JP3732123B2 - 飛翔体目標類別装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、飛翔体目標類別装置に係り、更に詳しくは、レーダ装置によって検出される飛翔体目標をミサイル、固定翼機又は回転翼機に類別するレーダ目標の類別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図10は、従来の飛翔体目標類別装置の構成例を示したブロック図であり、特開昭60−56276号に開示された航空機識別装置が示されている。この航空機識別装置は、送信機51、レーダアンテナ52、受信機53、信号処理機54及び表示器55により構成される。送信機51で生成されたレーダ送信信号は、レーダアンテナ52により送信される。レーダアンテナ52におけるレーダ受信信号は、受信機53で受信信号処理され、信号処理器54で目標検出が行われる。表示器55は信号処理器54から出力される目標検出情報の表示を行っている。
【0003】
信号処理装置54は、更に、周波数分析部61、信号検出部62、スペクトラム比較部63及びメモリ部64により構成される。周波数分析部61は、受信機53からの受信信号に対し周波数分析を行う。信号検出部62は、この周波数分析結果に基づいて、航空機に対する目標ドップラ周波数fdと、航空機ジェットエンジンのコンプレッサによるドップラ周波数fm及びそのスペクトル幅を抽出する。目標のドップラ周波数fdと、コンプレッサのドップラ周波数fmは次式で与えられる。
【0004】
fd=2×v×f/C (1)
fm=(2×f/C)×R×ω×tanθ (2)
ここで、vは目標の速度、fはレーダの送信周波数、Cは光速、Rはコンプレッサの羽根の回転半径、ωはコンプレッサの羽根の回転角速度、θは羽根の傾き角である。
【0005】
メモリ部64には、航空機の機種毎のコンプレッサによるドップラ偏移及びそのスペクトル幅が記憶されており、スペクトラム比較部63が、信号検出部62からのコンプレッサによるドップラ偏移及びそのスペクトル幅と、メモリ部64に記憶された航空機の機種毎のコンプレッサによるドップラ偏移及びそのスペクトル幅を比較して、航空機の種類及び敵味方の識別を行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の航空機識別装置は、上記のように構成されており、敵味方識別装置を用いずとも航空機の機種の識別を行うことを可能としていた。しかし、従来の航空機識別装置が目的とするのは航空機の種類の識別のみであり、回転翼機やミサイルを識別することは不可能であった。このため、この種の目標類別は、オペレータが目標の航跡を目視で確認することにより行っており、類別精度はオペレータの経験及び勘に依存していた。
【0007】
本発明は、かかる従来技術における問題を解消するためになされたものであり、レーダ装置により検出された飛翔体目標を固定翼機、回転翼機又はミサイルに類別することができる飛翔体目標類別装置を提供することを目的とする。また、この様な類別を短時間で行うことができる飛翔体目標類別装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明による飛翔体目標類別装置は、飛翔体目標をミサイル、回転翼機又は固定翼機へ類別する飛翔体目標類別装置において、飛翔体目標からの受信電波に基づいて目標速度、目標高度及びドップラ分布を求める信号処理部と、この目標速度を所定の速度閾値と比較する目標速度判定部と、上記目標高度を所定の高度閾値と比較する目標高度判定部と、上記ドップラ分布の広がりを求めるドップラ分布解析部と、上記目標速度判定部の比較結果に基づく判定を行い、当該判定によりミサイル以外と判別された場合に上記目標高度判定部の比較結果に基づく判別を行い、当該判定により回転翼機又は固定翼機のいずれであるのかを判別できない場合にドップラ分布の広がりに基づく判定を行う目標類別部と、上記ドップラ分布解析部においてドップラー分布解析を行う場合に、レーダパルスの送信間隔を変更し、上記信号処理部における周波数分解能を増大させるビームマネジメント部とを備えて構成される。
【0009】
一般に、ミサイル、固定翼機、回転翼機は、それぞれ飛行速度に特徴があり、飛翔体目標としてミサイル、固定翼機又は回転翼機が検出され得る場合に、飛行速度に基づいて飛翔体目標が固定翼機であると判定できる場合がある。目標速度判定部は、信号処理部が受信電波に基づいて求めた飛行速度を速度閾値と比較し、この比較結果に基づいて検出された飛翔体目標を固定翼機と判定する。この様な構成により、目標速度により類別判定できる飛翔体目標の場合、他の判定処理を待たず、あるいは他の判定処理を行うことなく類別することができる。このため、目標類別処理に必要な時間を短縮し、目標類別処理の負荷を低減することができる。特に、目標速度に基づいてミサイル以外と判定された場合に、目標高度に基づく判定、受信電波のドップラ分布の広がりに基づく判定を順に行って、飛翔体目標を固定翼機又は回転翼機に類別していることから、目標高度に基づき判定可能な場合には、ドップラ分布の広がりに基づく判定を行うことなく、あるいは当該判定を待つことなく、飛翔体目標を類別することができる。さらに、レーダパルスの送信間隔を短くすることにより、送信デューティ比の増大による受信信号のS/N比の向上及びナイキスト周波数の向上により、信号処理部における受信信号の周波数解析精度を向上させることができる。従って、ドップラ分布解析時に周波数分解能を増大させることにより、広がり判定の精度を向上させることができ、類別処理の判定精度を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、目標速度判定部が、目標速度を第1の速度閾値と比較する第1の速度比較手段と、目標速度を第1の速度閾値よりも大きな第2の速度閾値と比較する第2の速度比較手段とを備え、目標類別部が、目標速度が第1の速度閾値よりも大きくかつ第2の速度閾値よりも小さい飛翔体目標を固定翼機であると判定するように構成される。
【0011】
信号処理部で求められた飛翔体目標の飛行速度を、第1及び第2の速度閾値それぞれと比較し、この目標速度が第1の速度閾値と第2の速度閾値との間であれば当該飛翔体目標を固定翼機と判定する。一般に、ミサイルの飛行速度は高速であるのに対し、回転翼機の飛行速度は低速であり、ミサイルの最低速度は、回転翼機の最大速度よりも大きい。このため、例えば、回転翼機の最高飛行速度を第1の速度閾値とし、ミサイルの最低飛行速度を第2の速度閾値とすれば、両速度閾値間の飛行速度を有する飛翔体目標は、固定翼機であると判定することができる。
【0012】
請求項3に記載の本発明による飛翔体目標類別装置は、上記目標類別部が、上記目標速度判定部において目標速度が第1の速度閾値以下となる飛翔体目標について、目標高度判定部の比較結果に基づく判定を行い、この判定結果に基づいて更にドップラ分布の広がりに基づく判定を行って、固定翼機又は回転翼機であると判定するように構成される。
【0014】
請求項4に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、目標類別部が、目標速度判定部において目標速度が第1の速度閾値以下となる飛翔体目標について、目標高度が高度閾値以上であれば固定翼機と判定するように構成される。
【0015】
一般に、回転翼機の飛行高度には限界があるため、飛翔体目標として固定翼機又は回転翼機が検出され得る場合に、飛行高度に基づいて飛翔体目標が固定翼機であると判定できる場合がある。このため、信号処理部が、受信電波に基づいて飛翔体目標の飛行高度を求め、目標高度判定部がこれを高度閾値と比較し、目標類別部が、この比較結果を用いて、検出された飛翔体目標を固定翼機と判定することができる。この高度閾値は、例えば、想定される回転翼機の最高高度とすることができる。
【0016】
例えば、固定翼機が高高度を高速で飛行している場合には、目標速度判定部により飛翔体目標が固定翼機又は回転翼機であると判定され、更に、目標高度判定部により固定翼機であると判断される。つまり、速度判定だけでは飛翔体目標を判定できない場合であっても、速度判定と高度判定を組み合わせて、飛翔体目標が固定翼機であると判定することができる。
【0017】
請求項5に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、目標類別部が、目標高度判定部において目標高度が高度閾値よりも低い飛翔体目標について、ドップラ分布の広がりに基づき固定翼機又は回転翼機であると判定するように構成される。
【0018】
