以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<機械的構成>
通信装置の一例としてのMFP(Multi-Function Peripheral)1は、図1に示されるように、プリンタ本体2、スキャナ本体3及びADF(Auto Document Feeder)4を備えている。
なお、以下の説明では、平面上に載置したMFP1を操作パネル9(後述する)が設けられている側から見て規定した上下、左右及び前後の各方向を使用する。
収容部の一例としてのプリンタ本体2内には、画像形成部10(図3参照)が収容されている。処理部の一例としての画像形成部10は、画像データに基づく印刷(カラー印刷又はモノクロ印刷)を実行し、シートに画像を形成する。画像形成の方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。
プリンタ本体2の最下部には、給紙トレイ5が設けられている。給紙トレイ5は、複数枚のシートを積層状態で収容可能に構成されている。プリンタ本体2の上面には、排紙トレイ6が形成されている。給紙トレイ5に収容されているシートは、給紙トレイ5からプリンタ本体2内に1枚ずつ送り出され、プリンタ本体2内を排紙トレイ6に向けて搬送される。シートがプリンタ本体2内を搬送される間に、画像形成部10によって、当該シートに画像が形成される。画像が形成されたシート(印刷物)は、排紙トレイ6に排出される。
スキャナ本体3は、プリンタ本体2の上面を覆う底部7、及び、底部の上側に開閉可能に設けられたカバーの一例としての開閉部8を備えている。
スキャナ本体3の開閉部8内には、画像読取部20(図3参照)が収容されている。処理部の一例としての画像読取部20は、シートに形成された画像をシートから読み取り、画像データとしてRAM73に記憶させる。
スキャナ本体3は、プリンタ本体2の上方に配置され、ADF4は、スキャナ本体3の上方に配置されている。
また、MFP1は、操作パネル9を備えている。操作パネル9は、例えば、スキャナ本体3の前端部に配置されている。操作パネル9には、表示部30及び操作部40が設けられている。
表示部30は、例えば、液晶表示器からなる。表示部30には、各種の情報が表示される。
操作部40は、各種の操作ボタンからなる。操作ボタンの押操作により、各種の入力が可能である。操作ボタンには、例えば、各種の指示(例えば、画像処理の開始指示)を確定するためのOKボタン、各種の指示をキャンセルするためのキャンセルボタン、表示部30に表示されるキーを選択するための十字ボタン、数字や文字を入力するためのテンキーなどが含まれる。また、操作ボタンには、MFP1の省電力モードを通常モードに切り替えるためのボタン及び各省電力モードに切り替えるためのボタンが含まれる。
MFP1には、図2に示されるように、モジュラケーブル11を接続する回線接続端子の一例としてのモジュラジャック12がスキャナ本体3の底部7の上面に設けられている。
スキャナ本体3の開閉部8が開かれると、スキャナ本体3の底部7の上面が露出し、モジュラジャック12に対するモジュラケーブル11の抜き差しが可能となる。
<電気的構成>
MFP1は、図2に示されるように、画像形成部10、画像読取部20、モデム部60及び制御部70を備えている。
モデム部60は、検出部であるSDAA(Silicon Data Access Arrangement)61及び通信部62を備えている。
SDAA61は、モジュラジャック12に接続されている。SDAA61は、交換機80と接続されているモジュラケーブル11がモジュラジャック12に挿入されると、回線電圧を検知し、電話回線が接続されたことを検出する。以下では、交換機80とモデム部60とが電気的に接続されたことを「電話回線が接続された」といい、交換機80とモデム部60とが電気的に切断されたことを「電話回線が切断された」という。
制御部70は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)71、ROM72及びRAM73を備えている。
ASIC71は、CPU74を内蔵している。ASIC71には、操作部40の操作による指示が入力される。また、ASIC71には、交換機80との間で送受信されるファクシミリ用通信データがモデム部60を介して入出力される。CPU74は、ASIC71に入力される情報に基づいて、各種の処理のためのプログラムを実行することにより、画像形成部10、画像読取部20及び表示部30を制御し、モデム部60を介した通信を制御する。
