JP6347257B2 - 再集合体btvおよびahsvワクチン - Google Patents
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Description
本願は、2012年6月13日に出願された米国仮出願第61/659,198号に基づく優先権を主張する。
本発明は、動物におけるブルータングウイルス(Bluetongue Virus)(BTV)またはアフリカウマ病ウイルス(African Horse Sickness Virus)(AHSV)感染と戦うための組成物に関する。本発明は、組換えBTVまたはAHSVベクターを含む医薬組成物、BTVまたはAHSVに対してワクチン接種する方法ならびにこのような方法および組成物に使用するためのキットを提供する。
表1 ブルータングウイルス遺伝子およびコードされるタンパク質ならびにコードされるタンパク質の位置、特性およびタンパク質機能
アフリカウマ病は、レオウイルス科オルビウイルス属のメンバーの1つであるアフリカウマ病ウイルスの感染によって生じる。今日まで、アフリカウマ病ウイルスの9つの血清型が知られている。アフリカウマ病ウイルス血清型9は風土病地域にはびこっているが、血清型1〜8は、主として限定された地理的地域において見られる。血清型9は、アフリカ外におけるアフリカウマ病発生の大部分の原因となってきた。1987年と1990年の間に、スペインおよびポルトガルにおいて血清型4が大発生を1回引き起こした(Lubroth J., Equine Pract. 1988;10:26-33)。
アフリカウマ病ウイルスの初期の研究によって、1930年代に、アフリカウマ病ウイルスに対するマウス脳弱毒化改変生ウイルスワクチンが開発された。これらのワクチンは改良されて、1960年代に組織培養弱毒化改変生ウイルス(MLV)ワクチンが開発された。
異種ウイルス遺伝子発現のためのベクターとして弱毒ウイルスに由来する組換えカナリアポックスウイルスが開発された。それ以来、ウマ(Minke JM, et al., 2004a and b; Minke JM, et al., 2007; Siger L, et al.2006)および他の種(Poulet H, et al., 2003)での使用に関して、南アフリカ、欧州連合およびアメリカ合衆国を含む多くの国々で、多くのこれらのカナリアポックス構築物がワクチンとして認可されてきた。
これらのワクチンが対象とする生物の遺伝子のみを含むという事実によって、それらは生得的に安全である(Minke JM, et al., 2004b)。さらにまた、検出可能な中和抗体の発現は、ワクチンの単回投与後であっても迅速である(Minke JM et al., 2004b)。このようなワクチンの生来の安全性および中和抗体の発現性によって、このようなワクチンの動物流行病への使用が特に魅力的なものになっている(Minke JM et al., 2004a)。
AHSVのVP2およびVP5を含みそれを同時発現するベクターを接種した場合に、ウマがアフリカウマ病ウイルスに対する中和抗体を発現することは示されていない。従って、本発明が、組成物およびそれからの生成物を含む組換えポックスウイルス、特にALVACベース組換え体および組成物ならびにそれらからの生成物、特にAHSVのVP2およびV5を発現する組換え体またはそれらの任意の組み合わせならびにそれらからの組成物および生成物を提供することによって、当該技術分野でのニーズを満たすことは明らかであろう。
従って、BTVおよびAHSVに対する改善された免疫原性組成物およびワクチン組成物ならびに、鑑別診断法、アッセイおよびキットを提供するための組成物を含むこのような組成物の方法および使用方法を提供することは有益であると考えられる。
ヒトを含む動物の、BTVまたはAHSVに対する感染性を考慮すれば、BTVまたはAHSV感染を予防し動物を保護する方法は必須である。従って、BTVまたはAHSVに対する有効なワクチンが求められている。
本発明の方法は、組換え再集合体BTVまたはAHSV組成物またはベクターの作製方法を含む。方法は、防御免疫原性応答を生じさせるために組成物またはベクターの有効量を動物に投与することを含む使用方法もまた含む。
以下の詳細な説明は、例示として提供されるものであって、記載された特定の実施形態のみに本発明を限定しようとするものではない。これらは添付図面を参照することによって最も良く理解されよう。
1以上の組換えBTVまたはAHSVベクターを含む組成物であって、動物において免疫原性応答を誘発する、BTVまたはAHSVの少なくとも1つの抗原をコードする1以上の異種ポリヌクレオチドを含む組成物が提供される。一実施形態において、ポリペプチド抗原は、BTVのVP2もしくはVP5ポリペプチドまたはそれらの活性フラグメントもしくはバリアントである。
本発明の抗原ポリペプチドが、全長ポリペプチドまたはそれらの活性フラグメントもしくはバリアントであり得ることが認識される。”活性フラグメント”または”活性バリアント”とは、そのフラグメントまたはバリアントが、そのポリペプチドの抗原性を保持することを意味する。従って、本発明は、動物において免疫原性応答を誘発する任意のBTVまたはAHSVのポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を含む。BTVまたはAHSVのポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原は、任意のBTVまたはAHSVのポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原であることができ、例えば限定するものではないが、動物、例えばヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはウマ類において応答を誘発、誘導または刺激するタンパク質、ペプチドまたはそれらのフラグメントもしくはバリアントであることができる。
いくつかの実施形態において、本ワクチンは、アジュバント、例えば米国特許第7,371,395号に記載の水中油型(O/W)エマルションをさらに含む。
さらの他の実施形態において、アジュバントは、EMULSIGEN、水酸化アルミニウムおよびサポニンならびにCpGまたはそれらの組み合わせを含む。
いくつかの実施形態において、動物における応答は防御免疫応答である。
”動物”とは、哺乳動物、鳥などを意味する。動物または宿主は哺乳動物およびヒトを含む。動物は、ウマ類(例えばウマ)、イヌ科動物(例えばイヌ、オオカミ、キツネ、コヨーテ、ジャッカル)、ネコ科動物(例えばライオン、トラ、イエネコ、ヤマネコ、他の大猫ならびにチーターおよびヤマネコを含む他のネコ科動物)、ヒツジ類(例えばヒツジ)、ウシ亜科動物(例えばウシ)、ブタ類(例えばブタ)、ヤギ類(例えばヤギ)、鳥類(例えばニワトリ、カモ、ガチョウ、七面鳥、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラス、ダチョウ、エミューおよびヒクイドリ)、霊長類(例えば原猿、メガネザル、サル、テナガザル、類人猿)ならびに魚類からなる群から選択されることができる。用語”動物”は、胎生期および胎児期を含むすべての発育段階の個々の動物もまた含む。