一般に回転翼機からの受信電波は幅広い周波数帯域を持つため、飛翔体目標として固定翼機又は回転翼機が検出され得る場合に、受信信号の周波数分布に基づいて飛翔体目標が固定翼機であると判定できる場合がある。このため、信号処理部が受信電波に基づいて飛翔体目標のドップラ分布を求め、ドップラ分布判定部がその周波数軸上の広がりの程度を判定し、目標類別部が、この判定結果に基づいて、飛翔体目標を固定翼機であると判定することができる。この様にして、目標速度及び目標高度により類別判定できなかった場合でも、その後にドップラ分布の広がりに基づいて判定を行うことにより、飛翔体目標を類別することができる。
【0019】
例えば、飛翔体目標の飛行速度が回転翼機の最高速度以下の低速度であり、かつ、飛行高度が回転翼機の最高高度以下の低空であれば、固定翼機又は回転翼機のいずれであるのかを類別することができない。このため、この様な目標についてドップラ解析による判定を行えば、固定翼機と回転機翼とを類別することができ、一連の判定によって飛翔体目標を類別することができる。
【0020】
請求項6に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、ドップラ分布解析部が、受信信号のドップラ分布を信号強度閾値と比較し、信号強度閾値を越えて連続する周波数幅としてドップラ分布の広がりを求める信号強度比較手段と、求められたドップラ分布の広がりを所定の広がり閾値と比較する広がり閾値比較手段とを備え、目標類別部は、ドップラ分布の広がりが広がり閾値以下の飛翔体目標を固定翼機であると判定し、広がり閾値を越える飛翔体目標を回転翼機であると判定するように構成される。
【0021】
信号強度比較手段において、受信信号を形成する周波数ごとの信号強度が信号強度閾値と比較され、信号強度閾値を越えて連続する周波数幅としてドップラ分布の広がりを求める。求められたドップラ分布の広がりは、広がり閾値比較手段において広がり閾値と比較され、ドップラ広がりの広狭を判定することができる。目標類別部は、この広狭判定結果に基づいて、広がりが小さい場合には、当該飛翔体目標を固定翼機と判定し、広がりが大きい場合には、当該回転翼機と判定することができる。
【0022】
請求項7に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、目標長さを所定の長さ閾値と比較する目標長さ判定部と、信号強度分布に基づいて目標距離に対する信号強度変化をレンジプロフィールとして求めるレンジプロフィール解析部と、上記レンジプロフィール解析部において飛翔体目標の解析を行う場合に、その飛翔体目標に対するレーダパルスのヒット数を増加させ、上記信号処理部における距離分解能を増大させるビームマネジメント部とを備え、上記信号処理部が、飛翔体目標からの受信電波に基づいて目標長さ及び目標距離に対する信号強度分布を求め、上記目標類別部が、上記目標速度判定部において目標速度が第2の速度閾値以上である飛翔体目標について、目標長さ判定部の比較結果に基づく判定を行い、この判定結果に基づいて更にレンジプロフィールに基づく判定を行って、ミサイル又は固定翼機であると判定するように構成される。
【0023】
目標速度に基づいて回転翼機以外と判定された場合に、目標長さに基づく判定、レンジプロフィールに基づく判定を順に行って、飛翔体目標をミサイル又は固定翼機に類別する。この様な順序で類別判定を行うことにより、目標長さに基づき判定可能な場合には、レンジプロフィールに基づく判定を行うことなく、あるいは当該判定を待つことなく、飛翔体目標を類別することができる。このため、目標類別処理に必要な時間を短縮し、目標類別処理の負荷を低減することができる。また、飛翔体目標に対するレーダパルスのヒット数を増加させることにより、当該飛翔体目標について、信号処理部における受信信号の距離分解能を向上させることができる。このため、レンジプロフィール解析時に距離分解能を増大させることにより、レンジプロフィール解析の精度を向上させることができ、類別処理の判定精度を向上させることができる。
【0024】
請求項8に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、目標類別部が、目標速度判定部において目標速度が第2の速度閾値以上である飛翔体目標について、目標長さの比較結果に基づきミサイル又は固定翼機であると判定するように構成される。この様な構成により、目標速度と目標長さによる判定を組み合わせて、目標類別処理に必要な時間を短縮することができる。
【0025】
請求項9に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、目標長さ判定部が、目標長さを第1の長さ閾値と比較する第1の長さ比較手段と、目標長さを第1の長さ閾値よりも大きな第2の長さ閾値と比較する第2の長さ比較手段とを備え、目標類別部は、目標速度が第2の速度閾値以上である飛翔体目標について、目標長さが第1の長さ閾値以下であればミサイルと判定し、目標長さが第2の長さ閾値以上であれば固定翼機と判定するように構成される。
【0026】
一般に、固定翼機はミサイルよりも長いため、飛翔体目標としてミサイル又は固定翼機が検出され得る場合に、目標長さに基づいて飛翔体目標がミサイル又は固定翼機であると判定できる場合がある。このため、信号処理部が、受信信号に基づいて目標長さを求め、目標長さ判定部が、求められた目標長さを所定の長さ閾値と比較し、目標類別部が、この比較結果に基づいて、飛翔体目標をミサイルであると判定することができる。
【0027】
例えば、第1の長さ閾値を想定している固定翼機の最短長さとし、第2の長さ閾値を想定しているミサイルの最長長さとすることにより、目標類別部は、第1の長さ閾値以下の飛翔体目標は、ミサイルであると判定することができ、第2の長さ閾値以上の飛翔体目標は、固定翼機であると判定することができる。
【0028】
請求項10に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、目標類別部が、上記目標長さ判定部において目標長さが第1の長さ閾値よりも長くかつ第2の長さ閾値よりも短い飛翔体目標について、レンジプロフィールに基づきミサイル又は固定翼機であると判定するように構成される。この様な構成により、目標速度及び目標長さによって飛翔体目標を類別できない場合であっても、レンジプロフィールに基づいてミサイル又は固定翼機に類別することができる。
【0029】
請求項11に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、レンジプロフィール解析部が、飛翔体目標からの受信信号強度の最大値及び最小値の比を求める強度比演算手段と、求められた強度比を強度比閾値と比較する強度比判定手段とを備え、目標類別部が、強度比が強度比閾値以下の場合にミサイルであると判定し、強度比閾値よりも大きい場合に固定翼機であると判定するように構成される。
【0030】
一般に、ミサイルの受信信号強度の目標距離に対する分布は、固定翼機の分布と比較してレンジ方向の変動が小さい。このため、信号処理部が、受信電波に基づいて目標距離に対する信号強度分布を求め、レンジプロフィール解析部が、目標距離に対する信号強度変化をレンジプロフィールとして求め、これを強度比閾値と比較することにより、レンジプロフィールに基づいて飛翔体目標をミサイル又は固定翼機であると判定することができる。
【0031】
請求項12に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、受信電波に基づいて目標旋回加速度を求める航跡解析部を備え、目標類別部が、目標速度判定部において目標速度が第1の速度閾値以下となる飛翔体目標について、目標高度判定部の比較結果に基づく判定を行い、この判定結果に基づいて更にドップラ分布の広がりに基づく判定を行い、この判定結果に基づいて更に目標旋回加速度に基づく判定を行い、固定翼機又は回転翼機であると判定するように構成される。
【0032】
目標速度に基づいてミサイル以外と判定された場合に、目標高度に基づく判定、受信電波のドップラ分布の広がりに基づく判定、目標旋回加速度に基づくを順に行って、飛翔体目標を固定翼機又は回転翼機に類別する。この様な順序で類別判定を行うことにより、目標高度に基づき判定可能な場合には、ドップラ分布の広がり及び目標旋回加速度に基づく判定を行うことなく、あるいは当該判定を待つことなく、飛翔体目標を類別することができる。また、ドップラ分布の広がりに基づき判定可能な場合には、目標旋回加速度に基づく判定を行うことなく、あるいは当該判定を待つことなく、飛翔体目標を類別することができる。このため、目標類別処理に必要な時間を短縮し、目標類別処理の負荷を低減することができる。
【0033】
請求項13に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、目標類別部が、目標高度判定部において目標高度が高度閾値よりも低い飛翔体目標について、ドップラ分布の広がりに基づいて固定翼機であると判定するように構成される。
