JP6349141B2 - 水洗トイレ用液体洗浄剤及び水洗トイレ用液体洗浄剤供給具 - Google Patents

水洗トイレ用液体洗浄剤及び水洗トイレ用液体洗浄剤供給具 Download PDF

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Description

本発明は、液剤容器内に収容され、液剤容器から貯水槽へ流出する、水洗トイレ用液体洗浄剤、及び水洗トイレ用液体洗浄剤を収容した水洗トイレ用液体洗浄剤供給具に関する。
水洗トイレの貯水槽の蓋上に載置して使用されるトイレ用洗浄剤が普及している。このようなトイレ用洗浄剤の剤型としては、芳香成分、洗浄成分、色素等の有効成分を含有した固形物が主流であった。固形物として形成されたトイレ用洗浄剤は、フラッシング用の水をかけることにより、芳香成分、洗浄成分、色素等の有効成分が溶出した薬液を貯水槽に供給することができる。
ところが、有効成分を水により溶出させる固形物としてのトイレ用洗浄剤は、構成する成分の中で親水性の高い成分ほど溶出し易くなるため、使用期間を通して流出する薬液が均質にならないという問題があった。また、このため水溶性の高い界面活性剤を多量に使用すると、使用期間が著しく短くなること、製剤の形を保つ事ができないこと等の問題があった。また、上記問題を解消するために、親水性の低い界面活性剤を多く使用する場合には、充分な洗浄力が得られにくいという問題もあった。
さらに、トイレ用洗浄剤の剤型を固形物とした場合、製造工程において、常温では固形の界面活性剤を高温で練り上げて混合、製剤化させる加熱工程が含まれるため、加熱工程における香料などの芳香成分の変質等の問題が生じる。また、常温では液体状態の有効成分などを製剤中に均一に保持させるためには、融点の高い活性剤を多量に含有させなければならない。このため、芳香成分の含有量は制限されることとなる。トイレ用洗浄剤という用途を考慮した場合、充分な量の芳香成分を含有させることができないという制限は大きな問題となる。
そこで、使用期間を通じて均一な薬液を供給でき、親水性の高い界面活性剤や、芳香成分をより多く配合可能とすべく、剤型を液体としたトイレ用洗浄剤が開発されている。本願出願人は、このような液体のトイレ用洗浄剤の実用性を向上させるため、トイレ用洗浄剤を収容する容器に改良を加え、更にトイレ用洗浄剤自体の粘度を調整することにより、貯水槽への供給量を制御し、長期間安定して使用可能なトイレ芳香洗浄器具用液剤を提案している(特許文献1)。
従来のトイレ用洗浄剤等の液剤の粘度の調整には、一般的に、セルロース系、アクリル酸系、多糖類等として例示列挙される水溶性高分子等の増粘剤が用いられている。
一方、トイレ用洗浄剤の普及に伴い、ユーザは、フラッシング時の洗浄水の色が濃いほど、薬液が洗浄水に充分に溶け込んでいることが分かるため、フラッシング時の洗浄水への充分な着色を求めている傾向がある。そこで、洗浄効果が高いという心証、所謂使用感を高めるため、着色料となる水溶性の色素の濃度を高くすることが求められている。
特開2003−52802号公報
水溶性の色素は製剤中の水に溶け込むため、高濃度の色素を配合するためには製剤中には充分な量の水分が必要となる。しかしながら、洗浄効果や芳香効果を持つトイレ用の洗浄剤には、洗浄効果を持つ界面活性剤や、親油性の高い香料などの有効成分を多量に配合する必要があるため、製剤中の水分量は少なくなる。そのため、増粘剤として水溶性高分子を用いた液剤において、水溶性の色素を高濃度に配合すると、溶解しきれなくなった増粘剤が析出するという問題がある。このような増粘剤の析出は、詰まりの発生、粘度の低下等の更なる問題を引き起こす。このため、従来のトイレ用洗浄剤で配合できる色素濃度は、0.001%未満であり、洗浄液への着色は期待できなかった。
トイレ用洗浄剤中の増粘剤の析出を抑制しながら、配合する色素量を増やすために、液剤中の水分量を増やした場合、製剤中の界面活性濃度が減少し、洗浄効果の低下に繋がる恐れがある。また、製剤中の増粘剤の濃度が低下することから、充分な粘度を維持することができない状況も生じ得る。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、色素を含み、ベタイン型両性界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を混合してなる粘度調整剤にて水洗トイレ用液体洗浄剤の粘度を調整する。これにより、本発明は、0.01〜5%の洗浄水に充分な着色が可能な高濃度の色素を配合しながらも、高い洗浄効果を得ることができ、製剤の充分な粘度を維持することができる、長期間安定して使用することが可能な水洗トイレ用液体洗浄剤の提供を目的とする。
