JP6356791B2 - スライド摩擦式発電機、発電方法及びベクトル変位センサ - Google Patents

スライド摩擦式発電機、発電方法及びベクトル変位センサ Download PDF

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Description

本発明は、発電機に関し、特に、力学的エネルギーを電気的エネルギーに変換するスライド摩擦式発電機、発電方法及び当該スライド摩擦式発電機を利用するベクトル変位センサに関する。
スライド摩擦電気発電機は、2種の異なる摩擦帯電材料間の摩擦によって表面電荷の移動を発生することで動作する。しかしながら、今まで報道された全てのスライド摩擦式発電機は、いずれも導電金属を摩擦電気薄膜材料の表面に堆積させて電極層とすることで、外部へ電気的エネルギーを出力する。このようなスライド摩擦式発電機は、その構造が複雑であるため、作製コストが増加してしまう。それに、従来のスライド摩擦式発電機は、発生された電気的エネルギーを出力するには、2つの電極層が必要である。そのため、従来のスライド摩擦式発電機は、構造自身がその発展及び実用を大きく妨害している。
本発明は、構造が簡単で、外力の力学的エネルギーを電気的エネルギーに変換可能な単電極式のスライド摩擦式発電機を提供することをその目的とする。
上記目的を実現するために、本発明は、
摩擦層と、
前記摩擦層の下面に接触して設けられ、等電位に電気的に接続されている第1の導電層と、
前記摩擦層の上に設けられ、下面が前記摩擦層の上面に対向するように配置されている第2の導電層と、を備え、
前記摩擦層の上面と前記第2の導電層の下面が相対的にスライドして摩擦すると共に、摩擦面積がスライド途中で変化する場合、前記第1の導電層と前記等電位との間には、電気信号が出力されるスライド摩擦式発電機を提供する。
好ましくは、前記摩擦層の上面の材料と前記第2の導電層の下面の材料は、帯電列上で並びの順番に差異がある。
好ましくは、前記第1の導電層は、電力供給が必要である周辺回路を介して、グランド又は等電位回路に接続されている。
好ましくは、前記第1の導電層は、負荷を介して、等電位に電気的に接続されている。
好ましくは、前記第2の導電層の下面は、前記摩擦層の上面に接触するように設けられている。
好ましくは、外力を受けていない場合、前記第2の導電層は、前記摩擦層に接触しなく、外力を受けた場合、前記第2の導電層の下面は、前記摩擦層の上面に接触する。
好ましくは、前記摩擦層の上面の材料は、絶縁体から選択される。
好ましくは、前記絶縁体材料は、ポリマー材料から選択される。
好ましくは、前記ポリマー材料は、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリイソプチレン、ポリウレタン弾性スポンジ、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、ポリクロロプレン、天然ゴム、ポリアクリロニトリル、ポリジフェノールカーボネート、塩化ポリエーテル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレンから選択される。
好ましくは、前記摩擦層の厚さは、100nm〜5mmである。
好ましくは、前記第2の導電層の下面の材料は、金属、酸化インジウム・スズ又は有機物導体から選択される。
好ましくは、前記金属は、金、銀、白金、アルミニウム、ニッケル、銅、チタン、クロム又はセレン及びこれらの金属からなる合金から選択され、前記有機物導体は、ポリピロール、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタロシアニン系化合物、ポリアニリン及び/又はポリチオフェンから選択される。
好ましくは、前記第2の導電層は、薄膜材料からなる。
好ましくは、前記第2の導電層の厚さは、10nm〜5mmである。
好ましくは、前記第2の導電層の下面及び/又は摩擦層の上面の一部又は全部に、ナノメートル、ミクロン(micron)又はサブミクロン(sub−micron)レベルの微小構造(microstructure)が配置され、前記微小構造は、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノ粒子、ナノ棒、ナノ花、ナノ溝、ミクロン溝、ナノコーン、ミクロンコーン、ナノボール及びミクロンボールの構造、および前記構造から形成されたアレイであり、あるいは、ナノ材料の修飾又は塗布層である。
好ましくは、前記第2の導電層の下面及び/又は摩擦層の上面は、化学的変性が施されている。
好ましくは、帯電列でプラスになりやすい材料の表面に、電子が奪われやすい官能基を導入し、あるいは、帯電列でマイナスになりやすい材料の表面に、電子を取込みやすい官能基を導入する。
好ましくは、極性が正である表面に、正の電荷を導入し、極性が負である表面に、負の電荷を導入する。
好ましくは、前記第2の導電層の下面は、平面又は曲面であり、及び/又は、前記摩擦層の上面は、平面又は曲面である。
好ましくは、前記第2の導電層の下面と前記摩擦層の上面は、相補の表面である。
好ましくは、前記摩擦層の上面は、凹凸の非平坦な表面であり、前記第2の導電層の下面は、凹凸の非平坦な表面である。
好ましくは、前記第2の導電層及び/又は摩擦層は、可撓性材料または硬質材料からなる。
好ましくは、前記第2の導電層及び/又は摩擦層は、弾性材料からなる。
好ましくは、前記第1の導電層の下面が設けられている第1の基板、及び/又は、前記第2の導電層の上面が設けられている第2の基板を更に含む。
好ましくは、前記摩擦層は複数の摩擦ユニットからなり、前記複数の摩擦ユニットの上面は、前記摩擦層の上面を形成している。
好ましくは、前記第2の導電層の下面は、隣り合う2つの摩擦ユニットの上面に同時に接触、摩擦しない。
好ましくは、前記摩擦ユニットは、長尺状又は正方形ブロック状である。
好ましくは、前記複数の摩擦ユニットは、予め設定されたパターンに従って配列されている。
好ましくは、前記第1の導電層は、複数の第1の導電ユニットからなり、前記複数の第1の導電ユニットは、前記複数の摩擦ユニットと一対一に対応しており、各前記第1の導電ユニットは、等電位に電気的に接続されている。
好ましくは、前記第2の導電層は、複数の第2の導電ユニットからなり、前記複数の第2の導電ユニットの下面は、前記第2の導電層の下面を形成している。
好ましくは、複数の前記第2の導電ユニットの下面は、同一の平面に位置しており、複数の前記摩擦ユニットの上面は、同一の平面に位置している。
好ましくは、複数の前記第2の導電ユニットの下面、及び複数の前記摩擦ユニットの上面は、同一の曲面に属する。
また、本発明は、
前記のスライド摩擦式発電機を含むベクトル変位センサであって、
各前記導電ユニットと等電位との間には、前記電気信号を検出するための検出装置が接続されており、
前記第2の導電層の下面と前記摩擦ユニットの上面がスライド式摩擦を行うと共に、摩擦面積が変化すると、前記電気信号を検出した検出装置の位置に応じて、前記第2の導電層の位置を確定し、あるいは、電気信号を順次に検出した検出装置の位置に応じて、前記第2の導電層のスライド距離、スライド方向又はスライド速度を確定するベクトル変位センサを更に提供する。
好ましくは、前記検出装置は、電流又は電圧を検出する装置であり、前記電気信号は、電流又は電圧の信号であり、あるいは、前記検出装置は、発光素子又は発声素子であり、前記電気信号を検出すると、光信号又は音声信号を出力する。
好ましくは、各前記電極ユニットと等電位との間には、前記検出装置に並列又は直列に接続された分圧抵抗を更に含む。
好ましくは、前記スライド摩擦式発電機は、16個の摩擦ユニットを含み、前記16個の摩擦ユニットは、4個ずつグループ化されて4つの方向に配置されて「十」字構造を形成し、各グループにおいて、4個の摩擦ユニットは、平行に等間隔に配列されている。
好ましくは、前記16個の摩擦ユニットは、幅が10mmで、長さが2.5cmである長尺状のポリテトラフルオロエチレン薄膜であり、前記ポリテトラフルオロエチレン薄膜間の距離は2mmである。
また、本発明は、
下面に、負荷を介して等電位に接続されている第1の導電層が設けられている摩擦層を準備するステップと、
第2の導電層と前記摩擦層の上面が相対的にスライド式摩擦を行うと共に、摩擦面積が変化すると、電流が前記負荷を流すステップと、を含む発電方法を更に提供する。
従来技術に比べて、本発明は、以下の効果を有する。
