ところで、特許文献1に記載のものでは、制御盤の筐体における天面の上に熱交換装置が取り付けられている。このため、筐体の天面に熱交換装置の重量が作用することとなり、筐体の安定性が低下するおそれがある。さらに、筐体の上側から制御盤や内気用送風機を取り扱うことができず、メンテナンス性に劣る。
本発明は、こうした課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、筐体の安定性を確保しつつ、メンテナンス性を向上させることにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
第1の手段は、冷却装置であって、発熱するコントローラを収容可能な収容室が内部に形成された筐体と、前記筐体内において前記収容室の下方に配置され、所定方向に間隔をおいて前記収容室にそれぞれ連通する第1開口及び第2開口の形成された内気通路と、前記収容室内において前記内気通路の上方、且つ前記第1開口と前記第2開口との間に前記コントローラを取り付け可能とする取付部と、前記収容室内の空気を前記第1開口から前記内気通路内へ吸い込むとともに、前記内気通路内の空気を前記第2開口から前記収容室へ吐出する内気用送風機と、前記内気通路を前記所定方向に貫通する複数の外気通路と、前記筐体外の空気を前記外気通路における前記所定方向の第1端部から前記外気通路内へ吸い込むとともに、前記外気通路内の空気を前記外気通路における前記所定方向の第2端部から前記筐体外へ吐出する外気用送風機と、を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、筐体の内部には、発熱するコントローラを収容可能な収容室が形成されている。筐体内において収容室の下方には、内気通路が配置されている。内気通路には、所定方向に間隔をおいて収容室にそれぞれ連通する第1開口及び第2開口が形成されている。取付部により、収容室内において内気通路の上方、且つ第1開口と第2開口との間にコントローラを取り付けることができる。そして、内気用送風機により、収容室内の空気が第1開口から内気通路内へ吸い込まれるとともに、内気通路内の空気が第2開口から収容室へ吐出される。このため、第1開口及び第2開口により、コントローラを挟んで空気を循環させることができる。さらに、筐体の上側からコントローラや内気用送風機を取り扱うことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
複数の外気通路によって、内気通路が上記所定方向に貫通されている。そして、外気用送風機により、筐体外の空気が外気通路における上記所定方向の第1端部から外気通路内へ吸い込まれるとともに、外気通路内の空気が外気通路における上記所定方向の第2端部から筐体外へ吐出される。このため、収容室から内気通路内に吸い込まれた空気と外気通路内を流通する空気とで外気通路を介して熱交換が行われ、第2開口から収容室へ吐出される空気により収容室内を冷却することができる。さらに、筐体内において収容室の下方に内気通路及び外気通路が配置されているため、収容室の上方や筐体の上方に内気通路及び外気通路が配置された構成と比較して、筐体の安定性を確保することができる。
第2の手段では、前記複数の外気通路は、水平方向及び上下方向にそれぞれ並列に設けられている。
収容室内の空気は、コントローラにより加熱されているため、自然状態では上方へ流れ易い。このため、内気通路が収容室の下方に配置されている構成では、収容室から内気通路内へ吸い込まれた空気は、内気通路の上部に偏って流通し易い。したがって、内気通路内に吸い込まれた空気を冷却する際に、内気通路の下部を有効に利用できないおそれがある。
この点、上記構成によれば、複数の外気通路は、水平方向及び上下方向にそれぞれ並列に設けられている。このため、収容室から内気通路内へ吸い込まれた空気は、水平方向及び上下方向に複数並んだ外気通路の間を、複雑に方向を変えながら通過するようになる。したがって、内気通路内の空気に乱流を生じさせることができ、内気通路の下部まで空気を流通させ易くなる。その結果、空気の冷却に際して内気通路の下部を有効に利用することができ、空気の冷却効率を向上させることができる。
第3の手段では、前記外気通路は断面円形のパイプにより構成されている。
上記構成によれば、外気通路は断面円形のパイプにより構成されている。このため、内気通路内へ吸い込まれた空気は、複数のパイプの間を通過する際に、パイプの外周面に沿ってパイプの裏側へ回り込み易くなる。したがって、内気通路の下部へ空気をより導き易くなり、空気の冷却効率を更に向上させることができる。
第4の手段では、前記内気用送風機は、前記第1開口から前記内気通路内へ向けて空気を吹き付けるものである。
