以下、本発明の複数の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る規正装置1を用いた物流システムの構成例を示す図である。物流システムは、規正装置1と、ロボット2と、パレット4と、パレットコンベヤ5(5a,5b,5c)と、ワークコンベヤ6(6a,6b)と、テーブル装置16と、制御装置17とを備える。なお、規正装置1とテーブル装置16の両方を含めて規正装置と呼んでもよい。
本実施形態では、ワークWは、例えば、積層された組み立てられる前の複数の段ボールシートであり、結束されていない状態あるいは互いに接着などの方法で固定されていない状態で一塊を形成している。つまり、隣接する段ボールシートは、互いに滑り易く、ワークWは、外力によって変形し易い押圧面(積層面)を持つ。つまり、押圧面の一部を押圧した場合に、一部の段ボールシートのみが移動することがある。本明細書では、一塊のワークを大文字のWで表記し、ワークWに含まれる個々のワークを小文字のwで表記する。なお、各ワークWは、同じ枚数の段ボールシートを含む(容積が略等しい)ものとする。
規正装置1は、パレットコンベヤ5b上のパレット4上に積み上げられる1つ以上のワークWを規正する装置である。後に詳述するが、本実施形態では、複数のワークWが隣同士隙間を空けてパレット4上に積み上げられる(図3参照)。規正装置1は、ワークW間の隙間を詰めるように、複数のワークWをそれらの外周側面から押して規正する(図4参照)。
ロボット2は、パレットコンベヤ5b上のパレット4上(又はパレット4上の移動テーブル161上)に1つ以上のワークWを積み上げる装置である。ロボット2は、例えば、パレタイジングロボットである。図1では、ロボット2は、ワークWが積み上げられる所定の積み上げ領域A2(図1でパレット4上の複数のワークWが配置されている領域、図2参照)を挟んで、規正装置1に対向する位置に配置されている。ロボット2は、ワークWを把持するロボットハンド3を備える。
ロボット2は、荷取領域A1に配置された各ワークWを1つずつロボットハンド3で把持し、積み上げ領域A2内に配置されたパレット4上(又はパレット4上の移動テーブル161上)に積み上げる。図1の例は、ロボット2が、4つのワークWを1段として、5段分パレット4上に積み上げた状態を示している。図3の例は、ロボット2が、2つのワークWを1段として、3段分パレット4上に積み上げた状態を示している。もちろん、1段を構成するワークWの数は1つでも複数であってもいし、積み上げる段数は1つでも複数であってもよい。
パレットコンベヤ5は、パレット4を搬送する装置である。上流(x軸−方向)から下流(x軸+方向)にかけて順に、パレットコンベヤ5a,5b,5cが配置されている。
パレット4は、1つ以上のワークWが積まれる荷台である。パレット4は、パレットコンベヤ5aの上流側に収納されており、そこからパレットコンベヤ5aを経由して下流方向へ搬送され、パレットコンベヤ5b上の積み上げ領域A2に配置される。また、複数のワークWの積み上げ及び規正が完了した後、パレット4は、パレットコンベヤ5bから下流方向へ搬送され、パレットコンベヤ5cを経由してさらに下流に搬送される。
ワークコンベヤ6は、各ワークWを搬送する装置である。ワークコンベヤ6aは、各ワークWを上流側から1つずつ受け取り、下流方向へ搬送し、ワークコンベヤ6bに受け渡す。ワークコンベヤ6bは、ワークコンベヤ6aから搬送されたワークWを荷取領域A1に配置する。
テーブル装置16は、移動テーブル161をx軸方向に沿って移動させる装置である。図1の例では、テーブル装置16は、パレットコンベヤ5のy軸方向両側に配置された2つのレール162と、これらのレール162上に設けられた移動テーブル161とを備える。移動テーブル161は、パレットコンベヤ5上を搬送されるパレット4の上方に配置することができる。
後に詳述するが、移動テーブル161は、規正装置1の規正部材がパレット4の上面又は側面に衝突したり引っ掛かったりするのを防ぐために使用される。テーブル装置16は、ロボット2がワークWを所定段数(本実施形態では1段)積み上げるまで、移動テーブル161を、積み上げ領域A2内のパレット4の上方に配置する。一方、テーブル装置16は、所定段数より上の段が積み上げられる間は、移動テーブル161をパレット4の上方から上流側へ移動させて退避させる。
制御装置17は、各制御対象(規正装置1、ロボット2、パレットコンベヤ5、ワークコンベヤ6、テーブル装置16等)の動作を統合的に制御する。制御装置17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するコンピュータや制御盤により実現できる。制御装置17の処理及び機能は、例えば、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現できる。制御装置17は、無線又は有線の通信規格の通信インターフェイスを介して、各装置(規正装置1、ロボット2、パレットコンベヤ5、ワークコンベヤ6、テーブル装置16など)と接続することができる。
もちろん、制御装置17は、複数の装置に分割されてもよい。例えば、ロボット2を制御する制御装置はロボット2が備え、規正装置1を制御する制御装置は規正装置1が備える、というように、各制御対象に個別の制御装置が設けられていてもよい。
図1の物流システムの動作の概略を説明する(詳細については図11等を参照して説明する)。
空パレット4は、上流からパレットコンベヤ5a,5b上を経由して、積み上げ領域A2へ搬送される。
空パレット4の搬送の前又は後あるいは並行して、移動テーブル161が、z軸+方向に持ち上げられた状態で下流方向に移動され、積み上げ領域A2内でパレット4の上面を覆う位置で停止する。また、移動テーブル161が、その下面がパレット4の上面と接する高さまで下降され、パレット4上面に載置される。
各ワークWは、ワークコンベヤ6a,6bによって、荷取領域A1に1つずつ搬送される。ロボット2は、荷取領域A1に搬送された各ワークWを1つずつ把持し、パレット4上に載置されている移動テーブル161上に積み上げる。