【0034】
この様な構成により、目標速度及び目標高度により類別判定できなかった場合でも、その後にドップラ分布の広がりに基づいて判定を行うことにより、飛翔体目標を類別することができる。特に、ドップラ分布の広がりに基づき固定翼機であると判定することにより、精度を低下させることなく目標類別処理に必要な時間を短縮することができる。
【0035】
請求項14に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、ドップラ分布解析部が、受信信号のドップラ分布を信号強度閾値と比較し、信号強度閾値を越えて連続する周波数幅としてドップラ分布の広がりを求める信号強度比較手段と、求められたドップラ分布の広がりを所定の広がり閾値と比較する広がり閾値比較手段とを備え、上記目標類別部は、ドップラ分布の広がりが広がり閾値以下の飛翔体目標を固定翼機であると判定するように構成される。
【0036】
一般に回転翼機からの受信電波は幅広い周波数帯域を持つが、旋回中の固定翼機からの受信電波もドップラ分布が広がる場合がある。このため、ドップラ分布の広がりが広がり閾値以下の飛翔体目標を固定翼機であると判定することにより、高精度の判定を行うことができる。
【0037】
請求項15に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、目標類別部が、ドップラ分布解析部において飛翔体目標のドップラ分布の広がりが広がり閾値よりも大きい飛翔体目標について、目標旋回加速度に基づき飛翔体目標が固定翼機又は回転翼機であると判定するように構成される。
【0038】
この様な構成により、目標速度、目標高度及びドップラ分布により判定できなかった場合でも、その後に目標旋回加速度に基づいて判定を行って、飛翔体目標を固定翼機又は回転翼機に類別することができる。特に、ドップラ分布及び旋回加速度による判定を組み合わせることにより、旋回中の固定翼機を回転翼機と誤判定するのを防止することができる。
【0039】
請求項16に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、航跡解析部が、目標旋回加速度を第1の旋回加速度閾値と比較する第1の旋回加速度比較手段を備え、目標類別部は、目標旋回加速度が第1の旋回加速度閾値よりも大きい飛翔体目標を固定翼機と判定し、第1の旋回加速度閾値以下の飛翔体目標を回転翼機と判定するように構成される。
【0040】
一般に、回転翼機は、固定翼機に比べて高い旋回加速度で旋回することができないため、飛翔体目標として固定翼機又は回転翼機が検出され得る場合に、その旋回加速度に基づいて飛翔体目標が固定翼機又は回転翼機であると判定できる場合がある。このため、航跡解析部が受信信号に基づいて目標旋回加速度を求め、旋回加速度判定部が目標旋回加速度を所定の旋回加速度閾値と比較することにより、検出された飛翔体目標を固定翼機又は回転翼機と判定することができる。
【0041】
請求項17に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、受信電波に基づいて目標旋回加速度を求める航跡解析部と、目標長さを所定の長さ閾値と比較する目標長さ判定部と、信号強度分布に基づいて目標距離に対する信号強度変化をレンジプロフィールとして求めるレンジプロフィール解析部とを備え、信号処理部が、飛翔体目標からの受信電波に基づいて目標長さ及び目標距離に対する信号強度分布を求め、目標類別部が、目標速度判定部において目標速度が第2の速度閾値以上である飛翔体目標について、目標旋回加速度に基づく判定を行い、この判定結果に基づいて目標長さ判定部の比較結果に基づく判定を行い、この判定結果に基づいてレンジプロフィールに基づく判定を行って、ミサイル又は固定翼機であると判定するように構成される。
【0042】
目標速度に基づいて回転翼機以外と判定された場合に、目標旋回加速度に基づく判定、目標長さに基づく判定、レンジプロフィールに基づく判定を順に行って、飛翔体目標をミサイル又は固定翼機に類別する。この様な順序で類別判定を行うことにより、目標旋回加速度に基づき判定可能な場合には、目標長さ及びレンジプロフィールに基づく判定を行うことなく、あるいはこれらの判定を待つことなく、飛翔体目標を類別することができる。また、目標長さに基づき判定可能な場合には、レンジプロフィールに基づく判定を行うことなく、あるいは当該判定を待つことなく、飛翔体目標を類別することができる。このため、目標類別処理に必要な時間を短縮し、目標類別処理の負荷を低減することができる。
【0043】
請求項18に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、航跡解析部が、目標旋回加速度を第2の旋回加速度閾値と比較する第2の旋回加速度比較手段を備え、目標類別部が、目標速度判定部において目標速度が第2の速度閾値以上である飛翔体目標について、目標旋回加速度が第2の旋回加速度閾値よりも大きい飛翔体目標をミサイルと判定するように構成される。この様な構成により、目標速度と目標旋回加速度による判定を組み合わせて、目標類別処理に必要な時間を短縮することができる。
【0044】
一般に、ミサイルは、固定翼機よりも高い旋回加速度で旋回することができるため、飛翔体目標としてミサイル又は固定翼機が検出され得る場合に、その旋回加速度に基づいて飛翔体目標がミサイルであると判定できる場合がある。このため、航跡解析部が受信信号に基づいて目標旋回加速度を求め、目標類別部が、この目標旋回速度に基づいて、飛翔体目標をミサイルと判定することができる。
【0045】
請求項19に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、目標長さ判定部が、目標長さを第2の長さ閾値と比較する第2の長さ比較手段を備え、目標類別部が、目標旋回加速度が第2の旋回加速度閾値以下である飛翔体目標について、目標長さが第2の長さ閾値以上であれば固定翼機であると判定するように構成される。この様な構成により、目標旋回加速度及び目標長さによる判定を組み合わせて、目標類別処理に必要な時間を短縮することができる。
【0046】
請求項20に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、目標類別部が、目標長さ判定部において目標長さが所定の長さ閾値以下の飛翔体目標について、レンジプロフィールに基づきミサイル又は固定翼機であると判定するように構成される。
【0047】
この様な構成により、目標速度、目標旋回加速度及び目標長さにより判定できなかった場合でも、その後にレンジプロフィールによる判定を行って、飛翔体目標をミサイル又は固定翼機に類別することができる。また、目標長さが第2の長さ閾値以下の場合にレンジプロフィールによる判定を行うことにより、高精度の判定を行うことができる。
【0048】
請求項21に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、レンジプロフィール解析部が、飛翔体目標からの受信信号強度の最大値及び最小値の比を求める強度比演算手段と、求められた強度比を強度比閾値と比較する強度比判定手段とを備え、目標類別部は、強度比が強度比閾値以下の場合にミサイルであると判定し、強度比閾値よりも大きい場合に固定翼機であると判定するように構成される。
【0049】
請求項22に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、航跡解析部が、飛翔体目標の向きを求め、レンジプロフィール解析部が、目標の向きに基づいて強度比閾値を変更するように構成される。この様な構成により、レンジプロフィールによる判定時に、目標の相対的な向きを考慮することができるので、判定精度を向上させることができる。
【0054】
請求項23に記載の本発明に係る飛翔体目標類別装置は、類別対象とする飛翔体目標を方位及び距離により予め指定するレーダ指示部を備え、目標類別部は、指定された方位及び距離の飛翔体目標を類別対象とするように構成される。この様な構成により、類別対象となる飛翔体目標を方位及び距離により予め指定することにより、この条件に一致した目標を自動的に類別させることができる。
【0055】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による飛翔体目標類別装置の一構成例を示したブロック図である。この飛翔体目標類別装置は、レーダ指示部1、レーダ制御部2、ビームマネジメント部3、送信部4、空中線部5、受信部6、信号処理部7、目標類別処理部8により構成される。
【0056】