上記構成によれば、内気用送風機により、第1開口から内気通路内へ向けて空気が吹き付けられため、内気通路内の外気通路に空気の流れを直接当てることができる。したがって、内気通路内の空気に乱流を生じさせ易くなるとともに、内気通路の下部まで空気を流通させ易くなる。
第5の手段では、前記外気用送風機には、空気を取り込む取込口が設けられており、前記外気用送風機は、前記取込口が垂直になるように配置されている。
上記構成によれば、空気の取込口が垂直になるように外気用送風機が配置されているため、外気用送風機の取込口に上方からの落下物が当たることを抑制することができる。また、内気用送風機は、筐体内の収容室から筐体内の内気通路へ空気を吸い込むものであるため、通常は筐体内に配置されている。このため、内気用送風機に上方からの落下物が当たることも抑制されている。したがって、上方からの落下物が送風機を損傷することを抑制することができる。
第6の手段では、前記外気通路の前記第2端部に連通するように空気室が設けられており、前記外気用送風機は、前記外気通路内の空気を前記外気通路の前記第2端部から前記空気室を介して前記筐体外へ吐出する。
上記構成によれば、外気通路の上記第2端部に連通するように空気室が設けられている。そして、外気用送風機により、外気通路内の空気が外気通路の第2端部から空気室を介して筐体外へ吐出される。このため、外気通路内の空気は、外気用送風機により減圧された空気室内に一旦吸い込まれる。したがって、外気用送風機が一部の外気通路に向けて空気を吹き付ける構成と比較して、複数の外気通路に満遍なく空気を流通させることができる。その結果、より多くの外気通路を有効に機能させることができ、空気の冷却効率を向上させることができる。
第7の手段では、前記外気通路の前記第1端部に接するようにフィルタが設けられており、前記フィルタは、前記筐体の外部の側面に取り付けられている。
上記構成によれば、外気通路の上記第1端部に接するようにフィルタが設けられているため、外気通路内に吸い込まれる空気をフィルタにより濾過することができる。さらに、フィルタは、筐体の外部の側面に取り付けられているため、フィルタが筐体の外部の下面や筐体の内部に取り付けられた構成と比較して、フィルタのメンテナンス性を向上させることができる。
第8の手段は、冷却装置付コントローラであって、第1〜第7のいずれか1つの手段に記載の冷却装置と、前記収容室内において前記内気通路の上方、且つ前記第1開口と前記第2開口との間に、前記取付部により取り付けられた前記コントローラと、を備え、前記コントローラのケースの互いに対向する側面には、前記収容室内の空気を前記ケース内へ取り込む第3開口と、前記ケース内の空気を前記収容室へ排出する第4開口とが形成されており、前記コントローラは、前記第3開口が前記第2開口側に向き、前記第4開口が前記第1開口側に向くように配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、冷却装置の上記取付部により、収容室内において内気通路の上方、且つ第1開口と第2開口との間にコントローラが取り付けられている。コントローラのケースの互いに対向する側面には、収容室内の空気をケース内へ取り込む第3開口と、ケース内の空気を収容室へ排出する第4開口とが形成されている。このため、コントローラにより加熱されたケース内の空気が第4開口から排出され、第3開口からケース内に空気が取り込まれる。
ここで、コントローラは、第3開口が第2開口側に向き、第4開口が第1開口側に向くように配置されている。このため、ケースの第4開口から排出された高温の空気が、内気通路の第1開口から内気通路内へ吸い込まれ易くなる。また、内気通路の第2開口から排出された冷却後の空気が、ケースの第3開口からケース内へ取り込まれ易くなる。したがって、コントローラのケース内を効果的に冷却することができる。
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、ロボットコントローラを保護する筐体を備え、筐体の内部を冷却する冷却装置、及びその冷却装置を備えるコントローラとして具体化している。この筐体は、国際規格IEC60259に規定される保護等級IPにおいて、IP54を満たすものである。IP54のうち第1記号の「5」は、防塵型であり、粉塵が内部に侵入することを防止し、若干の粉塵の侵入があっても正常な運転を阻害しないことを示す。第2記号の「4」は、いかなる方向からの水の飛沫によっても有害な影響を受けないことを示す。
