〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
本実施の形態の車両走行制御装置を搭載した車両の構成を、図1の(a)(b)に基づいて説明する。図1の(a)は、本実施の形態の車両走行制御装置を搭載した車両の構成を示す平面図である。図1の(b)は、本実施の形態の車両走行制御装置の構成を示すブロック図である。
本実施の形態の車両走行制御装置を搭載した車両1は、図1の(a)に示すように、筐体である車体2と、車体2の下部に設けられた4個の前右側車輪3a・前左側車輪3b・後右側車輪3c・後左側車輪3dと、車体2の後右側車輪3c・後左側車輪3dに連結された車輪駆動用モータ4a・4bと、車輪駆動用モータ4a・4bに接続され該車輪駆動用モータ4a・4bに電力を供給するバッテリ5とを備えており、車両1としての基本的な構成を有している。
本実施の形態の車両1においては、車両前方の路上に間隔を置いて埋設されているRFID(Radio Frequency IDentification:無線周波数ID)タグ20の内容を読み取り、かつ車両1の走行制御に必要なデータを取得するためのセンサであるRFIDタグリーダ6が設けられている。ここで、RFIDとは、ID情報を埋め込んだRFタグから、電磁界や電波等を用いた近距離(周波数帯によって数cm〜数m)の無線通信によって情報をやりとりするもの、及び技術全般を指す。したがって、RFIDタグ20としては、誘導路の床面に間隔を置いて埋設された非接触ICチップ、又は誘導路の床面に張り付けられた磁気テープを適用することができる。また、RFIDタグリーダ6としては、非接触ICチップを読み取るためのICチップリーダ、又は磁気テープを読み取るための磁気センサを適用することができる。
本実施の形態では、RFIDタグリーダ6は、車両走行方向の前方に対して左右方向に走査を行うようになっている。すなわち、RFIDタグリーダ6は、走行方向に向けてスキャン方向を予め設定された角度で左右に交互に首振り駆動を行うようになっている。この予め設定された角度は、例えば、車両1の進行方向に対して±60°となっている。尚、この回動角度は、必ずしもこれに限らず、例えば、車両1の進行方向に対して±45°とし、必要に応じて±30°とすることも可能である。
このため、本実施の形態では、RFIDタグリーダ6を左右に交互に首振り駆動を行うためのリーダ走査手段としてのRFIDタグリーダ駆動用モータ4cが設けられており、バッテリ5から電力供給を受けて設定角度にて該RFIDタグリーダ6を首振り駆動させるようになっている。
上記構成の車両1においては、上記RFIDタグ20の内容をRFIDタグリーダ6にて読み取り、読み取った内容に基づいて車両1を自動走行させるための車両走行制御装置が搭載されている。この車両走行制御装置は、RFIDタグリーダ6、RFIDタグリーダ駆動用モータ4c及び車両走行制御手段としての制御部10にて構成されている。
本実施の形態における車両走行制御装置の制御部10の構成について、図1の(b)に基づいて説明する。
制御部10は、図1の(b)に示すように、RFIDタグリーダ制御部11と、記憶部12と、進行方向調整角度算出部13と、車両駆動制御部14とを備えている。
上記RFIDタグリーダ制御部11は、RFIDタグリーダ駆動用モータ4cを駆動制御することにより、RFIDタグリーダ6を所定の角度で進行方向に対して首振り駆動させるようになっている。また、RFIDタグリーダ制御部11は、RFIDタグリーダ6にて読み取ったRFIDタグ20の内容を解読すると共に、RFIDタグ20を読み取った時のRFIDタグリーダ6の検知角度βを算出するようになっている。
記憶部12は、RFIDタグ読み取り視野角度記憶部12aと検知角度記憶部12bとを備えている。RFIDタグ読み取り視野角度記憶部12aは、予め求められたRFIDタグ読み取り視野角度αをRFIDタグ読み取り視野角度記憶部12aに記憶するようになっている。また、検知角度記憶部12bは、前述したように、RFIDタグリーダ制御部11にて算出したRFIDタグ20を読み取った時のRFIDタグリーダ6の検知角度βを記憶するようになっている。尚、検知角度記憶部12bは、存在していなくてもよい。
進行方向調整角度算出部13は、前記RFIDタグ読み取り視野角度αとRFIDタグ20を読み取った時のRFIDタグリーダ6の検知角度βとから、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を演算するようになっている。
車両駆動制御部14は、進行方向調整角度算出部13にて算出した進行方向調整角度γ(=β−α/2)に基づいて、車輪駆動用モータ4a・4bをそれぞれ駆動して車両1の方向及び速度を制御するようになっている。
上記構成の車両走行制御装置における車両走行制御方法について、図2〜図5に基づいて説明する。図2は、本実施の形態の車両走行制御装置を搭載する車両1が走行する、RFIDタグ20が所定の設置間隔を有して敷設されたコースの一例を示す平面図である。図3〜図5は、RFIDタグ20の読み取り方法及び進行方向調整方法の概要を説明するための平面図である。
最初に、本実施の形態の車両走行制御装置を搭載した車両1が走行するRFIDタグで構成されたコースの一例について図2に基づいて説明する。
本実施の形態の車両走行制御装置を搭載した車両1が走行するコースには、図2に示すように、所定の設置間隔を有して順にRFIDタグ20が埋設されている。これらRFIDタグ20には、固有のタグ番号が割り振られていると共に、走行制御用の命令が書き込まれている。
走行制御用の命令には、直進命令、カーブ命令、カーブ走行命令及び分岐命令がある。車両1はこれらの命令をRFIDタグリーダ6にて読み込むと、直進命令では中速で直進走行し、カーブ命令では現在位置がカーブ直前であると判断して低速走行する。また、カーブ走行命令では低速で直進走行し、分岐命令では低速で分岐走行を行う。
