以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面は、各実施形態について、共通する箇所には共通の符号が付されており、第二実施形態以降の実施形態では、重複する説明が省略されている。また、図面は、概念図であり、機器および装置の細部構造の寸法まで規定するものではない。
<第一実施形態>
(燃料電池システム1の構成)
図1に示すように、燃料電池システム1は、発電ユニット10および貯湯槽21を備えている。発電ユニット10は、筐体10a、燃料電池モジュール11、熱交換器12、電力変換器13、水タンク14、制御装置15および還元剤供給部40を備えている。
燃料電池モジュール11は、後述する燃料電池34を少なくとも備えている。燃料電池モジュール11には、燃料(改質用原料)、改質水およびカソードエア(酸化剤ガスともいい、本実施形態では、空気を用いる。)が供給されている。具体的には、燃料電池モジュール11には、改質用原料供給管11aの一端側が接続されている。改質用原料供給管11aの他端側は、供給源Gsに接続されている。燃料(改質用原料)は、供給源Gsから改質用原料供給管11aを介して燃料電池モジュール11に供給される。
また、燃料電池モジュール11には、水供給管11bの一端側が接続されている。水供給管11bの他端側は、水タンク14に接続されている。水供給管11bには、改質水ポンプ11b1が設けられており、改質水は、改質水ポンプ11b1によって吸入され、水タンク14から水供給管11bを介して燃料電池モジュール11に供給される。さらに、燃料電池モジュール11には、カソードエア供給管11cの一端側が接続されている。カソードエア供給管11cの他端側は、カソードエアブロワ11c1に接続されている。カソードエアは、カソードエアブロワ11c1によって吸入され、カソードエア供給管11cを介して燃料電池モジュール11に供給される。
改質用原料供給管11aには、上流から順に、遮断弁11a1、圧力センサ11a3、流量センサ11a2、圧力調整装置11a4、原料ポンプ11a5および脱硫器11a6が設けられている。遮断弁11a1、流量センサ11a2、圧力センサ11a3、圧力調整装置11a4、原料ポンプ11a5および脱硫器11a6は、筐体10a内に収納されている。改質用原料供給管11aは、脱硫器11a6に燃料(改質用原料)を供給する。
遮断弁11a1は、後述する制御装置15の指令によって、改質用原料供給管11aを開閉自在に遮断する弁(2連弁)である。流量センサ11a2は、燃料電池モジュール11に供給される燃料(改質用原料)の流量(単位時間あたりの流量)を検出する検出器であり、検出結果を制御装置15に送信する。圧力センサ11a3は、燃料電池モジュール11に供給される燃料(改質用原料)の圧力(特に、圧力センサ11a3の設置場所の圧力)を検出する検出器であり、検出結果を制御装置15に送信する。
圧力調整装置11a4は、入力された燃料(改質用原料)を所定の圧力に調整して出力する。例えば、圧力調整装置11a4は、ゼロガバナを用いることができる。ゼロガバナは、入力された燃料(改質用原料)を大気圧に調圧して出力する。原料ポンプ11a5は、燃料電池モジュール11に燃料(改質用原料)を供給する原料供給装置であり、制御装置15からの制御指令値にしたがって、供給源Gsから供給される燃料(改質用原料)の供給量を調整する。具体的には、原料ポンプ11a5は、燃料(改質用原料)を吸入して、脱硫器11a6に燃料(改質用原料)を圧送する。また、燃料供給量は、燃料(改質用原料)の流量で表すことができ、単位時間あたりの流量で示すことができる。
脱硫器11a6は、燃料(改質用原料)に含まれる硫黄成分(例えば、硫黄化合物など)を脱硫剤によって除去して第一改質部33に供給する。脱硫器11a6内には、触媒および脱硫剤が収容されている。触媒は、例えば、ニッケル−モリブデン系、コバルト−モリブデン系の触媒などを用いることができる。触媒では、硫黄化合物と水素とが反応して硫化水素が発生する。脱硫剤は、例えば、銅−亜鉛系、銅−亜鉛−ニッケル系、銅−亜鉛−アルミニウム系の脱硫剤などを用いることができる。脱硫剤は、触媒によって硫黄化合物から変換された硫化水素を取り込んで除去する。なお、本実施形態では、脱硫された燃料(改質用原料)は、蒸発部32を介して第一改質部33に供給される。
上述の脱硫剤は、比較的高温状態で優れた脱硫作用を発揮する。したがって、脱硫器11a6は、比較的高温状態になる箇所に配置すると良い。例えば、脱硫器11a6は、ケーシング31内(断熱材内)に配置することができ、ケーシング31の外面に配置することもできる。本実施形態では、脱硫器11a6は、ケーシング31の外面に配設されている。なお、上述の脱硫剤は、常温でも使用することができる。
還元剤供給部40は、リサイクル燃料管39およびリサイクル燃料ポンプ39aを備えており、還元剤を脱硫器11a6に供給する。本実施形態では、リサイクル燃料管39は、第一改質部33から燃料電池34に供給される燃料の一部を還元剤として改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5の出力側に戻す。還元剤は、主に、燃料に含まれる水素や一酸化炭素であり、酸化した脱硫剤を還元させる。
