JP6348056B2 - 湿式微粒化方法及び湿式微粒化装置 - Google Patents

湿式微粒化方法及び湿式微粒化装置 Download PDF

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Description

本発明は、原料の湿式微粒化方法及び湿式微粒化装置に関する。
微粒子、特にナノ粒子は、そのサイズがナノメートル(nm)オーダーであることで比表面積が極めて大きくなり、量子サイズ効果によって特有の物性を示すことなどから、様々な分野で研究され利用が進められている。近年、ナノ粒子は電子部品、顔料、化粧品、医薬品、食品、農薬等、各種材料分野で広範囲に利用されつつある。その一方で、ナノ粒子は凝集し易いことからナノ粒子の特性を有効活用するためには、ナノ粒子の性質に合った適切な分散処理が必要となる。
その一方で、化学物質の安全性が議論になっている。特に化粧品、医薬品、食品の場合、微粒子が人体に直接触れ、又は人体内に直接投与されることから、微粒子の微粒化に際して不純物が微粒子に付着し、また不純物が混入すると、安全性が保障されず大きな問題となる。また、電子材料においては、微粒子への不純物混入は電気特性や磁気特性に少なからず悪影響を及ぼすこととなる。
粒子を微粒化させる方法としては、超音波振動による分散、ビーズミルなどの粉砕用媒体を使用した湿式の機械的接触式粉砕や同体摩擦粉砕による方法(機械的接触式粉砕法)が一般に知られている。しかし、ビーズミルなどを用いた機械的接触式粉砕では、粉砕用媒体と粒子とが点接触するため粉砕のためのエネルギー密度が高くなりすぎて、粒子の構造自体が壊れ易く、粉砕用媒体と粒子との点接触箇所における過剰な温度上昇(発熱)によって、粒子の所望の機能性が劣化してしまう不具合が生じる。さらにビーズミルなどの粉砕用媒体から発生するcontaminant(汚染物質:コンタミとも呼ばれる)が混入する不具合がある。
これに対して、ウォータージェット技術を用いた湿式ジェットミルは、原料溶液を高圧ノズルから高圧噴射することで粒子自体を壊さずコンタミの混入がない微粒化工法として開発されたものであり、粒子の湿式微粒化工法として有望視され実用化が進んでいる。
そして、最近では、各種プラズマ処理によって微粒子を水中に分散させる方法が検討されている。
特許文献1には「塑性変形し易い金属またはその化合物とセラミックスなどの弾性率が高い材料を含有する微粉体の複合粒子を、分散剤と水とに混合した後、高圧噴射分散処理装置のチャンバーノズルから所定の圧力で高圧噴射することで前記複合粒子を微粒化する複合粒子の粉砕及び分散方法(その請求項1)」が記載されている。
特許文献2には「一対の電極のうち、一方は水中に浸す又は水面に接触させ、他方は水面上部の気中に配置して、両電極間に電圧を加えて液面プラズマを発生させることにより水中へ微粒子を分散させる分散方法(その請求項1)」が記載されている。
特許文献3は、修飾CNFの製造方法に関して「水系分散媒中に投下したカーボンナノフィラー(CNF)を湿式ジエットミルにより粉砕乃至解砕する粉砕処理工程、及び、CNFをソリューションプラズマ処理(SP処理)によりCNFに親水基導入を行うSP処理工程をそれぞれ少なくとも1個ずつ含み、前記SP処理工程を最終工程とすること(その請求項1)、前記SP処理工程をアンモニア水中でアミノ基を導入する一段SP処理により行なうこと(その請求項2)」が記載されている。
非特許文献1は、ソリューションプラズマ表面修飾に関し「ソリューションプラズマは,ジュール熱により溶液が局所的に加熱され,生じた微細な気泡中で絶縁破壊が起こることにより放電が始まる。液中でプラズマを発生させやすくするために,塩化カリウムを添加することにより,溶液の導電率を300 mSに調整した。ソリューションプラズマ表面修飾によってカーボンナノボール(carbon nanoball; CNB)を親水化して水溶液中に分散させた」との記述がある。