RFIDタグ20の設置間隔は最大1メートルとし、車両1の走行速度は中速40メートル/分とし、低速20メートル/分とする。
上述のRFIDタグ20のRFIDタグリーダ6でのタグ読み取り方法及び進行方向調整方法の概要について以下に説明する。
まず、本実施の形態のRFIDタグリーダ6でのタグ読み取り方法及び進行方向調整方法の動作アルゴリズムとして、1つ目に読み込んだRFIDタグ20の命令を基に車両1の中速・低速等の走行制御を行い、続いて、2つ目のRFIDタグ20を読み取った時のRFIDタグリーダ6の回動方向、現在の車両進行方向、及びRFIDタグ読み取り視野角度αから進行方向調整角度を導出し、車両1の進行方向の制御を行う。
具体的には、図3に示すように、最初に、RFIDタグリーダ6のRFIDタグ読み取り範囲最大幅を基にRFIDタグ読み取り視野角度αを設定しておく。ここで、RFIDタグ読み取り範囲最大幅は、図3の楕円状のRFIDタグ読み取り範囲の短径にて示される。したがって、RFIDタグ読み取り視野角度αは、RFIDタグリーダ6の回転中心から楕円短径の両端をそれぞれ結ぶ線の間に形成される角度として表される。このRFIDタグ読み取り視野角度αは、RFIDタグ読み取り範囲設定時に決定され、RFIDタグ読み取り視野角度記憶部12aに記憶される。
車両1の走行開始後、RFIDタグリーダ6は、走行中は常に、車両走行方向の前方に向けて予め設定された設定角度で左右方向に交互に回動して、走査することにより、RFIDタグ20の探索を行う。
そして、1つ目のRFIDタグ20を検知したときに、該1つ目のRFIDタグ20に書き込まれている命令を読み出し、命令に応じた中速・低速等の走行制御を行う。次いで、図4に示すように、RFIDタグリーダ6にて2つ目のRFIDタグ20を検知し、この2つ目のRFIDタグ20を検知した時の検知角度βをRFIDタグリーダ制御部11にて算出し、例えば、検知角度記憶部12bに記憶する。
次いで、図5に示すように、この2つ目のRFIDタグ20を検知した時の検知角度βと前記設定されたRFIDタグ読み取り視野角度αとから、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を導出する。
ここで、本実施の形態では、2つ目のRFIDタグ20を検知した時の検知角度βは車両進行方向に対して反時計回りを正とし、時計回りを負の角度とする。また、RFIDタグ読み取り視野角度αは、2つ目のRFIDタグ20の読み取り時にRFIDタグリーダ6を右から左へ振っている場合は負の角度とし、RFIDタグリーダ6を左から右へ振っている場合は正の角度とする。
上述した進行方向調整角度γ(=β−α/2)の算出式について、詳述する。すなわち、図4に示すように、車両1が進行方向調整前の車両進行方向を向いている場合において、RFIDタグリーダ6が読み取り方向を左から右側に回動していたとする。この状態において、図4に示す楕円状のRFIDタグ読み取り範囲の右縁が2つ目のRFIDタグ20に一致することにより、RFIDタグリーダ6は2つ目のRFIDタグ20を検知することができる。この時の2つ目のRFIDタグ20の角度は、車両進行方向に対して検知角度βにて表される。
ここで、RFIDタグ読み取り視野角度αは、図4において破線にて示されており、上述のように、2つ目のRFIDタグ20は、RFIDタグ読み取り範囲の右縁で検知されるので、一点鎖線で示されるRFIDタグリーダ6の方向と、2つ目のRFIDタグ20の方向との間の角度は、α/2にて表される。
この結果、現在の車両1の進行方向と2つ目のRFIDタグ20の方向との間の角度は、β−α/2にて表される。
したがって、このβ−α/2によって求まる角度が、現在の車両1の進行方向に対する進行方向調整角度γ(=β−α/2)となる。
そこで、車両1は、現在の車両進行方向から、導出した進行方向調整角度γ(=β−α/2)だけ車両1の向きを変えるように進行方向を調整する。進行方向の調整は、車両1の後右側車輪3c・後左側車輪3dに連結された車輪駆動用モータ4a・4bの制御により行う。これらの操作を繰り返し行うことによって、車両1は進行方向の調整を行いながらコース上のRFIDタグ20を辿って走行を行う。
本実施の形態の車両走行制御装置では、車両1の前方に存在する2つのRFIDタグ20・20を読み取ることにより車両走行制御が実現可能である。このため、カーブ走行及び分岐走行を行っている場合も、これらと同様の操作にて、進行方向の調整を行いながら走行することが可能である。
この場合、前述したように、RFIDタグ20の設置間隔は最大1メートルであり、車両1の走行速度は中速40メートル/分〜低速20メートル/分であることから、1つ目のRFIDタグ20の読み取り後に2つ目のRFIDタグ20の読み取りまでに車両1が進むことにより生じるコースとのずれは小さい。したがって、制御で発生したずれを補正することが可能である。
上記の車両走行制御装置による車両走行制御方法の制御動作について、図6に基づいて説明する。図6は、車両走行制御方法の動作を示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、車両1は、中速にて直進している(S1)。この状態で、1つ目のRFIDタグ20がRFIDタグリーダ6にて検知されたか否かが判断される(S2)。1つ目のRFIDタグ20が検知されない場合には、S1に戻って中速での直進が継続される。
一方、1つ目のRFIDタグ20が検知されたときには、その1つ目のRFIDタグ20の内容がRFIDタグリーダ制御部11にて解読される。そして、その1つ目のRFIDタグ20の内容が、直進命令であるか否かが判断され(S3)、直進命令である場合には、中速での直進を継続する(S4)。