ROM72には、CPU74によって実行されるプログラム及び各種のデータなどが記憶されている。
記憶部の一例としてのRAM73は、CPU74がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。
また、MFP1は、図2に示されるように、カバーセンサ90を備えている。
センサの一例としてのカバーセンサ90は、開閉部8の開閉を検知するセンサで、開閉部8の下面に設けられた突起がプリンタ本体2の上面に設けられた孔に挿入されたことを検知したときに開閉部8が閉であると検知し、突起が孔に挿入されていることが検知されていないときは、開閉部8が開であると検知する。
<省電力制御処理>
MFP1の電源が投入されている間、ASIC71のCPU74は、図4に示される省電力制御処理を繰り返し実行する。CPU74は、この処理と並行して、画像形成部10を制御して画像形成部10によりシートに画像を形成させる画像形成処理及び画像読取部20を制御して画像読取部20によりシートから画像を読み取らせる画像読取処理を実行する。
MFP1は、通常モード及び省電力モードを有している。通常モードは、モデム部60のSDAA61及び通信部62、画像形成部10並びに画像読取部20を起動状態とするモードである。省電力モードは、通常モードよりも消費電力が抑えられたモードである。省電力モードには、第1省電力モード及び第2省電力モードが含まれる。第1省電力モードは、モデム部60のSDAA61及び通信部62、画像形成部10並びに画像読取部20を停止状態とするモードである。第2省電力モードは、モデム部60のSDAA61及び通信部62を起動状態とし、画像形成部10及び画像読取部20を停止状態とするモードである。
MFP1のモードが通常モードであるときに、所定時間、操作がなく、かつ、画像形成命令を受信しておらず、電話回線が接続されている場合には、MFP1のモードが通常モードから第2省電力モードに切り替わる。MFP1のモードが通常モードであるときに、所定時間操作がなく、かつ、画像形成命令を受信しておらず、電話回線が接続されていない場合には、MFP1のモードが通常モードから第1省電力モードに切り替わる。MFP1のモードが第1省電力モード又は第2省電力モードであるときに、画像形成命令を受信した場合には、MFP1のモードが通常モードに切り替わる。
また、第1省電力モードへの切り替えボタンが押された場合には、通信回線が接続されてなく、画像形成命令を受信していなければ、MFP1のモードが第1省電力モードへ切り替わる。第2省電力モードへの切り替えボタンが押された場合には、画像形成命令を受信していなければ、MFP1のモードが第2省電力モードへ切り替わる。通常モードへの切り替えボタンが押された場合には、MFP1のモードが通常モードへ切り替わる。
省電力制御処理では、CPU74は、MFP1のモードが省電力モードであるか否かを判断する(S1)。
MFP1のモードが通常モードであると判断された場合には(S1:NO)、CPU74は、通常モードを設定し、モデム部60のSDAA61及び通信部62、画像形成部10及び画像読取部20に起動命令を送信する(S2)。そして、CPU74は、ステップS1の処理に戻り、MFP1のモードが省電力モードであるか否かを再び判断する(S1)。既に通常モードである場合には、通常モードが維持され、SDAA61、通信部62、画像形成部10又は画像読取部20が既に起動されている場合は、その起動状態が維持される。
MFP1のモードが省電力モードであると判断された場合には(S1:YES)、CPU74は、回線フラグがオンであるか否かを判断する(S3)。回線フラグは、前回、電話回線が接続されているか否かが判断されたときに、電話回線が接続されていたか否かを示すフラグである。回線フラグは、RAM73に設けられている。回線フラグがオンの場合には、電話回線が接続されていたことを示し、回線フラグがオフの場合には、電話回線が切断されていたことを示す。