1、単電極に基づくスライド摩擦式発電機が初めて作製され、表面に第1の導電層が設けられた摩擦層材料及び第2の導電層材料(例えば、ポリマー及び金属材料)のみを必要とし、第1の導電層材料を等電位に電気的に接続すればよい。摩擦層材料と第2の導電層材料のスライド摩擦によって、外部へ電気的エネルギーを出力することができる。本発明のスライド摩擦式発電機は、構造が簡単である単電極のスライド摩擦式発電機である。
2、本発明のスライド摩擦式発電機において、第1の導電層(又は第1の導電ユニット)は、等電位への電気的接続が要るが、第2の導電層は、いずれの接続も要らない。第2の導電層と摩擦層間のスライド式摩擦及び摩擦途中における摩擦面積の変化を確保できれば、第1の導電層(又は第1の導電ユニット)と等電位との間に接続されている負荷に電力を供給することができる。このように設計された発電機は、移動体に広く適用されて、移動途中における相互的な摩擦を電気的エネルギーに変換することができる。例えば、自動車のタイヤとグランド間の摩擦によって発生される力学的エネルギーの収集、または、タッチパネル等の分野に適用することができる。
3、本発明のスライド摩擦式発電機の各部は、可撓性材料又は弾性材料から形成可能であるため、可撓性のデバイスと組み合わせて使用することができる。
4、本発明は、スライド摩擦式発電機によるベクトル変位センサであるセルフ駆動センサを提供している。つまり、摩擦層が複数の摩擦ユニットからなる発電機を用いて、第2の導電層が摩擦ユニット上をスライド又は移動すると、摩擦ユニットに対応する第1の導電ユニットと等電位との間に接続されている検出装置は、電気信号を検出することができるため、センサに電源を供給する必要がない。即ち、主に、物体の移動途中に順次にトリガーされる摩擦ユニットと第2の導電層間のスライド式摩擦によって発生される電気信号で、移動体の移動方向、移動距離及び移動速度を追跡することができ、物体に対する位置決めを実現することができる。本発明のベクトル変位センサは、電源の供給を別途に要らないため、タッチパネルのような小型デバイスに適用することができるだけでなく、電源の交換が不便である環境に特に適合する。
5、本発明のスライド摩擦式発電機、スライド摩擦式発電機によるベクトル変位センサは、摩擦層又は摩擦ユニットの材料が絶縁材料であり、材料の選択範囲が広く、環境にやさしい材料を選択すれば、幅広く敷設することができ、応用範囲が広いエネルギーの収集装置である。
添付される図面によって、本発明の上述した目的及びその他の目的、特徴並びにメリットは、より明らかになろう。図面において、同じ符号は、同じ部分を示す。実際のサイズに基づいて等比例的に拡大または縮小したものではなく、本発明の主旨を示すことにその目的がある。
図1は、本発明のスライド摩擦式発電機の典型的な構造を示す模式図である。 図2は、本発明のスライド摩擦式発電機の発電原理を示す模式図である。 図3は、第1の導電層の下面が第1の基板に設けられ、第2の導電層の上面が第2の基板に設けられた発電機の構造を示す模式図である。 図4は、摩擦層の上面及び第2の導電層の下面が湾曲した表面である発電機の構造を示す模式図である。 図5は、摩擦層の上面及び第2の導電層の下面が凹凸の非平坦な表面である発電機の構造を示す模式図である。 図6は、摩擦層が複数の摩擦ユニットからなる発電機の発電工程を示す模式図である。 図7は、摩擦層が複数の摩擦ユニットからなり、第1の導電層が複数の第1の導電ユニットからなる発電機の発電工程を示す模式図である。 図8は、第2の導電層が複数の第2の導電ユニットからなる発電機の構造を示す模式図である。 図9は、複数の第2の導電ユニットの下面及び複数の摩擦ユニットの上面が同一曲面に属する発電機の構造を示す模式図である。 図10は、ベクトル変位センサの一具体的な実施例を示す模式図である。
以下、本発明の図面を参照しながら、実施例を詳細に説明する。勿論、以下に説明する実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例によって、進歩性に値する労働なしに取得した全ての実施例は、本発明の保護範囲に属する。
次に、本発明に関して、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の実施例を詳細に説明するとき使用される図は説明の便宜上の例示に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。
従来のスライド摩擦式発電機は、2種の摩擦帯電材料の摩擦によって表面電荷の移動を発生することで、力学的エネルギーを電気的エネルギーに変換して発電するものであった。このような発電機は、構造が複雑で、発生された電気的エネルギーを出力するために2つの電極層が要求であるので、摩擦式発電機の適用が制限された。本発明は、単電極式のスライド摩擦式発電機であって、帯電列上で並びの順番に差異がある導電材料と摩擦帯電材料との摩擦によって表面電荷を発生し、摩擦帯電材料の電極層を等電位に電気的に接続することによって、電極層と等電位間に接続されている負荷または周辺回路に電力を供給するスライド摩擦式発電機を提供する。
本発明に記載の「帯電列」とは、材料の電荷に対する吸引の程度に応じて並べた序列であり、2種の材料が互いに摩擦する瞬間、摩擦する面において、負の電荷が、帯電列におけるプラスになりやすい材料の表面から、帯電列におけるマイナスになりやすい材料の表面に移動することを意味する。例えば、高分子材料であるポリテトラフルオロエチレン(Teflon)が金属材料であるアルミニウム箔に接触すると、アルミニウム箔は、プラスに帯電する。即ち、電子の取込み能力が弱い。そして、高分子材料であるポリテトラフルオロエチレン(Teflon)は、マイナスに帯電する。即ち、電子の取込み能力が強い。ポリマーナイロンがアルミニウム箔に接触すると、ポリマーナイロンの表面は、プラスに帯電する。即ち、電子の取込み能力が弱い。そして、アルミニウム箔は、マイナスに帯電する。即ち、電子の取込み能力が強い。今まで、まだ電荷移動の仕組みを完璧に解釈できる理論がなかった。一般的に、このような電荷の移動は、材料の表面の仕事関数に係り、電子またはイオンの接触面での移動により電荷の移動を実現する。帯電列は、経験に基づいて統計した結果で、2種の材料がこの列において遠く離れるほど、接触するときに発生する電荷の正負性が当該列と一致する確率が大きくなる。そして、実際の結果は、材料表面の粗さ、環境の湿度及び相対摩擦の有無などの複数の要因に影響される。
本発明に記載の「接触電荷」とは、帯電列において並びの順番に差異がある2種の材料が接触摩擦して離間した後その表面が有する電荷を意味する。一般的に、このような電荷は、材料の表面のみに分布され、分布の最大の深さは、約10nmである。接触電荷の符号は、正味電荷(net charge)の符号である。即ち、正の接触電荷を持つ材料の表面の一部の領域には、負の電荷の集まり領域がある可能性があるが、表面の正味電荷全体の符号は、正である。
以下、図面を参照しながら、本発明のスライド摩擦式発電機を実施するための形態を詳細に説明する。
本実施例のスライド摩擦式発電機の典型的な構造は、図1を参照する。発電機は、摩擦層100と、摩擦層100の下面に接触して設けられ、等電位400に電気的に接続されている第1の導電層200と、摩擦層100の上に設けられ、下面が摩擦層100の上面と対向するように設けられている第2の導電層300とを含み、摩擦層100の上面と第2の導電層300の下面が相対的にスライド摩擦を行うとともに、摩擦面積がスライド途中において変化する場合、第1の導電層200と等電位400との間に電気信号が出力される。第1の導電層200と等電位400との間に負荷又は電力供給が必要である周辺回路500が接続される場合、電流は、負荷又は周辺回路500を流す。第1の導電層200は、摩擦層の下面に設けられる電極層であり、本発明の発電機の電極である。
摩擦層100と第2の導電層200を構成する材料が、帯電列での並びの順番に差異があるため、外力の作用によって相互に摩擦すると共に、接触する面積が変化する場合、電極層200と等電位300との間に接続されている負荷又は周辺回路400に電流を提供することができる。以下、図1の構造を例として、本発明の発電機の動作原理、発電機の各部の構造、材料などの情報を詳細に説明する。
