JP6346572B2 - 可変焦点レンズ - Google Patents

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Description

本発明は、可変焦点レンズに関し、より詳細には、電気光学効果を有する単結晶材料を用いた可変焦点レンズであって、焦点距離を変更可能とした可変焦点レンズに関する。
光学レンズ、プリズムといった光学部品は、カメラ、顕微鏡、望遠鏡などの光学機器、プリンタ、コピー機など電子写真方式の記録装置、DVDなどの光記録装置、通信用、工業用の光デバイスなどに用いられている。例えば、ガラス材料からなる光学レンズは、焦点距離が固定されている。一方、上記の機器、装置の中には、状況に応じて焦点距離を調整することのできるレンズ、いわゆる可変焦点レンズを用いる場合がある。従来の可変焦点レンズは、複数のレンズを組み合わせて、機械的に焦点距離を調整する。しかしながら、このような機械式の可変焦点レンズは、応答速度・製造コスト・小型化・消費電力などの点から適用範囲を広げることには限界があった。
そこで、特許文献1に記載されているように、光学レンズを構成する透明媒質に、屈折率を可変できる物質を使用した可変焦点レンズが知られていた。また、非特許文献1に記載されているように、機械的に光学レンズの形状を変形させる可変焦点レンズが提案されている。
しかしながら、上記のような可変焦点レンズは、いずれも焦点距離を変化させるのに要する応答時間に限界があり、1ms以下の高速応答に適用することができないという問題があった。
そこで、特許文献2に記載されているように、電気光学効果を有する光学材料を用いた可変焦点レンズが提案され、1ms以下の高速応答が可能な可変焦点レンズが実際に使用されている。
特開平11−064817号公報 特開2014−26229号公報
金子卓 他、「可変焦点レンズを用いた長焦点深度視覚機構」、デンソーテクニカルレビュー、Vol.3, No.1, p.52-58, 1998
しかしながら、特許文献2に記載された構造の可変焦点レンズにおいては、焦点距離を短くするためには、大きな電圧を電気光学材料に印加する必要があった。印加電圧が大きくなるほど、高速動作は難しくなるとともに、レンズの性能として重要な波面収差が、劣化するという問題があった。
特許文献2に記載された可変焦点レンズの制御電圧と、同程度の電圧で制御することができ、焦点距離の短距離化と波面収差の劣化とを改善することができれば、高速応答を保ちつつ、より高性能の可変焦点レンズを実現することができる。
本発明の目的は、従来の可変焦点レンズの制御電圧と、同程度の電圧で制御することができ、焦点距離の短距離化と波面収差の劣化とが改善され、高速応答が可能な高性能の可変焦点レンズを提供することにある。
本発明は、このような目的を達成するために、一実施態様は、電気光学効果を有する単結晶材料からなる基板であって、断面が4(1+n)角形である4(1+n)角柱の形状を有し(ただしn≧1の整数)、4(1+n)角形の第1の面に直交する入射面から光を入射させたとき、前記入射面に対向する出射面から光が出射される、基板と、前記第1の面に対向する第2の面、前記入射面および前記出射面以外の面であって、少なくも前記入射面の一方に接する第3の面および前記入射面の他方に接する第4の面にそれぞれ形成された陽極および陰極からなる第1の電極対と、少なくも前記出射面の一方に接する第5の面および前記出射面の他方に接する第6の面にそれぞれ形成された陽極および陰極からなる第2の電極対とを備える。前記入射面から光を入射させたとき、前記第1の電極対の間を透過してから、前記第2の電極対の間を透過し、前記第1および第2の電極対の間の印加電圧を変えることにより、前記出射面から出射された光の焦点を可変することを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、電気光学効果を有する単結晶材料からなる基板は、断面が多角形である多角柱の形状を有し、上記した電極配置により、第1および第2の電極対の間の印加電圧を変えることにより、基板から出射された光の焦点を可変することができる。従来の直方体の可変焦点レンズと等しい電圧により、焦点距離の短距離化と波面収差の劣化とが改善され、1ms以下の高速応答が可能となる。
従来の可変焦点レンズの構成を示す図である。 従来の可変焦点レンズの原理を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態にかかる可変焦点レンズの構成を示す図である。 本発明の第1の実施形態にかかる可変焦点レンズの原理を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態にかかる可変焦点レンズの構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態にかかる可変焦点レンズの原理を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態にかかる可変焦点レンズの光路長変調を示す図である。 可変焦点レンズの焦点距離と電極面角度の依存性を示す図である。 可変焦点レンズの波面収差と電極面角度の依存性を示す図である。 可変焦点レンズの焦点距離の電極間隔依存性を示す図である。 