このように、軸受の運転状態をモニタするため速度センサ、振動センサ、温度センサなど多くのセンサが用いられるが、これらのセンサは同時に異なる物理現象を検出できるものでないため、前記運転状態に関係する状態値を同時計測するためには、異なる種類のセンサを軸受に取り付けることが必要であった。このため、多くのセンサが必要になることが問題であった。
そこで本発明は、上記問題点を解決することを鑑みてなされたものであり、その課題は、計測対象物の相対的な移動により変化する複数の状態値を同時に計測可能な状態計測装置を提供することを目的としている。
本発明の状態計測装置は、相対的に移動する計測対象物の、当該移動に伴い変化する状態を計測できる状態計測装置において、検知部と、当該検知部の出力値をもとに、前記計測対象物の相対的な移動により変化する状態値を計測する計測部と、を備え、前記検知部は、前記相対的な移動の方向に沿って設けられて、前記相対的な移動に伴い生じる摩擦により帯電する帯電層と、前記帯電層に対向しており、前記相対的な移動の方向において分割された、導電性材料よりなる出力電極層と、を備え、前記計測部は、前記検知部の出力値のうち、スパイク状のパルスが含まれた第1電圧出力と、前記第1電圧出力とは逆極性であってスパイク状のパルスが含まれない第2電圧出力と、を用いることにより2種以上の前記状態値を同時計測する。
この構成によると、出力波形が顕著に異なる第1電圧出力と第2電圧出力とを用いることにより、検知部が単数であっても2種以上の状態値を同時計測できる。
また、前記同時計測に係る状態値は、前記計測対象物の相対的な移動に関する、速度、振動、温度、誘電率から選択された2種以上であるものとできる。
この構成によると、計測対象物(例えば軸受)における運転状態の把握を、少ない数量の検知部で行うことができる。
また、前記検知部に対して相対的に移動する被検知部をさらに備え、前記被検知部は、前記検知部における前記帯電層に対向し、かつ、前記相対的な移動に伴い前記帯電層に対して摩擦する位置に設けられており、前記帯電層とは異なる電位で帯電し、前記相対的な移動の方向において分割された領域である対向帯電層を備えることもできる。
この構成によると、異なる電位で帯電する関係にある検知部と被検知部との組み合わせにより、帯電層において確実な帯電が可能である。
また、前記計測部は、前記第1電圧出力または前記第2電圧出力の周期的な時間変化により速度を計測することもできる。
この構成によると、第1電圧出力または第2電圧出力の周期的な時間変化を用いることにより、他の状態値と同時に速度を計測可能である。
また、前記計測部は、前記第1電圧出力を周波数解析したスペクトル上で、最大の電圧ピークに対して周波数軸で隣接する電圧のピーク値を、前記隣接に係るピーク値に対応する基準状態におけるピーク値と比較することにより振動を計測することもできる。
この構成によると、第1電圧出力を周波数解析したスペクトル上で、最大の電圧ピークに対して周波数軸で隣接する電圧のピーク値と、前記隣接に係るピーク値に対応する基準状態におけるピーク値とを用いることにより、他の状態値と同時に振動を計測可能である。
また、前記計測部は、前記第2電圧出力の包絡線を形成した上で、当該包絡線上の電圧を換算することにより温度を計測することもできる。
この構成によると、第2電圧出力の包絡線上の電圧を用いることにより、他の状態値と同時に温度を計測可能である。
また、前記帯電層は、前記計測対象物の相対的な移動の際に潤滑を行う潤滑剤に接しており、前記計測部は、前記第1電圧出力または前記第2電圧出力の基準値に対する差により、前記潤滑剤の誘電率を計測することを特徴とすることもできる。
この構成によると、第1電圧出力または前記第2電圧出力の基準値に対する差を用いることにより、他の状態値と同時に誘電率を計測可能である。
また、前記出力電極層は、樹脂製の薄膜フィルムよりなる基材層上にフレキシブルプリント回路基板技術を用いて作成された金属薄膜よりなること
もできる。
この構成によると、フレキシブルプリント回路基板技術を用いることにより、出力電極層を容易に作成できる。
また、前記帯電層の前記計測対象物に対向する表面、または、前記対向帯電層の前記帯電層に対向する表面に、耐摩擦性を有する保護膜が形成されたこともできる。
この構成によると、耐摩擦性を有する保護膜により、帯電層または対向帯電層の摩耗により経時的に出力が変化することを抑制できる。
また、前記帯電層における、厚さ方向の一方側の面が、前記計測対象物に対して厚さ方向に不動に固定されており、他方側の面が厚さ方向に変位可能な状態とされていること
もできる。
この構成によると、帯電層をこのように固定することにより、スパイク状のパルスが含まれた第1電圧出力と、スパイク状のパルスが含まれない第2電圧出力とを出力できる。