図2は、規正装置1の構成例を示す図である。図2では、テーブル装置16及びパレットコンベヤ5も図示されている。なお、規正装置1とテーブル装置16の両方を含めて規正装置と呼んでもよい。規正装置1は、ベース部材7a,7bと、可動部材8と、規正部材9a,9b,10a,10b,11a,11bと、動力部M1〜M11とを備える。テーブル装置16は、本体装置の下方の前方(y軸+方向)に設置される。
ベース部材7a,7bは、柱状に構成されている。ベース部材7a,7bは、その長手方向が地面と直交するように、地面に設置されている。図2の例では、2つのベース部材7が設けられているが、1または3つ以上設けられてもよい。
可動部材8は、柱状に構成されている。可動部材8は、その長手方向がベース部材7a,7bの長手方向と直交するように、ベース部材7a,7bに設けられている。可動部材8は、ロボット2によって積み上げられるワークWの積み上げ方向(z軸方向)に移動できるように、ベース部材7a,7bに装着されている。
規正部材9a,9bは、板状に構成されている。規正部材9a,9bは、ワークWの積み上げ方向(z軸方向)と直交する方向であって、かつ、積み上げ領域A2の方向に伸びるように、可動部材8に設けられている。規正部材9a,9bは、互いが対向する方向(x軸方向)に移動できるように、可動部材8に装着されている。
規正部材10a,10bは、板状に構成されている。規正部材10a,10bは、積み上げ領域A2の方向(x軸+方向)に伸びるように、規正部材9aに設けられている。規正部材10a,10bは、互いが対向する方向(y軸方向)に移動できるように、規正部材9aに装着されている。
規正部材11a,11bは、板状に構成されている。規正部材11a,11bは、積み上げ領域A2の方向(x軸−方向)に伸びるように、規正部材9bに設けられている。規正部材11a,11bは、互いが対向する方向(y軸方向)に移動できるように、規正部材9bに装着されている。
規正部材9a,9bと、規正部材10a,10bと、規正部材11a,11bとは、それらの高さが同一平面上に位置するように構成されている。また、これらの各規正部材に囲まれる領域内には、積み上げ領域A2及びそこに置かれた1つ以上のワークWが配置される。各規正部材の内側の面は、1つ以上のワークWの外周側面を押圧する規正面として機能する。
動力部M1〜M7は、例えば、モータであり、ギアやベルトなどの機械的構造を介して各規正部材に動力を伝達する。
動力部M1は、可動部材8を垂直方向に移動させる。これにより、規正部材9a,9bと、規正部材10a,10bと、規正部材11a,11bとは、積み上げ方向(z軸方向)に移動することができる。
動力部M2は、規正部材9aをx軸方向に移動させる。動力部M3は、規正部材9bをx軸方向に移動させる。これにより、規正部材9a,9bは、x軸方向において、積み上げ領域A2に積み上げられた1つ以上のワークWを規正することができる。規正部材9a,9bは、同時に連動して移動するのみならず、それぞれ単独で移動してもよい。
動力部M4は、可動部材8と規正部材9aとの連結部分を支点(回転軸)として、規正部材9aを上方に持ち上げる又は下ろす。動力部M5は、可動部材8と規正部材9bとの連結部分を支点として、規正部材9bを上方に持ち上げる又は下ろす。これにより、規正部材9a,9bは、その長手方向先端部をz軸方向に向けたり(図14参照)y軸方向に向けたり(図2参照)することができる。
動力部M6は、規正部材10a,10bを対向する方向(y軸方向)に移動させる。これにより、規正部材10a,10bは、y軸方向において、積み上げ領域A2に積み上げられた1つ以上のワークWを規正することができる。規正部材10a,10bは、同時に連動して移動するのみならず、それぞれ単独でも移動してもよい。また、規正部材10a,10bのいずれか一方は、規正部材9aに固定されていてもよい。
動力部M7は、規正部材11a,11bを対向する方向(y軸方向)に移動させる。これにより、規正部材11a,11bは、y軸方向において、積み上げ領域A2に積み上げられた1つ以上のワークWを規正することができる。規正部材11a,11bは、同時に連動して移動するのみならず、それぞれ単独でも移動してもよい。また、規正部材11a,11bのいずれか一方は、規正部材9bに固定されていてもよい。
動力部M8〜M11は、例えば、エアシリンダであり、ヒンジや連結部材などの機械的構造を介して各規正部材に動力を伝達する。
動力部M8〜M11は、それぞれ、規正部材10a,10b,11a,11bの可変機構を駆動する。これにより、規正部材10a,10b,11a,11bは、規正面のx軸方向の長さを、ワークWのx軸方向の寸法に合わせて適切に変更することができる。可変機構については、図6,7を参照して後に詳述する。
図3は、規正される前のワークWの状態の一例を示す図である。上述したように、本実施形態のワークWは、例えば、積層された組み立てられる前の複数の段ボールシートであり、結束されていない状態あるいは互いに接着などにより固定されていない状態で一塊を形成している。つまり、隣接するワークwは、互いに滑り易く、ワークWは、外力によって変形し易い押圧面(積層面)を持つ。
図3の例では、1段につき2塊のワークWが3段積み上げられている。また、図3の例では、1段目と2段目は、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)により既に規正されており、3段目は、各規正部材により規正されている状態を示している。もちろん、各段を構成するワークWの数や配置は、図示した例に限定されない。
一般的に、パレット4上で隣り合うワークW11,W12は、ロボットハンド3の把持部の厚みやロボットハンド3の開閉動作領域の確保とワークW11,W12の寸法公差の吸収のため、隙間を有したまま積み上げられる。従って、図3に示すように、積み上げられた規正前の3段目の2つのワークWは、隙間を有する。他の段の2つのワークWも、規正される前は、隙間を有する。