可変焦点レンズの波面収差の電極間隔依存性を示す図である。 可変焦点レンズの焦点距離の電極幅/電極間隔に対する依存性を示す図である。 可変焦点レンズの波面収差の電極幅/電極間隔に対する依存性を示す図である。 可変焦点レンズの焦点距離×波面収差の電極幅/電極間隔に対する依存性を示す図である。 本発明の第3の実施形態にかかる可変焦点レンズの構成を示す図である。 本発明の第3の実施形態にかかる可変焦点レンズの原理を説明するための図である。 本発明の第3の実施形態にかかる可変焦点レンズの光路長変調を示す図である。 可変焦点レンズの焦点距離の電極間隔依存性を示す図である。 可変焦点レンズの波面収差の電極間隔依存性を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、従来の可変焦点レンズを参照して、電気光学効果と光路長変調について説明する。
(電気光学効果)
図1に、従来の可変焦点レンズの構成を示す。電気光学材料を直方体に加工した基板1の上面および下面に、それぞれ向かい合う位置に2つの電極対が形成されている。光の入射側の上部電極として陽極2、基板1を挟んで下部電極として陰極3が配置されている。さらに、これら電極対とは間隔を置き、光の出射側にもう一対の電極が配置されおり、上部電極が陰極4であり、下部電極が陽極5である。帯状の4つ電極は、長手方向の辺がすべて平行となる形状を有している。
入射光6は、電極を配置した面と直交する面から入射され、基板1の内部をx軸方向に進行し、陽極2と陰極3の間を、これらの帯状電極の長手方向とは垂直な方向に透過する。次いで、陰極4と陽極5との間を透過してから、入射した面と対向する面から空気中へ、出射光7が出射される。
このような構成において、陽極と陰極との間に電圧を印加する。光の入射側の電極対と光の出射側の電極対とは、電圧をかける向き(z軸方向)が互いに逆になっている。陽極2と陽極5との電位は異なっていてもよく、陰極3と陰極4の電位も同様である。なお、陽極2,5の低いほうの電位は、陰極3,4の高いほうの電位よりも高くなるように設定する。
このとき、これら電極の間には電界の分布が発生し、基板1の有する電気光学効果によって屈折率が変調される。屈折率の変調された部分を光が透過する時、この屈折率分布によって光は屈曲させられ、その結果、光は集光あるいは発散させられる。集光される場合、図1の構造によれば、シリンドリカル凸レンズとして機能し、発散される場合は、シリンドリカル凹レンズとして機能する。このようにして、光は、1軸方向に集光または発散されるので、1軸変調という。また、印加する電圧によって光の屈曲の度合いが変化するので、焦点距離を電圧によって制御することができる。
電気光学効果については、特許文献2に記載されているように、いくつかの次数が異なる電気光学効果が含まれる。一般的には、1次の電気光学効果(以下、ポッケルス効果)、または2次の電気光学効果(以下、カー効果)を示す物質が用いられる。ポッケルス効果を用いる場合、屈折率変化は印加した電界に比例する。そのため、上記の可変焦点レンズにおいては、入射側の電極対と出射側の電極対の間の電気力線の向きが逆のため、ポッケルス効果を有する材料を用いた場合、屈折率変化は相殺され、レンズとしての機能を果たさない。一方、カー効果を有する材料を用いた場合、屈折率変化は電界の二乗に比例する。従って、電気力線の向きが逆であっても、屈折率変化は等しくなるので、レンズとして機能する。
特許文献2に記載されているように、カー効果を有する物質として、ぺロブスカイト構造を有する単結晶材料がある。使用温度を適切に選択すれば、カー効果を発現する立方晶相に相転移させることができる。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)は、120℃付近において正方晶相から、カー効果を発現する立方晶相へと相転移する。
また、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTN:KTa1-xNbx3、0<x<1)を主成分とする単結晶材料は、電気光学効果を利用した素子の観点から、チタン酸バリウム(BaTiO3)よりも好適な特徴を有する。チタン酸バリウム(BaTiO3)は、相転移温度が決まっているのに対し、KTNはタンタルとニオブの組成比、つまり化学式におけるxの値により、相転移温度を選択することができる。KTNは相転移温度よりも高い温度であれば、大きなカー効果を発現する立方晶相となり、また、相転移温度に近いほどカー効果は大きくなる。このため、タンタルとニオブの組成比を変えることで、相転移温度を室温付近に選択することは、大きなカー効果を簡便に発現させるうえで、非常に重要である。
さらに、特許文献2に記載されているように、KTNに関連する単結晶材料として、結晶の主成分が、周期律表Ia族とVa族から構成されており、Ia族はカリウムであり、Va族はニオブ、タンタルの少なくとも1つを含む材料を用いることができる。また、添加不純物としてカリウムを除く周期律表Ia族、例えば、リチウム、またはIIa族の1または複数種を含むこともできる。例として、立方晶のKLTN(K1-yLiyTa1-xNbx3、0<x<1、0<y<1)結晶を用いることもできる。
(光路長変調)
