JP6355103B2 - 加熱装置および加熱方法 - Google Patents
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Description
また、管状火炎が生成している燃焼室は内壁(壁面)が常温の未燃焼の混合気(酸化剤と燃料との混合気体)に覆われるため、外部への放熱損失がきわめて小さくなり、場合によっては断熱材を低減・省略することも可能となる。
すなわち管状火炎バーナを用いることにより、加熱装置の省エネルギーと省コストを実現できる。
以下に図1を参照して加熱装置1および加熱方法について説明する。図1は、加熱装置1の構成を示す斜視図である。図1に示す通り、第1実施形態に係る加熱装置1は、その軸方向(図中の矢印A)に沿って、材料送出部F(材料供給部)と、導入部50と、予熱部40と、連結部51と、管状火炎バーナ10と、冷却部52と、材料回収部W(材料供給部)とを有する。導入部50と、予熱部40と、連結部51と、管状火炎バーナ10と、冷却部52は、いずれも同程度の内径をもつ管状の部材であり、その内部の筒状空間を連通させた状態にて、その軸同士を一直線上に沿わせた状態で、上記の順番で軸方向に連結接続されている。本実施形態では、材料送出部Fと材料回収部Wとで材料供給部を構成する。
材料送出部Fは、導入部50の開口部に被加熱材料Mを供給する。材料送出部Fから供給されて管状火炎バーナ10で加熱される被加熱材料Mは、線状のまたは棒状の材料であり、鋼鉄線や非鉄金属、例えば銅の細線等である。被加熱材料Mは、管状の導入部50、予熱部40、連結部51、管状火炎バーナ10、冷却部52の内部空間の中央付近を通過して、材料回収部Wへと送られる。すなわち材料送出部Fは、管状火炎バーナ10の内部空間である燃焼室11の径方向の中央部に、燃焼室11の軸方向に沿って被加熱材料Mを供給する。導入部50へ供給する被加熱材料Mは1本でもよいし、一度に複数(例えば、10本)の被加熱材料Mを導入部50へ供給してもよい。
以下、導入部50等の軸方向に沿った被加熱材料Mの供給方向の上流側を単に「上流側」と、被加熱材料Mの供給方向の下流側を単に「下流側」という。
導入部50は、内部に筒状の空間をもつ管状の部材であり、上流側の開口部から被加熱材料Mが供給される。連結部51はガス排出部Eを有する。導入部50の内部には、その下流に接続される予熱部40から、予熱部40での燃焼ガスの燃焼により生じる燃焼排ガスが流入するが、その燃焼排ガスはガス排出部Eを通じて加熱装置1の外部に排出される。
予熱部40は、内部に筒状の予熱燃焼室41をもつ管状の部材であり、導入部50の下流側に連結して配置される。予熱燃焼室41の壁面には、軸方向に沿って開口するスリット42が設けられる。本実施形態ではスリット42は、予熱燃焼室41の軸に関して対称となる位置に2つ設けられているが、3つ以上設けることも可能である。なお、予熱量を増やす必要がある場合、あるいは未燃焼ガスが可燃範囲の濃度を下回る場合には、酸化剤に燃料を予混合させたり、スリットの一部を燃料供給用に使うことも可能である。
スリット42に供給される酸化剤としては、後述の管状火炎バーナ10に供給される酸化剤と同様のものが用いられる。
連結部51は、内部に筒状の空間をもつ管状の部材であり、予熱部40の下流側に連結して配置される。連結部51には、下流側に連結して配置される管状火炎バーナ10から火炎の一部と燃焼ガスが流入し、燃焼ガスは上流側の予熱部40に送られる。管状火炎バーナ10は被加熱材料Mの加熱や溶融に必要な所定の温度に所定時間保たれる必要があり、一方予熱部40は被加熱材料Mの酸化速度が問題とならないように、より低い温度に保つ必要がある。そのため連結部51は、必要となる長さや断熱性を備えて配置される。
管状火炎バーナ10は、上流側の管状火炎バーナ10aと下流側の管状火炎バーナ10bとが軸方向に隣接して複数段(2段)設けられている。
管状火炎バーナ10aは、内部に筒状の燃焼室11aをもつ管状の部材であり、連結部51の下流側に連結して配置される。燃焼室11aの内壁部15a(壁面)には、軸方向に沿って開口するスリット12aが設けられる。そしてスリット12aから酸化剤と燃料との混合気体を燃焼室11へ噴出させて旋回燃焼させるように構成されている。