回線フラグがオンであると判断された場合には(S3:YES)、CPU74は、第2省電力モードを設定し、モデム部60のSDAA61及び通信部62に起動命令を送信し、画像形成部10及び画像読取部20に停止命令を送信する(S4)。既に第2省電力モードである場合には、第2省電力モードが維持され、SDAA61又は通信部62が既に起動されている場合には、その起動状態が維持され、画像形成部10又は画像読取部20が既に停止されている場合には、その停止状態が維持される。
回線フラグがオフであると判断された場合には(S3:NO)、CPU74は、第1省電力モードを設定し、モデム部60のSDAA61及び通信部62並びに画像形成部10及び画像読取部20に停止命令を送信する(S5)。既に第1省電力モードである場合には、第1省電力モードが維持され、SDAA61、通信部62、画像形成部10又は画像読取部20が既に停止されている場合には、その停止状態が維持される。
省電力モードの維持又は第1省電力モード或いは第2省電力モードへの切り換えが行われた後、CPU74は、カバーセンサ90の検出結果によって、開閉部8が開であるか否かを判断する(S6)。
開閉部8が閉であると判断された場合には(S6:NO)、ステップS1の処理に戻り、CPU74は、MFP1のモードが省電力モードであるか否かを再び判断する(S1)。
開閉部8が開であると判断された場合には(S6:YES)、CPU74は、回線フラグがオンであるか否かを判断する(S7)。
回線フラグがオンであると判断された場合には(S7:YES)、CPU74は、接続時回線電圧検出処理を実行し(S8)、ステップS1の処理に戻り、MFP1のモードが省電力モードであるか否かを再び判断する(S1)。接続時回線電圧検出処理ついては、後述する。
回線フラグがオフであると判断された場合には(S7:NO)、CPU74は、SDAA61に起動命令を送信し(S9)、SDAA61の起動が完了するまで(S10:NO)、待機する(S10)。
SDAA61の起動が完了した場合には(S10:YES)、CPU74は、非接続時回線電圧検出処理を実行し(S11)、ステップS1の処理に戻り、MFP1のモードが省電力モードであるか否かを再び判断する(S1)。非接続時回線電圧検出処理については、後述する。
<接続時回線電圧検出処理>
図4のステップS8で実行される接続時回線電圧検出処理の流れは、図5に示されている。接続時回線電圧検出処理は、電話回線が接続され、開閉部8が開かれている場合に開始される。
接続時回線電圧接続処理では、CPU74は、カバーセンサ90により、開閉部8が閉じられたことが検知されたか否かを判断する(S801)。
開閉部8が閉じられたことが検知されていない場合には(S801:NO)、CPU74は、回線電圧が検出されている否か、すなわち、電話回線が接続されたままか、切断されたかを判断する(S802)。
回線電圧が検出されている場合には(S802:YES)、電話回線が接続されたままであるので、ステップS801の処理に戻り、CPU74は、開閉部8が閉じられたことが検知されたか否かを再び判断する(S801)。
開閉部8が閉じられたことが検知された場合には(S801:YES)、CPU74は、開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間、例えば、20秒が経過したか否かを判断する(S803)。
開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間が経過していない場合は(S803:NO)、CPU74は、回線電圧が検出されている否か、すなわち、電話回線が接続されたままか、切断されたかを判断する(S802)。これは、例えば、開閉部8が閉じられる間際に電話回線が切断された場合、電話回線の切断の検知(回線電圧が検出されなくなったことの検知)に若干の時間を要した場合であっても、電話回線の切断を確実に検知して、省電力モードを切り替えるためである。
回線電圧が検出されていない場合には(S802:NO)、電話回線が切断されたということなので、CPU74は、SDAA61に停止命令を送信してSDAA61を停止させ(S804)、通信部62に停止命令を送信して通信部62を停止させる(S805)。そして、CPU74は、MFP1のモードを第1省電力モードに切り替える。
また、電話回線が切断されたので、CPU74は、回線フラグをオフにする(S806)。
開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間が経過しても回線電圧が検出されている場合は(S803:YES)、電話回線が接続されたままなので、モデム部60を停止することなく、接続時回線電圧検出処理をリターンする。