また、本発明は、本発明に係る水洗トイレ用液体洗浄剤を収容した水洗トイレ用液体洗浄剤供給具の提供を他の目的とする。
上記課題を解決するために、液剤容器内に収容され、前記液剤容器に設けられた流出部からトイレの貯水槽へ流出する、水洗トイレ用液体洗浄剤であって、色素を含み、ベタイン型両性界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を混合してなる粘度調整剤により、粘度調整されていることを特徴とする。
したがって、本発明では、ベタイン型両性界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を混合してなる粘度調整剤により、長期間の使用に充分な粘度を得ることができる。
また、本発明に係る水洗トイレ用液体洗浄剤供給具は、水洗トイレ用液体洗浄剤を収容し、収容している水洗トイレ用液体洗浄剤を水洗トイレの貯水槽へ供給する、水洗トイレ用液体洗浄剤供給具であって、前記水洗トイレ用液体洗浄剤は、前述の水洗トイレ用液体洗浄剤であり、前記水洗トイレ用液体洗浄剤を収容した液剤容器と、収容している水洗トイレ用液体洗浄剤を流出させる流出部と、前記流出部から流出する水洗トイレ用液体洗浄剤を前記貯水槽へ供給可能に、前記液剤容器を保持する保持部とを備えることを特徴とする。
本発明に係る水洗トイレ用液体洗浄剤及び水洗トイレ用液体洗浄剤供給具は、色素を含み、ベタイン型両性界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を混合してなる粘度調整剤により粘度調整を行う。これにより、トイレの貯水槽に安定して液剤を流出させるべく長期間の使用に充分な粘度に調整することが可能である等、優れた効果を奏する。さらに、高分子化合物系などの一般的な増粘剤を用いることなく安定した粘度が得られるため、色素の濃度を高くした場合であっても、含有水分量を抑制し、安定した品質を維持することが可能である等、優れた効果を奏する。
本発明に係る水洗トイレ用液体洗浄剤供給具の外観の一例を示す概略正面図である。 本発明に係る水洗トイレ用液体洗浄剤供給具の概略断面図である。 水洗トイレ用液体洗浄剤の粘度と流出速度との関係の一例を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳述する。なお、以下の実施形態は、本発明を具現化した一例であって、本発明の技術範囲を限定する性格のものではない。本発明に係る水洗トイレ用液体洗浄剤(以下、単に「液剤」ともいう。)は、本発明に係る水洗トイレ用液体洗浄剤供給具(以下、単に「供給具」ともいう。)を用いてトイレの貯水槽に供給される。
図1Aは、本発明に係る水洗トイレ用液体洗浄剤供給具1の外観の一例を示す概略正面図であり、図1Bは、本発明に係る水洗トイレ用液体洗浄剤供給具1の概略断面図である。なお、図1Aは、内部の状況を明確にすべく、一部破断図とし、かつ液剤容器10内に立設された連通部材101を透過して示している。また、図1Bは、図1AにおけるA−B方向の断面の要部のみを拡大して示している。本発明に係る供給具1は、本発明に係る液剤Lを収容する液剤容器10と、水洗トイレの貯水槽2上に液剤容器10を保持するための保持部11とを備えている。
液剤容器10は中空の球冠状をなしており、底面となる下部の開口部は円板状をなす中栓100により封止されている。中栓100の中心には、液剤容器10の下方から液剤容器10内部へ貫通する円筒状の連通部材101が立設されている。連通部材101の上端は、液剤容器10内に収容された液剤Lの液面より上方に突出しており、通気口102として開口しているため、液剤容器10内外の気圧は等しい状態に保たれる。連通部材101の下部の外周面には、軸方向に沿って3本の細溝103が等間隔に刻設されている。連通部材101の下部の外周面は中栓100の貫通孔に内接しているが、細溝103の部分が隙間となるため、液剤容器10内の液剤Lは細溝103を通って液剤容器10外へ流出する。液剤Lの流路となる各細溝103の断面は、例えば、溝の幅0.5mm×溝の厚み0.2mmの矩形状に形成されている。そして、液剤容器10内に収容された液剤Lは、各細溝103を通り、1ヶ月以上の期間をかけて略一定の流量で流出する。
