以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る電子機器と電子機器を遠隔操作する情報端末とが、無線通信を行う方法について説明する図である。
図1に示す電子機器200は、撮像機能を有する機器であり、実施例では、電子スチルカメラ(以下DSC(Digital Still Camera)200とする)である。DSC200は、無線モード設定・解除スイッチ210cの押下等により、図1の情報端末300から通信される動作指令に応じて遠隔操作が可能な動作モードを選択することが可能である。情報端末300は、実施例では、スマートフォンである。
DSC200は、情報端末300と通信を行うために、少なくとも、WLAN(Wireless Local Area Network)通信回路d(第一通信回路)216と、NFC(Near Field Communication)通信回路d(第二通信回路)230とを有する。
情報端末300は、DSC200と通信を行うために、少なくとも、WLAN通信回路s(第一通信回路)312と、NFC通信回路s(第二通信回路)314とを有する。
ここで、DSC200及び情報端末300の構成の末尾にそれぞれ「d」及び「s」の符号を付すことにより、各構成を区別している。上の例では、DSC200のWLAN通信回路は、「WLAN通信回路d」とし、情報端末300のWLAN通信回路は、「WLAN通信回路s」と表記している。
情報端末300は、NFC通信回路s314を用いて、DSC等の電子機器200から、SSID(Service Set Identifier)や暗号キー等のWLAN通信に必要な通信パラメータを取得する。そして、情報端末300は、取得した通信パラメータを用いて、電子機器200との間でWLANによる通信動作を行う。DSC200等の電子機器は、情報端末300から無線を介して動作指令を受けると、これにしたがった動作を実行する。本実施形態に係るDSC200等の電子機器においては、情報端末300から無線を介して撮影動作等の動作指令を受けると、指示された動作にWLAN通信が不要であるか否かを判定する。指示された動作にWLAN通信が不要である場合、DSC200等の電子機器は、WLAN通信の動作を中断して指示された撮影動作等の動作を実行し、情報端末300から指示された動作の終了後に、WLAN通信動作を再開する。実施例では、DSC200等の電子機器側がアクセスポイントとして動作し、ビーコンを送信する構成である場合には、指示された動作中はビーコンの送出を停止させる。
次に、DSC200及び情報端末300の構成や、DSC200がアクセスポイントとして動作する場合の動作について、図面を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係るDSC200のブロック構成図である。図2においては、DSC200及びDSC200に着脱される交換レンズ100のブロック構成図を示している。
図2に示すDSC200は、交換レンズ100が一体化された構成であっても構わない。DSC200(カメラ本体)は、構成要素として、システムコントローラ202、撮像素子204、シャッタ206、シャッタ駆動部208、カメラ操作部210、コネクタ212、電源回路d214、WLAN通信回路d216、NFC通信回路d230、ビューファインダ218、接眼検出部220、背面表示部222、メモリカードd224、ワークメモリd226、不揮発性メモリd228、スピーカ236、音声処理回路232及びマイクロフォン234を有する。
交換レンズ100は、構成要素として、レンズコントローラ102、レンズ操作部104、レンズ駆動部106、絞り駆動部108、絞り110及び撮影レンズ112を有する。
DSC200のシステムコントローラ202は、DSC200と交換レンズ100とを統括して制御する制御部である。カメラ操作部210は、無線モード設定・解除スイッチ210c等を含んで構成される。ユーザによる各種スイッチの操作に応じて、システムコントローラ202は、所定の動作を実行する。
撮像レンズ112の光束は、撮像素子204の撮像面に被写体像を形成する。撮像素子204は、被写体像(光学像)を電気信号(画像データ)に変換し、システムコントローラ202へと出力する。シャッタ206の開閉動作は、シャッタ駆動部208によって行われる。システムコントローラ202は、シャッタ量を制御する。
交換レンズ100の絞り110は、絞り駆動部108によって行われる。レンズコントローラ102は、DSC200のコネクタ212を介してDSC200のシステムコントローラ202と通信し、システムコントローラ202の指令に応じて、絞り110を制御する。
このように、システムコントローラ202は、シャッタ206と絞り110を被写体の明るさに応じて制御することで、撮像素子204への露光量を制御する。
また、システムコントローラ202は、撮像素子204が出力する電気信号から被写体のコントラスト値を算出し、コントラスト値に応じて、レンズコントローラ102へ撮影レンズ112の駆動を指示する。レンズコントローラ102は、この指示に応じてレンズ駆動部106を制御する。レンズ操作部104は、撮影レンズ112を手動で駆動する際にユーザにより操作される。
電源回路d214は、DSC200内の電池(図2においては不図示)の電力を、DSC200内部の回路とアクチュエータ、交換レンズ100内の回路とアクチュエータへ供給する。
WLAN通信回路d216は、情報端末300とWLANにて通信を行うための回路である。WLAN通信回路d216には、通信パラメータを記憶した図2においては不図示のEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリが接続されている。このEEPROMにはMACアドレス(Media Access Control Address)、送信電力の調整値などが記憶されている。WLANによりDSC200と情報端末300との間で通信回線を開く際に必要な情報である通信パラメータは、例えば、SSID(Service Set Identification)や暗号化キー等であり、これらの情報は、DSC内部の記憶部(不揮発性メモリd228、不揮発性メモリ230c)に記憶されている。SSID、暗号化キーは固定されるものではなく、ユーザの所定の操作に応じて記憶部へアクセスし変更できることが望ましい。
NFC通信回路d230は、情報端末300とNFCにて通信を行うための回路である。詳しくは図4を参照して説明するが、NFC通信回路d230においても、DSC200が情報端末300とWLAN通信を行うために必要な上記の通信パラメータを記憶する、EEPROM等の不揮発性メモリを有する。NFC通信回路d230は、WLANの通信パラメータ等の通信設定情報を情報端末300と送受するときに利用される。