その後、2つ目のRFIDタグ20がRFIDタグリーダ6にて検知されたか否かが判断される(S5)。
一方、S3において、1つ目のRFIDタグ20の内容が、直進命令ではないと判断された場合には、該1つ目のRFIDタグ20の内容が、カーブ命令であるか否かが判断され(S6)、カーブ命令である場合には、車両1の速度を低速に落とす(S7)。その後、前記S5に移行して、2つ目のRFIDタグ20がRFIDタグリーダ6にて検知されたか否かが判断される。
一方、S6において、1つ目のRFIDタグ20の内容が、カーブ命令ではないと判断された場合には、該1つ目のRFIDタグ20の内容が、分岐命令であるか否かが判断され(S8)、分岐命令である場合には、車両1の速度を低速にし、かつ分岐先タブ番号を読み込む(S9)。その後、前記S5に移行して、2つ目のRFIDタグ20がRFIDタグリーダ6にて検知されたか否かが判断される。
一方、S8において、1つ目のRFIDタグ20の内容が、分岐命令ではないと判断された場合には、該1つ目のRFIDタグ20の内容が、カーブ走行命令であるか否かが判断され(S10)、カーブ走行命令である場合には、車両1の速度を低速に落とす(S11)。その後、前記S5に移行して、2つ目のRFIDタグ20がRFIDタグリーダ6にて検知されたか否かが判断される。
尚、S10において、1つ目のRFIDタグ20の内容が、カーブ走行命令ではないと判断された場合には、RFIDタグ20の設定された各命令のいずれにも該当しないので、その場合には、異常事態であるとして、車両1を停止させる(S12)。
次に、S5において、2つ目のRFIDタグ20の内容が分岐命令であるか否かが判断され(S13)、分岐命令でない場合には、進行方向調整角度算出部13にて算出した進行方向調整角度γ(=β−α/2)に則して進行方向を調整する(S14)。
一方、S13において、2つ目のRFIDタグ20の内容が分岐命令であると判断された場合には、2つ目のRFIDタグ20のRFIDタグ番号が、1つ目のRFIDタグ20に記載された分岐先タブ番号と一致するか否かが判断され(S15)、2つ目のRFIDタグ20のRFIDタグ番号と、1つ目のRFIDタグ20に記載された分岐先タブ番号とが一致している場合には、進行方向調整角度算出部13にて算出した進行方向調整角度γ(=β−α/2)に則して進行方向を調整する(S13)。
一方、S15において、2つ目のRFIDタグ20のRFIDタグ番号と、1つ目のRFIDタグ20に記載された分岐先タブ番号とが一致していない場合には、S4に戻って、中速での直進を継続する。
以上の動作により、本実施の形態の車両走行制御装置、車両走行制御システム、及び車両走行制御方法では、車両1を適切に自動走行させることができる。
ここで、本実施の形態においては、車両走行制御装置の制御部10の制御ブロック(特に、RFIDタグリーダ制御部11、進行方向調整角度算出部13、車両駆動制御部14)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、車両走行制御装置は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラム及び各種データがコンピュータ(又はCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)又は記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)等を備えている。そして、コンピュータ(又はCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路等を用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。尚、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
このように、本実施の形態の車両走行制御装置では、路上に間隔を置いて設置されたRFIDタグ20に書き込まれた走行制御命令をRFIDタグリーダ6にて読み取って車両1を走行制御する車両走行制御装置において、車両走行方向の前方に向けてRFIDタグリーダ6を左右方向に交互に往復回動させて走査させるRFIDタグリーダ駆動用モータ4cと、RFIDタグ20をRFIDタグリーダ6にて読み取った時のRFIDタグリーダ6における、車両1の進行方向に対する検知角度βとRFIDタグ読み取り視野角度αとに基づいて車両1の進行方向を調整する制御部10とが設けられている。
上記の構成によれば、RFIDタグリーダ駆動用モータ4cにて、車両走行方向の前方に向けてRFIDタグ20を左右方向に交互に往復回動させて走査させる。そして、制御部10にて、RFIDタグ20をRFIDタグリーダ6にて読み取った時のRFIDタグリーダ6における、車両の進行方向に対する回動角度である検知角度βとRFIDタグ読み取り視野角度αとに基づいて車両の進行方向を調整する。
すなわち、RFIDタグリーダ6の読み取り範囲は、RFIDタグリーダ6の検知方向に対して左右対称の縦長楕円の指向性を有している。このため、RFIDタグリーダ6の検知方向が、車両走行方向の前方に向けて左右方向に交互に往復回動して変化しているときに、RFIDタグリーダ6の検知範囲に入ると、直ちに、RFIDタグリーダ6から走行制御命令がRFIDタグリーダ6に入力される。この時のRFIDタグ20の検知位置は、RFIDタグリーダ6の読み取り範囲である左右対称の縦長楕円の左又は右の縁であり、RFIDタグリーダ6の読み取り視野角度の1/2に該当する。したがって、RFIDタグ読み取り視野角度αが予め分かっている場合において、RFIDタグ20をRFIDタグリーダ6にて読み取った時のRFIDタグリーダ6における、車両の進行方向に対する回動角度である検知角度βが把握できれば、RFIDタグ20の位置は、車両の進行方向に対して、
