JP6357974B2 - 二次電池負極用結着剤、二次電池用負極及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池 - Google Patents

二次電池負極用結着剤、二次電池用負極及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池負極用結着剤、二次電池用負極及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池を初めとする非水電解質二次電池は、小型かつ軽量で、高エネルギー密度を有するため、携帯型の各種電子機器、車両用電源に用いられている。非水電解質二次電池の更なる高エネルギー密度化のため、電極活物質の材料として理論容量の大きなSi(珪素)を用いることが検討されている。
負極活物質として珪素を用いることにより、炭素材料を用いた場合に比べて、高容量の電池とすることができる。しかしながら珪素は、充放電時のLiの吸蔵・放出に伴う体積変化が大きい。そのため、珪素を用いた負極では、珪素が微粉化して集電体から脱落または剥離し、電池の充放電サイクル寿命が短くなるという問題点がある。
そこで珪素酸化物を負極活物質として用いることにより、珪素よりも充放電時のLiの吸蔵・放出に伴う体積変化を抑制することができる。例えば、負極活物質として、酸化珪素(SiO:xは0.5≦x≦1.5程度)の使用が検討されている(特許文献1)。SiOは熱処理されると、SiOがSiとSiOとに分解することが知られている。これは不均化反応といい、固体の内部反応によりSi相とSiO相の二相に分離する。SiO相は、Si相の体積変化を吸収する。
また、特許文献2には、粒子サイズがナノレベルの微小なシリコン材料が開示されている。シリコン材料は、珪素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし、組成式(SiH)nで示される層状シリコン化合物を熱処理することで製造される。
上記の不均化したSiO及びシリコン材料は、珪素単体やミクロンオーダーの珪素粉末に比べて、体積変化が少ないが、依然として体積変化が生じる。そこで、負極において負極活物質同士を繋ぎ止める結着剤を改良することが考えられている。
従来、例えば、特許文献3〜6には、結着剤として、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸などを用いることが開示されている。特許文献7には、結着剤として、ポリイミド及びアクリル酸を併用することが開示されている。
特開2012−230779号公報 国際公開2014/080608号 特開2013−143382号公報 特開2012−199216号公報 国際公開第2010/092977号 特開2013−122883号公報 特開2007−95670号公報
本願発明者は、結着剤について検討し、従来よりも電池特性を高め得る二次電池負極用結着剤を開発した。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、電池特性を高めることができる二次電池負極用結着剤、二次電池用負極及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池を提供することを課題とする。
本発明の二次電池負極用結着剤は、ポリアミドイミドと、繰り返し単位にカルボキシル基をもつカルボキシル基含有ポリマーとを有することを特徴とする。
本発明の二次電池用負極は、上記記載の二次電池負極用結着剤と、負極活物質とを有する負極合材層と、前記負極合材層で被覆された集電体とをもつことを特徴とする。
本発明の二次電池用負極の製造方法は、上記記載の二次電池用負極を製造する方法であって、
前記ポリアミドイミドと前記カルボキシル基含有ポリマーとを混合して前記二次電池負極用結着剤を得る結着剤調製工程と、
前記二次電池負極用結着剤と前記負極活物質とを混合して負極合材を得る混合工程と、
前記負極合材を集電体の表面に塗布して負極合材層を形成する塗布工程と、
前記集電体の表面に形成された前記負極合材層を200〜300℃で加熱する加熱工程とをもつことを特徴とする。
本発明の非水電解質二次電池は、上記に記載の二次電池用負極、又は上記に記載の製造方法で製造した二次電池用負極を有することを特徴とする。
本発明は上記構成を具備するため、電池のサイクル特性を高める二次電池負極用結着剤、二次電池用負極及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明の実施形態に係る二次電池負極用結着剤、二次電池用負極及びその製造方法、並びに非水電解質二次電池について詳細に説明する。
本発明の二次電池負極用結着剤は、ポリアミドイミドと、繰り返し単位にカルボキシル基をもつカルボキシル基含有ポリマーとを有する。このため、実施例で示すように、本発明の結着剤と負極活物質とを有する二次電池負極を用いた非水電解質二次電池は、優れた電池特性を発揮することができる。その理由は、以下のように考えられる。