保持部11は、液剤容器10の下部の外周面を覆う皿状に形成されており、複数の流出孔110が開設されている。保持部11の下面には、細板状に形成された軟質の支持片111が中央部に複数突設されており、支持片111の周囲には当接脚112が複数突設されている。液剤容器10内から細溝103を通って液剤容器10外へ浸出した液剤Lは、保持部11に貯留され、流出孔110から流出する。
供給具1は、貯水槽2の上面に形成された水受け部20に当接脚112を当接配置し、水受け部20に開設された注水孔21に支持片111を挿入することにより、貯水槽2上に位置決めされ固定される。そして、保持部11に開設された流出孔110から流出した液剤Lは、注水孔21から貯水槽2内へ流入する。
本発明の供給具1内に収容される液剤Lについて説明する。本発明に係る水洗トイレ用液体洗浄剤Lは、芳香剤、洗浄剤、色素等の有効成分と粘度調整剤とを混合してなり、粘度調整剤により、粘度調整されている。
洗浄剤としては、各種界面活性剤を例示列挙することができる(以降の説明において、「POE」は「ポリオキシエチレン」を示し、「POP」は「ポリオキシプロピレン」を示す。)。例えば、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸及びその塩;カリウム、ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノールアミン酸等の塩;エーテルカルボン酸のアルカリ塩;POEオクチルドデシルアルコール、POE−2−デシルテトラデシルアルコール等のPOE分岐アルキルエーテル;POEオレイルアルコールエーテル、POEベヘニルアルコールエーテル、POEステアリルアルコールエーテル、POEセチルアルコールエーテル等のPOEアルキルエーテル;ポリオキシプロピレン(POP)−POEブロックコポリマー;ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート等のソルビタンエステル;POEソルビタンモノオレート、POEソルビタンモノイソステアレート、POEソルビタンモノラウレート等のPOEソルビタンエステル;グリセリルモノオレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノミリステート等のグリセリン脂肪酸エステル;POEグリセリルモノオレート、POEグリセリルモノステアレート、POEグリセリルモノミリステート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル;POEジヒドロコレステロールエステル、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油イソステアレート等のPOE硬化ヒマシ油脂肪酸エステル;POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル;エチレングリコール・プロピレングリコールブロックポリマー、グリセリルイソステアリルエーテル、グリセリルミリスチルエーテル等のグリセリルエーテル;POEグリセリルイソステアリルエーテル、POEグリセリルミリスチルエーテル等のPOEグリセリルエーテル;ジグリセリルモノステアレート、デカグリセリルデカステアレート、デカグリセリルペンタンイソステアレート、デカグリセリルデカイソステアレート、ジグリセリンジイソステアレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムメチルサルフェート等の陽イオン界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等のアミノ酸系界面活性剤、等が挙げられる。配合量は、洗浄剤としての界面活性剤総量として0.5〜60重量%、好ましくは1〜50重量、より好ましくは10〜40重量%とすればよい。水への溶解性や洗浄力の高さからPOE硬化ヒマシ油脂肪酸エステルやリオキシプロピレン(POP)−POEブロックコポリマー等の非イオン界面活性剤が好ましい。
芳香剤の成分としては、例えば、レモン、オレンジ、ベルガモット、グレープフルーツ、ラベンダー、ローズマリー、ジャスミン、ローズ、ペパーミント、ユーカリ、樟脳等から抽出した精油;リモネン、リナロール、リナロールアセテート、ボルネオール、シトラール、シトロネラール、メントール、シネオール等の天然香料や合成香料を例示列挙することができる。配合割合は0.5〜25重量%、好ましくは1〜20重量%とすればよい。