第一改質部33から燃料電池34に供給される燃料は、改質ガスともいう。改質ガスは、第一改質部33から改質ガス供給管38を介して燃料電池34に供給される。リサイクル燃料管39の一端側は、改質ガス供給管38に接続されている。リサイクル燃料管39の他端側は、改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5の出力側に接続されている。なお、リサイクル燃料管39の他端側は、原料ポンプ11a5の入力側と圧力調整装置11a4の出力側との間の改質用原料供給管11aに接続しても良い。
リサイクル燃料ポンプ39aは、リサイクル燃料管39に設けられており、還元剤を圧送する。リサイクル燃料ポンプ39aは、還元剤の供給量を調整することができ、制御装置15からの制御指令値にしたがって、脱硫器11a6に供給する還元剤の供給量を調整することができる。還元剤の供給量は、例えば、供給する還元剤の流量で表すことができ、単位時間あたりの還元剤の流量で示すことができる。このように、第一改質部33から燃料電池34に供給される燃料(改質ガス)の一部を還元剤として脱硫器11a6に供給することにより、酸化した脱硫剤が還元される。
リサイクル燃料管39には、温度センサ39bが設けられている。温度センサ39bは、リサイクル燃料管39を流れる還元剤の温度を検出して、検出結果を制御装置15に送信する。また、リサイクル燃料管39には、温度センサ39bに代えてまたは温度センサ39bとともに流量センサ39cを設けることもできる。流量センサ39cは、リサイクル燃料管39を流れる還元剤の流量を検出して、検出結果を制御装置15に送信する。
さらに、リサイクル燃料ポンプ39aには、回転数センサ39a1を設けることもできる。回転数センサ39a1は、リサイクル燃料ポンプ39aの回転数を検出する。また、回転数センサ39a1は、リサイクル燃料ポンプ39aを駆動する駆動用モータの回転数を検出することもできる。回転数センサ39a1は、これらの回転数を検出して、検出結果を制御装置15に送信する。また、リサイクル燃料ポンプ39aには、リサイクル燃料ポンプ39a自体の温度を検出する温度センサ39a2を設けることもできる。温度センサ39a2は、リサイクル燃料ポンプ39a自体の温度を検出して、検出結果を制御装置15に送信する。
このように、制御装置15は、温度センサ39b、流量センサ39c、回転数センサ39a1および温度センサ39a2のうちの少なくとも一つの検出結果に基づいて、リサイクル燃料管39を介して脱硫器11a6に供給される還元剤の供給状態を知得することができる。
熱交換器12は、燃料電池モジュール11から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに、貯湯槽21から貯湯水が供給される。熱交換器12では、燃焼排ガスと貯湯水とが熱交換する。具体的には、貯湯槽21は、貯湯水を貯湯し、貯湯槽21には、貯湯水循環ライン22が接続されている。貯湯水循環ライン22では、図1に示す矢印の方向に貯湯水が循環する。貯湯水循環ライン22上には、貯湯槽21の下端から上端に向かって順に、貯湯水循環ポンプ22aおよび熱交換器12が配設されている。熱交換器12には、排気管11dの一端側が接続(貫設)されている。排気管11dの他端側は、燃料電池モジュール11に接続(貫設)されている。また、熱交換器12には、凝縮水供給管12aの一端側が接続されている。凝縮水供給管12aの他端側は、水タンク14に接続されている。
燃料電池モジュール11から排出された燃焼排ガスは、排気管11dを通って熱交換器12内に導入される。熱交換器12内では、導入された燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われ、凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは、排気管11dを通って外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管12aを通って水タンク14に供給される。なお、水タンク14は、例えば、イオン交換樹脂によって凝縮水を純水化することができる。
上述した熱交換器12、貯湯槽21および貯湯水循環ライン22は、排熱回収システム20を構成する。排熱回収システム20は、燃料電池モジュール11の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
電力変換器13は、公知の昇圧型DC/DCコンバータおよびインバータを備えている。電力変換器13は、昇圧型DC/DCコンバータにより、燃料電池34から出力される直流電力を昇圧する。昇圧された直流電力は、インバータにより、所定の交流電力に変換されて、電源ライン16bに出力される。電源ライン16bには、交流の系統電源16aおよび外部負荷16c(例えば、電化製品など)が接続されている。