非特許文献2は、高圧ノズルに関し「スタンドオフ距離の増大により、壊食量はノズル近傍(第1ピーク)と下流側(第2ピーク)の二つのピークを有する」との記述がある(図12を参照)。
非特許文献3には高圧ノズルに関し「スタンドオフ距離sをノズル出口直径dで無次元化した量s/dを横軸にとり、各スタンドオフ距離におけるアルミニウム試験片のキャビテーションジェットによる質量減少量を測定した」との記述がある(図13を参照)。
特開2011−020081号公報 特開2013−034914号公報 特開2013−147367号公報
稗田 純子,他、"ソリューションプラズマ表面修飾を用いたナノカーボン分散コンポジット材料の作製",日本金属学会誌第73巻第12号(2009年)938-942頁 祖山 均、"キャビテーション噴流による材料試験・表面改質における支配因子"日本ウォータージェット学会 編, 噴流工学第15巻第2号(1998年)31-37頁 小林 陵二,他、"キャビテーションジェット特性に対するノズル仕上げ精度の影響"日本ウォータージェット学会 編, 噴流工学第15巻第3号(1998年)4-8頁
しかしながら、特許文献1〜3記載の方法によっても、ナノ粒子を安定して得ることには未だ解決すべき課題が多い。つまり、特許文献1記載の方法の場合、分散剤を用いるため、化粧品、医薬品、食品などの分野では使用上の制約を受けることがある。特許文献2記載の液面プラズマは、プラズマと溶液の接触面積が小さいため実質的な効果が小さい。特許文献3と非特許文献1記載の液中プラズマ(ソリューションプラズマ)は、液中でプラズマを発生させやすくするために、アンモニアや塩化カリウムなどの塩基を添加しており、これら添加剤の添加によって原料溶液の純度が低下する。そして、プラズマ処理が適用可能な粒子は2千数百nm以下のある程度小さな粒子に限られており、数千nm以上の大きな凝集粒子にはプラズマの作用が及び難い。また、プラズマの発生には空気が必須であるが、ジュール熱により溶液が局所的に加熱されて生じた微細な気泡中で発生するプラズマの表面改質作用は限定的である。
そこで、本願発明者は、高圧噴射し直ちに液中プラズマ処理を行うことで、電気的凝集を効果的に分散する方法を見出した。
上述の課題に鑑みて、本発明の目的は、汚染物質(コンタミ)の発生を極力抑えつつ、ナノ粒子を安定して得ることが可能な湿式微粒化方法及び湿式微粒化装置を提供することにある。
本発明の湿式微粒化方法は、正規化スタンドオフ距離(Normalized standoff distance:s/d)を横軸とし累積壊食率(Cumulative erosion rate:CER(mg/s))を縦軸としたグラフから、ノズル近傍における壊食量の第1ピークと、下流側における壊食量の第2ピークを算出し、チャンバー内において、前記第1ピークと前記第2ピークの二つのピークを外した位置にプラズマ電極を配した後、微粒子の凝集体が含有されかつエアでバブリングされた原料溶液を高圧噴射処理装置の高圧ノズルから所定圧力で高圧噴射し直ちに液中プラズマ処理を行い、前記高圧噴射によるキャビテーションを前記電極間のプラズマ発生区域に及ばせることを特徴とする。
本発明によれば、凝集力の強い粒子間や濡れ性の乏しい粒子であっても、高圧噴射の物理的な作用で粒子が微粒化され、直ちに液中プラズマ処理が施されることで静電反発の作用によって再凝集が防止されるとともに分散安定性が向上する。また、微粒化に加えて、プラズマによる菌の不活化、滅菌効果が得られるので、特に化粧品、医薬品、食品の場合に好適な処理となる。
本発明は、前記高圧噴射によるキャビテーションを前記電極間のプラズマ発生区域に及ばせることを特徴とする。