<非接続時回線電圧電出処理>
図4のステップS11で実行される非接続時回線電圧検出処理の流れは、図6に示されている。非接続時回線電圧検出処理は、電話回線が接続されておらず、開閉部8が開かれている場合に開始される。
非接続時回線電圧検出処理では、CPU74は、カバーセンサ90により、開閉部8が閉じられたことが検出されたか否かを判断する(S1101)。
開閉部8が閉じられたことが検知されていない場合には(S1101:NO)、CPU74は、回線電圧が検出されているか否か、すなわち、電話回線が接続されたか、切断されたままかを判断する(S1102)。
回線電圧が検出されていない場合には(S1102:NO)、電話回線が切断されたままであるので、ステップS1101の処理に戻り、CPU74は、開閉部8が閉じられたことが検知されたか否かを再び判断する(S1101)。
開閉部8が閉じられたことが検知された場合には(S1101:YES)、CPU74は、開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間、例えば、2分が経過したか否かを判断する(S1103)。
開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間が経過していない場合は(S1103:NO)、CPU74は、回線電圧が検出されているか否か、すなわち、電話回線が接続されたか、切断されたままかを判断する(S1102)。例えば、モジュラジャック12にモジュラケーブル11を接続し、開閉部8を閉じてから、交換機80側の回線接続端子(例えば、部屋の壁に備えられたモジュラジャック)にモジュラケーブル11を接続する場合がある。このような場合は、開閉部8が閉じられた後に電話回線が接続されるため、所定時間が経過するまでは、開閉部8が閉じられた後であっても、回線電圧が検出される。
回線電圧が検出された場合(S1102:YES)、つまり、電話回線が接続された場合には、CPU74は、通信部62に起動命令を送信して通信部62を起動させる(S1104)。これにより、MFP1のモードが第2省電力モードに切り替わる。
また、電話回線が接続されたので、CPU74は、回線フラグをオンにする(S1105)。
開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間が経過しても回線電圧が検出されない場合は(S1103:YES)、電話回線が切断されたままなので、図4に示されるステップS9の処理で既に起動されているSDAA61に停止命令を送信してSDAA61を停止させて(S1106)、非接続時回線電圧検出処理をリターンする。
<作用効果>
以上のように、モジュラジャック12が開閉部8に覆われているので、開閉部8が開かれると、電話回線が接続されるか、または、電話回線が切断される可能性が大きい。そこで、開閉部8の開がカバーセンサ90によって検知されると、モデム部60が起動状態であるか非起動状態であるかが確認されて、非起動状態である場合には、モデム部60が起動される。そのため、使用者がモデム部60を起動させるための操作を意識的に行うことなく、非起動状態のモデム部60を起動させることができる。そして、モデム部60の起動状態において、SDAA61により、電話回線が接続されているか否かを検出させることができる。
CPU74は、SDAA61、通信部62、画像形成部10及び画像読取部20を起動状態とする通常モードと、SDAA61、通信部62、画像形成部10及び画像読取部20を停止状態とする第1省電力モードと、SDAA61及び通信部62を起動状態とし、画像形成部10及び画像読取部20を停止状態とする第2省電力モードとを選択的に設定し、カバーセンサ90が開閉部8の開を検知した際に、第1省電力モードが設定されている場合には、停止状態のSDAA61を起動させ、電話回線が接続されていることが検出された場合には、通信部62を更に起動させ、電話回線が接続されていることが検出されない場合には、SDAA61を停止させたままにする。