ポリアミドイミドは、強度が強く、負極活物質の体積変化に追従できる。このため、ポリアミドイミドを結着剤として用いた負極は、電池のサイクル特性を高めることができる。
カルボキシル基含有ポリマーは、負極作製時に、負極活物質表面に、カルボキシル基含有ポリマー由来物質を含む皮膜を形成する。この皮膜は、Liイオンなどの金属イオンの移動抵抗が小さく、可逆的に金属イオンを流通させる。
更に、本発明の二次電池負極用結着剤において、カルボキシル基含有ポリマーは、その繰り返し単位にカルボキシル基をもつ。カルボキシル基含有ポリマーは、ポリアミドイミド以外のポリマーをいう。カルボキシル基含有ポリマーを構成する繰り返し単位は、カルボキシル基をもつ。このカルボキシル基とポリアミドイミドのアミノ基とで縮合反応が生じてアミド結合が形成されて、カルボキシル基含有ポリマーはポリアミドイミドと三次元的なネットワークを形成している。このネットワークの中に負極活物質が配置されていて、負極活物質同士、又は負極活物質と集電体とがネットワークにより確実に繋ぎ止められている。
特に、ポリアミドイミドとカルボキシル基含有ポリマーとを有する結着剤を負極に用いた非水電解質二次電池は、後述の実施例に示すように、ポリイミドとカルボキシル基含有ポリマーとを有する結着剤を負極に用いた非水電解質二次電池に比べて、高いサイクル特性を発揮する。その理由は、以下のようである。
ポリアミドイミドは、ポリイミドよりも軟らかく、負極活物質の膨張収縮に対して、十分な伸縮性を発揮する。
また、ポリアミドイミドを構成する繰り返し単位の中には、アミノ基(−NH−)が存在する。カルボキシル基含有ポリマーを構成する繰り返し単位には、カルボキシル基(−COO−)が存在する。ポリアミドイミドの繰り返し単位の中のアミノ基には、カルボキシル基含有ポリマーの繰り返し単位の中のカルボキシル基が配位しやすい。好ましくは、ポリアミドイミドの繰り返し単位の中のアミノ基は、カルボキシル基含有ポリマーの繰り返し単位の中のカルボキシル基と、脱水縮合反応により架橋結合を形成する。ポリアミドイミドは、繰り返し単位毎に、カルボキシル基含有ポリマーの中のカルボキシル基と、3級アミド結合(R−C(=O)−NR:R、R、R:炭素含有基)などのアミド結合を形成する。一方、ポリイミドは、高分子鎖の末端にアミノ基が存在するのみで、各繰り返し単位にはアミノ基(−NH−)は存在しない。このため、ポリアミドイミドは、ポリイミドに比べて、カルボキシル基含有ポリマーと結合し得る部位が多く、三次元的なネットワークを形成しやすい。ポリアミドイミドとカルボキシル基含有ポリマーとを有する結着剤は、負極合材層の中で三次元的なネットワークを形成して、負極活物質を繋ぎ止める性能が高く、負極活物質の保持力が高い。
ポリアミドイミドの中のイミド基は、充電時に電解液中のLiイオンなどの金属イオンと不可逆的に反応する。これは、ポリアミドイミドが電解液の成分と結合するときに金属イオンを結合構造の中に不可逆的に取り込むからであると予想される。これに対して、カルボキシル基含有ポリマーのカルボキシル基は電解液中のLiイオンなどの金属イオンと可逆的に反応する。ポリアミドイミドに加えてカルボキシル基含有ポリマーを含む結着剤とした方が、ポリアミドイミドのみからなる結着剤に比べて、金属イオンと不可逆的に反応する部分が少なくなり、サイクル特性が高くなる。また、ポリアミドイミドの繰り返し単位の中のアミノ基は、カルボキシル基含有ポリマーの繰り返し単位の中のカルボキシル基と架橋結合している場合には、充電時に架橋結合のアミド結合部分に金属イオンが可逆的に結合するのみで、放電時には金属イオンは離脱する。このため、充放電反応時に架橋結合は維持されて、三次元ネットワークを維持することができ、電池のサイクル特性を向上させる。
本発明の結着剤は、カルボキシル基含有ポリマーとポリアミドイミドとを有する。カルボキシル基含有ポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸などが例示される。この中、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸を用いることが好ましく、更にはポリアクリル酸を用いることが望ましい。
カルボキシル基含有ポリマーの質量平均分子量は、1,000〜900,000であることが好ましい。特に、カルボキシル基含有ポリマーがポリアクリル酸である場合、ポリアクリル酸の質量平均分子量は、1,000〜900,000であることが好ましい。ポリアクリル酸の質量平均分子量が過小の場合には粘度が低く、塗布工程にて欠陥が生じるおそれがある。ポリアクリル酸の質量平均分子量が過大の場合には、結着剤がゲル化して、結着剤が、負極活物質同士、又は負極活物質と集電体とを結着しにくくなるおそれがある。
ポリアミドイミドとは、分子内にアミド結合とイミド結合をそれぞれ2つ以上有する化合物を意味する。
ポリアミドイミドは、アミド結合及びイミド結合におけるカルボニル部分となる酸成分と、アミド結合及びイミド結合における窒素部分となるジアミン成分又はジイソシアネート成分を反応させることで製造される。ポリアミドイミドを得るには、当該方法で製造しても良いし、また、市販のポリアミドイミドを購入しても良い。
