JP6350565B2 - 種子被覆剤、種子被覆方法及び被覆剤被覆種子 - Google Patents

種子被覆剤、種子被覆方法及び被覆剤被覆種子 Download PDF

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Description

本発明は、鉄粉及び結合材を構成要素として含み、種子被覆を効果的に行うことができる種子被覆剤、種子被覆方法及び被覆剤被覆種子に関するものである。
農業従事者の高齢化、農産物流通のグローバル化に伴い、農作業の省力化や農産物生産コストの低減が解決すべき課題となっている。これらの課題を解決するために、例えば、水稲栽培においては、育苗と移植の手間を省くことを目的として、種子を圃場に直接播く直播法が普及しつつある。その中でも、種子の比重を高めるために、鉄粉を被覆した種子を用いる手法は、水田における種子の浮遊や流出を防止し、かつ鳥害を防止するというメリットがあることで注目されている。
このように鉄粉を被覆した種子を用いて直播栽培法を活用するためには、輸送や播種の工程において被覆した鉄粉被膜が剥離しにくいことが求められる。鉄粉被膜が剥離すると、種子の比重が低下して前記のメリットが得られなくなるのみならず、剥離した被膜は輸送や播種の工程において、配管の目詰まりや回転機構部への噛み込みの原因となり、剥離した細かい鉄粉が粉塵を生じる原因にもなるからである。このようなことから、鉄粉被膜の剥離は極力抑制しなくてはならない。
稲種子表面に鉄粉を付着、固化させる技術としては、特許文献1に鉄粉被覆稲種子の製造法として以下のような技術が提案されている。
「稲種子に、鉄粉、並びに鉄粉に対する質量比で0.5〜2%の硫酸塩(但し、硫酸カルシウムは除く)及び/又は塩化物を加え、さらに水を添加して造粒し、水と酸素を供給して金属鉄粉の酸化反応によって生成した錆により、鉄粉を稲種子に付着、固化させた後、乾燥させることを特徴とする鉄粉被覆稲種子の製造法。」(特許文献1の請求項1参照)
特許文献1に記載の発明においては、稲種子が動力散布機や播種機を用いて播種されるため、機械的衝撃によって崩壊しない程度の強度特性が必要であることから、製造されたコーティング稲種子について、コーティングの崩壊程度の測定法(以下、コーティングの崩壊試験という)、すなわち1.3mの高さから厚さ3mmの鋼板に5回落下させ、機械的衝撃を与える方法で測定して、コーティングに実用的な強度が得られていることを確認している。
稲種子は播種工程のみならず、輸送工程においても機械的な外力を受けることは前述の通りである。そして、輸送工程において稲種子が受ける機械的外力は、落下による衝撃の他、種子間もしくは種子と容器間で生じる滑りや転がりの摩擦力である。
落下による衝撃を受けた場合、鉄粉被覆は割れによって剥離するが、摩擦力を受けた場合には、磨り減りにより徐々に剥離するという形態をとる。
これに対し、特許文献2、3、4においては特定粒度の鉄粉を使用することにより、ラトラ試験での種子の滑りや転がり摩擦応力に対して十分な強度で稲種子を被覆できる技術が開示されている。
特許第4441645号公報 特許第5071577号公報 特許第5403030号公報 特許第5403031号公報 特許第5717110号公報 特開2013−183703号公報 特開2014−113128号公報
近年、播種装置が自動化、多様化してきており、種子を送り出す装置において種子が捻られる状況のため、鉄粉被覆の強度に関し、滑りや転がりに対する強度では不十分なことが起こり、さらなる鉄粉被膜の強さが求められるようになってきた。
一方、鉄粉被覆を施したコーティング種子同士の凝集(複粒化)が起こることがあり、この場合、手作業で単粒化することが必要となり重労働であった。これに対する対策として、特許文献1の請求項5には被覆種子の鉄粉の外層に硫酸カルシウム又はその水和物の層を形成させる方法が開示されている。
また、更に単粒化させる方法として特許文献5の請求項1には、鉄粉被覆層の外側にシリカゲル被覆層を形成させることを特徴とする鉄粉被覆種子の製造方法が開示されている。
しかしながら、最外層に硫酸カルシウムやシリカゲルを形成させる方法は粉塵の発生が多く、作業環境が悪化するという課題があった。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、種子被覆時の発塵が少なく、播種工程、輸送工程のみならず播種装置においても鉄粉被覆の脱落が少なく、種子の凝集、複粒化が起きにくい種子被覆剤、種子被覆方法及び被覆剤被覆種子を得ることを目的としている。