図2を参照すると、本発明の発電機の動作原理は、以下の通りである。摩擦層100と第2の導電層300を構成する材料が、帯電列での並びの順番に差異があるため、両者の電子に対する取込み能力には差異がある。例えば、摩擦層100の電子に対する取込み能力が強く、第2の導電層300が電子を失いやすいと設定した場合、第2の導電層300の下面が摩擦層100の上面に接触すると、図2のaに示すように、摩擦層100の上面はマイナスに帯電し、第2の導電層300はプラスに帯電する。外力Fの作用で、摩擦層100と第2の導電層300を相対的にスライドさせて、接触面積を変化させると、摩擦層100と第2の導電層300の表面電荷のバランスが破壊される。すると、図2のbに示すように、摩擦層100における余裕な負の電荷が第1の導電層200における電子を反発するため、電子は、第1の導電層200から等電位400へ移動し、電流は、第1の導電層200と等電位との間に接続されている負荷又は周辺回路を流すことになる。図2のcに示すように、摩擦層100と第2の導電層200を完全に分離させると、摩擦層100と第1の電極層200との全体の正負の電荷はバランスを取り、電子の移動はなくなって、第2の導電層300の下面に正の電荷はなくなる。逆方向の外力Fを作用して、摩擦層100と第2の導電層200を相対的にスライドさせ、摩擦層100の上面と第2の導電層300の下面を相互に摩擦させて、接触面積を変化させると、図2のdに示すように、第2の導電層300における正の電荷が第1の導電層200における正の電荷を反発するため、電子は、等電位400から第1の導電層200へ移動し、第1の導電層200と等電位との間に接続されている負荷又は周辺回路に電流を出力することになる。図2のaに示すように、摩擦層100と第2の導電層300が完全に接触すると、摩擦層100と第2の導電層200との正負の電荷はバランスを取り、周辺回路への電子の移動はなくなる。すると、第1の導電層200と等電位との間には、電流が出力されない。このように繰り返すことで、交流パルス電流を形成することができる。
2種の摩擦帯電材料を摩擦させることで電気信号を発生して出力する従来の発電機は、摩擦帯電材料の表面に電極層を堆積させることで、2種の摩擦帯電材料が相互に摩擦して材料の表面電荷のアンバランスを起きて起電力を発生する時に、2つの電極層によって電荷を伝送する。そのため、本発明のスライド摩擦式発電機は、従来のスライド摩擦式発電機に比べて、摩擦層の下面に第1の導電層(即ち、電極層)を設け、別の摩擦材料層として、導電材料(即ち、第2の導電層)から選択され、第1の導電層を1つの等電位(グランド又は等電位)に電気的に接続し、第1の導電層と等電位との間に負荷又は周辺回路を接続した点がその区別である。発電機から発生された電気的エネルギーの出力は、第1の導電層と第2の導電層との間に行われる必要がない。本発明の発電機は、作製工程を簡単化しただけではなく、幅広く適用することができる、力学的エネルギーを電気的エネルギーに変換するスライド摩擦式発電機である。
上述した発電原理によれば、摩擦層100及び第2の導電層300の帯電列での並び順次は、出力可能な電気信号を発生するポイントである。本発明において、摩擦層は絶縁体材料からなり、第2の導電層の下面又は全部は導電材料からなることが好ましい。摩擦層の絶縁体材料として、ポリマー絶縁材料を選択することが好ましい。ポリメチルメタクリレート、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリイソプチレン、ポリウレタン弾性スポンジ、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、ポリクロロプレン、天然ゴム、ポリアクリロニトリル、ポリジフェノールカーボネート、塩化ポリエーテル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリテトラフルオロエチレンは、いずれも本発明の摩擦層100に適用可能なもので、電子に対する取込み能力が上記した順でだんだん強くなる。幅の関係で、使用可能な全ての材料を例示することができないため、ここでは、参照として、いくつかの具体的なポリマー材料を例示した。勿論、これらの具体的な材料は、本発明の保護範囲を限定する要素ではない。当業者は、発明の示唆で、これらの材料の摩擦帯電の特性に応じて、類似する他の材料を容易に選択することができるだろう。
発明者は、試験を通じて、摩擦層100の材料と第2の電極層300の下面の材料の電子に対する取込み能力の差異が大きいほど、スライド摩擦式発電機から出力される電気信号が強くなることを発見した。そのため、上記に挙げられた順次に基づき、簡単な比較試験を組み合わせると、適宜なポリマー材料を摩擦層100として、電気信号の最適な出力性能を取得することができる。
第2の導電層300は、発電機において、摩擦層100と摩擦する摩擦表面として機能するが、電極層として機能しない。このため、第2の導電層300は、全体が導電材料で構成されてもよく、その下面の一薄層が導電材料で構成されてもよい。例えば、第2の導電層300として、絶縁体材料の表面に導電薄膜が作製されている。第2の導電層200は、平板、薄片又は薄膜であってもよい。薄膜の場合、厚さの選択可能な範囲は、10nm〜5mmであり、100nm〜500μmであることが好ましい。金属薄膜層は、従来のマグネトロンスパッタリングや蒸着、印刷等の技術によって形成される。
摩擦層100の厚さは、本発明の実施に対して顕著な影響がない。本発明は、摩擦層が薄膜であることが好ましく、厚さが100nm〜5mmであることが好ましく、1μm〜2mmであることが望ましく、10μm〜800μmであることがより望ましく、20μm〜500μmであることが更に望ましい。これらの厚さは、本発明の全ての技術案に適用される。摩擦層100の下面に設けられる第1の導電層200は、本発明発電機の電極層である。摩擦層100の表面電荷から構成される電界がアンバランスである場合、摩擦層100の電荷がバランスを取るように、第1の導電層200は、負荷又は電力供給が必要である周辺回路を介して、電子を等電位400と伝送する。第1の電極層200又は第2の電極層300に選択される導電材料は、金属、酸化インジウム・スズ又は有機物導体から選択されてもよい。よく使用される金属は、金、銀、白金、アルミニウム、ニッケル、銅、チタン、クロム又はセレン、及び、これらの金属からなる合金があり、有機物導体は、一般的に導電高分子であり、ポリピロール、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタロシアニン系化合物、ポリアニリン及び/又はポリチオフェンを含む。第1の電極層200が電極層であり、摩擦層100によく接触する必要があるため、従来のマグネトロンスパッタリングや蒸着、印刷等の技術によって、摩擦層の下面に第1の電極層を作製してもよい。勿論、例えば、Cu又はAl箔という比較的に厚い第1の電極層100を採用して、その表面に摩擦層材料を作製し、第1の電極層と摩擦層の良好な接触を実現してもよい。
図3を参照すると、第1の導電層200及び摩擦層100の厚さが比較的に薄い発電機について、発電機の強度を増強させるように、第1の電極層200の下面に第1の基板600を設けることができる。同様に、第2の導電層300の厚さが比較的に薄い(例えば、導電薄膜材料を採用する)場合について、第2の導電層300の機械強度を増強させるように、第2の導電層300の上面に第2の基板700を設けることもできる。第1の基板と第1の導電層の結合、第2の基板と第2の導電層の結合は、例えば、貼着という常用な方法を採用してもよく、または、従来のマグネトロンスパッタリングや蒸着、印刷等の技術を採用し、基板の表面に導電材料層を作製してもよい。勿論、第1の導電層又は第2の導電層の厚さが比較的に大きい場合に対して、発電機は、第1の基板又は第2の基板を含むことができる。この場合、導電層を基板に設けることで、導電層を支持したり、第1の導電層又は第2の導電層を他の部品から分離したりする。
第1の基板600及び第2の基板700の材料の選択には、特別な限定がなく、導体や絶縁体、半導体であってもよい。例えば、アルミニウム板やシリコンシートであっても構わない。第1の基板600及び第2の基板700は、可撓性基板であってもよく、硬質基板であってもよい。例えば、ゴムやガラスのプレートがある。