システムコントローラ202は、情報端末300からWLANを介して通信される動作指令に応じて遠隔操作が可能な動作モード(無線モード)が選択されている場合には、WLAN通信回路d216の通信動作を許可する。これと共に、システムコントローラ202は、WLAN通信回路d216経由で受信した情報端末300からの動作指令に基づき、所定の動作を実行する。これについては、後に図5A、図5B等を参照して詳しく説明する。
ビューファインダ218は、電気的に被写体像を観察可能なEVF(Electronic View Finder)である。図2に示すビューファインダ218は、DSC200内部に組み込まれているが、着脱自在な構成としてもよい。ビューファインダ218は、表示素子駆動回路d218a、EVF表示素子218b及び接眼レンズ218cを有する。
システムコントローラ202がビューファインダ218の動作を許可(観察動作を許可)している場合、システムコントローラ202は、撮像素子204から所定のフレームレートで画像データを取得し、表示素子駆動回路d218aへ送信する。表示素子駆動回路d218aは、この画像データに基づきライブビューをEVF表示素子218b上へ表示する。ユーザは、接眼レンズ218cを利用してこの表示を観察できる。システムコントローラ202がビューファインダ218の動作を禁止(観察動作を禁止)している場合、システムコントローラ202は、EVF表示素子218bの表示がなされないようにする。具体的な方法としては、表示素子駆動回路d218aへの画像データの送信を停止する、EVF表示素子218bがバックライトを有する表示素子であればバックライトを消す等が考えられる。ビューファインダ218で消費される電力が減少し、被写体像の観察ができない状態に設定できる方法ならば、いずれの方法を選択してもよい。
背面表示部222は、DSC200の背面側の筐体表面に配置され、光学系(接眼レンズ)を用いることなく、その表示の観察が可能である。背面表示部222は、表示素子駆動回路d222a、表示素子d222b、タッチパネルd222c、タッチパネル駆動回路d222eを有する。
システムコントローラ202が背面表示部222の動作を許可(観察動作を許可)している場合、システムコントローラ202は、撮像素子204から所定のフレームレートで画像データを取得し、表示素子駆動回路d222aへ送信する。表示素子駆動回路d222aは、この画像に基づきライブビューを表示素子d222b上へ表示する。ユーザは、この表示動作によって、被写体像を観察できる。システムコントローラ202が背面表示部222の動作を禁止(観察動作を禁止)している場合、システムコントローラ202は、表示素子d222bの表示ができないようにする。具体的な方法としては、表示素子駆動回路d222aまたは表示素子d222bの動作を停止する、表示素子駆動回路d222aへの画像データの送信を停止する、表示素子d222bがバックライトを有する表示素子であればバックライトを消す等が考えられる。背面表示部222で消費される電力が減少し、被写体像の観察ができない状態に設定できる方法ならば、いずれの方法を選択してもよい。
表示素子d222b上には、タッチパネルd222cが配置され、タッチパネルd222cが指やスタイラスペン等によってタッチされると、タッチパネル駆動回路d222eが、このタッチ位置を検出する。
システムコントローラ202は、接眼検出部220の出力に基づき、ユーザがビューファインダ218を使用しているのか否かを判断する。システムコントローラ202は、接眼検出部220が物体Objを検出することにより、ユーザがビューファインダ218を使用していると判断した場合は、ビューファインダ218の動作を許可する。これと共に、背面表示部222の動作を禁止する。システムコントローラ202が、接眼検出部220が物体Objを非検出であることにより、ユーザがビューファインダ218を使用していないと判断した場合は、ビューファインダ218の動作を禁止する。これと共に、背面表示部222の動作を許可する。
メモリカードd224には、DSC200で撮影された画像データから生成された動画のファイルまたは静止画のファイル等が所定のフォーマットで記憶される。ワークメモリd226は、一時的にデータを保管するための記憶領域として使われる。例えば、この記憶領域は、画像処理動作において使用される。不揮発性メモリd228は、システムコントローラ202によって実行されるプログラムコード、制御パラメータ、通信パラメータ等が記憶されている。
例えば動画記録モードにおいては、マイクロフォン234は、DSC200のユーザの音声等を変換してアナログ音声信号を出力する。音声処理回路232は、マイクロフォン234から入力されたアナログ音声信号を音声データに変換し、得られた音声データをシステムコントローラ202へと出力する。動画データの再生モードにおいては、スピーカ236は、システムコントローラ202の制御にしたがって、音声処理回路232が音声データを変換処理して得られるスピーカ236の駆動信号を出力する。
図3は、情報端末300のブロック構成図である。
情報端末300は、例えば、携帯電話としての機能に加えて、インターネット接続機能、ホームページ閲覧機能、電子メール送受信機能、各種アプリケーションソフトの実行機能等を有する多機能携帯電話が考えられる。情報端末300は、実施例では、上述のとおり、スマートフォンである。
情報端末300は、構成要素として、プロセッサ302、撮像部304、角速度検出部306、加速度検出部308、GPS(Global Positioning System)受信回路310、WLAN通信回路s312、NFC通信回路s314、電話回線通信回路316、赤外線LED318、赤外線通信回路320、電源回路s322、バッテリ324、充電制御回路326、表示部328、スマートフォン操作部330、メモリカードs332、ワークメモリs334、不揮発性メモリs336、音声処理回路338、スピーカ340及びマイクロフォン342を有する。
プロセッサ302は、情報端末300を統括して制御する制御部である。撮像部304は、光学系とイメージセンサとから構成され、被写体像を画像データとして出力する。DSC200と無線通信する際には、撮像部304は、必要な通信設定情報をバーコード画像等の画像データとして取り込む。以下の説明においては、通信設定情報とは、DSC200と情報端末300との間でWLAN通信を行う際に必要な通信パラメータや制御パラメータをいうこととする。プロセッサ302は、取り込んだ画像データから復号化処理を行い、通信設定情報を取得する。
プロセッサ302は、角速度検出部306や加速度検出部308の出力から、情報端末300の姿勢情報と印加された衝撃情報を取得できる。プロセッサ302は、GPS受信回路310の出力から、情報端末300の地球上の位置情報を取得する。
プロセッサ302は、WLAN通信回路s312を介して、DSC200のシステムコントローラ200と無線通信できる。また、WLAN通信回路s312は、WLANのアクセスポイントを介してインターネットに接続する際にも利用される。
