JP6348940B2 - 円筒型焼結体及びその梱包方法 - Google Patents

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Description

本発明は、円筒型焼結体及びその梱包方法に関する。
近年、フラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)の製造技術や太陽電池の製造技術が急速に発展し、大型の薄型テレビや太陽電池の市場が大きくなってきている。また、これらの市場の発展に伴い、製品の製造コストを引き下げるために、ガラス基板の大型化が進んでいる。現在では、第8世代といわれる2200mm×2400mmサイズ用の装置開発が進められている。
特に、大型のガラス基板に金属薄膜や酸化金属薄膜を形成するスパッタリング装置では、平板型スパッタリングターゲットや円筒型(ロータリ型又は回転型ともいう)スパッタリングターゲットが使用されている。円筒型スパッタリングターゲットは平板型スパッタリングターゲットに比べて、ターゲットの使用効率が高い、エロージョンの発生が少ない、堆積物の剥離によるパーティクルの発生が少ないという利点がある。
スパッタリング法によって薄膜を形成する際に、パーティクルが発生するとパターン不良等の原因となる。このパーティクルの発生原因として最も多いのは、スパッタリング中に発生する異常放電(アーキング)である。特にターゲット表面でアーキングが発生すると、アーキングが発生した周辺のターゲット材がクラスタ状(塊状)でターゲットから放出され、基板に付着してしまう。アーキングの発生原因として、ターゲット表面に付着したゴミやターゲット表面に付着した水分に起因したターゲット表面の変質などが挙げられる。
スパッタリングターゲットに用いる焼結体(基材が取り付けられていない状態のターゲット部材)は空調管理されたエリアで保管されることが望ましいが、通常は空調管理されていない一般的な倉庫で保管される場合が多い。したがって、ゴミや水分から焼結体を保護するために、焼結体製造後から基材とのボンディングまでの間、焼結体は保護フィルムなどによって包装された状態で保管される。例えば、特許文献1は、平板型スパッタリングターゲットを保護部材で真空パックされた状態で保管することで、ターゲットにゴミや水分が付着することを抑制している。
特許5032662号公報
しかしながら、円筒型焼結体は円筒の内側が空洞のいわゆる中空構造である。したがって、円筒型焼結体を上記のように保護部材で真空パックすると、大気圧によって保護部材が円筒の内側に押圧される。その状態で、保護部材の表面に傷がつくと、その傷をきっかけに保護部材が破けてしまう。保護部材が破けてしまうと、外部環境からのゴミや水分が保護部材の内部に入り込み、円筒型焼結体表面に付着してしまう。ゴミが焼結体表面に付着した状態、または水分の付着によって焼結体表面が変質した状態の円筒型焼結体を基材と接合して形成したスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングを行うと、アーキングが多く発生してしまうという問題が生じる。
上記の実情に鑑みて、本発明は、スパッタリング中のアーキング発生を抑制することができるスパッタリングターゲットに用いる焼結体を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態による円筒型焼結体は、円筒型の焼結体と、焼結体の円周面、側面、および両端の開口部を覆い、ガスが充填された焼結体の中空部を密閉する保護部材と、を有する。
また、ガスは、アルゴン又は窒素であってもよい。
また、中空部のガスの圧力は、30kPa以上60kPa以下であってもよい。
また、中空部のガスの露点温度は、−80℃以上−50℃以下であってもよい。
また、焼結体は、ITO、IZO、又はIZGOを主成分として含んでもよい。
本発明の一実施形態による円筒型焼結体の梱包方法は、焼結体の中空部にガスを充填し、基材の円周面、側面、および両端の開口部を覆い、中空部を密閉するように保護部材を形成する。
また、ガスの充填の前に、中空部の気体を排気し、排気された中空部に不活性ガスを導入し、不活性ガスを排気してもよい。