次に、光路長変調について説明する。図2を参照して、屈折率の変調の様子とレンズとしての機能を詳述する。図2は、図1に示した可変焦点レンズの側面をy軸方向から見た様子を示している。基板1は、4つの電極に電圧を印加しない時には、屈折率が均一であるため、光はそのまま変調を受けずに透過する。従って、レンズの機能はない。しかし、平面波を入射したときには、基板1から出射される光の波面は平面のままで、曲率半径は無限大であることを考慮すると、焦点距離無限大のレンズとみなすこともできる。
4つの電極に電圧を印加した時には、これらの電極の間に、図2に示したような電気力線11が発生する。電気力線11は、陽極2と陰極3との間、陰極4と陽極5との間のみならず、これらの電極の外側にも大きく広がって生成される。電気力線が生成されているということは、言い換えると電界が発生している。このとき、基板1が電気光学効果を有するため、基板1内部の電界が発生している箇所では屈折率が変調される。基板1の内部において、4つの電極の付近、すなわち基板1の表面付近では、電界が大きく、屈折率変化が大きい。これに対して基板1の中央部分(すべての軸方向における中央付近)では、電界が比較的小さく、屈折率変化が小さい。
図2の右側には、屈折率変化分の分布を表す屈折率変調曲線12を模式的に示している。屈折率変調曲線12の縦軸は、z軸の座標、横軸は電圧をかけないときからの屈折率の変化分Δnである。図2においては、屈折率は、全体的にマイナス方向に変化している様子が示されているが、基板1の表面付近では変調が大きく、したがって屈折率変化分Δnとしては小さくなる。一方、中央部付近では変調が小さく、したがって屈折率変化分Δnとしては、表面付近ほどには小さくなっていない。このような屈折率分布の中を光が透過すると、基板1の中央部の光の速度に比べて表面付近の光の速度が速いため、凸レンズとして機能する。すなわち、電圧をかけていない場合の無限大の焦点距離から、有限の焦点距離へと、焦点が移動する。
図2の構成においてレンズの特性は、下記の式のように、屈折率変化分Δnを光の進行経路(長さL)にわたって積分した光路長変調Δsによって評価する。
ただし、図2の構成において、偏光は光電界の向きがy軸方向の場合と、z軸方向の場合の2種類があり、それぞれの場合に、光が感じる屈折率変調Δnは異なるので、光路長変調Δsも異なる。
(第1の実施形態)
図3に、本発明の第1の実施形態にかかる可変焦点レンズの構成を示す。直方体に切り出された電気光学効果を有する単結晶基板21において、光26が入射する面および出射する面と直交する面のうち、x軸およびz軸に平行な面を第1の面、第1の面に対向する面を第2の面と規定する。第1および第2の面の形状は四角形である。x軸およびy軸に平行な第3の面と、第3の面に対向する第4の面とに、2対の電極対が間隔をあけて、それぞれ向かい合う位置に形成されている。光の入射側に第1の電極対22,23、光の出射側に第2の電極対24,25が形成されており、電極22,25が陽極、電極23,24が陰極である。
第1の電極対22,23は、光26が入射する面(入射面)にも連続して形成されており、第2の電極対24,25は、光27が出射する面(出射面)にも連続して形成されている。すなわち、第1の電極対22,23は、入射面、入射面と直交する第3の面、および第3の面に対向する第4の面とに形成され、第1の陽極22は、第3の面と入射面とが接する辺をまたいで第3の面と入射面とに形成され、第1の陰極23は、第4の面と光が入射面とが接する辺をまたいで第4の面と光が入射面とに形成されている。
第2の電極対24,25は、出射面と、出射面と直交する第3の面および第4の面とに形成され、第2の陽極25は、第4の面と出射面とが接する辺をまたいで第4の面と出射面とに形成され、第2の陰極24は、第3の面と出射面とが接する辺をまたいで第3の面と出射面とに形成されている。
図4を参照して、屈折率の変調の様子とレンズとしての機能を詳述する。図4は、単結晶基板21をy軸方向から見たときの結晶内部の電気力線の形状を示し、その右側に、z軸方向の屈折率変調量Δnを、模式的に示す。第1および第2の電極対は、y軸方向から見た断面電形状がL字型になっており、単結晶基板21の四隅を囲った構造になっている。レンズ機能の原理は、従来の可変焦点レンズと同じである。図2と図4とを比較すると、電気力線の曲率が、本実施形態の可変焦点レンズの方が大きいことがわかる。電気力線の曲率が大きくなると、結晶内部の電界分布が大きくなり、その結果、光入射面の中心部の屈折率変化に比べて、電極付近の屈折率変化が大きくなる。つまり、z−x平面において、z=0での屈折率変化と電極付近の屈折率変化との差が大きくなる。その結果として、放物線の曲率が従来と比較して大きくなり、より大きなレンズ効果を発現する。
(第2の実施形態)
図5に、本発明の第2の実施形態にかかる可変焦点レンズの構成を示す。基板31は、電気光学効果を有する単結晶材料からなり、y軸方向から見た光軸に平行な断面が八角形である八角柱の形状を有している。x軸およびz軸に平行な八角形の面を第1の面、第1の面に対向する面を第2の面と規定する。八角形の第1および第2の面に直交する面のうち入射面から入射光36を入射させたとき、入射面に対向する出射面から出射光37が出射される。入射面に接する一方(図中では上側)の第3の面上に形成された陽極32(第1の陽極)、および入射面に接する他方(図中では下側)の第4の面上に形成された陰極33(第1の陰極)とからなる第1の電極対と、出射面に接する一方の第5の面上に形成された陰極34(第2の陰極)、および出射面に接する他方の第6の面上に形成された陽極35(第2の陽極)とからなる第2の電極対とを備える。
