JP6349970B2 - 基板分断方法並びに基板分断装置 - Google Patents
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Description
カッターホイールの場合は、その刃先を基板表面に押しつけながらカッターホイールまたは基板を相対的に移動させることにより、基板表面に連続した亀裂(クラック)を形成する方法である。
レーザビームの場合は、レーザビームを基板に対して相対的に移動させることでビームスポットを基板のブレイク予定ラインに沿って走査して加熱するとともに、これに追従して冷却機構のノズルから冷媒液を噴射する。このときの加熱によって生じる圧縮応力と、急冷によって生じる引張応力とによる応力分布を利用して亀裂(クラック)を生じさせて、ブレイク予定ラインの方向に沿って連続した溝を形成する方法である。両者は装置価格、加工対象基板、加工品質等の観点から使用用途に応じて使い分けられている。
このスクライブ形成工程の後に、スクライブラインを形成した面とは反対側の面からスクライブラインに相対する部分をブレイクバーやローラ等で押圧することにより基板を撓ませて、曲げモーメントによりスクライブラインに沿ってブレイクする。
図8は一般的な三点曲げ方式によるブレイク工程を示すものであり、基板M1のブレイクすべきスクライブラインSを跨いでその左右位置に接触する一対の受刃10、10と、スクライブラインSを設けた面とは反対側の面でスクライブラインSに相対する部分に接触する下刃(ブレイクバー)11とを配置し、下刃11を基板M1に押圧することによって、曲げモーメントを生じさせて基板M1をブレイクする。
なお、受刃10、10並びに下刃11に代えて、一対の受ローラと押圧ローラを用いた三点曲げ方式で基板をブレイクするものも知られている。
また、カッターホイールによるスクライブ工程では、次工程でのブレイクに充分な深さの亀裂を加工するためにカッターホイールの押圧荷重を高くする必要があった。しかし、高荷重によるカッターホイールのスクライブは、亀裂が不規則に進展する所謂「先走り」が生じることがあって不良品の発生要因となる。
また、三点曲げ方式では、スクライブラインに押圧体(上記下刃や押圧ローラに相当)を押しつけて基板を撓ませてスクライブラインに沿ってブレイクしたときに、図8(b)に示すように、左右の分断端面の下端縁12が互いに干渉しあって接触部分に傷がつくことがあり、このため端面強度が劣化するといった問題点もあった。
これにより、下ローラを押し上げて基板を撓ませたときに、撓みによる引張応力に加えてスクライブラインを基板端縁部から引き裂くような応力が発生し、スクライブラインの亀裂が浅くても容易にブレイクすることが可能となる。したがって、スクライブライン形成部材がカッターホイールである場合は、カッターホイールの押圧荷重を低く抑えることができ、高荷重のスクライブによって生じる亀裂の不規則な先走りや端面強度の低下を抑制することができる。また、スクライブライン形成部材がレーザビームの場合は、レーザ出力を低く抑えることができて、レーザ出力源や冷却機構を含むレーザユニットのコンパクト化を図ることができる。
また、ブレイク時に基板の分断端面が左右に引き離されるので、分断端面同士が干渉しあって傷がつくなどの不都合をなくすことができる。
カッターホイール2aは、スクライブヘッド4に昇降可能に取りつけられ、スクライブヘッド4はコンベア1a、1bを跨ぐように配置された上部ガイド5に沿って移動機構(図示略)により図1のY方向に往復移動できるように形成されている。これにより、図4並びに図5に示すように、カッターホイール2aを下降させて基板M表面に押しつけながらY方向に転動させることにより、スクライブラインSが加工できるように形成されている。
上ローラ3a、3aはカッターホイール2aのスクライブヘッド4に昇降可能に支持され、カッターホイール2aと共に移動するように形成されている。下ローラ3bは、上部ガイド5と平行して設けられた下部ガイド6に沿って移動するスクライブヘッド7に取りつけられ、上ローラ3a、3aと同調して移動するように形成されている。
さらに本実施例では、ブレイク部材3の下ローラ3bが、ブレイク時の移動方向において上ローラ3a、3aより後方側に配置されている。
まず、基板Mを、作業ステージとなるコンベア1a、1bの上流から下流(図1のX方向)に向かって搬送し、基板Mのスクライブ予定ラインが、図2に示すようにカッターホイール2aの直下に到達したときにコンベア1a、1bを停止させる。
次いで、図4に示すように、カッターホイール2aを下降させて基板M表面に押しつけながらY方向に移動させてスクライブラインSを形成する。
