JP6150426B2 - 浮遊ケーブル - Google Patents
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Description
本発明の実施形態1に係る浮遊ケーブルは、図1に示すように、固定部1、3の間の水中、例えば海水や湖水の中に布設されたケーブル本体5及び複数の中間部材7を備える。ケーブル本体5は、両端が固定部1、3の接続端10、12にそれぞれ接続される。固定部1、3は、例えば海上や湖上に設けられた発電設備や変電設備などである。この発電設備や変電設備の内部に接続端10、12が設けられていても良い。中間部材7は、ケーブル本体5の両端の間に互いに離間して配置される。実施形態1に係る浮遊ケーブルは、真水や海水に対するケーブル本体5の比重を1より小さくし、真水や海水に対する中間部材7の比重を1よりも大きくする。
以下の説明においては、対象とする部材の真水や海水に対する比重のことを、単に「比重」と説明する場合がある。
実施形態1のケーブル本体5は、比重が1よりも小さければどのようなケーブルであっても良い。例えば以下に説明するケーブル本体5を採用することができる。
図2は実施形態1で用いられるケーブル本体5の横断面図である。ケーブル本体5はケーブル本体5の外被となるジャバラ管51と、ジャバラ管に51に内蔵された内蔵ケーブル52とによって構成されている。
図3はケーブル本体5の縦断面図であり、図2のIII−III'に対応した断面図である。ジャバラ管51は防水性を備えたプラスチック製または金属製の管(チューブ)である。管本体が凹凸構造を備えたジャバラ構造となっており、可撓性、伸縮性を備えている。
実施形態1の中間部材7は比重が1よりも大きく、水中に沈む部材である。中間部材7は、単位体積当たりの重量が1×103kg/m3よりも大きく、例えば、ブロック状のコンクリート製や金属製の錘である。実施形態1においては、複数の中間部材7は、ケーブル本体5の長手方向に沿って一定の間隔で固定されている。
図1に示すように、上述したケーブル本体5と中間部材7を、固定部1、3の接続端10、12の間の水中に布設する。布設されたケーブル本体5と中間部材7からなる浮遊ケーブルは、接続端10、12を固定端として支持されており、水中において蛇行した姿勢を維持し浮遊している。
実施形態1においては、中間部材7は比重が1よりも大きく、ケーブル本体5は比重が1よりも小さい部材で構成されている。中間部材7は比重が1よりも大きいため水底方向へ沈み、ケーブル本体5は比重が1よりも小さいので水面方向へ浮上する。本実施形態では、中間部材7が沈もうとする力とケーブル本体5が浮上しようとする力とが均衡しており、浮遊ケーブル全体が水中に浮遊することができる。
図4は、浮遊ケーブル全体のうち任意の布設区間Lに含まれるケーブル本体5および中間部材7と、各々に作用する浮力および重力を示した図である。図4に示した布設区間Lは蛇行した浮遊ケーブルの1周期分に相当し、蛇行形状の任意の頂点から隣の頂点までの区間である。布設区間Lの中央には中間部材7が配置されている。
図4中の矢印F1は、布設区間Lに含まれるケーブル本体5に対して作用する浮力を示している。矢印G1は、ケーブル本体5に対して作用する重力を示している。浮力F1は水上面方向へ作用する力であり、重力G1は、水底面方向へ作用する力である。浮力F1はケーブル本体5の体積V1と同じ体積の水の重力と同じである。重力加速度の定数を9.8[m/s2]とすると、浮力F1および重力G1は、次のように算出される。
浮力F1=V1[m3]×103[kg/m3]×9.8[m/s2]
重力G1=M1[kg]×9.8[m/s2]
ケーブル本体5の比重は1よりも小さいため、重力G1よりも浮力F1の方が大きい。したがって、任意の布設区間Lに含まれるケーブル本体5に作用する浮力F1と重力G1の合力P1(P1=F1−G1)は、水上面方向の力となる。