ポリアミドイミドの製造に用いられる酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ビス(カルボキシルフェニル)スルホン、ビス(カルボキシルフェニル)エーテル、ナフタレンジカルボン酸、及び、これらの無水物、酸ハロゲン化物、誘導体を挙げることができる。酸成分としては、上記の化合物を単独で又は複数で採用すればよいが、ただし、イミド結合を形成させる点から、ベンゼン環の隣接位置にカルボキシル基が存在する酸成分は、必須となる。酸成分としては、反応性、耐熱性などの点から、トリメリット酸無水物が好ましい。また、ポリアミドイミドの引っ張り強度、引っ張り弾性率、耐電解液性の点から、トリメリット酸無水物に加えて、酸成分の一部として、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物を採用するのが好ましい。
ポリアミドイミドの製造に用いられるジアミン成分としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の含飽和炭素環ジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ベンジジン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。耐熱性、溶解性の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−トリレンジアミン、o−トリジン、ナフタレンジアミン、イソホロンジアミンが好ましい。ポリアミドイミドの引っ張り強度、引っ張り弾性率の点からはo−トリジン、ナフタレンジアミンが好ましい。
ポリアミドイミドの製造に用いられるジイソシアネート成分としては、上記ジアミン成分のアミンをイソシアネートで置き換えたものを挙げることができる。
ポリアミドイミドの分子量としては、数平均分子量又は重量平均分子量で500〜100000が好ましく、1000〜50000がより好ましく、5000〜30000がさらに好ましい。
本発明の結着剤において、前記ポリアミドイミドと前記カルボキシル基含有ポリマーとの合計質量を100質量%としたときに、前記ポリアミドイミドの含有比は、50質量%を超えて多く且つ90質量%以下であることが好ましい。また、前記ポリアミドイミドと前記カルボキシル基含有ポリマーとの合計質量を100質量%としたときに、前記カルボキシル基含有ポリマーの含有比は、10質量%以上であって且つ50質量%未満であることが好ましい。負極合材層の中で、三次元的なネットワークを形成しやすく、負極活物質の保持力が高まり、電池のサイクル特性が向上する。
カルボキシル基含有ポリマーがポリアクリル酸である場合、ポリアミドイミドとポリアクリル酸との合計質量を100質量%としたときに、ポリアミドイミドの含有比は、50質量%を超えて多く且つ90質量%以下であることがよく、更に、60質量%以上80質量%以下であることが好ましく、70質量%以上75質量%以下であることが最も好ましい。ポリアミドイミドとポリアクリル酸との合計質量を100質量%としたときに、ポリアクリル酸の含有比は、10質量%以上であって且つ50質量%未満であることがよく、更に、20質量%以上40質量%以下であることが好ましく、25質量%以上30質量%以下であることが最も好ましい。この場合には、ポリアミドイミドの特性とポリアクリル酸の特性を併せ持つことができる。しかも、負極合材層の中で、三次元的なネットワークを形成しやすく、負極活物質の保持力が高まり、電池のサイクル特性が向上する。ここで、ポリアミドイミドの含有比が過大の場合又はカルボキシル基含有ポリマーが過少の場合には、Liイオンなどの金属イオンがポリアミドイミドと不可逆的に反応することにより金属イオンの消費量が多くなり、容量が低下するおそれがある。ポリアミドイミドの含有比が過少の場合又はカルボキシル基含有ポリマーが過大の場合には、結着剤の強度が低下して負極活物質を安定に保持することができないおそれがある。
ポリアミドイミドのアミノ基は、カルボキシル基含有ポリマーのカルボキシル基と、アミド結合を形成して、三次元ネットワークを形成していることが好ましい。これにより、結着剤の負極活物質を保持する性能が向上する。
上記カルボキシル基含有ポリマーとポリアミドイミドとを反応させて反応物を得るには、両者を混合して加熱する方法、カルボキシル基含有ポリマーとポリアミドイミドの両方を溶解可能な溶媒に溶解させて加熱する方法などを用いることができる。サイクル特性の高い電池を作製するためには、後者の方法のように両者が液状で混合された状態で加熱する方法が好ましい。
<二次電池負極>
本発明の二次電池負極は、上記の二次電池負極用結着剤と、負極活物質とを有する負極合材層と、負極合材層で被覆された集電体とをもつ。