進行方向調整角度γ=車両の進行方向に対する検知角度β−RFIDタグ読み取り視野角度α×1/2
の回動位置に存在していることが計算により求まる。
この結果、その求まった進行方向調整角度γ(=β−α/2)になるように車両1の進行方向を調整すれば、車両1をRFIDタグ20に向かって走行させることができる。
このように、本実施の形態では、RFIDタグリーダ6を左右方向に交互に往復回動させて走査させてRFIDタグリーダ6の検知範囲を広範囲にすることにより、一種類のデバイスであるRFIDタグリーダ6にて、車両1の進行方向を調整可能としている。
したがって、カメラを用いず一種類のデバイスであるRFIDタグリーダ6のみによって車両1の走行を制御し得る車両走行制御装置を提供することができる。
また、本実施の形態における車両走行制御システムは、本実施の形態における車両走行制御装置を備え、RFIDタグ20に書き込まれた走行制御命令には、少なくとも直進命令及びカーブ命令が含まれていると共に、制御部10は、車両1の前方直近の2つのRFIDタグ20に書き込まれた走行制御命令に基づいて車両1の進行方向及び車両の速度を調整する。
これにより、車両1の前方直近の1つ目のRFIDタグ20にて例えばカーブ命令であることが把握されたとする。この場合、本実施の形態では、車両1の前方直近の2つ目のRFIDタグ20にて車両1の進行方向を調整する。
その結果、車両1の前方直近の1つ目のRFIDタグ20による例えばカーブ命令であることの把握により、道路がカーブしていることの準備として、制御部10は、徐行するように車両1の速度を減速調整する。
このように、車両1の前方直近の2つのRFIDタグ20を走行制御に用いることにより、車両1の進行方向だけでなく、車両1の速度調整も行うことが可能となる。
したがって、カメラを用いず一種類のデバイスであるRFIDタグリーダ6のみによって車両1の走行を制御し得る車両走行制御装置を備えた車両走行制御システムを提供することができる。
また、本実施の形態における車両走行制御方法は、路上に間隔を置いて設置されたRFIDタグ20に書き込まれた走行制御命令をRFIDタグリーダ6にて読み取って車両1を走行制御する。そして、車両走行方向の前方に向けてRFIDタグリーダ6を左右方向に交互に往復回動させて走査させるリーダ走査工程と、RFIDタグ20をRFIDタグリーダ6にて読み取った時のRFIDタグリーダ6における、車両1の進行方向に対する回動角度である検知角度βとRFIDタグ読み取り視野角度αとに基づいて車両1の進行方向を調整する車両走行制御工程とを含む。
したがって、カメラを用いず一種類のデバイスであるRFIDタグリーダ6のみによって車両1の走行を制御し得る車両走行制御方法を提供することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態の車両走行制御システムは、前記実施の形態1の車両走行制御システムの構成に加えて、RFIDタグ21の走行制御命令として距離情報が追加されている点が異なっている。
本実施の形態の車両走行制御システムの構成について、図7に基づいて説明する。図7は、本実施の形態における車両走行制御システムの構成を示すものであって、車両1が走行する、RFIDタグ21が所定の設置間隔を有して埋設されたコースの一例を示す平面図である。
本実施の形態の車両走行制御システムでは、図7に示すように、車両1が走行するコースには、RFIDタグ21が所定の設置間隔を有して埋設されている。このRFIDタグ21の走行制御用の命令には、前記実施の形態1のRFIDタグ20と同様に直進命令、カーブ命令、カーブ走行命令及び分岐命令が書き込まれている。加えて、本実施の形態のRFIDタグ21には、車両走行方向においてRFIDタグ21に隣接して設置されたより遠方のRFIDタグ21への距離情報が走行制御命令としてそれぞれ書き込まれている。
したがって、本実施の形態では、車両走行制御手段としての制御部10は、車両1の前方直近のRFIDタグ21に書き込まれた距離情報に基づいて、より遠方のRFIDタグに到着するまでに車両の進行方向を調整する。
具体的には、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を、より遠方のRFIDタグ21までの距離にて除算し、距離当たりの進行方向調整角度を決定する。
これにより、より遠方のRFIDタグ21までに徐々に進行方向調整角度γになるように方向を変化させるので、車両1の急激な進路変更を防止することができる。
このように、本実施の形態の車両走行制御システムは、RFIDタグ21には、車両走行方向においてRFIDタグ21に隣接して設置されたより遠方のRFIDタグ21までの距離情報が走行制御命令としてそれぞれ書き込まれている。そして、制御部10は、車両1の前方直近のRFIDタグ21に書き込まれた距離情報に基づいて、より遠方のRFIDタグ21に到着するまでに車両1の進行方向を調整するとすることができる。
これにより、車両1の前方直近のRFIDタグ21に書き込まれた距離情報に基づいて、より遠方のRFIDタグ21に到着するまでに車両1の進行方向を調整する。
この結果、次のRFIDタグ21までの距離内で徐々に角度を補正することができる。具体的には、調整角度を次のRFIDタグ21までの距離で割って、距離当たりの調整角度を決定することができる。
したがって、急激な進路変更をするのではなく、滑らかな進路変更を行うことができる。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1及び実施の形態2の車両走行制御装置、車両走行制御システム、及び車両走行制御方法では、車両1の直近の2つのRFIDタグ20・21の検知に基づいて、車両1の進行方向調整角度γ(=β−α/2)を決定していた。
