JP6345015B2 - 管路内への診断装置挿入器具 - Google Patents
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Description
本発明の管路内への診断装置挿入器具は、ケーブルと、保護チューブと、診断装置とを含む。ケーブルは、少なくとも1本設けられる。保護チューブは、ケーブルを収容する。保護チューブ内には、保護チューブとケーブルとの間に気体相が設けられる。さらに、保護チューブの軸方向に垂直な断面において、保護チューブの内部空間の断面積に対する気体相の断面積の割合は、30%以上95%以下である。
気体相は、管路内において保護チューブが外部から受ける圧力以上の圧力を有する気体で構成されてよい。
少なくとも1本のケーブルは、剛性ケーブルを含むことができる。
この場合、剛性ケーブルが芯となって、保護チューブ全体に耐屈曲性を付与することができる。このため、管内への押し込み挿入が容易であるため、長距離挿入も容易になる。
保護チューブは、管路への挿入口を止水するパッキンを摺動可能に貫通していてよい。
この場合、管路への挿入口を開放することなく、保護チューブの外周面でパッキンの貫通孔をシールしたまま診断装置の管内軸方向の位置を動かすことができる。したがって、圧力管路であっても好ましく適用される。
図1に、第1実施形態の診断装置挿入器具の一例を模式的に示す。図1に示す診断装置挿入器具100は、診断装置110、ケーブル部120、およびリール部130を含む。診断装置挿入器具100は、図1に示されるように水道用の配管900に適用される。つまり、診断装置挿入器具100は、配管900の補修弁910の挿入口911から、不断水の状態で管路920内へ挿入され、管路920の漏水箇所929の位置を特定するために用いられる。
診断装置挿入器具100の診断装置110は、音響センサユニットであり、漏水箇所929の漏水音を検知する。この音響センサユニットにはカメラが搭載されていてよい。但し、音響診断に悪影響を及ぼす駆動機構を持たない。その他、レシーバユニット、ヘッドホン、パソコンなど、診断装置110の使用に付随する機器(図示せず)が、ケーブル部120の先に適宜接続されている。
診断装置110は、上述の他、当業者によって適宜選択可能な、診断内容に応じたセンサユニットで構成されてよい。その場合においても、診断装置110は、自走機構などの駆動機構を有さないものであってよい。
ケーブル部120は、保護チューブ121、通信ケーブル122および剛性ケーブル125を含む。具体的には、図1中、円囲み部に一部切欠図として示されるように、保護チューブ121の中に、通信ケーブル122と剛性ケーブル125とが収容されている。図2に、ケーブル部120の軸方向に垂直な断面で切った場合の断面図を模式的に示す。なお、通信ケーブル122の断面の詳細は省略する。図2に示すように、保護チューブ121の内壁と、通信ケーブル122および剛性ケーブル125との間には気体相GPが設けられている。
気体相GPが設けられることにより、ケーブル部120全体として実質的に比重が1となるように中性浮力状態となる。具体的には、確保されるべき気体相GPの量は、図2のように保護チューブ121の軸方向の断面で切断した場合に、保護チューブ121の内部空間の断面に対し、当該気体相の断面積の割合が30%以上95%以下、好ましくは35%以上50%以下である。気体相GPの当該断面積の割合が上記下限値以上であることによって、図1に示したように、管路920内でケーブル部120を浮かせ易くなり、管路920内壁の下部へケーブル部120表面が接触しにくくなる。気体相GPの当該断面積の割合が上記上限値以下であることによって、管路920内壁の上部へケーブル部120表面が接触しにくくなる。
ケーブル部120は、上述のとおり管路920内で中性浮力状態であるが、管路920を進行している時は、時折、管路920の内壁に接触しうる。このため、ケーブル部120の最外周部を構成する保護チューブ121は、外周表面の摩擦抵抗が小さくなるように構成されることが好ましい。これにより、管路920内の水質への悪影響を抑制することができる。
より具体的には、保護チューブ121は、たとえばフッ素樹脂(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))およびポリエチレンから選択される材料で構成されることができる。