本発明によれば、高圧噴射の物理的な作用で粒子が微粒化され、それと同時に前記高圧噴射によるキャビテーションの気泡中で放電が始まる液中プラズマ処理が施されることで静電反発の作用によって再凝集が防止されるとともに分散安定性が向上する。
本発明は、前記高圧噴射し前記液中プラズマ処理する作業を複数回繰り返すことを特徴とする。
本発明によれば、凝集力の強い粒子間や濡れ性の乏しい粒子であっても、前記高圧噴射し前記液中プラズマ処理する作業を複数回繰り返して段階的に微粒化することでナノサイズ粒子とすることが容易となる。
本発明の湿式微粒化装置は、チャンバー内に設けられた高圧ノズルから高圧噴射する高圧噴射処理装置とプラズマ発生装置とが組み合わさって、前記チャンバー内に前記プラズマ発生装置の電極が対向配置され、エアがバブリングされている構成であり、微粒子の凝集体が含有された原料溶液が前記高圧ノズルから所定圧力で高圧噴射され前記チャンバー内にて直ちに液中プラズマ処理が施されることを特徴とする。
本発明によれば、高圧噴射処理装置の物理的作用による分散と液中プラズマ処理による改質作用が同時に行われる構成となり、これらの相乗効果によって再凝集が防止されるとともに分散安定性が向上する。
本発明は、前記高圧噴射によるキャビテーションが前記電極間のプラズマ発生区域に及ぶ位置に前記電極が対向配置されており、前記プラズマ電極の位置は、正規化スタンドオフ距離(Normalized standoff distance:s/d)を横軸とし累積壊食率(Cumulative erosion rate:CER(mg/s))を縦軸としたグラフにおける、ノズル近傍の第1ピークと、下流側の第2ピークの二つのピークを外した位置であることを特徴とする。
本発明によれば、高圧噴射の物理的な作用で粒子が微粒化され、同時にキャビテーションの気泡中で放電が始まる液中プラズマ処理が施される。よって再凝集が防止されるとともに分散安定性が向上する。
本発明は、前記電極は所定間隔で複数対配されており、前記チャンバー内の複数箇所で前記液中プラズマ処理が施されることを特徴とする。
本発明によれば、液中プラズマ処理を連続的に複数回施すことで、高圧噴射処理装置の物理的作用に加えて静電反発の作用を原料溶液中の微粒子に行渡らせることが容易となる。
本発明は、前記液中プラズマ処理を行った溶液を還流させるポンプが備わっており、前記高圧噴射し前記液中プラズマ処理する作業が複数回繰り返されることを特徴とする。
本発明によれば、凝集力の強い粒子間や濡れ性の乏しい粒子であっても、自動的に繰り返し微粒化することでナノサイズ粒子とすることが容易な構成となる。
本発明が対象とする原料としては、金属微粒子、金属酸化物微粒子、ナノファイバー、その他既知の微粒子が挙げられる。前記金属酸化物としては、酸化チタン、チタン酸バリウム、フェライト、アルミナ、シリカ、その他既知の金属酸化物が挙げられる。前記ナノファイバーとしては、セルロース、キチン、キトサン、その他既知のバイオマスナノファイバーが挙げられる。その他既知の微粒子としては、例えばカーボンナノチューブ(Carbon nanotube、CNT)が挙げられる。
本発明が対象とする原料としては、医薬品原料がある。医薬品原料としては、フェニトイン、水酸化マグネシウム、カフェイン、炭酸カルシウム、ビドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、アセトアミノフェインの凝集体が挙げられる。
本発明によれば、ナノ粒子の分散安定性が高くなるうえ、酸や塩基の添加をしないことで適用範囲がより広範囲なものとなる。
本発明は、前記高圧噴射処理装置の高圧ノズルからの圧力を100から245MPaの間で調整し、必要に応じて前記高圧ノズルから溶液を所定の圧力で高圧噴射する作業を複数回繰り返し引続き前記高圧噴射された溶液を同一のチャンバー内にて直ちに液中プラズマ処理する構成としてもよい。