負極合材層中の結着剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:結着剤=1:0.001〜1:0.3であるのが好ましく、1:0.005〜1:0.2であるのがより好ましく、1:0.01〜1:0.15であるのがさらに好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
負極活物質は、珪素を有することがよい。珪素を有する負極活物質は、充放電時の体積変化が大きい。本発明の二次電池負極用結着剤は、珪素を有する負極活物質のように体積変化の大きい負極活物質を保持する性能に優れているからである。
珪素を有する負極活物質としては、SiO(0.3≦x≦1.6)で表されるケイ素酸化物、あるいは Physical Review B(1993),vol48,8172-8189及び特開2011-090806号公報に記載された層状シリコン化合物を焼成することで得られるシリコン材料などが挙げられる。
二ケイ化カルシウム(CaSi)と酸、例えば塩化水素(HCl)水溶液とを反応させることにより、層状シリコン化合物を得ることができる。二ケイ化カルシウム(CaSi)は、ダイヤモンド型のSiの(111)面の間にCa原子層が挿入された層状結晶をなし、酸との反応でカルシウム(Ca)が引き抜かれることによって層状シリコン化合物が得られる。
また、酸としてフッ化水素(HF)水溶液と塩化水素(HCl)水溶液との混合物とを用いることもできる。フッ化水素(HF)と塩化水素(HCl)との組成比は、塩化水素(HCl)のモル量を100としたとき、フッ化水素(HF)のモル量が100以下であることが好ましい。フッ化水素(HF)の量がこの比より多くなるとCaF、CaSiO系などの不純物が生成し、この不純物と層状シリコン化合物とを分離するのが困難であるため好ましくない。
酸と二ケイ化カルシウム(CaSi)との反応比は、当量より酸を過剰にすることが好ましい。また反応雰囲気は、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。反応時間と反応温度は特に限定されないが、通常、反応温度は0℃〜100℃、反応時間は0.25〜24時間である。
上記反応によって得られるシリコン材料は、凝集して凝集粒子となっている。そのため、充放電時における膨張・収縮の繰り返しによる凝集粒子の微粉化が生じ、比表面積が増大するとともにSEIの生成によってサイクル特性が低下するという問題がある。
そこで、負極活物質は、シリコン材料からなる凝集粒子と、非晶質の炭素からなり凝集粒子の少なくとも一部を覆って複合化された炭素層と、よりなることが特に好ましい。非晶質の炭素からなる炭素層は、凝集粒子の少なくとも一部を覆っている。この炭素層によって凝集粒子が補強されるという効果が発現される。負極にはグラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの導電助剤が用いられる場合があるが、これらの炭素は結晶質であり、非晶質ではない。シリコン材料の凝集体を覆って複合化された炭素層の厚さは、1〜100nmの範囲であることが好ましく、5〜50nmの範囲であることがさらに望ましい。炭素層の厚さが薄すぎると効果の発現が困難となり、炭素層が厚くなりすぎると初期容量が低下するおそれがある。
炭素層を形成する場合において、何らかの方法で別に製造された非晶質の炭素をシリコン材料の凝集粒子と混合するだけでは、不均質となるとともに、炭素が凝集粒子の少なくとも一部を覆うことも困難である。そこで非晶質の炭素が凝集粒子の少なくとも一部を確実に覆い、均質な負極活物質を製造する方法が開発された。その製造方法は、ケイ素原子で構成された六員環が複数連なった構造をなし組成式(SiH)で示される層状シリコン化合物を熱処理してシリコン材料の凝集粒子を得る凝集粒子形成工程と、凝集粒子と芳香性複素環化合物とを混合した状態で芳香性複素環化合物を重合する重合工程と、芳香性複素環化合物の重合体を炭素化する炭素化工程と、をこの順で行うことが望ましい。
シリコン材料の凝集粒子を得る凝集粒子形成工程は前述したとおりである。
重合工程では、シリコン材料凝集粒子と芳香性複素環化合物とを混合した状態で、芳香性複素環化合物が重合される。これによりシリコン材料の凝集粒子に付着した状態の芳香性複素環化合物の重合体が得られる。ここで芳香性複素環化合物としては、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾールなどの五員環芳香性複素環化合物、インドール、ベンズイミダゾール、ベンゾフランなどの多環芳香性複素環化合物など、重合可能なものを用いることができる。
これらの化合物を重合するには、各種重合方法を採用することができる。芳香性複素環化合物がピロールなどの場合には、濃塩酸あるいは三塩化鉄などのポリマー化触媒の存在下で、シリコン材料凝集粒子と芳香性複素環化合物とを加熱する方法が簡便である。特に三塩化鉄を用いれば、非水雰囲気で重合することができSiの酸化を抑制できるので、二次電池としたときに初期容量が増大する効果がある。