管状火炎バーナ10bは、内部に筒状の燃焼室11bをもつ管状の部材であり、管状火炎バーナ10aの下流側に連結して配置される。燃焼室11bの内壁部15b(壁面)には、軸方向に沿って開口するスリット12bが設けられる。そしてスリット12bから酸化剤と燃料との混合気体を燃焼室11へ噴出させて旋回燃焼させるように構成されている。
スリット12a、12bは、燃焼室11a、11bの軸に関して対称となる位置に、それぞれ2つずつ設けられているが、3つ以上設けることも可能である。
本実施形態では、制御装置20(供給量制御手段)が、燃焼室11において当量比が1より大きくなるように、酸化剤の燃焼室11への供給量を制御する。より詳しくは、燃料の供給量を制御することにより管状火炎バーナ10a、10bにおける燃焼量(発熱量)を制御し、酸化剤の供給量を制御することにより燃焼室11a、11bにおける当量比を制御する。
例えば、融点が低い被加熱材料Mを溶融させずに焼き入れを行う場合には管状火炎バーナ10bのみを選択し、スリット12bから酸化剤と燃料とを噴出させる。そうすると、下流側のスリット12bから管状火炎が生成し、管状火炎バーナ10a、10bの両方を選択した場合に比べて管状火炎が短くなるので、被加熱材料Mの温度を過度に上昇させて溶融させることなく、適切な温度で焼き入れを行うことができる。
例えば、高温での焼鈍が必要な被加熱材料Mを加熱する場合には管状火炎バーナ10a、10bの両方を選択し、スリット12aと12bから酸化剤と燃料とを噴出させる。そうすると、スリット12aと12bの両方から管状火炎が生成し、それらが一体となった長い管状火炎が生成する。つまり、管状火炎バーナ10bのみを選択した場合に比べて管状火炎が長くなるので、被加熱材料Mを十分に加熱することができる。
なお本実施形態では、軸方向に隣接するスリットを2つ設けたが、1つ設けてもよいし、3つ以上設けてもよい。更には、燃料と酸化剤を別個のスリットから供給して、急速混合型の管状火炎バーナとしてもよい。
冷却部52は、内部に筒状の空間をもつ管状の部材であり、管状火炎バーナ10の下流側に連結して配置される。冷却部52は、冷却ガス供給路33が接続された冷却ガス導入部53と、冷却ガス排出部54とを有する。冷却部52の内部空間には、通過穴14を通って管状火炎バーナ10で加熱された被加熱材料Mが供給され、冷却ガス導入部53から導入された冷却ガスにより被加熱材料Mが冷却される。高温である被加熱材料Mの酸化を抑制するため、冷却ガスとしては窒素や希ガスなどの不活性ガスが用いられる。被加熱材料Mを冷却した冷却ガスは、冷却ガス排出部54から加熱装置1の外部へ排出される。なお、冷却ガス排出部54を設けず、冷却部52の下流側の開口部から冷却ガスを排出するように構成してもよい。また、冷却ガスに換えて水や油を噴霧して被加熱材料Mを冷却するように構成してもよい。あるいは、被加熱材料Mを油槽または水槽へ送り込んで急冷するように構成してもよい。
材料回収部Wは、冷却部52の下流側に配置され、冷却部52から送られる被加熱材料Mを回収して、例えばリールに巻き取りつつ、線状または棒状の被加熱材料Mに所定の張力を付与してたるみを少なくし、被加熱材料Mが管状火炎バーナ10等の管状部材に接触することを防止する。
上述の第1実施形態では、管状火炎バーナ10をはじめとする管状部材を、その軸同士を一直線上に沿わせた状態で配置して、線状または棒状の被加熱材料Mを加熱した。本実施形態では、例えばアルミや亜鉛等の融点の比較的低い金属等を加熱して溶融させるにあたり、管状火炎バーナ10をはじめとする管状の部材を、その軸を鉛直方向に向けた状態で配置し、さらに管状火炎バーナ10の下方に管状火炎バーナ10にて溶融された被加熱材料Mを貯留する保持炉Kを設ける。
成形機Pは、材料送出部Fの上流側に設けられ、インゴット等の原材料を、線状または棒状に機械的に成形して被加熱材料Mとし、材料送出部Fに供給する。成形機Pとしては、プレス装置やローラー式延伸装置等が用いられる。なお、成形機Pを材料送出部Fの上流側に設けず、加熱装置1とは別の場所で原材料を被加熱材料Mへと成形し、材料送出部Fに供給するように構成してもよい。
材料送出部Fは、成形機Pで成形されて線状または棒状となった被加熱材料Mを、導入部50の開口部に供給する。材料送出部Fは、図示しないモータにより駆動される2本のローラで構成され、回転するローラの間に被加熱材料Mを挟み込み、導入部50へ供給する。
