスプリングをポンプハウジング内に収容することは、非常に困難である。
そこで、サプライポンプ100では、無負荷運転状態において、タペット収容室22とカム収容室23との間の差圧が利用される。タペット収容室22に溜められたDME燃料によってタペット25がカム部29へ向けて押されるよう、タペット収容室22の圧力がタペット室圧制御弁47及び制御ユニット50によって制御される。加えて、加圧室21に吸い込まれたDME燃料によってプランジャ24がカム部29へ向けて押し当てられるよう、加圧室21によるDME燃料の吸い込みが吸込制御弁43及び制御ユニット50によって制御される。尚、図1の二点鎖線の範囲に含まれるタペット25、タペット収容室22、タペット室圧制御弁47、タペット室圧センサ32、及び戻り流路36等が、タペット室圧力Ptの保持及び制御の実現に関連している。
以下、サプライポンプ100の無負荷最高回転数NMRを上昇させるために実施されるタペット収容室22及び加圧室21の圧力制御の詳細を、図3及び図4に基づき、図1を参照しつつ説明する。図3及び図4のフローチャートに示される圧力制御処理は、例えば車両の電源がオン状態とされ、内燃機関110への燃料供給が開始されたことに基づき、制御ユニット50によって開始される。制御ユニット50は、車両の電源がオフ状態とされるまで処理を繰り返す。
S101では、内燃機関110の運転状態と運転目標とを取り込むことにより、ポンプ回転数Npと内燃機関110における無噴射指令を読み込み、S102に進む。ポンプ回転数Npは、内燃機関110の回転数から算出されてもよく、又はサプライポンプ100に設けられた回転速度センサから取得してもよい。無噴射指令は、内燃機関110の減速時において、各インジェクタに出力される指令噴射量が実質的にゼロ以下となる場合の指令信号である。
S102では、S101にて読み込んだポンプ回転数Npがサプライポンプ100の定格回転数Nratedよりも速いか否かを判定する。S102にて、ポンプ回転数Npが定格回転数Nrated以下であると判定した場合、一旦処理を終了する。一方、S102にて、ポンプ回転数Npが定格回転数Nratedを超えていると判定した場合、S103に進む。
S103では、S101にて読み込んだポンプ回転数Npがサプライポンプ100の無負荷最高回転数NMRよりも遅いか否かを判定する。S103にて、ポンプ回転数Npが無負荷最高回転数NMR以上であると判定した場合、内燃機関110が異常状態にあると推定し、内燃機関110のオーバーラン防止制御へ移行する。一方、S103にて、ポンプ回転数Npが無負荷最高回転数NMR未満であると判定した場合、S104に進む。
S104では、加圧室圧センサ31及びタペット室圧センサ32から加圧室圧力Pk及びタペット室圧力Ptを読み込み、S105に進む。S105では、ポンプ回転数Npに対応する加圧室圧力及びタペット室圧力の制御目標値Pkt,Pttを算出し、S106に進む。
具体的に、S105では、ポンプ回転数Npに対応する加圧室圧力Pk及びタペット室圧力Ptの制御目標値を示した線図に基づいて、設定される。これらNp−Pk線図及びNp−Pt線図は、予め規定されており、制御ユニット50のフラッシュメモリに格納されている。S105では、Np−Pk線図及びNp−Pt線図から、現在のポンプ回転数Npに対応する値を、制御目標値Pkt,Pttとして読み取る。
以上の制御目標値Pkt,Pttは、カム部29とカムローラ27との間に生じるヘルツ面圧Phと、カム部29とタペット25との間の摺動速度Vとの積であるPhV値が、予め設定された限界閾値を超えないように設定される。こうした設定により、カムローラ27の焼き付きが防がれ得る。具体的な関係式は、下記の式1となる。
(式1) {Pk×Ak+Pt(At−Ak)}×V/As < Ph×V
上記の式1において、Akはプランジャ24の頂面の面積であり、Atはタペット収容室22に望むタペット25の受圧面積であり、Asはカム部29とカムローラ27との接触面積である。以上の式1は、下記の式2のように変形可能である。
(式2) Pk×Ak+Pt(At−Ak) < Ph×As
上記の式2の関係が保たれる加圧室圧力Pk及びタペット室圧力Ptとなるように、制御目標値Pkt,Pttは制御される。加圧室圧力Pkは吸込制御弁43の閉弁時期TFEにより制御され、タペット室圧力Ptはタペット室圧制御弁47のデューティ比PTVdutyによって制御される。