レーダ指示部1は、レーダが検出した目標に対し、オペレータが目標類別の指示を行う入力装置であり、オペレータの指示に従って、レーダ制御部2に対し目標類別指示を出力する。レーダ制御部2は、この目標類別指示に基づいて、目標類別を行わない通常モードと、目標類別を行う目標類別モードとを切り替える。すなわち、目標類別指示が入力されると、目標類別処理部8に対して目標類別指示を出力するとともに、ビームマネジメント部3に対し、目標類別モードへのモード切替指示を出力する。
【0057】
ビームマネジメント部3は、送信部4、空中線部5、受信部6及び信号処理部7に対し制御信号を出力し、これらのブロックの動作制御を行っている。これらの制御は、レーダ制御部2からのモード切替指示と、目標類別処理部8からの高距離分解能送信指令及び高ドップラ分解能送信指令に基づいて行われる。レーダビームの指向方向、レーダパルスの送信間隔、レーダの距離分解能、目標類別を行う目標が存在する方向へのレーダのヒット数等のレーダ送受信信号に関するパラメータがビームマネジメント部3により決定される。
【0058】
送信部4は、レーダ送信信号を生成して空中線部5へ出力している。レーダパルスの送信間隔、レーダのパルス幅及びパルス圧縮比が、ビームマネジメント部3からの制御信号に基づいて変更される。空中線部5は、ビームマネジメント部3からの制御信号により指定されたレーダビームの指向方向へ送信部4からの送信信号を放射するとともに目標、特に飛翔体目標からの散乱電波を受信する。
【0059】
受信部6は、空中線部5からのレーダ受信信号に対し、ビームマネジメント部3からの制御信号に基づいて、送信レーダパルスの送信間隔、レーダのパルス幅及びパルス圧縮比に応じた受信信号処理及び目標検出を行う。信号処理部7は、ビームマネジメント部3からの制御信号に基づいて、受信部6からの目標検出信号に対し、高距離分解能処理又は高分解能ドップラ処理を行う。
【0060】
目標類別処理部8は、レーダ制御部2から目標類別指示が入力されると、信号処理部7からの目標情報に基づいて目標類別処理を行って、検出目標を固定機、回転翼機又はミサイルに類別する。この処理結果は、類別結果として出力される。また、必要に応じて、ビームマネジメント部3へ高距離分解能送信指令又は高ドップラ分解能送信指令を出力する。
【0061】
図2は、図1の目標類別処理部8の詳細構成を示したブロック図である。目標類別処理部8は、目標類別制御部10、目標速度判定部11、目標高度判定部12、ドップラ分布解析部13、目標長さ判定部14及びレンジプロフィール解析部15により構成される。目標類別制御部10以外の各ブロックは、それぞれ異なる方法により目標類別のための判定を行う判定部である。
【0062】
目標類別制御部10は、レーダ制御部2から目標類別指示が入力されると、必要に応じて判定部11〜15へ動作指令を出力する。各判定部11〜15は、この動作指令に基づいて判定を行い、判定結果を目標類別制御部10へ返す。目標類別制御部10は、これらの判定部11〜15における1又は2以上の判定結果に基づいて、レーダ目標をミサイル、固定翼機又は回転翼機のいずれかに類別し、この類別結果を出力する。
【0063】
目標類別制御部10は、目標長さ判定及びレンジプロフィール解析を行う場合には、予めビームマネジメント部3に対し高距離分解能送信指令を出力し、高距離分解能の目標情報を信号処理部7より取得する。また、ドップラ分布解析を行う場合には、予めビームマネジメント部3に対し高ドップラ分解能送信指令を出力し、高ドップラ分解能の目標情報を信号処理部7より取得する。
【0064】
目標速度判定部11は、目標の速度情報に基づいて、目標が低速、中速度、高速度のいずれで飛行しているかを判定し、判定結果を目標類別制御部10に送出する。目標高度判定部12は、目標の高度情報に基づいて、目標が低高度、中高度、高高度のいずれで飛行しているかを判定し、判定結果を目標類別制御部10に送出する。ドップラ分布解析部13は、信号処理部7で処理された高周波数分解能ドップラ情報をもとに目標のドップラ分布が広がっているかを判定し、判定結果を目標類別制御部10に送出する。
【0065】
目標長さ判定部14は、信号処理部7で処理された高距離分解能受信信号に基づいて、目標の長さが長、中、短のいずれであるのかを判定し、判定結果を目標類別制御部10に送出する。レンジプロフィール解析部15は、信号処理部7で処理された高距離分解能受信信号に基づいて、目標のレンジプロフィール解析を行い、目標のレンジプロフィールに広がりがあるか否かの推定結果を目標類別制御部10に送出する。
【0066】
次に、この飛翔体目標類別装置の動作について詳細に説明する。レーダ装置のオペレータは、レーダ指示部1の表示画面に表示された目標の中から、目標類別の対象となる目標を決定し、その目標に対して目標類別を行う旨の入力をレーダ指示部1にて行う。オペレータから目標類別実施の入力を受けたレーダ指示部1は、オペレータが指定した目標に対し、目標の類別を行うようレーダ制御部2に目標類別指令を出す。
【0067】
なお、レーダが目標を検出する毎に、オペレータが目標類別実施を入力するようにしてもよいが、目標類別を行うべき目標の方位及び距離をオペレータがレーダ指示部1に対して予め指定しておき、指定された方位及び距離に相当する目標が検出された場合に、レーダ指示部1が自動的にレーダ制御部2に目標類別指示を出すように構成してもよい。
【0068】
レーダ制御部2は、レーダ指示部1からの目標類別指示に基づいて、ビームマネジメント部3へモード切換指示を出すとともに、目標類別処理部8へ目標類別指示を出して、レーダ指示部1により指定された目標に対する目標類別を行うように、ビームマネジメント部3及び目標類別処理部8を制御する。
【0069】
ビームマネジメント部3は、目標類別制御部10からの高距離分解能送信指令、高ドップラ分解能送信指令に基づいて、送信部4、空中線部5、受信部6及び信号処理部7を制御する。
【0070】
(1)高距離分解能送信指令が入力された場合、目標類別の対象目標の存在する方向について、受信信号の距離分解能及びS/N(信号対雑音比)を向上させるため、次の動作を行う。なお、受信信号のS/Nの向上はレンジプロフィール推定時の精度向上のため有用である。
a)空中線部5に対し、対象目標の存在する方向に連続してビームを照射する時間を通常の目標検出時よりも増加させるよう指示する。
b)送信部4に対し距離分解能を向上させた送信信号の生成を行うよう指示を出す。距離分解能の向上には、(i)パルス圧縮比を通常の目標検出時より大きくする、(ii)送信パルス幅を通常の目標検出時より小さくする、という方法が考えられる。
c)受信部6に対し、上記a)及びb)に対応する指示を出し、a)及びb)で指定したパラメータの変更を反映させた受信信号処理及び目標検出を行わせる。
d)信号処理部7に対し、上記a)及びb)に対応する指示を出し、a)及びb)で指定したパラメータの変更を反映させた高距離分解能処理を行うよう指示を出す。
【0071】
(2)高ドップラ分解能送信指令が入力された場合、目標類別の対象目標の存在する方向について、受信信号に対する周波数分解能を向上させるため、次の動作を行う。
a)空中線部5に対し、対象目標の存在する方向に連続してビームを照射する回数を通常の目標検出時よりも増加させるよう指示する。これにより、目標に対するヒット数を増やし、周波数精度を向上させることができる。
b)また、送信部4に対し、レーダパルスの送信間隔を通常の目標検出時よりも短くするよう指示してもよい。レーダパルスの送信間隔を短くすることにより、送信デューティの向上による受信信号のS/N向上とナイキスト周波数の向上による周波数解析精度の向上が可能となる効果がある。
c)受信部6に対し、上記a)及びb)で指定したパラメータの変更を反映し受信信号処理及び目標検出を行うよう指示を出す。
d)信号処理部7に対し、上記a)及びb)で指定したパラメータの変更を反映し高ドップラ分解能処理を行うよう指示を出す。
【0072】
送信部4は、前述したビームマネジメント部3からの制御指令に従い送信信号を生成し、空中線部5へ送出する。送信部4からの送信信号を受けた空中線部5は、前述したビームマネジメント部3からの制御指令に従い送信信号の放射及び目標からの散乱電波の受信を行う。空中線部5からの受信信号を受けた受信部6は、前述したビームマネジメント部3からの制御指令に従い、空中線部5からの受信信号の処理及び目標検出を行う。
【0073】
受信部6からの目標検出情報を受けた信号処理部7は、ビームマネジメント部3からの指令に従い下記の動作を行う。
(1)高距離分解能処理時には、受信部6からの目標検出位置を中心にレンジ方向に20〜数10mの範囲にあるレンジセルの振幅プロファイルを計算し、目標類別処理部8へ送出する。
(2)高ドップラ分解能処理時は、処理対象の目標が存在するレンジセルに対しフーリエ変換処理を行い目標類別処理部8へ送出する。
(3)上記(1)、(2)以外の処理の場合は目標の速度、及び目標の高度を計算し、目標類別処理部8へ送出する。