発明者は、上記の問題点を解決するために、鉄粉と結合材のそれぞれについて以下の知見を得た。
<粉塵抑制>
嵩高い焼石膏、さらに嵩高いシリカゲルの外層への単独添加は粉塵が非常に発生しやすく、作業性を悪くするものであった。
そこで発明者らは、粉塵発生を抑えるにはいかにすべきかを検討したところ、鉄粉と焼石膏を所定量混合することで大幅に粉塵を抑制できることをつきとめた。これは焼石膏が密度の高い鉄粉の表面に吸着する効果と考えられる。また、鉄粉に対する焼石膏の量が所定量を超えると粉塵発生が多くなる傾向にあることも分かった。
<凝集防止性と被膜強度>
焼石膏、シリカゲルを単独で外層へ加えることにより凝集防止効果が見られるが、被膜強度(耐ネジリ性)が劣化する傾向にあった。
他方、鉄粉と焼石膏を混合した場合、焼石膏量を増加させるに従い、凝集性が低下する傾向にあることがわかったが、被膜強度(耐ネジリ性)が劣化した。これまで、凝集防止性と被膜強度の両立できる技術はなかったが、発明者らは、特定比率の焼石膏量と鉄粉の混合体を複数使用することで凝集防止性と被膜強度の両立できることを見出した。即ち、内層に比較的焼石膏の少ない層を形成し、最外層に比較的焼石膏量が多い層を形成することにより、錆発生時の相乗効果により種子側に錆リッチ、外層に焼石膏リッチな状態に偏在した錆被膜が形成されるため凝集防止効果と被膜強度が両立できると考えられる。
なお、上記の検討は稲種子を例に挙げて説明したが、例えば、麦、ニンジン、トマトなどの種子であれば、同様のことが言える。
本発明は上記知見に基づくものであり、具体的には以下の構成を備えたものである。
(1)本発明に係る種子被覆剤は、鉄粉と、硫酸塩及び/又は塩化物を主材とする結合材を含み、種子表面を複数の被覆層で被覆するのに用いる種子被覆剤であって、
前記被覆層のうち内側の被覆層に用いる第1被覆剤と、最外層に用いる第2被覆剤とを備えてなり、
前記第1被覆剤は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が0.5以上〜12%以下であり、前記第2被覆剤は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が12%超え〜45%以下であることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記第1被覆剤は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が異なる複数種類からなり、内側の被覆層を形成する被覆剤ほど結合材の鉄粉に対する質量比が小さく設定されていることを特徴とするものである。
(3)また、本発明に係る種子被覆方法は、上記(1)又は(2)に記載の種子被覆剤を用いて種子の表面を被覆する種子被覆方法であって、
第1被覆剤によって種子を被覆する第1工程と、該第1工程によって第1被覆剤で表面が被覆された種子を第2被覆剤によってさらに被覆する第2工程を備えたことを特徴とするものである。
(4)本発明に係る被覆剤被覆種子は、鉄粉と、硫酸塩及び/又は塩化物を主材とする結合材を含む種子被覆剤によって形成された複数の被覆層で種子表面を被覆された被覆剤被覆種子であって、
前記被覆層が内側の内側被覆層と、最も外側の被覆層である最外層とを備えてなり、
前記内側被覆層は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が0.5以上〜12%以下である第1被覆剤によって形成され、前記最外層は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が12%超え〜45%以下である第2被覆剤によって形成されていることを特徴とするものである。
(5)また、上記(4)に記載のものにおいて、前記内側被覆層が複数の被覆層からなり、該複数の被覆層のうち内側の被覆層ほど結合材の鉄粉に対する質量比が小さく設定された被覆剤によって形成されていることを特徴とするものである。
本発明に係る種子被覆剤は、鉄粉と、硫酸塩及び/又は塩化物を主材とする結合材を含み、種子表面を複数の被覆層で被覆するのに用いるものであって、前記被覆層のうち内側の被覆層に用いる第1被覆剤と、最外層に用いる第2被覆剤とを備えてなり、前記第1被覆剤は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が0.5以上〜12%以下であり、前記第2被覆剤は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が12%超え〜45%以下であることにより、種子の表面を被覆する被覆作業における粉塵の発生を抑制し、また種子の表面を被覆した被覆剤被覆種子同士の凝集を抑制し、さらには播種作業における被膜の割れを抑制できるので、被覆、播種の作業性向上を実現できる。