本発明によれば、原料を所望のメジアン径のナノ粒子とすることが容易である。
例えば、前記高圧噴射による微粒化工程に加えて、さらに撹拌工程を有する。本発明によれば、撹拌させて前記粒子の3次元構造を広げることによって、安定的な状態を長期に亘って維持することが容易となる。
本発明の湿式微粒化方法によれば、凝集力の強い粒子間や濡れ性の乏しい粒子であっても、高圧噴射の物理的な作用で粒子が微粒化され、同時に液中プラズマ処理が施されることで静電反発の作用によって再凝集が防止されるとともに分散安定性が向上する。また、医薬品原料においては、プラズマ中の荷電粒子の衝突による細菌の破壊や滅菌の効果もある。
本発明の湿式微粒化装置によれば、高圧噴射処理装置の物理的作用による分散と液中プラズマ処理による改質作用が同時に行われる構成となり、これらの相乗効果によって再凝集が防止されるとともに分散安定性が向上する。本発明によれば、物理的作用に加えて静電反発の作用を原料溶液中の微粒子に行渡らせることが容易となる。
本発明の実施形態の湿式微粒化装置の概略構成を例示するブロック図である。 上記実施形態に係る高圧ノズル及びチャンバーを例示する構造図である。 上記実施形態に係る高圧ノズル及びチャンバーを例示する構造図である。 上記実施形態に係る高圧ノズル及びチャンバーを例示する構造図である。 上記実施形態に係る高圧ノズル及びチャンバーを例示する構造図である。 本発明の実施形態の製造手順を例示する製造工程フロー図である。 非特許文献2の高圧ノズルに関するグラフ図であり、スタンドオフ距離と壊食量の関係を例示する図である。 非特許文献3の高圧ノズルに関するグラフ図であり、スタンドオフ距離と壊食量の関係を例示する図である。
本発明を実施するための形態を以下に説明する。
原料について
本発明において、原料は微粒子の凝集体である。原料としては、金属微粒子、金属酸化物微粒子、ナノファイバー、その他既知の微粒子が挙げられる。金属酸化物の原料としては、酸化チタン、チタン酸バリウム、フェライト、アルミナ、シリカ、その他既知の金属酸化物微粒子の凝集体が挙げられる。原料としては、カーボンナノチューブの凝集体が挙げられる。バイオマス原料としては、セルロース、キチン、キトサン、その他既知のバイオマスナノファイバーの凝集体が挙げられる。医薬品原料としては、フェニトイン、水酸化マグネシウム、カフェイン、炭酸カルシウム、ビドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、アセトアミノフェインの凝集体が挙げられる。
本発明に係る高圧噴射処理装置で原料を高圧噴射処理すると、例えばバイオマス原料は繊維の長さを保ったまま繊維同士の絡まりがほどけて細くなる。そして、前記高圧噴射処理装置の噴射圧力や処理回数などの処理条件を変えることで、繊維の切断もしくは分子量を低下させることが可能である。本発明において、ナノファイバーとは、繊維の幅がナノサイズになったものを意味する。セルロースは、本発明の方法の実施により繊維同士がほどけて1本の最小単位の繊維になると、その直径は10〜51nm程度となる。
本発明において、原料溶液は微粒子の凝集体が含有された液体である。前記原料溶液の溶媒は水、IPA若しくは既知の水溶液である。
本発明の湿式微粒化装置
図1は、本発明の実施形態の湿式微粒化装置100の概略構成を示すブロック図である。本実施形態は、チャンバー40と当該チャンバー内に設けられた高圧ノズル41から高圧噴射する高圧噴射処理装置152とプラズマ発生装置とを組み合わせており、特に、前記チャンバー40内に前記プラズマ発生装置の電極31,32を対向配置した構成である。そして、前記高圧噴射によるキャビテーションが前記電極間のプラズマ発生区域に及ぶように電極31,32が対向配置されている。本実施形態では、微粒子の凝集体が含有された原料溶液10を前記高圧ノズル41から所定圧力で高圧噴射しそれと同時に前記チャンバー40内で液中プラズマ処理を行う。符号52は処理液20を入れる容器である。符号P1はプラズマ放電を模式的に示している。