図4は、規正された後のワークの状態の一例を示す図である。例えば、規正装置1は、可動部材8をz軸方向に移動して、各規正部材の高さをワークW11,W12の高さに合わせる。それから、規正装置1は、規正部材9aをx軸+方向に移動し、規正部材9bをx軸−方向に移動する。また、規正装置1は、規正部材10a,11aをy軸+方向に移動し、規正部材10b,11bをy軸−方向に移動する。
これにより、ワークW11,W12は、外側から内側に押されるので、ワークW11,W12の間の隙間が詰められて規正されるとともに、ワークW11,W12の外周側面が平らに規正される。規正されることで、積み上げられた複数のワークWは、安定する。
図5は、従来技術で規正に失敗する例を説明する図であり、(a)はワークの寸法が規正部材に対して小さい場合、(b)はワークの寸法が規正部材に対して大きい場合、(c)は規正部材に隙間がある場合、(d)はパレットに寸法誤差がある場合である。(a),(b)は、ワークWを上面から見た図であり、(c),(d)は、ワークWを側面から見た図である。
図5(a)の左図に示すように、大きなワークWaを基準として規正部材500の寸法を設計すると、図5(a)の右図に示すように、小さなワークWbを規正する際には規正部材500どうしの干渉が発生してしまい、ワークWbが上手く規正されない。
図5(b)の左図に示すように、小さなワークWbを基準として規正部材600の寸法を設計すると、図5(b)の右図に示すように、大きなワークWaを規正する際には規正部材600でワークWaの押圧面を十分広い面で押すことができず、ワークWaが上手く規正されない。
図5(c)に示すように、規正部材700の高さ寸法がワークWの高さ寸法に対して小さい場合、また、規正部材700の下面をパレット4上面から離す場合、ワークWの押圧面の一部しか押すことができない。この場合、ワークWに含まれる一部のワークwが移動せず又は十分に移動せず、ワークWが上手く規正されない。
図5(d)に示すように、一般的に、パレット4には製造上の高さ寸法のばらつきがある。図5(d)の左図に示すように、パレット4が理想的な高さである場合、規正部材800の下面とパレット4の上面との距離をできる限り小さくできるため、規正部材800によりワークWが上手く規正され得る。一方、図5(d)の中央図に示すように、パレット4が理想より高い場合には、規正部材800の下部がパレット4の外周端部に衝突し、ワークWが上手く規正されないことがある。さらに、図5(d)の右図に示すように、パレット4が理想より低い場合には、規正部材800の下面とパレット4の上面の距離が大きくなってしまい、下方の一部のワークwが移動せず又は十分に移動せず、ワークWが上手く規正されない。
本実施形態は、図6〜13等を参照して後に詳述するように、図5(a)〜(d)に示すような問題の少なくとも一部に対処している。
図6は、規正部材10bの可変機構の一例を示す図であり、(a)は長さ寸法を長く設定した状態、(b)は長さ寸法を短く設定した状態である。図6では、規正部材10bに関して代表的に説明するが、規正部材10a,11a,11bも同様の可変機構を有する。
規正部材10bは、水平方向に接続された2つの規正部材12,13を備える。規正部材13は、規正部材12に対して垂直方向の回転軸を介して回動可能に接続されている。回転軸は、例えば、蝶番などの部材で構成される。動力部M9は、例えば、エアシリンダ等の伸縮部材を含み、伸縮部材の両端部は、それぞれ、規正部材12,13に対して垂直方向の回転軸を介して接続されている。動力部M9が伸長することで、規正部材13が規正部材12に対して直線状に配置される。動力部M9が収縮することで、規正部材13が外側に折れ曲がる。これにより、規正部材10bの内側の規正面の水平方向の長さを、長短のいずれかに変更できる。もちろん、動力部M9は、設けなくてもよく、この場合、ユーザは、手動で規正部材13の位置を調整する。
図7は、ワークWの寸法に応じた可変機構の変形の例を説明する図であり、(a)はワークWの寸法が規正部材に対して大きい場合、(b)はワークWの寸法が規正部材に対して小さい場合、(c)はワークWの寸法が規正部材に対してさらに小さい場合である。(a),(b),(c)は、ワークWを上面から見た図である。
図7(a)に示すように、ワークWの水平方向の寸法が比較的大きいときは、各規正部材(10a,10b,11a,11b)は、折り畳まれておらず、各規正部材13は各規正部材12に対して直線状に配置されている。この場合、最も広い規正面を使ってワークWを規正することができる。
図7(b)に示すように、ワークWの水平方向の寸法が比較的中程度のときは、隣り合う規正部材10a,11aのうち一方と、隣り合う規正部材10b,11bのうち一方は、折り畳まれる。これにより、規正部材10aと11aを干渉させずに、かつ、規正部材10bと11bを干渉させずに、図7(a)と比べて、規正部材9a,9bをさらに近付けることができる。ワークWの大きさが小さくなっても、適切に規正できる。
図7(c)に示すように、ワークWの水平方向の寸法が比較的小さいときは、隣り合う規正部材10a,11aと、隣り合う規正部材10b,11bは、全て折り畳まれる。これにより、規正部材10aと11aを干渉させずに、かつ、規正部材10bと11bを干渉させずに、図7(b)と比べて、規正部材9a,9bをさらに近付けることができる。ワークWの大きさがさらに小さくなっても、適切に規正できる。
図8は、規正部材の規正片14の構成例を示す図であり、(a)は規正片14を上昇させた状態、(b)は規正片14を下降させた状態である。図1,2に示すように、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)の下端部には、水平方向に複数の規正片14が配置されている。図8では、規正部材9aに関して代表的に説明するが、規正部材9b,10a,10b,11a,11bも同様の規正片14を有する。図8の左図は、規正部材9a及び規正片14の規正面側を示し、図8の右図は、規正部材9a及び規正片14の規正面と反対側を示す。