【0074】
目標類別処理部8は、上述したビームマネジメント部3、送信部4、空中線部5、受信部6、信号処理部7の動作によって得られた目標情報に基づいて、目標の固定翼機、回転翼機、ミサイルへの類別を行う。以下に、目標類別処理部8の動作について詳しく説明する。
【0075】
図3のステップS10〜S16は、目標類別処理部8の動作の一例を示したフローチャートである。目標類別処理部8における目標類別処理は、目標類別制御部10により当該フローチャートのように動作制御される。すなわち、目標類別制御部10が、必要に応じて判定部11〜15に対して動作指令を出し、その判定結果に基づいて類別処理が行われる。図3は、目標の特徴に着目した処理フローであり、目標類別制御部10が、このフローに従って目標類別処理を行うことにより、目標類別に必要となるデータ処理量を低減し目標類別に要する時間を短縮することができる。
【0076】
図3の処理フローによる判定処理は、目標速度Vによる判定(ステップS10)、目標高度Hによる判定(ステップS11)、ドップラ分布解析による判定(ステップS13)、目標長さLによる判定(ステップS15)、レンジプロフィール解析による判定(ステップS16)からなる。以下に、これらの各判定処理について詳細に説明する。
【0077】
(1)目標速度Vによる判定処理(ステップS10)
ミサイルの飛行速度は高速度であり、最低でも音速近くとなるのに対し、回転翼機の飛行速度は低速度であり、最大でも400km/h程度である。また、固定翼機の飛行速度は遅い場合も速い場合もある。ステップS10では、この様なミサイルと回転翼機の速度の違いに着目し、ミサイル以外と、回転翼機以外と、ミサイル及び回転翼機以外(すなわち固定翼機)への類別を行う。
【0078】
目標速度Vによる判定は、目標類別制御部10からの指令に基づいて、目標速度判定部11により行われる。回転翼機の最大飛行速度である速度判定閾値Vminと、ミサイルの最低飛行速度である速度判定閾値Vmaxが目標類別制御部10から与えられ、目標速度Vと速度判定閾値Vmax及びVminとを比較して行われる。この比較の結果、a)V≦Vminの場合には低速度であると判定し、b)Vmin<V<Vmaxの場合には中速度であると判定し、c)V≧Vmaxの場合には高速度であると判定する。
【0079】
目標類別制御部10は、目標速度判定部11の判定結果に基づいて、、次のような処理を行う。低速度の目標であれば、回転翼機又は固定翼機(すなわちミサイル以外)であると判定し、固定翼機と回転翼機とを類別するためにステップS11へ進む。中速度の目標であれば、固定翼機であると判定し、これを類別結果として出力して処理を終了する。高速度の目標であれば、ミサイル又は固定翼機(回転翼機以外)であると判定して、ミサイルと固定翼機とを類別するためにステップS14へ進む。
【0080】
この様にして、目標速度に基づく判別処理(ステップS10)を最初に行うことにより、目標が中速度の場合はステップS10の処理のみで目標類別結果を求めることができ、目標類別処理時間を短縮することができる。
【0081】
(2)目標高度Hによる判定処理(ステップS11)
回転翼機の飛行高度はせいぜい3000mであり、固定翼機の飛行高度は高い場合もあれば低い場合もある。ステップS11では、この様な飛行高度の違いに着目し、回転翼機と固定翼機の類別を行う。
【0082】
目標高度Hによる判定は、目標類別制御部10からの指令に基づいて、目標高度判定部12により行われる。回転翼機の飛行可能最大高度である目標高度閾値Hminが目標類別制御部10から与えられ、目標高度Hと高度判定閾値Hminとを比較する。この比較結果に基づいて、a)H≧Hminの場合には、高空(高高度)であると判定し、b)H<Hminの場合には、低空(低高度)であると判定する。
【0083】
目標類別制御部10は、目標高度判定部12の判定結果に基づいて、、次のような処理を行う。目標の高さが高空であれば固定翼機であると判定し、これを類別結果として出力して処理を終了する。目標の高さが低空であれば、回転翼機又は固定翼機のいずれかを判定できず、回転翼機と固定翼機とを類別するためのステップS13へ進む。
【0084】
この様にして、ステップS11の後にステップS12の処理を行うことにより、目標が高高度を飛行している場合はステップS10及びS11の処理のみで目標類別の結果、すなわち固定翼機であることが求められ、目標類別処理の処理時間を短縮することができる。
【0085】
(3)ドップラ分布解析による判定処理(ステップS13)
回転翼機のロータからのレーダ散乱波は幅広い周波数帯域を持つため、受信電波のドップラ分布が広がる。ステップS13では、この様なドップラの広がりの違いに着目し、回転翼機と固定翼機との類別を行う。
【0086】
図4は、ドップラ分布解析部13における解析方法の一例を示した説明図である。ドップラ分布解析は、目標類別制御部10からの指令に基づいて、ドップラ分布解析部13により行われる。ドップラ分布解析は、信号処理部7で求められた高ドップラ分解能受信信号に対し、目標類別制御部10から与えられる解析パラメータ(ドップラビン数N、信号強度判定閾値、ドップラビン数判定閾値Lth)を用いて、次のように行われる。
【0087】
まず、ドップラビン数Nの高分解能ドップラ情報について、各周波数の信号強度を信号強度判定閾値と比較する。この比較結果から、信号強度判定閾値よりも大きい受信信号強度を連続して持つドップラビン数Wを求めれば、目標のドップラ広がり(周波数幅)を得ることができる。
【0088】
次に、広がり判定の閾値をドップラビン数によって示したドップラ判定閾値Wthが目標類別制御部10から与えられ、ドップラ広がり数Wと、ドップラ判定閾値Wthとを比較する。この比較の結果、a)W≦Wthの場合には、目標のドップラは広がっていないと判定し、b)W>Wthの場合には、目標のドップラは広がっていると判定する。
【0089】
目標類別制御部10は、ドップラ分布解析部13の判定結果に基づいて、次のような処理を行う。目標のドップラが広がっていない場合には、固定翼機であると判定し、これを類別結果として出力して処理を終了する。目標のドップラが広がっている場合には、回転翼機であると判定し、これを類別結果として出力して処理を終了する。なお、信号強度判定閾値及びドップラビン数判定閾値Wthは、想定するヘリコプタの受信信号強度のドップラ分布をシミュレーション等により計算し決定することができる。
【0090】
(4)目標長さLによる判定処理(ステップS15)
ミサイルと固定翼機とでは長さ(大きさ)が異なり、ミサイルは固定翼機よりも短いことに着目し、固定翼機とミサイルの類別を行う。目標長さ(大きさ)による判定は、目標類別制御部10からの指令に基づいて、目標長さ判定部14により行われる。
【0091】
図5は、目標長さ判定部14における判定方法の一例を示した説明図である。目標長さの判定は、目標類別制御部10からの指令に基づいて、目標長さ判定部114により行われる。目標長さ判定は、目標類別制御部10から与えられた解析パラメータ(解析範囲、受信信号判定しきい値、目標長さ判定閾値Lmin、Lmax)を用いて、次のように行われる。
【0092】
まず、信号処理部7で求められた高距離分解能受信信号について、レーダ制御部2から指定された解析範囲内において、各距離ごとの受信信号強度を受信信号判定閾値と比較し、受信信号判定閾値を連続して超えるレンジ数として目標長さLを推定する。次に、目標長さLを目標長さ判定閾値Lmin、Lmaxと比較する。目標長さ判定閾値Lminは固定翼機の最短長さとして、目標長さ判定閾値Lmaxはミサイルの最大長さとして、目標類別制御部10から与えられる。
【0093】
この比較結果に基づいて、a)L<Lminの場合には、小型目標であると判定し、b)Lmin<L<Lmaxの場合には、中型目標であると判定し、c)L>Lmaxの場合には、大型目標であると判定する。なお、受信信号判定閾値、目標長さ判定閾値Lmin及びLmaxは、想定するミサイル又は航空機のレンジプロフィールをシミュレーション等により計算し決定することができる。
【0094】
目標類別制御部10は、目標長さ判定部14の判定結果に基づいて、次のような処理を行う。小型目標と判定された場合には、ミサイルであると判定し、これを判定結果として出力して処理を終了する。中型目標と判定された場合は、ミサイル又は固定翼機のいずれであるのか判定できず、ミサイルと固定翼機との類別を行うためにステップS16へ進む。大型目標と判定された場合は、固定翼機であると判定し、これを判定結果として出力して処理を終了する。
【0095】
この様にして、ステップS11の後にステップS15の処理を行うことにより、ステップS15の処理を行うことにより、目標が小型または大型の場合はステップS10及びステップS15の処理のみで目標類別の結果、すなわち、小型のミサイル、大型の固定翼機であることがわかり、目標類別処理の処理時間の短縮することができる。