S106では、吸込制御弁43の閉弁時期TFEと、タペット室圧制御弁47へ出力される制御信号のデューティ比PTVdutyとを演算し、S107に進む。吸込制御弁43の閉弁時期TFEは、S104にて読み込んだ加圧室圧力Pkと、S105にて設定した制御目標値Pktとに基づいて設定される。吸込制御弁43の閉弁時期TFEは、制御目標値Pktと加圧室圧力Pkとの正差分が大きくなるほど、早い時期に設定される。
閉弁時期TFEについてさらに詳記すると、加圧室圧力Pkの上昇は、下記の式3によって表現される。
(式3) ΔPk = E×ΔVk/Vk
上記の式3において、Vkはプランジャ24の行程容積であり、Eは弾性係数である。加圧室圧力Pkと上記ΔPkとの合計が制御目標値Pktとなるように、吸込制御弁43の閉弁後に圧縮される容積ΔVkが決定される。閉弁時期TFEは、閉弁後の圧縮容積がΔVkとなるプランジャ行程、即ちカム位相に吸込制御弁43を閉弁させるよう設定される。
タペット室圧制御弁47のデューティ比PTVdutyは、S104にて読み込んだタペット室圧力Ptと、S105にて設定した制御目標値Pttとに基づいて設定される。フラッシュメモリに格納された制御用のデータには、制御目標値Ptt及びタペット室圧力Ptの差分に対応したデューティ比PTVdutyを示す相関線が、制御目標値Ptt毎に予め設定されている。タペット室圧力の制御目標値Pttが低いほど、デューティ比PTVdutyは、100に近い値に設定される。その結果、タペット室圧制御弁47は、タペット収容室22から流出するDME燃料量を増やして、タペット室圧力Ptを降下させる。
タペット室圧力Ptは、下死点から上死点へ向かうプランジャ行程において、ジャンプの抑制効果が継続的に発揮されるよう、制御目標値Pttへ向けて常時制御される。タペット25の変位によって上昇しようとするタペット室圧力Ptは、タペットオリフィス46aを通じたDME燃料の排出によって相殺される。尚、タペット収容室22の圧力が上限値(例えば3MPa)を超えると、タペット室圧制御弁47及び安全弁46bの開放によって、タペット室圧力Ptは強制的に降下される。
S107では、吸込制御弁43及びタペット室圧制御弁47へ向けて出力する制御信号を、S106にて演算した閉弁時期TFE及びデューティ比PTVdutyを反映した信号に更新し、これらの制御信号の出力を開始して、S108に進む。
S108では、加圧室圧力について制御目標値から計測値を引いた差分(Pkt−Pk)、及びタペット室圧力について制御目標値から計測値を引いた差分(Ptt−Pt)が、それぞれの所定の閾値ΔPk,ΔPt未満であるか否かを判定する。加圧室圧力及びタペット室圧力の各差分が、ゼロを超えており、且つ各閾値ΔPk,ΔPt未満である場合、各圧力Pk,Ptが制御目標値Pkt,Pttに実質的に一致したとみなし、一連の処理を終了する。一方で、少なくとも一方の差分がゼロから閾値までの範囲から外れている場合には、S101に戻り、各圧力Pk,Ptの調整を継続する。以上のように、制御ユニット50は、加圧室圧力Pk及びタペット室圧力Ptが各制御目標値Pkt,Pttとなるように、フィードバック制御を行う。
ここまで説明した第一実施形態のように、タペット収容室22及びカム収容室23がタペット25によって互いに区画された構成では、タペット収容室22及びカム収容室23の圧力の差がタペット25に作用し得る。故に、タペット室圧制御弁47によるタペット収容室22の圧力制御によれば、無負荷運転時において、タペット25は、スプリング26による付勢力だけでなく、タペット収容室22の圧力による油圧力によっても、カム部29に押し当てられる(図5参照)。
このようなタペット収容室22の油圧力は、カム部29の位相が最大リフトとなる上死点以前から、ジャンプの発生を防ぐ方向の力としてスプリング26による押し当てを補助できる。故に、無負荷運転状態におけるプランジャ24及びタペット25のジャンプは、効果的に抑制される。その結果、ジャンプの発生する回転数を引き上げることが可能となるので、無負荷最高回転数NMRの上昇が実現される。
加えて、タペット25の受圧面積Atは、プランジャ24の頂面の面積Akよりも大きい。故に、タペット収容室22の圧力を加圧室21のような高圧にしなくても、例えばフィード圧力を利用するだけでも、タペット収容室22の圧力は、スプリング26による押し当てを補助する作用を顕著に発揮し、ジャンプの効果的な抑制を実現できる。加えて、プランジャ24とタペット25の間の応力が過大となる事態も回避され得る。