規正片14は、板状に構成されており、規正部材9aの下端部に設けられている。規正片14は、例えば、規正部材9aに設けられた垂直方向のガイド溝141(図9参照)に、昇降可能に装着されている。
規正部材9aの規正面の反対側には、動力部M12が設けられている。動力部M12は、例えば、エアシリンダ等の伸縮部材を含み、伸縮部材の一端は、規正片14に対して接続されている。
図8(a)に示すように、動力部M12が収縮することで、規正片14が上昇し、規正部材9aに収納される。収納状態では、規正片14の下端面は、規正部材9aの下端面と同じ高さかそれよりも上側に位置する。この状態では、規正片14が上昇した位置で固定されるように、動力部M12は、収縮状態を維持するのが好ましい。
図8(b)に示すように、動力部M12が伸長することで、規正片14が下降し、規正部材9aから突出する。この状態では、規正片14が自重で下降し、外力によって上昇できるように、動力部M12は、伸縮自在な状態であるのが好ましい。
図9は、規正部材9a及び規正片14の構成例を示す水平断面図である。図9では、動力部M12の図示を省略している。図9の下方向が規正面である。規正部材9a内部には、下端面から上方に向けて垂直方向のガイド溝141が形成されている。規正片14は、このガイド溝141に昇降可能に装着されており、かつ、規正片14の一部である規正面143は露出している。規正片14を上昇させた状態でも下降させた状態でも、規正部材9aの規正面144と規正片14の規正面143とは、同一平面上に位置する。これにより、ワークWの押圧面を押圧するための平坦な規正面を形成することができる。
なお、動力部M12は、1つの規正片14に対して1つ設けられてもよいし、複数の規正片14に対して複数設けられてもよい。また、1つの規正部材に設ける規正片14の数は、1つでもよいし複数でもよい。
1つの規正部材に複数の規正片14を設ける場合、各規正片14は、間隔を空けて櫛歯状に配置されるのが好ましい。各規正片14を下降させた状態で各規正片14の上方に形成される凹部142(図8の(b)参照)が隣同士で連結される又は近付きすぎると、規正面144の面積が小さくなってしまう。すると、ワークWの押圧面に対する特に上下方向の引っ掛かりが発生し易くなる。従って、本実施形態では、各規正片14の規正面143と、各規正片の14間の規正面144とは、同程度の幅であり、上下交互に異なる高さで配置されている。
図10は、規正片14の接触部15の構成例を示す図であり、(a)は規正片14を側面から見た図であり、(b)は規正片14を下方から見た図である。
規正片14の下端部には、接触部15が設けられている。図10の例では、接触部15は、球状の回転体であり、規正片14に形成された穴に嵌め込まれており、自由な方向へ回転可能である。穴の内部には、ベアリングやローラー等の回転部材、スプリング等の緩衝部材などが設けられていてもよい。
なお、接触部15は、上述した球状の回転体に限定されない。例えば、接触部15は、規正片14の下端面を半球状に丸く形成することにより実現してもよい。すなわち、接触部15は、移動テーブル161やパレット4との摩擦を小さくする構成を備えていればよい。
図10(a)に示すように、規正片14(接触部15を除く)の最下面と接触部15の最下面との間の高さ寸法Cは、1枚のワークwの高さ寸法tw未満となるように設計される。これにより、規正片14の規正面で、移動テーブル161の直上のワークwを確実に押圧して規正することができる。
なお、高さ寸法twは規正対象のワークwの種類によって異なる。そこで、例えば、規正片14は、接触部15の高さ位置を上下に調整可能に接触部15を保持してもよい。このような調整機構により、高さ寸法Cをワークwの種類によって調整できる。
図11は、テーブル装置16の構成例及び動作例を示す図であり、(a)は移動テーブル161が積み上げ領域A2外に配置された状態、(b)は移動テーブル161が積み上げ領域A2上に移動した状態、(c)は移動テーブル161が積み上げ領域A2上で下降した状態、(d)は移動テーブル161が積み上げ領域A2外へ移動している状態である。
テーブル装置16は、動力部M13〜M15を有する。動力部M13,M14は、例えば、モータであり、ギアやベルトなどの機械的構造を介して移動テーブル161に動力を伝達する。動力部M15は、例えば、エアシリンダであり、連結部材などの機械的構造を介して移動テーブル161に動力を伝達する。
動力部M13,M14は、移動テーブル161をレール162に沿ってx軸方向に移動させる。これにより、移動テーブル161は、積み上げ領域A2とその上流側の間を移動することができる。
動力部M15は、移動テーブル161をz軸方向に移動させる。これにより、移動テーブル161は、上昇及び下降してパレット4の上面に乗ることができる。また、パレット4の高さ寸法の誤差にも対処できる。
移動テーブル161の面積は、パレット4の上面の面積よりも広い。移動テーブル161は、例えば、滑らかな表面を持つステンレス板で形成することができる。もちろん、移動テーブル161の材質は、SS400鋼材などの他の金属や、超高分子量ポリエチレンなどの樹脂材料であってもよい。また、移動テーブル161の表面仕上げは、例えば、2B仕上げや鏡面仕上げのような平滑性を持つものに限定されず、梨地仕上げのような微細な凹凸を持つものであってもよい。移動テーブル161の表面仕上げは、ワークWがテーブル表面の凹凸が転写されるような比較的軟らかい場合には、平滑性の高い仕上げを選択し、ワークWがテーブル表面の凹凸が転写されないような比較的硬い場合には、微細な凹凸を持つ仕上げを選択するのが望ましい。
(a)初期状態では、移動テーブル161は、積み上げ領域A2から退避した、パレットコンベヤ5aの上方に配置される。また、パレットコンベヤ5a上のパレット4は、移動テーブル161の配下に配置される。このとき、移動テーブル161は、その下面がパレット4の上面に接触しない高さに維持される。