【0096】
(5)レンジプロフィール解析による判定処理(ステップS16)
ミサイルの受信信号強度の目標距離に対する分布は、固定翼機の受信信号強度の分布と比較してレンジ方向の変動が小さい(すなわち、受信信号の広がりがない)ことに着目し、固定翼機とミサイルの類別を行う。
【0097】
図6は、レンジプロフィール解析部15における解析方法の一例を示した説明図である。レンジプロフィール解析は、目標類別制御部10からの指令に基づいて、レンジプロフィール解析部15により行われる。レンジプロフィール解析は、信号処理部7で求められた高距離分解能受信信号に対し、目標類別制御部10から与えられる解析パラメータ(解析範囲、受信信号強度比判定閾値Rth)を用いて、次のように行われる。
【0098】
まず、高距離分解能受信信号について、解析範囲内において、受信信号強度の最大値及び最小値を求め、その強度比をレンジプロフィールRとする。すなわち、R=(解析範囲における受信信号の最大値)/(解析範囲における受信信号の最小値)とする。次に、求められたレンジプロフィールRと、受信信号強度判定閾値Rthとを比較する。この比較結果に基づいて、a)R≦Rthの場合には、受信信号が広がっていないと判定する。b)R>Rthの場合には、受信信号が広がっていると判定する。なお、受信信号強度判定閾値Rthの値は、想定されるミサイルや固定翼機のレンジプロフィールをシミュレーション等により推測し計算すればよい。
【0099】
目標類別制御部10は、レンジプロフィール解析部15の判定結果に基づいて次のように処理する。受信信号が広がっていない場合には、ミサイルであると判定し、これを類別結果として出力して処理を終了する。受信信号が広がっている場合には、固定翼機であると判定し、これを類別結果として出力して処理を終了する。
【0100】
なお、図3の高ドップラ分解能ビーム照射(ステップS12)は、ドップラ分布解析(ステップS13)を行う際、高ドップラ分解能の目標情報に基づいて解析を行うことができるように、高ドップラ分解能指令が、目標類別制御部10からビームマネジメント部3へ予め出力されるステップである。
【0101】
また、図3の高距離分解能ビーム照射(ステップS14)は、目標長さ判定(ステップSS15)及びレンジプロフィール解析(ステップS16)を行う際、高距離解像度の目標情報に基づいて解析を行うことができるように、高距離分解能指令が、目標類別制御部10からビームマネジメント部4へ予め出力されるステップである。
【0102】
また、ステップS10、S11、S13、S15、S16で用いられるパラメータは、運用状況によりオペレータが指定し、あるいは、レーダ自身の判断により動的に切換えることができるように目標類別制御部10にパラメータの自動変更機能を設けてもよい。例えば、次のようなパラメータ変更が考えられる。
【0103】
(1)目標速度閾値Vmin及びVmax
天候の影響によりヘリが飛行困難な状況、あるいは高速で飛行不可能な状況の場合には、回転翼機の最大飛行速度としての速度判定閾値Vminを小さくする。また、遠距離射程のミサイルは飛行速度が近距離射程のミサイルに比べて遅いため、遠距離射程のミサイルを対象とした目標類別を行う場合には、ミサイルの最小飛行速度としての速度判定閾値Vmaxを小さくする。逆に飛行速度が速い近距離射程のミサイルを対象とした目標類別を行う場合は速度判定閾値Vmaxを大きくする。
【0104】
(2)目標高度閾値Hmin
天候の影響により、ヘリの飛行可能高度に制限がある場合には、回転翼機の飛行可能最大高度である目標高度閾値Hminを小さくする。
【0105】
(3)ドップラ判定閾値Wth
レーダに対する回転翼機の脅威度が固定翼機と比較して高い場合はWthを小さく設定し、目標類別が誤判定となる確率が向上しても回転翼機と類別するようにする。また逆に回転翼機の脅威度が固定翼機と比較して高い場合はWthを大きく設定し、目標類別が誤判定となる確率が向上しても固定翼機と類別するようにする。
【0106】
(4)目標長さ判定閾値Lmin、Lmax
レーダに対するミサイルの脅威度が固定翼機と比較して高い場合には、固定翼機の最短長さである目標長さ判定閾値Lminを大きく、またミサイルの最大長さである目標長さ判定閾値Lmaxを大きく設定することにより、固定翼機をミサイルとして誤って類別する確率が増大しても、ミサイルを固定翼機として誤って類別する確率を抑制できるようにする。
【0107】
本実施の形態によれば、目標速度、目標高度、ドップラ分布、目標長さ及びレンジプロフィールによる目標の判定を上記のように組み合わせて、飛翔体目標の類別処理を行うことにより、従来は困難であった固定翼機、回転翼機、ミサイルの類別を短時間で効果的に行うことができる。
【0108】
実施の形態2.
ドップラ分布の広がらない固定翼機であっても、旋回している場合であれば、その向きによってドップラ分布が広がりを持つ。このため、ドップラ分布解析では、旋回中の固定翼機を回転翼機であると誤判定する可能性がある。また、レーダ装置から見た固定翼機の向きによっては、みかけの目標の長さが短くなる。例えば、レーダから見て固定翼機が真横を向いている様な場合であり、この様な場合には、目標長さ及びレンジプロフィール解析において固定翼機をミサイルであると誤判定する可能性がある。つまり、実施の形態1による目標類別装置では、目標類別結果を誤る可能性がある。実施の形態2は、実施の形態1の飛翔体目標類別装置において、この様な問題も考慮した更に改良された目標類別装置について説明する。
【0109】
図7は、本発明の実施の形態2による飛翔体目標類別装置の要部の一構成例を示した図であり、図1の目標類別処理部8の他の構成例を示したものである。図2と比較すれば、航跡解析部16を備えている点で異なる。
【0110】
航跡解析部16は、目標類別制御部10からの指令により動作し、信号処理部7からの目標情報に基づいて目標の旋回加速度及び目標の向きを算出する。目標類別制御部10は、ドップラ分布解析による固定翼機と回転翼機との類別を行う際、航跡解析部16からの旋回加速度情報を考慮して判定を行う。
【0111】
また、ミサイルと固定翼機との類別を行う際、旋回加速度に基づいて判定するとともにレンジプロフィール解析による判定において目標の向きを考慮する。更に、目標長さにより類別する際、大型目標であれば実施の形態1の場合と同様、固定翼機であると判定するが、小型目標の場合にミサイルであるとの判定は行わない。その他の動作は実施の形態1と同様である。
【0112】
図8のステップS10〜S14及びS20〜S23は、図7の目標類別処理部8の動作の一例を示したフローチャートである。図3と比較すれば、2つの旋回加速度解析(ステップS20、S21)を備え、目標長さ判定(ステップS22)レンジプロフィール解析(ステップS23)の動作が異なっている。以下では、新たに追加された旋回加速度解析S20、S21との関係について詳細に説明する。
【0113】
まず、ステップS20の動作について説明する。回転翼機の旋回加速度の上限は、固定翼機に比較して小さく、固定翼機のドップラが広がるのは固定翼機が旋回中の場合が多い。このため、旋回加速度が小さい場合は固定翼機のドップラが広がる可能性は小さいことに着目し、ドップラ分布解析(ステップS13)に旋回加速度解析(ステップS20)を組み合わせれば誤判定を防止し、あるいは低減することができる。
【0114】
ドップラ分布解析を行う際、すなわち、目標高度判定(ステップS11)において低高度と判定された場合、目標類別制御部10はドップラ分布解析部13と航跡解析部16に動作指令を出す。ドップラ分布解析部13は実施の形態1の場合と同様ドップラが広がっているか否かの解析を行う。
【0115】
一方、航跡解析部16は、信号処理部7の目標情報に含まれる目標の位置情報に基づいて、目標の旋回加速度Gを算出し、これを旋回加速度閾値Gth1と比較する。この比較結果に基づいて、a)G≦Gth1の場合には、目標は低旋回加速度と判定する。b)G≦Gth1の場合には、目標は高旋回加速度と判定する。なお、Gth1は、回転翼機で考えられる旋回加速度の上限値とすればよい。
【0116】
目標類別制御部10は、ドップラ分布解析部13及び航跡解析部16からの判定結果に基づいて目標類別を行う。すなわち、目標のドップラ分布が広がっていない場合は固定翼機であると判定する。目標のドップラ分布が広がっており、かつ高旋回加速度の場合には、固定翼機であると判定する。目標のドップラ分布が広がっており、かつ低旋回加速度の場合は固定翼機であると判定する。回転翼機は高い旋回加速度で旋回できず、固定翼機は低い旋回加速度の場合にドップラが広がる可能性が小さいからである。
【0117】