色素としては、水溶性の法定色素が好ましく、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、緑色3号、赤色201号、赤色205号、赤色213号、赤色214号、赤色219号、赤色227号、赤色230号の(1)、赤色230号の(2)、赤色231号、赤色232号、橙色207号、黄色202号の(2)、黄色203号、緑色205号、青色202号、青色203号、青色205号、褐色201号、赤色401号、赤色205号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、橙色402号、黄色402号、黄色403号の(1)、黄色406号、黄色407号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、黒色401号等が挙げられる。また、これら色素を組み合わせて色々な色にして用いてもよい。配合量は0.01〜5重量%とすればよい。なお、普及型の水洗トイレの貯水槽は、標準型で10L、節水型で8Lであることから、洗浄水を充分に着色するためには、色素の滴下量としては0.8mgであれば良い。そのため、1時間当たりの製剤の滴下量が0.11gである場合、色素の配合量は0.7重量%以上とすることが好ましい。
その他の有効成分として、例えば、フッ素化アルキルPOEエステル、フッ素化アルキル親水性基含有オリゴマー、フッ素化アルキルエステル付加重合物等のフッ素系両親媒性物質等の防汚剤、クエン酸、リン酸等の酸性成分、第四級アンモニウム塩、イソシアヌル酸、イソプロピルメチルフェノール、チモール、メチルパラベン等の殺菌剤、抗菌剤、防腐剤、リン酸塩等のPH調整剤、酵素、キレート剤、尿石除去剤等の効能を有する薬剤を配合してもよい。また、混合に際し、水、アルコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、濃グリセリン等の溶剤を用いるようにしてもよい。
本発明に係る水洗トイレ用液体洗浄剤において、上述した芳香剤、洗浄剤、色素等の有効成分は、粘度調整剤と混合することにより、所定の粘度に調整される。粘度調整剤は、両性型界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を混合してなる。
液剤の粘度は、粘度調整剤の配合量と粘度調整剤中の両性型界面活性剤及び陰イオン界面活性剤の配合量により調整される。処方中の粘度調整剤は1.1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%配合することで、充分な粘度調整が可能となる。また、粘度調整剤中の両性型界面活性剤と陰イオン界面活性剤とは、重量比で3:1〜1:3、より好ましくは、2:1〜1:2の割合で混合することで、充分な粘度調整が可能となる。本発明の水洗トイレ用液体洗浄剤供給具において、供給具に収容された液剤がトイレの貯水槽に全量流出するために要する期間は、液剤の交換期間となるため、1ヶ月以上とすることが望ましい。また、交換期間は、供給具に収容された液剤の量と時間当たりの流出量、即ち流出速度とにより決定される。流出速度は、細溝の断面形状、液剤の粘度等の要因により決定される。
粘度調整中の両性型界面活性剤としては、好適には、ベタイン型界面活性剤が用いられ、具体的には、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒロドキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン型界面活性剤を例示列挙することができる。増粘効果が高いことから、脂肪族アミドアルキルベタインが特に好ましい。配合量は、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%とすればよい。
粘度調整中の陰イオン界面活性剤としては、高級アルキルスルホン酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩等の塩、更に具体的には、POE(3)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、オレフィン(C14−16)スルホン酸ナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム等の陰イオン界面活性剤を例示列挙することができる。配合量は1〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは2〜12重量%とすればよい。