また第一実施形態では、無負荷運転状態におけるタペット25は、加圧室21に吸い込まれたDME燃料の圧力によっても、プランジャ24と一体でカム部29へ向けて押される。加圧室21のDME燃料は、カム部29の位相が上死点に到達する以前にも、プランジャ24をカム部29へ向けて押す油圧力を作用させる。故に、無負荷運転状態におけるプランジャ24及びタペット25のジャンプは、さらに効果的に抑制される。
さらに第一実施形態によれば、カム部29及びカムローラ27の接触部分に生じるヘルツ面圧Phと、カム部29及びカムローラ27間の摺動速度Vとの積が予め設定された限界閾値を超えないよう、タペット収容室22及び加圧室21の各圧力は、制御される。以上によれば、カム部29とタペット25との接触部分に過剰な応力が作用して、焼き付き等により、接触部分を損傷させてしまう事態は回避される。その結果、カム部29及びカムローラ27の強化を行わなくても、プランジャ24及びタペット25のジャンプは効果的に抑制される。
加えて第一実施形態では、無負荷運転状態であり、且つ、ポンプ回転数Npが定格回転数Nratedを超えた場合に、タペット収容室22の燃料圧力が制御される。定格回転数Nratedよりも低い回転速度域においては、ジャンプ発生の虞は少ない。故に、定格回転数Nrated以上となった場合に制御を実施することにより、タペット収容室22における燃料圧力の不要な上昇は、防がれ得る。
また第一実施形態のように、内燃機関110へDME燃料を供給する燃料供給システムでは、DME燃料が気化しないように、フィードポンプ10から吐出される燃料のフィード圧力は、例えば軽油等の液体燃料を供給する形態の圧力よりも高く設定される。故に、タペット収容室22とカム収容室23との差圧を大きくして、強い油圧力を発生させることが可能となる。
尚、第一実施形態において、ポンプハウジング20が「ケース体」に相当し、プランジャ24が「プランジャ部」に相当し、タペット25が「タペット部」に相当し、スプリング26が「バネ部」に相当する。また、吸込制御弁43が「吸込制御部」に相当し、タペット室圧制御弁47が「圧力制御部」に相当し、サプライポンプ100が「燃料ポンプ」に相当し、内燃機関110が「機関」に相当する。
(第二実施形態)
図6に示す本発明の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態によるサプライポンプ200では、無負荷運転状態において、カム収容室23に充填された燃料によってタペット25及びカムローラ27がカム部29から浮上するよう、カム収容室23の圧力が制御される。以下、カム室圧力Pccを保持及び制御を実現する構成として、カム収容室23、潤滑流路235、逆止弁244b、カム室圧センサ231、排出流路237、オーバーフローオリフィス49b及び安全弁249c、並びにカム室圧制御弁248等の詳細を説明する。
尚、第二実施形態のサプライポンプ200の戻り流路236からは、安全弁46b(図1参照)を通過する分岐路が省略されている。加えて、戻り流路236に設けられたタペット室圧制御弁247は、第一実施形態のようなデューティ制御型のバルブではなく、タペット収容室22の圧力が例えば1MPa以下となった場合に開弁する自動弁とされる。
カム収容室23には、潤滑流路235を通じて、DME燃料が供給される。潤滑流路235は、ポンプハウジング220の内周壁とタペット25との摺動面にDME燃料を供給する一方の分岐路と、カム収容室23にDME燃料を充填させる他方の分岐路とに分岐されている。他方の分岐路には、逆止弁244bが設けられている。逆止弁244bは、一方の分岐路に設けられた逆止弁44bと同様に、吸込流路33へ向かうDME燃料の逆流を防ぐ。
潤滑流路235は、一方の分岐路により、タペット収容室22の入口に、カムオリフィス44aを介して、フィード圧力まで昇圧されたDME燃料を供給する。潤滑流路235は、他方の分岐路により、カム収容室23の入口に、カムオリフィス44aを介さずに、フィード圧力まで昇圧されたDME燃料を供給する。以上の構成により、カム収容室23からタペット収容室22へと、タペット25の外周壁とポンプハウジング20の外周壁との間に生じる隙間を介して、DME燃料が移動する。こうして隙間に侵入したDME燃料が、摺動するタペット25の潤滑に供される。