本開示、特にそのクレームおよび/またはパラグラフにおいて、用語、例えば”含む(comprises)”、”含んだ(comprised)”、”含んでいる(comprising)”などは、米国特許法においてそれらに付与された意味を有することができ、例えばそれらは”含む(includes)”、”含んだ(included)”、”含んでいる(including)”などを意味することができる。さらに、用語、例えば”本質的に〜からなっている(consisting essentially of)”または”本質的に〜からなる(consists essentially)”は、米国特許法において与えられた意味を有する。例えばそれらは明記されていない要素を許容するが、先行技術に示されているかまたは本発明の基礎的または新規な特徴に影響を及ぼす要素を排除することに注意されたい。
組成物またはワクチンに対する”免疫応答”とは、対象とする組成物またはワクチンに対する細胞性および/または抗体性免疫応答の宿主における発生である。通例、”免疫応答”は、限定するものではないが、以下の効果:対象とする組成物またはワクチンに含まれる抗原(単数または複数)に特異的な抗体、B細胞、ヘルパーT細胞および/または細胞傷害性T細胞の産生の1以上を含む。好ましくは、宿主は、新規感染に対する抵抗性が増強され、かつ/または疾患の臨床的重症度が軽減されるような治療応答または防御免疫学的応答のいずれかを示す。このような防御は、通常感染宿主によって示される症状の軽減または欠如、回復期間の短縮化および/または感染宿主におけるウイルス力価の低下のいずれかによって示される。
従って、エピトープを発現するポリヌクレオチドの最小構造とは、それがBTVまたはAHSVポリペプチドのエピトープまたは抗原決定基をコードするヌクレオチドを含むか、または本質的にそれらからなるか、またはそれらからなることである。BTVまたはAHSVポリペプチドのフラグメントをコードするポリヌクレオチドは、それらのポリペプチドをコードする配列の最低限15ヌクレオチド、約30〜45ヌクレオチド、約45〜75または少なくとも57、87もしくは150隣接または連続ヌクレオチドを含むか、または本質的にそれらからなるか、またはそれらからなることができる。エピトープ決定手順、例えばオーバーラップペプチドライブラリーの作成(Hemmer et al., 1998)、Pepscan (Geysen et al., 1984; Geysen et al., 1985; Van der Zee R. et al., 1989; Geysen, 1990; Multipin. RTM. Peptide Synthesis Kits de Chiron)およびアルゴリズム (De Groot et al., 1999; PCT/US2004/022605)を本発明の実施に用いることができる。
用語”遺伝子”は、生物学的機能と関連するポリヌクレオチドの任意のセグメントを指すために広く用いられる。従って、遺伝子は、ゲノム配列におけるイントロンおよびエクソンまたはcDNAにおけるコード配列そのものならびに/またはそれらの発現に必要な調節配列を含む。例えば、遺伝子はまた、mRNAもしくは機能性RNAを発現する核酸フラグメントまたは、特定のタンパク質をコードしかつ調節配列を含む核酸フラグメントのことをいう。
”単離された”生物学的成分(例えば核酸またはタンパク質または細胞小器官)は、成分が天然に存在する、生物体の細胞内の他の生物学的成分、例えば、他の染色体および染色体外のDNAおよびRNA、タンパク質ならびに細胞小器官から実質的に分離または精製された成分のことをいう。”単離された”核酸およびタンパク質は、標準的な精製方法によって精製された核酸およびタンパク質を含む。この用語はまた、組換え技術ばかりでなく、化学合成によって生成された核酸およびタンパク質もまた含む。
本明細書において、用語”精製された”は絶対的な純度を必要としない。むしろそれは相対的用語である。従って、例えば、精製されたポリペプチド調製物とは、そのポリペプチドがその自然環境に存在する場合よりもポリペプチドがさらに富化された調製物である。それは細胞成分から分離されたポリペプチドである。”実質的に精製された”とは、そのポリペプチドが、細胞成分または材料の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも98%またはそれ以上が除去されたいくつかの実施形態に相当することを意味する。同様に、ポリペプチドは部分精製されることができる。”部分精製される”とは、細胞成分または材料の60%未満が除去されることを意味する。同じことがポリヌクレオチドに適用される。本明細書に開示されたポリペプチドは、当該技術分野で公知の手段のいずれかによって精製されることができる。
”バリアント”は、実質的に類似した配列を意味するものとする。ポリヌクレオチドに関しては、バリアントは、天然ポリヌクレオチドの1以上の部位における1以上のヌクレオチドの欠失および/もしくは付加ならびに/または天然ポリヌクレオチドの1以上の部位における1以上のヌクレオチドの置換を含む。本明細書において、”天然”ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、それぞれ天然に存在するヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を含む。本発明の特定のポリヌクレオチド(すなわち参照ポリヌクレオチド)のバリアントは、バリアントポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドとの間で配列同一性パーセントを比較することによって評価することもできる。”バリアント”タンパク質は、天然タンパク質の1以上の部位における1以上のアミノ酸の欠失もしくは付加ならびに/または天然タンパク質の1以上における1以上のアミノ酸の置換によって天然タンパク質から誘導されたタンパク質を意味するものとする。本発明に含まれるバリアントタンパク質は、生物学的に活性である。すなわちそれらは免疫応答を誘発する能力を有する。
他の実施形態において、組換えBTVまたはAHSVベクターは、ポリペプチドVP1、VP2、VP3、VP4、VP5、VP7、NS1、NS2、VP6およびNS3/3Aをコードする異種ポリヌクレオチドを含むが、該ポリペプチドは、BTVまたはAHSVの異なる血清型、例えば血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25および26からのポリペプチドであることができる。BTVまたはAHSVの異なる血清型からのポリペプチドの種々の組み合わせは、以下の表で例示することができる。本発明における組換え再集合体BTV(またはAHSV)ベクターに用いられる命名法は、名称の大文字部分はウイルス骨格を指し、置換されるタンパク質(単数または複数)を含む下付き文字(セグメントの血清型起源が前に来る)がそれに続くように定義される。例えばBTV-18VP1は、BTV-8のVP1遺伝子を含むBTV-1骨格を有するウイルスのことをいう。