炭素化工程では、シリコン材料の凝集粒子と混合された状態で芳香性複素環化合物の重合体が炭素化される。この工程は、シリコン材料の製造時と同様に、不活性雰囲気下にて100℃以上の温度で熱処理すればよく、400℃以上で熱処理するのが好ましい。芳香性複素環化合物は重合体となっているため、加熱しても蒸散することなく炭素化が進行し、シリコン材料の凝集粒子の表面に非晶質の炭素からなる炭素層が結合した複合体が得られる。なお重合工程を行わずに、シリコン材料の凝集粒子と芳香性複素環化合物とを混合した状態で熱処理を行うと、芳香性複素環化合物が蒸散してしまい炭素化が困難であるおそれがある。
非晶質の炭素が凝集粒子の少なくとも一部を覆う負極活物質においては、ケイ素と炭素との組成比は重量比でSi/C=3/1〜20/1であることが望ましい。この比が20/1を超えると炭素層を形成した効果が発現されず、3/1未満では二次電池の容量が低下するおそれがある。
負極合材層は、上記の結着剤と負極活物質のほかに、更に、導電助剤を含んでいると良い。導電助剤として、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber:VGCF)等を単独でまたは二種以上組み合わせて添加することができる。導電助剤の使用量については、特に限定的ではないが、例えば、負極活物質100質量部に対して、20〜100質量部程度とすることができる。導電助剤の量が20質量部未満では効率のよい導電パスを形成できず、100質量部を超えると電極の成形性が悪化するとともにエネルギー密度が低くなる。
集電体は、放電或いは充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子高伝導体のことである。集電体は箔、板等の形状を採用することができるが、目的に応じた形状であれば特に限定されない。集電体として、例えば銅箔やアルミニウム箔を好適に用いることができる。
<二次電池用負極の製造方法>
上記に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法は、ポリアミドイミドと前記カルボキシル基含有ポリマーとを混合して前記結着剤を得る結着剤調製工程と、
前記結着剤と前記負極活物質とを混合して負極合材を得る混合工程と、
前記負極合材を集電体の表面に塗布して負極合材層を形成する塗布工程と、
前記集電体の表面に形成された前記負極合材層を200〜300℃で加熱する加熱工程とをもつ。
上記の製造方法で得られた非水電解質二次電池用負極は、電池のサイクル特性を高めることができる。その理由は、以下のように考えられる。ポリアミドイミドとカルボキシル基含有ポリマーとを混合することで、ポリアミドイミドとカルボキシル基含有ポリマーとが、縮合まではいかないが、分子間力で引き合ったプレネットワークが形成される。この状態の結着剤を、負極活物質と混合して負極合材を得る。負極合材では、プレネットワーク構造の中に負極活物質が取り込まれる。この負極合材を集電体に塗布して負極合材層を形成した後に、この負極合材層を200〜300℃で加熱する。これにより、ポリアミドイミドのアミノ基とカルボキシル基含有ポリマーのカルボキシル基とが脱水縮合反応してアミド架橋結合が形成される。内部に負極活物質を取り込んだ状態を維持しつつ、ポリアミドイミドとカルボキシル基含有ポリマーとのプレネットワークから、アミド結合による架橋構造をもつ強固なネットワーク構造が形成される。ゆえに、負極活物質が充放電時に体積変化をした場合でも、負極活物質同士が、ネットワーク構造を形成したポリアミドイミドとカルボキシル基含有ポリマーとからなる結着剤により、強固に保持される。このようなネットワーク構造が形成された負極は、そのまま電池に組み付けられるため、ネットワーク構造が破壊されることはない。負極のネットワーク構造を維持しつつ電池が使用される。従って、かかる負極を用いた電池は、サイクル特性に優れる。
結着剤調製工程において、ポリアミドイミドとカルボキシル基含有ポリマーとを混合するために、例えば、混練機などにより機械的エネルギーを与える。混合時の温度は10〜35℃がよい。混合時間は10〜60分間がよい。
混合工程において、結着剤と負極活物質だけでもよいが、更に導電助剤を加えて、これらを混合してもよい。塗布工程において、負極合材を集電体の表面に塗布するために、負極合材に適量の有機溶剤を加えて混合しスラリーにしたものを、ロールコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの方法で集電体上に塗布するとよい。塗布工程の後には、塗布した負極合材を乾燥させるとよい。
有機溶剤には特に制限はなく、複数の溶剤の混合物でも構わない。N-メチル−2−ピロリドン及びN−メチル−2−ピロリドンとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n-ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)あるいはグライム系溶媒(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)の混合溶媒が特に好ましい。