NFC通信回路s314は、例えば、情報端末300をプリペイドカードまたはキャッシュカードとして機能させるときに利用できる。また、本実施形態においては、NFC通信回路s314は、WLANを介して情報端末300がDSC200と通信動作を行うときに必要な通信パラメータ等の通信設定情報を、DSC200との間で送受するときにも利用される。
電話回線通信回路316は、情報端末300を携帯電話として機能させる回路である。
赤外線LED318及び赤外線通信回路320は、情報端末300の近くに存在する他の情報端末等と赤外線通信を行う際に利用される。
情報端末300に内蔵されたバッテリ324の出力は、電源回路s322により、所望の電圧に変換され、情報端末300内の回路ブロックへ供給される。充電制御回路326は、情報端末300の外部から供給される電力を制御してバッテリ324を充電する。
表示部s328は、表示素子駆動回路s328a、表示素子s328b、タッチパネルs328c及びタッチパネル駆動回路s328dを有する。DSC200と無線の接続動作を行う際は、情報端末300の表示部s328には、NFC通信回路s314や撮像部304等を介して取得した通信設定情報が表示されてもよい。
DSC200を遠隔操作するソフトが起動すると、表示部s328は、DSC200を操作するためのGUI(Graphical User Interface)として利用される。ユーザが、画面に表示される部材(仮想の操作スイッチ等)にタッチすることにより、情報端末300は、DSC200を遠隔操作することができる。スマートフォン操作部330は、撮影指令スイッチ330a、電源スイッチ330b等を有する。ユーザは、情報端末300を撮像装置として機能させて画像データを取得する際には、撮影指令スイッチ330aを操作する。
メモリカードs332には、電話帳に関する情報、画像データ、電子メールに関する情報、インターネットからダウンロードされたコンテンツ等が記憶されている。ワークメモリs334は、不揮発性メモリs336に記憶されたソフトを実行するための領域、データ処理動作(画像処理や音声処理等)に必要な一時的なデータ記憶領域等に用いられる。
情報端末300を携帯電話として機能させる際には、音声処理回路338、スピーカ340及びマイクロフォン342を利用する。電話回線通信回路316から受信した音声信号は、音声処理回路338で復号化処理され、スピーカ340から音声として出力される。ユーザの音声は、マイクロフォン342から入力され、音声処理回路338で符号化されて電話回線通信回路316から送信される。
本実施形態においては、図2に示すDSC200が図3の情報端末300からの遠隔操作にしたがって所定の動作を行う際に、WLAN通信がその動作に不要である場合は、動作の実行中は、WLANを介しての無線通信を中断させておく。そして、所定の動作の終了後に、WLANを介しての無線通信を再開させる。これにより、DSC200における無用な通信動作による電力の消費を抑制する。DSC200は、情報端末300との間でWLAN通信回線を接続する処理(通信再開時を含む)を実行するときは、NFC通信を利用して通信設定情報の送受を行う。
図4は、DSC200及び情報端末300のNFC通信回路の構成図である。図4を参照して、DSC200及び情報端末300のNFC通信回路の構成及びその動作について、詳細に説明する。
まず、情報端末300は、NFC通信回路s314を有し、このNFC通信回路s314を介して、WLANによる通信に必要な通信パラメータ等の通信設定情報の取得動作を行う。NFC通信回路s314は、DSC200がWLAN通信回路d216の動作を一時的に中断しており、アクセスポイントの動作として必要なビーコンの送出動作を中断している間に、DSC200のWLAN通信動作を再開させるための手段としても使用される。
WLAN通信機能を利用して情報端末300からDSC200の遠隔操作を行う際には、情報端末300とDSC200との間で通信回線を開く必要がある。そこで、まず、情報端末300のプロセッサ302は、NFC通信回路s314を介して、DSC200とWLAN通信動作に必要な通信パラメータ等の取得動作を行う。
DSC200は、図2の説明においても述べたとおり、NFC通信回路d230を有する。図4に示すように、NFC通信回路d230は、電源制御回路230a、RF(Radio Frequency)送信・受信回路230b、不揮発性メモリ230c及びインターフェイス回路230dを含む。DSC200のシステムコントローラ202は、CPU202a、割込み検知回路202d及び通信回路202cを含む。
システムコントローラ202の割込み検知回路202dは、NFC通信回路d230からの通信の要求信号を検出し、CPU202aへ通信の要求信号を割込み信号として出力する。この通信の要求信号は、NFC通信回路d230が、情報端末300等のWLANを介してDSC200と通信可能な電子機器からWLANの接続を求める旨の要求を受けた場合に、割込み検知回路202dに出力する信号である。CPU202aは、割込み検知回路202dから通信の要求信号が入力されると、通信回路202cを介して、NFC通信回路d230と通信動作を行う。
このとき、NFC通信回路d230を動作させるために、ユーザは、図1等に示すように、DSC200と情報端末300とを近接させる。具体的には、DSC200と情報端末300とが接触するくらいに近づけるか、DSC200と情報端末300とを接触させる。
情報端末300のNFC通信回路s314は、電磁誘導を用いて、DSC200のNFC通信回路d230との間で情報を送受する動作と、NFC通信回路d230に向けて電力を送信する動作とを実行可能に構成されている。NFC通信回路s314は、NFCアンテナs344に対し、所定の周波数の駆動信号を印加する。これにより、NFCアンテナs344において生成される磁気エネルギーは、DSC200に設けられたNFCアンテナd238によって受信される。DSC200においては、NFCアンテナd238が受信した磁気エネルギーを、NFC通信回路d230の駆動電力として利用する。
DSC200のNFC通信回路d230には、二つの経路から駆動電力が供給される。第一の電力源は、上記のNFCアンテナd230において受信する電力であり、NFCアンテナd230において受信した電力は、電源制御回路230aによって所定の電圧に変換された後に、NFC通信回路d230を構成するか回路へ分配される。第二の電力源は、DSC200内部の電源回路d214(図2参照)から供給される駆動電力である。
情報端末300のNFC通信回路s314は、NFCアンテナs344に印加する駆動信号を変調することにより、上述のとおり、DSC200のNFC通信回路d230に対して電力を送信すると共に、情報の通信動作を行う。この通信動作に伴い、NFC通信回路s314から送信された通信データ(情報)は、DSC200のRF送信・受信回路230bによって受信される。RF送信・受信回路230bは、受信した通信データをインターフェイス回路230dへと出力する。インターフェイス回路230dは、入力された通信データに含まれる情報に応じて、不揮発性メモリ230cまたは通信回路202cにアクセスする。