高圧噴射処理装置152は、高圧ポンプ102を油圧駆動及び制御する油圧発生及び制御部101と、原料溶液10を投入する原料タンク103と、原料溶液10を加圧する高圧ポンプ102と、投入され加圧された原料溶液10内の粒子1aを噴射させ加速して衝突させることで粒子1aを微細化するとともに分散させるチャンバー40と、処理液を冷却する熱交換器105からなる(図1)。
プラズマ発生装置160は、プラズマ発生電源30を備え、チャンバー40の液中にはプラズマ電極31,32が対向配置され、それぞれプラズマ発生電源30と電気接続されている(図1)。符号80は液中プラズマ処理を行った溶液を還流させるポンプである。
本実施形態によれば、高圧噴射処理装置151の物理的作用による分散とプラズマ発生装置160の液中プラズマ処理による改質作用が同時に行われる構成となり、これらの相乗効果によって再凝集が防止されるとともに分散安定性が向上する。そして、自動的に繰り返し微粒化することでナノサイズ粒子とすることが容易な構成となる。
本実施形態によれば、高圧噴射の物理的な作用で粒子が微粒化され、同時にキャビテーションの気泡中で放電が始まる液中プラズマ処理が施される。よって再凝集が防止されるとともに分散安定性が向上する。
前記チャンバー40には、用途によって、シングルノズルチャンバー、斜向衝突チャンバー、ボール衝突チャンバー等の種類がある。
図2は、シングルノズルチャンバー40の概略構成を示す模式図である。シングルノズルチャンバー40は、原料溶液10を1つのノズル41から液中に噴射させ粒子1aを加速し、出口42から懸濁液20を排出するタイプである。ノズル41は、例えば単結晶ダイヤモンドを使用しており、ノズル41を粒子1aが通過するときの剪断力と、液中噴射によるキャビテーション衝撃力によって、微粒化と分散を行う。シングルノズルチャンバーは、その構造上、水のキャビテーションと水の乱流の作用を用いている。符号C1はキャビテーションの気泡であり、符号P1はプラズマ放電を模式的に示している。図3は、高圧ノズル41が直結されたチャンバー40にプラズマ電極31,32が所定間隔で複数対配されている構成を示している。
上述の非特許文献2と非特許文献3には、高圧ノズルに関し、スタンドオフ距離(s/d)と壊食量の関係がグラフ化された図7と図8で示されており、これらの文献によると、「スタンドオフ距離の増大により、壊食量はノズル近傍(第1ピーク)と下流側(第2ピーク)の二つのピークを有する」ことから、これらピークを外した位置に、プラズマ電極31,32を配すると当該電極の損傷を抑えることができる。
図4は、ボール衝突チャンバー40の概略構成を示す模式図である。ボール衝突チャンバー40は、原料溶液10を1つのノズル41から液中に噴射させ粒子1aを加速してセラミックボール43に衝突させ、出口42から懸濁液20を排出するタイプである。ノズル41は、単結晶ダイヤモンド等を使用しており、セラミックボール43は窒化珪素等からなる。ノズル41を粒子1aが通過チャンバー剪断力と、液中噴射によるキャビテーション衝撃力と、粒子1aがセラミックボール43に衝突するときの衝撃力によって、微粒化と分散を行う。図4に示す例においても、図3に示す例のようにチャンバー40にプラズマ電極31,32を所定間隔で複数対配することができる。
図5は、斜向衝突チャンバー40の概略構成を示す模式図である。斜向衝突チャンバー40は、原料溶液10を対向配置された1対のノズル41,41から液中に噴射させ粒子1aを加速して互いに斜向衝突(対面衝突)させ、出口42から懸濁液20を排出するタイプである。ノズル41は、単結晶ダイヤモンド等を使用しており、ノズル41を粒子1aが通過するときの剪断力と、液中噴射によるキャビテーション衝撃力と、粒子1a同士が斜向衝突するときの衝撃力と、対向噴流での相対速度増加による剪断力によって、微粒化と分散を行う。