本発明の一実施の形態に係る被覆剤被覆種子の説明図(断面図)である。 本発明の一実施の形態に係る被覆剤被覆種子の他の態様の説明図(断面図)である。 実施例における被膜強度の評価方法の説明図である。
[実施の形態1]
本発明の一実施の形態に係る種子被覆剤は、鉄粉と、硫酸塩及び/又は塩化物を主材とする結合材を含み、種子表面を複数の被覆層で被覆するのに用いる種子被覆剤であって、
前記被覆層のうち内側の被覆層に用いる第1被覆剤と、最外層に用いる第2被覆剤とを備えてなり、第1被覆剤は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が0.5%以上〜12%以下であり、第2被覆剤は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が12%超え〜45%以下であることを特徴とするものである。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
<鉄粉>
粒子径は特に規定しないが、好ましくは150μm以下の鉄粉が全鉄粉質量に対して80%以上であることが均一被覆のために好ましい。
なお、鉄粉の粒度分布は、JIS Z2510−2004に定められた方法を用いてふるい分けすることによって評価できる。
本実施の形態における鉄粉の製造方法としては、ミルスケールを還元して製造する還元法や水アトマイズして製造するアトマイズ法などが例示される。また、純鉄、合金鉄の粉体ならびに他の金属との混合物が適用できるが、金属粉中の金属鉄成分が50%以上、更に70%以上とすることが錆発生の観点から好ましい。
鉄粉の使用量は特に規定しないが、種子(乾籾)に対する重量比率として5%以上、400%以下が好ましく、更に、10%以上、200%以下が好ましい。
<結合材>
結合材は、硫酸塩及び/又は塩化物から構成される。硫酸塩とは、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム及びこれらの水和物である。また、塩化物とは、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム及びこれらの水和物である。特に焼石膏(硫酸カルシウム・1/2水和物)が好ましい。
結合材の平均粒径は特に定めないが、1〜150μmが好ましい。結合材の平均粒径が1μm未満では、被覆作業時に発生する凝集粒子が多くなり作業性が著しく低下するからである。一方、結合材の平均粒径が150μmを超えると、鉄粉への付着力が低下しコーティング被膜の強度が低下する傾向にある。
<結合材の鉄粉に対する質量比率>
結合材の鉄粉に対する質量比率は、第1被覆剤が0.5%以上〜12%以下であり、第2被覆剤が12%超え〜45%以下である。更に第1被覆剤が0.5%以上〜11%以下であり、第2被覆剤が14%以上〜33%以下であるのが好ましい。それぞれ1梱包以上になっていても構わない。例えば(a)第1被覆剤(10%)1梱包と第2被覆剤(20%)1梱包、(b)第1被覆剤(10%)2梱包と第2被覆剤(20%)1梱包、(c)第1被覆剤(5%)1梱包と第1被覆剤(10%)1梱包と第2被覆剤(25%)1梱包といった組合せにすることができる。また、同時にコーティングすることが目的であれば、セットになっている必要はない。
本発明の実施の形態1の効果は、種子を被覆する際及び種子被覆剤で種子被覆した被覆剤被覆種子において得られるので、以下の実施の形態2、3において説明する。
[実施の形態2]
本実施の形態に係る種子被覆方法は、実施の形態1で示した種子被覆剤を用いて種子の表面を被覆する種子被覆方法であって、第1被覆剤によって種子を被覆する第1工程と、該第1工程によって第1被覆剤で表面が被覆された種子を第2被覆剤によってさらに被覆する第2工程を備えたものである。
本実施の形態の種子被覆方法、上記の第1工程と第2工程において種子被覆剤で種子を被覆する具体的な方法については特に制限はない。例えば「鉄コーティング炭水直播マニュアル2010(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 近畿中国四国農業研究センター 編)」に示されているように、手作業での被覆(コーティング)をはじめ、従来から公知の混合機を用いる方法等いずれを使用してもよい。