また、前記出力電極層の出力に係る電力を蓄える蓄電池をさらに備え、前記計測部には、外部電源に接続されておらず前記蓄電池に蓄えられた電力が供給されることもできる。
この構成によると、蓄電池を備えることにより、外部電源から独立した計測システムを構築できる。
また、前記計測対象物が軸受の構成部材であることもできる。
この構成によると、軸受において、2種以上の状態値を同時計測できる。
本発明によると、検知部が単数であっても2種以上の状態値を同時計測できる。よって、計測対象物の相対的な移動により変化する複数の状態値を同時に計測可能な状態計測装置を提供できる。
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、後述する実施形態に記載の具体的手段はあくまでも例示に過ぎず、当該実施形態によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
以下、本発明の一実施形態である、相対的に移動する計測対象物の、移動に伴い変化する状態を計測する状態計測装置1について説明する。前記「変化する状態」とは、数値で評価できる状態のことを指し、当該状態に係る状態値は、本実施形態では一例として速度、振動、温度、誘電率に関する値が該当する。ただし、状態値はこれらに限定されるものではなく、計測可能な種々の物理量が該当する。また、状態値は絶対的な値であってもよいし、ある基準値に対する相対的な値であってもよい。
本実施形態の状態計測装置1は、図1に分解した状態を示すように、検知部2、被検知部3、計測部4を備える。検知部2と被検知部3とは対で用いられ、移動に伴い変化する状態に応じた出力をなす部分である。計測部4は、検知部2に接続され、検知部2の前記出力に係る出力値をもとに、移動により変化する状態値を計測する部分である。検知部2に対して計測部4を一対一で接続することもできるし、複数の検知部2に対して単数の計測部4を接続することもできる。
以下、検知部2及び被検知部3の組み合わせに対応する摩擦帯電センサの基本構造の概略を、図1を用いて説明する。本実施形態における摩擦帯電センサは、図1に示したように、転がり軸受のような軸受(回転軸受)Beに組込み使用する。ここでは例として内輪Be1を固定側とし、外輪Be2を回転側とした場合を示す。つまり、図1に示した例では、軸受Beにおける内輪Be1と外輪Be2とが前記「相対的に移動する」関係にあって、実際に移動(回転)する部分は外輪Be2である。このため、本実施形態における状態計測装置1の計測対象物は、軸受Beの構成部材である外輪Be2である。
非導電性の薄膜フィルムからなる基材層21上に、分割された導電性材料(例えば金属、ただしこれに限られない)よりなる出力電極層22を形成し、その上に摩擦帯電性である非導電性フィルムからなる帯電層23を接着した検知部2と、それに対向する面に前述の帯電層23とは異なる極性に帯電する分割された領域(対向帯電層32)を有する摩擦帯電性の被検知部3を配置する。固定側である内輪Be1側面(軸方向の端面)に固定されている検知部2と相対摩擦運動するように、被検知部3が自由側である外輪Be2の側面(同)に固定されている。このような固定により、帯電層23における、厚さ方向の一方側の面が、軸受Beに対して厚さ方向に不動に固定されており、他方側の面が厚さ方向に変位可能な状態とされている。
軸受Beの外輪Be2が回転すると、検知部2と被検知部3は摩擦し、出力電極層22から、接続された出力リード線5及び出力抵抗6を介して電圧を測定可能に取り出すことができる。この電圧から軸受Beの回転速度、振動、温度、誘電率のうち2種以上を計測することが可能となる。なお、本実施形態では、摩擦帯電性の非導電性フィルムから帯電層23が形成されていたが、必ずしもフィルムでなくともよく、吹付や浸漬などによって形成した膜から帯電層23が形成されていても構わない。基材層21も同様で、フィルムに限られるものではない。
上記に示した摩擦帯電センサの概略構造を前提として、図2(A)(B)に検知部2の平面図と図上A-A’部の断面図を示す。出力電極層22には、2つの電極(第1電極221、第2電極222)が形成されている。出力電極層22はポリイミドなどの樹脂フィルムにより形成され、電極221,222は銅メッキ後のパターニングなどにより形成される。電極221,222のパターンは、軸受Beの移動方向(回転方向)において分割されたパターンであり、第1電極221と第2電極222とが周方向に交互に配置されている。図2(A)は、回転方向に4分割された電極パターンを示している。さらにその上に摩擦により帯電する帯電層23が非導電性フィルムの接着により形成されて、検知部2が構成される。出力電極層22と帯電層23は一体とされている。本実施形態では図2(B)に示すように、基材層21、出力電極層22、帯電層23の3層が一体とされている。