用語”保存的変異”は、生物学的に類似する他の残基によるアミノ酸残基の置換か、あるいはコードされるアミノ酸残基が変化しないかまたは他の生物学的に類似する残基であるような、核酸配列におけるヌクレオチドの置換を意味する。この点において、特に好ましい置換は、一般に、前述のように性質が保存的である。
2つのアミノ酸配列の配列同一性もしくは配列類似性または2つのヌクレオチド配列間の配列同一性は、Vector NTIソフトウェアパッケージ(Invitrogen社、1600 Faraday Ave.、カールズバッド、カリフォルニア州)を用いて決定することができる。
ハイブリダイゼーション反応は、種々の”ストリンジェンシー”条件下で実施することができる。ハイブリダイゼーション反応のストリンジェンシーを高める条件は公知である。例えば、“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, second edition (Sambrook et al., 1989) を参照のこと。
”ベクター”とは、in vitroまたはin vivoのいずれかで標的細胞に送達される異種ポリヌクレオチドを含む組換えDNAもしくはRNAプラスミドまたはウイルスのことをいう。異種ポリヌクレオチドは、予防または治療の目的で対象配列を含むことができ、場合により発現カセットの形態であることができる。本明細書において、ベクターは、最終的な標的細胞または対象において複製できる必要はない。本用語はクローニングベクターおよびウイルスベクターを含む。
用語”組換え”は、自然には存在しないか、または自然界には見られない配置で他のポリヌクレオチドに結合した半合成または合成起源のポリヌクレオチドを意味する。
”異種”とは、比較されている実体の残りの部分とは遺伝的に異なった実体に由来することを意味する。例えば、遺伝子工学技術によって、異なる起源に由来するプラスミドまたはベクターにポリヌクレオチドを挿入することができるが、これは異種ポリヌクレオチドである。天然コード配列から除去され、その天然配列以外のコード配列に作動可能に連結されているプロモーターは異種プロモーターである。
本明細書に記載の主題事項は、一部分において、高い免疫原性を有し、相同および異種BTV株のチャレンジに対して動物を保護した、植物または藻類発現系で調製されるBTV抗原に関連する組成物および方法に関する。
本発明は、1以上の組換えBTVまたはAHSVベクターを含む組成物またはワクチンであって、BTVまたはAHSVの少なくとも1つのポリペプチドをコードする1以上の異種ポリヌクレオチドおよび薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルを含む組成物またはワクチンに関する.
他の実施形態において、薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤、アジュバントまたはビヒクルは油中水型エマルションであることができる。さらに他の実施形態において、油中水型エマルションは水/油/水(W/O/W)3層エマルションであることができる。
本発明は、さらに、ベクター分子または発現ベクター内に含まれ、プロモーター配列および場合によりエンハンサーに作動可能に連結されたBTVポリヌクレオチドを含む。
本発明はまた、ベクター、例えば発現ベクター、例えば治療用組成物を含む調製物に関する。本調製物は、1以上のBTVもしくはAHSVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を含み発現する1以上のベクター、例えば発現ベクター、例えばin vivo発現ベクターを含むことができる。一実施形態において、本ベクターは、BTVまたはAHSV抗原、エピトープもしくは免疫原をコードする(有利には発現する)ポリヌクレオチドを含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなるポリヌクレオチドを薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤またはビヒクル中に含み発現する。従って、本発明の実施形態によれば、本調製物中の他のベクター(単数または複数)は、コードするポリヌクレオチドを含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、該ベクターは、適切な環境下でBTVポリペプチドの1以上の他のタンパク質、抗原、エピトープもしくは免疫原またはそれらのフラグメントを発現する。
各プラスミドは、異種ペプチド配列、バリアント、アナログまたはフラグメントに融合され、場合により、プロモーターに作動可能に連結された、またはプロモーターの制御下にある、またはプロモーターに依存したBTVもしくはAHSV抗原、エピトープまたは免疫原をコードするポリヌクレオチドを含むか、それらを含有するか、または本質的にそれらからなる。一般に、真核細胞内で機能する強力なプロモーターを用いるのが有利である。強力なプロモーターは、限定するものではないが、ヒトまたはマウス起源であり、場合によりラットまたはモルモットなどの起源を有する前初期サイトメガロウイルスプロモーター(CMV-IE)、スーパープロモーター(Ni, M. et al., Plant J. 7, 661-676, 1995)であることができる。CMV-IEプロモーターは、エンハンサー部分と関連することも関連しないこともある実際のプロモーター部分を含むことができる。EP-A-260148、EP-A-323597、米国特許第5,168,062号、第5,385,839号および第4,968,615号ばかりでなく、PCT出願番号WO87/03905もまた参照することができる。CMV-IEプロモーターは、有利にはヒトCMV-IE(Boshart et al., 1985)またはマウスCMV-IEである。
より一般的には、プロモーターはウイルス起源、植物起源または細胞起源のいずれかを有する。本発明の実施に有用に用いることができるCMV-IE以外の強力なウイルスプロモーターは、SV40ウイルスの初期/後期プロモーターまたはラウス肉腫ウイルスのLTRプロモーターである。本発明の実施に有用に用いることができる強力な細胞プロモーターは、細胞骨格の遺伝子のプロモーター、例えばデスミンプロモーター(Kwissa et al., 2000)またはアクチンプロモーター(Miyazaki et al., 1989)である。
ポックスウイルス以外のプラスミドおよびウイルスベクターのためのポリアデニル化シグナル(ポリA)には、ウシ成長ホルモン(bGH)遺伝子(米国特許第5,122,458号参照)のポリ(A)シグナルまたはウサギβ-グロビン遺伝子のポリ(A)シグナルまたはSV40ウイルスのポリ(A)シグナルを使用することができる。