本発明によれば、スパッタリング中のアーキング発生を抑制することができるスパッタリングターゲットに用いる焼結体を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る円筒型焼結体を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る円筒型焼結体の保管方法を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る円筒型焼結体の保管方法を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る焼結体の製造方法を示すプロセスフローである。 本発明の一実施形態に係る焼結体の製造方法において、ガスを充填される方法を示すプロセスフローである。 本発明の一実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットを示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
なお、以下の説明において、成形体の密度及び焼結体の密度を相対密度で示した。相対密度は、理論密度及び測定された密度によって、相対密度=(測定密度/理論密度)×100(%)で表される。理論密度とは、用いた原料から算出される密度の値であり、酸化インジウムが90質量%、酸化スズが10質量%となるように原料を秤量した場合、(In23の密度(g/cm3)×90+SnO2の密度(g/cm3)×10)/100として算出する。In23の密度は7.18g/cm3、SnO2の密度は6.95g/cm3として計算し、理論密度は7.15(g/cm3)と算出される。一方、測定密度とは、重量を体積で割った値である。成形体の場合は、寸法を実測して算出した体積を用いて算出する。焼結体の場合は、アルキメデス法により体積を求めて算出する。
〈実施形態1〉
[焼結体120の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る円筒型焼結体を示す斜視図である。また、図2Aは、本発明の一実施形態に係る円筒型焼結体の保管方法を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る円筒型の焼結体120は、円周面122および側面124を有し、これらの内側の領域に中空部150が設けられた円筒型である。換言すると、円筒型の焼結体120は中空構造である。円周面122および側面124は平坦面である。円周面122および側面124の表面粗さは平均面粗さ(Ra)が0.5μm未満であるとよい。一方、中空部150に露出された焼結体120の内側表面は粗面である。焼結体120の内側表面の表面粗さはRaが1.8μm以上であるとよい。なお、上記Raの値は、スパッタリングを行う前(プラズマ雰囲気に曝される前、又はスパッタリングターゲット使用前)の状態における表面状態のRaの値である。円周面122および側面124のRaが上記の範囲の平坦性を有することで、ターゲット表面における凹凸起因のアーキングを抑制することができる。焼結体120の内側表面が上記の範囲の表面粗さを有することで、後述する基材110との密着性を向上させることができる。
図2Aに示すように、円筒型の焼結体120は保護部材140によって覆われる。保護部材140は焼結体120の円周面122、側面124、および円筒の両端の開口部126を覆う。保護部材140によって焼結体120の両端の開口部126が覆われることで、焼結体120の中空部150は保護部材140によって密閉される。この密閉された中空部150にはガスが充填される。
ここで、中空部150に充填されたガスについて詳しく説明する。中空部150に充填されるガスとしては、例えばアルゴン(Ar)又は窒素(N2)を用いることができる。中空部150に充填されるガスの圧力は、30kPa以上60kPa以下であることが好ましい。より好ましくは、40kPa以上50kPa以下であるとよい。
ガスの圧力が下限値よりも低いと、中空部150の圧力と外部の大気圧との差が大きくなる。したがって、開口部126に配置された保護部材140が中空部150の内側に押圧され、特に焼結体120の側面124の内側表面側の端部において保護部材140は強く圧力を受ける。そのため、側面124の内側表面128側の端部付近の保護部材140に僅かでも傷がつくと、その傷をきっかけに保護部材140が破けてしまう場合がある。一方、ガスの圧力が上限値よりも高いと、保護部材140が膨張してしまい、僅かな傷で破裂してしまう場合がある。特に、スパッタリングターゲットやその焼結体は航空輸送される場合がある。したがって、ガスの圧力が上限値よりも高いと輸送時のガスの体積膨張によって保護部材140が破けてしまう場合がある。