一方、被検知部3の構造例を図3(A)(B)に示す。基材層31の上に帯電層23との摩擦によって基材層31とは異なる電位に帯電する、円周方向に分割された対向帯電層32を形成する。基材層31は例えばポリイミドで、対向帯電層32は銅メッキ膜をパターニングすることで容易に作成可能である。前記「異なる電位」とは、正の電位中での異なる電位、または、負の電位中での異なる電位のことである。
以上、本実施形態の検知部2は、外輪Be2の回転方向に沿って設けられて、内輪Be1に対する外輪Be2の回転に伴い生じる摩擦により帯電する帯電層としての帯電層23と、帯電層23に対向しており、回転方向において分割された出力電極層22と、を備えるよう構成されている。また、本実施形態の被検知部3は、検知部2に対して相対的に移動する側であって、詳しくは、検知部2における帯電層23に対向し、かつ、外輪Be2の回転に伴い帯電層23に対して摩擦する位置に設けられている。また被検知部3は、帯電層23とは異なる電位で帯電し、外輪Be2の回転方向において分割された領域である対向帯電層32を有する。
次に、図4に示した摩擦帯電センサの帯電状況と出力の関係を表した模式図を用いて、出力電極層22からの出力と帯電層23の帯電状況の関係を説明する。図4は円周上の一部分の断面において被検知部3と検知部2の摩擦相対位置と帯電層23の帯電状態と出力の関係を示している。
被検知部3の帯電する部分である対向帯電層32は、帯電層23と摩擦する。この例の場合は対向帯電層32が右方向(矢印uの方向)に移動している状態を示している。移動は、図4において左上図、右上図、右下図、左下図、左上図の順になされる。対向帯電層32は帯電層23と摩擦することで帯電する。
対向帯電層32の材質と帯電層23の材質の組合せは、同種材料であってもよいが、異種材料であることが好ましい。好適な材料としては、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、アルミ、銅、金、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリイソプチレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルブチラール、ポリクロロプレン、天然ゴム、ポリアクリロニトリル、ポリジフェノールカーボネート、塩化ポリエーテル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体が例示される。これらの材料の電子に対する取込み能力(つまり、帯電のしやすさ)は記した順に強くなる。使用可能な全ての材料を例示することができないため、ここでは、参照として、いくつかの材料を例示した。もちろん、これらの具体的な材料は、本発明の技術的範囲を限定する要素ではない。接触帯電による帯電量は一般的に帯電列と呼ばれる2種類の材料の組合せで帯電しやすい順番を表す表により理解されている。上記の材料の順序もこの帯電列上に位置しており、正に帯電しやすいものから負に帯電しやすいものまで存在する。そこでこれらの材料から適切な少なくとも2種類の材料を選び、接触帯電させることが必要であり、対向帯電層32の材質と帯電層23の材質においても帯電列状で離れた位置にある材料で必要な出力を勘案しつつ適切に選択する必要がある。
図4の例において対向帯電層32に銅箔を用い、帯電層23に四フッ化ポリエチレン(PTFE)フィルムを用いたと仮定する。その場合、対向帯電層32と帯電層23は摩擦しながら相対運動しているため、摩擦帯電によって対向帯電層32には正電荷(「+」で図示)が、帯電層23には負電荷(「-」で図示)が一様に帯電している。図4中における左上図の状態で、第2電極222には帯電層23の負電荷によって正電荷が誘導され、第1電極221には、帯電層23と対向帯電層32のそれぞれの電荷から誘導される負電荷が誘導される。対向帯電層32が右に移動して、対向帯電層32の中間位置になった右上図の状態で、第2電極222から第1電極221へ電流(矢印Iの方向)が流れる。対向帯電層32が第2電極222の上に移動した時の右下図の状態の場合には、第2電極222に負電荷が、第1電極221には正電荷が誘導される。さらに対向帯電層32が右に移動して左下図の状態になると第1電極221より第2電極222へ電流(矢印Iの方向)が流れる。このサイクルが繰り返されることで、各電極221,222の間には交流パルスとして電流(矢印I(図示左向きまたは右向き)の方向)が流れるため、出力抵抗6を接続することで、電極分割数と軸受Beの回転数の積で表される周波数の電圧出力パルスとして観察される。この電圧出力パルスの周波数から速度(本実施形態では軸受Beの回転数)を求めることが可能である。広い概念で言うと、電圧出力(後述の第1電圧出力または第2電圧出力)の周期的な時間変化により速度を計測することが可能である。また、速度が上がれば摩擦速度も増加するため、単位時間あたりに流れる電流が増加し、結果的に出力電圧は大きくなる。そこで、あらかじめ速度(軸受Beの回転数)と出力電圧の関係を求めておけば、速度を出力電圧から決定することが可能である。電極分割数については、本実施形態では4分割であるが、これに限定されず、速度(本実施形態では軸受Beの回転数)、パルス周波数、出力電圧などを考慮し、適宜決定すればよい。