”宿主細胞”または”細胞”は、遺伝子改変されているか、または外因性ポリヌクレオチド、例えば組換えプラスミドまたはベクターまたはssRNAまたはdsRNAの投与によって遺伝子改変されることができる原核または真核細胞を意味する。遺伝子改変細胞について言えば、この用語は、最初に改変された細胞およびその子孫の両方を指す。
他の実施形態において、本明細書に開示された主題事項は、ヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類、またはブタ類にワクチン接種する方法であって、ヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはブタ類に、組換えBTVベクターの有効量および薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、賦形剤またはビヒクルを含むことができるワクチンの有効量を投与することを含む方法に関する。
一実施形態において、本明細書に開示された主題事項は、免疫応答を誘発する方法であって、免疫応答が誘発されるヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはブタ類に、ヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはブタ類の組換えBTVまたはAHSVベクターを含むワクチンを投与することを含む方法に関する。
投与は皮下であることもできるし、筋肉内であることもできる。投与は無針(例えばPigjetまたはBioject)であることができる。
本発明の一実施形態において、少なくとも1つの共通のポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原を用いる、少なくとも1つの第1投与および少なくとも1つのブースター投与を含むプライム・ブースト投与計画を用いることができる。典型的には、第1投与に用いられる免疫組成物またはワクチンは、ブースターとして用いられるものとは性質が異なる。しかしながら、第1投与およびブーストとして同じ組成物を用いることができることに注意されたい。この投与プロトコルは”プライム・ブースト”と呼ばれる。
他の実施形態において、アビポックス発現ベクターはカナリアポックスベクター、例えばALVACであることができる。BTVもしくはAHSVポリペプチド、抗原、エピトープまたは免疫原は、BTVまたはAHSV VP2またはBTV VP5であることができる。ウイルスベクターは、BTVコドン最適化合成VP2およびVP5をコードするvCP2289であることができる(US2007/0280960参照)。
プライム・ブーストプロトコルは、少なくとも1つの共通のポリペプチドおよび/もしくはバリアントまたはそれらのフラグメントを用いる、少なくとも1つのプライム投与および少なくとも1つのブースト投与を含む。プライム投与に用いられるワクチンは、後のブースターワクチンで用いられるワクチンとは性質が異なることができる。プライム投与は、1以上の投与を含むことができる。同様に、ブースト投与は、1以上の投与を含むことができる。
ワクチンの有効性は、動物、例えばヒツジ類、ウシ亜科動物、ヤギ類またはブタ類を、BTVの毒性株、例えばBTV-1/2/3/4/8/9/16または17株でチャレンジする最終免疫化の約2〜4週間後に試験することができる。例えば、BTV株は血清型17であることができる。これは、最初、カリフォルニア州トゥーレアリ郡からのヒツジの血液から単離された(Bonneau, DeMaula et al. 2002; DeMaula, Leutenegger et al. 2002 を参照のこと)。BTV株は血清型8であることもでき、その不活化ワクチンは現在Merial社から入手可能である。
他の株は、BTV1(オーストラリア分離株)、BTV1(南アフリカ分離株)、BTV2(米国分離株)、BTV3(南アフリカ分離株)、BTV4-9、BTV10(米国分離株)、BTV11(米国分離株)、BTV12、BTV13(米国分離株)、BTV14-17、BTV17(米国分離株)、BTV18、BTV19、BTV20(オーストラリア分離株)、BTV21-24またはCorsican BTVを含むことができる。
ワクチンの有効性を試験するためのチャレンジに、相同株および異種株の両方を用いることができる。皮内、皮下、スプレー、鼻腔内、眼内、気管内、および/または経口で動物をチャレンジすることができる。
プライム・ブーストプロトコルに用いられる本発明の組換え抗原ポリペプチドを含む組成物は、薬学的もしくは獣医学的に許容されるビヒクル、希釈剤または賦形剤に含まれる。本発明のプロトコルは、ヒツジ、ウシ、ヤギまたはブタBTVもしくはAHSVから動物を保護し、かつ/または感染動物において疾患進行を予防する。
種々の投与は、好ましくは、1〜6週間離して行われ、より具体的には約3週間離して行われる。好ましい方法によれば、好ましくはワクチンのウイルスベクターベース免疫組成物を用いる年1回のブースターもまた考えられる。動物は、好ましくは、初回投与の時点で少なくとも1日齢である。
本開示は例として提供されるものであって、本発明がそれに限定されないことは当業者には明らかであろう。本開示および当該技術分野における知識から、当業者は、過度の実験を要することなく、各注射プロトコルに使用される投与回数、投与経路および用量を決定することができる。
一実施形態において、本発明は、標的細胞内にBTVもしくはAHSV抗原またはエピトープを送達し発現させるための製剤の治療的有効量の投与を提供する。治療的有効量の決定は、当業者にはルーチン試験である。一実施形態において、製剤は、BTVもしくはAHSV抗原またはエピトープを発現するポリヌクレオチドおよび薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、ビヒクルまたは賦形剤を含む発現ベクターを含む。他の実施形態において、薬学的もしくは獣医学的に許容される担体、ビヒクルまたは賦形剤は、ポリヌクレオチドの宿主動物への導入のためのトランスフェクションまたは他の手段を容易にし、かつ/または宿主内のベクターまたはタンパク質の保存を改善する。
一実施形態において、本明細書に開示された主題事項は、感染動物とワクチン接種動物(DIVA)とを区別するための検出法を提供する。
現在、入手可能なBTVワクチンがいくつかある。Merial社およびIntervet社は、共に不活化BTV8ワクチンを提供している。BTVワクチン接種動物とBTV感染動物とを区別する方法が最近記載された(Silvia C. Barros et al., Veterinary-Microbiology, 2009)。
本明細書において、本発明のワクチンまたは組成物の使用が、動物におけるBTVまたはAHSV感染の検出を可能にすることが開示される。本明細書において、本発明のワクチンまたは組成物の使用が、感染動物とワクチン接種動物(DIVA)とを区別することによって動物における感染の検出を可能にすることが開示される。本明細書において、BTV-NS3ベース免疫原性検出法、例えば、NS3特異的ELISAを用いて動物におけるBTV感染を診断する方法が開示される。