入射光36を、入射面から入射させたとき、第1の電極対の間を透過してから、第2の電極対の間を透過し、第1および第2の電極対の間の印加電圧を変えることにより、出射面から出射された出射光37の焦点を可変することができる。
図6を参照して、屈折率の変調の様子とレンズとしての機能を詳述する。図6は、図5に示した可変焦点レンズの第1の面(八角柱の断面)をy軸方向から見た様子を示している。基板31は、4つの電極に電圧を印加しない時には、屈折率が均一であるため、光はそのまま変調を受けずに透過する。従って、レンズの機能はない。しかし、平面波を入射したときには、基板31から出射される光の波面は平面のままで、曲率半径は無限大であることを考慮すると、焦点距離無限大のレンズとみなすこともできる。
4つの電極に電圧を印加した時には、これらの電極の間に、図6に示したような電気力線41が発生する。電気力線41は、陽極32と陰極33との間、陰極34と陽極35との間のみならず、これらの電極の外側にも大きく広がって生成される。図2の従来例と比較すると、第2の実施形態では、電気力線の曲率が大きくなっていることがわかる。電気力線の曲率が大きくなることによって、基板31内部の電界分布が大きくなり、その結果、入射面の中心部の屈折率変化に比べて、電極面(第3および4の面)付近の屈折率変化が大きくなる。
図6の右側には、屈折率変化分の分布を表す屈折率変調曲線42を模式的に示している。屈折率変調曲線42の縦軸は、z軸の座標、横軸は電圧をかけないときからの屈折率の変化分Δnである。図2の従来例と比較すると、第2の実施形態では、z=0(基板31の中心線(光軸)近傍)での屈折率変化と、電極付近の屈折率変化との差が大きくなっている。その結果、屈折率変化分Δnの放物線の曲率が大きくなり、より大きなレンズ効果を発現することができる。
図7に、本発明の第2の実施形態にかかる可変焦点レンズの光路長変調を示す。基板31の断面において、光軸に対して第3〜6の面を構成する辺が成す角を、電極面角度θとする(図6参照)。電極面角度θを26.5°に固定し、式1を用いて光電界がz軸方向の場合の光路長変調Δszをプロットしたものである。z=0(光軸)を中心に光路長変調の曲線が放物線(二次関数)とほぼ一致しており、理想的な凸レンズとして機能していることがわかる。
図8に、可変焦点レンズの焦点距離と電極面角度の依存性を示す。光の入射面および光の出射面の寸法をy軸方向に6.6mm、z軸方向に3.0mmに固定し、第1および2の電極対への印加電圧を1kVに固定した。このとき、電極面角度θの変化とそれに伴う焦点距離の変化の関係を数値計算により算出し、プロットしたものである。電極面角度θの増加とともに焦点距離が大きくなっていくのがわかる。特許文献2に記載された従来の可変焦点レンズと比較すると、本実施形態では、電極面角度θ=45°とした場合でも、従来の焦点距離59cmよりも焦点距離が短くなっている。すなわち、レンズの性能として改善していることがわかる。
図9に、可変焦点レンズの波面収差と電極面角度の依存性を示す。図8の計算と同じ条件のもと、電極面角度θと波面収差の関係を数値計算により算出し、プロットしたものである。電極面角度θが20°〜30°の間で波面収差が極小となることがわかる。つまり、波面収差の小さい可変焦点レンズを得るためには、電極面角度θは20°〜30°が好適である。
図10に、可変焦点レンズの焦点距離の電極間隔依存性を示す。電極面角度θを26.5°に固定し、光の入射面および光の出射面の寸法をy軸方向に6.6mm、z軸方向に3.0mmに固定し、基板31のz軸方向の厚さを4mmに固定した。第1および2の電極対への印加電圧は1kVである。陽極32(第1の陽極)と陰極34(第2の陰極)の間隔、および陰極33(第1の陰極)と陽極35(第2の陽極)の間隔(以下、電極間距離という)を変化させたとき(基板31のx軸方向の長さを変えたとき)の焦点距離を数値計算により算出したものである。
比較のために、特許文献2に記載された従来の可変焦点レンズの焦点距離も合わせてプロットした。電極間距離にかかわらず、第2の実施形態では、焦点距離が短くなっているのがわかる。すなわち、レンズの性能として改善していることがわかる。なお、電極間距離=0とした場合には、基板31は、断面(第1および2の面)が六角形である六角柱の形状となるが、可変焦点レンズとして機能することに変わりはない。
図11に、可変焦点レンズの波面収差の電極間隔依存性を示す。図10の計算と同じ条件のもと、電極間距離の変化と波面収差の関係を数値計算により算出し、プロットしたものである。特許文献2に記載された従来の可変焦点レンズと比較すると、第2の実施形態では、電極間距離にかかわらず、波面収差が小さくなっていることがわかる。
図8および図9を参照すると、電極面角度θの変化に伴う焦点距離と波面収差とは、トレードオフの関係にあり、焦点距離を短くすると波面収差が大きくなる。つまり、波面収差を改善するためには、焦点距離の改善をある程度犠牲にしなければならない。しかしながら、波面収差を最も小さくできる電極面角度θ=20°〜30°であっても、焦点距離は、従来の可変焦点レンズと比較して、1/2程度まで短くできる。
