JP6351497B2 - 目標類識別装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、飛翔体の類識別(ミサイル、固定翼機、回転翼機)を行うことを目的として、レーダによる目標の観測情報(高度、速度、レンジプロファイル、ドップラ分布等)から所与の閾値を用いてルールベースで類識別結果を算出する構成が示されている。また、特許文献2には、船種の識別を行うことを目的として、目標の観測情報として電子情報(周波数、パルス幅等)、画像情報(アンテナ、サイズ等)、レーダ観測情報(位置、速度等)、音響情報(音響特性)等を推論部に入力することで類識別結果を算出する装置が示されている。推論手法は、入力情報の欠如・曖昧さを扱うことができる既存手法(ベイジアンネットワーク等)を用いることが想定されている。
・目標の観測情報の集合と一致度の高い過去事例を提示する。過去事例は、ある目標に関して「観測された位置・速度・形状を時系列に格納したもの」及び「(実測された)種類」の情報である。
・目標の観測情報と一致度の高い模擬事例。模擬事例の集合は、類識別対象とする目標の観測情報の位置・速度の時系列データの集合に、想定する目標種別毎の形状をそれぞれ設定することで生成される。
図1は、この発明の実施の形態1による目標類識別装置を示す構成図である。
図1に示す目標類識別装置は、標準情報データベース1、目標観測情報記憶部2、目標観測情報抽出部3、目標種類推定部4を備えている。標準情報データベース1は、目標種類毎の標準行動手順11と標準形状12と行動限界13が格納されており、これらの情報としては、例えば、目標種類毎に、次のようなものが格納される。
・標準行動手順11:出発基地(例えば、目標が航空機・船等から出発する場合があり得る)、速度・高度の変更手順
・標準形状12:画像データ等における形状モデル、サイズ
・行動限界13:最大・最小速度、最大・最小高度、連続行動可能量(例えば、飛翔可能距離)
目標観測情報記憶部2は、目標の行動及び形状に関する観測情報を時系列に格納する。観測情報として、例えば、次のようなものが格納される。
・レーダ等により観測された目標の位置及び速度
・光学センサ等により観測された目標の位置及び画像データ(サイズ、形状)
・光学センサ等により観測された目標が出発し得る基地の位置及び種類(航空機、船等)
さらに、各観測情報には観測したセンサの性能も追記される。また、各観測情報には「目標毎に付与される識別番号」を意味するIDが付与される。ただし、この識別番号は、次のような理由から、「同じ目標であっても、観測情報によって異なる識別番号が付与されている場合」が有りえる。
・センサがID付与後の目標を失探し、再び探知可能となった際に、新しい目標としてIDが付与される。
・複数センサで観測情報を収集する場合に、センサ間で目標の同定処理(共通のID番号を利用するように対応付けを行う処理)が行われてなく、別のIDが付与される。
図3は、目標観測情報抽出部3及び目標種類推定部4の動作を示すフローチャートであり、以下、このフローチャートに沿って各ステップを説明する。なお、ステップST1〜ST4が目標観測情報抽出部3の動作であり、ステップST5が目標種類推定部4の動作である。
[ステップST1]
基準とする観測情報を選択する。例えば、次のような観測情報を選択する。選択した観測情報が持つIDの目標が類識別対象であり、以後、これを類識別対象IDと呼ぶ。
・ユーザが指定した観測情報。
・類識別結果を算出していない観測情報(最新の観測情報から順に選択されると想定する)。
[ステップST2]
類識別対象IDと同じIDが付与されている観測情報を抽出する。以後、この観測情報を「同定済みの観測情報」と呼ぶ。
「類識別対象IDを持たない観測情報(以後、非同定観測情報と呼ぶ)の集合」の中から、標準情報データベース1に基づき、「同定済みの観測情報集合と整合性を持つ観測情報」を抽出する。すなわち、上述したように「同じ目標であっても、観測情報によって異なる識別番号が付与されている場合」が有りえるため、より多くの観測情報を利用して目標類識別を行うために、このような「同定済みの観測情報集合と整合性を持つ観測情報」を抽出する。