一実施形態において、本明細書に開示された主題事項は、組換えBTVもしくはAHSV免疫組成物またはワクチン、あるいは不活化BTVもしくはAHSV免疫組成物またはワクチンのいずれか1つ、組換えBTVもしくはAHSVウイルス組成物またはワクチンおよび本方法を実施するための使用説明書を含むことができる、免疫応答を誘発または誘導する方法を実施するためのキットに関する。
本発明の他の実施形態は、動物において、BTVまたはAHSVに対して免疫応答または感染防御応答を誘導する方法を実施するためのキットであって、本発明のBTV抗原を含む組成物またはワクチンおよび組換えBTVもしくはAHSVウイルス免疫組成物またはワクチンならびに動物において免疫応答を誘発するための有効量で送達する方法を実施するための使用説明書を含むキットである。
本発明の他の実施形態は、動物においてBTVまたはAHSVに対する免疫応答または感染防御応答を誘導する方法を実施するためのキットであって、本発明のBTVまたはAHSV抗原を含む組成物またはワクチンおよび不活化BTV免疫組成物またはワクチンならびに動物において免疫応答を誘発するための有効量で送達する方法を実施するための使用説明書を含むキットである。
本発明のさらに他の側面は、前述の本発明によるプライム・ブーストワクチン接種のためのキットに関する。本キットは、少なくとも2つのバイアル:本発明のプライムワクチン接種のためのワクチンまたは組成物を含む第1バイアルおよび、本発明のブーストワクチン接種のためのワクチンまたは組成物を含む第2バイアル、を含むことができる。本キットは、有利には、追加のプライムワクチン接種または追加のブーストワクチン接種のための追加の第1または第2バイアルを含むことができる。
(式中、R1は12〜18炭素原子を有する飽和または不飽和の直鎖脂肪族基であり、R2は2〜3炭素原子を含む他の脂肪族基であり、Xはアミンまたはヒドロキシル基である)を有するもの、例えばDMRIEである。他の実施形態において、カチオン性脂質は、中性脂質、例えばDOPEと組み合わせることができる。
有利には、アジュバントとのプラスミド混合物は、その場で調製され、有利には、調製物の投与と同時に、あるいは調製物の投与の直前に調製される。例えば、投与の直前または投与前に、有利には投与前に混合物が複合体を形成するのに十分な時間があるように、例えば投与約10〜約60分前に、例えば投与おおよそ30分前に、プラスミド-アジュバント混合物が調製される。
DOPEが存在する場合、DMRIE:DOPEモル比は好都合には約95:約5〜約5:約95であり、より好都合には約1:約1であり、例えば1:1である。
DMRIEまたはDMRIE-DOPEアジュバント:プラスミド重量比は、約50:約1〜約1:約10であり、例えば約10:約1〜約1:約5、約1:約1〜約1:約2であり、例えば1:1〜1:2であることができる。
構造に関しては、アクリル酸またはメタクリル酸ポリマーおよびEMAは、好ましくは、次式を有する基本単位によって形成される:
x=0または1であり、好ましくはx=1であり;
y=1または2であり、ここでx+y=2である)。
本発明は、例えば活性成分を有利にはアジュバント、担体、サイトカインおよび/または希釈剤と混合することによるこのような組み合わせ組成物の作製を含む。
本発明に用いることができるサイトカインは、限定するものではないが、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ(IFNβ)、インターフェロンγ、(IFNγ)、インターロイキン-1α(IL-1α)、インターロイキン-1β(IL-1β)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-3(IL-3)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-5(IL-5)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-8(IL-8)、インターロイキン-9(IL-9)、インターロイキン-10(IL-10)、インターロイキン-11(IL-11)、インターロイキン-12(IL-12)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、腫瘍壊死因子β(TNFβ)およびトランスフォーミング増殖因子β(TGFβ)を含む。サイトカインは、本発明の免疫組成物またはワクチン組成物と共投与および/または順次投与できることは言うまでもない。従って、本発明のワクチンは、例えば、適切なサイトカイン、例えばワクチン接種される宿主または免疫学的応答が誘導される宿主に適合するサイトカイン(例えば、ウシ亜科動物に投与される製剤のためのウシサイトカイン)をin vivoで発現する外因性核酸分子を含むことができる。
有利には、本発明の免疫組成物および/またはワクチンは、本明細書で述べたように、1以上のポリペプチドの治療反応を誘導する有効量を含むか、本質的にそれらからなるかまたはそれらからなり、有効量は、過度の実験を要することなく、本明細書に組み込まれる文書および当該技術分野での知識を含む本開示から決定することができる。
発現されたポリペプチドに基づく免疫組成物および/またはワクチンの場合は、用量は、BTVもしくはFMDV抗原、エピトープまたは免疫原を約1μg〜約2000μg、有利には約50μg〜約1000μg、より有利には約100μg〜約500μg含むことができる。投与容量は、約0.1〜約10mlであることができ、有利には約0.2〜約5mlであることができる。
ここで、限定するものではない以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
DNAインサート、プラスミドおよび組換えウイルスベクターまたは植物ベクターの構築は、J. Sambrook et al. (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989) に記載されている標準的分子生物学技術を用いて行った。
細胞およびウイルス
BSR細胞はBHK-21細胞のクローンであり、5%ウシ胎児血清(FBS)および25μg/mlペニシリン/ストレプトマイシン(p/s、Gibco社)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Gibco社)中で維持した。Vero細胞は、5%FBSおよびp/sを補充したDMEM中で維持した。CPT-Tert細胞は、ヒツジ脈絡叢細胞の不死化株であり、10%FBSおよびp/sを補充したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM、Gibco社)中で維持した。すべての哺乳動物細胞は、加湿インキュベーター中、37℃、5%CO2でインキュベートした。
BTV-1は、南アフリカ血清型1標準株であり、最初のBTV逆遺伝学系の基準として用いられてきた。ヨーロッパBTV-8株(BTV-8NET2008/06(IAHオルビウイルスコレクション))は、オランダにおいて、臨床的に感染したウシから単離され、KC細胞における1回のみの継代培養とそれに続くBHK-21細胞におけるさらに1回の継代培養の継代歴を有している。