カム室圧センサ231は、制御ユニット50と電気的に接続された圧力センサである。カム室圧センサ231は、カム収容室23の圧力を計測し、カム収容室23の圧力に対応した出力を制御ユニット50へ向けて出力する。
排出流路237は、カム収容室23から排出されるDME燃料を、燃料タンク90へ向けて流通させる。排出流路237は、三つの分岐路に分岐されている。各分岐路のそれぞれには、オーバーフローオリフィス49b、安全弁249c、及びカム室圧制御弁248が並列で設けられている。
オーバーフローオリフィス49bの絞り面積は、戻り流路236に設けられたタペットオリフィス46aの絞り面積よりも小さくされている。オーバーフローオリフィス49bを通じて所定流量のDME燃料がカム収容室23から排出されることで、カム部29及びカムローラ27等の冷却に必要とされるDME燃料の循環が確保されている。安全弁249cは、戻り流路236に設けられた安全弁46bと実質的に同一の構成である。安全弁249cは、カム収容室23内の圧力が所定の上限圧力を超えた場合に開弁することで、カム収容室23からのDME燃料の排出を許容する。
カム室圧制御弁248は、カム収容室23からのDME燃料の排出量を制御することで、カム収容室23の燃料圧力を制御する。カム室圧制御弁248は、制御ユニット50と電気的に接続された電磁弁であり、ポンプハウジング220に固定されている。カム室圧制御弁248は、デューティ制御型のバルブである。カム室圧制御弁248は、定格回転数Nratedを下回る通常の回転速度領域では、開放状態とされる。カム室圧制御弁248は、定格回転数Nratedを上回る回転速度領域では、制御ユニット50によって開弁率を制御される。その結果、カム室圧制御弁248の開弁率が下げられることにより、カム収容室23の圧力が上昇する。
以上のサプライポンプ200は、定格回転数Nratedから無負荷最高回転数NMRまでの領域において、差圧Pcc−Ptに基づく油圧力がスプリング26の付勢力Fsよりも大きい状態を維持する(Fs<At×(Pcc−Pt))。その結果、プランジャ24のリフト量Hkは、カム部29のリフト量Hcと余裕代αとの合計を上回り続ける(Hc+α≦Hk)。
このように、無負荷最高回転数NMRを上昇させるための圧力制御の詳細を、図7及び図8に基づき、図6を参照しつつ説明する。図7及び図8のフローチャートに示される圧力制御処理は、内燃機関110への燃料供給の開始に基づき制御ユニット50によって開始され、車両の電源がオフ状態とされるまで繰り返される。尚、S201〜S203は、第一実施形態のS101〜S103(図3参照)と実質的に同一であるため説明を省略する。
S204では、加圧室圧センサ31、タペット室圧センサ32、カム室圧センサ231から、加圧室圧力Pk、タペット室圧力Pt、及びカム室圧力Pccを読み込み、S205に進む。S205では、タペット25をカム部29から浮上させるためのカム室圧力Pccの制御目標値Pcctを算出し、S206に進む。
具体的に、制御目標値Pcctは、S204にて読み込まれたタペット室圧力Pt及び加圧室圧力Pk(一定)の計測値を用いて、下記の式4を満たす範囲の中間値に設定される(S205の相関図も参照)。
(式4) Fs1+Pk×Ak > (Pcc−Pt)×At > Fs2+Pk×Ak
上記の式4において、Fs1はスプリング26における密着荷重であり、Fs2はスプリング26における浮遊バネ力である。
図6に示すように、カム室圧力Pccの下限値は、{Fs2+Pk×Ak}/Atとされる。一方、カム室圧力Pccの上限値は、{Fs1+Pk×Ak}/At及び所定値(3MPa)のうちで低い方の値とされる。そして、制御目標値Pcctは、現在のタペット室圧力Ptに対応する上限値と下限値の中間の値に設定される。
S206では、カム室圧制御弁248へ出力される制御信号のデューティ比PccVdutyを演算し、S207に進む。カム室圧制御弁248のデューティ比PccVdutyは、S204にて読み込んだカム室圧力Pccと、S205にて設定した制御目標値Pcctとに基づいて設定される。フラッシュメモリに格納された制御用のデータには、制御目標値Pcct及びカム室圧力Pccの差分に対応したデューティ比PccVdutyを示す相関線が、制御目標値Pcct毎に予め設定されている。
例えば、Fs1+Pk×Ak=(Pcc−Pt)×Atとなる場合には、デューティ比PccVdutyは100に設定される。一方、(Pcc−Pt)×At=F2+Pk×Akとなる場合には、デューティ比PccVdutyは0に設定される。また、計測されたカム室圧力Pccが3MPaを超える場合には、カム室圧制御弁248を開放状態とすることで、カム室圧力Pccの強制的な降下が実施される。