また、電力変換器13は、公知のAC/DCコンバータを備えている。電力変換器13は、AC/DCコンバータにより、系統電源16aの交流電力を所定の直流電力に変換して、例えば、補機(各種ポンプ、ブロワなど)や制御装置15に出力する。制御装置15は、補機を駆動して燃料電池システム1の運転を制御する。
燃料電池モジュール11は、ケーシング31、蒸発部32、第一改質部33および燃料電池34を備えている。ケーシング31は、断熱性材料で箱状に形成されている。
蒸発部32は、後述する燃焼部36(燃焼ガス)により加熱される。これにより、蒸発部32は、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された燃料(改質用原料)を予熱する。蒸発部32は、生成された水蒸気と予熱された燃料(改質用原料)とを混合して第一改質部33に供給する。燃料(改質用原料)は、例えば、天然ガス、LPガスなどの改質用気体燃料を用いることができる。また、燃料(改質用原料)は、例えば、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料を用いることができる。本実施形態では、燃料(改質用原料)は、天然ガスを用いる。なお、天然ガスに含まれる炭化水素ガス(例えば、メタン、エタンなど)は、酸化した脱硫剤を還元させる還元剤としても機能する。例えば、第一改質部33によって燃料(改質ガス)が生成されるまでは、酸化した脱硫剤は、炭化水素ガスによって還元することができる。
蒸発部32には、水供給管11bの一端側が接続されている。水供給管11bの他端(下端)側は、水タンク14に接続されている。また、蒸発部32には、改質用原料供給管11aの一端側が接続されている。改質用原料供給管11aの他端側は、供給源Gsに接続されている。供給源Gsは、例えば、都市ガスなどのガス供給管、LPガスなどのガスボンベが挙げられる。
第一改質部33は、燃焼部36(燃焼ガス)により加熱されて、水蒸気改質反応に必要な熱が供給される。これにより、第一改質部33は、蒸発部32から供給された水蒸気と燃料(改質用原料)の混合ガスから燃料(改質ガス)を生成して導出する。第一改質部33内には、触媒が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて、水素ガス、一酸化炭素ガスなどを含んだガスが生成される(いわゆる水蒸気改質反応)。触媒は、例えば、ルテニウム(Ru)系またはニッケル(Ni)系の触媒を用いることができる。
改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガスなど)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、第一改質部33は、改質用原料(原燃料)と改質水とから燃料(改質ガス)を生成して燃料電池34に供給する。なお、水蒸気改質反応は、吸熱反応である。
燃料電池34は、燃料極と、空気極(酸化剤極)と、両極の間に介装された電解質とを備える複数のセル34aが積層されている。本実施形態の燃料電池34は、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウム(ZrO2)を使用している。燃料電池34の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。水素だけではなく、天然ガスや石炭ガスなども直接燃料として用いることができる。
セル34aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路34bが形成されている。セル34aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエアともいう。)が流通する空気流路34cが形成されている。燃料電池34は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する。
燃料電池34は、マニホールド35上に設けられている。マニホールド35には、第一改質部33から導出された改質ガスが改質ガス供給管38を介して供給される。燃料流路34bは、下端(一端)側がマニホールド35の燃料導出口に接続されている。燃料導出口から導出された改質ガスは、下端(一端)から導入され上端(他端)から導出される。カソードエアブロワ11c1によって送出されたカソードエアは、カソードエア供給管11cを介して供給される。供給されたカソードエアは、空気流路34cの下端(一端)から導入され上端(他端)から導出される。
燃焼部36は、燃料電池34と、蒸発部32および第一改質部33との間に設けられている。燃焼部36は、燃料のオフガスである燃料オフガスと、酸化剤ガスのオフガスである酸化剤オフガスとが燃焼して、蒸発部32および第一改質部33を加熱する。燃焼部36では、燃料オフガスが燃焼されて、火炎37が発生している。また、燃焼部36では、燃料オフガスが燃焼されて、その燃焼排ガスが発生している。