次に摩擦帯電センサを用いた温度計測について、等価電気回路を示す回路図である図5を用いて説明する。本実施形態の摩擦帯電センサは電極221,222より出力信号を取り出す。そこで、電極221,222の導電抵抗をセンサの内部抵抗をRi’として、摩擦帯電によって発生する電圧をE、分割電極の温度をT、内部抵抗Riの温度係数をα、出力抵抗をRo、センサの出力電圧をV、出力抵抗を流れる電流をiとする。電極221,222を備えた出力電極層22は図1に示すように軸受Beの横に被検知部3を介して取り付けられるため、軸受Beの温度が上昇すると電極221,222の温度も上昇する。そのため、センサの内部抵抗Riは増加する。この時、内部抵抗Ri’と温度Tとの関係は、以下の式となる。
Ri’=Ri(1+αT)・・・第1式
ここで、Riは常温で測定した抵抗値を示す。また、検知部2からの出力であるセンサ出力の電圧Vは次式で得られる。
V=Ro・E/[Ri(1+αT)+Ro]・・・第2式
そこで、基準の温度(常温)Toで測定されたセンサ出力をVoとすると、温度Tとなったセンサの出力Vとの比は次式で与えられる。
V/Vo=(Ri+Ro)/[Ri(1+αT)+Ro]・・・第3式
センサ出力VとVoは測定可能であり、内部抵抗Riと出力抵抗Roが既知であるので、温度Tは第3式より求めることが可能となる。出力抵抗Ro=Riの時にセンサ出力はインピーダンスが一致し最大になるため、あらかじめ求めることができる。
前記手法により、計測部4は、電圧出力(後述の第2電圧出力)の包絡線を形成した上で、当該包絡線上の電圧を換算することにより温度を計測することができる。
摩擦帯電センサの振動センサとしての機能について、次に述べる。軸受Beの摩擦係数が大きくなるなどして運転状態が劣化すると、摩擦が大きくなることで振動が増加する。一方、本実施形態の摩擦帯電センサは非常に薄いフィルムを2枚摩擦させることで発電し、センサ出力が得られる。ここで、軸受Beに摩擦帯電センサが固定されていることから、軸受Beの振動はセンサへも伝わり、センサの摩擦面フィルムの振動を引き起こす。そうすると、摩擦面(具体的には被検知部3における対向帯電層32の表面)における真実接触面積も振動によって変動することになるため、発電出力が変動する。すなわち、センサの出力は振動の発生により出力が変動するため、出力電圧をモニタすることで振動のモニタが可能となる。具体的に、モニタする出力電圧は、スパイク状のパルスが含まれた第1電圧出力(後述)である。ただし、摩擦帯電センサの帯電層23と出力電極層22の両方あるいは一方を構成するフィルム厚さを、軸受Beの振動の伝達によって振動する程度にする必要がある。具体的には、1mm以下のフィルム厚さが好適である。
前記手法により、計測部4は、電圧出力(後述する第1電圧出力)を周波数解析したスペクトル上で、最大の電圧ピークに対して周波数軸で隣接する電圧のピーク値を、前記隣接に係るピーク値に対応する基準状態におけるピーク値と比較することにより振動を計測することができる。詳しくは、後述の実施例2(特に図12、図13を参照)を例に挙げて説明する。
このような摩擦帯電センサを作成する方法として、簡便かつ大量生産が可能な方法としては、フレキシブルプリント回路基板(FPC)技術を用いた製造方法が考えられる。FPCは、ポリイミドなどの薄膜樹脂フィルム上に金属薄膜(具体的には銅メッキ膜)を形成した後、マスクエッチングを施すことでパターニングを行い製造される。本実施形態の摩擦帯電センサも同じ製造方法で作成すれば簡便かつ大量生産が可能である。
前述したように、摩擦帯電センサでは2つの材料の摩擦で帯電する現象を利用しているため、接触する材料の摩耗により経時的に出力が変化(出力値の低下や出力安定性の低下)する可能性がある。そこで、出力電極層22を構成するフィルムの最表面に配置される、帯電層23を構成するフィルムの表面に耐摩擦性を有する保護膜7を形成することが好ましい。保護膜7としては、例えば、フッ素(系)コーティング膜7a、または、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜7bが挙げられる。この保護膜7により、フィルム間の摩擦による摩耗を小さくすることが可能となり、センサ出力の経時変化を抑えることが可能となる。なお、摩擦帯電性フィルムの材料の選定に合わせて、帯電層23を構成するフィルムの表面にDLC膜7bを、出力電極層22を構成するフィルムの表面にフッ素コーティング膜7aを形成してもよい。具体的な構成を図6(A)(B)により説明する。