なお、DSC200のNFC通信回路d230から情報端末300のNFC通信回路s314へと情報を送信する際には、RF送信・受信回路230bは、送信する情報に応じて、NFCアンテナd238に接続されている負荷(不図示)のインピーダンスを変化させる。情報端末300のNFC通信回路s314は、駆動信号の出力中に生じた負荷変動を検出することで、DSC200のNFC通信回路d230から送信された情報(通信データ)を受信する。
上述のとおり、DSC200のインターフェイス回路230dは、情報端末300から受信したデータに含まれる情報に応じて、NFC通信回路d230内の不揮発性メモリ230dか、あるいは、システムコントローラ202の通信回路202cにアクセスする。また、DSC200のインターフェイス回路230dは、システムコントローラからの通信に応じて、NFC通信回路d230内の不揮発性メモリ230dにアクセスする。これに関しては、NFC通信回路s314は、3とおりの通信モードを有する。具体的には、以下の第一乃至第三の通信モードを有する。
NFC通信回路d230が有する第一通信モード(メモリアクセスモードI)を利用することで、NFC通信回路s314は、NFC通信回路d230の不揮発性メモリ230cに対してアクセスが可能である。第一通信モードにおいては、情報端末300は、DSC200内部の記憶部である不揮発性メモリ230cに記憶された情報の読み出しが可能である。図2の説明において述べたとおり、不揮発性メモリ230cに記憶される情報には、情報端末300とのWLAN通信に必要な通信パラメータが含まれる。また、第一通信モードにおいては、情報端末300は、不揮発性メモリ230cの所望のアドレスへの情報の書き込みも可能である。NFC通信回路d230は、情報端末300から送信される電磁波を動作電力として用いることが出来る。したがって、情報端末300は、DSC200が起動した状態(動作中)であるか、あるいは起動していない状態(非動作中)であるかによらず、DSC200の不揮発性メモリ230cにアクセスして情報の読み出しや書き込みを行うことが可能である。
NFC通信回路d230が有する第二通信モード(中継モード)を利用することで、NFC通信回路s314は、NFC通信回路d230を介して、DSC200のシステムコントローラ202の通信回路202cとの間で情報(通信データ)を送受信することができる。第二通信モードにおいては、DSC200のインターフェイス回路230dは、システムコントローラ202の割込み検知回路202dへと、通信を要求する割込み信号を出力する。システムコントローラ202においては、インターフェイス回路230dからの割込み信号を検出することで、情報端末300からのNFC通信機能による通信要求を検知する。第二通信モードを利用することで、WLAN機能を利用できない場合であっても、情報端末300とDSC200との間で情報(通信データ)の送受信が出来る。
NFC通信回路d230が有する第三通信モード(メモリアクセスモードII)を利用することで、DSC200のシステムコントローラ202の通信回路202cからの要求に応じて、NFC通信回路d230の不揮発性メモリ230cはアクセス可能となる。すなわち、システムコントローラ202は、不揮発性メモリ230cの所望のアドレスに記憶されている情報の読み出し動作を行うこと及び不揮発性メモリ230cの所望のアドレスへの情報の書き込み動作を行うことが出来る。
このように、本実施形態に係るDSC200によれば、WLAN通信回路d216が動作していない期間であっても、NFC通信回路d230を利用して、WLANを介しての通信に必要な通信パラメータ等の通信設定情報を情報端末300との間で送受することができる。そして、DSC200は、情報端末300からの動作指令にしたがって所定の動作を実行する際に、不要なWLANを介しての通信を中断しておき、動作の終了後に中断していた通信を再開させる。以下に、DSC200が、WLANを介しての通信が不要である動作の実行中には、通信を中断しておき、動作終了後に通信を再開する具体的な方法について、図面を参照して説明する。
図5Aと図5Bは、本実施形態に係るDSC200による動作のメインルーチンを示したフローチャートである。DSC200のシステムコントローラ202は、DSC200の電源がオンに切り替えられると、不揮発性メモリd228に記憶されているプログラムコードを読出し、このプログラムコードに基づき図5に示す一連の処理を実行する。
まず、図5AのステップS100で、システムコントローラ202は、システムの初期設定を行う。
ステップS102で、システムコントローラ202は、無線モードの設定スイッチが操作されたか否かを判定する。ステップS102の判定は例えば、図2のスイッチ操作部210のうちの、図1の無線モード設定・解除スイッチ210cが押下されたか否かに基づき行う。あるいは、DSC200に設けられたスイッチ、ボタン、ダイヤル、タッチパネル等の所定の操作部材の操作に基づき判定してもよい。あるいは、操作部材を利用することなく、モード設定する構成としてもよい。例えば、情報端末300等からのNFC通信を介してモード設定に関する信号を受信したか否かにより判定してもよい。
ステップS102において、無線モード設定・解除スイッチ210cの押下等を認識した場合(ステップS102でYesの場合)は、ステップS104に進む。スイッチの押下操作等を認識しなかった場合(ステップS102でNoの場合)は、処理をステップS114へと移行させる。
ステップS104で、システムコントローラ202は、現在設定されているモードを判定する。モードは、2とおり用意されており、DSC200に設けられた操作部材(レンズ操作部104、カメラ操作部210)の操作により撮像等の動作を行う通常モードと、無線を介して情報端末300からの遠隔操作信号により指示された動作を行う無線モードとがある。現在設定されている動作モードが通常モードに設定されている場合は、ステップS106に進み、現在設定されている動作モードが無線モードに設定されている場合は、ステップS110に進む。
ステップS106では、システムコントローラ202は、設定するモードとして、無線モードを選択し、ステップS108で、情報端末300との間の通信回線の接続処理を実行する。通信回線の接続処理の詳細については、後に図6を参照して説明する。
一方、ステップS110では、システムコントローラ202は、設定するモードとして、通常モードを選択し、ステップS112で、情報端末300との通信回線の接続を解除する処理を実行する。通信回線の接続を解除する処理については、公知の技術を用いている。
ステップS108及びステップS110でそれぞれ通信回線の接続処理及び接続解除処理を実行すると、ステップS114へと処理を移行させる。
ステップS114で、システムコントローラ202は、選択されているモードを判定する。通常モードが選択されている場合は、ステップS148に進み、通常の動作を実行し、ステップS102に戻る。ステップS148の通常モードの動作については、公知の技術を用いている。一方、無線モードが選択されている場合は、ステップS116へと処理を移行させる。