これにより、第1省電力モードでは、SDAA61、通信部62、画像形成部10及び画像読取部20が停止される。第1省電力モードが設定されている状態において、開閉部8が開かれると、SDAA61が起動される。その結果、電話回線が接続されているか否かを検出可能となる。そして、電話回線が接続されたときは、通信部62が更に起動される。そのため、SDAA61が電話回線の接続を検出するために常に起動されている構成と比較して、SDAA61による消費電力の分、電力の消費を低減することができる。
CPU74は、カバーセンサ90が開閉部8の開を検知した際に、第2省電力モードが設定されている場合であって、電話回線が接続されていないことが検出された場合には、SDAA61及び通信部62を停止させる。
これにより、第2省電力モードでは、SDAA61及び通信部62が起動されている。この第2省電力モードが設定されている状態において、開閉部8が開かれた場合、電話回線が切断される可能性が大きい。そこで、開閉部8の開がカバーセンサ90によって検知されると、電話回線が接続されているか否かが確認されて、電話回線が接続されていない場合には、SDAA61及び通信部62が停止される。その結果、第2省電力モードから第1省電力モードに移行する。その結果、電力の消費をより低減することができる。
CPU74は、カバーセンサ90が開閉部8の開から閉への変化を検知してから2分間、電話回線が接続されているか否かをSDAA61に検出させる。
モジュラケーブル11の一端がモジュラジャック12に接続され、開閉部8が閉じられた後、モジュラケーブル11の他端が交換機80側のモジュラジャックに接続される場合がある。そのため、開閉部8が閉じられてから所定時間(例えば、2分間)、電話回線が接続されているか否かが検出されることが好ましい。これにより、開閉部8が閉じられた後に、モジュラケーブル11の他端が交換機80側のモジュラジャックに接続される場合においても、電話回線が接続されたことを検出することができる。
MFP1には、シートに画像を形成する画像形成部10が備えられているので、電話回線から受信した画像データに係る画像をシートに形成することができる。
画像形成部10を収容するプリンタ本体2を備え、モジュラジャック12は、プリンタ本体2の上面に設けられ、開閉部8は、プリンタ本体2の上面を開閉可能に設けられている。
これにより、プリンタ本体2の上面を開閉する開閉部8がモジュラジャック12のカバーを兼ねている。その結果、開閉部8とモジュラジャック12のカバーとが別々に設けられる構成と比較して、部品点数を削減することができる。
MFP1は、通常モード、第1省電力モード及び第2省電力モードが選択的に設定される。これにより、MFP1の使用状況に適した省電力を実現することができる。第2省電力モードにおいては、画像形成部10及び画像読取部20が停止されるので、通常モードよりも電力の消費を低減することができる。また、第1省電力モードにおいては、SDAA61、通信部62、画像形成部10及び画像読取部20が停止されるので、通常モード及び第2省電力モードよりも電力の消費を低減することができる。
<第2実施形態>
図4に示される省電力制御処理に代えて、図7に示される省電力制御処理が実行されてもよい。この場合、図5に示される接続時回線電圧検出処理に代えて、図8に示される接続時回線電圧検出処理が実行され、図6に示される非接続時回線電圧検出処理に代えて、図9に示される非接続時回線電圧検出処理が実行される。
図4に示される省電力制御処理は、電話回線が接続されていないときは、電話回線が接続されると予測されるときにSDAA61を起動し、それ以外においては、SDAA61を停止しておくものであった。これに対し、図7に示される省電力制御処理は、SDAA61を常に起動しておく。
MFP1は、通常モード及び省電力モードを有している。通常モードは、モデム部60のSDAA61及び通信部62、画像形成部10並びに画像読取部20を起動状態とするモードである。省電力モードは、通常モードよりも消費電力が抑えられたモードである。省電力モードには、第2省電力モード及び第3省電力モードが含まれる。第2省電力モードは、モデム部60のSDAA61及び通信部62を起動状態とし、画像形成部10及び画像読取部20を停止状態とするモードである。第3省電力モードは、モデム部60のSDAA61を起動状態とし、モデム部60の通信部62、画像形成部10及び画像読取部20を停止状態とするモードである。