また、図10および図11を参照すると、電極間距離の変化に伴う焦点距離と波面収差の関係も、トレードオフの関係にあり、焦点距離を短くすると波面収差が大きくなる。しかしながら、波面収差を最小にする電極間距離を採用しても、従来の可変焦点レンズと比較して、1/2程度まで短くできる。
図12に、可変焦点レンズの焦点距離の電極幅/電極間距離に対する依存性を示す。電極面を光軸に射影した長さ(以下、電極幅という)を1mmに固定し、電極面角度θを26.5°に固定する。光の入射面および光の出射面の寸法をy軸方向に4.0mm、z軸方向に3.0mmに固定し、基板31のz軸方向の厚さを4.0mmに固定した。第1および2の電極対への印加電圧は1kV、誘電率は20,000である。陽極32(第1の陽極)と陰極34(第2の陰極)の間隔、および陰極33(第1の陰極)と陽極35(第2の陽極)の間隔(以下、電極間距離という)を変化させたとき(基板31のx軸方向の長さを変えたとき)、電極幅/電極間距離の比に対する焦点距離を数値計算により算出したものである。
電極幅/電極間距離=0〜1の間で焦点距離は急激に短くなり、1より大きくなると焦点距離の変化は小さくなる。
図13に、可変焦点レンズの波面収差の電極幅/電極間距離に対する依存性を示す。図12の計算と同じ条件のもと、電極幅/電極間距離の比の変化と波面収差の関係を数値計算により算出し、プロットしたものである。図12と比較すると、電極幅/電極間距離に対して単調に増加していることがわかる。
図14は、電極幅/電極間距離の比に対して、波面収差と焦点距離を乗じた値をプロットした図である。可変焦点レンズは、焦点距離が短く、かつ波面収差が小さいのが理想である。例えば、可変焦点レンズを顕微鏡などに適用する場合には、波面収差が100nm以下であるのが望ましい。第2の実施形態においては、図13を参照すると、電極幅/電極間距離=3以下の場合に満足する。一方、図12を参照すると、電極幅/電極間距離=1以上では、焦点距離20cm程度から短くすることが望めない。
そこで、焦点距離と波面収差のバランスを考察して図14を参照する。焦点距離が短く波面収差が小さいレンズが理想であるので、波面収差と焦点距離を乗じた値が小さいほど好適である。図14を参照すると、電極幅/電極間距離=0.3付近で最小値となり、それ以上では増加する傾向がある。このことから、電極幅/電極間距離=0.3程度の構造が可変焦点レンズとして最適とも考えられる。
しかしながら、図12を参照すると、電極幅/電極間距離=0.3では、焦点距離は30cm程度となり長くなってしまう。波面収差が100nm以下という要求を満たせば、焦点距離が短い方が好適であるので、第2の実施形態においては、電極幅/電極間距離=1〜3ならば、波面収差は許容され、かつ焦点距離も20cm程度に短くすることができる。
(第2の実施形態の実施例1)
図5および6に示したように、電気光学効果を有する単結晶材料としてKTNを用いて、八角柱に加工した基板31を切り出す。基板31の光の入射面および光の出射面の寸法を、y軸方向に7.0mm、z軸方向に3.0mmとし、電極間距離を5.0mmとする。電極面角度θは26.5°とする。このとき、第1および第2の陽極と第1および第2の陰極とは、幅2.2mm、長さ7.0mmの帯状の電極となる。電極は、Ptを蒸着して形成する。
八角柱の基板の全ての面が光学研磨されており、電極を形成した面以外の面は、すべて(100)面に平行である。使用したKTN単結晶は、相転移温度が35℃であったので、これを少し上回る40℃で使用する。この温度での比誘電率は20,000である。
実施例1の可変焦点レンズを、40℃に温度制御した状態で、コリメートした波長633nmのレーザー光を、入射光36として入射面から入射させる。入射光の偏光は直線であり、振動電界の方向はz軸方向である。陽極32と陰極33の第1の電極対、および陽極35と陰極34の第2の電極対のそれぞれに、1kVの電圧を印加する。出射面からの出射光37は、集光されてシリンドリカル凸レンズとして機能する。焦点距離は50cmである。電圧を印加しない場合は、集光効果は無く、焦点距離は無限大である。
図10に示した計算結果と同等の結果を得ることができ、従来と比較して、焦点距離を100cmから50cmと半分にまで短くすることができ、波面収差を300nmから150nmまで小さくすることができる。焦点距離の短距離化と波面収差の劣化とが改善され、1ms以下の高速応答が可能な高性能の可変焦点レンズを提供することができる。
(第2の実施形態の実施例2)
実施例1と同じ八角柱に加工した基板31を用いて、第1の電極対(光の入射面に接する2つの電極)の双方を陽極とし、第2の電極対(光の出射面に接する2つの電極)の双方を陰極として、1kVの電圧を印加する。このとき、出射面からの出射光37は、集光されシリンドリカル凸レンズとして機能する。このときの、焦点距離は56cmであり、実施例1と比較すると長くなっているものの、従来と比較すれば十分に短い。波面収差も70nmまで小さくすることができ、従来の可変焦点レンズよりも高性能の可変焦点レンズを提供することができる。
(第2の実施形態の実施例3)