ステップS116では、NFC通信回路から新たな情報端末からの通信要求が無いか判定する。新たな通信端末からのWLANの接続要求が検出された際には、ステップS117へ移行して、通信回線の接続処理が実行される。この動作によって新たな情報端末が登録され、この新たな通信端末からもDSC200を遠隔操作が可能となる。ステップS116において通信要求が検出されない場合は、ステップS118へ動作が移行する。
ステップS118で、システムコントローラ202は、情報端末300から、WLANを介して所定の動作を実行する旨の指示を表す情報を受信したか否かを判定する。情報端末300からこの情報を受信しない場合(ステップS118でNoの場合)は、ステップS102に戻る。情報端末300から所定の動作を実行する旨の指示を表す情報を受信した場合(ステップS118でYesの場合)は、ステップS120へと処理を移行させる。
図5BのステップS120で、システムコントローラ202は、情報端末300が指示する動作においては、情報端末300との間でWLANの通信状態を維持する必要があるか否かを判定する。DSC200は、DSC200が実行可能な動作のうち、通信状態を維持する必要のある動作(または必要のない動作)、もしくは、動作ごとに、通信状態を維持する必要があるか否かを、テーブル等で予め不揮発性メモリd228等の記憶部に保持しておく。ステップS120においては、保持しておいたテーブル等を参照して、情報端末300から指示された動作において、WLANの通信状態を維持することの要否を判定する。
通信状態を維持する必要のある動作である場合(ステップS120でNoの場合)は、ステップS134に進み、WLAN通信を維持した状態で、情報端末300から指示された動作を実行し、ステップS136へと処理を移行させる。通信状態を維持する必要のない動作である場合(ステップS120でYesの場合)は、ステップS122に進む。
ここで、WLANの通信状態を維持する必要のない動作の例としては、露出時間が所定時間より長い(例えば10秒以上)撮影、設定された回数と時間間隔で撮影を行うインターバル撮影、指示された撮影開始時間から終了時間までの間の動画撮影、連射撮影に伴う画像処理の動作等が挙げられる。すなわち、動作の実行時間が所定時間より長く、そして動作実行中に情報端末300へ通信を行う必要が無い動作は、通信を維持する必要が無い動作とみなせる。
ステップS122で、システムコントローラ202は、情報端末300から指示された動作を開始する。そして、ステップS124で、システムコントローラ202は、ビーコンの送出を中断する等の通信動作を中断する処理を実行し、ステップS126に進む。ステップS124の通信動作の中断処理の詳細については、後に図7を参照して説明する。
ステップS126で、システムコントローラ202は、ステップS122で開始した動作の終了を認識するか、あるいは、実行中の動作を中止する旨を指示する信号を検出したかを判定する。動作の終了や動作中止の指示があった場合(ステップS126でYesの場合)には、ステップS130に進む。特に動作の終了も動作中止の指示もない場合(ステップS126でNoの場合)には、ステップS128に進む。
ステップS128では、システムコントローラ202は、NFC通信回路d230からの割込み信号を検出したか否かを更に判定する。ここでの割込み信号は、DSC20に対して動作を指示した情報端末300が、NFC通信回路を介して、DSC200とのWLAN通信接続の開始を要求してきた場合に、NFC通信回路d230からシステムコントローラ202に入力される。ユーザは、指示した動作中にWLANの通信を再開したいときは、DSC200の筐体と情報端末300を近接或は接触させればよい。この動作によってNFC通信回路を介してWLANの通信の再開をDSC200へ指示できる。
情報端末300からの要求信号に基づく割込み信号を検出した場合(ステップS128でYesの場合)は、ステップS129へと進み、通信動作の再開処理を実行する。割込み信号を検出しなかった場合(ステップS128でNoの場合)は、ステップS126に戻る。ステップS129の通信動作の再開処理の詳細については、後に図8を参照して説明する。WLANの通信が再開された後も指示された動作の実行は維持される。実行中の動作は、WLANの通信が可能となることによって情報端末300からの操作信号に基づき停止することが可能になる。この動作停止を指示する信号(動作中止信号)は、ステップS126において検出される。WLANの通信が可能となることによって、情報端末300からの操作信号に基づき実行中の動作の動作条件を変更可能になる。また指示された動作の実行状態を示す情報をDSC200から送信させることも可能となる。この情報を情報端末300の表示部へ表示すると、DSC200の動作状態のモニタリングが可能となる。
ステップS128とステップS129の動作が存在することで、必要に応じて、ユーザは、一旦中断した通信動作も再開できる。このことにより、DSC200を遠隔操作する際のユーザの利便性が高まる。
こうして、情報端末300から指示された動作の終了、あるいは、指示された動作の中止を認識すると、処理をステップS126からステップS130へと移行させる。
ステップS130では、システムコントローラ202は、ステップS118において情報端末300から指示された動作の終了に伴う処理、あるいは、動作の中断に応じた処理を実行する。そして、ステップS131では、通信動作の再開処理を実行する前に、すでに通信動作が再開(ステップS129において)されているか検出する。通信動作が再開されていない場合は、ステップS132で、ステップS124において中断した情報端末300との通信を再開するための処理を実行する。ステップS132の通信動作の再開処理の詳細については、後に図8を参照して説明する。
なお、情報端末300から指示された動作を行う際に、一旦中断したWLANの通信動作を再開する要因としては、4とおりが考えられる。(1)情報端末300から指示された所定の動作が正常に終了した場合、(2)指示された動作の実行中に、ユーザが、その動作を中断する操作がDSC200に対してなされた場合、(3)指示された動作の実行中に、動作を継続できない条件を検出した場合、(4)通信動作の再開を要求された場合である。
(2)の場合の具体例としては、例えば、無線モードを解除する操作や、DSC200の電源をオフする操作等があった場合である。(3)の場合の具体例としては、シャッタ206の異常により撮影ができない場合や、電池電圧の低下により、動画の撮影が継続できない場合等である。
図5の説明に戻ると、ステップS136では、システムコントローラ202は、動作結果を情報端末300へ送信する。ここでの動作結果とは、情報端末300が指示した動作が正常に終了した旨、あるいは中断した旨等をいう。さらに動作結果として得られた画像情報等が在る場合は、情報端末へ送信される。