また、中空部150は水分量が少ないことが好ましい。つまり、中空部150に充填されたガスの露点温度は−50℃以下であることが好ましい。より好ましくは、−80℃以下であるとよい。露点温度が上限値よりも高いと、保管環境によっては保護部材140の内側が結露してしまう場合がある。保護部材140の内側が結露すると、結露した水分によって焼結体120の表面に変質層が形成されてしまう。この変質層はスパッタリングターゲット使用時におけるアーキングの発生原因となり得る。
焼結体120の相対密度は、99.0%以上99.9%以下であるとよい。好ましくは、焼結体120の相対密度は99.7%以上99.9%以下であるとよい。なお、本発明の実施形態に係る焼結体又は成形体の相対密度は、アルキメデス法によって評価された値である。焼結体120の厚さは6.0mm以上15.0mm以下とすることができる。焼結体120の厚みは、スパッタリングターゲットとして利用することができる量に該当する。焼結体120の円筒軸方向の長さは150mm以上1,500mm以下とすることができる。
焼結体120はスパッタリング成膜が可能な各種材料を用いて形成される。例えば、焼結体120は、セラミックスであってもよい。セラミックスとしては、金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物の焼結体などを用いることができる。金属酸化物としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ガリウムなど典型元素に属する金属の酸化物を用いることができる。
具体的には、酸化スズと酸化インジウムの化合物(Indium Tin Oxide:ITO)、酸化亜鉛(Zinc Oxide:ZnO)、酸化インジウムと酸化亜鉛の化合物(Indium Zinc Oxide:IZO)、酸化インジウム、酸化亜鉛及び酸化ガリウムの化合物(Indium Gallium Zinc Oxide:IGZO)から選ばれた化合物などを焼結体120として用いることができる。
[保護部材140の構成]
保護部材140は、フィルム状の樹脂が用いられる。保護部材140の材料としては、性質の異なる複数のフィルムを積層させた積層フィルムを用いることができる。例えば、図2Bに示すように、2つのポリエチレンフィルム142、146で機能性フィルム144を挟んだ積層フィルムを用いることができる。ポリエチレンフィルム142、146は、機能性フィルム144に比べて熱による融解温度が低い材料を用いることができる。ポリエチレンフィルム142、146が機能性フィルム144を挟む構成によって、ヒートシールの際にポリエチレンフィルム同士が確実に融解するため、確実に保護部材140の密封を行うことができる。機能性フィルム144は、酸素透過度および透湿度の少なくともいずれか1つがポリエチレンフィルム142、146よりも低いことが好ましい。また、機能性フィルム144は、突き刺し強度および引張強度の少なくともいずれか1つがポリエチレンフィルム142、146よりも高いことが好ましい。
具体的には、保護部材140の機能性フィルム144として出光ユニテック製ユニロン(登録商標)を用いることができ、好ましくは旭化成製サランラップ(登録商標)を用いることができ、さらに好ましくはクラレ製エバール(登録商標)フィルムを用いることができる。ここで、ユニロン、サランラップ、およびエバールフィルムの物性は下記の通りである。
[ユニロン]
・酸素透過度(20℃ 90%RH):37cc/d・atm
・透湿度(40℃ 90%RH):90g/m2・day
・突き刺し強度:16.0kgf(10.9×10-3MPa)
・引張強度:260MPa
[サランラップ]
・酸素透過度(20℃ 90%RH):60cc/d・atm
・透湿度(40℃ 90%RH):12g/m2・day
・引張強度:470MPa
[エバールフィルム]
・酸素透過度(20℃ 90%RH):30cc/d・atm
・透湿度(40℃ 90%RH):5.3g/m2・day
・突き刺し強度:11.1kgf(10.9×10-3MPa)
・引張強度:40MPa
なお、機能性フィルム144は上記のフィルムに限定されず、目的に応じて多様なフィルムを用いることができる。
[焼結体120の製造方法]