しかし、本実施の形態の車両走行制御システムでは、車両1の直近の1つのRFIDタグ22の検知に基づいて、車両1の進行方向を決定する点が異なっている。
本実施の形態の車両走行制御システムの構成について、図8に基づいて説明する。図8は、本実施の形態における車両走行制御システムの構成を示すものであって、車両1が走行する、RFIDタグ22が所定の設置間隔を有して埋設されたコースの一例を示す平面図である。
本実施の形態の車両走行制御システムでは、図8に示すように、車両1が走行するコースには、RFIDタグ22が所定の設置間隔を有して埋設されている。このRFIDタグ22には、車両走行方向においてRFIDタグ22に隣接して設置されたより遠方のRFIDタグ22への進行方向情報が走行制御命令としてそれぞれ書き込まれている。尚、本実施の形態のRFIDタグ22では、前記実施の形態1のRFIDタグ20及び前記実施の形態2のRFIDタグ21と同様に、直進命令、カーブ命令、カーブ走行命令及び分岐命令が書き込まれている。ただし、本発明においては、必ずしもこれに限らず、少なくとも走行制御命令として進行方向情報が書き込まれていれば足りる。
したがって、本実施の形態では、車両走行制御手段としての制御部10は、車両1の前方直近の一個のRFIDタグ21に書き込まれた進行方向情報に基づいて、車両1の前方直近のRFIDタグ21に書き込まれた進行方向情報に基づいて車両1の進行方向を調整する。
具体的には、RFIDタグ21のそれぞれの進行方向情報は、例えば、車両走行方向においてRFIDタグ21に隣接して設置されたより遠方のRFIDタグ21への角度情報が少なくとも書き込まれている。
したがって、車両1は、該車両1の前方直近のRFIDタグ21に書き込まれた角度情報に基づいて車両1の進行方向を調整することができる。
このように、本実施の形態の車両走行制御システムは、前記実施の形態1の車両走行制御装置を備えた車両走行制御システムであって、路上に設置されたRFIDタグ22には、車両走行方向においてRFIDタグ22に隣接して設置されたより遠方のRFIDタグ22への進行方向情報が走行制御命令としてそれぞれ書き込まれており、車両走行制御手段としての制御部10は、車両1の前方直近のRFIDタグ22に書き込まれた進行方向情報に基づいて車両1の進行方向を調整する。
これにより、リーダ走査手段としてのRFIDタグリーダ駆動用モータ4cにて、車両走行方向の前方に向けてRFIDタグリーダ6を左右方向に交互に往復回動させて走査させてRFIDタグ22の走行制御命令を読み取ることによって、車両1の進行方向に対するRFIDタグ22タグの位置がどの方向であるかが分かる。
一方、車両1の前方直近のRFIDタグ22の位置に到着した場合に、そのRFIDタグ22には次の前方のRFIDタグ22の位置までの進行方向情報が書き込まれている。このため、次の前方のRFIDタグ22の位置までの進行方向情報に基づいて、車両1の進行方向を調整することができる。
この結果、本実施の形態では、RFIDタグ22の進行方向情報に基づいて走行している場合に、例えば、車両1の進行方向がRFIDタグ22・22間で変化しても、次のRFIDタグ22を見失うことなく、確実にRFIDタグ22の方向に車両の進行方向を調整して走行することができる。
したがって、カメラを用いず一種類のデバイスであるRFIDタグリーダ6のみによって車両1の走行を制御し得る車両走行制御装置を備えた車両走行制御システムを提供することができる。
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、前記実施の形態2において説明した車両走行制御システムは、実施の形態1において説明した2つのRFIDタグ20・21を用いて車両1の進路を決定する場合に、距離情報を活用するものであった。しかし、実施の形態2の技術は、必ずしもこれに限らず、本実施の形態にて説明した2つのRFIDタグ20・21を用いて車両1の進路を決定する場合においても適用することが可能である。
〔実施例1〕
本実施例では、実施の形態1の車両走行制御装置を搭載した車両1が、直線及びカーブが存在するRFIDタグ設置コースを走行する場合について、図9に基づいて説明する。図9は、直線及びカーブが存在するRFIDタグ設置コースを示す平面図である。
図9に示すように、例えば、直進命令を有する2つのRFIDタグ番号A・Bと、カーブ命令を有するRFIDタグ番号Cと、カーブ走行命令を有する2つのRFIDタグ番号D・Eとの計5つのRFIDタグから構成されるコースを車両1が走行する場合について考える。ここで、RFIDタグ読み取り視野角度αを30度と設定する。
まず、車両1が中速40メートル/分にて走行しているときにRFIDタグ番号Aを進行方向調整位置1の手前で1つ目に見つけ、さらに中速で直進し、進行方向調整位置1の手前でRFIDタグBを2つ目に見つけたとする。また、RFIDタグ番号Bを2つ目に見つけた時のRFIDタグリーダ6の検知角度βを30度とし、左から右にRFIDタグリーダ6を振っていたとする。
この場合、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を30度−30度/2=15度と算出し、進行方向調整位置1にて車両1の進行方向の調整を行う。
その後、進行方向調整位置2の手前でRFIDタグ番号Bを1つ目に見つけ、さらに中速で直進し、進行方向調整位置2の手前でRFIDタグ番号Cを2つ目に見つけたとする。また、RFIDタグ番号Cを2つ目に見つけた時のRFIDタグリーダ6の検知角度βを−45度とし、右から左にRFIDタグリーダ6を振っていたとする。
この場合、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を−45度−(−30度/2)=−30度と算出し、進行方向調整位置2にて車両1の進行方向の調整を行う。