図5および6に示したように、電気光学効果を有する単結晶材料としてKTNを用いて、八角柱に加工した基板31を切り出す。基板31の光の入射面および光の出射面の寸法を、y軸方向に4.0mm、z軸方向に4.0mmとし、x軸およびz軸に平行な八角形の面(第1の面および第2の面)は、入射面および出射面に接する辺が3.0mm、x軸およびy軸に平行な面と接する辺(すなわち、陽極32(第1の陽極)と陰極34(第2の陰極)の間隔、および陰極33(第1の陰極)と陽極35(第2の陽極)の間隔である電極間距離)が1.0mmである。すなわち、x軸およびy軸に平行な面は、x軸方向に1.0mm、y軸方向に4.0mmとなる。
電極面(第3〜6の面)を光軸に射影した長さ(以下、電極幅という)を1mmとし、電極面角度θを26.5°にする。電極の各辺は、電極面の各辺にそれぞれ平行である。電極は、Ptを蒸着して形成する。
八角柱の基板の全ての面が光学研磨されており、電極を形成した面以外の面は、すべて(100)面に平行である。使用したKTN単結晶は、相転移温度が35℃であったので、これを少し上回る40℃で使用する。この温度での比誘電率は20,000である。
実施例3の可変焦点レンズを、40℃に温度制御した状態で、コリメートした波長633nmのレーザー光を、入射光36として入射面から入射させる。入射光の偏光は直線であり、振動電界の方向はz軸方向である。陽極32と陰極33の第1の電極対、および陽極35と陰極34の第2の電極対のそれぞれに、1kVの電圧を印加する。出射面からの出射光37は、集光されてシリンドリカル凸レンズとして機能する。焦点距離は50cmである。電圧を印加しない場合は、集光効果は無く、焦点距離は無限大である。
図10に示した計算結果と同等の結果を得ることができ、従来と比較して、焦点距離を100cmから20cmと1/5にまで短くすることができ、波面収差を300nmから60nmまで小さくすることができる。焦点距離の短距離化と波面収差の劣化とが改善され、1ms以下の高速応答が可能な高性能の可変焦点レンズを提供することができる。
(第2の実施形態の実施例4)
実施例1と同じ八角柱に加工した基板31を用いて、第1の電極対(光の入射面に接する2つの電極)の双方を陽極とし、第2の電極対(光の出射面に接する2つの電極)の双方を陰極として、1kVの電圧を印加する。このとき、出射面からの出射光37は、集光されシリンドリカル凸レンズとして機能する。このときの、焦点距離は40cmであり、実施例3と比較すると長くなっているものの、従来と比較すれば十分に短い。波面収差も40nmまで小さくすることができ、従来の可変焦点レンズよりも高性能の可変焦点レンズを提供することができる。
(第2の実施形態の実施例5)
なお、第1の電極対(光の入射面に接する2つの電極)を図6に示したように、八角柱の基板の一部の面に取り付け、第2の電極対(光の出射面に接する2つの電極)を図2に示したように、直方体の基板の上下の面に形成してもよい。または、このような電極対の構成を、入射側と出射側とで入れ替えて構成して、断面(第1および2の面)が変形六角形の形状を有してもよい。実施例1と比較すると、焦点距離、波面収差は長くなるものの、従来の可変焦点レンズよりも高性能の可変焦点レンズを提供することができる。
(第3の実施形態)
図15に、本発明の第3の実施形態にかかる可変焦点レンズの構成を示す。基板51は、電気光学効果を有する単結晶材料からなり、y軸方向から見た光軸に平行な断面が十二角形である十二角柱の形状を有している。x軸およびz軸に平行な十二角形の面を第1の面、第1の面に対向する面を第2の面と規定する。十二角形の第1および第2の面に直交する面のうち入射面から入射光56を入射させたとき、入射面に対向する出射面から出射光57が出射される。入射面に接する一方(図中では上側)の側に形成された陽極52(第1の陽極)、および入射面に接する他方(図中では下側)の側に形成された陰極53(第1の陰極)とからなる第1の電極対と、出射面に接する一方の側に形成された陰極54(第2の陰極)、および出射面に接する他方の側に形成された陽極55(第2の陽極)とからなる第2の電極対とを備える。
陽極52,55および陰極53,54のそれぞれは、2面で構成されており、例えば、陽極52は、入射面に接する第3の面と、第3の面に接する第4の面とに形成されている。y軸方向から見た光軸に平行な断面においては、2つの辺から構成されている。
入射光56を、入射面から入射させたとき、第1の電極対の間を透過してから、第2の電極対の間を透過し、第1および第2の電極対の間の印加電圧を変えることにより、出射面から出射された出射光57の焦点を可変することができる。
図16を参照して、屈折率の変調の様子とレンズとしての機能を詳述する。図16は、図15に示した可変焦点レンズの側面をy軸方向から見た様子を示している。陽極52は2面で構成されており、y軸方向から見た光軸に平行な断面において、光軸に対して電極面角度θ1を有する辺を含む第3の面と、電極面角度θ2を有する辺を含む第4の面とからなる。陽極55および陰極53,54のそれぞれについても、光軸に近い方の第3の面、すなわち光の入射面または光の出射面に接する電極面(電極面角度θ1)と、光軸から遠い方の第4の面(電極面角度θ2)の2つの面から、構成されている。