次に、本実施形態に係る円筒型の焼結体120の製造方法について詳細に説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る焼結体の製造方法を示すプロセスフローである。
本実施形態では、酸化インジウムスズ(ITO)焼結体を焼結体120とした例を示すが、焼結体120の材料はITOに限定されず、IZO、IGZOその他の酸化金属化合物を用いることもできる。
まず、焼結体120を構成する原材料を準備する。本実施形態では、酸化インジウムの粉末と酸化スズの粉末を準備する(S301、S302)。これらの原料の純度は、通常2N(99質量%)以上、好ましくは3N(99.9質量%)以上、さらに好ましくは4N(99.99質量%)以上であるとよい。純度が2Nより低いと焼結体120に不純物が多く含まれてしまうため、所望の物性を得られなくなる(例えば、形成した薄膜の透過率の減少、抵抗値の増加、アーキングに伴うパーティクルの発生)という問題が生じ得る。
次に、これら原材料の粉末を粉砕し混合する(S303)。原材料の粉末の粉砕混合処理は、ジルコニア、アルミナ、ナイロン樹脂等のボールやビーズ(いわゆるメディア)を用いた乾式法を使用したり、前記ボールやビーズを用いたメディア撹拌式ミル、メディアレスの容器回転式ミル、機械撹拌式ミル、気流式ミルなどの湿式法を使用したりすることができる。ここで、一般的に湿式法は、乾式法に比べて粉砕及び混合能力に優れているため、湿式法を用いて混合を行うことが好ましい。
原材料の組成は、目的とする焼結体120の組成比に応じて適宜調整される。
次に、原材料の粉末のスラリーを乾燥、造粒する(S303)。このとき、急速乾燥造粒を用いてスラリーを急速乾燥してもよい。急速乾燥造粒は、スプレードライヤを使用し、熱風の温度や風量を調整して行えばよい。
次に、上述した混合及び造粒して得られた混合物(仮焼成を設けた場合には仮焼成されたもの)を加圧成形して円筒型の成形体を形成する(S304)。この工程によって、目的とする焼結体120に好適な形状に成形する。成形処理としては、例えば、金型成形、鋳込み成形、射出成形等が挙げられるが、円筒型のように複雑な形状を得るためには、冷間等方圧加工法(Cold Isostatic Pressing:CIP)等で成形することが好ましい。CIPによる成形の圧力は、好ましくは100MPa以上200MPa以下であるとよい。上記のように成形の圧力を調整することによって、54.5%以上58.0%以下の相対密度を有する成形体を形成することができる。成形体の相対密度を上記の範囲にすることで、その後の焼結によって得られる焼結体120の相対密度を99.7%以上99.9%以下にすることができる。
次に、成形工程で得られた円筒型の成形体を焼結する(S305)。焼結には電気炉を使用する。焼結条件は焼結体の組成によって適宜選択することができる。例えばSnO2を10wt.%含有するITOであれば、酸素ガス雰囲気中において、1400℃以上1600℃以下の温度下に10時間以上30時間以下置くことにより焼結することができる。焼結温度が下限よりも低い場合、焼結温度が1400℃以上1600℃以下の場合に比べて焼結体120の相対密度が低下してしまう。一方、1600℃を超えると電気炉や炉材へのダメージが大きく頻繁にメンテナンスが必要となるため、焼結温度が1600℃以下の場合に比べて作業効率が著しく低下する。また、焼結時間が下限よりも短いと焼結体120の相対密度が低下してしまう。また、焼結時の圧力は大気圧であってもよく、又は加圧雰囲気であってもよい。
次に、形成された円筒型の焼結体を、平面研削盤、円筒研削盤、旋盤、切断機、マシニングセンタ等の機械加工機を用いて、円筒型の所望の形状に機械加工する(S306)。ここで行う機械加工は、円筒型の焼結体を所望の形状、表面粗さとなるように加工する工程であり、最終的にこの工程を経て焼結体120が形成される。機械加工された焼結体120を純水中で超音波洗浄処理することで、焼結体120の表面に付着した機械加工の研削屑を除去する。
次に、上記の焼結体120を保護部材140を用いて梱包する。少なくとも焼結体120の円周面122、側面124、および円筒の両端の開口部126を覆うように保護部材140を形成する。保護部材140によって開口部126が覆われることで、中空部150を密閉する。ここで、中空部150を保護部材140で密閉する前に基材110の中空部150に上記のガスを充填する。中空部150へのガスの充填方法については後述する。
そして、上記のようにして保護部材140によって梱包された焼結体120を保管する(S308)。