ステップS138で、システムコントローラ202は、DSC200の電源スイッチの状態を判定する。電源スイッチがオン状態である場合は、ステップS102に戻る。電源スイッチがオフ状態に切り替えられたことを認識した場合は、ステップS140に進む。
ステップS140で、システムコントローラ202は、DSC200に設定されているモードが、依然無線モードであるか否かを判定する。無線モードである場合(ステップS140でYesの場合)には、ステップS142に進み、システムコントローラ202は、通常モードを選択する。そして、ステップS144で、通信回線の接続を解除する処理を実行し、ステップS146に進む。ステップS140において、通常モードが設定されている場合(ステップS140でNoの場合)は、特に処理を行わず、ステップS146へと処理を移行させる。
ステップS146で、システムコントローラ202は、システムを停止させるための各種処理を実行し、設定されているパラメータ値を記憶させる等の所定の処理を実行すると、処理を終了させる。
図6は、本実施形態に係るDSC200による通信回線の接続処理(サブルーチン)を示したフローチャートである。図5Aの説明においても述べたとおり、図6は、図5AのステップS108やステップS117の詳細フローを示している。
まず、ステップS200で、システムコントローラ202は、DSC200のモードとして無線モードが選択されてWLANの接続処理が開始したことや、WLANの接続に必要な処理方法を、DSC200の背面表示部22等の表示部に表示させる。ユーザは、表示部に表示された処理方法を参照して、通信パラメータ等の必要な情報の入力作業を行う。
ステップS202で、システムコントローラ202は、NFC通信回路d230からWLANの通信設定情報の取得要求を受信したか否かを判定する。WLANの通信設定情報の取得要求とは、情報端末300が、DSC200との間でWLANの接続を確立するために必要な通信パラメータを、アクセスポイントであるDSC200に対して送信するよう求める信号をいう。NFC通信回路d230からWLANの通信設定情報の取得要求を受信した場合(ステップS202でYesの場合)は、DSC200はNFC通信が可能であるとして、ステップS206に進む。NFC通信回路d230からこの要求信号を受信しなかった場合(ステップS202でNoの場合)は、DSC200はNFC通信ができない状態にあるとして、ステップS204に進む。
ステップS204では、システムコントローラ202は、所定の時間待機する。所定の時間が経過していない場合(ステップS204でNoの場合)は、ステップS202に戻る。これは、DSC200や情報端末300が、一時的にNFC通信ができない状態になり得ることを考慮したものである。所定の時間が経過してもNFC通信回路d230からWLANの通信設定情報の取得要求を受信しない場合(ステップS204でYes)は、情報端末300との間でNFC通信はできないと判断して、ステップS204からステップS207へと処理を移行させる。
ステップS207では、情報端末300との間でNFC通信が不能であるとして、システムコントローラ202は、情報端末300において、WLAN通信回路s314等の不揮発性メモリ等に格納すべき通信設定情報を、表示部に表示させる。ユーザは、ステップS207でDSC200の表示部に表示されるSSIDや暗号化キー等の通信設定情報を参照して、情報端末300に手入力等で通信パラメータの設定処理を行うこととなる。
一方、DSC200が情報端末300とNFC通信が可能である場合は、ステップS206で、システムコントローラ202は、NFC通信回路d230からWLANの通信設定情報を送信する。
ステップS206またはステップS207において、DSC200において保持するWLANの通信設定情報を、表示部に表示する、あるいは、NFCを介して送信する等の処理を実行すると、ステップS208に進む。
ステップS208で、システムコントローラ202は、WLAN通信回路216の動作を開始させる。具体的には、ビーコンの送出を開始する。情報端末300は、ビーコンを検出して、通信パラメータを取得すると、WLANを介しての通信を開始する。
ステップS209で、システムコントローラ202は、DSC200から取得した通信パラメータを利用してWLANの通信動作を開始した情報端末300より、情報端末300の機器情報を取得する。そして、取得した機器情報をWLAN通信回路d216内の不揮発性メモリ等に記憶(登録)する。ステップS209において情報端末300から取得し、登録した情報は、情報端末300とのWLAN通信に利用する。
ステップS210で、システムコントローラ202は、WLAN通信回線の設定動作が終了したか否かを判定する。ステップS210において、WLAN通信回線の設定動作が終了していない場合は、ステップS209に戻る。情報端末300の機器情報の取得及び登録処理が完了すると、処理をステップS210からステップS214へと移行させる。
ステップS214で、システムコントローラ202は、WLANの通信回線の設定動作が終了したことをDSC200の表示部に表示する等により、ユーザに告知する。そして、ステップS216で、システムコントローラ202は、DSC制御サーバーを起動する。DSC制御サーバーは、情報端末300からの遠隔操作信号を解析してDSC200を所定の動作を実行させるプログラムである。ステップS218で、情報端末300からの遠隔操作が可能であることを表示部に表示し、サブルーチン処理を終了しメインルーチンへ戻る。
図7は、本実施形態に係るDSC200による通信動作の中断処理(サブルーチン)を示したフローチャートである。図7は、図5のステップS124の詳細フローを示している。
まず、ステップS300で、システムコントローラ202は、WLANの通信動作を一時的に中断することを、DSC200の背面表示部222等の表示部に表示する。ステップS300の処理により、ユーザは、WLAN通信の中断後も、これからDSC200が実行する撮影動作等によりWLAN通信が不能となったのであり、他の事由によるものではないことや、WLANの通信の中断が一時的なものであることを把握することができる。
そして、ステップS302で、システムコントローラ202は、WLAN通信回路d2216より、情報端末300に向けて、動作時間や通信が中断する時間に関する情報を送信する。ここで、動作時間とは、図5のステップS118で情報端末300より指示された動作に要する時間である。通信が中断する時間とは、情報端末300より指示された動作に要する時間等に基づき算出される、WLAN通信が中断する時間である。
ステップS304で、システムコントローラ202は、WLAN通信回路d216の動作を停止させる。ステップS304においては、WLAN通信回路d216の動作を停止させる他に、DSC200のWLAN用のアンテナから電波を放出する動作を停止して、通信回路の消費電力を下げる構成としてもよい。これにより、不要なビーコン送出による電力の消費を抑制する。