基板51は、4つの電極に電圧を印加しない時には、屈折率が均一であるため、光はそのまま変調を受けずに透過する。従って、レンズの機能はない。4つの電極に電圧を印加した時には、これらの電極の間に、図16に示したような電気力線61が発生する。電気力線61は、陽極52と陰極53との間、陰極54と陽極55との間のみならず、これらの電極の外側にも大きく広がって生成される。図2の従来例と比較すると、第3の実施形態では、電気力線の曲率が大きくなっていることがわかる。電気力線の曲率が大きくなることによって、基板51内部の電界分布が大きくなり、その結果、光の入射面の中心部の屈折率変化に比べて、電極面付近の屈折率変化が大きくなる。
図16の右側には、屈折率変化分の分布を表す屈折率変調曲線62を模式的に示している。屈折率変調曲線62の縦軸は、z軸の座標、横軸は電圧をかけないときからの屈折率の変化分Δnである。図2の従来例と比較すると、第3の実施形態では、z=0(基板31の中心線(光軸)近傍)での屈折率変化と、電極付近の屈折率変化との差が大きくなっている。その結果、屈折率変化分Δnの放物線の曲率が大きくなり、より大きなレンズ効果を発現することができる。
図17に、本発明の第3の実施形態にかかる可変焦点レンズの光路長変調を示す。式1を用いて光電界がz軸方向の場合の光路長変調Δszをプロットしたものである。z=0(光軸)を中心に光路長変調の曲線が放物線(二次関数)とほぼ一致しており、理想的な凸レンズとして機能していることがわかる。図17には、図1に示した従来の可変焦点レンズの光路長変調も合わせて示してある。
第3の実施形態の可変焦点レンズは、x軸方向の最大の長さ、すなわち光の入射面と出射面との間の距離が4.5mmであり、z軸方向の長さが4.0mm、y軸方向の長さが4.5mmである。2つの電極対が形成された面は、y軸方向から見た光軸に平行な断面(第1の面)において、光軸に対して第3の面を構成する辺が成す角、電極面角度θ1を26.5°とし、光軸に対して第4の面を構成する辺が成す角、θ2を12.3°に固定している。各々の電極を構成する2つの辺(第3および第4の面を構成する辺)を、x軸上に射影したときの長さは、それぞれ0.6mm、0.9mmとなる。第1および第2の電極対に印加する印加電圧を1kV、基板51の比誘電を20,000として計算した。
従来技術と比較して、第3の実施形態の可変焦点レンズは、曲率が大きいことがわかる。これは電極付近と結晶中心部の屈折率の差が従来技術よりも大きくなり、その結果、z軸と平行な偏波に対して大きな凸レンズ効果を持つことを示している。
図18に、可変焦点レンズの焦点距離の電極間隔依存性を示す。図17の計算と同じ条件のもと、第3の面の電極面角度θ1=26.5°に固定し、第4の面の電極面角度θ2を変化させ、y軸方向から見た光軸に平行な断面において、各々の電極を構成する2つの辺をz軸に射影したときの値を変化させた。すなわち、z軸方向の電極間距離を変化させたときの焦点距離の変化を数値計算によりプロットした。
図18に示したように、電極間距離が小さくなると焦点距離が小さくなることがわかる。また、図10に示したように、従来の可変焦点レンズの焦点距離が、50cm以上あることから、第3の実施形態では、電極間距離にかかわらず、焦点距離が短くなっていることがわかる。電圧を印加しないときは、レンズ効果を持たないため焦点距離は無限遠であるが、電圧を印加することにより、図18に示した焦点距離まで可変できることを示している。
図19に、可変焦点レンズの波面収差の電極間隔依存性を示す。図18の計算と同じ条件のもと、電極間距離の変化と波面収差の関係を数値計算により算出し、プロットしたものである。電極間距離が大きくなると波面収差の最大値が小さくなる傾向がわかる。また、図11に示したように、従来の可変焦点レンズの波面収差が、300nm以上あることから、第3の実施形態では、電極間距離にかかわらず、波面収差が小さくなっていることがわかる。
図18および図19を参照すると、電極間距離の変化に伴う焦点距離と波面収差の関係も、トレードオフの関係にあり、焦点距離を短くすると波面収差が大きくなる。上述した計算結果によれば、波面収差の最大値が小さく、かつ、焦点距離も小さくできる電極間距離は1.5mmである。また、電極面角度θ1は、波面収差の小さい可変焦点レンズを得るためには20°〜30°が好適である。
(第3の実施形態の実施例1)
図15および図16に示したように、電気光学効果を有する単結晶材料としてKTNを用いて、十二角柱に加工した基板51を切り出す。基板51の光の入射面および光の出射面の寸法を、y軸方向に4.5mm、z軸方向に4.5mmとし、x−y平面に平行な2つの面の寸法は、x軸方向に1.5mm、y軸方向に4.5mmである。光の入射面と光の出射面とにそれぞれ接する電極面(第3の面)は、電極面角度θ1が26.5°であり、y軸方向から見た光軸に平行な断面において、第3の面を構成する辺をx軸上に射影したときの長さは0.6mmである。さらに、第3の面と接する第4の面は、x軸上に射影したときの長さが0.9mmとなるように、電極面角度θ2を設定している。各々の電極面には、Ptを蒸着して電極を形成する。
十二角柱の基板の全ての面が光学研磨されており、電極面以外の面はすべて(100)面に平行である。電極を形成した面以外の面は、すべて(100)面に平行である。使用したKTN単結晶は、相転移温度が35℃であったので、これを少し上回る40℃で使用する。この温度での比誘電率は20,000である。