BTV-1およびBTV-8のレスキューに用いたプラスミドは以前記載されている(Ratinier et al, 2011)。各プラスミドは、5’T7プロモーターおよび3’制限部位にフランキングされたゲノムセグメントの単一BTV cDNAコピーを含む。T7プロモーターおよび制限部位は、共に、適切な制限酵素で線状化されたプラスミドが、本来のBTV末端を有するキャップ化RNA転写物のin vitro転写を可能にするように配置される。他のレスキュープラスミドと同様に、BTV-2、BTV-4およびBTV-9の悪性の野外分離株のSeg-2を含む追加のプラスミド(13)は商業的に合成された(GenScript社)。
BT
V-1もしくはBTV-8または得られた変異体のゲノムセグメントを含むプラスミドを適切な制限酵素で線状化し、次いでフェノール・クロロホルム抽出によって精製した。製造業者の使用説明書に従って、mMESSAGE mMACHINE T7 Ultra Kit (Ambion社)を用い、消化プラスミドをin vitro転写の鋳型として用いた。製造業者のプロトコルに従って、フェノール/クロロホルム抽出およびIllustra Microspin G25カラム(GE Healthcare Life Sciences社)によってssRNAを順次精製した。
個々のRNAの組み合わせは、所望の再集合体に従って作成した(表1および図1参照)。
この報告を通じて、標準的命名法が適用される:名称の大文字部分はウイルスの骨格を指し、続いて、下付き文字は、そのセグメントの血清型起源を前に置いた置換されるタンパク質を含む。例えばBTV-18VP1は、BTV-1骨格を有し、BTV-8のVP1遺伝子を含むウイルスのことをいう。
再集合体BTVの作成の概略図を図6に示す。
in vitroでのウイルス増殖の分析のために、感染前日に、増殖培地1mlが入った12ウェルプレートに2x105CPT-Tert細胞/ウェルまたは3x106KC細胞/ウェルをプレーティングした。関連ウイルスを含む培地中、細胞を37℃で2時間インキュベートした。次いで培地を除去し、DMEMで細胞を1回洗浄し、次いで適切な新しい増殖培地1mlと共にインキュベートした。感染後(p.i.)、0、8、24、48および72時間において試料の上清100μlを除去し、新しい増殖培地100μlで置き換えた。500xgで5分間の遠心分離によって試料100μlを清澄化し、次いで、4℃で保存した。次いで、試料を、BSR細胞における限界希釈アッセイ(60)によって滴定し、ウイルス力価をTCID50/mlで表した。
BTVでの感染の24時間前に、6ウェルプレートに4x105細胞/ウェルの密度でCPT-Tert細胞を播種した。細胞を37℃で2時間感染させた。その後、ウイルスを含む培地を除去し、細胞をDMEMで洗浄し、3mlの半固体オーバーレイ(4%FBSおよびp/sを補充したDMEM中1.2%アビセル)中で72時間インキュベートした。次いで、オーバーレイを除去し、細胞をPBSで洗浄し、次いでクリスタルバイオレットのホルムアルデヒド溶液で1時間以上染色した。
3%FBSを含むDMEMに希釈した各試験血清50μlを用いて、96ウェルプレートにおいて、4連で、BTV-1またはBTV-8特異的抗血清の3倍連続希釈液を調製した。次いで、対応するウェルおよびプレートに、BTV-1、BTV-8および選択された再集合体の100TCID50を加え、37℃で1時間インキュベートした。最後に、各ウェルに2.5x104Vero細胞を加え、5%CO2の加湿インキュベーター中、37℃で5日間プレートをインキュベートし、その後、ウイルス細胞変性効果(CPE)を視覚的に評価した。次いで、Reed-Muench法(60)を用いて、Vero細胞培養物の50%において、BTV感染を抑制する血清希釈と定義される各血清試料の防御量50(PD50)を決定した。再集合体BTVの大規模製造のために、BHK-21細胞懸濁液を大規模にした。採取した再集合体BTVは不活化されていた。ワクチン製剤のために、適切なアジュバントを再集合体BTVに加えた。
代替骨格にBTV-1またはBTV-8のいずれかの個々のセグメントを再集合する(reassort)ことが可能かどうかを逆遺伝学を用いて決定した。BTV-1の骨格中、BTV-8の単一セグメントを有するウイルスのすべての組み合わせが首尾よくレスキューされ、逆もまた同様であった(図1)。各再集合体ウイルスの遺伝子型を、RT-PCR増幅および各セグメントからのフラグメントの配列決定によってチェックした(図1)。BTV-1とBTV-8の間で任意のBTVセグメントを再集合体化させることができることをこれらの結果は示した。
いくつかの研究によって、VP2はBTV血清型と密接に関連していることが示唆されている。しかしながら、特定の株の血清型の規定にVP5が寄与することもまた示唆されている。血清型決定へのVP2およびVP5の相対的寄与を研究するために、再集合体BTV-1、BTV-8ならびにBTV-1またはBTV-8のいずれかの骨格を有し、異種VP2単独またはVP2およびVP5を有する再集合体(BTV-18VP2、BTV-18VP2,VP5、BTV-81VP2およびBTV-81VP2,VP5)を用いて血清中和アッセイを行った。BTV-1およびBTV-8中和抗血清は、BTV-1またはBTV-8に対してワクチン接種され、同種株でチャレンジされた動物に由来する。
その結果、BTV-8抗血清は、野生型BTV-8を完全に中和したが、BTV-1に対して中和能力を示さなかった(図4A)。同様に、BTV-1はBTV-1抗血清によって中和されたが、BTV-8抗血清によっては中和されなかった(図4A)。
異種ウイルスのVP2単独またはVP2およびVP5を含む再集合体を用いる実験によって、血清がVP2タンパク質とマッチするときにのみウイルスが中和されることが明らかとなり、血清型がVP2にのみ関連づけられるという研究が確認された。
VP2単独で血清型を規定することができることを示唆するこの結果によって、血清型の選択の対象からSeg-2を組み込むBTV-1再集合体をさらに作製することが喚起された。BTV-2、BTV-4およびBTV-9のVP2を含むBTV-1再集合体ウイルス(それぞれBTV-12VP2、BTV-14VP2およびBTV-19VP2を生じる)が首尾よくレスキューされた。すべての場合において、野生型ウイルスと同等に増殖するウイルスがレスキューされた(図5)。
BTV-1骨格を用い、(VP2BTV1)または(VP2BTV1+VP5BTV1)をそれぞれ(VP2BTV8)または(VP2BTV8+VP5BTV8)で置換した2つの構築物をチャレンジ試験に用いた。試験ワクチンを製剤化するために産生させた抗原の特性を表2にまとめる。
表2 抗原の特性
*:AI(活性成分)の定量的ドットブロットによって測定されたVP2BTV8含量
**:非濃縮AIの等価mL
表4
-鼻づまりおよび/または浮腫(特に頭部:眼、鼻腔、耳、唇、房、下顎内間隙)
-過流涎
-鼻漏/痂皮
-悲しげな鳴き声
-溢血点
-運動障害(跛行)
-呼吸障害(咳/呼吸困難)