本発明では、株式会社スギノマシンが開発したウォータージェットを用いた高圧噴射処理装置を用いて、前記原料溶液を高圧ノズルより高圧噴射することによって、微粒化と分散を行う。高圧噴射の圧力は、100〜245MPaである。噴射速度は、440〜700m/sである。
本発明の製造方法
図6は、本発明を適用した実施形態の微粒子を分散させた分散液の製造手順を示す製造工程フロー図である。図6の例は、ステップS12とステップS20からなる。本実施形態では、微粒子の凝集体が含有された原料溶液を図1に示す高圧噴射処理装置152の高圧ノズル41から所定圧力で高圧噴射し直ちに前記チャンバー40内で液中プラズマ処理を行う(ステップS12)。そして、微粒子の分散度合いに応じて、前記高圧噴射処理装置の高圧ノズルから前記原料溶液を所定圧力で高圧噴射し直ちに前記チャンバー内で液中プラズマ処理を行う作業を複数回繰り返す(ステップS20)。
本発明の実施例を以下に説明する。
実施例
高圧噴射処理装置は、硬質球体に対してスラリー溶液噴流を衝突させる方式のスターバーストミニHJP25001(株式会社スギノマシン製)を用いた。高圧ノズルのノズル径は0.1mm、噴射圧力は245MPa,噴射流量は1.67×10−6/s(100mL/min.)とした。
プラズマ発生用電源は、パルスプラズマ用のMPP−HV01(株式会社栗田製作所製)を用いた。反応容器は、ビーカー式200 cc反応リアクターとした。プラズマ用電極は、タングステン電極とした。プラズマ装置の定格出力は250 W、周波数は30 kHz、パルス幅は1.2μs、電極間距離は1.0 mmとした。
原料の酸化チタン(TiO)はP25(Degussa社製)である。本実施例では、イオン交換水299.97 gに酸化チタンP25を0.03 g懸濁させて、電解質として塩化ナトリウムを0.01 g以下で添加し、原料溶液とした。
前記原料溶液を高圧噴射処理装置の高圧ノズルから所定圧力で高圧噴射し引続き前記高圧噴射された溶液をプラズマ発生装置の反応容器内で液中プラズマ処理して、本発明Aの分散液を得た。本発明Aに加えてバブリング処理を行って、本発明Bの分散液を得た。前記原料溶液を高圧噴射処理装置の高圧ノズルから所定圧力で高圧噴射し直ちに前記高圧噴射された溶液を同一チャンバー内で液中プラズマ処理して、本発明Cの分散液を得た。本実施例では、溶液を循環させるため、処理容器内の溶液をチューブポンプで前記高圧噴射処理装置に給液する。このとき、前記処理容器内のスラリーの液面が電極を下回らないように注意する。そして、これら作業を繰り返す。また、任意処理時間でスラリーのサンプリングを行い、粒度分布測定にて経過を観察する。そして、前記原料溶液を高圧噴射処理装置の高圧ノズルから所定圧力で高圧噴射するが、液中プラズマ処理を行わなかった場合を比較例とした。測定結果を次の表1に示す。
表1に示すとおり、高圧噴射15 passの場合、本発明Aの分散液のメジアン粒径は110nmとなった。本発明Bの分散液のメジアン粒径は92nmとなった。本発明Cの分散液のメジアン粒径は82nmとなった。比較例として液中プラズマ処理を行わなかった場合は分散液のメジアン粒径は1330nmであった。本発明A〜Cによれば、比較例に対して1/10以下のメジアン粒径の分散液となることが分かった。本発明Aにバブリング処理を追加し本発明Bとすると、分散液のメジアン粒径はさらに小さくなる。また、同一チャンバー内で高圧噴射し直ちに液中プラズマ処理して本発明Cとすると、分散液のメジアン粒径はさらに小さくなることが分かった。