浮力F2=V2[m3]×103[kg/m3]×9.8[m/s2]
重力G2=M2[kg]×9.8[m/s2]
中間部材7の比重は1よりも大きいため、中間部材7に作用する力は浮力F2よりも重力G2の方が大きい。したがって、布設区間Lに含まれる中間部材7に作用する浮力F2と重力G2の合力P2(P2=F2−G2)は、水底面方向の力となる。
さらに浮遊ケーブル全長に作用する水上面方向の力P1の総和と、水底面方向の力P2の総和とが均衡すれば、浮遊ケーブル全体が水上面まで浮上したり海底面に沈降したりすることなく、水中で浮遊することができる。
実施形態1においては、中間部材7はケーブル本体5の長手方向に一定の間隔で配置することが好ましい。中間部材7の配置が一定間隔であれば水中での蛇行姿勢がより安定し、海の波浪や潮流などによる動揺により効果的に対応することができる。仮に中間部材7同士の間隔が一定でない場合は、水中における蛇行姿勢が崩れて大きな波浪や潮流などによる動揺に対応しにくくなる。例えば、中間部材7同士の間隔が狭すぎる箇所があると、ケーブル本体5は小さな曲率で曲がってしまい、その箇所に応力負荷が集中してしまうという問題が生じる。
さらに実施形態1においては、複数の中間部材7は、各々のサイズや重量が揃っているとよい。複数の中間部材7のサイズ、重量を揃えることで、図1に示すように、ケーブル本体5は水面に並行し、一定の周期で上下に蛇行した状態となる。このようにすることで、海の大きな波浪や潮流などによる動揺に対してより効果的に対応することができる。
例えばケーブル本体5については、ジャバラ管としてCD管(JIS C 8411 合成樹脂性可とう電線管、呼径16mm)、内蔵ケーブルとして電力ケーブル(JIS C 3605、600V CV 1c 14mm2) 、を採用することができる。そして、所定の重量の中間部材7(例えば銅製の錘)を0.7mのピッチでジャバラ管に固定する。これにより、水中において蛇行する浮遊ケーブルが作製された。布設区間の直線距離に対して、蛇行した状態での浮遊ケーブルは、1.04倍の長さとなった。
なお、ケーブル本体5を水上面と水底面の中間に浮遊しているものであり、海底や湖底などの水底まで布設する従来の方式に比べて短いケーブル長で布設することができ、占有する水域も低減することができる。更に、敷設水域が狭まることで、不測の漂流物などによりケーブル本体5が切断される可能性も低減することができる。
本発明の実施形態2に係る浮遊ケーブルは、図5に示すように、固定部1、3の接続端10、12の間の水中に布設されたケーブル本体5及び複数の中間部材7を備える。実施形態2では、ケーブル本体5の比重が1よりも大きく、中間部材7の比重が1よりも小さい点が実施形態1と異なる。
実施形態2のケーブル本体5は、比重が1よりも大きければどのようなケーブルであっても良い。
図6は、浮遊ケーブル全体のうち任意の布設区間Lに含まれるケーブル本体5および中間部材7と、各々に作用する浮力および重力を示した図である。図6に示した布設区間Lは蛇行した浮遊ケーブルの1周期分に相当し、蛇行形状の任意の頂点から隣の頂点までの区間である。布設区間Lの中央には、中間部材7が配されている。
図6中の矢印F1は、布設区間Lに配されたケーブル本体5に対して作用する浮力を示している。矢印G1は、ケーブル本体5に対して作用する重力を示している。浮力F1は水上面方向へ作用する力であり、重力G1は、水底面方向へ作用する力である。浮力F1は、ケーブル本体5の体積V1と同じ体積の水の重力と同じである。重力加速度の定数を9.8[m/s2]とすると、浮力F1および重力G1は、次のように算出される。
浮力F1=V1[m3]×103[kg/m3]×9.8[m/s2]
重力G1=M1[kg]×9.8[m/s2]
ケーブル本体5の比重は1よりも大きいため、浮力F1よりも重力G1の方が大きい。したがって、布設区間Lに含まれるケーブル本体に作用する浮力F1と重力G1の合力P1(P1=F1−G1)は水底面方向の力となる。