図6(A)は出力電極層22を構成するフィルムの電極221,222の表面に、保護膜7としてフッ素元素を主成分として含むフッ素コーティング膜7aを、図6(B)は被検知部3を構成するフィルムの対向帯電層32と基材層31の上に保護膜7としてDLC膜7bを形成した例を示す。フッ素コーティング膜7aは摩擦により負に帯電する。また、フッ素コーティング膜7a、DLC膜7bともにその膜厚を1μmより薄くすることも可能であり、電極に誘導される電荷量が増加するため、センサ出力の増加が可能である。ここで、フッ素コーティング膜7aの中に同じフッ素元素を主成分とするパーフルオロポリエーテル(PFPE)潤滑剤を含侵させることでさらに耐摩耗性を向上させることも可能である。
次に、本実施形態の計測部4における、摩擦帯電センサの信号処理方法について説明する。本実施形態の計測部4は、検知部2の出力値のうち、スパイク状のパルスが含まれた第1電圧出力と、前記第1電圧出力とは逆極性であってスパイク状のパルスが含まれない第2電圧出力とを用いることにより2種以上の前記状態値を同時計測することを特徴としている。前記「スパイク状のパルス」とは、例えば図11のうち正電圧領域に現れているように、時間をおいて飛び飛びに大きな出力値が突出して現れるようなパルスのことを言う。
センサからの出力パルス周波数から速度(軸受Beの回転数)が、また第1電圧出力のから振動が検出可能であることを前述した。そこで、センサ出力を高速フーリエ変換(FFT)処理してその周波数成分に対応する電圧振幅を求める。なお、変換手法はFFTに限定されるものではなく、周波数成分に対応する電圧振幅を求めることのできるものであれば、種々の手法を採用できる。もっとも大きな周波数成分(主パルス周波数)は軸受Beの回転数と電極分割数の積で表される周波数に現れるため、その周波数より速度を求めることが可能である。一方、軸受Beの振動に起因する出力電圧変動は、FFT処理したスペクトル上では、主パルス周波数とは異なる周波数成分あるいはノイズ成分が増加するため、運転初期のスペクトルと比較すれば、振動を計測することが可能である。
軸受Beの温度は、軸受Beの摩擦力が増加し、摩擦エネルギーが熱エネルギーに代わることで上昇すると考えられる。この場合、摩擦力が増加していく過程で振動(摩擦振動)が励起される場合があると容易に推定される。その結果、センサ出力電圧波形には振動による電圧変動と温度変化による電圧変化の両方の影響が作用することになる。しかし、本実施形態のセンサ信号処理を用いれば、温度を振動から切り離して単独計測することが可能となる。センサの摩擦面(具体的には被検知部3における対向帯電層32の表面)は、振動によって荷重が増加する増荷方向(押付け方向)と、荷重が減少する除荷方向(離れ方向)に、二面(対向帯電層32の表面と検知部2における帯電層23の表面との二面)のすき間が増減する。この際、増荷方向(押付け方向)には二面が既に接触している状態のため、摩擦面の真実接触面積はそれほど変化しないが、除荷方向(離れ方向)には振動によるすき間変化が大きいため、二面のすき間が大きくなると接触面の電位が高くなり出力電圧が大きくなる。つまり出力の交流パルス電圧波形において、正電圧部分、あるいは負電圧部分の一方は振動によって電圧変動を起こさず、他の電圧部分は振動により電圧変動を起こす。そこで、振動の影響を受けない正または負電圧の包絡線を取り出し、包絡線電圧の変化を用いることで、前記第3式より温度を算出可能である。
また、帯電層23が軸受Beに封入された潤滑剤(グリースG等)に接している場合、計測部4は、電圧出力(第1電圧出力または第2電圧出力)の基準値に対する差により、計測部4において潤滑剤の誘電率を計測することができる。
ここで従来、潤滑剤の劣化診断の一つの手法として、潤滑剤に誘電率の大きい水の混入や摩耗粉の混入による誘電率の増加を測定し、劣化状態を診断する方法が提案されていた。しかしこの従来の方法では、誘電率測定のための測定装置や電源などが軸受外部に必要となり、オンラインでモニタする際にスペースやコストが余分に必要となる。また、多数の軸受を同時にモニタする際にも困難を極める。これに対して本実施形態では、他の状態値を計測するためのセンサを誘電率の計測のために兼用できることから、誘電率の測定のための特別な(専用の)測定装置や電源を必要としない構成とできる点で有利である。