MFP1のモードが通常モードであるときに、所定時間、操作がなく、かつ、画像形成命令を受信しておらず、電話回線が接続されている場合には、MFP1のモードが通常モードから第2省電力モードに切り替わる。MFP1のモードが通常モードであるときに、所定時間操作がなく、かつ、画像形成命令を受信しておらず、電話回線が接続されていない場合には、MFP1のモードが通常モードから第3省電力モードに切り替わる。MFP1のモードが第2省電力モード又は第3省電力モードであるときに、画像形成命令を受信した場合には、MFP1のモードが通常モードに切り替わる。
また、第2省電力モードへの切り替えボタンが押された場合には、画像形成命令を受信していなければ、MFP1のモードが第2省電力モードへ切り替わる。第3省電力モードへの切り替えボタンが押された場合には、通信回線が接続されてなく、画像形成命令を受信していなければ、MFP1のモードが第3省電力モードへ切り替わる。通常モードへの切り替えボタンが押された場合には、MFP1のモードが通常モードへ切り替わる。
第2実施形態に係る省電力制御処理では、CPU74は、MFP1のモードが省電力モードであるか否かを判断する(S21)。
MFP1のモードが通常モードであると判断された場合には(S21:NO)、CPU74は、通常モードを設定し、モデム部60のSDAA61及び通信部62、画像形成部10及び画像読取部20に起動命令を送信する(S22)。そして、CPU74は、ステップS21の処理に戻り、MFP1のモードが省電力モードであるか否かを再び判断する(S21)。既に通常モードである場合には、通常モードが維持され、SDAA61、通信部62、画像形成部10又は画像読取部20が既に起動されている場合は、その起動状態が維持される。
MFP1のモードが省電力モードであると判断された場合には(S21:YES)、CPU74は、回線フラグがオンであるか否かを判断する(S23)。回線フラグは、前回、電話回線が接続されているか否かが判断されたときに、電話回線が接続されていたか否かを示すフラグである。回線フラグは、RAM73に設けられている。回線フラグがオンの場合には、電話回線が接続されていたことを示し、回線フラグがオフの場合には、電話回線が切断されていたことを示す。
回線フラグがオンであると判断された場合には(S23:YES)、CPU74は、第2省電力モードを設定し、モデム部60のSDAA61及び通信部62に起動命令を送信し、画像形成部10及び画像読取部20に停止命令を送信する(S24)。既に第2省電力モードである場合には、第2省電力モードが維持され、SDAA61又は通信部62が既に起動されている場合には、その起動状態が維持され、画像形成部10又は画像読取部20が既に停止されている場合には、その停止状態が維持される。
回線フラグがオフであると判断された場合には(S23:NO)、CPU74は、第3省電力モードを設定し、モデム部60の通信部62、画像形成部10及び画像読取部20に停止命令を送信する(S25)。モデム部60のSDAA61には、何も送信せず、その起動状態が維持される。既に第1省電力モードである場合には、第1省電力モードが維持され、SDAA61、通信部62、画像形成部10又は画像読取部20が既に停止されている場合には、その停止状態が維持される。
省電力モードの維持又は第2省電力モード或いは第3省電力モードへの切り換えが行われた後、CPU74は、カバーセンサ90の検出結果によって、開閉部8が開であるか否かを判断する(S26)。
開閉部8が閉であると判断された場合には(S26:NO)、ステップ21の処理に戻り、CPU74は、MFP1のモードが省電力モードであるか否かを再び判断する(S21)。
開閉部8が開であると判断された場合には(S26:YES)、CPU74は、回線フラグがオンであるか否かを判断する(S27)。
回線フラグがオンであると判断された場合には(S27:YES)、CPU74は、図8に示される接続時回線電圧検出処理を実行し(S28)、ステップS21の処理に戻り、MFP1のモードが省電力モードであるか否かを再び判断する(S21)。接続時回線電圧検出処理については、後述する。
回線フラグがオフであると判断された場合には(S27:NO)、CPU74は、図9に示される非接続時回線電圧検出処理を実行し(S29)、ステップS21の処理に戻り、MFP1のモードが省電力モードであるか否かを再び判断する(S21)。非接続時回線電圧検出処理については、後述する。
<第2実施形態に係る接続時回線電圧検出処理>