図2は、水洗トイレ用液体洗浄剤の粘度と流出速度との関係の一例を示すグラフである。図2では、流出速度を供給具内に収容された液剤の残量と日数との関係として示しており、横軸に日数(持続日数)をとり、縦軸に液剤の残量をとって、その関係を粘度毎に示している。供給具内には、初期量として80gを液剤を充填した。また、供給具には、矩形状をなし、断面積が0.5mm×0.2mmである細溝を1本設けた。また、液剤の粘度は、25℃で150mPa・s、200mPa・s、350mPa・s、及び400mPa・sとなるように調整し、それぞれ4回の流出実験を行い、その平均値を実験結果とした。
このような条件で実験を行った結果、図2に示すように、1ヶ月(30日)以上の持続日数を担保するためには200mPa・s以上の粘度が必要であることが確認された。したがって、実験に係る条件を製品に反映させる場合、液剤の粘度は、粘度調整剤により200mPa・s以上に調整する必要があることが確認された。
薬液の供給量は細溝の数や大きさを変えることで、適宜調整可能である。たとえば、断面積0.5mm×0.2mmの矩形状の細溝を3本設けた場合、1ヶ月(30日)以上の持続日数を担保するためには、600mPa・s以上の粘度を、2ヶ月(60日)以上の持続日数を担保するためには、900〜1000mPa・s以上の粘度となるように調整すればよい。
次に、液剤の処方例について説明する。表1は、高濃度色素等の有効成分を含み、両性界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を混合してなる粘度調整剤により200mPa・s以上の粘度に調整した液剤の処方例を示している。
Figure 0006349141
表1において、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインはベタイン型両性界面活性剤、POE(3)ラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミンは陰イオン界面活性剤、グリセリン及び水は溶剤、POE(40)硬化ヒマシ油エーテル、POE(14)POP(5)アルキル(C10)エーテル及びPOE(10)POP(2)アルキル(C10)エーテルは洗浄剤、ブリリアントブルーFCFは色素、EDTA・4Na・4H2 Oはキレート剤、緑茶抽出物は消臭剤、そして有機窒素硫黄ハロゲン系化合物は殺菌剤である。
表1に示す薬剤を原材料とする液剤の調合手順例について概略的に説明する。まず、水、粘度調整剤としてのベタイン型両性界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を混合してなる粘度調整剤、並びに香料を調合容器に投入し、調合容器内を攪拌して混合する。次に、グリセリン(濃グリセリン)及び洗浄剤を調合容器に投入し、調合容器内を攪拌して混合する。さらに、水、色素、キレート剤、消臭剤及び殺菌剤を調合容器に投入し、調合容器内を攪拌して混合する。以上の調合手順により短い混合時間で均一な組成の液剤が完成する。
また、他の調合手順としては、水、色素、キレート剤、消臭剤及び殺菌剤を調合容器内に投入し、調合容器内を撹拌して混合する。次にグリセリン(濃グリセリン)及び洗浄剤を調合容器に投入し、調合容器内を撹拌して混合する。次に、粘度調整剤としてのベタイン型両性界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を混合してなる粘度調整剤、並びに香料を調合容器に投入し、調合容器内を撹拌して混合する。以上の調合手順により、短い混合時間で均一な組成の液剤が完成する。
次に、実施例を挙げて本発明に係る液剤と粘度との関係を説明する。表2は、本発明に係る液剤として、色素等の有効成分を含み、ベタイン型両性界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を混合してなる粘度調整剤により粘度調整した液剤の実施例を示している。また、ベタイン型両性界面活性剤に替えて、ベタイン型ではない両性界面活性剤を使用した比較例を示している。
また、表3は、本発明に係る液剤として、色素等の有効成分を含み、ベタイン型両性界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を混合してなる粘度調整剤により粘度調整した液剤の実施例と、陰イオン界面活性剤に替えて、陽イオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を用いて調合した比較例とを示している。
Figure 0006349141