そしてその直後では、ブレイク部材3をカッターホイール2aと同方向に移動させて上ローラ3a、3aをスクライブラインSの両脇に当接させながら、スクライブラインSを設けた面とは反対側の面で下ローラ3bをスクライブラインSに相対する部位に押しつけることにより基板Mを撓ませて、スクライブラインSの亀裂に左右への引張応力を生じさせることにより亀裂を基板Mの厚み方向に深く浸透させる。この際、本実施例では、下ローラ3bが、上ローラ3a、3aより移動方向後方側に配置されているので、下ローラ3bを押し上げて基板Mを撓ませたときに、撓みによる引張応力に加えて、図4の矢印で示すように、スクライブラインSが基板端縁部から引き裂かれるような応力を受けるため、スクライブラインSを容易にブレイクすることができる。
レーザ照射部2b及び冷却機構2cは、上記カッターホイール2aと同様に、分断装置Aの上部ガイド5に沿ってX方向に移動可能なスクライブヘッド4に取りつけられている。そして基板Mに対してレーザ照射部2bを移動させながらレーザビームを照射するとともに、これに追従して冷却機構2cから冷媒を噴射する。このときの加熱によって生じる圧縮応力と、急冷によって生じる引張応力とによる応力分布によって、基板Mに亀裂を生じさせてスクライブラインSを加工する。
また、ブレイク部材3の下ローラ3bを、上ローラ3a、3aより移動方向後方側に配置することにより、下ローラ3bを押し上げて基板Mを撓ませたときには、撓みによる引張応力に加えて、スクライブラインSを基板端縁部から引き裂くような応力が生じるので、スクライブラインSの亀裂が浅くても容易にブレイクすることができる。したがって、スクライブライン形成部材2がカッターホイールである場合は、カッターホイールの押圧荷重を低く抑えることができ、高荷重のスクライブによって生じる亀裂の不規則な先走りや端面強度の低下を抑制することができる。また、スクライブライン形成部材2がレーザビームの場合は、レーザ出力を低く抑えることができて、レーザ出力源や冷却機構を含むレーザ照射ユニットのコンパクト化を図ることができる。
また、ブレイク時に基板の分断端面が左右に引き離されるので、従来のように分断端面同士が干渉しあって傷がつくなどの不都合をなくすことができる。
M 基板
P 間隔
S スクライブライン
1a、1b コンベア
2 スクライブライン形成部材
2a カッターホイール
2b レーザ照射部
2c 冷却機構
3 ブレイク部材
3a 上ローラ
3b 下ローラ
4 スクライブヘッド
5 上部ガイド
6 下部ガイド
Claims (6)
- 移動しながら基板表面にスクライブラインを加工するスクライブライン形成部材と、移動しながら前記スクライブラインをブレイクするブレイク部材とを備え、
前記ブレイク部材は、前記スクライブラインを跨いでその左右位置の基板上に当接する一対の上ローラと、前記上ローラよりその移動方向の後方側に配置されて前記スクライブラインを設けた面とは反対側の面でスクライブラインに相対する部位に当接する下ローラとから構成され、
前記スクライブライン形成部材を基板に対して移動させることにより基板表面にスクライブラインを加工し、
その直後を、前記ブレイク部材を基板に対して移動させながら前記上ローラと前記下ローラとを基板に押しつけ、これにより基板を撓ませて前記スクライブラインに沿って基板をブレイクすることを特徴とする基板分断方法。 - 前記スクライブライン形成部材がカッターホイールであって、このカッターホイールを前記基板に押しつけながら転動させることにより前記スクライブラインを形成するようにした請求項1に記載の基板分断方法。
- 前記スクライブライン形成部材が、前記基板表面にレーザビームを照射してスクライブラインを形成するレーザ照射部であり、当該レーザ照射部は照射直後のレーザスポットを冷却する冷却機構を備えている請求項1に記載の基板分断方法。
- 基板に対し移動させながら基板表面にスクライブラインを加工するスクライブライン形成部材と、
当該スクライブライン形成部材の移動方向後方側で、前記基板に対し移動しながら前記スクライブラインをブレイクするブレイク部材とを備え、
前記ブレイク部材は、前記スクライブラインを跨いでその左右位置の基板上に当接する一対の上ローラと、前記上ローラよりその移動方向の後方側に配置されて前記スクライブラインを設けた面とは反対側の面でスクライブラインに相対する部位に当接する下ローラとから構成され、前記上ローラと前記下ローラとを基板に押しつけることによって基板を撓ませて、前記スクライブラインに沿って基板をブレイクするように形成されている基板分断装置。 - 前記スクライブライン形成部材が、前記基板表面を押しつけながら転動するカッターホイールである請求項4に記載の基板分断装置。
- 前記スクライブライン形成部材が、前記基板表面にレーザビームを照射するレーザ照射部であり、当該レーザ照射部は照射直後のレーザスポットを冷却する冷却機構を備えている請求項4に記載の基板分断装置。
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