加熱工程では、200〜300℃で負極合材層を加熱する。加熱温度が200℃未満では、負極合材層に含まれるポリアミドイミドとカルボキシル基ポリマーとの間にネットワークが形成されないおそれがある。300℃を超える場合には、ポリアミドイミドとカルボキシル基含有ポリマーとが熱分解するおそれがある。
<非水電解質二次電池>
本発明の非水電解質二次電池は、上記の二次電池用負極と、正極と、電解液と、セパレータとを有する構成にすることができる。
非水電解質二次電池がリチウムイオン二次電池の場合、負極には、リチウムがプリドーピングされていることもできる。負極にリチウムをドープするには、例えば対極に金属リチウムを用いて半電池を組み、電気化学的にリチウムをドープする電極化成法などを利用することができる。リチウムのドープ量は特に制約されない。
非水電解質二次電池がリチウムイオン二次電池の場合、特に限定されない公知の正極、電解液、セパレータを用いることができる。正極は、リチウムイオン二次電池で使用可能なものであればよい。正極は、集電体と、集電体上に結着された正極合材層とを有する。正極合材層は、正極活物質と、結着剤とを含み、さらには導電助剤を含んでも良い。正極活物質、導電助剤および結着剤は、特に限定はなく、リチウムイオン二次電池で使用可能なものであればよい。
正極活物質としては、層状化合物のLiNiCoMn(0.2≦a≦1.2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn、Ca、Mg、S、Si、Na、K、Al、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦2.1)、LiMnOを挙げることができる。たとえば、層状化合物としては、LiCoO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3が挙げられる。
また、正極活物質として、LiMn等のスピネル、スピネルと層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。また、正極活物質として、充放電に寄与するリチウムイオンを含まない正極活物質材料、たとえば、硫黄単体(S)、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiSなどの金属硫化物、V、MnOなどの酸化物、ポリアニリン及びアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用してもよい。リチウムを含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極及び/又は負極に、公知の方法により、予めイオンを添加させておく必要がある。ここで、当該イオンを添加するためには、金属または当該イオンを含む化合物を用いればよい。
電解液は、有機溶媒に電解質であるリチウム金属塩を溶解させたものである。電解液は、特に限定されない。有機溶媒として、非プロトン性有機溶媒、たとえばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等から選ばれる一種以上を用いることができる。また、溶解させる電解質としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩を用いることができる。
例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネートなどの有機溶媒にLiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO等のリチウム金属塩を0.5mol/Lから1.7mol/L程度の濃度で溶解させた溶液を使用することができる。
セパレータは、非水電解質二次電池に使用されることができるものであれば特に限定されない。セパレータは、正極と負極とを分離し電解液を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い微多孔膜を用いることができる。
非水電解質二次電池の形状は、特に限定はなく、円筒型、積層型、コイン型等、種々の形状を採用することができる。非水電解質二次電池がいずれの形状を採る場合であっても、正極および負極にセパレータを挟装させ電極体とし、正極集電体および負極集電体から外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電用リード等を用いて接続した後、この電極体を電解液とともに電池ケースに密閉して電池となる。
本発明の非水二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部に非水二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、たとえば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両に非水二次電池を搭載する場合には、非水二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。非水二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本発明の非水二次電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施形態を具体的に説明する。