図1は、冷却装置付コントローラ10の側面透視図である。冷却装置付コントローラ10は、ロボットコントローラ11及び冷却装置20を備えている。冷却装置20は、筐体21を備えている。筐体21の内部には、ロボットコントローラ11を収容可能な収容室21aが形成されている。ロボットコントローラ11(コントローラ)は、収容室21a内に収容されている。詳しくは、ロボットコントローラ11は、角形鋼22及び山形鋼23,24により筐体21に取り付けられている(図2,3参照)。なお、角形鋼22及び山形鋼23,24により、取付部が構成されている。
ロボットコントローラ11は、図示しないロボットの動作を制御するものであり、CPU、ROM、RAM、記憶装置、駆動回路等を備えている。ロボットコントローラ11は、その他に、ケース12、冷却ファン15を備えている。ロボットコントローラ11の構成部品は、ケース12内に収容されている。ケース12は、中空の直方体状に形成されている。ケース12の互いに対向する側面12a,12bには、開口13(第3開口),開口14(第4開口)がそれぞれ形成されている。開口13には、冷却ファン15(送風機)が取り付けられている。そして、ロボットコントローラ11の作動中は、ロボットコントローラ11の各構成部品が駆動に伴って発熱するとともに、冷却ファン15が回転させられる。これにより、斜線ハッチングの矢印に示すように、筐体21の収容室21a内の空気が開口13から取り込まれるとともに、ケース12内の空気が開口14から収容室21aへ排出される。ロボットコントローラ11の消費電力は約400〜500Wであり、ロボットコントローラ11の動作を保証するために50℃以下に維持する必要がある。
筐体21は、ステンレス等により、中空の直方体状に形成されている。筐体21は、上面カバー25、前面部28、後面カバー26、底面部27、隔壁29等を備えている。筐体21の内部は、隔壁29により、上記収容室21aと空気室21bとに区画されている。図2は、冷却装置20の上面カバー25を外した状態を示す上面図である。
図1,2に示すように、冷却装置20は、上記筐体21、上記角形鋼22、上記山形鋼23,24、内気通路部材31、内気ファン33、複数の外気パイプ41、及び外気ファン43等を備えている。
内気通路部材31は、ステンレス等により、溝形に形成されており、フランジ31aを備えている。フランジ31aが締結部材32により固定されることで、筐体21の底面部27に内気通路部材31が取り付けられている。すなわち、内気通路部材31は、収容室21aの下方に配置されている。内気通路部材31の横方向(図2における上下方向)の幅は、上記ロボットコントローラ11の横方向の幅と略等しくなっている。内気通路部材31の縦方向(図1,2における左右方向)の幅は、上記ロボットコントローラ11の縦方向の幅よりも広くなっている。詳しくは、内気通路部材31の縦方向の幅は、収容室21aの縦方向の幅よりも所定幅L1だけ狭くなっている。内気通路部材31の高さ方向(図1における上下方向)の幅は、ロボットコントローラ11の高さ方向の幅よりも狭くなっている。なお、筐体21の底面部27及び内気通路部材31により、内気通路が構成されている。
内気通路部材31の上記隔壁29側の端部は、隔壁29に接する又は隔壁29の近傍に位置している。すなわち、内気通路部材31の隔壁29側の端部は、隔壁29により略塞がれた状態となっている。内気通路部材31の隔壁29と反対側の端部には、開口31bが形成されている。開口31b(第2開口)は、内気通路部材31の横方向の全幅にわたって形成されている。筐体21の前面部28と開口14との距離が、上記所定幅L1となっている。内気通路部材31の上面において、隔壁29側の端部には開口31cが形成されている。開口31c(第1開口)は、横方向に所定の間隔をおいて2つ形成されており、内気ファン33に対応した大きさで形成されている。開口31b及び開口31cは、縦方向(所定方向)に間隔をおいて、収容室21aにそれぞれ連通している。そして、開口31cの上側には、内気ファン33(内気用送風機)が取り付けられている。ロボットコントローラ11は、ケース12の開口13が内気通路部材31の開口31b側に向き、ケース12の開口14が内気通路部材31の開口31c側に向くように配置されている。
上記角形鋼22及び山形鋼23,24は、収容室21a内において内気通路部材31の上方、且つ開口31bと開口31cとの間にロボットコントローラ11を取り付け可能としている。図3は、冷却装置20の前面図である。図3に併せて示すように、筐体21の両側面部に、締結部材22aにより角形鋼22がそれぞれ取り付けられている。各角形鋼22の側面において長手方向の両端部の上部に、締結部材23aにより山形鋼23がそれぞれ取り付けられている。2つの山形鋼23に、締結部材24aにより山形鋼24がそれぞれ取り付けられている。ロボットコントローラ11は、2つの山形鋼24に締結部材(図示略)により取り付けられている。なお、内気通路部材31とロボットコントローラ11との間には空間が形成されており、その空間にロボットコントローラ11のオプションを配置可能となっている。