混合機としては、例えば、攪拌翼型ミキサー(たとえばヘンシェルミキサー等)や容器
回転型ミキサー(たとえばV型ミキサー,ダブルコーンミキサー、傾斜回転型パン型混合
機、回転クワ型混合機等)が使用できる。
種子被覆方法の具体例を示すと以下の通りである。
種籾等の種子と第1被覆剤及び第2被覆剤を準備する。次に、混合機を用いて、適量の水を噴霧しながら種子(種籾)100gに対して第1被覆剤を数回に分けてコーティングする。次に、第1被覆剤が被覆された種子に対して、上記と同様に混合機を用いて、適量の水を噴霧しながら第2被覆剤を数回に分けてコーティングする。
本実施の形態の種子被覆方法では、第1被覆剤、第2被覆剤を用いることで、嵩高い焼石膏、さらに嵩高いシリカゲルの外層への単独添加のような粉塵発生を抑制でき、作業性を向上することができる。
[実施の形態3]
本実施の形態に係る被覆剤被覆種子1は、図1に示すように、種子3の表面側に形成された内側被覆層5と、最も外側の被覆層である最外層7とを備えてなり、内側被覆層5は、結合材の鉄粉に対する質量比が0.5%以上〜12%以下である第1被覆剤によって形成され、最外層7は、結合材の鉄粉に対する質量比が12%超え〜45%以下である第2被覆剤によって形成されている。
結合材の鉄粉に対する質量比率が0.5%以上〜12%以下の第1被覆剤を種子側に被覆して内側被覆層5を形成し、結合材の鉄粉に対する比率が12%超え〜45%以下の第2被覆剤を被覆することで最外層7を形成することで、本発明の効果が得られるが、この点ついて以下詳細に説明する。
《内側被覆層》
種子側の内側被覆層5を形成する第1被覆剤における結合材の鉄粉に対する比率が0.5%未満であると被覆後において鉄粉の腐食が進まず、被膜の強度が出ない傾向にある。他方、前記の比率が12%を超えると錆よりも結合材の比率が多くなり、被膜の強度が低下する傾向にある。
《最外層》
鉄リッチな内側被覆層5がある場合、最外層7(第2被覆剤による被覆)における結合材の鉄粉に対する比率が12%以下であると種子の凝集が発生する傾向にあり、45%を超えると被膜の強度が低下する傾向にある。
なお、被覆層が単独であるより複数層になっていることで性能向上する理由について次のように考えている。
鉄リッチである内側被覆層5から錆が滲み出し、結合材リッチである最外層7へ浸透していく。錆は被膜の強度を高めるために重要なものであり、結合材は種子同士の凝集を防ぐ効果があるが、単層では被膜強度向上性と凝集防止性を両立できない。
この点、複数層にすることで錆と結合材が内側被覆層5と最外層7との関係においてグラデーション構造となり相反する効果を両立できたものと思われる。最外層7に仕上げ石膏、仕上げシリカゲルを施した場合には凝集防止効果はあるものの、錆の滲み出しが不十分となりやすく、被膜の欠陥となってしまうため強度が低下するのではないかと思われる。
以上のように、本実施の形態における種子被覆剤によって種子を被覆することにより、被膜強度向上性と凝集防止性を両立させることができる。
なお、図1においては、被覆層が内側被覆層5と最外層7を2層で形成したものを示したが、本発明はこれに限られるものではなく、層の数は特に限定されず、例えば図2に示すように3層構造のものも含まれる。もっとも、被覆層の数が3層以上の場合であっても、内側被覆層5を形成する被覆剤は第1被覆剤であり、最外層7を形成する被覆剤は第2被覆剤である。図2に示す例は、内側被覆層5を2層構造とし、その外側に最外層7を形成している。内側被覆層5の最も内側の内側被覆層(内側)5aとその外側の内側被覆層(外側)5bでは内側の層の方が鉄リッチになっている。もっとも、このように内側から外側に向かって複数の層がある場合内側の方が外側よりも鉄リッチとなるグラデーションにするのが好ましいが、これに限定されるものではない。
また、種子の種類は特に限定されず、例えば稲、麦、ニンジン、トマト等などの種子であれば、本発明の効果が得られる。
本発明に係る種子被覆剤の効果を確認するために、表1に示す種子被覆剤を用いて稲種子の被覆を行い、粉塵抑制、凝集防止及び被膜強度の各効果を比較した。
表2に表1において記号A1〜A4で示した鉄粉の詳細を、表3に表1において記号B1〜B7で示した結合材の詳細を、表4に表1において記号C1で示した結合材の詳細を、それぞれ示す。
表4中の「サイロページ」は登録商標である。
種子被覆剤による被覆(コーティング)は、前述した「鉄コーティング炭水直播マニュアル2010」に記載された方法に準じて行った。具体的には以下の通りである。