[中空部150へのガスの充填方法]
ここで、中空部150へのガスの充填方法について詳細に説明する。図4は、本発明の一実施形態に係る焼結体の保管方法において、ガスを充填される方法を示すプロセスフローである。
まず、中空部150に存在する気体を所望のガスに置換するために、中空部150の気体を排気し、排気された中空部150に不活性ガスを導入する。続いて、中空部150に導入された不活性ガスを排気する(S401)。この「排気、不活性ガス導入、排気」は複数回繰り返される。排気を複数回繰り返すことから、S401の工程をサイクル排気という。S401のサイクル排気は排気動作で終了する。つまり、サイクル排気後は、中空部150は減圧雰囲気である。S401のサイクル排気の後に、上記の置換したいガスを中空部150に充填する(S402)。なお、S402において中空部150に充填したガスを排気してから再度充填し直してもよい。このようにすることで、中空部150に充填されるガスの純度を、供給されるガスの純度に近づけることができる。その結果、ゴミ及び水分が少ない良質なガスを中空部150に充填することができる。そして、ガスが充填された状態で保護部材140によって焼結体120を梱包する(S403)。
サイクル排気は、焼結体120の一方の開口部126を保護部材140で覆った状態で、他方の開口部126から排気またはガス導入する。具体的には、袋状の保護部材140の底部によって上記一方の開口部126が覆われる。保護部材140は、保護部材140の開口端側(他方の開口部126側)において、保護部材140の内側に向けて配管が挿入された状態でヒートシーラーによって挟み込まれる。上記の排気またはガス導入は当該配管を介して行われる。例えば、排気およびガス導入を3回繰り返した後に、中空部150に所望のガスが導入される。配管がヒートシーラーから抜かれた後に、ヒートシーラーによって保護部材140の開口端が閉じられる。このようにして、中空部150は保護部材140によって密閉される。
[焼結体120を用いたスパッタリングターゲット100]
図5は、本発明の一実施形態に係る円筒型スパッタリングターゲットを示す斜視図である。図5に示すように、円筒型のスパッタリングターゲット100は、円筒型の基材110と、円筒型の焼結体120とを含む。基材110は、焼結体120の中空部150において、接合材130を介して接合される。接合材130は、基材110と焼結体120との間に設けられた間隙を充填する。基材110は、焼結体120と同様に、その円筒の内側に中空部が設けられた、いわゆる中空構造である。スパッタリングターゲット100は、図1〜図4を用いて説明した焼結体120の中空部150に基材110が挿入され、接合材130を介して基材110および焼結体120がボンディングされることで形成される。
基材110は、焼結体120の円筒の内側表面に沿うような外面形状を有する。基材110の外径は、焼結体120の内径よりも僅かに小さく、基材110及び焼結体120を同軸に重ねたときに、基材110と焼結体120との間に間隙ができるように調整される。この間隙には、接合材130が設けられる。
基材110は、接合材130とぬれ性がよく、接合材130との間に高い接合強度が得られる金属が好ましい。例えば、基材110を構成する材料としては、銅(Cu)またはチタン(Ti)、もしくは銅合金、チタン合金、またはステンレス(SUS)を用いることが好ましい。銅合金としては、クロム銅などの銅(Cu)を主成分とする合金を適用することができる。また、基材110としてチタン(Ti)を用いれば、軽量で剛性のある基材とすることができる。
接合材130は、基材110と焼結体120との間に設けられる。接合材130は、基材110と焼結体120とを接合するとともに、耐熱性と熱伝導性が良好であることが好ましい。また、スパッタリング中は真空下に置かれるため、真空中でガス放出が少ない特性を有することが好ましい。
さらに、製造上の観点から、接合材130は、基材110と焼結体120とを接合するときに流動性を有することが好ましい。これらの特性を満足するために、接合材130としては、融点が300℃以下の低融点金属材料を用いることができる。例えば、接合材130として、インジウム(In)、スズ(Sn)などの金属、またはこれらのうちいずれか一種の元素を含む金属合金材料を用いてもよい。具体的には、インジウム又はスズの単体、インジウムとスズの合金、スズを主成分とするはんだ合金などを用いてもよい。