ステップS306で、システムコントローラ202は、DSC200の表示部に、動作の実行に要する時間のカウントダウン表示か、あるいは、WLAN通信を中断中であることを示す表示を開始し、処理を終了する。
なお、ステップS306において、通信動作の中断時間等を表示することで、DSC200においてはWLAN通信ができない状態にあっても、ユーザに対して不安を起こさせない。中断時間の表示形態としては、カウントダウン表示のほかに、グラフを用いて動作進行状況を示す表示等とすることもできる。
図8は、本実施形態に係るDSC200による通信動作の再開処理(サブルーチン)を示したフローチャートである。図8は、図5のステップS132の詳細フローを示している。図5のフローチャートの説明においても記載しているが、WLANの通信動作の再開要因には、(1)情報端末300から指示された所定の動作が正常に終了した場合、(2)指示された動作の実行中に、ユーザが、その動作を中断する操作がDSC200に対してなされた場合、(3)指示された動作の実行中に、動作を継続できない条件を検出した場合、(4)通信動作の再開を要求された場合が考えられる。
まず、ステップS400で、システムコントローラ202は、図7のステップS306で開始したDSC200の表示部への表示を停止して、接続処理を開始することを示す表示を開始する。具体的には、動作の実行に要する時間のカウントダウン表示やWLAN通信を中断中であることを示す表示を停止して、WLAN通信の接続処理を開始する旨をDSC200の表示部に表示する。
ステップS404においては、システムコントローラ202は、WLAN通信回路d216の動作を開始する。具体的には、ビーコンの送出を再開する。システムコントローラ202は、ここで、先に情報端末300とWLANの通信回線の接続処理を実行したときに登録した情報を利用して、WLANの通信回線の接続に必要な各種情報の設定処理を実行する。
ステップS406で、システムコントローラ202は、WLANの通信回線の設定動作が終了したか否かを判定する。WLAN通信回線の設定動作が終了すると、ステップS408に進む。
ステップS408で、システムコントローラ202は、DSC200の表示部に、通信が再開したことと、WLAN通信の再開要因とを表示する。ステップS408においては、システムコントローラ202は、自装置の表示部にWLAN通信の再開要因等の情報を表示すると共に、情報端末300に対して同様の情報を通知すると、処理を終了し、メインルーチンへ戻る。
このように、DSC200は、遠隔操作により情報端末300から指示された所定の撮影動作等を実行するときに、その動作にWLANの通信状態を維持する必要がないと判断した場合は、ビーコンの送出を停止させ、DSC200における電力の消費を抑制する。動作が終了や中断したことにより、WLANの通信を再開する必要が生じると、ビーコンの送出を再開する。必要に応じて、表示部に動作の実行中によりWLAN通信が中断中であることや、動作の所要時間あるいは中断時間等を表示することで、WLAN通信の中断によってユーザに不安を起こさせることなく、DSC200における電力消費を抑制している。更にDSC200は、NFC通信回路を利用して通信動作の再開できる構成であるのでユーザの利便性も高い。
DSC200に対して遠隔操作により動作指令を出す情報端末300側の動作について、図9を参照して説明する。
図9は、情報端末300において実行される遠隔操作のアプリケーションソフトの動作処理を示したフローチャートである。情報端末300は、予め、ウェブ等を介して、DSC200を遠隔操作するためのアプリケーションソフトをダウンロードし、インストール済であることとする。
ステップS500で、情報端末300のプロセッサ302は、遠隔操作用のアプリケーションソフトが選択されたか否かを判定する。プロセッサ302は、ユーザが情報端末300の表示部s328に表示されている所定のアイコンをタップする等の操作を行ったことを認識して、ステップS500の判定を行う。遠隔操作用のアプリケーションソフトが選択されると、処理をステップS502へと移行させる。
ステップS502で、プロセッサ302は、自装置がNFC通信の可能な端末であるか否かを判定する。NFC通信が可能な端末である場合(ステップS502でYesの場合)は、ステップS503へと処理を移行させる。NFC通信回路s314を搭載していない等により、NFC通信を行うことのできない端末である場合(ステップS502でNoの場合)は、ステップS506へと処理を移行させる。
ステップS503で、プロセッサ302は、NFC通信回路s314からDSC200に向けて、WLANの通信設定情報の取得要求を送信する。WLANの通信設定情報の取得要求については、先に図6の説明において述べたとおり、情報端末300が、DSC200との間でWLANの接続を確立するために必要な通信パラメータを、アクセスポイントであるDSC200に対して送信するよう求める信号をいう。ステップS504で、プロセッサ302は、NFC通信回路s314を介して、DSC200から通信設定情報を受信すると、ステップS508に進む。
一方、ステップS506では、プロセッサ302は、GUIを介してのユーザの入力操作に基づき、DSC200の通信設定情報を取得する。ここでは、ユーザが、図6のステップS207でDSC200の表示部に表示された情報を基に、GUIDを介して通信設定情報を情報端末300に手入力する。
ステップS504またはステップS506で取得したDSC200の通信設定情報は、WLAN通信回路s312内の不揮発性メモリ等に保持しておくと共に、NFC通信回路s314内の不揮発性メモリ等にも保持しておく。上記のとおり、情報端末300がNFC通信回路s314を備え、DSC200とNFC通信が可能な構成である場合には、ユーザにとっては煩雑な通信設定情報を情報端末300登録する処理を、簡便に行うことが可能となる。
ステップS508で、プロセッサ302は、WLAN通信回路s312の動作を開始させる。ステップS509で、プロセッサ302は、DSC200の機器情報を取得し、WLAN通信回路s312内の不揮発性メモリ等に記憶(登録)する。ステップS509に関しては、具体的には、図6のステップS208でビーコンの送出が開始すると、情報端末300は、これを検出し、通信パラメータを取得する。情報端末300は、取得したパラメータを利用して通信動作を開始し、DSC200より、DSC200の機器情報を取得する。DSC200から取得し、登録した機器情報は、DSC200とのWLAN通信に利用する。
ステップS510で、プロセッサ302は、WLAN通信回線の設定動作が終了したか否かを判定する。ステップS510において、WLAN通信回線の設定動作が終了していない場合(ステップS510でNoの場合)は、ステップS509に戻る。DSC200の機器情報の取得及び登録処理が完了すると(ステップS510でYesの場合)、処理をステップS510からステップS512へと移行させる。