その後、進行方向調整位置3の手前でRFIDタグ番号Cを1つ目に見つけたとする。この場合、RFIDタグ番号Cは、カーブ命令であるため、低速20メートル/分走行になり、進行方向調整位置3の手前でRFIDタグ番号Dを2つ目に見つけ、その時のRFIDタグリーダ6の検知角度βを10度とし、左から右にRFIDタグリーダ6を振っていたとする。
この場合、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を10度−(30度/2)=−5度と算出し、進行方向調整位置3にて車両1の進行方向の調整を行う。
最後に、進行方向調整位置4の手前でRFIDタグ番号Dを1つ目に見つけ、低速で走行し、進行方向調整位置4の手前でRFIDタグ番号Eを2つ目に見つけたとする。また、RFIDタグ番号Eを2つ目に見つけた時のRFIDタグリーダ6の検知角度βを15度とし、右から左にRFIDタグリーダ6を振っていたとする。
この場合、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を15度−(−30度/2)=0度と算出し、進行方向調整位置4にて車両1の進行方向の調整は行わずに走行を続ける。
〔実施例2〕
本実施例では、実施の形態1の車両走行制御装置を搭載した車両1が、直線コース途中に分岐が存在するRFIDタグ設置コースを走行する場合について、図10に基づいて説明する。図10は、直線コース途中に分岐が存在するRFIDタグ設置コースを示す平面図である。
図10に示すように、例えば、直進命令を有するRFIDタグ番号Aと、分岐命令を有するRFIDタグ番号Bと、分岐命令後にカーブ走行命令を有するRFIDタグ番号C・Dと、直進命令を有するRFIDタグ番号Eとの計5つのRFIDタグから構成されるコースを車両1が走行する場合について考える。ここで、RFIDタグ読み取り視野角度αを30度と設定する。また、車両1は、分岐命令を有するRFIDタグ番号Bを読んだ後、カーブ走行命令を有するRFIDタグ番号Cの方へ進行方向を分岐するとする。
まず、車両1が中速40メートル/分で走行しているときにRFIDタグ番号Aを進行方向調整位置1の手前で1つ目に見つけ、さらに中速で直進走行し、進行方向調整位置1の手前でRFIDタグ番号Bを2つ目に見つけ、その時のRFIDタグリーダ6の検知角度βを10度とし、右から左にRFIDタグリーダ6を振っていたとする。
この場合、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を10度−(−30度/2)=25度と算出し、進行方向調整位置1にて、車両1の進行方向の調整を行う。
その後、進行方向調整位置2の手前でRFIDタグ番号Bを1つ目に見つけたとする。この場合、RFIDタグ番号Bは、分岐命令であるため低速20メートル/分走行になり、RFIDタグ番号B内に書き込まれている分岐先RFIDタグ番号を読み出し保存する。尚、ここでは、前述したように、RFIDタグ番号Cの方へ進行方向を分岐するとしているので、分岐先RFIDタグ番号は、「C」となっている。
次いで、進行方向調整位置2の手前で直進命令を有するRFIDタグ番号Eを2つ目に読み、そのRFIDタグ番号Eと先に保存していた分岐先RFIDタグ番号Cとを比較する。比較の結果、RFIDタグ番号が一致しないので、再度、2つ目のRFIDタグを探索する。
その後、新たなRFIDタグ番号Cを読み、そのRFIDタグ番号Cと先に保存していた分岐先RFIDタグ番号Cとを比較する。その結果、RFIDタグ番号が一致し、その時のRFIDタグリーダ6の検知角度βを−10度とし、左から右にRFIDタグリーダ6を振っていたとする。
この場合、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を−10度−(30度/2)=−25度と算出し、進行方向調整位置2にて車両1の進行方向の調整を行う。
最後に、進行方向調整位置3の手前でコース分岐先のRFIDタグ番号Cを1つ目に見つけ、中速走行になり、その後、進行方向調整位置3の手前でRFIDタグDを2つ目に読み、その時のRFIDタグリーダ6の検知角度βを0度とし、左から右にRFIDタグリーダ6を振っていたとする。
この場合、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を0度−(30度/2)=−15度と算出し、進行方向調整位置3にて車両1の進行方向の調整を行う。
〔実施例3〕
本実施例では、実施の形態1の車両走行制御装置を搭載した車両1が、直線コースである、直進命令を有するRFIDタグのみで構成されたコースを走行する場合について、図11に基づいて説明する。図11は、直線コースである、直進命令を有するRFIDタグのみで構成されたコースを示す平面図である。尚、ここでは、RFID間の距離に応じて進行方向調整に要する時間が異なる場合の実施例を示す。
図11に示すように、例えば、3つのRFIDタグ番号A・B・Cから構成され、RFIDタグ間の距離は、RFIDタグ番号A・B間が0.5メートルであり、RFIDタグ番号B・C間が1メートルであるとする。また、RFIDタグ読み取り視野角度αを30度と設定する。
まず、車両1が中速40メートル/分で走行しているときにRFIDタグ番号Aを進行方向調整位置1の手前で1つ目に見つけ、中速で直進走行し、その後、進行方向調整位置1の手前でRFIDタグ番号Bを2つ目に見つけ、その時のRFIDタグリーダ6の検知角度βを15度とし、左から右にRFIDタグリーダ6を振っていたとする。
この場合、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を15度−(30度/2)=0度と算出し、進行方向調整位置1では、車両1の進行方向の調整は行わずに走行を続ける。ここで、読み取った2つのRFIDタグ間の距離が0.5メートルであるとすると、車両進行方向の調整に要する時間は0.5メートル/40メートル/分=0.75秒となる。