図7のステップS28で実行される接続時回線電圧検出処理の流れは、図8に示されている。接続時回線電圧検出処理は、電話回線が接続され、開閉部8が開かれている場合に開始される。
第2実施形態に係る接続時回線電圧接続処理では、CPU74は、カバーセンサ90により、開閉部8が閉じられたことが検知されたか否かを判断する(S2801)。
開閉部8が閉じられたことが検知されていない場合には(S2801:NO)、CPU74は、回線電圧が検出されている否か、すなわち、電話回線が接続されたままか、切断されたかを判断する(S2802)。
回線電圧が検出されている場合には(S2802:YES)、電話回線が接続されたままであるので、ステップS2801の処理に戻り、CPU74は、開閉部8が閉じられたことが検知されたか否かを再び判断する(S2801)。
開閉部8が閉じられたことが検知された場合には(S2801:YES)、CPU74は、開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間、例えば、20秒が経過したか否かを判断する(S2803)。
開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間が経過していない場合は(S2803:NO)、CPU74は、回線電圧が検出されている否か、すなわち、電話回線が接続されたままか、切断されたかを判断する(S2802)。これは、例えば、開閉部8が閉じられる間際に電話回線が切断された場合、電話回線の切断の検知(回線電圧が検出されなくなったことの検知)に若干の時間を要した場合であっても、電話回線の切断を確実に検知して、省電力モードを切り替えるためである。
回線電圧が検出されていない場合には(S2802:NO)、電話回線が切断されたということなので、CPU74は、SDAA61の起動状態を維持したまま、通信部62に停止命令を送信して通信部62を停止させる(S2804)。そして、CPU74は、MFP1のモードを第3省電力モードに切り替える。
また、電話回線が切断されたので、CPU74は、回線フラグをオフにする(S2805)。
開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間が経過しても回線電圧が検出されている場合は(S2803:YES)、電話回線が接続されたままなので、モデム部60を停止することなく、接続時回線電圧検出処理をリターンする。
<第2実施形態に係る非接続時回線電圧検出処理>
図7のステップS29で実行される非接続時回線電圧検出処理の流れは、図9に示されている。非接続時回線電圧検出処理は、電話回線が接続されておらず、開閉部8が開かれている場合に開始される。
第2実施形態に係る非接続時回線電圧検出処理では、CPU74は、カバーセンサ90により、開閉部8が閉じられたことが検出されたか否かを判断する(S2901)。
開閉部8が閉じられたことが検知されていない場合には(S2901:NO)、CPU74は、回線電圧が検出されているか否か、すなわち、電話回線が接続されたか、切断されたままかを判断する(S2902)。
回線電圧が検出されていない場合には(S2902:NO)、電話回線が切断されたままであるので、ステップS2901の処理に戻り、CPU74は、開閉部8が閉じられたことが検知されたか否かを再び判断する(S2901)。
開閉部8が閉じられたことが検知された場合には(S2901:YES)、CPU74は、開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間、例えば、2分が経過したか否かを判断する(S2903)。
開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間が経過していない場合は(S2903:NO)、CPU74は、回線電圧が検出されているか否か、すなわち、電話回線が接続されたか、切断されたままかを判断する(S2902)。例えば、モジュラジャック12にモジュラケーブル11を接続し、開閉部8を閉じてから、交換機80側の回線接続端子(例えば、部屋の壁に備えられたモジュラジャック)にモジュラケーブル11を接続する場合がある。このような場合は、開閉部8が閉じられた後に電話回線が接続されるため、所定時間が経過するまでは、開閉部8が閉じられた後であっても、回線電圧が検出される。