(b)次に、移動テーブル161は、x軸+方向へ移動し、パレットコンベヤ5bの上方に配置される。これと並行して又は前後して、パレット4は、x軸+方向へ移動し、移動テーブル161の配下に配置される。このとき、z軸+側から見た場合に、パレット4及びその上の積み上げ領域A2は、移動テーブル161の内側に含まれる。また、移動テーブル161は、その下面がパレット4の上面に接触しない高さに維持される。
(c)次に、移動テーブル161は、z軸−方向へ下降し、パレット4の上面に載置される。後に詳述するが、この状態で、ロボット2は、パレット4上の積み上げ領域A2に所定段数(本実施形態では1段)のワークWを積み上げる。また、規正装置1は、各規正部材の距離を近付けることで、ワークWの押圧面を押圧して規正する。
(d)次に、規正装置1がワークWを押圧している状態で、移動テーブル161は、x軸−方向に移動し、パレットコンベヤ5aの上方に退避する。後に詳述するが、このとき、1段のワークWは、自重により各規正部材の規正面に沿って下方に落下し、パレット4上に載置される。
なお、動力部M15は、移動テーブル161上にワークWが積み上げられた際に、ワークWの荷重で移動テーブル161とパレット4の摩擦が大きくなるのを防ぐため、パレット4に掛かる荷重が小さくなる(0を含む)ように、移動テーブル161を持ち上げてもよい。荷重が小さくなればよいので、外観上実際に移動テーブル161がz軸+方向へ移動していなくてもよい。つまり、移動テーブル161の下面は、パレット4の上面と接触していてもよいし、近接していてもよい。テーブル装置16は、動力部M15とは別に、移動テーブル161を持ち上げたり下ろしたりする昇降機構を備えてもよい。このようにすれば、移動テーブル161とパレット4の間の摩擦や引っ掛かりを減らして、滑らかに移動テーブル161を移動させることができる。
本実施形態の例では、移動テーブル161をパレット4に載置した状態(荷重が小さくなるように持ち上げた状態も含む)で、パレット4の上面の高さ位置から移動テーブル161の上面の高さ位置までの寸法は、0mmを超え30mm以下であるのが好ましい。
図12は、物流システムの動作手順の一例を説明する図(その1)である。図13は、物流システムの動作手順の一例を説明する図(その2)である。図12及び図13の(a)〜(j)は、1段目のワークWの積み上げに関する物流システムの一連の動作手順を示している。図12及び図13では、各規正部材のうち規正部材9a,9bに関して代表的に図示し、規正部材10a,10b,11a,11bは省略している。
(a)パレットコンベヤ5b上には、4段のワークWの積み上げが完了した実パレット4が配置されている。パレットコンベヤ5a上には、空パレット4が配置されており、空パレット4の上方には、移動テーブル161が配置されている(初期位置)。各規正部材は、実パレット4上のワークWの上方に退避されている。このとき、各規正部材の規正片14は、収納状態である。
(b)実パレット4は、パレットコンベヤ5bの下流側に搬送される。これと並行して又は後に、空パレット4は、パレットコンベヤ5b上の所定位置(積み上げ領域A2上)に搬送される。また、これと並行して又は前後に、移動テーブル161は、空パレット4上方に移動する。
(c)移動テーブル161は、下降して、空パレット4上に載置される。また、各規正部材は、それらの下面が移動テーブル161の上面と接触しないように、移動テーブル161の上面の近傍に移動する。このとき、各規正部材のxy軸方向位置は、各規正部材の規正面に囲まれる領域の面積が、積み上げ領域A2の面積よりも広く、かつ、移動テーブル161の面積よりも狭くなるように、配置される。また、各規正部材の各下端部のz軸方向位置は、各下端部と移動テーブル161の上面との距離が、各規正片14を最大限下降させた突出状態のときに移動テーブル161と接触する距離以下となるように、移動される。
(d)各規正片14は、下降して突出状態となる。各規正片14の接触部15の下端面は、移動テーブル161に当接する。これに並行して又は前後して、ロボット2は、積み上げ領域A2内へ1段目の複数のワークWの積み上げを開始する。
なお、(d)の状態において、各規正部材の上端から各規正片14の下端までの高さ寸法は、1段目のワークWの高さ寸法と同じ又は長い。これにより、1段目のワークWの押圧面の高さ方向全体を押圧することができる。
(e)この段階は、1段目の複数のワークWが、積み上げ領域A2内へ積み上げられた状態を示している。これらのワークW1,W2は、規正されていない状態である。
(f)1段目の複数のワークWの積み上げが完了すると、各規正部材は、xy軸上で積み上げ領域A2の中心方向へ移動し、複数のワークWの押圧面を押圧する。これにより、各ワークW1,W2は、互いに近付くように移動するので、各ワークW1,W2の間の隙間が詰められて規正される。また、各ワークW1,W2の外周押圧面は、平らに規正される。また、各規正片14の接触部15の下端部は、移動テーブル161に当接しているため、各ワークW1,W2の最下部のワークwが取り残されることなく規正される。
(g)各ワークW1,W2の規正が完了すると、移動テーブル161は、x軸−方向へ移動を開始する(1段目の複数のワークWとパレット4の間から引き抜かれる)。この段階は、下流側のワークW1の配下から移動テーブル161が引き抜かれた状態を示している。ワークW1は、重力によりパレット4上に落下している。ワークW2は、移動テーブル161上に留まっている。移動テーブル161が移動する間、各ワークWの上流方向への移動は、上流側に位置する規正部材9aおよびその規正片14によって制限される。
(h)この段階は、移動テーブル161がパレットコンベヤ5a上方まで移動した状態を示している。ワークW2は、重力によりパレット4上に落下している。
(i)移動テーブル161は、パレットコンベヤ5a上方まで移動した後、上昇し、初期位置((a)の状態)へ戻る。また、各規正片14は、上昇して、収納状態に戻る。
(j)各規正部材は、xy軸上で積み上げ領域A2から離れるように移動し、複数のワークWの押圧面の押圧を解除する。