制御装置15には、上述した流量センサ11a2、圧力センサ11a3、温度センサ39b、遮断弁11a1、原料ポンプ11a5、改質水ポンプ11b1、貯湯水循環ポンプ22a、リサイクル燃料ポンプ39a、カソードエアブロワ11c1および電力変換器13が接続されている。また、制御装置15には、上述した流量センサ39c、回転数センサ39a1および温度センサ39a2を接続することもできる。さらに、制御装置15には、後述する着火ヒータ36a1,36a2、温度センサ36b1,36b2および温度センサ36cが接続されている。図2に示すように、制御装置15は、公知の演算装置15a、記憶装置15bおよび入出力インターフェース15cを備えており、これらは、バス15dを介して接続されている。制御装置15は、これらを用いて、種々の演算処理を行うことができ、上述した各種検出器、補機等を含む外部機器との間で、入出力信号の授受を行うことができる。
演算装置15aは、中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)であり、種々の演算処理を行うことができる。記憶装置15bは、第一記憶装置15b1および第二記憶装置15b2を備えている。第一記憶装置15b1は、読み出しおよび書き込み可能な揮発性の記憶装置(RAM:Random Access Memory)であり、第二記憶装置15b2は、読み出し専用の不揮発性の記憶装置(ROM:Read Only Memory)である。入出力インターフェース15cは、上述の外部機器との間で、入出力信号の授受を行う。
例えば、演算装置15aは、第二記憶装置15b2に記憶されている補機の駆動制御プログラムを第一記憶装置15b1に読み出して、当該駆動制御プログラムを実行する。演算装置15aは、当該駆動制御プログラムに基づいて、当該補機の駆動制御信号を生成する。生成された駆動制御信号は、入出力インターフェース15cを介して、当該補機に付与される。これにより、補機は、制御装置15によって駆動制御される。以上のことは、電力変換器13についても同様であり、燃料電池システム1の運転に必要な各種プログラムについても同様である。各種プログラムには、以下に示す起動制御プログラムが含まれる。
(燃料電池システム1による起動制御)
燃料電池システム1では、燃料電池システム1が長期間停止したときに、脱硫器11a6に空気が流入し、脱硫器11a6の脱硫剤が酸化する可能性がある。例えば、空気は、カソードエア供給管11cや排気管11dからケーシング31内に流入する可能性がある。ケーシング31内に流入した空気は、燃料電池34の燃料流路34b、マニホールド35、改質ガス供給管38、第一改質部33、蒸発部32および脱硫器11a6の順に逆流して、脱硫器11a6内に流入する。
燃料電池システム1が起動され、燃焼部36において燃焼が始まると、燃料電池モジュール11のケーシング31内の温度が上昇し、脱硫器11a6内の温度も上昇する。脱硫剤が酸化されていると、脱硫器11a6内の温度の上昇に伴い、脱硫剤が還元される。このとき、投入された改質用原料(リサイクル燃料管39を介して供給される還元剤を含む)が、酸化した脱硫剤を還元するために使用される。そのため、脱硫剤が酸化していない場合と比べて、燃料電池34に導入される燃料(改質ガス)が少なくなる。その結果、燃料電池システム1の燃焼部36が吹き消えを起こして、燃料電池システム1の起動が失敗する可能性がある。
そこで、本実施形態の燃料電池システム1は、以下に示す起動制御を行う。具体的には、制御装置15は、還元剤供給部40が供給する還元剤の供給量および燃焼部36における燃焼を制御する。図3に示すように、制御装置15は、制御ブロックとして捉えると、吹き消え判定部51、還元処理部52および着火再試行部53を備えている。制御装置15は、図4に示すフローチャートに従って起動制御プログラムを実行することにより、還元剤供給部40が供給する還元剤の供給量および燃焼部36における燃焼を制御することができる。以下、図4に示すフローチャートを参照しつつ、起動制御について説明する。
吹き消え判定部51は、燃料電池システム1の起動運転中に、燃焼部36が吹き消え状態であるか否かを判断する。燃料電池システム1が起動すると、燃焼部36は、制御装置15からの指令にしたがって着火される。燃焼部36の着火は、例えば、着火ヒータ36a1,36a2を用いることができる。吹き消え判定部51は、燃焼部36の吹き消えの有無を判断することができれば良く、その方法は限定されない。例えば、吹き消え判定部51は、燃焼部36の着火開始から一定時間が経過したか否かを判断する(図4のステップS11)。一定時間は、例えば、脱硫剤が酸化していないときに燃焼部36を着火させた場合に、燃焼部36が吹き消えを起こすことなく、燃焼が安定するまでに要する所要時間に設定することができる。
一定時間が経過した場合(ステップS11で「Yes」の場合)、吹き消え判定部51は、温度センサ36b1,36b2に対してトリガ信号を発信する。温度センサ36b1,36b2は、燃焼部36に設けられており、燃焼部36の温度を検出することができる。温度センサ36b1,36b2は、制御装置15(吹き消え判定部51)からトリガ信号を受信すると、燃焼部36の温度を検出する(ステップS12)。