筐体21の前面部28には、複数の貫通孔28aが形成されている。複数の貫通孔28aは、前面部28において内気通路部材31の開口31cに対向する部分に形成されている。複数の貫通孔28aは、横方向(水平方向)及び高さ方向(上下方向)にそれぞれ並列に形成されている。複数の貫通孔28aは、円形状に形成されている。複数の貫通孔28aは、等間隔で配置されており、互いの間隔は貫通孔28aの径よりも狭くなっている。なお、前面部28には、ロボットコントローラ11に接続されるケーブル(図示略)を挿入可能とするケーブル挿入部28b,28cが取り付けられている。ケーブル挿入部28b,28cには、ケーブルを挿入するための貫通孔が形成されている。ケーブル挿入部28b,28cは、それぞれパッキン51を介して前面部28に取り付けられている。
図4は、冷却装置20の後面カバー26を外した状態を示す後面図であり、主に隔壁29を示している。隔壁29には、ケーブルを挿入可能とするグロメット付きの後面蓋29aが取り付けられている。後面蓋29aは、パッキン51を介して隔壁29に取り付けられている。また、同図に示すように、上記前面部28と同様に、隔壁29にも複数の貫通孔28aが形成されている。隔壁29の複数の貫通孔28aは、前面部28の複数の貫通孔28aと対向する位置にそれぞれ形成されている。
そして、前面部28の各貫通孔28aから隔壁29の各貫通孔28aにわたって、各外気パイプ41が挿入されている。このため、複数の外気パイプ41は、横方向(水平方向)及び高さ方向(上下方向)にそれぞれ並列に設けられている。外気パイプ41(外気通路)は、銅やアルミ、ステンレス等の金属材料により、円管状(断面円形)に形成されている。各貫通孔28aの内周面に、各外気パイプ41の外周面が嵌合している。外気パイプ41の長手方向(所定方向)において、前面部28側の端部41a(第1端部)は前面部28から筐体21の外部へ露出しており、隔壁29側の端部41b(第2端部)は隔壁29から空気室21bへ露出している。すなわち、複数の外気パイプ41は、内気通路部材31(内気通路)を縦方向(所定方向)に貫通している。
外気パイプ41の端部41aに接するように、フィルタ44が取り付けられている。フィルタ44は、フィルタカバー45により、前面部28の外側の面(側面)に取り付けられている。フィルタカバー45は、筐体21の外側から締結部材45aにより、パッキン51を介して前面部28に取り付けられている。冷却装置付コントローラ10の使用環境にもよるが、フィルタ44は2〜4週間程度で交換することが望ましい。
空気室21bの内部には、2つの外気ファン43が設けられている。外気ファン43(外気用送風機)は、後面カバー26の内側の面に取り付けられている。外気ファン43は、空気室21bの下部、すなわち外気パイプ41の端部41bに対向する位置に配置されている。外気ファン43には、空気を取り込む取込口43aが設けられている。外気ファン43は、取込口43aが垂直になるように配置されている。外気ファン43と外気パイプ41の端部41bとは、所定幅L2だけ離れている。2つの外気ファン43は、横方向に互いに間隔をおいて配置されている。
図5は、冷却装置20の後面図であり、主に後面カバー26を示している。後面カバー26は、複数の締結部材26aにより、パッキン51を介して筐体21の後面部に取り付けられている。後面カバー26において外気ファン43と対向する部分、詳しくは外気ファン43の羽根に対向する部分には、複数の貫通孔26bが形成されている。貫通孔26bは、上下方向に延びる長孔状に形成されている。
次に、図1を参照して、ロボットコントローラ11の作動時における冷却装置20の動作を説明する。冷却装置20の動作中は、内気ファン33及び外気ファン43が回転させられる。
ロボットコントローラ11が作動しており、冷却ファン15が回転させられている。これにより、斜線ハッチングの矢印に示すように、収容室21a内の空気がケース12の開口13からケース12内に取り込まれる。ケース12内に取り込まれた空気は、ロボットコントローラ11のケース12内を冷却するとともに、ロボットコントローラ11の各構成部品が発生する熱により加熱される。加熱された空気は、ケース12の開口14から収容室21aへ排出される。
開口14から排出された空気は、網目ハッチングの矢印で示すように、開口14の下方に設けられた内気ファン33により、開口31cから内気通路部材31内へ吸い込まれる。内気通路部材31内に吸い込まれた空気は、複数の外気パイプ41の間を通り抜けながら、隔壁29側から前面部28側へ流通する。そして、内気通路部材31内を流通した空気は、開口31bから収容室21aへ吐出される。開口31bから収容室21aへ吐出された空気は、網目ハッチングの矢印で示すように、前面部28の内側の面に沿って上方へ流通する。そして、収容室21a内の空気は、再びロボットコントローラ11のケース12の開口13からケース12内に取り込まれる。