はじめに種籾と各種子被覆剤を準備した。次に、傾斜回転型パン型混合機を用いて、適量の水を噴霧しながら種子(種籾)100gに対して第1被覆剤を数回に分けてコーティングし、次いで第2被覆剤を数回に分けてコーティングした。
粉塵抑制、凝集防止及び被膜強度の評価は以下のように行った。
<粉塵抑制>
被覆作業時の粉塵の発生程度を目視判定した。表1中に評価を示しているが、○と×の意味は以下の通りである。
○:粉塵の発生は少なく、周囲への飛散も少ない。
×:粉塵が舞い、周囲へ多量に飛散。
<凝集防止>
被覆種子を樹脂製平皿に入れ、40℃相対湿度95%の雰囲気で12hr酸化処理を行ない、その後25℃相対湿度30〜50%の雰囲気で12hr乾燥させた。被覆種子を目開き2mmの篩いに入れ、ロータップ式ふるい振とう機で1分ふるい、単粒種子と複粒種子に分け、単粒種子の重量比率を測定した。
◎:80%以上
○:50%以上〜80%未満
△:20%以上〜50%未満
×:20%未満
<被膜強度>
凝集防止で使用した被覆剤被覆種子10gに対し、図3に示すように、錘9の下部に円盤状のシリコーンゴム11を取り付けて重量を5kgとした試験具13のシリコーンゴム面を、鋼板15の上に載置した被覆剤被覆種子1上に当てるように載置し、90°回転させる。これを10回繰り返した後、目開き2mmの篩いで手篩いし、初期の被覆剤被覆種子の重量に対する脱落した重量(ネジリ減量)を求めた。
◎:2%以下
○:2%超え5%以下
△:5%超え10%以下
×:10%超え
表1に示すように本発明例は、粉塵抑制、凝集防止及び被膜強度の全ての評価において○以上であり、粉塵の発生が少なく、種子同士の凝集が少なく、被膜強度が高いことが確認された。
<比較例1>
比較例1を見ると、単層で、第1被覆層の「結合材の鉄粉に対する質量比」(以下「結合材比」と表記)が1.0%である
評価は、粉塵抑制が○、凝集防止効果が×、被膜強度が△である。
最外層の結合材比が発明範囲外であることで凝集防止効果が不十分になったと推察される。
また、単層であることで、結合材比が小さく鉄リッチであるにも拘わらず被膜強度は不十分になったと推察される。
<比較例2>
比較例2を見ると、被覆層が2層構造で、内側被覆層は発明範囲のものであるが、最外層が結合材のみで形成されている。
評価は、粉塵抑制が×、凝集防止が○、被膜強度が△である。
最外層を形成する種子被覆剤が結合材のみで構成されているため、粉塵抑制ができず、被膜強度も不十分になったものと推察される。
<比較例3>
比較例3は比較例2と同様に被覆層が2層構造で、内側被覆層は発明範囲のものであるが、最外層が結合材のみで形成されている。
評価は、粉塵抑制が×、凝集防止が○、被膜強度が△である。
比較例2と同様に、
最外層を形成する種子被覆剤が結合材のみで構成されているため、粉塵抑制ができず、被膜強度も不十分になったものと推察される。
<比較例4>
比較例2,3と同様に、最外層が結合材のみで形成されているが、結合材の種類がシリカゲルである。
評価は、粉塵抑制が×、凝集防止が◎、被膜強度が○である。
結合材をシリカゲルにしたことで、凝集防止効果と被膜強度は得られているものの粉塵抑制効果が得られていない。
<比較例5>
比較例5は、単層で結合材比が10.0%である。
評価は、粉塵抑制が○、凝集防止が×、被膜強度が△である。
比較例1と同様に、単層であるため被膜強度が不十分であり、また最外層が鉄リッチであるため凝集防止効果が低くなったと推察される。
<比較例6>
比較例6は、単層で結合材比が14.0%である。
評価は、粉塵抑制が○、凝集防止が○、被膜強度が×である。
結合材比が比較例5より増えたことで、凝集防止効果が向上しているが、逆に被膜強度が低くなっている。結合材の含有率が増えること(本発明内にあること)で凝集防止効果が向上することが分かる。
<比較例7>
比較例7は、単層で結合材比が20.0%である。
評価は、粉塵抑制が○、凝集防止が◎、被膜強度が×である。
結合材比が比較例6より増えたことで、凝集防止効果がさらに向上しているが、被膜強度は比較例6と同様に低くなっている。
<比較例8>
比較例8は、2層構造で、内側被覆層が結合材のみで形成され、最外層は結合材比が10.0%で発明範囲よりも小さくなっている。
評価は、粉塵抑制が×、凝集防止が×、被膜強度が△である。
最外層の結合材比が発明範囲よりも小さいことで、凝集防止効果が得られなかったと推察される。また、内側被覆層が結合材のみで形成されたことで、粉塵抑制効果と凝集防止効果が得られなかったものと推察される。
<比較例9>