ステップS512で、プロセッサ302は、表示部s328上のGUIがユーザにより操作され、DSC200の所定の動作が選択されたか否かを判定する。上述のとおり、ステップS512において選択されるDSC200の動作としては、露出時間が所定時間より長い撮影、インターバル撮影、指示された撮影開始時間から終了時間までの間の動画撮影、連射撮影に伴う画像処理の動作等が挙げられる。所定の動作が選択された場合(ステップS512でYesの場合)は、ステップS516へと処理を移行させ、所定の動作が選択されなかった場合(ステップS512でNoの場合)は、ステップS514へと処理を移行させる。
ステップS514では、プロセッサ302は、ステップS500で選択されて起動した遠隔操作用アプリケーションを終了する旨のユーザの操作を検出したか否か、あるいは、DSC200の無線モードが解除されたことを検出したか否かを判定する。遠隔操作用アプリケーションの終了操作あるいはDSC200の無線モードの解除のいずれかを検出した場合(ステップS514でYesの場合)には、処理を終了し、いずれも検出しない場合(ステップS514でNoの場合)は、ステップS512に戻る。
ステップS516では、プロセッサ302は、DSC200に向けて所定の動作を実行する旨の指示を表す情報を送信する。送信後、ステップS518で、プロセッサ302は、ステップS512で選択された動作が、WLANの通信動作が中断される動作であるか否かを判定する。ステップS518においては、情報端末300が、WLANの通信動作が中断される動作をテーブル等で予め不揮発性メモリs336等の記憶部に保持しておき、これを参照することにより判定する。ステップS512で選択された動作が、WLANの通信動作が中断される動作である場合(ステップS518でYesの場合)は、ステップS520に進む。ステップS512で選択された動作がWLANの通信動作は中断しない動作である場合(ステップS518でNoの場合)は、特に処理を行わず、ステップS528へと処理を移行させる。
ステップS520で、プロセッサ302は、DSC200から、動作時間や通信が中断する時間に関する情報を受信する。情報端末300側のステップS520の処理は、DSC200の図7のステップS302の処理に対応している。一般的に、情報端末300においては、DSC200における動作の実行状況を把握することができない。しかし、ステップS520においてDSC200における動作時間等の情報をDSC200から受信することで、情報端末300においても、DSC200の動作の実行状況等を認識することが可能となる。
ステップS522で、プロセッサ302は、WLANの通信回線が復旧したか否かを判定する。WLANの通信回線が復旧したか否かは、DSC200から送出されるビーコンを情報端末300において受信したか否かにより判定する。未だWLANの通信回線が復旧していない場合(ステップS522でNoの場合)は、ステップS524で、プロセッサ302は、ステップS512で選択したDSC200の動作の終了待ちであることを示す表示を表示部s328に出力し、ステップS522に戻る。このとき、ステップS520においてDSC200から受信した動作時間や通信の中断時間等の情報を表示してもよい。WLANの通信回線が復旧している場合(ステップS522でYesの場合)は、ステップS526に進む。
ステップS526で、プロセッサ302は、DSC200が図8のステップS408で情報端末300に向けて送信した情報、すなわち、WLAN通信の再開要因を受信して、通信が再開したことを表示部s328に表示する。そして、ステップS528で、プロセッサ302は、DSC200が図5のステップS136で情報端末300に向けて送信した、動作結果を受信して、これを表示部s328に表示すると、ステップS512に戻る。
このように、DSC200の遠隔操作用のアプリケーションソフトウェアが終了するか、あるいはDSC200の無線モードが解除されるまで(ステップS514においてYesの場合となるまで)、上記の処理を繰り返す。
以上説明したように、本実施形態に係るDSC200等の撮影機器では、情報端末300からWLANを介しての遠隔操作により所定の動作を実行する際に、その動作にWLANの通信を維持する必要があるか否かを判定する。WLANの通信を維持する必要のない動作である場合には、その動作の実行中は、WLANの通信動作を停止させておく。そして、DSC200等の撮影機器は、DSC200等において情報端末300から指示された動作を終えると、WLANの通信動作を再開する。これにより、DSC200等の撮影機器の電力の消費を効果的に抑制する。
なお、上記においては、DSC200が、アクセスポイントとして動作し、情報端末300からの遠隔操作による動作指令にしたがって、所定の撮影動作等を実行する場合を例に説明しているが、これに限定されるものではない。図3に示すような情報端末300が撮像部304を備える構成である場合には、スマートフォン等の情報端末300が、他の電子機器からの遠隔操作により所定の撮影動作を実行することもある。このような場合であっても、情報端末300の不揮発性メモリs336等に上記のDSC200の動作処理を実行させるための制御プログラムを格納し、これを実行することで、同様の効果を得ることができる。すなわち、情報端末300が他の電子機器からの遠隔操作により所定の動作を実行する際に、WLANの通信状態を維持する必要がない動作である場合には、動作の実行中は、WLANの通信動作を停止させておく。そして、動作終了後に、WLANの通信動作を再開する。これにより、情報端末300における電力の消費を効果的に抑制する。
このように、本発明の目的は、上記実施形態に開示された機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録メディアを、電子機器に供給し、電子機器のコンピュータ(マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、CPU、MPU(Micro Processing Unit)等)が記録メディアに格納されたプログラムコードを読み出し、実行することによっても達成できる。すなわち、記録メディアから読み出されたプログラムコード自体が実施形態の機能を実現し、プログラムコードを記録した記録メディアは、本発明を構成する。
コンピュータが読み出したプログラムコードのみを実行することにより、実施形態に開示された機能が実現されるだけではない。そのプログラムコードは、電子機器のコンピュータに実装されたオペレーティングシステム(OS)の有する処理機能の一部を利用してもよい。
記録メディアから読み出されたプログラムコードを実行するコンピュータは、単一のコンピュータには限定されない。電子機器内に存在する複数のコンピュータが接続され、これらのコンピュータが協働することで、プログラムコードを実行してもよい。あるいは、電子機器と周辺機器とが接続され、双方の機器に存在するコンピュータが接続され、これらのコンピュータが協働することで、プログラムコードを実行してもよい。
また、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。