上記実験の結果、高圧噴射処理装置と液中プラズマの複合によって微粒化効果が約10倍になる事がわかり、さらに系中にエアをバブリングすることによって微粒化効果が一層上昇することがわかった。以上の実験結果から、高圧湿式噴射型微粒化装置および液中プラズマ発生装置を備えた複合微粒化装置の優位性が確認された。
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではない。上述の酸化チタンの微粒化は一例であって、チタン酸バリウム、フェライト、アルミナ、シリカ、その他既知の金属酸化物微粒子の凝集体に適用でき、また、既知の金属微粒子の凝集体に適用できる。上述の微粒化は、金属微粒子の凝集体や金属酸化物微粒子の凝集体のみならず、バイオマスナノファイバーの凝集体やCNTの凝集体に適用できる。その他、本発明は医薬品材料の凝集体に適用できる。そして、各種実施例は、適宜組み合わせて使用することが可能である。例えば、前記微粒子に対して少なくとも静電反発または立体障害の作用をする添加剤を添加する場合がある。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
10 原料溶液、
20 分散液、
1a 微粒子の凝集体、
1b 微粒子、
31、32 電極、
40 チャンバー、
41 高圧ノズル、
52 容器、
80 ポンプ、
90 エア供給手段、
100 本発明の湿式微粒化装置、
152 高圧噴射処理装置、
160 プラズマ発生装置

Claims (6)

  1. チャンバー内に設けられた高圧ノズルから高圧噴射する高圧噴射処理装置とプラズマ発生装置とが組み合わさって、前記チャンバー内に前記プラズマ発生装置の電極が対向配置され、エアがバブリングされている構成であり、微粒子の凝集体が含有された原料溶液が前記高圧ノズルから所定圧力で高圧噴射され前記チャンバー内にて直ちに液中プラズマ処理が施されることを特徴とする湿式微粒化装置。
  2. 前記高圧噴射によるキャビテーションが前記電極間のプラズマ発生区域に及ぶ位置に前記電極が対向配置されており、前記プラズマ電極の位置は、正規化スタンドオフ距離(Normalized standoff distance:s/d)を横軸とし累積壊食率(Cumulative erosion rate:CER(mg/s))を縦軸としたグラフにおける、ノズル近傍の第1ピークと、下流側の第2ピークの二つのピークを外した位置であることを特徴とする請求項1記載の湿式微粒化装置。
  3. 前記電極は所定間隔で複数対配されており、前記チャンバー内の複数箇所で前記液中プラズマ処理が施されることを特徴とする請求項1または2記載の湿式微粒化装置。
  4. 前記液中プラズマ処理を行った溶液を還流させるポンプが備わっており、前記高圧噴射し前記液中プラズマ処理する作業が複数回繰り返されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の湿式微粒化装置。
  5. 正規化スタンドオフ距離(Normalized standoff distance:s/d)を横軸とし累積壊食率(Cumulative erosion rate:CER(mg/s))を縦軸としたグラフから、ノズル近傍における壊食量の第1ピークと、下流側における壊食量の第2ピークを算出し、チャンバー内において、前記第1ピークと前記第2ピークの二つのピークを外した位置にプラズマ電極を配した後、微粒子の凝集体が含有されかつエアでバブリングされた原料溶液を高圧噴射処理装置の高圧ノズルから所定圧力で高圧噴射し直ちに液中プラズマ処理を行い、前記高圧噴射によるキャビテーションを前記電極間のプラズマ発生区域に及ばせることを特徴とする湿式微粒化方法。
  6. 前記高圧噴射し前記液中プラズマ処理する作業を複数回繰り返すことを特徴とする請求項5記載の湿式微粒化方法。
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