発電機の出力性能を向上するために、前記摩擦層100の上面、及び/又は、前記第2の導電層300の下面に、ナノメートル、ミクロン(micron)又はサブミクロン(sub−micron)レベルの微小構造を、全体又は一部に配置することで、摩擦層100と第2の導電層300間の有効な接触面積を増加させ、両者の表面電荷の密度を向上させることが好ましい。当該微小構造は、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノ粒子、ナノ棒、ナノ花、ナノ溝、ミクロン溝、ナノコーン、ミクロンコーン、ナノボール及びミクロンボール構造、及び前記の構造から形成されるアレイであることが好ましい。特に、ナノワイヤ、ナノチューブ又はナノ棒からなるナノアレイは、フォトエッチング法、プラズマエッチング法などによって形成された線状、立方体、又は四角錐の形状のアレイであってもよい。アレイにおける各セルのサイズは、ナノ−ミクロンレベルであるが、具体的なマイクロナノ構造のセルのサイズ、形状は、本発明の範囲を限定するものではない。摩擦層100の上面及び/又は第2の導電層300の下面に、ナノ材料を修飾したり塗布層を覆ったりして、表面の微小構造を取得してもよい。
上記した摩擦層(又は第2の導電層)の表面に対して物理的変化を行う以外に、摩擦層100及び/又は第2の導電層300の表面に対して、化学的変性を施して、接触する瞬間の電荷の移動量を更に向上させることもできる。これにより、接触電荷の密度及び発電機の出力パワーを向上させることができる。化学的変性は、以下の2つの方法に分かれる。
1つの方法としては、互いに摩擦する摩擦層100及び第2の導電層300について、帯電列上でプラスになりやすい材料の表面に、電子が奪われやすい官能基(即ち、強い電子供与基)を導入、又は、帯電列上でマイナスになりやすい材料の表面に、電子を取り込みやすい官能基(即ち、強い電子求引基)を導入することで、互いにスライドする時の電荷の移動量を向上し、摩擦電荷の密度及び発電機の出力パワーを向上させる方法である。強い電子供与基は、アミノ基、ハイドロキシ、アルコキシル基などを含む。強い電子求引基は、アシル基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホン酸基などを含む。官能基の導入は、プラズマの表面変化などの普通の方法を使用することができる。例えば、酸素と窒素の混合ガスを、所定のパワーの下でプラズマを形成させることにより、アミノ基を、摩擦層を構成する材料の表面へ導入してもよい。
もう1つの方法としては、互いに摩擦する摩擦層100及び第2の導電層300について、帯電列上でプラスになりやすい材料の表面に正の電荷を導入し、帯電列上でマイナスになりやすい材料の表面に負の電荷を導入する方法である。具体的には、化学結合によって実現することができる。例えば、PDMS摩擦層の表面に、ゾル・ゲル法(sol−gel)により、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を修飾して負の電荷を帯電させる。金薄膜層上において、金−硫の結合により、表面に臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)が含有される金ナノ粒子を修飾する。臭化セチルトリメチルアンモニウムが陽イオンであるため、摩擦層全体は、プラスに帯電する。当業者は、摩擦層又は電極層の材料が電子を取り込む性質及び電子が奪われる性質並びに表面化学結合の種類に基づいて、適合する修飾材料を選択し結合させて、本発明の目的を達成することができる。したがって、このような変形も本発明の保護範囲内に属する。
本発明において、前記第1の導電層200が等電位400に電気的に接続されていることは、本発明のポイントである。当該等電位400は、大量の電荷を提供可能な、グランド又は等電位回路である。「電気的に接続」ということは、第1の導電層200が負荷又は電力供給が必要である周辺回路を介して等電位に接続される場合も含む。第2の導電層と摩擦層が互いに摩擦して、第2の導電層の表面と摩擦層の表面全体の電荷バランスが破壊される。等電位400における電荷は、負荷又は周辺回路を通じて第1の導電層に伝送される。即ち、前記電気信号が、前記負荷又は電力供給が必要である周辺回路に印加される。本発明において、第1の導電層200は、負荷を介して等電位に直接に接続されてもよく、電力供給が必要である周辺回路を介して等電位に電気的に接続されてもよい。そして、負荷と周辺回路は、第1の導電層200と等電位400との間に並列に接続されている。前記周辺回路は、簡単な抵抗であってもよく、複雑な回路であってもよい。等電位と電極層が電気的に接続され且つ抵抗がゼロでなければよい。ここでは、特に限定しない。前記の電力供給が必要である周辺回路は、照明装置などの電気デバイスであってもよい。
本発明の発電機において、摩擦層100又は第2の導電層300は、可撓性材料であってもよく、硬質材料であってもよい。これは、材料の硬度は、両者間のスライド式摩擦の効果に影響がないからである。摩擦する面を平面に保持する必要があれば、例えば、図3の基板が追加された実施例のように、他の部材の支持によって実現すればよい。したがって、当業者は、実際の状況に応じて、摩擦層100及び第2の導電層300の材料の硬度を選択することができる。可撓性材料から形成された発電機を採用すると、柔らかくて軽い摩擦層又は第2の導電層が小さな外力の作用でも変形する利点があるが、このような変形は、摩擦する2つの層(摩擦層100及び第2の導電層200)の相対的な変位を起こし、スライド式摩擦によって電気信号を外部に出力することができる。可撓性材料を使用することで、本発明のナノ発電機を、生物及び医学の分野まで広く適用することができる。実際の使用において、柔軟で弾性を有する超薄型の高分子材料、及び/又は透明でもよい高分子材料を、ベースとして、便利に使用するように封止することで、強度を向上させることもできる。勿論、本発明に開示された構造全体を、柔軟で弾性を有する材料で構成することで、可撓性のナノ発電機を形成してもよい。なお、第1の導電層200は、可撓性材料であり、発電機全体を可撓性機器にしてもよい。
本発明の発電機の最も典型的な構造は、摩擦層100の上面と、第2の導電層300の下面を、対向させて接触するように設けたことである。これによって、両者は、外力の印加を問わず、常に面の接触を保持することができる。外力の作用によって、摩擦層100と第2の導電層300は、接触した面に接する相対的なスライド式摩擦を発生する。摩擦層100の上面及び第2の導電層300の下面のサイズ、相対的な変位量を制御することによって、相対的なスライド式摩擦途中での摩擦面積の変化を容易に実現することができる。
本発明の他の実施例は、外力の作用を受けていない場合、摩擦層100と第2の導電層300は接触せず、外力の作用を受けた場合、摩擦層100の上面と第2の導電層300の下面が接触して、接触する面に接する相対的なスライド式摩擦を発生するように構成されてもよい。つまり、外力の作用を受けていない場合、摩擦層100と第2の導電層300が完全に離間していてもよい。このような設計は、間欠の発電に適合し、摩擦している途中に、接触摩擦が存在すると共に、スライド式摩擦も存在する。この目的を実現するための技術手段は複数あるが、距離を制御する本分野の慣用部材を採用することができる。例えば、第1の導電層200の下面と第2の導電層300の上面に、絶縁バネ等の部材をそれぞれ接続してもよい。ただ、用いられるバネは、摩擦層100と第2の導電層200間の相対的スライドを制限してはいけない。このような設計を持つ発電機は、他の製品と組み合わせて使用することができる。例えば、摩擦層100と第2の導電層200を、他の製品の分離されている2つの部材にそれぞれ接続し、欠的な接触(又は、近づき)及び相対的スライドによって、発電機を動作させて、間欠的に発電させることができる。
本発明において、摩擦層100の上面又は第2の導電層300の下面は、平面であってもよく(図1及び図3を参照)、曲面であってもよい。曲面の摩擦層100の下面又は電極層200の上面は、同様に相対的なスライド式摩擦を実現することができる。摩擦層の下面及び導電層の上面は、両者間の緊密な接触を保証するために、共に平面又は曲面であることが好ましい。図4を参照すると、摩擦層110全体は、弧状であり、特に、摩擦層110の上面が弧状である。そして、第2の導電層310全体は、弧状であり、特に、第2の導電層310の下面が弧状である。摩擦層110の下面に設けられる第1の導電層210は、負荷又は周辺回路510によってグランドに接続され、外力Fの作用で、摩擦層110の上面及び第2の導電層310の下面が接触する面に接する相対的なスライド式摩擦を発生すると、電流は、第1の導電層210とグランドとの間に接続される負荷510を流す。摩擦層110の上面と第2の導電層310の下面が、形状が相補する、例えば曲率が同じ曲面であることが好ましい。これによって、第2の導電層310と摩擦層110との接触面積が最大になることを保証することができる。外力Fの作用によって、摩擦層110の上面と第2の導電層310の下面が接触する面に接する相対的なスライド式摩擦を発生すると、大きい出力電流を発生することができる。