なお、燃料電池34の中心部の温度と燃焼部36の温度との相関関係に基づいて、燃料電池34の中心部の温度から燃焼部36の温度を推定することもできる。燃料電池34の中心部の温度は、温度センサ36cによって検出することができる。また、燃料電池34の中心部の温度と燃焼部36の温度との相関関係は、燃料電池34の中心部の温度の上昇に伴って、燃焼部36の温度も上昇する関係をいう。燃料電池34の中心部の温度が下降する場合も同様であり、燃料電池34の中心部の温度の下降に伴って、燃焼部36の温度も下降する。これらの相関関係は、シミュレーション、実機による測定などによって予め導出しておき、マップ、テーブル、関係式などにより、第二記憶装置15b2に記憶しておくと良い。以上のことは、後述する他の相関関係についても同様である。
一方、一定時間が経過していない場合(ステップS11で「No」の場合)、起動制御は、ステップS11に戻る。この場合、吹き消え判定部51は、一定時間が経過するまで待機する。以上のようにして、吹き消え判定部51は、燃焼部36の着火開始から一定時間経過後の燃焼部36の温度を知得することができる。
次に、吹き消え判定部51は、燃焼部36の温度が基準温度以下であるか否かを判断する(ステップS13)。基準温度は、燃焼部36が吹き消えを起こすことなく、燃焼が継続しているときの燃焼部36の温度をいう。なお、基準温度は、燃焼部36の燃焼状態が一定でない場合を考慮して、基準温度の下限値と上限値を設定することもできる。この場合、吹き消え判定部51は、燃焼部36の検出温度が基準温度の下限値と上限値との間に含まれるか否かを判断することができる。
燃焼部36の温度が基準温度以下の場合(ステップS13で「Yes」の場合)、吹き消え判定部51は、燃焼部36が吹き消え状態であると判断する(ステップS14)。吹き消え状態とは、燃焼部36が燃焼後に、燃焼部36の相当範囲で失火している状態をいう。なお、吹き消え判定部51は、温度センサ36b1,36b2に対して、複数回、トリガ信号を発信することもできる。そして、温度センサ36b1,36b2は、トリガ信号に応じて、燃焼部36の温度を複数回、検出することもできる。
この場合、吹き消え判定部51は、温度センサ36b1,36b2によって検出された複数の温度検出結果に基づいて、燃焼部36の温度変化を取得することができる。燃焼部36の温度変化として、例えば、一定時間に低下する燃焼部36の温度変化量(温度低下率)を挙げることができる。吹き消え判定部51は、燃焼部36の温度低下率が吹き消え時温度低下率に相当するときに、燃焼部36が吹き消え状態であると判断することができる。吹き消え時温度低下率は、燃焼部36が燃焼中に吹き消えを起こしたときの温度変化量であり、既述の相関関係と同様の方法で、予め設定しておくことができる。
還元処理部52は、吹き消え判定部51によって燃焼部36が吹き消え状態であると判断されたときに、還元剤供給部40が供給する還元剤の供給量を燃焼部36が吹き消え状態でない場合と比べて増大させて、脱硫器11a6に対して脱硫剤を還元する還元処理を行わせる(ステップS15)。既述のとおり、本実施形態では、還元剤供給部40は、リサイクル燃料管39およびリサイクル燃料ポンプ39aを備えている。還元剤供給部40は、これらにより、第一改質部33から燃料電池34に供給される燃料(改質ガス)の一部を還元剤として脱硫器11a6に供給し、酸化した脱硫剤を還元する。
本実施形態では、還元処理部52は、リサイクル燃料ポンプ39aが吐出する還元剤の供給量を燃焼部36が吹き消え状態でない場合と比べて増大させる。そして、還元処理部52は、脱硫器11a6に対して脱硫剤を還元する還元処理を行わせる。具体的には、脱硫器11a6内の温度が脱硫剤の還元が始まる還元開始温度(例えば、150℃)以上であるときには、リサイクル燃料管39を介して供給される還元剤(主に、水素、一酸化炭素など)によって、酸化した脱硫剤の還元が促進される。
リサイクル燃料ポンプ39aの制御は、限定されない。制御装置15(還元処理部52)は、例えば、フィードバック制御やフィードフォワード制御を行うことができる。いずれの場合も、例えば、リサイクル燃料管39を流れる還元剤の流量(リサイクルガス流量ともいう。)、リサイクル燃料管39を流れる還元剤の温度(リサイクルガス温度ともいう。)、リサイクル燃料ポンプ39aの回転数を制御対象とすることができる。
還元剤の流量(リサイクルガス流量)を制御対象とする場合、制御装置15(還元処理部52)は、還元剤の流量(リサイクルガス流量)が目標流量となるように、リサイクル燃料ポンプ39aの制御を行うと良い。具体的には、制御装置15(還元処理部52)は、流量センサ39cによって検出された流量が目標流量となるように、目標流量に応じた制御指令値(例えば、PWM制御におけるデューティ比)をリサイクル燃料ポンプ39aに対して出力する。