本実施形態では、検知部2における帯電層23と潤滑剤(グリースG)との摩擦により帯電層23を帯電させ、図16に示すように対向する、軸受Beの構成部品であって、ボールBe3を保持するための誘電性材料でできた保持器Be4(またはボールBe3自体)に誘導される電荷の影響で、出力電極層22に発生するパルス電圧をモニタする。その動作原理を図7に示す。帯電層23はグリースGとの摩擦により帯電する。その状態で、保持器Be4が出力電極層22に対向していない場合、グリースGに帯電している正電荷(「+」で図示)によって、出力電極層22のうちで保持器Be4に対向していない部分には負電荷(「-」で図示)が、保持器Be4が出力電極層22に対向している場合、帯電層23の負電荷によって正電荷が誘導される。その状態から保持器Be4が移動(矢印uの方向)すると出力電極層22の帯電状態が逆の電荷に変化していくため、出力回路に電流(矢印Iの方向)が流れる。それが繰り返されることで正負のパルス電流が発電される。この際、比較的低誘電率であるグリースGに水や摩耗粉のような高誘電率の材料が混ざるとグリースGの誘電率が増加する。そうすると電極にはより大きな電荷が誘導されるため、出力電流が大きくなり、大きな出力電圧が取り出されることになる。
なお、図7に示す構成では、図1に示す構成のような被検知部3は設けられない。軸受Beに封入された潤滑剤(グリースG)及び保持器Be4が、機能上(電荷の動きの観点)では被検知部3に相当することになる。また、逆の見方をすると、図7に示す構成では、被検知部3が潤滑剤(グリースG)及び保持器Be4から構成されているとも言える。ちなみに、ある状態値の計測のためには被検知部3を設けず、他の状態値の計測のためには被検知部3を設けるようにする(つまり、被検知部3なしの構成と被検知部3ありの構成を併用する)こともできる。また、図7に示す構成において、軸受Beの側に電極を設けておき、この電極から電圧出力を取り出すように構成することもできる。
また、電圧出力(第1電圧出力または第2電圧出力)の基準値に対する差と、潤滑剤の誘電率との関係は、テーブルや関係式として計測部4または、計測部4外に設けた記憶部に格納される。
以上、本実施形態による状態値の計測に関して簡単にまとめると、速度は、電圧出力の周期的な時間変化(電圧変化に係る波形)をもとに計測できる。また、振動は、第1電圧出力におけるピーク値の基準状態との比較をもとに計測できる。また、温度は、第2電圧出力に係る包絡線電圧をもとに計測できる。また、誘電率は、電圧出力の基準値との比較もとに計測できる。このように、本実施形態の状態計測装置1では、別個の値をもとに状態値の計測を行うことから、2種以上の状態値を同時計測することが可能である。
また、本実施形態の摩擦帯電センサはそれ自体が発電するため、センサ出力に係る電力を蓄電して、計測部4、または、他のセンサや無線回路に電力を供給することが可能となる。そこで、蓄電池(図示していない)を設けることにより、センサ出力に係る電力を蓄電し、その電力で計測部4、または、他のセンサや無線回路を駆動させることで、外部電源を考慮せずに、軸受Beの運転状態を無線送信によりモニタするシステムを構築することが容易になる。
次に、本実施形態につき、具体的な実施例を6つ挙げて説明する。本実施形態における摩擦帯電センサの構造例とセンサ信号検出原理は図1~図5に示した通りである。この構造例と原理に対応した実施例を以下で説明する。以下の実施例は、本発明を例示的に具現化したものに過ぎず、例えば軸受Beについて、ラジアル型転がり軸受、スラスト型転がり軸受、滑り軸受など、軸受Beの形式に合わせて摩擦帯電センサの形状を変えることで対応可能である。このことから、本実施例は本発明の技術範囲を限定するものではない。
実施例1として、軸受Beに相当する深溝玉軸受(呼び番号:6201ZZ、内径12mm、外径32mm、幅10mm、シールあり)に摩擦帯電センサを組込んだ。摩擦帯電センサの出力電極層22を構成するフィルムは、FPC技術を用いてポリイミドフィルムからなる基材層21(厚さ25μm)上に銅メッキを行い、図2に示すように円周方向に4分割した電極221,222のパターニングを行った。内径は12mm、外径は32mmであり、銅メッキ膜の厚さは35μmである。その上に厚さ230μmのテープ状のPTFEフィルムからなる帯電層23を貼り付けて検知部2を構成した。出力リード線5は貫通電極に接続した。帯電層23を構成するフィルムは、同じようにFPC技術を用いてポリイミドフィルムからなる基材層31(厚さ25μm)上に銅メッキ(厚さ35μm)を行い、図3に示すような円周上に4分割されたパターニングされた対向帯電層32を形成し、被検知部3を構成した。