図1及び図4に示す実施例において、摩擦層の上面及び第2の導電層の下面は、いずれも平滑で平坦な表面である。しかし、この場合、摩擦層と第2の導電層とが相対的にスライドするスペースが大きい必要があり、摩擦層と第2の導電層のサイズ差が大きくなると、摩擦層と第2の導電層が相互に摩擦する途中の接触面積を変化させるという要求を満たすことができない。したがって、本発明の発電機において、摩擦層の上面及び第2の導電層の下面は、平坦でない表面に形成されてもよく、摩擦層と電極層が互いにスライドするときに、摩擦層の下面と電極層の上面が完璧に接触していなくてもよい。図5を参照すると、摩擦層120の上面は、凹凸の非平坦な表面であり、第2の導電層320の下面も、凹凸の非平坦な表面である。そして、摩擦層120の下面に設けられる第1の導電層220は、負荷520によって等電位420に接続されている。摩擦層120と第2の導電層220が外力Fの作用で、相対的なスライド式摩擦を発生し、接触面積が変化すると、パルス電流は、第1の導電層220と等電位420との間に接続される負荷520に流れる。本実施例は、摩擦層の上面又は第2の導電層の下面が小さい場合にも適用される。摩擦層の上面及び第2の導電層の下面が平坦でない表面に構成されると、外力の作用で摩擦層の上面と第2の導電層の下面が互いに摩擦するときの接触面積の変化を満たすことができる。これにより、外力の力学的エネルギーを電気的エネルギーに変換することができる。
本発明において、摩擦層の上面と第2の導電層の下面のサイズが相当することが好ましい。これによって、互いにスライドする途中に、接触面積が最大になる状況が出現するように保証することができる。摩擦層の上面と第2の導電層の下面の面積及び形状が、完全に同様であることがより好ましい。
本発明の他の実施例において、摩擦層は、複数の摩擦ユニットで構成されてもよい。複数の摩擦ユニットは、それらの上面が共に摩擦層の上面を形成している。前記摩擦ユニットの上面と前記第2の導電層の下面が相対的にスライドすると共に、摩擦面積がスライド途中に変化すると、前記第1の導電層と前記等電位との間に電気信号が出力される。その中、前記摩擦ユニットの下面は、第1の導電層に設けられる。図6を参照すると、摩擦層は、摩擦ユニット131、132、133及び134からなり、摩擦ユニット131、132、133及び434は、それらの上面が共に電極層の上面を構成し、それらの下面は、第1の導電層230に設けられ、第1の導電層230は、抵抗530を介してグランドに接続される。第2の導電層330のサイズは、摩擦ユニットのサイズより小さくてもよいし、大きくてもよい。第2の導電層の下面が隣接する2つの摩擦ユニットの上面に同時に接触して摩擦しないほうが好ましい。ここで、第2の導電層330のサイズが摩擦ユニットのサイズに相当することを例として発電機の動作工程を説明する。図6のa〜図6のeを参照すると、初期状態の場合、第2の導電層330の下面は、摩擦ユニット131の上面(即ち、摩擦層の上面)と接触して相対的にスライドすることができるが、摩擦ユニット132、133、134とは接触していない。摩擦層の材料と第2の導電層の材料の帯電列上での並びの順番が異なるため、図6のaに示すように、第2の導電層330の下面はプラスに帯電し、摩擦ユニット131の上面はマイナスに帯電する。外力Fの作用で、第2の導電層330が摩擦ユニット131に対して右にスライドして第2の導電層330と摩擦ユニット131との接触面積が変化した場合、電子は、第1の導電層230からグランドへ移動し、図6のbに示すように、電流は、第1の導電層230とグランドとの間に接続される抵抗530に流れ、第1の導電層とグランドとの間に接続される検出装置がパルス電気信号を検出できれば、図6のcに示すように、第2の導電層330が摩擦ユニット131を完全に離して続いてスライドすると、電流は、抵抗530に流れない。第2の導電層330が摩擦ユニット131に対して続いて右にスライドして摩擦すると、第2の導電層の下面が摩擦ユニット132の上面に接触すると共に、摩擦ユニット132の上面との接触面積が最大となる場合、図6のdに示すように、第2の導電層330の下面はプラスに帯電し、摩擦ユニット132の上面はマイナスに帯電する。第2の導電層330が摩擦ユニット132に対して続いて右にスライドして摩擦し、第2の導電層330と摩擦ユニット132との接触面積が変化した場合、図6のeに示すように、電子は、第1の導電層230からグランドに流れる。電流は再びに、第1の導電層230とグランドとの間に接続される抵抗530に流れる。第2の導電層330が続いて右に移動すると、上記工程を繰り返す。したがって、抵抗に、パルス電流が形成することができる。このような構造を有する発電機は、摩擦層が固定され、移動する物体に第2の導電層が設けられて発電を行う場合に適合する。例えば、複数の摩擦ユニットが道路に設けられ、全ての摩擦ユニットの下面を第1の導電層に設けて、第1の導電層は、負荷等を介して等電位に接続され、第2の導電層は車両に設けられる。車両の走行途中に、第2の導電層は、摩擦ユニットに対してスライドして摩擦を発生することで、負荷などに電気信号を供給することができる。本実施例の発電機は、タッチの位置決め及び移動の検知のためにタッチパネルに応用されてもよい。
上記実施例において、摩擦ユニットの形状には限定がない。複数の摩擦ユニットは、形状及びサイズが同じように構成されることが好ましい。例えば、全てが長尺状又は正方形のブロック状に構成されることが好ましい。複数の摩擦ユニットは、配列に対して限定がないが、予め設定されたパターンに従って配列されることが好ましい。予め設定されたパターンは、実際の必要に応じて、例えば、正方形、矩形、ループ、「十」字形などがある。例えば、「十」字形の4つの方向に沿って配列されることができる。他の実施例において、前記摩擦層の下面が、隣り合う2つの摩擦ユニットの上面に同時に接触して摩擦しないことが好ましい。
本発明の発電機において、第1の導電層は、複数の第1の導電ユニットで構成されてもよい。前記複数の第1の導電ユニットは、前記複数の摩擦ユニットと一対一に対応しており、即ち、各摩擦ユニットの下面にはいずれも第1の導電ユニットが接触して設けられている。各前記第1の導電ユニットは、等電位に電気的に接続されている。以下、具体的な実施例を組み合わせて発電機の動作工程を説明する。図7を参照すると、第1の導電層は、第1の導電ユニット231、232、233及び234からなり、摩擦層を構成する摩擦ユニット131、132、133及び134と一対一に対応しており、各第1の導電ユニットは、抵抗530を介してグランドに接続されている。各第1の導電ユニットと抵抗との間に出力端部A1、A2、A3及びA4を引き出しても良い。前記出力端部は、検出装置を接続して、対応の第1の導電ユニットとグランドとの間に電気信号があるか否かを検出する。初期状態の場合、第2の導電層330の下面は、摩擦ユニット131の上面と接触して相対的にスライドすることができるが、摩擦ユニット132、133及び134とは接触していない。摩擦層の材料と第2の導電層の材料の帯電列上での並びの順番が異なるため、図7aに示すように、第2の導電層330の下面はプラスに帯電し、摩擦ユニット131の上面はマイナスに帯電する。外力Fの作用で、第2の導電層330が摩擦ユニット131に対して右にスライドして第2の導電層330と摩擦ユニット131との接触面積が変化した場合、電子は、第1の導電ユニット231からグランドへ流れ、図7b図に示すように、電流は、第1の導電ユニット231とグランドとの間に接続される抵抗530に流れ、第1の導電ユニット231とグランドとの間に引き出された出力端部A1に接続される検出装置は、パルス電気信号を検出することができる。図7cに示すように、第2の導電層330が摩擦ユニット131を完全に離して続いてスライドすると、電流は、抵抗530に流れない。第2の導電層330が摩擦ユニット131に対して続いて右にスライドして摩擦すると、第2の導電層330の下面が摩擦ユニット132の上面に接触するとともに、スライド途中に第2の導電層330の下面がプラスに帯電し、摩擦ユニット132の上面がマイナスに帯電すると、第2の導電層330の下面と摩擦ユニット132の上面との接触面積が最大となるまで、第2の導電層330の下面の正の電荷と摩擦ユニット132の上面の負の電荷とが互いにバランスするため、図7dに示すように、摩擦ユニット132の下面に設けられる第1の導電ユニット232とグランドとの間に、電荷が流れない。