(実施例1)
<製造例1>
負極活物質となるSi材料を以下のとおり製造した。
0℃で氷浴したフッ化水素1質量%含有濃塩酸20mLにCaSiを5g加え、1時間撹拌した。その後、水を加えてさらに5分撹拌し、反応液を濾過して黄色粉体を得た。黄色粉体を水及びエタノールで洗浄し、減圧乾燥を行って、層状シリコン化合物5.5gを得た。層状シリコン化合物をアルゴン雰囲気下で500℃に加熱して、ポリシランから水素が離脱したSi材料を得た。Si材料をアセチレン10質量%含有アルゴン雰囲気下で750℃に加熱して、カーボンコートされたシリコン材料を得た。
<製造例2>
結着剤の一成分となるポリアミドイミドを以下のとおり製造した。
不活性ガス雰囲気下、トリメリット酸無水物及びそれと同モルのメチレンビス-4,1-フェニレンビスイソシアネートを、合計で15質量%となるように、N−メチル−2−ピロリドンに溶解させた。その後、不活性ガス雰囲気下、かつ撹拌条件下にて、反応液を100℃に加熱し、6時間反応させ、質量平均分子量8000のポリアミドイミドを得た。
結着剤のもう一つの成分であるカルボキシル基含有ポリマーとしては、ポリアクリル酸を用いた。用いたポリアクリル酸はアクアリックAS58(株式会社日本触媒)であり、その質量平均分子量は80万である。
ポリアミドイミドを75質量%と、ポリアクリル酸を25質量%とを25℃でミキサー(商品名「あわとり錬太郎」THINKY製)で2分間混合した。これにより、結着剤を得た。
<製造例3>
本発明の電極を以下のとおり製造した。
負極活物質として製造例1で得たカーボンコートされたSi材料を85質量部、導電助剤としてアセチレンブラックを5質量部、製造例2で得た結着剤を10質量部混合して負極合材とした。該負極合材にN−メチル−2−ピロリドンを加えてスラリーとした。
集電体として厚さ30μmの電解銅箔を準備した。該銅箔の表面に、ドクターブレードを用いて上記スラリーが膜状になるように塗布した。スラリーが塗布された銅箔を80℃で20分間乾燥することでN−メチル−2−ピロリドンを揮発により除去し、その結果、表面に負極合材層が形成された銅箔を得た。該銅箔を負極合材層の厚みが20μmとなるように、ロールプレス機で圧縮して接合物を得た。この接合物を200℃で2時間減圧乾燥し、電極本体とした。この電極本体における負極合材層の密度は1.0g/cmであった。
<製造例4>
本発明の非水電解質二次電池を以下のとおり製造した。
上記の電極を用いて、以下のとおり、ハーフセルを製造した。上記の電極を径11mmで裁断し、評価極とした。金属リチウム箔を径13mmで裁断し対極とした。セパレータとしてガラスフィルター(ヘキストセラニーズ社)及び単層ポリプロピレンであるcelgard2400(ポリポア株式会社)を準備した。また、エチレンカーボネート50容量部及びジエチルカーボネート50容量部を混合した溶媒にLiPF6を1mol/Lで溶解した電解液を準備した。対極、ガラスフィルター、celgard2400、評価極の順に、2種のセパレータを対極と評価極で挟持し電極体とした。この電極体をコイン型電池ケースCR2032(宝泉株式会社)に収容し、さらに電解液を注入して、コイン型電池を得た。これを実施例1のリチウムイオン二次電池とした。
(実施例2)
実施例1の製造例2において、25質量%のポリアミドイミドと75質量%のポリアクリル酸とからなる結着剤を作製した。その他は、実施例1と同様にして、実施例2の非水電解質二次電池を製造した。
(実施例3)
実施例1の製造例2において、50質量%のポリアミドイミドと50質量%のポリアクリル酸とからなる結着剤を作製した。その他は、実施例1と同様にして、実施例3の非水電解質二次電池を製造した。
(実施例4)
実施例1の製造例2において、67質量%のポリアミドイミドと33質量%のポリアクリル酸とからなる結着剤を作製した。その他は、実施例1と同様にして、実施例4の非水電解質二次電池を製造した。
(実施例5)
実施例1の製造例2において、70質量%のポリアミドイミドと30質量%のポリアクリル酸とからなる結着剤を作製した。その他は、実施例1と同様にして、実施例5の非水電解質二次電池を製造した。
(実施例6)
実施例1の製造例2において、90質量%のポリアミドイミドと10質量%のポリアクリル酸とからなる結着剤を作製した。その他は、実施例1と同様にして、実施例6の非水電解質二次電池を製造した。
(比較例1)
実施例1の製造例2において、100質量%のポリアミドイミドからなる結着剤を作製した。その他は、実施例1と同様にして、比較例1の非水電解質二次電池を製造した。
(比較例2)
実施例1の製造例2において、100質量%のポリアクリル酸からなる結着剤を作製した。その他は、実施例1と同様にして、比較例2の非水電解質二次電池を製造した。
(比較例3)