連結部51は、燃焼ガス供給部135を有する。燃焼ガス供給部135は燃焼ガス供給路134と連結され、後述する保持炉Kの燃焼ガス排出部133から排出される燃焼ガスを連結部51の内部空間に導入する。その燃焼ガスは、後述する上流側壁部113の存在により、連結部51の上流側に配置された予熱部40へと導かれ、予熱部40において供給された酸化剤と混合されて燃焼する。
管状火炎バーナ10は、第1実施形態と異なり、その軸を鉛直方向に向けて配置される。したがって、管状火炎バーナ10で加熱され溶融された被加熱材料Mは、重力の作用により即時に被加熱材料Mと分離されて下方へと落下し、保持炉Kの保持室136にて溶融状態で保持される。
保持炉Kは、管状火炎バーナ10の下方に、その内部の保持室136と管状火炎バーナ10の燃焼室11とを連通させた状態で配置される。保持室136には、管状火炎バーナ10から溶解状態の被加熱材料Mと、燃料の燃焼により生じた燃焼ガスが供給される。保持室136の内部には高温の燃焼ガスが充満するので、溶融した被加熱材料Mが溶融状態を保ったまま貯留される。また、燃焼ガスは還元性雰囲気のため、保持室136における被加熱材料Mの酸化が抑制される。保持炉Kにおいて被加熱材料Mが溶融状態を保ったまま貯留される間に、合金を形成する他の微量成分を加えて合金の溶湯とされ、また貯留の間に合金組成と温度の安定化が行われる。
(1)
上述の第1実施形態、第2実施形態においては、ベンチュリーミキサ26にて燃料と酸化剤とを混合して、管状火炎バーナ10のスリット12a、12bから噴出させたが、酸化剤と燃料とを個別に管状火炎バーナ10のスリット12a、12bから噴出させても良い。例えば、燃焼室11の軸に関して対称となる位置に2つ設けられたスリット12aのうち、一方から酸化剤、他方から燃料を噴出させ、燃焼室11の内部において急速混合させるよう構成してもよい。スリット12bについても同様である。この場合、いわゆる逆火が生じないので、安全に燃焼を行わせることができる。
上述の第1実施形態、第2実施形態においては、制御装置20(供給量制御手段)が流量調整弁21および流量調整弁24を制御して、燃焼室11における当量比が1より大きくなるように酸化剤の燃焼室11への供給量を制御したが、流量調整弁21および流量調整弁24を手動で調整して、燃焼室11における当量比が1より大きくなるように酸化剤と燃料とを燃焼室11へ噴出させてもよい。
第1実施形態および第2実施形態において、管状火炎バーナ10のスリット12a、12bに供給される酸化剤と、予熱部40のスリット42に供給される酸化剤とは、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。例えば、管状火炎バーナ10のスリット12a、12bには酸素富化空気を供給し、予熱部40のスリット42には空気を供給してもよい。
第2実施形態において、燃焼ガス供給路134またはガス排出部Eの下流側にブロアを設け、保持室136から燃焼ガスを吸引し、保持室136の内部を負圧としてもよい。あるいは、ガス排出部Eを煙突に接続してそのドラフト効果により燃焼ガスを吸引してもよい。この場合、燃焼ガスが取出口137から漏れ出るのを抑制するため、より安全性の高い加熱装置1を実現できる。
第1実施形態においては燃焼室11の下流側の端部にオリフィスを有する下流側壁部13(下流側流通抑制手段L)が設けられ、燃焼ガスの大部分が管状火炎バーナ10の上流側へと導かれた。これに換えて、あるいは加えて、ガス排出部Eを煙突に接続してそのドラフト効果により燃焼ガスを上流側へと導いてもよいし、ガス排出部Eに誘引ファンを設けて吸引することにより燃焼ガスを上流側へと導いてもよい。第2実施形態においても同様である。
10a :管状火炎バーナ
10b :管状火炎バーナ
11 :燃焼室
12a :スリット
12b :スリット
13 :下流側壁部(下流側流通抑制手段L)
14 :通過穴(下流側流通抑制手段L)
15 :内壁部
20 :制御装置(供給量制御手段)
40 :予熱部
41 :予熱燃焼室
42 :スリット
113 :上流側壁部(上流側流通抑制手段U)
114 :通過穴(上流側流通抑制手段U)
134 :燃焼ガス供給路
136 :保持室
137 :取出口