また、白抜きの矢印に示すように、外気ファン43により、取込口43aから空気室21b内の空気が取り込まれて筐体21の外部へ排出される。これにより、空気室21b内の圧力が低下し、空気室21bに連通する外気パイプ41から空気室21b内へ空気が吸い込まれる。そして、外気パイプ41内の空気が、前面部28側から隔壁29側へ流通する。このため、白抜きの矢印に示すように、外気パイプ41を介して筐体21外の空気が、外気パイプ41の端部41aから外気パイプ41内へ吸い込まれる。このようにして、外気パイプ41内の空気は、外気パイプ41の端部41bから、空気室21bを介して筐体21外へ吐出される。そして、収容室21aから内気通路部材31内に吸い込まれた空気と外気パイプ41内を流通する空気とで外気パイプ41を介して熱交換が行われ、開口31bから収容室21aへ吐出される空気により収容室21a内を冷却することができる。なお、外気パイプ41内に吸い込まれる空気は、上記フィルタ44により濾過される。
ここで、ロボットコントローラ11のケース12から収容室21aへ排出された空気は、加熱されて温度が高いため、自然状態では上方へ流れ易い。このため、内気通路部材31(内気通路)が収容室21aの下方に配置されている構成では、収容室21aから内気通路部材31内へ吸い込まれた空気は、内気通路部材31の上部に偏って流通し易い。したがって、内気通路部材31内に吸い込まれた空気を冷却する際に、内気通路部材31の下部を有効に利用できないおそれがある。
この点、複数の外気パイプ41は、水平方向及び上下方向にそれぞれ並列に設けられている。このため、収容室21aから内気通路部材31内へ吸い込まれた空気は、水平方向及び上下方向に複数並んだ外気パイプ41の間を、複雑に方向を変えながら通過するようになる。したがって、内気通路部材31内の空気に乱流を生じさせることができ、内気通路部材31の下部まで空気を流通させることができる。さらに、外気パイプ41は円管状(断面円形)に形成されている。このため、内気通路部材31内へ吸い込まれた空気は、複数の外気パイプ41の間を通過する際に、外気パイプ41の外周面に沿って外気パイプ41の裏側へ回り込み易くなる。
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
・角形鋼22及び山形鋼23,24により、収容室21a内において内気通路部材31の上方、且つ開口31bと開口31cとの間にロボットコントローラ11が取り付けられている。そして、内気ファン33により、収容室21a内の空気が開口31cから内気通路部材31内へ吸い込まれるとともに、内気通路部材31内の空気が開口31bから収容室21aへ吐出される。このため、開口31b及び開口31cにより、ロボットコントローラ11を挟んで空気を循環させることができる。さらに、上面カバー25を外すことにより、筐体21の上側からロボットコントローラ11や内気ファン33を取り扱うことができ、メンテナンス性を向上させることができる。
・筐体21内において収容室21aの下方に内気通路部材31及び外気パイプ41が配置されているため、収容室21aの上方や筐体21の上方に内気通路部材31及び外気パイプ41が配置された構成と比較して、筐体21の安定性を確保することができる。
・複数の外気パイプ41は、水平方向及び上下方向にそれぞれ並列に設けられている。したがって、内気通路部材31内の空気に乱流を生じさせることができ、内気通路部材31の下部まで空気を流通させ易くなる。その結果、空気の冷却に際して内気通路部材31の下部を有効に利用することができ、空気の冷却効率を向上させることができる。
・外気パイプ41は断面円形に形成されている。このため、内気通路部材31内へ吸い込まれた空気は、複数のパイプの間を通過する際に、パイプの外周面に沿ってパイプの裏側へ回り込み易くなる。したがって、内気通路部材31の下部へ空気をより導き易くなり、空気の冷却効率を更に向上させることができる。
・内気ファン33により、開口31cから内気通路部材31内へ向けて空気が吹き付けられため、内気通路部材31内の外気パイプ41に空気の流れを直接当てることができる。したがって、内気通路部材31内の空気に乱流を生じさせ易くなるとともに、内気通路部材31の下部まで空気を流通させ易くなる。
・空気の取込口43aが垂直になるように外気ファン43が配置されているため、外気ファン43の取込口43aに上方からの落下物が当たることを抑制することができる。また、内気ファン33は、筐体21内に配置されている。このため、内気ファン33に上方からの落下物が当たることも抑制されている。したがって、上方からの落下物がファン33,43を損傷することを抑制することができる。