その後、進行方向調整位置2の手前でRFIDタグ番号Bを1つ目に見つけ、中速走行し、進行方向調整位置2の手前でRFIDタグCを2つ目に見つけ、その時のRFIDタグリーダ6の検知角度βを−15度とし、右から左にRFIDタグリーダ6を振っていたとする。
この場合、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を−15度−(−30度/2)=0度と算出し、進行方向調整位置2では車両1の進行方向の調整は行わずに走行を続ける。ここで、読み取った2つのRFIDタグ間の距離が1メートルとすると、車両進行方向の調整に要する時間は1メートル/40メートル/分=1.5秒となる。
この実施例により、RFIDタグ間の距離が小さい程、進行方向調整に要する時間が小さくなることが分かる。
〔実施例4〕
本実施例では、実施の形態1の車両走行制御装置を搭載した車両1が、直線コース用のRFIDタグが一直線状ではなく、設置時にずれ、ジグザグ上に設置されているコースを走行する場合について、図12に基づいて説明する。図12は、直線コース用のRFIDタグが一直線状ではなく、設置時にずれ、ジグザグ上に設置されているコースを示す平面図である。
図12に示すように、本コースは、3つのRFIDタグ番号A・B・Cから構成され、RFIDタグ番号Bの位置での折れ曲げ角度ABCは90度とし、RFIDタグ番号A・B間、及びRFIDタグ番号B・C間の距離はいずれも1メートルとする。また、RFIDタグ読み取り視野角度αを30度と設定する。
まず。走行している車両1が進行方向調整位置1の手前でRFIDタグ番号Aを1つ目に読み込み、中速で直進を行い、進行方向調整位置1の手前で2つ目のRFIDタグ番号Bを読み込む。この場合、2つ目のRFIDタグ番号Bが進行方向−45度にあるため、RFIDタグリーダ6を左から右へ振っているときに見つけたとすると、その時のRFIDタグリーダ6の角度は−30度となる。
この結果、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を−30度−(30度/2)=−45度と算出し、進行方向調整位置1にて、車両1は進行方向の調整を行う。
その後、進行方向調整位置2の手前でRFIDタグ番号Bを1つ目に読み取り、中速で走行し、進行方向調整位置2の手前でRFIDタグリーダ6を右から左に振っているときにRFIDタグ番号Cを2つ目に見つけたとし、その時のRFIDタグリーダ6の角度を45度とする。
この場合、進行方向調整角度γ(=β−α/2)を45度−(−30度/2)=60度と算出し、進行方向調整位置2にて車両1は進行方向の調整を行い、走行を続ける。
この実施例により、RFIDタグリーダ6を左右に振り、広範囲のRFIDタグを検知することができるため、RFIDタグの設置に大きなずれがない限り、正常に走行することが可能となることが分かる。
〔まとめ〕
本発明の態様1における車両走行制御装置は、路上に間隔を置いて設置されたRFID(Radio Frequency Identification)タグ20〜22に書き込まれた走行制御命令をRFIDタグリーダ6にて読み取って車両1を走行制御する車両走行制御装置において、車両走行方向の前方に向けて上記RFIDタグリーダ6を左右方向に交互に往復回動させて走査させるリーダ走査手段(RFIDタグリーダ駆動用モータ4c)と、上記RFIDタグ20〜22を上記RFIDタグリーダ6にて読み取った時の上記RFIDタグリーダ6における、車両1の進行方向に対する回動角度(検知角度β)と上記RFIDタグリーダ6の読み取り視野角度(RFIDタグ読み取り視野角度α)とに基づいて車両1の進行方向を調整する車両走行制御手段(制御部10)とが設けられていることを特徴としている。
上記の発明によれば、車両走行制御装置は、路上に間隔を置いて設置されたRFIDタグに書き込まれた走行制御命令をRFIDタグリーダにて読み取って車両1を走行制御する。
従来、この種の車両走行制御装置においては、RFIDタグに書き込まれた走行制御命令をRFIDタグリーダにて読み取った場合に、車両1がどの方向を向いているかを検知するために、RFIDタグリーダとは別の例えばカメラ等のデバイスにて取得した撮像を画像解析して、方向調整しなければならなかった。このため、コストが増大するという問題点を有していた。
これに対して、本発明では、リーダ走査手段にて、車両走行方向の前方に向けてRFIDタグリーダを左右方向に交互に往復回動させて走査させる。そして、車両走行制御手段にて、RFIDタグをRFIDタグリーダにて読み取った時のRFIDタグリーダにおける、車両1の進行方向に対する回動角度とRFIDタグリーダの読み取り視野角度とに基づいて車両1の進行方向を調整する。
すなわち、RFIDタグリーダの読み取り範囲は、RFIDタグリーダの検知方向に対して左右対称の縦長楕円の指向性を有している。このため、RFIDタグリーダの検知方向が、車両走行方向の前方に向けて左右方向に交互に往復回動して変化しているときに、RFIDタグリーダの検知範囲に入ると、直ちに、RFIDタグから走行制御命令がRFIDタグリーダに入力される。この時のRFIDタグの検知位置は、RFIDタグリーダの読み取り範囲である左右対称の縦長楕円の左又は右の縁であり、RFIDタグリーダの読み取り視野角度の1/2に該当する。したがって、RFIDタグリーダの読み取り視野角度が予め分かっている場合において、RFIDタグをRFIDタグリーダにて読み取った時のRFIDタグリーダにおける、車両の進行方向に対する回動角度が把握できれば、RFIDタグの位置は、車両の進行方向に対して、
車両の進行方向に対する回動角度−RFIDタグリーダの読み取り視野角度×1/2
の回動位置に存在していることが計算により求まる。