以上のようにして、1段目の複数のワークWの積み上げと規正が行われる。この後、2段目以降について、1段ずつ、ワークWの積み上げと規正が繰り返される。ただし、2段目以降では、各規正片14が収納状態のまま規正動作が実行される。ある段のワークWの下部のワークwは、その下の段のワークWの上部のワークwと同時に、規正部材で押圧することが可能だからである。
図14は、規正装置1が各規正部材を上方に向けた状態の一例を示す図である。規正装置1は、動力部M4,M5を用いて、可動部材8と規正部材9a,9bとの連結部分を支点(回転軸)として、規正部材9a,9bを上方に持ち上げる(先端部をz軸+方向に向ける)ことができる。また、規正装置1は、動力部M1を用いて、可動部材8を規正装置1の下部に移動することができる。図14に示すような規正装置1の姿勢は、例えば、規正を必要としないワークWを扱う際のロボット2の動作領域を広げたり、作業完了時の規正装置1の周辺機器の点検の作業性を向上したりすることを可能としている。
図15は、物流システムの動作例を示すフローチャートである。図15は、1つ又は複数のパレット4に対する積み上げ作業に関する物流システムの動作を示している。
まず、制御装置17は、事前に取得したワークWの寸法情報に基づき、各規正部材(10a,10b,11a,11b)の全て又は一部を折り畳むか否かを判定する(ステップS1)。例えば、制御装置17は、ワークWのx軸方向寸法が、第1閾値以下であり第2閾値を超える場合は、規正部材10a,10bを折り畳むと判定し、ワークWのx軸方向寸法が、第2閾値以下である場合は、規正部材10a,10b,11a,11bを折り畳むと判定する。規正部材の全て又は一部を折り畳むと判定した場合(ステップS1でYES)、制御装置17は、規正部材の全て又は一部を折り畳む(ステップS2)。
ステップS2の後、又は、規正部材の全て又は一部を折り畳まないと判定した場合(ステップS1でNO)、制御装置17は、空パレット4を搬入する(ステップS3)。例えば、制御装置17は、空パレット4を、パレットコンベヤ5aからパレットコンベヤ5bの積み上げ領域A2上へ搬送する。
次に、制御装置17は、移動テーブル161を前進させる(ステップS4)。例えば、制御装置17は、移動テーブル161を、パレットコンベヤ5a上からパレットコンベヤ5bの積み上げ領域A2上へ移動させる。
次に、制御装置17は、移動テーブル161を下降させる(ステップS5)。例えば、制御装置17は、移動テーブル161を、初期高さ位置から、空パレット4上面と接触するまで下降させる。このとき、制御装置17は、移動テーブル161にかかる荷重が減るようにあるいはなくなるように、移動テーブル161を僅かに上昇させてもよい。
次に、制御装置17は、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)を下降させる(ステップS6)。例えば、制御装置17は、各規正部材の規正面に囲まれる領域の面積が、積み上げ領域A2の面積よりも広く、かつ、移動テーブル161の面積よりも狭くなるように、各規正部材をxy軸方向に移動する。また、制御装置17は、各規正部材の各下端部が移動テーブル161に近接するように、可動部材8を下降させる。
次に、制御装置17は、各規正片14を下降させる(ステップS7)。例えば、制御装置17は、各規正片14を下降させ(突出状態)、移動テーブル161上面に当接させる。
次に、制御装置17は、ロボット2にワークWを1段積み上げさせる(ステップS8)。例えば、制御装置17は、ワークコンベヤ6a,6bを動作させて、1段目のワークWを1つずつ荷取領域A1に配置させる。また、制御装置17は、ロボット2を動作させて、1段目のワークWを1つずつ荷取領域A1から把持させて積み上げ領域A2へ積み上げさせる。
次に、制御装置17は、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)を閉じる(ステップS9)。例えば、制御装置17は、各規正部材の距離が近付くようにxy軸方向に移動させることで、1段目のワークWの押圧面を押圧して規正し、各規正部材の移動を停止させる。
次に、制御装置17は、移動テーブル161を引き抜く(ステップS10)。例えば、制御装置17は、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)のxy軸方向位置を保持したままで、移動テーブル161をパレットコンベヤ5aの上方まで移動させるとともに初期高さ位置まで上昇させる。移動テーブル161の引き抜きによって、1段目のワークWは、各規正部材(及び各規正片14)の規正面に沿って落下し、パレット4上へ載置される。
なお、制御装置17は、ステップS9で規正の完了後、ステップS10で移動テーブル161を引き抜く前に、各規正部材の押圧力を弱める(0を含む)ため、各規正部材の距離が離れる方向に各規正部材の少なくとも1つを僅かに移動させてもよい。押圧力が小さくなればよいので、外観上実際に各規正部材が移動していなくてもよい。つまり、各規正部材の規正面は、ワークWの押圧面と接触していてもよいし、近接していてもよい。このようにすれば、1段目のワークWの押圧面と規正面との摩擦や引っ掛かりを減らして、滑らかにワークWを落下させることができる。
次に、制御装置17は、各規正片14を上昇させる(ステップS11)。例えば、制御装置17は、各規正片14を上昇させ、収納状態とする。
次に、制御装置17は、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)を開く(ステップS12)。例えば、制御装置17は、各規正部材の距離が離れるようにxy軸方向に移動させることで、1段目のワークWの押圧面の押圧を解除する。
次に、制御装置17は、規定段数が1段であるか否かを判定する(ステップS13)。
規定段数が1段でないと判定した場合(ステップS13でNO)、又は、規定段数の積み上げが完了していないと判定した場合(ステップS17でNO)、制御装置17は、ロボット2にワークWを1段積み上げさせる(ステップS14)。例えば、制御装置17は、ワークコンベヤ6a,6bを動作させて、対象段のワークWを1つずつ荷取領域A1に配置させる。また、制御装置17は、ロボット2を動作させて、対象段のワークWを1つずつ荷取領域A1から積み上げ領域A2(前段の規正されたワークWの上)へ積み上げさせる。