<ステップST31>
同定済みの観測情報集合の観測時間帯を「Told(最も過去の観測時刻)からTnew(最も新しい観測時刻)の間の時間帯」であるとした場合、次の非同定観測情報を抽出対象外とする。
・非同定観測情報集合の中で、次の条件1、2をいずれも満たす観測情報
条件1:同定済みの観測情報を取得したセンサによって観測された
条件2:観測時刻が「ToldからTnewの間の時間帯」である
・非同定観測情報集合の中で、次の条件3、4をいずれも満たす観測情報
条件3:同定済みの観測情報を取得したセンサとIDの統合処理が行われているセンサによって観測された
条件4:観測時刻が「ToldからTnewの間の時間帯」である
すなわち、このステップST31で求める観測情報の目標は「類識別対象IDの目標と同一でない(他の目標である)ことが確定されている」ことを意味する。
標準情報データベース1の目標種類毎の標準行動手順11、標準形状12、行動限界13を参照し、「同定済みの観測情報集合」が該当する目標種類を抽出する(複数の目標種類が抽出されることが有りえる)。ここで抽出した目標種類を「候補目標種類」と呼ぶ。
これら標準行動手順11、標準形状12及び行動限界13を参照する目標種類の抽出処理としては、例えば次のように行う。
・標準行動手順11に基づく抽出処理
(1)同定済みの観測情報集合を「観測位置と目的地との距離」で分類する(図2の場合、300〜100km地点で観測された情報集合、100〜50km地点で観測された情報集合、50〜0km地点で観測された情報集合に分類される)。
(2)各集合の速度、高度の平均値を算出する。
(3)標準情報データベース1を参照し、標準速度と平均速度の差、及び、標準高度と平均高度の差が閾値以下となる目標種類を候補として算出する。
・標準形状12に基づく抽出方法
標準情報データベース1を参照し、同定済みの観測情報集合において「観測された形状」と「標準形状」の差が閾値以下となる目標種類を候補として抽出する。
・行動限界13に基づく抽出方法
標準情報データベース1を参照し、同定済みの観測情報集合において「観測された最大速度と最大高度」がそれぞれ、標準行動限界を超えない目標種類を候補として抽出する。
ステップST32で抽出した候補目標種類毎に、類識別対象IDの目標が、標準行動手順11に基づき移動することを想定した目標移動経路を「同定済みの観測情報集合」から逆算する。以後、この経路を逆算経路と呼ぶ。
例えば、次のように逆算する。
同定済みの観測情報集合より、「最も過去の観測時刻(例:目標の追尾開始時刻)Told における観測位置(x_old,y_old,z_old)・速度Vold」を抽出する。以降、(x_old,y_old)と目的地間の距離が30kmであり、候補目標種類が「タイプC」である場合の例を説明する。
次に、(x_old,y_old)から目的地方向とは逆方向に「所定時間ΔTに速度Voldを乗算した値」だけ移動させた位置(以後、逆算位置と呼ぶ)を算出することを、逆算位置と目的地間の距離が50km地点になるまで繰り返す。逆算位置と目的地間の距離が50kmとなったら、標準行動手順11の「タイプC」の100〜50kmの標準速度でVoldを更新する。
次に、逆算位置と目的地間の距離が100km地点になるまで、逆算位置の算出を繰り返す。目的地からの距離が100kmとなったら目標移動経路の逆算を終了する(「タイプC」の標準行動手順11では、300〜100kmには、タイプCの飛翔可能距離の制約から存在しない可能性が高い領域であることを示すため)。
候補目標種類毎に、標準情報データベース1と逆算経路を参照し、次の条件を全て満たす非同定観測情報の集合を抽出する。
・行動限界内である。
・標準行動手順を満たす。
・標準形状の差が所定値以下である。
・逆算経路の時間帯に観測時刻が含まれ、かつ、「観測時刻における観測位置」と「逆算経路上の同時刻の位置」の差が所定値以下である。
「ステップST1で選択された観測情報」と比較して観測時刻が所定時間内である。