実施例1の製造例2において、25質量%のポリアクリル酸と、75質量%のポリイミドとからなる結着剤を作製した。用いたポリイミドは、U-ワニスA(宇部興産株式会社製)である。その他は、比較例3と同様にして、実施例3の非水電解質二次電池を製造した。
<電池特性測定>
実施例1〜6、比較例1〜3の非水電解質二次電池につき、直流電流0.2mAで評価極の対極に対する電圧が0.01Vになるまで放電を行い、放電が終了してから10分後に、直流電流0.2mAで評価極の対極に対する電圧が1.0Vになるまで充電を行った。このときの放電容量を初期放電容量とし、充電容量を初期充電容量とした。(初期放電容量/初期充電容量)×100を初期効率(%)とした。
また、上記放電及び充電を1サイクルとして、各非水電解質二次電池に対しては30サイクルの放電充電を行った。(30サイクル後の充電容量/初期充電容量)×100を容量維持率(%)とした。なお、本測定では、評価極にLiを吸蔵させることを放電といい、評価極からLiを放出させることを充電という。
上記の非水電解質二次電池の測定結果を表1に示す。
Figure 0006357974
表1に示すように、実施例1〜6の非水電解質二次電池は、比較例2の非水電解質二次電池に比べて、容量維持率が高かった。また、比較例1のようにポリアミドイミド100質量%からなる結着剤を用いる場合よりも、結着剤全体の中にポリアクリル酸を50質量%未満混合した方が、放電容量維持率が高くなった。実施例1〜6の非水電解質二次電池では、ポリアクリル酸とポリアミドイミドとを混合して負極用結着剤として用いている。実施例1〜6の容量維持率が高かった理由としては、負極合材のスラリーを作製する際に、優先的にポリアクリル酸が負極活物質を被覆してSEIの役割を果たしている点や、ポリアクリル酸で被覆された負極活物質粒子をポリアミドイミドが結着して負極活物質の膨張収縮を抑えている点が挙げられる。更に、ポリアクリル酸のカルボキシル基とポリアミドイミドのアミド基とが200〜300℃にて加熱されることで脱水縮合を起こして、3次元的なネットワーク構造を形成して結着剤の強度を向上させている。
比較例3の非水電解質二次電池は、実施例1の非水電解質二次電池に比べて初期効率及び容量維持率が高かった。その理由は、次のように考えられる。比較例3は、実施例1のポリアミドイミドに代えてポリイミドを用いている。ポリイミドは、ポリアミドイミドに比べて硬く、珪素の膨張収縮に対して十分な伸縮性を待たない。また、ポリイミドは、ポリアミドイミドのように繰り返し単位にアミノ基を持たず、ポリアクリル酸と結合し得る部位が少ない。このため、ポリイミドはポリアクリル酸とネットワークを形成しにくく、負極活物質を繋ぎ止める性能が低い。
実施例1〜6の中でも特に実施例1、4、5、6については、電池の容量維持率が高かった。以上より、ポリアミドイミドとポリアクリル酸との合計質量を100質量%としたときに、ポリアミドイミドの含有比は、50質量%を超えて多く且つ90質量%以下であることがよく、更に、60質量%以上80質量%以下であることが好ましく、70質量%以上75質量%以下であることが最も好ましいこと、また、ポリアミドイミドとポリアクリル酸との合計質量を100質量%としたときに、ポリアクリル酸の含有比は、10質量%以上であって且つ50質量%未満であることがよく、更に、20質量%以上40質量%以下であることが好ましく、25質量%以上30質量%以下であることが最も好ましいこと、がわかった。

Claims (7)

  1. ポリアミドイミドとポリアクリル酸を有し、
    前記ポリアミドイミドと前記ポリアクリル酸との合計質量を100質量%としたときに、前記ポリアミドイミドの含有比は、67質量%以上90質量%以下であることを特徴とする二次電池負極用結着剤。
  2. 前記ポリアミドイミドと前記ポリアクリル酸とは、アミド結合により架橋している請求項1に記載の二次電池負極用結着剤。
  3. 請求項1又は2に記載の二次電池負極用結着剤と、負極活物質とを有する負極合材層と、前記負極合材層で被覆された集電体とをもつ二次電池用負極。
  4. 前記負極活物質は珪素を有する請求項3に記載の二次電池用負極。
  5. 請求項3又は4に記載の二次電池用負極を製造する方法であって、
    前記ポリアミドイミドと前記ポリアクリル酸とを混合して前記二次電池負極用結着剤を得る結着剤調製工程と、
    前記二次電池負極用結着剤と前記負極活物質とを混合して負極合材を得る混合工程と、
    前記負極合材を集電体の表面に塗布して負極合材層を形成する塗布工程と、
    前記集電体の表面に形成された前記負極合材層を200〜300℃で加熱する加熱工程とをもつことを特徴とする二次電池用負極の製造方法。
  6. 請求項3又は4に記載の二次電池用負極を有する非水電解質二次電池。
  7. 請求項5に記載の製造方法で二次電池用負極を製造する工程、
    前記二次電池用負極を用いて非水電解質二次電池を製造する工程、
    を含む非水電解質二次電池の製造方法
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