S207では、カム室圧制御弁248へ向けて出力する制御信号を、S206にて演算したデューティ比PccVdutyを反映した信号に更新し、制御信号の出力を開始して、S208に進む。加えてS207では、タペット室圧制御弁247への制御信号の出力も実施される。タペット室圧制御弁247は、制御信号に基づいて開放状態とされる。
S208では、カム室圧力について計測値から制御目標値を引いた差分(Pcc−Pcct)が、ゼロ以上且つ所定の閾値ΔPcc(例えば0.1MPa)未満であるか否かを判定する。カム室圧力についての差分がゼロ以上且つ閾値ΔPcc未満である場合、カム室圧力Pccが制御目標値Pcct,Pttに実質的に一致したとみなし、一連の処理を終了する。一方で、差分がマイナスか、又はΔPccを超えている場合には、S201に戻り、カム室圧力Pccの調整を継続する。以上のように、制御ユニット50は、カム室圧力Pccが制御目標値Pcctとなるように、フィードバック制御を行う。
ここまで説明した第二実施形態では、無負荷運転時において、タペット25は、スプリング26によってカム部29へ向けて押さ下げられていても、カム収容室23の圧力によってカム部29から浮上した状態となる。こうしたカム収容室23の圧力は、カム位相が最大リフトに到達する以前から作用し、ジャンプの発生を防ぎ得る。したがって、無負荷運転状態におけるプランジャ24、タペット25、及びカムローラ27等のジャンプは、効果的に抑制される。
尚、第二実施形態において、ポンプハウジング220が「ケース体」に相当し、カム室圧制御弁248が「圧力制御部」に相当し、サプライポンプ200が「燃料ポンプ」に相当する。
(他の実施形態)
以上、本発明による複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記第二実施形態の変形例1において、カム室圧制御弁は、第二実施形態のようなデューティ制御型の電磁弁ではなく、単純に全開と全閉とを切り替えるオンオフ制御型の電磁弁とされている。加えて変形例1では、タペット室圧制御弁を含む戻り流路の分岐路が省略されている。以上の構成における圧力制御処理では、ポンプ回転数Npが定格回転数Nratedを超え且つ無負荷最高回転数NMR未満である場合に、S205(図7参照)による制御目標値の算出が省略され、タペット室圧制御弁を励起して閉弁させる制御信号が出力される。但し、カム室圧力Pccが所定の上限値(3MPa)を超えている場合には、S205及びS206(図7参照)に相当する処理により、カム室圧制御弁は、強制的に開弁状態とされる。さらに、カム室圧制御弁を閉弁してもカム室圧力Pccがタペット等を浮上可能な圧力に達しない場合には、フィードポンプの回転数が制御される。以上によってフィード圧力が高められることで、カム室圧力Pccは、タペットの浮上に必要な圧力まで上昇可能となる。
上記第一実施形態において、安全弁46bを含む戻り流路36の分岐路(図1参照)は、省略可能である。こうした形態では、タペット室圧制御弁47(図1参照)が、安全弁46bの機能を兼ねるよう作動する。また、上記第二実施形態において、タペット室圧制御弁247を含む戻り流路236の分岐路(図6参照)、及び安全弁249cを含む排出流路237の分岐路(図6参照)は、それぞれ省略可能である。安全弁249c等を省略する形態では、カム室圧制御弁248(図6参照)が、安全弁249cの機能を兼ねるよう作動する。
上記実施形態において、タペット収容室及びカム収容室に供給される流体は、DME燃料であった。しかし、DME燃料とは異なる液化ガス燃料、液体燃料、気体燃料、潤滑油、及び空気等が、タペット収容室及びカム収容室にて圧力を発生させる流体として採用可能である。尚、DME燃料は、ジメチルエーテルを含有する燃料であれば、例えばジメチルエーテルと軽油とを任意の割合で混合した高濃度のDME混合燃料であってもよく、ジメチルエーテルが100%の燃料であってもよい。
そして、本発明を適用した燃料ポンプは、車両、船舶、鉄道車両、及び航空機等に搭載された内燃機関及び外燃機関、並びに発電用の内燃機関及び外燃機関等と組み合わされて、これらの機関へ向けて燃料を吐出することができる。