目標流量は、第一改質部33から改質ガス供給管38を介して燃料電池34に供給される燃料(改質ガス)の供給量に所定比率を乗算して得た値に設定することができる。ここで、原料ポンプ11a5が吐出する燃料(改質用原料)の供給量(流量)を変更しないで、上記所定比率を変更して、脱硫器11a6に供給する還元剤の供給量(流量)を増大させようとすると、燃料電池34に供給される燃料(改質ガス)の供給量(流量)が低下する。そのため、制御装置15(還元処理部52)は、上記所定比率を変更しないで、原料ポンプ11a5が吐出する燃料(改質用原料)の供給量(流量)を増大させると良い。以上により、還元処理部52は、リサイクル燃料ポンプ39aが吐出する還元剤の供給量(流量)を燃焼部36が吹き消え状態でない場合と比べて増大させることができる。
還元剤の温度(リサイクルガス温度)を制御対象とする場合、リサイクルガス流量とリサイクルガス温度とは相関関係にあるため、制御装置15(還元処理部52)は、目標流量に応じた目標温度となるように、リサイクル燃料ポンプ39aの制御を行うことができる。なお、リサイクルガス流量とリサイクルガス温度との相関関係は、リサイクルガス流量が多くなるほどリサイクルガス温度は高くなる関係をいう。具体的には、制御装置15(還元処理部52)は、温度センサ39bによって検出された検出温度が目標温度となるように、リサイクル燃料ポンプ39aの制御を行う。
リサイクル燃料ポンプ39aの回転数を制御対象とする場合、制御装置15(還元処理部52)は、目標流量に応じた目標回転数となるように、リサイクル燃料ポンプ39aの制御を行うと良い。なお、リサイクルガス流量とリサイクル燃料ポンプ39aの回転数との相関関係は、リサイクル燃料ポンプ39aの回転数が大きくなるほど、リサイクルガス流量が多くなる関係をいう。具体的には、制御装置15(還元処理部52)は、回転数センサ39a1によって検出された回転数が目標回転数となるように、リサイクル燃料ポンプ39aの制御を行う。
還元剤供給部40が供給する還元剤の供給量は、脱硫剤の酸化状態に応じて増大させることもできる。燃料電池システム1の停止期間に応じて、脱硫剤の酸化状態は変化する。具体的には、燃料電池システム1の停止期間が長期間になる程、脱硫剤の酸化が進行し、その後、脱硫剤の酸化状態が変化しない飽和状態になる。そのため、制御装置15(還元処理部52)は、燃料電池システム1が前回停止したときの日時、時刻などを記憶しておき、今回起動するまでの燃料電池システム1の停止期間に応じて、脱硫剤の酸化状態を推定することができる。
そして、還元処理部52は、燃料電池システム1の停止期間に応じて、還元剤供給部40が供給する還元剤の供給量を増大させることができる。具体的には、燃料電池システム1の停止期間が長期間になる程、還元剤供給部40が供給する還元剤の供給量を多くする。燃料電池システム1の停止期間が、脱硫剤の酸化状態が飽和状態になる期間を超えているときには、脱硫剤の酸化状態が飽和状態のときに脱硫剤を還元可能な還元剤の供給量に設定する。
着火再試行部53は、脱硫器11a6の還元処理が終了した後に、燃焼部36の着火を再試行する(ステップS16)。脱硫器11a6内の温度が還元開始温度より低くなると、脱硫剤の還元が進行しにくくなる。そのため、着火再試行部53は、脱硫器11a6内の温度が還元開始温度より低下したときに、脱硫器11a6の還元処理が終了したと判断することができる。脱硫器11a6内の温度は、既述の温度センサと同等の温度センサによって直接、検出することができる。なお、脱硫器11a6の還元処理は、酸化した脱硫剤が完全に還元された場合の他、酸化した脱硫剤の一部が還元されていない場合にも終了することができる。また、脱硫器11a6を加熱する加熱装置を設けることもできる。この場合、加熱装置によって脱硫器11a6内の温度を還元開始温度以上に保持して、酸化した脱硫剤を完全に還元することもできる。
脱硫器11a6内の温度は、燃料電池モジュール11のケーシング31内の温度(例えば、燃料電池34の中心部の温度)から推定することもできる。脱硫器11a6内の温度と燃料電池モジュール11のケーシング31内の温度とは相間関係にある。そのため、制御装置15(着火再試行部53)は、例えば、温度センサ36cによって検出された燃料電池34の中心部の温度に基づいて、脱硫器11a6内の温度を推定することができる。脱硫器11a6内の温度とケーシング31内の温度との相間関係は、ケーシング31内の温度の低下に伴って、脱硫器11a6内の温度も低下する関係をいう。なお、本実施形態では、脱硫器11a6は、ケーシング31の外面に配設されているので、ケーシング31内の温度低下率と比べて、脱硫器11a6内の温度低下率は大きい。
着火再試行部53は、脱硫器11a6の還元処理が終了した後に、燃焼部36の着火を再試行する。具体的には、着火再試行部53は、着火ヒータ36a1,36a2への着火指示を行う。そして、起動制御は、ステップS11に戻る。このとき、投入する燃料(改質用原料)は、燃焼部36が吹き消えを起こしたとき(1回目の着火時)と同等の供給量にすることができる。脱硫剤の還元が進行しているので、再着火時に燃料電池34に導入される燃料(改質ガス)が脱硫剤の還元のために使用されて減少する可能性が少なくなっている。そのため、再着火時に燃焼部36が吹き消えを起こして、燃料電池システム1の起動が失敗することが低減されている。