実施例1の可変焦点レンズを、40℃で温度制御した状態で、コリメートした波長633nmのレーザー光を、入射光56として入射面から入射させる。入射光の偏光は直線であり、振動電界の方向はz軸方向である。陽極52と陰極53の第1の電極対、および陽極55と陰極54の第2の電極対のそれぞれに、1kVの電圧を印加する。出射面からの出射光57は、集光されてシリンドリカル凸レンズとして機能する。焦点距離は30cmである。電圧を印加しない場合は、集光効果は無く、焦点距離は無限大である。
従って、1ms以下の高速応答が可能な印加電圧において、従来の可変焦点レンズと比較すると、図18に示したように、焦点距離の短距離化を図ることができるとともに、図19に示したように、波面収差を小さくすることができる。
(第3の実施形態の実施例2)
実施例1と同じ十二角柱に加工した基板51を用いて、第1の電極対(光の入射面に接する2つの電極)の双方を陽極とし、第2の電極対(光の出射面に接する2つの電極)の双方を陰極として、1kVの電圧を印加する。このとき、出射面からの出射光57は、集光されシリンドリカル凸レンズとして機能する。このときの、焦点距離は40cmであり、実施例1と比較すると長くなっているものの、従来と比較すると優れており、波面収差も70nmまで小さくすることができる。
(第3の実施形態の実施例3)
上述した第3の実施形態では、y軸方向から見た光軸に平行な断面(第1および第2の面)が十二角形である場合について述べた。第1および第2の電極対を構成する4つの電極のそれぞれが、第3および第4の面の2つの面から構成されている。各々の電極が形成されている面を、さらに3以上の面で構成してもよい。すなわち、断面が4(1+n)角形である多角柱の形状を有するようにしてもよい。nを大きくすれば、y軸方向から見た光軸に平行な断面は、4つの辺と、これらを接続する4つの円弧からなる形状、すなわち四角形の4つの角を円弧状に変形した形状を有することになる。
1,21,31,51 基板
2,5,22,25,32,35,52,55 陽極
3,4,23,24,33,34,53,54 陰極
6,26,36,56 入射光
7,27,37,57 出射光

Claims (5)

  1. 電気光学効果を有する単結晶材料からなる基板であって、断面が十二角形である十二角柱の形状を有し、前記十二角柱を形成する14面のうち、前記断面と平行である第1の面に直交する面のうちの1つである入射面から光を入射させたとき、前記入射面に対向する出射面から光が出射される、基板と、
    前記入射面に接する一方の第3の面および前記第3の面に接する第4の面に形成された第1の陽極と、前記入射面に接する他方の第5の面および前記第5の面に接する第6の面上に形成された第1の陰極とからなる第1の電極対と、
    前記出射面に接する一方の第7の面および前記第7の面に接する第8の面に形成された第2の陰極と、前記出射面に接する他方の第9の面および前記第9の面に接する第10の面上に形成された第2の陽極とからなる第2の電極対とを備え、
    前記入射面から光を入射させたとき、前記第1の電極対の間を透過してから、前記第2の電極対の間を透過し、前記第1および第2の電極対の間の印加電圧を変えることにより、前記出射面から出射された光の焦点を可変することを特徴とする可変焦点レンズ。
  2. 電気光学効果を有する単結晶材料からなる基板であって、断面が十二角形である十二角柱の形状を有し、前記十二角柱を形成する14面のうち、前記断面と平行である第1の面に直交する面のうちの1つである入射面から光を入射させたとき、前記入射面に対向する出射面から光が出射される、基板と、
    前記入射面に接する一方の第3の面および前記第3の面に接する第4の面に形成された第1の陽極と、前記出射面に接する一方の第7の面および前記第7の面に接する第8の面に形成された第1の陰極とからなる第1の電極対と、
    前記入射面に接する他方の第5の面および前記第5の面に接する第6の面上に形成された第2の陽極と、前記出射面に接する他方の第9の面および前記第9の面に接する第10の面上に形成された第2の陰極とからなる第2の電極対とを備え、
    前記入射面から光を入射させたとき、前記第1および第2の陽極の間を透過してから、前記第1および第2の陰極の間を透過し、前記第1および第2の電極対の間の印加電圧を変えることにより、前記出射面から出射された光の焦点を可変することを特徴とする可変焦点レンズ。
  3. 前記基板の前記第1の面において、光軸に対して前記第3、第5、第7および第9の面を構成する辺が成す角は、20°〜30°であることを特徴とする請求項またはに記載の可変焦点レンズ。
  4. 前記単結晶材料は、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTN:KTa1-xNbx3、0<x<1)であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の可変焦点レンズ。
  5. 前記単結晶材料は、結晶の主成分が、周期律表Ia族とVa族から構成されており、Ia族はカリウムであり、Va族はニオブ、タンタルの少なくとも1つを含み、添加不純物としてカリウムを除く周期律表Ia族またはIIa族の1または複数種を含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の可変焦点レンズ。
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