「ステップST1で選択された観測情報」と比較して観測位置が所定方角内である。
・目標ID=iであると同定済みの観測情報集合
・目標ID=iであると同定済みの観測情報集合と整合性を持つ「非同定観測情報集合」
次に、目標観測情報抽出部3では上記手順で抽出された「類識別推定に用いる観測情報の集合」に「目標種類推定への影響度」を設定する。例えば、次のように設定する。
・同定済みの観測情報:大きい影響度を設定する。この際、観測センサの性能が良いほど、大きい影響度を設定する。
・非同定観測情報:同定済みの観測情報よりも小さい影響度を設定する。この際、同定済みの観測情報集合との整合性が高く、観測センサの性能が良いほど、大きい影響度を設定する。
目標種類推定部4は、標準情報データベース1に格納されている目標種類毎の標準行動手順11、標準形状12及び行動限界13に基づき、目標観測情報抽出部3が抽出した「類識別推定に用いる観測情報の集合」の目標種類を推定する。この際、影響度が大きく設定された観測情報ほど、目標種類推定への影響度が大きくなるように目標種類推定を行う。このときの推論手段としては、ベイジアンネットワーク、Dempster-Shafer理論等の既存の推論手法を利用するが、標準情報データベース1の標準行動手順11及び標準形状12で想定される値を入力できるように構築するものとする。
観測情報の集合を入力して得られる目標類識別結果は、図5の網掛けのノードにおける次のような確率値として得られる。
・類識別対象IDの目標の種類が「タイプAである確率」
・類識別対象IDの目標の種類が「タイプBである確率」
・類識別対象IDの目標の種類が「タイプCである確率」
・類識別対象IDの目標の種類が「Unknown(目標標準情報データベースに登録が無い目標)
Claims (6)
- 目標種類毎の標準となる行動手順を示す標準行動手順の情報と、目標種類毎の標準となる形状を示す標準形状の情報と、目標種類毎の行動限界を示す行動限界の情報とが格納された標準情報データベースと、
目標の行動及び形状に関する観測情報から、当該目標毎に、類識別推定に用いる観測情報の集合を抽出する目標観測情報抽出部と、
前記目標観測情報抽出部が抽出した前記類識別推定に用いる観測情報の集合の目標種類を、前記標準情報データベースに格納されている前記標準行動手順と前記標準形状と前記行動限界とに基づいて推定する目標種類推定部とを備えたことを特徴とする目標類識別装置。 - 前記目標観測情報抽出部は、特定の目標に対する前記類識別推定に用いる観測情報の集合として、前記特定の目標であると同定済みの観測情報を抽出すると共に、前記特定の目標であると同定されていない観測情報の中から、前記標準情報データベースを参照して、前記同定済みの観測情報と整合性を持つ観測情報を抽出することを特徴とする請求項1記載の目標類識別装置。
- 前記目標観測情報抽出部は、前記同定済みの観測情報と整合性を持つ観測情報を抽出する際に、前記同定済みの観測情報と整合性を持つ観測情報であっても、他の目標であると確定されている観測情報は抽出結果から除外することを特徴とする請求項2記載の目標類識別装置。
- 前記目標観測情報抽出部は、前記類識別推定に用いる観測情報の集合として抽出した観測情報のうち、前記同定済みの観測情報に対しては、前記同定済みの観測情報と整合性を持つ観測情報よりも大きい値の影響度を設定し、
前記目標種類推定部は、前記影響度が大きく設定された観測情報ほど、目標種類推定への影響度が大きくなるように目標種類推定を行うことを特徴とする請求項2または請求項3記載の目標類識別装置。 - 前記目標観測情報抽出部は、前記影響度を設定する際、前記同定済みの観測情報と整合性を持つ観測情報に対して、前記同定済みの観測情報との整合性が高いほど、大きい影響度を設定することを特徴とする請求項4記載の目標類識別装置。
- 前記目標観測情報抽出部は、前記影響度を設定する際、観測情報を取得したセンサの性能が良いほど、大きい影響度を設定することを特徴とする請求項4または請求項5記載の目標類識別装置。
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