F :材料送出部(材料供給部)
K :保持炉
M :被加熱材料
P :成形機
W :材料回収部(材料供給部)
Claims (13)
- 円筒状の燃焼室の壁面に軸方向に沿って開口するスリットから前記燃焼室の前記壁面の接線方向に向けて、酸化剤と燃料とを個別に、または混合して噴出させて旋回燃焼させる管状火炎バーナと、
前記燃焼室の径方向の中央部に、前記燃焼室の軸方向に沿って線状または棒状の被加熱材料を供給する材料供給部と、
前記燃焼室において当量比が1より大きくなるように酸化剤の前記燃焼室への供給量を制御する供給量制御手段とを有する加熱装置。 - 前記燃焼室内に、前記燃焼室の径方向において前記壁面から前記燃焼室の中心軸に向かって順に、燃焼前の燃料と酸化剤とが存在する未燃焼領域と、燃料の燃焼反応が進行する火炎領域と、燃焼反応終了後の還元性の燃焼ガスが存在する燃焼ガス領域とが同心の層状に形成され、前記材料供給部は前記被加熱材料を前記燃焼ガス領域に供給する請求項1に記載の加熱装置。
- 軸方向に隣接する複数段の前記管状火炎バーナを有し、前記供給量制御手段は、作動させる前記管状火炎バーナを選択する請求項1または2に記載の加熱装置。
- 前記管状火炎バーナに対して被加熱材料の供給方向の上流側に配置され、前記管状火炎バーナにて生じる還元性の燃焼ガスを酸化剤と混合して燃焼させて被加熱材料を加熱する予熱部を有する請求項1ないし3のいずれか1項記載の加熱装置。
- 前記予熱部は円筒状の予熱燃焼室を有し、前記予熱燃焼室の壁面に軸方向に沿って開口するスリットから前記予熱燃焼室の壁面の接線方向に向けて、酸化剤を噴出させて、前記管状火炎バーナにて生じる還元性の燃焼ガスを燃焼させる請求項4に記載の加熱装置。
- 前記予熱部が前記管状火炎バーナにて生じる還元性の燃焼ガスに点火するパイロットバーナを有する請求項4または5に記載の加熱装置。
- 前記管状火炎バーナに対して被加熱材料の供給方向の下流側に配置され、前記管状火炎バーナにて生じる還元性の燃焼ガスの被加熱材料の供給方向の下流側への流通を抑制する下流側流通抑制手段を有する請求項4ないし6のいずれか1項記載の加熱装置。
- 前記管状火炎バーナが前記燃焼室の軸方向を鉛直方向に向けた状態で配置され、前記管状火炎バーナの前記燃焼室の下方に前記管状火炎バーナにて溶融された被加熱材料を貯留する保持炉を有する請求項1ないし6のいずれか1項記載の加熱装置。
- 原材料を線状または棒状に成形して被加熱材料とし、前記材料供給部へ供給する成形機を有する請求項8に記載の加熱装置。
- 前記管状火炎バーナに対して被加熱材料の供給方向の上流側に配置され、前記管状火炎バーナにて生じる還元性の燃焼ガスの被加熱材料の供給方向の上流側への流通を抑制する上流側流通抑制手段と、
前記管状火炎バーナに対して被加熱材料の供給方向の上流側に配置され、前記管状火炎バーナにて生じる還元性の燃焼ガスを酸化剤と混合して燃焼させて被加熱材料を加熱する予熱部と、
前記上流側流通抑制手段に対して被加熱材料の供給方向の上流側まで、前記保持炉から燃焼ガスを送る燃焼ガス供給路とを有する請求項8または9に記載の加熱装置。 - 前記保持炉は、溶融状態で貯留された被加熱材料が取り出される取出口と、前記取出口の近傍に設けられ燃焼ガスに点火するパイロットバーナとを有する請求項8ないし10のいずれか1項記載の加熱装置。
- 円筒状の燃焼室の壁面に軸方向に沿って開口するスリットから前記燃焼室の前記壁面の接線方向に向けて、酸化剤と燃料とを個別に、または混合して噴出させて旋回燃焼させる管状火炎バーナを用いて、
前記燃焼室の径方向の中央部に、前記燃焼室の軸方向に沿って線状または棒状の被加熱材料を供給し、
前記燃焼室において当量比が1より大きくなるように酸化剤と燃料とを前記燃焼室へ噴出させて旋回燃焼させ、前記被加熱材料を加熱する加熱方法。 - 前記燃焼室内に、前記燃焼室の径方向において前記壁面から前記燃焼室の中心軸に向かって順に、燃焼前の燃料と酸化剤とが存在する未燃焼領域と、燃料の燃焼反応が進行する火炎領域と、燃焼反応終了後の還元性の燃焼ガスが存在する燃焼ガス領域とを同心の層状に形成し、前記被加熱材料を前記燃焼ガス領域に供給する請求項12に記載の加熱方法。
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