以上のように、本実施形態に係る焼結体120の製造方法および保管方法によると、焼結体120の中空部150にガスが充填されることで、開口部126に配置された保護部材140に対する中空部150の内側への押圧が抑制されるため、保護部材140の破れを抑制することができる。したがって、保管中に焼結体120にゴミや水分が付着することを抑制することができる。その結果、スパッタリング中のアーキング発生を抑制することができるスパッタリングターゲットに用いる焼結体を提供することができる。
[実施例1]
本発明者らは、図3に示すプロセスフローにおける保護部材形成の工程(S308)において、異なる4つの方法で円筒型焼結体を梱包して保管し、保護部材140の破けやすさを調査した。調査に用いた焼結体サンプルの形状および保護部材140の梱包方法は以下の通りである。
[焼結体形状(全焼結体サンプルに共通)]
・焼結体120の円筒軸方向の長さ:210.5mm
・焼結体120の円筒外径:153mm
・焼結体120の円筒内径:135mm
[保護部材140の梱包条件]
・実施例1:中空部150にArを充填して保護部材140で梱包
・実施例2:中空部150にN2を充填して保護部材140で梱包
・比較例1:中空部150を減圧(1Pa以下)にして保護部材140で梱包
・比較例2:中空部150に湿度調整を行っていない大気を充填して保護部材140で梱包
なお、実施例1および実施例2のガス充填の前に、上記の排気および不活性ガス導入をそれぞれ3回繰り返した。上記のArおよびN2の露点温度は約−50℃であり、大気の露点温度は約10℃であった。また、中空部150に充填するAr、N2、および大気の圧力は50kPaである。なお、保護部材140で梱包した焼結体サンプルは、空調管理されていない倉庫で1週間保管された後に評価された。
[調査結果]
上記の条件で梱包した焼結体サンプルに対して保護部材140の破れの有無を調査した。上記の各サンプルについて保護部材140の破れが発生したサンプル個数は下記の通りである。
・実施例1:保護部材140が破けたサンプル数=0/100個
・実施例2:保護部材140が破けたサンプル数=0/100個
・比較例1:保護部材140が破けたサンプル数=70/100個
・比較例2:保護部材140が破けたサンプル数=0/100個
以上のように、中空部150に少なくとも50kPaの圧力のガスを充填して保護部材140で梱包したサンプルは、保護部材140が破けにくいことが判明した。
[実施例2]
次に、上記焼結体120の各梱包方法と上記焼結体120を用いたスパッタリングターゲット100を用いたスパッタリング処理における初期累積アーキング発生回数との相関関係を調査した結果について説明する。実施例2で用いたサンプルは実施例1のサンプルを焼結体とするスパッタリングターゲットである。初期累積アーキング発生回数とは、スパッタリングターゲットをスパッタリング装置に装着して真空引きを行い、当該スパッタリング装置が製造ラインにおける稼働状態に到達するまでのプレスパッタリングの間に発生したアーキング発生回数の累積数である。
ここで、上記のプレスパッタリングの間に発生するアーキングについて詳細に説明する。スパッタリングターゲットをスパッタリング装置に装着するためには、スパッタリングを行う真空チャンバを大気開放する必要がある。真空チャンバが大気開放されると、真空チャンバ内壁に大気中の水分、ガス及び有機物質が付着する。また、同様にスパッタリングターゲット表面にも大気中の水分、ガス及び有機物質が付着する。上記のように、真空チャンバ及びスパッタリングターゲット表面に水分、ガス及び有機物質が付着した状態でプレスパッタリングを行うと、プラズマ中から放出された電子が上記の付着物に帯電し、その帯電量が限界に達することでアーキングを引き起こす。したがって、プレスパッタリング中は稼働状態に比べてアーキングが多く発生する。
このプレスパッタリング中のアーキングはプレスパッタリングを継続すると徐々に減少し、やがてアーキングの発生頻度は一定の範囲で安定する。そして、アーキングの発生頻度が安定したところでプレスパッタリングを終了する。つまり、上記の初期累積アーキング発生回数は、プレスパッタリング中に発生したアーキングの発生数の累積数である。
本実施例では、保護部材140による焼結体120の梱包方法と、その焼結体120を用いたスパッタリングターゲット100の初期累積アーキング発生回数及び成膜後の薄膜中のパーティクル発生数との相関関係について説明する。