浮力F2=V2[m3]×103[kg/m3]×9.8[m/s2]
重力G2=M2[kg]×9.8[m/s2]
中間部材7の比重は1よりも小さいため、中間部材7に作用する力は重力G2よりも浮力F2の方が大きい。したがって、布設区間Lに含まれる中間部材7に作用する浮力F2と重力G2の合力P2(P2=F2−G2)は、水上面方向の力となる。
さらに遊ケーブル全長の水上面方向の力P1の総和と水底面方向の力P2の総和とが均衡すれば、浮遊ケーブルは水上面まで浮上したり海底面に沈降したりすることなく、水中に浮遊することができる。
また、中間部材7はケーブル本体5の長手方向に一定の間隔で配置することが好ましい。中間部材7の配置が一定間隔であれば水中での蛇行姿勢がより安定し、海の波浪や潮流などによる動揺により効果的に対応することができる。仮に中間部材7同士の間隔が一定でない場合は、水中における蛇行姿勢が崩れて大きな波浪や潮流などによる動揺に対応しにくくなる。例えば、中間部材7同士の間隔が狭すぎる箇所があると、ケーブル本体5は小さな曲率で曲がってしまい、その箇所に応力負荷が集中してしまうという問題が生じる。
さらに、複数の中間部材7は、各々のサイズや重量が揃っているとよい。複数の中間部材7のサイズ、重量を揃えることで、図1に示すように、ケーブル本体5は水面に並行し、一定の周期で上下に蛇行した状態となる。このようにすることで、海の大きな波浪や潮流などによる動揺に対してより効果的に対応することができる。
実施形態3に係る浮遊ケーブルは、図7に示すように、固定部1、3の接続端10、12の間に布設されたケーブル本体5及び補助部材9で互いに連結された複数の中間部材7を備える。中間部材7は、ケーブル本体5の蛇行曲線の節に相当する部分に配置される。ケーブル本体5を蛇行させるために、補助部材9の長さは、隣接する中間部材7間のケーブル本体5の長さよりも短くする。補助部材9として、ばねやゴムなどの弾性変形する部材が用いられる。
例えば、浮遊ケーブル全体の比重を1よりも小さくすれば、水面又はその近傍に浮遊した状態となる。浮遊ケーブル全体の比重を1よりも大きくすれば、自重で水中にカテナリーを描いた状態となる。いずれの場合でも、ケーブル本体5を蛇行させて布設することができる。
上記のように、本発明の実施の形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者にはさまざまな代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
5…ケーブル本体
51…ジャバラ管
52…内蔵ケーブル
53…中心導体
54…絶縁体
55…ケーブル線心
56…ケーブルシース
57…空間
58…密栓構造
7…中間部材
9…補助部材
10、12…接続端
Claims (3)
- 水の中で用いられる浮遊ケーブルであって、
ケーブル本体と、
前記ケーブル本体が前記水の中で蛇行するように、前記ケーブル本体の両端の間に互いに離間して配置された複数の中間部材
とを備え、
隣接する前記中間部材同士が、前記隣接する前記中間部材間の前記ケーブル本体の長さよりも短い長さの補助部材により互いに連結されていることを特徴とする浮遊ケーブル。 - 前記ケーブル本体は前記水に対する比重が1よりも小さく、
前記中間部材は前記水に対する比重が1よりも大きく、
前記ケーブル本体に作用する鉛直上向きの力の総和と、前記中間部材に作用する鉛直下向きの力の総和とが、均衡していることを特徴とする請求項1に記載の浮遊ケーブル。 - 前記ケーブル本体は前記水に対する比重が1よりも大きく、
前記中間部材は前記水に対する比重が1よりも小さく、
前記ケーブル本体に作用する鉛直下向きの力の総和と、前記中間部材に作用する鉛直上向きの力の総和とが、均衡していることを特徴とする請求項1に記載の浮遊ケーブル。
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