なお、燃焼部36の温度が基準温度より高い場合(ステップS13で「No」の場合)、吹き消え判定部51は、燃焼部36が吹き消え状態でないと判断する(ステップS17)。この場合、燃焼部36では、燃料オフガスと酸化剤オフガスとの燃焼が継続している。そのため、起動制御は、終了する。
また、燃料電池システム1は、起動運転中(少なくとも、吹き消え判定部51、還元処理部52および着火再試行部53における制御中)は、燃料電池34から直流電力を掃引しないことが好ましい。つまり、制御装置15は、燃料電池モジュール11に対して、燃料(改質用原料)および酸化剤ガスを供給するが、燃料電池34で発電させないことが好ましい。これにより、通常運転時と比べて燃料(改質ガス)が希薄な状態で燃料電池34が発電することによる燃料電池34の劣化を抑制することができる。
本実施形態の燃料電池システム1によれば、制御装置15は、吹き消え判定部51、還元処理部52および着火再試行部53を備えている。吹き消え判定部51は、燃料電池システム1の起動運転中に、燃焼部36が吹き消え状態であるか否かを判断する。また、還元処理部52は、吹き消え判定部51によって燃焼部36が吹き消え状態であると判断されたときに、還元剤供給部40が供給する還元剤の供給量を燃焼部36が吹き消え状態でない場合と比べて増大させて、脱硫器11a6に対して脱硫剤を還元する還元処理を行わせる。これらにより、酸化した脱硫剤の還元が促進される。さらに、着火再試行部53は、脱硫器11a6の還元処理が終了した後に、燃焼部36の着火を再試行する。そのため、再度の燃焼部36の吹き消えの発生が低減されて、燃料電池システム1を再起動させることができる。
また、本実施形態の燃料電池システム1は、上述の起動制御によって脱硫剤の還元を行う。そのため、本実施形態の燃料電池システム1は、燃料電池システム1の停止時に、脱硫器11a6内を気密にして脱硫剤の酸化を抑制する必要がない。よって、本実施形態の燃料電池システム1は、脱硫器11a6内を気密する気密部材を必要とする燃料電池システムと比べて、システムの簡素化および低コスト化を図ることができる。
さらに、本実施形態の燃料電池システム1によれば、改質用原料供給管11aおよび原料ポンプ11a5を備えている。改質用原料供給管11aは、脱硫器11a6に改質用原料を供給する。原料ポンプ11a5は、改質用原料供給管11aに設けられており、脱硫器11a6に改質用原料を圧送する。また、還元剤供給部40は、リサイクル燃料管39およびリサイクル燃料ポンプ39aを備えている。リサイクル燃料管39は、第一改質部33から燃料電池34に供給される燃料(改質ガス)の一部を還元剤として改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5の出力側に戻す。リサイクル燃料ポンプ39aは、リサイクル燃料管39に設けられており、上記還元剤を圧送する。よって、還元剤供給部40としてリサイクル燃料管39およびリサイクル燃料ポンプ39aを備える燃料電池システム1において、上述の作用効果を得ることができる。
<第二実施形態>
本実施形態の還元剤供給部40は、リサイクル燃料ポンプ39aの代わりにオリフィス39dを備える点で、概ね第一実施形態と異なる。
図5に示すように、還元剤供給部40は、リサイクル燃料管39およびオリフィス39dを備えている。リサイクル燃料管39の一端側は、改質ガス供給管38に接続されている。リサイクル燃料管39の他端側は、改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5の入力側に接続されている。これにより、リサイクル燃料管39は、第一改質部33から燃料電池34に供給される燃料(改質ガス)の一部を還元剤として改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5の入力側に戻すことができる。このように、本実施形態では、リサイクル燃料管39の他端側が、改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5の入力側に接続されている点で、改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5の出力側に接続されている第一実施形態と異なる。なお、本実施形態においても、上記還元剤として、主に、燃料(改質ガス)に含まれる水素、一酸化炭素などが使用される。
オリフィス39dは、リサイクル燃料管39に設けられており、還元剤の供給量を原料ポンプ11a5とともに調整する。オリフィス39dは、流路孔を有する板状(例えば、円板状)に形成されており、オリフィス39dの孔径(絞り部分の断面積)を変更することにより、還元剤の供給量(流量)を調整することができる。還元剤供給部40が供給する還元剤の供給量(流量)を増大させる場合は、第一実施形態と同様に、原料ポンプ11a5が吐出する燃料(改質用原料)の供給量を増大させて、オリフィス39dによって還元剤の供給量を調整する。なお、オリフィス39dは、オリフィス39dの孔径(絞り部分の断面積)を小さくする程、還元剤の流速が増大し、還元剤の単位時間あたりの流量が増大する。オリフィス39dの孔径(絞り部分の断面積)は、還元剤の供給量(流量)に合わせて予め設定しておくと良い。