初期累積アーキング発生回数の評価を行ったスパッタリング条件について説明する。本実施例における初期累積アーキング発生回数の評価を行ったスパッタリングターゲット及びスパッタリング条件は以下の通りである。
(評価ターゲット)
ターゲット材質:ITO(SnO2=10%)
(スパッタリング条件)
スパッタリングガス:Ar
スパッタリング圧力:0.6Pa
スパッタリングガス流量:300sccm
スパッタリング電力:4.0W/cm2
[調査結果]
実施例1に記載した条件で梱包し、保管した焼結体サンプルを用いた初期累積アーキング発生回数は下記の通りである。なお、以下のアーキング発生回数は、上記のプレスパッタリング期間として、積算電力量が30Whr/cm2になるまでの期間に発生したアーキングの回数である。なお、比較例1は、保管後に保護部材140に破れが確認されたサンプルを用いた結果である。
・実施例1:550個
・実施例2:575個
・比較例1:1,345個
・比較例2:1,531個
なお、比較例1および比較例2では、ターゲット表面に3mm程度のアーキング痕が点在していた。これは、焼結体120の保管中に付着した微細な水滴によって、焼結体120表面が変質したことに起因するアーキングによるものと推測される。
以上のように、中空部150に充填するガスとして、少なくとも露点温度が−50℃のガスを用いることで、水滴起因のアーキングを抑制することができることが判明した。
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
また、上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
100 スパッタリングターゲット
110 基材
120 焼結体
122 円周面
124 側面
126 開口部
128 内側表面
130 接合材
140 保護部材
142 ポリエチレンフィルム
144 機能性フィルム
146 ポリエチレンフィルム
150 中空部

Claims (9)

  1. 円筒型の基材に装着される前の円筒型の焼結体と、
    前記焼結体の円周面、側面、および両端の開口部を覆い、ガスが充填された前記焼結体の中空部を密閉する保護部材と、
    を有することを特徴とする円筒型焼結体。
  2. 円筒型の焼結体と、
    前記焼結体の円周面、側面、および両端の開口部を覆い、ガスが充填された前記焼結体の中空部を密閉する保護部材と、
    を有し、
    前記焼結体の内側表面は前記中空部に露出され、前記ガスに接していることを特徴とする円筒型焼結体。
  3. 前記ガスは、アルゴン又は窒素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の円筒型焼結体。
  4. 前記中空部の前記ガスの圧力は、30kPa以上60kPa以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の円筒型焼結体。
  5. 前記中空部の前記ガスの露点温度は、−80℃以上−50℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の円筒型焼結体。
  6. 前記焼結体は、ITO、IZO、又はIZGOを主成分として含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の円筒型焼結体。
  7. 円筒型の基材に装着される前の円筒型の焼結体の梱包方法であって、
    前記焼結体の中空部にガスを充填し、
    前記焼結体の円周面、側面、および両端の開口部を覆い、前記中空部を密閉するように保護部材を形成することを特徴とする円筒型焼結体の梱包方法。
  8. 円筒型の焼結体の梱包方法であって、
    前記焼結体の中空部にガスを充填し、
    前記焼結体の円周面、側面、および両端の開口部を覆い、前記中空部を密閉するように保護部材を形成し、
    前記焼結体の内側表面は前記中空部に露出され、前記ガスに接していることを特徴とする円筒型焼結体の梱包方法。
  9. 前記ガスの充填の前に、
    前記中空部の気体を排気し、
    前記排気された前記中空部に不活性ガスを導入し、
    前記不活性ガスを排気することを特徴とする請求項7又は8に記載の円筒型焼結体の梱包方法。

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