回線電圧が検出された場合(S2902:YES)、つまり、電話回線が接続された場合には、CPU74は、通信部62に起動命令を送信して通信部62を起動させる(S2904)。これにより、CPU74は、MFP1のモードが第2省電力モードに切り替わる。
また、電話回線が接続されたので、CPU74は、回線フラグをオンにする(S2905)。
開閉部8が閉じられたことが検知されてから所定時間が経過しても回線電圧が検出されない場合は(S2903:YES)、電話回線が切断されたままなので、SDAA61の起動状態を維持したまま、非接続時回線電圧検出処理をリターンする。
<作用効果>
CPU74は、SDAA61、通信部62、画像形成部10及び画像読取部20を起動状態とする通常モードと、SDAA61及び通信部62を起動状態とし、画像形成部10及び画像読取部20を停止状態とする第2省電力モードと、SDAA61を起動状態とし、通信部62、画像形成部10及び画像読取部20を停止状態とする第3省電力モードとを選択的に設定し、カバーセンサ90が開閉部8の開を検知した際に、第2省電力モードが設定されている場合であって、電話回線が接続されていないことが検出された場合には、通信部62を停止させる。
これにより、通常モード、第2省電力モード又は第3省電力モードのいずれのモードが設定されている状態においても、モデム部60のSDAA61が起動されている。SDAA61は、起動命令が出力されてから起動が完了するまでに時間を要する。そのため、SDAA61が常に起動されていることにより、回線接続検出処理の開始後、電話回線が接続されているか否かを速やかに検出することができる。
また、第2省電力モードが設定されている状態において、開閉部8の開がカバーセンサ90によって検知されると、電話回線が接続されているか否かが確認されて、電話回線が接続されていない場合には、SDAA61及び通信部62が停止される。その結果、第2省電力モードから第3省電力モードに移行する。これにより、電力の消費を低減することができる。
モデム部60起動処理において、カバーセンサ90が開閉部8の開を検知した際に、第3省電力モードが設定されている場合であって、電話回線が接続されていることが検出された場合には、通信部を起動させる。
これにより、第3省電力モードでは、SDAA61が起動され、通信部62が停止されている。第3省電力モードが設定されている状態において、開閉部8が開かれて、電話回線が接続されると、通信部62が起動される。そのため、電話回線が接続された後、電話回線を使用した通信を直ちに開始させることができる。
MFP1は、通常モード、第2省電力モードおよび第3省電力モードが選択的に設定される。これにより、MFP1の使用状況に適した省電力を実現することができる。第2省電力モードにおいては、画像形成部10及び画像読取部20が停止されるので、通常モードよりも電力の消費を低減することができる。また、第3省電力モードにおいては、通信部62、画像形成部10及び画像読取部20が停止されるので、通常モード及び第2省電力モードよりも電力の消費を低減することができる。
また、通常モード、第2省電力モード又は第3省電力モードのいずれのモードが設定されている状態においても、モデム部60のSDAA61が起動されている。SDAA61は、起動命令が出力されてから起動が完了するまでに時間を要する。SDAA61が常に起動されているので、電話回線が接続されているか否かを検出する必要が生じたときに、SDAA61により、電話回線が接続されているか否かを速やかに検出することができる。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
例えば、本発明の実施形態では、スキャナ本体3の底部7の上側に開閉可能に設けられた開閉部8がモジュラジャック12のカバーを兼ねているが、モジュラジャック12だけのカバーであってもよい。また、本発明のモデム部起動処理と回線接続検出処理とは、使用者が必要に応じて実行するか否かを選択できるようにしてもよい。
前述の実施形態においては、開閉部8が開いたときに、電話回線の切断を検出するようにしたが、開閉部8が開いたときだけでなく、電話回線が切断されたか否かを常に検出するようにしてもよい。電話回線が接続されているときは、常にSDAA61は、起動されているので、電話回線が切断されたことを検出することが可能である。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。