第2の導電層330が摩擦ユニット132に対して続いて右にスライドして摩擦し、第2の導電層330と摩擦ユニット132との接触面積が変化した場合、図7bに類似するように、静電誘起のため、第1の導電ユニット232に正の電荷があり、電流は、第1の導電ユニット232とグランドとの間に接続される抵抗530に流れ、電流の流れ方向は、第1の導電ユニット232からグランドへ流れている。本実施例において、基板630半導体であってもよいし、絶縁体であってもよいが、有機ガラス等のような絶縁基板が好ましい。このような構造を有する発電機は、摩擦層が固定され、移動する物体に第2の導電層が設けられて発電を行う場合に適合する。例えば、複数の摩擦ユニット及び摩擦ユニットの下面に設けられる第1の導電ユニットが道路に設けられ、各第1の導電ユニットが負荷等を介して等電位に接続され、第2の導電層は車両に設けられる。車両の走行途中に、第2の導電層は、摩擦ユニットに対してスライドして摩擦を発生することで、負荷などに電気信号を供給することができる。本実施例の発電機は、タッチの位置決め及び移動の検知のためにタッチパネルに応用されてもよい。
上記実施例において、摩擦ユニットの形状には限定がない。複数の摩擦ユニットが、形状及びサイズが同じように構成されることが好ましい。例えば、全部長尺状又は正方形のブロック状に構成されることが好ましい。複数の摩擦ユニットは、配列に対して限定がないが、予め設定されたパターンに従って配列されることが好ましい。予め設定されたパターンは、実際の必要に応じて、例えば、正方形、矩形、ループ、「十」字形などがある。例えば、「十」字形の4つの方向に沿って配列されることができる。他の実施例において、前記第2の導電層の下面が、隣り合う2つの摩擦ユニットの上面に同時に接触して摩擦しないことが好ましい。
同様な原理に基づいて、本実施例において、第2の導電層が複数の第2の導電ユニットからなってもよい。複数の第2の導電ユニットの下面は第2の導電層の下面を形成し、摩擦ユニットの上面は、第2の導電ユニットの下面と接触して設けられて相対的にスライドし、第1の導電層が全体であり、複数の摩擦ユニットの下面に接触して設けられてもよいし、複数の第1の導電ユニットからなり、複数の第1の導電ユニットが摩擦ユニットと一対一に対応して各摩擦ユニットの下面に接触して設けられてもよい。第1の導電層又は各第1の導電ユニットは、抵抗を介してグランドに接続され、その動作原理が図6又は図7に類似するため、ここでは詳細に説明しない。図8を参照すると、摩擦層は複数の摩擦ユニット131、132、133及び134からなり、複数の摩擦ユニットは第1の導電層230に設けられ、複数の摩擦ユニットの上面は摩擦層の上面を形成している。第2の導電層は複数の第2の導電ユニット331、332、333及び334からなり、複数の第2の導電ユニットの下面は第2の導電層の下面を形成し、複数の第2の導電ユニットの上面は第2の基板730に設けられる。第2の基板730は、複数の第2の導電ユニットを支持して、第2の導電層の下面と摩擦層の上面とを接触して相対的にスライドさせる。このような構造を有する発電機には、複数の発電機ユニットからなる発電機組を形成している。第2の基板730により、複数の第2の導電ユニットと複数の摩擦ユニットが相対的なスライドを発生するとき、電流は、第1の導電層230とグランドとの間に接続される抵抗530に流れる。実際には、複数の第2の導電ユニット及び複数の摩擦ユニット間の距離を調節することによって、できるだけ多い摩擦ユニットと第2の導電ユニットが相対的なスライド摩擦を発生し、接触面積を最大にすることができる。
図8は、複数の第2の導電ユニットからなる第2の導電層の下面が平面であり、複数の摩擦ユニットからなる摩擦層の上面が平面である場合のみを示す。実際には、第2の基板730及び第1の導電層230を他の構造にして、複数の第2の導電ユニットの下面が曲面(例えば、円柱面、角柱面等)に位置すると共に、複数の摩擦ユニットの上面が同一の曲面に位置し、即ち、複数の第2の導電ユニットの下面及び複数の摩擦ユニットの上面が全て同一の曲面に属してもよい。以下、複数の第2の導電ユニットの下面が円柱面に位置することを例として、本実施例の発電機の構造を説明する。図9を参照すると、これは発電機断面の模式図である。第2の基板730は円柱体であり、複数の第2の導電ユニット331、332、333及び334は、第2の基板730の円柱面に均一に分布され、複数の第2の導電ユニットの下面(即ち、第2の基板730から離れる表面)も同一の円柱面に位置している。第1の導電層230は、円筒状の構造から構成されており、複数の摩擦ユニット131、132、133及び134の下面は、円筒状の第1の導電層230の内面に接触して設けられ、複数の摩擦ユニットの上面も複数の第2の導電ユニットの下面が位置する円柱面にある。第1の導電層230は、抵抗530を介してグランドに電気的に接続されている。このような構造を有する発電機は、複数の第2の導電ユニットの下面及び複数の摩擦ユニットの上面が全て同一の円柱面に位置している。第1の導電層230による複数の摩擦ユニットと第2の基板730による複数の第2の導電ユニットが矢印方向に沿ってスライド摩擦を発生し、摩擦面積が変化したとき、交流電流は、抵抗530に流れる。出力端部を抵抗の両端から引き出して負荷に接続すれば、電力を負荷に供給することができる。
複数の摩擦ユニットからなる摩擦層による発電機は、外力の力学的エネルギーを電気的エネルギーに変換できる以外に、移動体のスライド位置又はスライド距離などの検知にも応用できる。実用において、複数の摩擦ユニットからなる摩擦層を静止(あるいは、相対的に静止)表面とし、第2の導電層を移動体とし、各摩擦ユニットの下面に1つ第1の導電ユニットが接触して設けられ、各第1の導電ユニットは、測定機器を介してグランドに接続される。移動体が摩擦層の表面をスライドして、摩擦ユニットと第2の導電層との相対的な摩擦を発生させて、接触面積を変化させると、第1の導電ユニットに接続されている測定機器は、電気信号を検出することができる。これによって、移動体の位置を決定することができる。なお、時間軸で隣り合う2つの測定機器の測定信号に基づいて、移動体の移動方向を決定することもできる。図7を参照すると、各第1の導電ユニットと抵抗530との間に出力端部(A1、A2、A3及びA4)を引き出して接触装置を接続している。移動体330(即ち、第2の導電層)は、サイズが比較的に小さいため、移動体330が1つの摩擦ユニットにしか接触できない。移動体330が摩擦ユニット131と接触したが相対的なスライドがない場合、出力端部A1で電気信号を検出することができない(図7aに示すように)、移動体330が、摩擦ユニットに対して右にスライドして接触面積を変化させると、出力端部A1は、電気信号を検出することができる(図7bに示すように)、移動体が摩擦ユニット131を完全に離すと、出力端部A1は、電気信号を検出できなくなる。移動体330が、引き続いて右にスライドして、摩擦ユニット132との接触面積が最大となり、接触面積が変化した場合、移動体と摩擦ユニット132との接触面積がまた変化しないまで、出力端部A2で電気信号を検出することができる。出力端部A1及びA2に接続される検出装置の検出信号に対応する摩擦ユニットの位置に基づいて、移動体のスライド位置、スライド方向及びスライド距離を決定することができる。したがって、本発明のスライド摩擦式発電機は、物体の移動方向及び変位距離を正確に決定することができ、移動体を検知するベクトル変位センサとしても機能する。
変位センサは、ポテンショメーターによって、機械的変位を、それと線形関係又は任意の関数関係を呈する抵抗又は電圧に変換して出力するものである。ベクトル変位センサは、変位センサに基づいて発展されたもので、物体の移動方向を決定できるだけでなく、物体の移動位置を決定することもできる。従来のベクトル変位センサは、主に抵抗変化型及び磁気歪み型のセンサによって変位に対する精確な位置決めを実現している。これらのセンサは、外部からの電源の供給に依頼するため、悪い環境で使用される場合、メンテナンスが不便になる欠点がる。そして、迫り来るエネルギー危機にも対応すること、困難である。本発明の発電機によるベクトル変位センサは、外部からの電源の供給が要らないセルフ駆動の変位センサであるため、構造が簡単で、作製コストも低く、外部からの電源の供給に対する依頼を元から解決でき、長期に安定に動作させることができる。