比較例9は、2層構造で、内側被覆層は発明範囲内であるが、最外層は結合材比が10.0%で発明範囲よりも小さくなっている。
評価は、粉塵抑制が○、凝集防止が×で、被膜強度が○である。
最外層の結合材比が発明範囲よりも小さくなったことで凝集防止効果が得られなかったと推察される。
<比較例10>
比較例10は、2層構造で、内側被覆層は発明範囲内であるが、最外層は結合材比が12.0%で発明範囲よりも小さくなっている。
粉塵抑制が○、凝集防止が△で、被膜強度が○である。
最外層の結合材比が比較例9よりも大きくなったことで凝集防止効果が向上したがいまだ発明範囲外であることから不十分な効果である。
<比較例11>
比較例11は、2層構造で、内側被覆層は発明範囲内であるが、最外層は結合材比が60.0%で発明範囲よりも大きくなっている。
粉塵抑制が△、凝集防止が○で、被膜強度が△である。
最外層は結合材比が発明範囲外となったことで、粉塵抑制効果及び被膜強度が低下したと推察される。
<比較例12>
比較例12は、2層構造で、内側被覆層は結合材比が0.2%で発明範囲より小さくなっており、最外層は発明範囲内である。
粉塵抑制が○、凝集防止が◎で、被膜強度が△である。
内側被覆層において結合材比が小さく、錆びの進行が不十分になったことで被膜強度が得られなかったと推察される。
<比較例13>
比較例13は、2層構造であるが、内側被覆層は結合材比が15.0%で発明範囲よりも大きくなっているが、最外層は発明範囲内である。
粉塵抑制が○、凝集防止が◎で、被膜強度が△である。
内側被覆層の結合材比が発明範囲よりも大きくなったことで、被膜強度が低下したものと推察される。
<比較例14>
比較例14は、2層構造であるが、内側被覆層は結合材比が20.0%で発明範囲よりも大きくなっているが、最外層は発明範囲内である。
粉塵抑制が○、凝集防止が◎で、被膜強度が×である。
内側被覆層の結合材比が比較例13よりもさらに大きくなったことで、被膜強度がさらに低下したものと推察される。
1 被覆剤被覆種子
3 種子
5 内側被覆層
5a 内側被覆層(内側)
5b 内側被覆層(外側)
7 最外層
9 錘
11 シリコンゴム
13 試験具
15 鋼板

Claims (5)

  1. 鉄粉と、硫酸塩及び/又は塩化物を主材とする結合材を含み、種子表面を複数の被覆層で被覆するのに用いる種子被覆剤であって、
    前記被覆層のうち内側の被覆層に用いる第1被覆剤と、最外層に用いる第2被覆剤とを備えてなり、
    前記第1被覆剤は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が0.5%以上〜12%以下であり、前記第2被覆剤は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が12%超え〜45%以下であることを特徴とする種子被覆剤。
  2. 前記第1被覆剤は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が異なる複数種類からなり、内側の被覆層を形成する被覆剤ほど結合材の鉄粉に対する質量比が小さく設定されていることを特徴とする請求項1記載の種子被覆剤。
  3. 請求項1又は2に記載の種子被覆剤を用いて種子の表面を被覆する種子被覆方法であって、
    第1被覆剤によって種子を被覆する第1工程と、該第1工程によって第1被覆剤で表面が被覆された種子を第2被覆剤によってさらに被覆する第2工程を備えたことを特徴とする種子被覆方法。
  4. 鉄粉と、硫酸塩及び/又は塩化物を主材とする結合材を含む種子被覆剤によって形成された複数の被覆層で種子表面を被覆された被覆剤被覆種子であって、
    前記被覆層が内側の内側被覆層と、最も外側の被覆層である最外層とを備えてなり、
    前記内側被覆層は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が0.5%以上〜12%以下である第1被覆剤によって形成され、前記最外層は、前記結合材の鉄粉に対する質量比が12%超え〜45%以下である第2被覆剤によって形成されていることを特徴とする被覆剤被覆種子。
  5. 前記内側被覆層が複数の被覆層からなり、該複数の被覆層のうち内側の被覆層ほど結合材の鉄粉に対する質量比が小さく設定された被覆剤によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の被覆剤被覆種子。
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