10 フィードポンプ、20,220 ポンプハウジング(ケース体)、21 加圧室、22 タペット収容室、23 カム収容室、24 プランジャ(プランジャ部)、25 タペット(タペット部)、26 スプリング(バネ部)、27 カムローラ、43 吸込制御弁(吸込制御部)、47 タペット室圧制御弁(圧力制御部)、248 カム室圧制御弁(圧力制御部)、90 燃料タンク、100,200 サプライポンプ、110 内燃機関(機関)、Ph ヘルツ面圧、V 摺動速度

Claims (7)

  1. 燃料タンク(90)から圧送された燃料を昇圧し、機関(110)へ向けて吐出する燃料ポンプであって、
    往復運動によって燃料を吐出させるプランジャ部(24)と、
    前記機関から入力される動力によって回転することにより、前記プランジャ部を往復運動させるカム部(29)と、
    前記プランジャ部及び前記カム部の間に介在するタペット部(25)と、
    前記タペット部を前記カム部へ向けて押すバネ部(26)と、
    前記タペット部を往復変位可能に収容するタペット収容室(22)、及び前記タペット部によって前記タペット収容室と区画され前記カム部を収容するカム収容室(23)、を形成するケース体(20)と、
    前記機関への燃料の吐出が実質的に不要となる無負荷運転状態において、前記タペット収容室の圧力によって前記タペット部が前記カム部へ向けて押されるよう、当該タペット収容室の圧力を制御する圧力制御部(47)と、を備えることを特徴とする燃料ポンプ。
  2. 前記ケース体は、前記タペット部によって燃料が加圧される加圧室(21)をさらに形成し、
    前記無負荷運転状態において、前記加圧室に吸い込まれた燃料によって前記プランジャ部が前記カム部へ向けて押し当てられるよう当該加圧室による燃料の吸い込みを制御する吸込制御部(43)、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料ポンプ。
  3. 前記タペット部と前記カム部との間に位置し、前記タペット部と一体的に往復変位するカムローラ(27)を、をさらに備え、
    前記吸込制御部は、前記カム部及び前記カムローラ間に生じるヘルツ面圧(Ph)と、前記カム部及び前記カムローラ間の摺動速度(V)との積が予め設定された限界閾値を超えないように、前記加圧室による燃料の吸い込みを制御することを特徴とする請求項2に記載の燃料ポンプ。
  4. 前記圧力制御部は、前記カム部及び前記カムローラ間に生じるヘルツ面圧(Ph)と、前記カム部及び前記カムローラ間の摺動速度(V)との積が予め設定された限界閾値を超えないように、前記タペット収容室の圧力を制御することを特徴とする請求項3に記載の燃料ポンプ。
  5. 燃料タンク(90)から圧送された燃料を昇圧し、機関(110)へ向けて吐出する燃料ポンプであって、
    往復運動によって燃料を吐出させるプランジャ部(24)と、
    前記機関から入力される動力によって回転することにより、前記プランジャ部を往復運動させるカム部(29)と、
    前記プランジャ部及び前記カム部の間に介在するタペット部(25)と、
    前記タペット部を前記カム部へ向けて押すバネ部(26)と、
    前記タペット部を往復変位可能に収容するタペット収容室(22)、及び前記タペット部によって前記タペット収容室と区画され前記カム部を収容するカム収容室(23)、を形成するケース体(220)と、
    前記機関への燃料の吐出が実質的に不要となる無負荷運転状態において、前記カム収容室の圧力によって前記タペット部が前記カム部に対して浮上するよう、当該カム収容室の燃料圧力を制御する圧力制御部(248)と、を備えることを特徴とする燃料ポンプ。
  6. 前記圧力制御部は、前記カム部の回転数が所定の定格回転数(Nrated)を超えた場合に、前記タペット収容室及び前記カム収容室の少なくとも一方の燃料圧力を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
  7. 液化されたジメチルエーテルを含有する液化ガス燃料がフィードポンプ(10)から圧送される燃料ポンプであって、
    前記タペット収容室及び前記カム収容室は、前記フィードポンプによって供給される液化ガス燃料の圧力を前記タペット部に作用させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料ポンプ。
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