この結果、その求まった進行方向調整角度になるように車両の進行方向を調整すれば、車両をRFIDタグに向かって走行させることができる。
このように、本発明では、RFIDリーダを左右方向に交互に往復回動させて走査させてRFIDタグリーダの検知範囲を広範囲にすることにより、一種類のデバイスであるRFIDタグリーダにて、車両の進行方向を調整可能としている。
したがって、カメラを用いず一種類のデバイスであるRFIDタグリーダのみによって車両の走行を制御し得る車両走行制御装置を提供することができる。
本発明の態様2における車両走行制御システムは、態様1における車両走行制御装置を備えた車両走行制御システムであって、前記RFIDタグ20に書き込まれた走行制御命令には、少なくとも直進命令及びカーブ命令が含まれていると共に、前記車両走行制御手段(制御部10)は、車両1の前方直近の2つのRFIDタグ20に書き込まれた走行制御命令に基づいて車両1の進行方向及び車両の速度を調整するとすることができる。尚、車両走行制御システムは、車両走行制御装置とRFIDタグとを含んで構成されている。
これにより、車両の前方直近の1つ目のRFIDタグにて例えばカーブ命令であることが把握されたとする。この場合、本発明では、車両の前方直近の2つ目のRFIDタグにて車両の進行方向を調整する。
その結果、車両の前方直近の1つ目のRFIDタグによる例えばカーブ命令であることの把握により、道路がカーブしていることの準備として、車両走行制御手段は、車両の速度を例えば徐行するように減速調整する。
このように、車両の前方直近の2つのRFIDタグを走行制御に用いることにより、車両の進行方向だけでなく、車両の速度調整も行うことが可能となる。
したがって、カメラを用いず一種類のデバイスであるRFIDタグリーダのみによって車両の走行を制御し得る車両走行制御装置を備えた車両走行制御システムを提供することができる。
本発明の態様3における車両走行制御システムは、態様1における車両走行制御装置を備えた車両走行制御システムであって、前記路上に設置されたRFIDタグ22には、車両走行方向において上記RFIDタグ22に隣接して設置されたより遠方のRFIDタグ22への進行方向情報が走行制御命令としてそれぞれ書き込まれており、前記車両走行制御手段(制御部10)は、車両1の前方直近の上記RFIDタグ22に書き込まれた上記進行方向情報に基づいて車両1の進行方向を調整するとすることができる。
本発明では、路上に設置されたRFIDタグには、車両走行方向において上記RFIDタグに隣接して設置されたより遠方のRFIDタグへの進行方向情報が走行制御命令としてそれぞれ書き込まれている。このため、車両走行制御手段は、車両の前方直近の1つ目のRFIDタグに書き込まれた上記進行方向情報に基づいて車両の進行方向を調整する。
これにより、リーダ走査手段にて、車両走行方向の前方に向けてRFIDタグリーダを左右方向に交互に往復回動させて走査させてRFIDタグの走行制御命令を読み取ることによって、車両の進行方向に対するRFIDタグの位置がどの方向であるかが分かる。
一方、車両の前方直近のRFIDタグの位置に到着した場合に、そのRFIDタグには次の前方のRFIDタグの位置までの進行方向情報が書き込まれている。このため、次の前方のRFIDタグの位置までの進行方向情報に基づいて、車両の進行方向を調整することができる。
この結果、本発明では、RFIDタグの進行方向情報に基づいて走行している場合に、例えば、車両の進行方向がRFIDタグ間で変化しても、次のRFIDタグを見失うことなく、確実にRFIDタグの方向に車両の進行方向を調整して走行することができる。
したがって、カメラを用いず一種類のデバイスであるRFIDタグリーダのみによって車両の走行を制御し得る車両走行制御装置を備えた車両走行制御システムを提供することができる。
本発明の態様4における車両走行制御システムは、態様2又は3における車両走行制御システムであって、前記RFIDタグ21には、車両走行方向において上記RFIDタグ21に隣接して設置されたより遠方のRFIDタグ21までの距離情報が走行制御命令としてそれぞれ書き込まれており、前記車両走行制御手段(制御部10)は、車両1の前方直近の上記RFIDタグ21に書き込まれた上記距離情報に基づいて、より遠方のRFIDタグ21に到着するまでに車両1の進行方向を調整するとすることが好ましい。
これにより、車両走行制御手段は、車両の前方直近のRFIDタグに書き込まれた距離情報に基づいて、より遠方のRFIDタグに到着するまでに車両の進行方向を調整する。
この結果、次のRFIDタグまでの距離内で徐々に角度を補正することができる。具体的には、調整角度を次のRFIDタグまでの距離で割って、距離当たりの調整角度を決定することができる。
したがって、急激な進路変更をするのではなく、滑らかな進路変更を行うことができる。
本発明の態様5における車両走行制御方法は、路上に間隔を置いて設置されたRFIDタグ20に書き込まれた走行制御命令をRFIDタグリーダ6にて読み取って車両1を走行制御する車両走行制御方法において、車両走行方向の前方に向けて上記RFIDタグリーダ6を左右方向に交互に往復回動させて走査させるリーダ走査工程と、上記RFIDタグ20を上記RFIDタグリーダ6にて読み取った時の上記RFIDタグリーダ6における、車両1の進行方向に対する回動角度(検知角度β)と上記RFIDタグリーダ6の読み取り視野角度(RFIDタグ読み取り視野角度α)とに基づいて車両1の進行方向を調整する車両走行制御工程(S1〜S15)とを含むとすることができる。
したがって、カメラを用いず一種類のデバイスであるRFIDタグリーダのみによって車両の走行を制御し得る車両走行制御方法を提供することができる。
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。