次に、制御装置17は、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)を閉じる(ステップS15)。例えば、制御装置17は、各規正部材の規正面が、対象段と前段のワークWの両方の押圧面に跨って対向するように、各規正部材を上昇させる。また、制御装置17は、各規正部材の距離が近付くようにxy軸方向に移動させることで、対象段と前段のワークWの押圧面を押圧して規正し、各規正部材の移動を停止させる。
次に、制御装置17は、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)を開く(ステップS16)。例えば、制御装置17は、各規正部材の距離が離れるようにxy軸方向に移動させることで、対象段と前段のワークWの押圧面の押圧を解除する。
次に、制御装置17は、規定段数の積み上げが完了したか否かを判定する(ステップS17)。
規定段数が1段であると判定した場合(ステップS13でYES)、又は、規定段数の積み上げが完了したと判定した場合(ステップS17でYES)、制御装置17は、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)を上昇させる(ステップS18)。例えば、制御装置17は、各規正部材の各下端部の高さ位置が、実パレット4上に積み上げられたワークWの上面を超えるように、可動部材8を上昇させる。
次に、制御装置17は、規定段数の積み上げが完了した実パレット4を搬出する(ステップS19)。例えば、制御装置17は、実パレット4を、パレットコンベヤ5bの積み上げ領域A2上からパレットコンベヤ5c上まで搬送する。
次に、制御装置17は、規定数のパレット4に対する積み上げ作業が完了したか否かを判定する(ステップS20)。当該積み上げ作業が完了していないと判定した場合(ステップS20でNO)、制御装置17は、処理をステップS3に戻し、次の空パレット4に対する積み上げ作業に移る。
当該積み上げ作業が完了したと判定した場合(ステップS20でYES)、制御装置17は、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)を持ち上げる(ステップS21)。例えば、制御装置17は、可動部材8と規正部材9a,9bとの連結部分を支点(回転軸)として、規正部材9a,9bを上方に向ける。また、制御装置17は、可動部材8を下方に移動させる。そして、制御装置17は、本フローチャートに示す処理を終了する。
なお、本フローチャートに示す各ステップの順序は、図示した順序に限定されない。作業時間の短縮のため、一部のステップは並行して実行されてもよい。例えば、ステップS19の実パレット4の搬出と、ステップ3の空パレット4の搬入とは、並行で実行されてよい。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。本実施形態によれば、変形し易い押圧面を持つ一塊のワークであっても、効率的かつ確実に規正することができる。
[第2実施形態]
第1実施形態に係る規正装置1は、規正片14を用いることでワークWを確実に規正することができる。第2実施形態に係る規正装置1は、規正片14を用いずにワークWを規正する。以下、第1実施形態と異なる点を説明する。
具体的には、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)は、規正片14を備えていない。各規正部材の下端部には、接触部が設けられている。接触部は、例えば、球状の回転体であり、規正部材に形成された穴に嵌め込まれており、自由な方向へ回転可能である。穴の内部には、ベアリングやローラー等の回転部材、スプリング等の緩衝部材などが設けられていてもよい。
なお、接触部は、上述した回転体に限定されない。例えば、接触部は、規正部材の下端面を半球状に丸く形成することにより実現してもよい。すなわち、接触部は、移動テーブル161やパレット4との摩擦を小さくする構成を備えていればよい。
規正部材(接触部を除く)の最下面と接触部の最下面との間の高さ寸法Cは、1枚のワークwの高さ寸法tw未満となるように設計される。これにより、規正部材の規正面で、移動テーブル161の直上のワークwを確実に押圧して規正することができる。
なお、高さ寸法twは規正対象のワークwの種類によって異なる。そこで、例えば、規正部材は、接触部の高さ位置を上下に調整可能に接触部を保持してもよい。このような調整機構により、高さ寸法Cをワークwの種類によって調整できる。
図16は、第2実施形態に係る物流システムの動作例を示すフローチャートである。図16のフローチャートは、主に、ステップS7,S11の処理が省略されている点で図15のフローチャートと異なる。
ステップS1〜S5の処理は、図15と同様であるので説明を省略する。次に、制御装置17は、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)を下降させる(ステップS6´)。例えば、制御装置17は、各規正部材の規正面に囲まれる領域の面積が、積み上げ領域A2の面積よりも広く、かつ、移動テーブル161の面積よりも狭くなるように、各規正部材をxy軸方向に移動する。また、制御装置17は、各規正部材の下端部の接触部が、移動テーブル161上面に当接するように(あるいは、僅かに隙間を空けてもよい)、可動部材8を下降させる。なお、この状態において、各規正部材の上端から接触部の下端までの高さ寸法は、1段目のワークWの高さ寸法と同じ又は長い。これにより、1段目のワークWの押圧面の高さ方向全体を押圧することができる。そして、制御装置17は、処理をステップS8に進める。
ステップS8〜S10、ステップS12〜S21の処理は、図15と同様であるので説明を省略する。