-胃腸障害(下痢)
-紅斑症
D0(ワクチン接種前)、D21(ワクチン接種前)、D42(チャレンジ前)およびD56に、平滑管を用いる静脈穿刺によってすべてのヒツジから採血した。すべての試料を処理して血清を回収した。血清を分注し、熱失活(56℃、30分間)させ、次いで臨床検査室に運んだ。血清中和試験によって、試料採取のすべての日付における個々の血清におけるBTV-8特異的抗体力価を測定した。
臨床検査室によって現在使われている技術(N°002488)によって血清中和試験を行った。簡潔に言えば、マイクロタイタープレートにおいて、1/3から始めて、3倍希釈液(0.48Log10)で血清を試験した。希釈血清100マイクロリットルを、所定のBTV血清型(血清型8)のウイルス懸濁液50マイクロリットルと共に37℃で1時間インキュベートした。次いで、1ml当たり500000細胞を含むVERO細胞浮遊液50マイクロリットルをこの混合物に加え、プレートを37℃でインキュベートした。7日間のインキュベーション後に、細胞変性効果に基づいてプレートを測定した。Log10(PD50%)で表した血清力価は、角変換後に回帰によって算出した。
血液中のブルータングウイルスRNAを検出し定量するために、これらの試料にqRT-PCR試験による分析を行った。これらのアッセイは、臨床検査室によって現在使われている技術第200336号(自動化された方法)によって行った。
簡潔に言えば、市販キット(Nucleospin multi 96)を用いる抽出後に、RNAは熱処理によって最初に変性させた。次いで、MGBプローブ、特異的プライマーおよび、Invitrogen Super Script III Platinium One step キットからの試薬と共にアリコート1つをインキュベートし、サーモサイクラ―中で増幅させた。このステップは2連で行った。蛍光シグナルは合成されるDNA量に比例する。増幅は、24BTV血清型のいずれかに関係する。試料中のBTV核酸の定量は、標準的RNA試料に対する比較によって行った。共に陽性の場合および、2連試験の1つが陰性であり、陽性が1つのみである場合、各2連で得られた結果を考慮して、血液1ml当たりのLog10RNAコピー数でRNA量を表した。この技術の陽性カットオフポイント95%(試験運転の95%において検出されることができる試料容量当たりの最小数の標的配列と定義される)あるいは肯定応答閾値95%(PRT95)は、3.68log10RNAコピー/mLで測定した。3.68log10RNAコピー/mL以下の滴定結果を示す試料は<PRT95で表し、陰性とみなした。≧PRT95の滴定結果を示す試料はこのように記載し、陽性とみなした。
結果記述(平均値、標準偏差値および曲線下面積の計算)および解析の目的で、3.68log10RNAコピー/mLの力価は陰性試料に帰した。
チャレンジ後の平均温度の経時的変化を図8に示す。最高体温(maximal hyperthermia)のばらつきを図9に示す。
対照群において、D48(すなわちチャレンジ後6日目)に開始し、D49に最高点に達し(平均して41.3℃)、次いでD56まで徐々に減少する直腸温の増加が明確に観察された。
すべてのワクチン接種群において、モニタリング期間を通じて平均体温はどちらかと言えば一定であった。ワクチン接種群G1、G3およびG4において、対照群(G7)と比較して、最高体温は統計的に有意に(p≦0.01)低下した。G2とG6に関しては、差は統計的に有意ではなかった。
平均1日臨床スコアの経時的変化を図10に示す。各群のGCSのばらつきを図11に示す。
チャレンジ後、最も頻繁に観察された臨床徴候は頭部の鼻づまりおよび浮腫であった。特に、紅斑症、無関心、痩せ、鼻漏および痂皮、呼吸障害および運動障害もまたしばしば観察された。
これらの徴候の観察頻度および観察期間は、ワクチン接種群よりも対照群において著しく高かった。
対照群(G7)においては、平均1日臨床スコアはD50(すなわちチャレンジ後8日目)に値8.8の最高点に達し、任意のワクチン接種群よりも常に高かった。G7の平均GCSは50であった。ワクチン接種群において、モニタリング期間を通じて平均1日臨床スコアは大変低かった。対照群(G7)と比較して、G2を除くすべてのワクチン接種群において、GCSは統計的に有意に(p≦0.01)低かった。差は、統計的有意性に接近していた。
平均ウイルス血症力価の経時的変化を図12にまとめる。PCR陽性試料の頻度およびAUCを表5に示す。図13はAUCのばらつきを示す。
すべてのヒツジは、チャレンジ前にRT-PCR陰性であることが確定された。対照群において、すべてのヒツジはD47(すなわちチャレンジ後5日目)で陽性であった。それらはすべて、モニタリング期間の終了まで、比較的高い力価で陽性を維持していた。
ワクチン接種群G3およびG4において、ヒツジ1頭は、接種の直後の試料採取日に弱く陽性であることが検出された。次いで、ヒツジは両方とも、常に陰性であった。これらの一過性の弱い陽性結果は、恐らくチャレンジ接種物の残りの検出によるものと考えられ、明らかにウイルス増殖に起因するものではなかった。
対照群(G7)と比較して、G2以外のすべてのワクチン接種群において、曲線下面積は統計的に有意に低かった(p≦0.01)。G2に関しては、差は、統計的有意性に接近していた。G1、G3、G4およびG5において、ウイルス血症の完全な予防が達成されたとみなされた。
*:市販ワクチンBR8:市販BTV-8ワクチン(Merial社)
**:D53にヒツジが1頭死んだ
平均BTV-8中和抗体力価の経時的変化を図14にまとめた。
すべてのヒツジはワクチン接種前に血清陰性であることが確定され、対照はチャレンジまでは血清陰性を維持した。
2回ワクチン接種群(G1およびG4)において、D21に、一部のセロコンバージョンが観察された。D42に、両方の群においてすべてのヒツジがセロコンバージョンを起こしており、平均力価はほぼ同一であった。
1回ワクチン接種群(G2、G3、G5およびG6)において、ワクチン接種(すなわちD42)後の21日目に一部のセロコンバージョンが観察された。1回ワクチン接種群と2回ワクチン接種群との間(G1対G2およびG4対G5)に血清学的力価(D42)の明らかな相違が認められたが、抗原ペイロードに従った血清学的力価の違い(G2対G3)はあまり明確ではなかった。
すべてのヒツジは、チャレンジ(D56)後に強くセロコンバージョンを引き起こしており、すべてのワクチン接種群において、明確なブースター効果が認められた。
これらの構築物が、有意な高体温の低下、有意な臨床徴候の減少およびウイルス血症の完全かつ有意な予防を提供することが、結果によって示された。
実施例1の記載に従って逆遺伝子系を用い、以下の表6に示すように、各VP2が、BTV-1骨格(VP1、VP3、VP4、NS1、VP7、NS2、VP6およびNS3タンパク質)における相同VP5タンパク質とカップリングしている、26の異なる血清型のうち24を含む、”合成”BTV再集合体(sBTV)を作成した。ゲノムセグメントは、ウイルス分離株のゲノムを増幅するよりはむしろ、既知の配列からin vitroで合成されることができるため、用語”合成”はこれらのプラットフォームを説明するために用いた。