本実施例で用いた帯電層23を構成するフィルムの内径は22mm、外径は32mmである。そして、軸受Beにおける外輪Be2の側面に被検知部3の基材層31の側を接着した。その上に検知部2の帯電層23が対向帯電層32と摩擦するように内輪Be1側面に検知部2を接着した。さらに検知部2における基材層21の側にPETフィルム(厚さ0.2mm)を接着し、検知部2と被検知部3がわずかな荷重で摩擦するようにした。出力抵抗6として8MΩの抵抗をつなぎ、その両端の電圧をオシロスコープで測定した。その状態で、軸受Beの内輪Be1を固定して、外輪Be2を2000rpmで回転させたときの出力電圧を測定したところ図8に示す出力電圧波形を得た。電極が4分割されているため1周に4パルスの交流パルス波形が得られている。さらに軸受Beの回転数を変化させて、出力電圧のパルス電圧の絶対値の平均値を求めた結果を図9に示す。電圧値は回転数に伴い直線的(図中に破線で示す)に増加していることから、本実施例における検知部2と被検知部3の組み合わせが、回転数を簡便に計測可能なセンサとなることが分かる。
実施例1に記載の軸受Beに封入されているグリースを洗浄して取り去った上、アルミナ粉(平均粒径10μm)を軸受Beの内部に微量混入させて、軸受Beの回転試験を回転数2190rpmで実施例1と同様に行った。この時、軸受Beの摩擦力の測定も行い、摩擦帯電センサ出力との比較を行った。ここで、摩擦力の測定は次のように行った。軸受Beの外輪Be2を固定台に固定した状態とし、内輪Be1を外力(例えば電動工具における回転軸の回転力)によって回転させる。すると、軸受Beの内輪Be1-外輪Be2間に働く摩擦力により、固定台が回転方向の力を受ける。固定台が受けた力を固定台に接続したフォースゲージで測定し、このフォースゲージで測定された力から摩擦力を算出した。
軸受Beの運転時間と摩擦力の関係を図10に示す。また、その時のセンサ出力の推移を図11に示す。図10において、摩擦力は初期の状態(A点)には2N程度だったものがB点の辺りで増加し始め、C点以降は非常に増加していることが分かる。この時、C点以降は大きな音が軸受Beから発生していたことが確認されている。このことから、摩擦力の増加によって振動が激しくなったと考えられる。一方、センサ出力は従来のセンサには見られない正電圧側と負電圧側で異なる電圧波形を示している。図11に示すように、第1電圧出力に対応する正電圧側には20V以上のスパイク状のパルス電圧が発生しているのに対し、第2電圧出力に対応する負電圧側はそのようなスパイク状パルスは見られないが、時間とともにその電圧絶対値は低下している。検知部2における帯電層23の表面と被検知部3における対向帯電層32の表面との二面との関係で、荷重が減少する除荷方向(離れ方向)の電圧出力が第1電圧出力(図11における正電圧側)であって、荷重が増加する増荷方向(押付け方向)の電圧出力が第2電圧出力(図11における負電圧側)である。
そこで、図10に示した摩擦力推移のA点に相当する時間とI点に相当する時間でのセンサ信号を高速フーリエ変換(FFT)処理して、その周波数スペクトルを比較した。その結果を図12に示す。初期の状態(A点)で、主パルス周波数が146Hzであることから電極が4分割されていることを考慮して、回転速度が146Hzを4で割った36.5Hz(2190rpm)であることが容易にわかる。さらにI点(運転開始後400秒)のスペクトルと比較すると、主ピーク周波数の両サイドのピーク(a:110Hz)(b:182Hz)、および振動励起周波数のピークc(434Hz)の強度が初期に比較して増加している。すなわち、このピークa、b、cの周波数でセンサ出力波形は変動していると推定される。つまり、摩擦振動がセンサに伝搬することで接触状態が変化して、このような電圧変動となったと考えられる。そこで、主パルス周波数近傍を拡大して経時的な変化を図13に示す。
図13ではA点、B点、D点、I点におけるFFTスペクトルを比較した。特に顕著な変化が見られるのは、主パルス周波数(146Hz)に対して周波数軸で片側に隣接する110Hzのサイドピーク(ピークa)であり、B点、D点、I点でピークaのピーク強度は大きくなっており、摩擦力が増加したB点と一致していることがわかる。このため、センサ出力を高速フーリエ変換(FFT)解析することで容易に摩擦励起振動を検出することができ、軸受Beの運転状態を容易にモニタすることが可能であることがわかる。次に摩擦力から軸受Beの温度の推定を行った。摩擦力のする仕事がすべて熱に変わったと考え、軸受Beを構成する材料の比熱、質量を考慮して軸受Beの温度を求めた。一方、A点でのセンサ電圧をVo、内部抵抗Riを出力が最大になる出力抵抗と等しいと仮定して8MΩ、出力抵抗Roを8MΩとし、銅の温度係数αを0.004/℃として負電圧の包絡線を求め、その包絡線電圧から前記第3式を用いて温度に換算した。図14にセンサ出力(図11に対応)の負電圧の包絡線部分を示す。図中の黒い線で示した部分が包絡線として取り出した電圧の推移である。