通信ケーブル122は、電力線通信ケーブル(PLC)であることが好ましいが、別途独立した電給ケーブルが保護チューブ121内に収容されていてもよい。適切な体積の気体相GPが確保される限りケーブルの数は問わないため、診断装置110の構成などに応じてさらに別のケーブルが収容されていてもよい。本発明においては、上述のとおり、ケーブル部120を、管路920内で中性浮力状態とするため、管路920内からの引張り操作を容易にするための抗張力ケーブルは必ずしも要しない。しかしながら、本発明は、抗張力ケーブルがさらに保護チューブ内に収容されていることも許容する。
複数のケーブルは互いに拘束されることなく独立し、それぞれに、保護チューブ121の中で軸方向および回転方向の想定位置を自在に変えることができる。
剛性ケーブル125は、ケーブル部120全体に剛性を付与することによって、上述のように管路920内でケーブル部120が中性浮力状態であっても、管路920内で推進を容易にすることができる。
剛性ケーブルに125に求められる剛性は、たとえば曲げ剛性が3×105N・mm2以上70×105N・mm2以下、好ましくは6×105N・mm2以上15×105N・mm2以下である。上記下限値以上であることは、診断装置110の管路920内への押し込み操作を容易にする点で好ましい。上記上限値以下であることは、リール部130における巻取り半径が過大とならない点で好ましい。なお、上記曲げ剛性は、JIS K 7203に準拠して得られる測定値である。
剛性ケーブル125の外径は、所望の剛性が担保され、かつ他のケーブル類が占める体積との関係で、保護チューブ121の内部空間において所望の気体相GPが確保される限り特に限定されるものではなく、剛性ケーブル125の密度等を考慮して管路920内でケーブル部120が中性浮力状態となることが可能となるよう、当業者が適宜決定することができる。たとえば、当該外径は4mm以上11mm以下、本実施形態では6.5mmである。
本発明の診断装置挿入器具100によって、剛性ケーブル125により良好な押し込み容易性が得られるため、配管900の補修弁910と、当該補修弁910に最も近い他の補修弁との距離は、比較的長いことが好ましい。たとえば、当該距離は50m以上600m以下、好ましくは100m以上300m以下である。全長が上記下限値以上であることにより、剛性ケーブル125の使用によってもたらされる本発明の効果(良好な押し込み操作性)の観点で有用性が高く、上記上限値以下であることにより、良好な押し込み操作性を維持しやすい。本実施形態では、補修弁間の距離は300mである。
図3に、第2実施形態の診断装置挿入器具の一例を模式的に示す。以下の実施形態においては、主に第1実施形態と異なる点について説明し、同一点については説明を省略する。なお、図3においては、第1実施形態のリール部130を図示省略している。
第2実施形態の図3に示したケーブル部120に接続されたコンプレッサ150は、第1実施形態においても適用することができる。つまり、気体相GP(図2参照)が、保護チューブ121が外部から受ける圧力(つまり、管路920の内圧)以上の圧力を有する気体で構成されるように、保護チューブ121内に気体が圧入されていてもよい。
実施形態および変形例における診断装置挿入器具100,100aは、請求項における「管路内への診断装置挿入器具」に相当し、診断装置110は「診断装置」に相当し、保護チューブ121は「保護チューブ」に相当し、剛性ケーブル125,125bは「剛性ケーブル」に相当し、パッキン200は「パッキン」に相当し、挿入口911aは「挿入口」に相当し、管路920,920aは「管路」に相当し、気体相GPは「気体相」に相当する。
110 診断装置
121 保護チューブ
125,125b 剛性ケーブル
200 パッキン
911a 挿入口
920,920a 管路
GP 気体相
Claims (4)
- 少なくとも1本のケーブルと、
前記ケーブルを収容する保護チューブと、
前記ケーブルの先端に接続された診断装置と、を含み、
前記保護チューブの内部において、前記保護チューブと前記ケーブルとの間に気体相が設けられ、
前記保護チューブに対して前記ケーブルは固定されないものとし、
前記保護チューブの軸方向に垂直な断面において、前記保護チューブの内部空間の断面積に対する前記気体相の断面積の割合が30%以上95%以下である、管路内への診断装置挿入器具。 - 前記気体相が、管路内において前記保護チューブが外部から受ける圧力以上の圧力を有する気体で構成される、請求項1に記載の管路内への診断装置挿入器具。
- 前記少なくとも1本のケーブルが、剛性ケーブルを含む、請求項1または2に記載の管路内への診断装置挿入器具。
- 前記保護チューブが、管路への挿入口を止水するパッキンを摺動可能に貫通する、請求項1から3のいずれか1項に記載の管路内への診断装置挿入器具。
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