なお、オリフィス39dが設けられていないリサイクル燃料管39(第一流路)と、オリフィス39dが設けられているリサイクル燃料管39(第二流路)とを並列接続してリサイクル燃料管39を構成することもできる。そして、制御装置15(還元処理部52)は、切り替え弁などによって、還元剤の流路を切り替えることもできる。具体的には、還元剤の供給量(流量)を増大させる場合、制御装置15(還元処理部52)は、還元剤の流路を第一流路から第二流路に切り替える。
また、原料ポンプ11a5の入力側の改質用原料供給管11aには、燃料(改質用原料)の圧力を調整する既述の圧力調整装置11a4が設けられている。圧力調整装置11a4は、第一改質部33から供給する燃料(改質ガス)の吐出圧力と比べて、原料ポンプ11a5が吸入する燃料(改質用原料)の吸入圧力を小さくすることができる。圧力調整装置11a4は、例えば、ゼロガバナによって、原料ポンプ11a5の吸入圧力を大気圧と同等の圧力にすることができる。そのため、還元剤供給部40は、第一改質部33から燃料電池34に供給される燃料(改質ガス)の一部を、リサイクル燃料管39を介して改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5の入力側に戻し、脱硫器11a6に還元剤を供給することが容易である。
本実施形態の燃料電池システム1によれば、改質用原料供給管11a、圧力調整装置11a4および原料ポンプ11a5を備えている。改質用原料供給管11aは、脱硫器11a6に改質用原料を供給する。圧力調整装置11a4は、改質用原料供給管11aに設けられており、改質用原料の圧力を調整する。原料ポンプ11a5は、圧力調整装置11a4の出力側に設けられており、脱硫器11a6に改質用原料を圧送する。また、還元剤供給部40は、リサイクル燃料管39およびオリフィス39dを備えている。リサイクル燃料管39は、第一改質部33から燃料電池34に供給される燃料(改質ガス)の一部を還元剤として改質用原料供給管11aの原料ポンプ11a5の入力側に戻す。オリフィス39dは、リサイクル燃料管39に設けられており、還元剤の供給量を原料ポンプ11a5とともに調整する。これらにより、還元剤供給部40は、第一実施形態と同様に、脱硫器11a6に還元剤を供給することができる。よって、還元剤供給部40としてリサイクル燃料管39およびオリフィス39dを備える燃料電池システム1において、第一実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
<第三実施形態>
本実施形態の還元剤供給部40は、リサイクル燃料管39およびリサイクル燃料ポンプ39aの代わりに第二改質部41を備える点で、概ね第一実施形態と異なる。
図6に示すように、還元剤供給部40は、ケーシング31内に第二改質部41を備えている。本実施形態では、蒸発部32には、脱硫器11a6を介さずに直接、改質用原料供給管11aの一端側が接続されている。蒸発部32の出力側(混合ガスの導出側)は、第二改質部41の入力側に接続されている。第二改質部41内には、第一改質部33と同様の触媒が充填されており、第二改質部41は、蒸発部32から供給された水蒸気と燃料(改質用原料)の混合ガスから還元剤を生成する。つまり、第二改質部41では、第一改質部33と同様にして、水素ガスや一酸化炭素ガスなどを含む改質ガスが生成される。
第二改質部41の出力側は、脱硫器11a6に接続されている。第二改質部41によって生成された改質ガスは、還元剤として脱硫器11a6に供給される。よって、本実施形態においても、上記還元剤として、主に、改質ガスに含まれる水素、一酸化炭素などが使用される。なお、脱硫器11a6は、第二改質部41によって改質されなかった未改質の燃料(改質用原料)に含まれる硫黄成分を脱硫剤によって除去して第一改質部33に供給する。第一改質部33は、未改質の燃料(改質用原料)と改質水とから燃料(改質ガス)を生成して燃料電池34に供給する。以上のようにして、第二改質部41は、蒸発部32から供給された水蒸気と燃料(改質用原料)の混合ガスから還元剤を生成して、脱硫器11a6に供給することができる。
本実施形態の燃料電池システム1によれば、蒸発部32を備えている。蒸発部32は、燃焼部36により加熱され、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに供給された改質用原料を予熱する。また、還元剤供給部40は、第二改質部41を備えている。第二改質部41は、蒸発部32から供給された水蒸気と改質用原料の混合ガスから還元剤を生成して脱硫器11a6に供給する。これらにより、還元剤供給部40は、第一実施形態と同様に、脱硫器11a6に還元剤を供給することができる。よって、還元剤供給部40として第二改質部41を備える燃料電池システム1において、第一実施形態で既述の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
<その他>
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。