以上、本発明の第2実施形態について説明した。本実施形態によっても、変形し易い押圧面を持つ一塊のワークであっても、効率的かつ確実に規正することができる。実際には、パレット4上面の凹凸の影響で移動テーブル161上の位置によって高さが変化する場合があるし、製造上の誤差によりパレット4ごとに高さが異なる場合もある。このような高さの違いに対しては、可動部材8のz軸方向位置を微調整するよりも、突出状態で上下移動自在な規正片14を用いる第1実施形態の規正部材の方が柔軟に対応できる。
[変形例]
図17は、規正部材10bの可変機構の他の例を示す図であり、(a)は長さ寸法を長く設定した状態、(b)は長さ寸法を短く設定した状態である。図17では、規正部材10bに関して代表的に説明するが、規正部材10a,11a,11bも同様の可変機構を有する。
規正部材10bは、2つの規正部材18,19を備える。規正部材19は、手作業により規正部材18に対して着脱可能である。規正部材10bは、動力部M9を備えていない。規正部材19には、規正面と反対側の面上であって規正部材18側に、連結部材20が設けられている。規正部材18,19が水平方向に隣接して配置された状態で、連結部材20は、規正部材18の規正面と反対側の面に固定される。連結部材20と規正部材18は、例えばボルトやクランプなどの1つ以上の固定部材21により互いに固定される。この状態では、規正部材19が規正部材18に対して直線状に接続される。一方、固定部材21を外して規正部材19を取り除けば、規正部材18のみを使用することができる。これにより、規正部材10bの内側の規正面の水平方向の長さを、長短のいずれかに変更できる。
なお、多様な寸法のワークWに対応するため、異なる水平方向の長さの複数の規正部材19を用意しておいてもよい。
図18は、規正部材10bの可変機構のさらに他の例を示す図であり、(a)は長さ寸法を短く設定した状態、(b)は長さ寸法を長く設定した状態である。図18では、規正部材10bに関して代表的に説明するが、規正部材10a,11a,11bも同様の可変機構を有する。
規正部材10bは、2つの規正部材22,23を備える。規正部材23は、水平方向にスライド移動可能に規正部材22に設けられている。図の例では、規正部材22,23は、平らな底面を有するUの字状に形成されており、規正部材23は、規正部材22の内側に挿入されている。動力部M9は、規正部材22の内側に設けられている。動力部M9は、例えば、エアシリンダ等の伸縮部材を含み、伸縮部材の一端部は、規正部材23に接続されている。動力部M9が伸長することで、規正部材23が規正部材22から外に伸長する。動力部M9が収縮することで、規正部材23が規正部材22の中に収縮して仕舞い込まれる。これにより、規正部材10bの内側の規正面の水平方向の長さを、長短のいずれかに変更できる。もちろん、動力部M9は、設けなくてもよい。この場合、ユーザは、手動で規正部材23の位置を調整する。
なお、動力部M9は、伸長端と収縮端の2つの位置のみで停止するだけでなく、両端の中間位置で停止できてもよい。このようにすれば、規正面の長さをより細かく設定できる。
さらに他の変形例では、規正装置1の規正部材10a,10b,11a,11bは、図6、図17、及び図18に示すような可変機構を備えていなくてもよい。この場合は、規正面の水平方向の長さは変更できない。規正部材10a,10b,11a,11bのうちの1〜3つが可変機構を備えるようにしてもよい。
本発明は、上記の各実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能であり、それらの態様を含むものである。ある実施形態の一部の構成要素を、他の実施形態に加えたり、他の実施形態の一部の構成要素と置換したりしてもよい。ある実施形態の構成要素のうち、一部の構成要素を省略することもできる。
例えば、1つ以上のワークWの全方位の側面を押圧する必要がなければ、規正装置1は、少なくとも移動テーブル161の移動方向に沿って配置された1組の規正部材9a,9bを備えていればよい。必要に応じて、規正装置1は、規正部材10a,10b、及び規正部材11a,11bの少なくとも一方を備えればよい。また例えば、全ての各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)が、規正片14を備えていなくてもよい。少なくとも移動テーブル161の移動方向に配置された1組の規正部材9a,9bが、それぞれ1つ以上の規正片14を備えていればよい。
また例えば、1つ以上のワークWを規正する際、規正装置1は、各規正部材(9a,9b,10a,10b,11a,11b)の一部のみを動作させてもよい。
また、図15,16で示したフローチャートのステップ単位は、各装置の処理動作を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。ステップ単位の分割の仕方や名称によって、本発明が制限されることはない。各装置の処理動作は、内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割することもできる。また、1つのステップ単位がさらに多くの処理動作を含むように分割することもできる。さらに、本発明の目的及び効果を達成できるのであれば、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
例えば、上述の実施形態では、1段ずつワークWが積み上げられて規正されるが、複数段ずつワークWが積み上げられて規正されてもよい。
また、規正装置1等の装置の各構成要素の配置、寸法、形状等の構成は、本発明の目的を達成できれば、上記に説明あるいは図示した例に限られない。また例えば、「水平」、「垂直」、「直交」、「平面」などの構成要素の関係や形状を表す言葉は、本発明の目的及び効果を達成できるのであれば、言葉どおりの厳密な意味に限られず、その意味と実質的に同一な場合も含むことができる。
本発明は、テーブル装置を含む規正装置、テーブル装置を含まない規正装置、テーブル装置、制御装置、規正方法、コンピュータ読み取り可能なプログラム、などの様々な態様で提供することができる。
また、本発明は、段ボールシートだけでなく、規正を必要とする様々なワークに関して利用することができる。