興味深いことにかつ驚くべきことに、BTV-25(トッゲンブルグオルビウイルス)は、細胞培養物中で増殖しないが、VP2およびVP5タンパク質のコード配列内にBTV-1の非翻訳領域を導入することによって、我々はBTV-25血清型のsBTVをレスキューすることができた。従って、このワクチンプラットフォームは、組織培養において容易に単離されることができないウイルス株に極めて有用である。
#BTV-1の非翻訳領域にフランキングされたタンパク質コード領域
各sBTVウイルスのウイルスストックをBSR細胞内で増殖させ、滴定する。感染72時間後にヒツジ細胞のプラークアッセイによってプラーク表現型を評価した(図15)。前記のように、レスキューされたすべての血清型は相同のVP2/VP5組み合わせを有する。
BHK-21細胞内でのsBTV複製を測定した(MOI 0.001で感染)。感染72時間後に細胞上清を採取した(図16)。続いて、BHK-21細胞において、TCID50で3連試料を滴定し(Reed-Muench法を用いて)、Log10TCID50/mlとしてプロットした。
再集合体BTVとしての2つの構築株(1つは、BTV-1骨格におけるBTV8からのVP2に対応、もう1つは、BTV-1骨格においてBTV8からのVP2/VP5を有する)をBHK21細胞内で増幅させた。
7Lバイオリアクターに、7%仔牛血清および2x109細胞(6BHK2M12-継代培養47代)を含むGMEM培地5リットルを接種した(継代培養48代)。パラメータとしてpH:7.1±0.1、温度:37.0±1.5℃、DO2:40±10%および撹拌:300rpm±10%を用いて培養物を制御した。培養2日後、計数を行った。前もって滅菌し、GMEM培地+7%CSを35リットル含むB4バイオリアクターに懸濁液の全量を移した。パラメータとしてpH:7.1±0.1、温度:37.0±1.5℃、DO2:40±10%および撹拌:150rpm±10%を用いて培養物を制御した。培養3日後、デカンテーションのためバイオリアクターの撹拌を+5℃で約24時間の間停止した。デカンテーションした後、培地を除去し(残存容量=5リットル)、VMM培地を添加した(30リットル)。混合した後、細胞計数を行い、接種物(第1活性成分のための接種物BTV1+BTV8 VP2(RAS10)および第2活性成分のための接種物BTV1+BTV8 VP2/VP5(RAS32))を添加した。バイオリアクターにおける最終容量は35リットルであり、接種物の容量を算出し、5 10-4CCID50/細胞に等しいMOIを得た。培養物のパラメータは、pH:7.4±0.1、温度:37.0±1.5℃、DO2:40±10%、撹拌:100rpm±10%および圧力:0.1バール±10%であった。撹拌しながら冷却することによって、約46時間後に培養を停止させた。
酸素の制御を停止し、クロロホルムを添加して最終濃度0.05%にした。約8℃、pH7.4±0.1に調節して1時間、混合物を撹拌下においた。pH調節を停止し、生成物を処理するまで撹拌せずに約+8℃で保存した。培養物約24リットルをultra-turrax T50で処理した(実験質温度で3分間、1000ワット、3000mlの8つの試料)。処理後、試料をプールした。
次いで、生成物を遠心分離によって清澄化した(20℃、3500rpmで20分間)。上清を濾過し、不活化前に+5℃で保存した。
上清濾液を37℃に加熱し、pHを7.4±0.1に調整した。ホルムアルデヒド溶液を添加して、最終濃度0.5mg/mlにした。20分後、1回目のEIを加えて最終濃度1.5mMにした。18時間後、2回目のEIを加えた(同じ濃度)。この不活化ステップは、37℃で24時間行った(T0=EIの1回目の添加時間)。この不活化ステップの間、試料はL-システイン溶液によって保持し処理した。
不活化生成物を濾過した(CUNO 30S)。新しくなった容量を測定した。濾液を研究室の温度で濃縮し、濃縮倍数を算出した。
濃縮物は、S6FFを充填したカラムXK25/100を用いて精製した。精製は2回行った。精製条件には、試料容量:カラムの15%(約60ml);溶離緩衝液:リン酸緩衝液pH7.4;溶離速度:2.5ml/min、を用いた。排除ピーク(活性成分)、安全性フラクションおよびタンパク質ピークは別々に採取した。活性成分にホルムアルデヒド溶液を加えて最終濃度1mg/mlにして+5℃で保存した。
図17および18に、BTV1+BTV8 VP2(RAS10)およびBTV1+BTV8 VP2/VP5(RAS32)の感染力価、ELISA、ドットブロットVp2の結果を示す。2つの精製された不活化BTV再集合体の作製は首尾よく行われた。これらの2つの再集合体をワクチンの製剤化に用いた。
本願引用文書で引用または参照したすべての文書および本明細書において引用または参照したすべての文書(”本明細書引用文書”)および本明細書引用文書で引用または参照したすべての文書は、参照により本願に組み込まれる本明細書または任意の文書に記載の、任意の製品のための任意の製造業者の使用説明書、解説、製品仕様書および製品シートと共に、これによって参照により本願に組み込まれ、本発明の実施に用いることができる。
Claims (7)
- ベクター骨格に対して異種であるポリヌクレオチドを1種含む、1以上の組換えBTVベクターを含む組成物またはワクチンであって、前記ポリヌクレオチドがBTV-8のVP2をコードし、ベクター骨格がBTV-1に由来する、前記組成物またはワクチン。
- ベクター骨格に対して異種であるポリヌクレオチドを1種含む、1以上の組換えBTVベクターを含む組成物またはワクチンであって、前記ポリヌクレオチドがBTV-1のVP2をコードし、ベクター骨格がBTV-8に由来する、前記組成物またはワクチン。
- ベクター骨格に対して異種であるポリヌクレオチドを1種含み、前記ポリヌクレオチドがBTV-8のVP2をコードし、ベクター骨格がBTV-1に由来する、組換えBTVベクター。
- ベクター骨格に対して異種であるポリヌクレオチドを1種含み、前記ポリヌクレオチドがBTV-1のVP2をコードし、ベクター骨格がBTV-8に由来する、組換えBTVベクター。
- 組換えBTVベクターの作製方法であって、
a)BTV-1のVP2をコードするRNA;および
b)BTV-8のVP1、VP3、VP4、VP5、VP7、NS1、NS2、VP6NS4およびNS3/3A(をコードする)転写物を含むRNA、
で細胞をトランスフェクトすることを含む、前記方法。 - 非ヒト動物にワクチン接種するまたは非ヒト動物において1以上の病原体に対する免疫応答または防御応答を誘導する方法であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物、ワクチンまたはベクターの少なくとも1つを投与することを含み、前記動物がウシ亜科動物、ヒツジ類、ヤギ類またはウマ類である、前記方法。
- プライム・ブースト投与計画を含む、請求項6に記載の方法。
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