・外気ファン43により、外気パイプ41内の空気が外気パイプ41の端部41bから空気室21bを介して筐体21外へ吐出される。このため、外気パイプ41内の空気は、外気ファン43により減圧された空気室21b内に一旦吸い込まれる。したがって、外気ファン43が一部の外気パイプ41に向けて空気を吹き付ける構成と比較して、複数の外気パイプ41に満遍なく空気を流通させることができる。その結果、より多くの外気パイプ41を有効に機能させることができ、空気の冷却効率を向上させることができる。
・フィルタ44は、筐体21の前面部28の外側の面に取り付けられているため、フィルタ44が筐体21の底面部27や筐体21の内部に取り付けられた構成と比較して、フィルタ44のメンテナンス性を向上させることができる。
・ロボットコントローラ11は、開口13が開口31b側に向き、開口14が開口31c側に向くように配置されている。このため、ケース12の開口14から排出された高温の空気が、内気通路部材31の開口31cから内気通路部材31内へ吸い込まれ易くなる。また、内気通路部材31の開口31bから排出された冷却された空気が、ケース12の開口13からケース12内へ取り込まれ易くなる。したがって、ロボットコントローラ11のケース12内を効果的に冷却することができる。
上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。なお、上記実施形態と同一の部材については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
・図6に示すように、高さ方向(上下方向)に外気パイプ41(端部41b)を並べる間隔に対して、横方向(水平方向)に外気パイプ41を並べる間隔を広くすることもできる。この場合、横方向において、外気パイプ41同士の間隔は、外気パイプ41の径よりも広くなっている。こうした構成によっても、内気通路内の空気に乱流を生じさせることができる。
・図7に示すように、複数の外気パイプ41(端部41b)を千鳥状に配置することもできる。すなわち、高さ方向(上下方向)に隣り合う外気パイプ41の行では、外気パイプ41の横方向(水平方向)の位置が互いにずれている。こうした構成によっても、内気通路内の空気に乱流を生じさせることができる。すなわち、複数の外気パイプ41は、水平方向及び上下方向にそれぞれ並列に設けられているとよい。
・外気パイプ41(貫通孔28a)の断面形状は、円形に限らず、矩形等を採用することもできる。また、図8に示すように、隔壁141aにより区切られた通路141を外気通路とすることもできる。その場合は、通路141同士の間の通路142が内気通路の一部となる。この場合も、内気通路部材31(内気通路)を複数の通路141(外気通路)が縦方向に貫通している。なお、隔壁141aは、個別に形成されていてもよいし、板を蛇行させるように折り曲げて形成されていてもよい。
・図9に示すように、内気通路部材31の上面(取付部)にロボットコントローラ11を取り付けることもできる。こうした構成によれば、筐体21(冷却装置20)の高さを抑制することができる。
・図10に示すように、内気通路部材31を、前面部28に接するまで又は前面部28の近傍まで延長し、開口31bに代えて内気通路部材31の上面に開口31d(第2開口)を形成することもできる。こうした構成によっても、網目ハッチングの矢印に示すように、開口31dから吐出された空気を、前面部28に沿って上方へ流通させることができる。また、開口31dを複数形成することもできる。
・ロボットコントローラ11のケース12において、上面や下面に開口(第4開口)を形成することもできる。
・外気ファン43の取込口43aが、垂直から若干傾いた構成を採用することもできる。例えば、外気ファン43の取込口43aが、外気パイプ41の端部41bに向かって斜め下方に傾いた構成を採用することもできる。
・外気ファン43により、筐体21外の空気を、空気室21bを介して外気パイプ41へ吹き付ける構成を採用することもできる。また、外気ファン43を、外気パイプ41の端部41a側(前面部28側)に配置することもできる。その場合、外気ファン43により外気パイプ41内の空気を吸い込む構成でもよいし、外気ファン43により外気パイプ41へ空気を吹き付ける構成でもよい。
・筐体21の形状は、中空の直方体状に限らず、側面や上面が曲面で形成されている等、他の形状を採用することもできる。
・冷却装置20は、ロボットコントローラ11に限らず、工作機械のコントローラや通信装置のコントローラ等に適用することもできる。