図8では、ドップラ分布解析部13の判定結果に基づいて、ドップラ分布が広がっていない場合には、実施の形態1の場合と全く同様、固定翼機であると判定して処理を終了している(ステップS13)。一方、ドップラ分布が広がっている場合には、更に航跡解析部16が求めた旋回加速度に基づいて判断している。すなわち、高旋回加速度の場合には固定翼機であると判定して処理を終了し、低旋回加速度の場合には、回転翼機であると判定して処理を終了している(ステップS20)。
【0118】
次に、ステップS21の動作について説明する。ミサイルの旋回可能な最大速度は固定翼機より大きいため、目標の旋回加速度が大きい場合は目標がミサイルであると類別できる。また、レーダ装置からの見かけ上の目標長さが短くなっている場合であっても、目標の向きを推定してこれを考慮することにより、レンジプロフィール解析によって目標を類別することができる。これらの点に着目してミサイルと固定翼機の誤判定を防止し、あるいは低減することができる。以下に、旋回加速度解析(ステップS21)、目標長さ解析(ステップS22)、レンジプロフィールの解析(ステップS23)を組み合わせた場合の目標類別について説明する。
【0119】
目標長さによる判定を行う際、すなわち、目標速度判定(ステップS10)において高速度と判定された場合、目標類別制御部10は目標長さ判定部14と航跡解析部16に動作指令を出す。目標長さ判定部14は実施の形態1の場合と同様、目標が小型、中型、大型のいずれであるのかを判定する。
【0120】
一方、航跡解析部16は、信号処理部7の目標情報に含まれる目標の位置情報に基づいて、目標の旋回加速度Gを算出し、これを旋回加速度閾値Gth2と比較する。この比較結果に基づいて、a)G≦Gth2の場合、目標は低旋回加速度であると判定する。b)G>Gth2の場合、目標は高旋回加速度であると判定する。ここで、Gth2は、固定翼機で考えられる旋回加速度の上限値とすればよい。
【0121】
目標類別制御部10は、目標長さ判定部14及び航跡解析部16からの判定結果に基づいて目標類別を行う。すなわち、目標が高旋回加速度の場合にはミサイルであると判定する。目標が大型目標の場合には、固定翼機であると判定する。目標が低旋回加速度であり、かつ小型又は中型である場合には、ミサイル又は固定翼機のいずれであるのか判定できず、ミサイル又は固定翼機と判定する。
【0122】
図8では、航跡解析部16の解析結果に基づき高旋回加速度である場合には、ミサイルであると判定して処理を終了している(ステップS21)。一方、低旋回加速度である場合には、更に目標長さ判定部14による判定結果に基づいて、大型目標の場合には固定翼機であると判定して処理を終了し、小型又は中型目標である場合には、レンジプロフィール解析へ進む(ステップS22)。
【0123】
レンジプロフィール解析による判定を行う際、プロフィール解析部15は、航跡解析部16が求めた目標の向きを考慮してレンジプロフィール解析を行う。目標類別制御部10は、この解析結果に基づいて、ミサイル又は固定翼機の類別を行う(ステップS23)。
【0124】
図9は、航跡解析部16が推定する目標の向きを説明するための説明図である。航跡解析部16は、目標類別制御部10からの動作指令に基づいて、レーダ装置に対する目標の相対的な向きを推定する。信号処理部7の目標情報に含まれる目標の過去の位置情報に基づいて、レーダ方向の直交面と目標の移動方向との相対角度Θが推定できる。なお、飛翔体目標の場合、目標の移動方向が目標の向きとなる。
【0125】
ステップS23における目標の向きを考慮したレンジプロフィール解析は、想定される目標の固定翼機及びミサイルの目標について、その向きによって生ずるレンジプロフィールの変化を予め求めてデータベースとして用意し、受信信号強度判定閾値Rthを目標の向きに応じてミサイルと固定翼機の類別が可能な値に変更することによって行われる。
【0126】
本実施の形態では、ドップラ分布解析による判定と、旋回加速度による判定とを組み合わせることにより、旋回中の固定翼機を回転翼機と誤って判定するのを防止し、あるいは低減することができる。また、目標長さ及びレンジプロフィールによる判定と、旋回加速度による判定とを組み合わせることにより、レーダ装置からの見かけ上の目標長さが短い固定翼機をミサイルと誤って判定するのを防止し、あるいは抑制することができる。
【0127】
なお、本実施の形態では、目標長さ判定部14の判定結果が大型目標でなければ、小型又は中型目標のいずれであっても類別結果に影響がないため、固定翼機の最短長さである目標長さ判定閾値Lminとの比較は省略し、目標長さ判定部14において大型目標か否かを判定するようにしてもよい。
【0128】
【発明の効果】
本発明による飛翔体目標類別装置は、目標速度、目標高度、ドップラ分布解析、目標長さ、レンジプロフィール解析及び旋回加速度による判定から、2以上の判定方法を所定の順序により組み合わせて、ミサイル、固定翼機又は回転翼機からなる飛翔体目標の類別を行っている。このため、目標類別処理を短期間で行うことができる。また、目標類別処理の負荷を軽減することができる。例えば、目標類別の容易な目標特徴量から順に類別処理を行うことにより、処理を簡素化しつつ計算時間を短縮することができる。
【0129】
また、本発明による飛翔体目標類別装置は、オペレータが方位及び距離を予め指定することにより、当該指定方位に現れた目標に対し自動的に目標類別を行っている。このため、類別対象となる目標を指定するオペレータの負担を低減することができる。
【0130】
また、本発明による飛翔体目標類別装置は、高距離分解能送信時に目標に対しヒット数を増加させるビームマネジメントを行って、受信信号のS/Nを増加させている。このため、レンジプロフィール解析の解析精度を向上させることができる。
【0131】
また、本発明による飛翔体目標類別装置は、高ドップラ分解能送信時にパルス送信間隔を変更するビームマネジメントを行っている。このため、ドップラ受信信号の解析精度を向上させることができる。
【0132】
また、本発明による飛翔体目標類別装置は、ドップラ分布及び目標旋回加速度を組み合わせて類別処理を行っている。このため、旋回している固定翼機を回転翼機と誤判定することを防止し、あるいは低減することができる。
【0133】
また、本発明による飛翔体目標類別装置は、レンジプロフィールによる類別を行う際に、目標の向きを考慮して類別処理を行っている。このため、目標の相対的向きにより、固定翼機をミサイルと誤判定することを防止し、あるいは低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による飛翔体目標類別装置の一構成例を示したブロック図である。
【図2】 図1の目標類別処理部8の詳細構成を示したブロック図である。
【図3】 ステップS10〜S16は、目標類別処理部8の動作の一例を示したフローチャートである。
【図4】 ドップラ分布解析部13における解析方法の一例を示した説明図である。
【図5】 目標長さ判定部14における判定方法の一例を示した説明図である。
【図6】 レンジプロフィール解析部15における解析方法の一例を示した説明図である。
【図7】 本発明の実施の形態2による飛翔体目標類別装置の要部の一構成例を示した図であり、図1の目標類別処理部8の他の構成例を示したものである。
【図8】 ステップS10〜S14及びS20〜S23は、図7の目標類別処理部8の動作の一例を示したフローチャートである。
【図9】 航跡解析部16が推定する目標の向きを説明するための説明図である。
【図10】 従来の飛翔体目標類別装置の構成例を示したブロック図であり、特開昭60−56276号に開示された航空機識別装置が示されている。
【符号の説明】
1 レーダ指示部、2 レーダ制御部、3 ビームマネジメント部、
4 送信部、5 空中線部、6 受信部、7 信号処理部、
8 目標類別処理部、10 目標類別制御部、11 目標速度判定部、
12 目標高度判定部、13 ドップラ分布解析部、14 目標長さ解析部、
15 レンジプロフィール解析部、16 航跡解析部

Claims (23)

  1. 飛翔体目標をミサイル、回転翼機又は固定翼機へ類別する飛翔体目標類別装置において、飛翔体目標からの受信電波に基づいて目標速度、目標高度及びドップラ分布を求める信号処理部と、この目標速度を所定の速度閾値と比較する目標速度判定部と、上記目標高度を所定の高度閾値と比較する目標高度判定部と、上記ドップラ分布の広がりを求めるドップラ分布解析部と、上記目標速度判定部の比較結果に基づく判定を行い、当該判定によりミサイル以外と判別された場合に上記目標高度判定部の比較結果に基づく判別を行い、当該判定により回転翼機又は固定翼機のいずれであるのかを判別できない場合にドップラ分布の広がりに基づく判定を行う目標類別部と、上記ドップラ分布解析部においてドップラー分布解析を行う場合に、レーダパルスの送信間隔を変更し、上記信号処理部における周波数分解能を増大させるビームマネジメント部とを備えたことを特徴とする飛翔体目標類別装置。