図15に摩擦力から推定した温度(図中「Friction」)と、センサ出力から求めた温度(図中「Voltage」)を比較する。摩擦力から求めた温度は比較的滑らかに時間とともに上昇しているが、センサ出力から求めた温度は少し変動しながら時間とともに増加している。しかし、概略的な傾向は一致しており、センサ出力から求めた温度は、軸受Beの運転状態をモニタする情報としては十分であると考えられる。
実施例1の摩擦帯電センサを組込んだ軸受Beにおいて、センサ信号を全波整流回路とコンデンサを備える蓄電ユニットに蓄電した。センサの発電出力は軸受Beの回転数が2000rpm時に20μWであり、その電力で蓄電ユニットへの充電が可能であった。蓄電ユニットからは出力電圧3V、ピーク電流50mAの出力が可能であった。この程度の出力があれば、十分に無線回路を動作させることが可能であり、センサ信号を無線送信することも可能であると考えられる。
実施例1の摩擦帯電センサを組込んだ軸受Beにおいて、帯電層23を構成するフィルムであるPTFEフィルムの代わりに、フッ素コーティング溶液(3M社製NovecTM2702)に出力電極層22を構成するフィルムを直接的に浸漬して、表面にフッ素コーティング膜7aを約1μm形成したフィルムを用いた。このフィルムと実施例1の被検知部3を構成するフィルムと組合せて摩擦帯電センサとし、転がり軸受に組込み、出力を確認した。回転数は2190rpmで行った。その結果、図8に示したピーク電圧約15Vから約100Vになり発電出力も約2mWとなった。これは、膜厚が薄くなったために電極に誘導される電荷量が増加したためと考えられる。さらに、100時間稼働させ、出力電極層22の表面を観察したが、摩耗は見られなかった。また、出力電圧の減少も見られなかった。以上のことから、フッ素コーティング膜7aを形成したフィルムを用いることで、耐摩耗性の確保と出力電圧の増加が可能となった。
実施例3の摩擦帯電センサを組込んだ軸受Beにおいて、帯電層23を構成するフィルムの表面に、図8に示したようにDLC膜7bを化学気相蒸着(CVD)法によって1μmの厚さで形成した。このフィルムと実施例3の帯電層23を構成するフィルムを組合せて摩擦帯電センサとし、転がり軸受に組込み、出力を確認した。回転数は2190rpmで行った。その結果、出力電圧は実施例1と同等であった。さらに、100時間稼働させ、出力電極フィルムと摩擦帯電性フィルムの表面を観察したが、摩耗は見られなかった。また、出力電圧の減少も見られなかった。以上のことから、DLC膜7bを摩擦帯電性フィルムの保護膜7として用いることで、耐摩耗性の確保が出来ていることが分かった。
図16に示すように、軸受Beにおける樹脂製シールBe5の、封入されたグリースGに接する側に、検知部2を取り付けた。なお実施例6では、被検知部3は使用しなかった。出力電極層22に接続した出力リード線5をオシロスコープにつないで出力電圧の変化を観察した。水をグリースGに混入させない状態での電圧出力と、水を0.1μlグリースGに加えて馴染み運転を行った後の電圧出力とを比較すると、水を加えた方が、摩擦帯電センサの出力が大きくなった。以上のことから、摩擦帯電センサによってグリースG等の潤滑剤中に水等の誘電率が大きな材料が混入した際に検出可能であることがわかった。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態における状態計測装置1の計測対象物は軸受(回転軸受)Beの構成部材であったが、これに限られず、直線方向に移動する移動体や循環移動ではなく往復移動する移動体の構成部材であってもよい。また、前記実施形態の軸受(回転軸受)Beとして転がり軸受を例示したが、すべり軸受であってもよい。
また、前記実施形態における状態計測装置1の計測対象物は、軸受Beの構成部材であって、移動側(回転側)である外輪Be2であった。しかしこれに限定されない。「相対的に移動する」関係が成り立てばよいので、前記実施形態とは逆に、固定側である内輪Be1を移動側である外輪Be2に対しての計測対象物とすることもできる。つまり、計測する側とされる側とが相対的に移動する関係にあれば、固定側、移動側のいずれを計測対象物としてもよい。
また、帯電層23は前記実施形態のように電極221,222の上に取り付けることに限定されず、対向帯電層32の上に摩擦可能なように取り付けても同じ機能を発揮することができる。この場合、帯電層23は検知部2ではなく被検知部3に属することになる。