Figure 0006349141
表2及び表3に示す各実施例及び各比較例において、ブリリアントブルーFCF(青色1号)は色素であり、グリセリン及び水は溶剤である。また、POE硬化ヒマシ油エーテル、POE(14)POP(5)アルキル(C10)エーテル及びPOE(10)POP(2)アルキル(C10)エーテルは洗浄剤である。表2及び表3に示す各実施例及び各比較例では、色素であるブリリアントブルーFCF(青色1号)を10%水溶液で7.5重量%含有するように調合している。また、液剤の粘度は、リオン株式会社製VISCOTESTER VT−04を用いて測定している。
表2の実施例1〜3並びに表3の実施例4及び5として示すように、ベタイン型界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を粘度調整剤として用いることにより、10%水溶液で色素を7.5重量%含有する系であっても、200mPa・s以上の粘度に調合できることがわかる。しかしながら、表2の比較例1及び2として示すように、ベタイン型界面活性剤に替えてベタイン型ではない両性界面活性剤を用いた場合、粘度は、200mPa・sまで到達しておらず、充分な粘度は得られていない。同様にして、表3の比較例3〜5として示すように陰イオン界面活性剤に替えて陽イオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤を用いた場合、粘度は、200mPa・sまで到達しておらず、充分な粘度は得られていない。
なお、粘度調整剤として、セルロース系、カルボキシポリマー系、アクリル酸系、キサンタンガム(多糖類)を用い、0.75重量%の色素を混合して調合した場合、液剤に白濁が生じる結果となった。粘度調整はそれぞれ、色素を混合しない製剤で200mPa・sの粘度が得られる量を用いた。各粘度調整剤を用いた結果を表4に示す。表4は、粘度調整剤について、増粘剤系統、成分名、製品名及び結果を示している。
Figure 0006349141
前記実施形態は、本発明の無数に存在する実施例の一部を開示したに過ぎず、水洗トイレ用液体洗浄剤は、様々な要因を加味して適宜、薬剤、調合量等の調合条件を適宜変更することが可能である。
また、水洗トイレ用液体洗浄剤供給具についても同様であり、実施形態に記載した形態に限らず、配置方法、形状、細溝の形状、細溝の数等の形態を適宜変更することが可能である。例えば、水洗トイレの貯水槽上面の水受け部に載置するのではなく、貯水槽上又は貯水槽内に吊着する等、適宜設計することが可能である。
1 水洗トイレ用液体洗浄剤供給具(供給具)
10 液剤容器
100 中栓
101 連通部材
102 通気口
103 細溝(流出部)
11 保持部
110 流出孔
111 支持片
112 当接脚
2 貯水槽
20 水受け部
21 注水孔
L 水洗トイレ用液体洗浄剤(液剤)

Claims (3)

  1. 液剤容器内に収容され、前記液剤容器に設けられた流出部からの滴下によりトイレの貯水槽へ流出する、水洗トイレ用液体洗浄剤であって、
    色素を含み、ベタイン型両性界面活性剤及び陰イオン界面活性剤を混合してなる粘度調整剤により、粘度調整されており、
    前記色素の配合量は、0.7〜5重量%であり、
    前記色素に起因する色に、前記貯水槽内の水を着色し、
    前記粘度調整剤の配合量は、5〜50重量%であり、
    前記粘度調整剤のベタイン型両性界面活性剤及び陰イオン界面活性剤は、2:1〜1:2の重量比で混合されており、
    200mPa.s(25℃)以上の粘度である
    ことを特徴とする水洗トイレ用液体洗浄剤。
  2. 前記ベタイン型両性界面活性剤が脂肪酸アミドアルキルベタインであることを特徴とする、請求項1に記載の水洗トイレ用液体洗浄剤。
  3. 水洗トイレ用液体洗浄剤を収容し、収容している水洗トイレ用液体洗浄剤を滴下により水洗トイレの貯水槽へ供給する、水洗トイレ用液体洗浄剤供給具であって、
    前記水洗トイレ用液体洗浄剤は、請求項1又は2に記載の水洗トイレ用液体洗浄剤であり、
    前記水洗トイレ用液体洗浄剤を収容した液剤容器と、
    収容している水洗トイレ用液体洗浄剤を流出させる流出部と、
    前記流出部から流出する水洗トイレ用液体洗浄剤を前記貯水槽へ供給可能に、前記液剤容器を保持する保持部と
    を備えることを特徴とする水洗トイレ用液体洗浄剤供給具。
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