  2. 上記目標速度判定部は、目標速度を第1の速度閾値と比較する第1の速度比較手段と、目標速度を第1の速度閾値よりも大きな第2の速度閾値と比較する第2の速度比較手段とを備え、上記目標類別部は、目標速度が第1の速度閾値よりも大きくかつ第2の速度閾値よりも小さい飛翔体目標を固定翼機と判定することを特徴とする請求項1に記載の飛翔体目標類別装置。
  3. 上記目標類別部が、上記目標速度判定部において目標速度が第1の速度閾値以下となる飛翔体目標について、目標高度判定部の比較結果に基づく判定を行い、この判定結果に基づいて更にドップラ分布の広がりに基づく判定を行って、固定翼機又は回転翼機であると判定することを特徴とする請求項2に記載の飛翔体目標類別装置。
  4. 上記目標類別部が、上記目標速度判定部において目標速度が第1の速度閾値以下となる飛翔体目標について、目標高度が高度閾値以上であれば固定翼機と判定することを特徴とする請求項3に記載の飛翔体目標類別装置。
  5. 上記目標類別部が、上記目標高度判定部において目標高度が高度閾値よりも低い飛翔体目標について、ドップラ分布の広がりに基づき固定翼機又は回転翼機であると判定することを特徴とする請求項3に記載の飛翔体目標類別装置。
  6. 上記ドップラ分布解析部が、受信信号のドップラ分布を信号強度閾値と比較し、信号強度閾値を越えて連続する周波数幅としてドップラ分布の広がりを求める信号強度比較手段と、求められたドップラ分布の広がりを所定の広がり閾値と比較する広がり閾値比較手段とを備え、上記目標類別部は、ドップラ分布の広がりが広がり閾値以下の飛翔体目標を固定翼機であると判定し、広がり閾値を越える飛翔体目標を回転翼機であると判定することを特徴とする請求項5に記載の飛翔体目標類別装置。
  7. 目標長さを所定の長さ閾値と比較する目標長さ判定部と、信号強度分布に基づいて目標距離に対する信号強度変化をレンジプロフィールとして求めるレンジプロフィール解析部と、上記レンジプロフィール解析部において飛翔体目標の解析を行う場合に、その飛翔体目標に対するレーダパルスのヒット数を増加させ、上記信号処理部における距離分解能を増大させるビームマネジメント部とを備え、上記信号処理部が、飛翔体目標からの受信電波に基づいて目標長さ及び目標距離に対する信号強度分布を求め、上記目標類別部が、上記目標速度判定部において目標速度が第2の速度閾値以上である飛翔体目標について、目標長さ判定部の比較結果に基づく判定を行い、この判定結果に基づいて更にレンジプロフィールに基づく判定を行って、ミサイル又は固定翼機であると判定することを特徴とする請求項2に記載の飛翔体目標類別装置。
  8. 上記目標類別部が、上記目標速度判定部において目標速度が第2の速度閾値以上である飛翔体目標について、目標長さの比較結果に基づきミサイル又は固定翼機であると判定することを特徴とする請求項7に記載の飛翔体目標類別装置。
  9. 上記目標長さ判定部は、目標長さを第1の長さ閾値と比較する第1の長さ比較手段と、目標長さを第1の長さ閾値よりも大きな第2の長さ閾値と比較する第2の長さ比較手段とを備え、上記目標類別部は、目標速度が第2の速度閾値以上である飛翔体目標について、目標長さが第1の長さ閾値以下であればミサイルと判定し、目標長さが第2の長さ閾値以上であれば固定翼機と判定することを特徴とする請求項8に記載の飛翔体目標類別装置。
  10. 上記目標類別部が、上記目標長さ判定部において目標長さが第1の長さ閾値よりも長くかつ第2の長さ閾値よりも短い飛翔体目標について、レンジプロフィールに基づきミサイル又は固定翼機であると判定することを特徴とする請求項7に記載の飛翔体目標類別装置。
  11. 上記レンジプロフィール解析部は、飛翔体目標からの受信信号強度の最大値及び最小値の比を求める強度比演算手段と、求められた強度比を強度比閾値と比較する強度比判定手段とを備え、上記目標類別部は、強度比が強度比閾値以下の場合にミサイルであると判定し、強度比閾値よりも大きい場合に固定翼機であると判定することを特徴とする請求項10に記載の飛翔体目標類別装置。
  12. 信電波に基づいて目標旋回加速度を求める航跡解析部を備え、上記目標類別部が、上記目標速度判定部において目標速度が第1の速度閾値以下となる飛翔体目標について、目標高度判定部の比較結果に基づく判定を行い、この判定結果に基づいて更にドップラ分布の広がりに基づく判定を行い、この判定結果に基づいて更に目標旋回加速度に基づく判定を行い、固定翼機又は回転翼機であると判定することを特徴とする請求項2に記載の飛翔体目標類別装置。
  13. 上記目標類別部が、上記目標高度判定部において目標高度が高度閾値よりも低い飛翔体目標について、ドップラ分布の広がりに基づいて固定翼機であると判定することを特徴とする請求項12に記載の飛翔体目標類別装置。
  14. 上記ドップラ分布解析部が、受信信号のドップラ分布を信号強度閾値と比較し、信号強度閾値を越えて連続する周波数幅としてドップラ分布の広がりを求める信号強度比較手段と、求められたドップラ分布の広がりを所定の広がり閾値と比較する広がり閾値比較手段とを備え、上記目標類別部は、ドップラ分布の広がりが広がり閾値以下の飛翔体目標を固定翼機であると判定することを特徴とする請求項13に記載の飛翔体目標類別装置。
  15. 上記目標類別部が、上記ドップラ分布解析部において飛翔体目標のドップラ分布の広がりが広がり閾値よりも大きい飛翔体目標について、目標旋回加速度に基づき飛翔体目標が固定翼機又は回転翼機であると判定することを特徴とする請求項12に記載の飛翔体目標類別装置。
  16. 上記航跡解析部は、目標旋回加速度を第1の旋回加速度閾値と比較する第1の旋回加速度比較手段を備え、上記目標類別部は、目標旋回加速度が第1の旋回加速度閾値よりも大きい飛翔体目標を固定翼機と判定し、第1の旋回加速度閾値以下の飛翔体目標を回転翼機と判定することを特徴とする請求項15に記載の飛翔体目標類別装置。
  17. 受信電波に基づいて目標旋回加速度を求める航跡解析部と、目標長さを所定の長さ閾値と比較する目標長さ判定部と、信号強度分布に基づいて目標距離に対する信号強度変化をレンジプロフィールとして求めるレンジプロフィール解析部とを備え、上記信号処理部が、飛翔体目標からの受信電波に基づいて目標長さ及び目標距離に対する信号強度分布を求め、上記目標類別部が、上記目標速度判定部において目標速度が第2の速度閾値以上である飛翔体目標について、目標旋回加速度に基づく判定を行い、この判定結果に基づいて目標長さ判定部の比較結果に基づく判定を行い、この判定結果に基づいてレンジプロフィールに基づく判定を行って、ミサイル又は固定翼機であると判定することを特徴とする請求項2に記載の飛翔体目標類別装置。
  18. 上記航跡解析部は、目標旋回加速度を第2の旋回加速度閾値と比較する第2の旋回加速度比較手段を備え、上記目標類別部は、上記目標速度判定部において目標速度が第2の速度閾値以上である飛翔体目標について、目標旋回加速度が第2の旋回加速度閾値よりも大きい飛翔体目標をミサイルと判定することを特徴とする請求項17に記載の飛翔体目標類別装置。
  19. 上記目標長さ判定部が、目標長さを第2の長さ閾値と比較する第2の長さ比較手段を備え、上記目標類別部が、目標旋回加速度が第2の旋回加速度閾値以下である飛翔体目標について、目標長さが第2の長さ閾値以上であれば固定翼機であると判定することを特徴とする請求項17に記載の飛翔体目標類別装置。
  20. 上記目標類別部が、上記目標長さ判定部において目標長さが所定の長さ閾値以下の飛翔体目標について、レンジプロフィールに基づきミサイル又は固定翼機であると判定することを特徴とする請求項17に記載の飛翔体目標類別装置。
  21. 上記レンジプロフィール解析部は、飛翔体目標からの受信信号強度の最大値及び最小値の比を求める強度比演算手段と、求められた強度比を強度比閾値と比較する強度比判定手段とを備え、上記目標類別部は、強度比が強度比閾値以下の場合にミサイルであると判定し、強度比閾値よりも大きい場合に固定翼機であると判定することを特徴とする請求項20に記載の飛翔体目標類別装置。
  22. 上記航跡解析部が、飛翔体目標の向きを求め、上記レンジプロフィール解析部が、目標の向きに基づいて上記強度比閾値を変更することを特徴とする請求項21に記載の飛翔体目標類別装置。
  23. 類別対象とする飛翔体目標を方位及び距離により予め指定するレーダ指示部を備え、上記目標類別部は、指定された方位及び距離の飛翔体目標を類別対象とすることを特徴とする請求項1から22のいずれかに記載の飛翔体目標類別装置。
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