具体的には、上記したスライド摩擦式発電機の動作原理によれば、本発明は、ベクトル変位センサを提供しており、上記した複数の摩擦ユニットからなる摩擦層と、複数の第1の導電ユニットからなる第1の導電層のスライド摩擦式発電機を含む。その中、各前記摩擦ユニットの下面は前記第1の導電ユニットに接触して設けられ、各前記第1の導電ユニットと等電位との間に検出装置が接続されている。前記検出装置は、前記電気信号を検出する。前記摩擦層の上面と前記第2の導電層の下面がスライド摩擦を発生し、摩擦面積が変化した場合、前記電気信号を検出した検出装置の位置に基づいて、前記第2の導電層の位置を決定でき、あるいは、電気信号を前後に検出した検出装置の位置に基づいて、前記第2の導電層のスライド距離、スライド方向又はスライド速度を決定することができる。前記複数の摩擦ユニット及びそれに対応する第1の導電ユニットは、基板の表面に配列され、複数の摩擦ユニットを固定することができる。各第1の導電ユニットと等電位との間に、検出装置が夫々接続されている。電流が第1の導電ユニットと等電位との間に流れると、第1の導電ユニットが摩擦ユニットと一対一に対応するため、検出装置は、電流信号を発生した摩擦ユニットの位置を記録することができる。相応的には、第2の導電層とスライド摩擦する摩擦ユニットの位置を決定し、第2の導電層の位置を決定することができる。第2の導電層が2つの摩擦ユニットとスライド摩擦すると、電気信号を検出した検出装置が相応的に2つがある。電気信号を前後に検出した検出装置の位置、距離及び時間に基づいて、第2の導電層の移動距離、移動方向及び移動速度を決定し、移動体(第2の導電層)の変位に対する誘起を実現することができる。複数の検出装置は、各検出装置と摩擦ユニットとの位置の対応関係が予め設定された検出システムを形成してもよい。
本発明のベクトル変位センサにおいて、検出装置は、電流が前記第1の導電ユニットと前記等電位の間を流すときに出力される電流又は電圧の信号を検出するための装置である。他の実施例において、検出装置は、ブザー又はLEDライド等のように通電すると音声や光などの信号を発生する発光素子又は発声素子であってもよい。発光素子又は発声素子は、前記電気信号を受信したときに、光信号又は音声信号を出力する。
本発明のベクトル変位センサは、コンピューター処理システムに接続されてもよい。前記コンピューターシステムは、各検出装置と複数の摩擦ユニットの対応位置関係、及び、各検出装置が電気信号を検出する時の時間を記録し、記録されたこれらの情報に基づいて、前記摩擦層のスライド距離、スライド方向又はスライド速度を便利に算出することができる。
なお、本発明のベクトル変位センサにおいて、各第1の導電ユニットと等電位との間に分圧抵抗が含まれてもよい。分圧抵抗は、第1の導電ユニットと等電位間の電流又は電圧を調節することができる。具体的に、分圧抵抗は、検出装置に並列又は直列に接続される。
具体的に、各第1の導電ユニットをそれぞれ分圧抵抗を介して同一の等電位(例えば、グランド)に接続し、各第1の導電ユニットと分圧抵抗間に検出装置を接続してもよい。移動体に設けられた第2の導電層の下面と摩擦ユニットの上面がスライドして摩擦を発生し、摩擦面積に変化があると、検出装置が第1の導電ユニット及び摩擦ユニットと一対一に対応するため、前記検出装置は、検出された検出信号に応じて、移動体の位置を誘導することができる。
相応的には、本発明は、発電方法であって、
負荷を介して等電位に接続される第1の導電層が設けられる摩擦層を提供するステップと、
第2の導電層と前記摩擦層の上面が相対的にスライドして摩擦を発生させて、摩擦面積を変化させると、電流が前記負荷を流すステップと、を含む発電方法を提供する。
その中、前記摩擦層の材料と第2の導電層の材料は、帯電列上で並びの順番に差異がある。摩擦層、第1の導電層及び第2の導電層の材料及び構造は、上述した発電機の摩擦層、第1の導電層及び第2の導電層と同じ材料及び構造を採用することができるため、ここでは説明を省略する。
実施例一:スライド摩擦式発電機の作製
長さ10cm×幅5cm×厚さ100μmであるポリジメチルシロキサン薄膜を切断して部材の摩擦層とし、ポリジメチルシロキサン薄膜の下面に金膜を堆積して第1の導電層とし、銅リード線を介して金膜に接続すると共に、抵抗に接続する。抵抗の他端はグランドに接続されている。テープによって、長さ10cm×幅5cm×厚さ25μmであるアルミニウム箔を、同じサイズの有機ガラス材料の基板に固定し、該アルミニウム箔は第2の導電層であり。アルミニウム箔をポリジメチルシロキサン薄膜に対応して、接触して配置する。外力の作用によって、ポリジメチルシロキサンとアルミニウム箔が相対的にスライドして摩擦面積に変化があると、抵抗の両端に接続された電圧計に相応する電気信号が出力されるが、これは、外力の力学的エネルギーを電気的エネルギーに変換して発電できることを証明する。
実施例二:スライド摩擦式発電機によるベクトル変位センサの作製
レーザによって、長さ10cm×幅10cm×厚さ1.59mmである有機ガラスを切断して発電機によるセンサの基板材料とする。マグネトロンスパッタリング法によって、第1の導電ユニットとして、基板の上面にアルミニウム電極長尺を16個形成する。第1の導電ユニットの幅は、10mmで、長さは、3cmで、第1の導電ユニット間の距離は、2mmである。16個の第1の導電ユニットについて、4個ずつ1つのグループとし、4つの方向に配置して「十」字構造を形成する。図10に示すように、各グループ内の4つの第1の導電ユニットは、平行に等間隔に配列されている。導電テープによって、各第1の導電ユニットにポリテトラフルオロエチレン薄膜を貼り付けて摩擦ユニットとし、摩擦ユニットの幅は、10mmで、長さは、2.5cmで、厚さは200μmである。隣接する摩擦ユニット間の距離は、2mmであり、16個の摩擦ユニットも4個ずつ1つのグループとし、4つの方向に配置して「十」字構造を形成する。各グループ内の4つの摩擦ユニットは、平行に等間隔に配列されている。銅リード線によって、各第1の導電ユニットを接続して分圧抵抗Rに接続する。分圧抵抗の他端は、グランドに接続される。図11を参照すると、各第1の導電ユニットと分圧抵抗との間から、電気信号の収集に用いられる出力端部01…15、16が引き出されている。16個の出力端部は、それぞれ検出装置に接続されているが、検出装置によって、16個の第1の導電ユニットの出力信号に対するリアルタイムの収集を実現する。第2の導電層として、長さ2cm×幅2cm×厚さ1mmであるアルミニウムチップを切断して、複数の電極長尺のパターン間の空いたスペースに対向するように配置する。第2の導電層が任意の方向に沿ってスライドするとき、ポリテトラフルオロエチレン摩擦ユニットと相対的にスライドして摩擦を発生させて、接触面積を変化させることになる。すると、出力端部から電気信号を出力することになる。なお、第2の導電層を含む物体がセンサの上を移動するとき、異なる摩擦ユニットが順次に第2の導電層と接触するため、異なる第1の導電ユニットからそれぞれ電気信号を出力することになる。これらの信号を解析することによって、物体がどの方向に沿って移動するか、及び移動の位置を取得することができる。
以上のように、出力端部部からの信号に対する収集によって、物体の移動方向及び位置に対する位置決めを実現することができる。該ベクトル変位センサは、直接に単電極式のスライド摩擦式発電機をトリガーセンサとして使用するため、外部からの電源の供給が要らない。そのため、エネルギーを効果的に節約し、長期に安定に動作することができる。なお、本発明のベクトル変位センサは、必要に応じて、複数の摩擦ユニットを任意の形状に設計されてもよいし、広い領域に渡って設置されてもよい。よって、野外などの電源の使用が不便である環境で便利に適用することができる。
以上の記載は、本発明の最適的な実施例に過ぎず、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の技術範囲を逸脱しない範囲で、上記に開示された方法及び技術内容に基づいて、本発明の技術案に対して、いろんな変更及び改進を行ってもよいし、等価の実施例に変更してもよい。したがって、本発明の技術案の内容を逸脱しない限り、本発明の技術に基づいて以上の実施例に対して実質的に施した簡単な修正、等価変化及び改進は、本発明の技術案が保護する範囲内に属する。

Claims (26)

  1. 摩擦層と、
    前記摩擦層の第1の面に接触するように構成された第1の導電層であって、前記第1の導電層のみが等電位に電気的に接続されている第1の導電層と、
    第2の面が前記摩擦層の第1の面に対向する第2の導電層と、を備え、
    前記摩擦層の第1の面と前記第2の導電層の第2の面が相対的にスライドして摩擦すると共に、摩擦面積がスライド途中で変化する場合、前記第1の導電層と前記等電位との間には、電気信号が出力され、前記摩擦層の第1の面が前記摩擦層の第2の面の反対側にあり、
    前記第1の導電層が前記第2の導電層に電気的に接続されていないことを特徴とするスライド摩擦式発電機。
  2. 前記第1の導電層は、電力供給が必要である周辺回路を介して、グランド又は等電位回路に接続されており、又は、
    前記第1の導電層は、負荷を介して、等電位に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のスライド摩擦式発電機。
  3. 前記第2の導電層の第2の面は、前記摩擦層の第1の面に接触するように設けられており、又は、
    外力を受けていない場合、前記第2の導電層は、前記摩擦層に接触しなく、外力を受けた場合、前記第2の導電層の第2の面は、前記摩擦層の第1の面に接触することを特徴とする請求項1又は2に記載のスライド摩擦式発電機。
  4. 前記摩擦層の第1の面の材料は、絶縁体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  5. 前記絶縁体材料は、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリイソプチレン、ポリウレタン弾性スポンジ、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、ポリクロロプレン、天然ゴム、ポリアクリロニトリル、ポリジフェノールカーボネート、塩化ポリエーテル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレンから選択されることを特徴とする請求項4に記載のスライド摩擦式発電機。
  6. 前記摩擦層の厚さは、100nm〜5mmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  7. 前記第2の導電層の第2の面の材料は、金属、酸化インジウム・スズ又は有機物導体から選択されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  8. 前記第2の導電層は、薄膜材料からなり、その厚さが10nm〜5mmであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  9. 前記第2の導電層の第2の面及び/又は摩擦層の第1の面の一部又は全部に、ナノメートル、ミクロン(micron)又はサブミクロン(sub−micron)レベルの微小構造(microstructure)が配置され、前記微小構造は、ナノワイヤ、ナノチューブ、ナノ粒子、ナノ棒、ナノ花、ナノ溝、ミクロン溝、ナノコーン、ミクロンコーン、ナノボール及びミクロンボールの構造、および前記構造から形成されたアレイであり、あるいは、ナノ材料の修飾又は塗布層であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  10. 前記第2の導電層の第2の面及び/又は摩擦層の第1の面は、化学的変性が施されており、
    帯電列でプラスになりやすい材料の表面に、電子が奪われやすい官能基を導入し、又は、帯電列でマイナスになりやすい材料の表面に、電子を取込みやすい官能基を導入し、
    あるいは、極性が正である表面に、正の電荷を導入し、極性が負である表面に、負の電荷を導入することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  11. 前記第2の導電層の第2の面は、平面又は曲面であり、及び/又は、前記摩擦層の第1の面は、平面又は曲面であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  12. 前記第2の導電層の第2の面と前記摩擦層の第1の面は、相補の表面であることを特徴とする請求項11に記載のスライド摩擦式発電機。
  13. 前記摩擦層の第1の面は、凹凸の非平坦な表面であり、前記第2の導電層の第2の面は、凹凸の非平坦な表面であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  14. 前記第2の導電層及び/又は摩擦層は、可撓性材料または硬質材料からなり、及び/又は、
    前記第2の導電層及び/又は摩擦層は、弾性材料からなることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  15. 前記第1の導電層の第2の面が設けられている第1の基板、及び/又は、
    前記第2の導電層の第1の面が設けられている第2の基板を更に含むことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  16. 前記摩擦層は複数の摩擦ユニットからなり、前記複数の摩擦ユニットの第1の面は、前記摩擦層の第1の面を形成していることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  17. 前記第2の導電層の第2の面は、隣り合う2つの摩擦ユニットの第1の面に同時に接触、摩擦しないことを特徴とする請求項16に記載のスライド摩擦式発電機。
  18. 前記摩擦ユニットは、長尺状又は正方形ブロック状であることを特徴とする請求項16又は17に記載のスライド摩擦式発電機。
  19. 前記複数の摩擦ユニットは、予め設定されたパターンに従って配列されていることを特徴とする請求項16乃至18のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  20. 前記第1の導電層は、複数の第1の導電ユニットからなり、前記複数の第1の導電ユニットは、前記複数の摩擦ユニットと一対一に対応しており、各前記第1の導電ユニットは、等電位に電気的に接続されていることを特徴とする請求項16乃至19のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  21. 前記第2の導電層は、複数の第2の導電ユニットからなり、前記複数の第2の導電ユニットの第2の面は、前記第2の導電層の第2の面を形成していることを特徴とする請求項16乃至20のいずれか一項に記載のスライド摩擦式発電機。
  22. 複数の前記第2の導電ユニットの第2の面は、同一の平面に位置しており、複数の前記摩擦ユニットの第1の面は、同一の平面に位置しており、
    又は、
    複数の前記第2の導電ユニットの第2の面、及び複数の前記摩擦ユニットの第1の面は、同一の曲面に属することを特徴とする請求項21に記載のスライド摩擦式発電機。
  23. 請求項20に記載のスライド摩擦式発電機を含むベクトル変位センサであって、
    各前記導電ユニットと等電位との間には、前記電気信号を検出するための検出装置が接続されており、
    前記第2の導電層の第2の面と前記摩擦ユニットの第1の面がスライド式摩擦を行うと共に、摩擦面積が変化すると、前記電気信号を検出した検出装置の位置に応じて、前記第2の導電層の位置を確定し、あるいは、電気信号を順次に検出した検出装置の位置に応じて、前記第2の導電層のスライド距離、スライド方向又はスライド速度を確定することを特徴とするベクトル変位センサ。
  24. 前記検出装置は、電流又は電圧を検出する装置であり、前記電気信号は、電流又は電圧の信号であり、あるいは、
    前記検出装置は、発光素子又は発声素子であり、前記電気信号を検出すると、光信号又は音声信号を出力することを特徴とする請求項23に記載のベクトル変位センサ。
  25. 各前記電極ユニットと等電位との間には、前記検出装置に並列又は直列に接続された分圧抵抗を更に含むことを特徴とする請求項23又は24に記載のベクトル変位センサ。
  26. 第1の面に、負荷を介して等電位に接続されている第1の導電層が設けられている摩擦層を準備するステップと、
    第2の導電層と前記摩擦層の第1の面が相対的にスライド式摩擦を行うと共に、摩擦面積が変化すると、電流が前記負荷を流すステップと、を含むことを特徴とする発電方法。
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