JP6344741B2 - 使用温度推定方法およびクリープ寿命推定方法 - Google Patents

使用温度推定方法およびクリープ寿命推定方法 Download PDF

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Description

本発明は、高温環境下で使用された金属の使用温度を推定する使用温度推定方法および当該金属のクリープ寿命を推定するクリープ寿命推定方法に関する。
高温環境下で長時間運転される機械部品の使用温度推定方法およびクリープ寿命推定方法として、様々な方法が知られている。例えば、金属の使用温度推定方法として、スケール厚さを観察して使用温度を推定する方法、組織観察または析出物の抽出により使用温度を推定する方法などが挙げられる。また、金属のクリープ寿命推定方法として、既知の応力、温度および使用時間に基づいて金属のクリープ損傷程度を推定する方法が挙げられる。
また特許文献1には、焼き戻しマルテンサイト鋼の高温損傷評価方法が開示されている。
特許第3486315号公報
しかしながら、スケール厚さ、組織観察または析出物の抽出により使用温度を推定する方法は、使用温度の推定に時間がかかり、また機械部品が使用される現地においての評価が困難である。また、既知の応力、温度および使用時間に基づいて金属のクリープ損傷程度を推定する方法は、実際の使用温度を精度よく推定できなければ、クリープ寿命の推定誤差が大きくなる。
本発明の目的は、高温環境下で使用された金属の使用温度、またはクリープ寿命を、機械部品が使用される現地において、精度良く評価することができる使用温度推定方法およびクリープ寿命推定方法を提供することにある。
第1の態様は、一定の電位を有する対極と共に電解溶液に浸された解析対象金属の電位を、析出物が溶解する所定の電位で、前記電解溶液の電流密度の変化速度が所定値以下になる時刻まで保持する電位保持ステップと、前記電位保持ステップで前記解析対象金属に掛かった電気量を特定する電気量特定ステップと、析出物の溶解に要する電気量と金属の使用時間と金属の使用温度と金属の歪みに関する物理量との関係を示す関係情報、特定した前記電気量前記解析対象金属が高温環境下で使用された使用時間、および前記解析対象金属の歪みに関する物理量に基づいて、前記解析対象金属の使用温度を推定する使用温度推定ステップとを有する使用温度推定方法である。
また、第2の態様は、第1の態様において、前記解析対象金属の電位を変化させたときに、電流値のピークが生じる電位を特定するピーク特定ステップをさらに備え、前記電位保持ステップでは、前記解析対象金属の電位を、前記ピーク特定ステップで特定した電位で保持する使用温度推定方法である。
また、第3の態様は、第2の態様において、前記ピーク特定ステップで特定した電位に基づいて前記解析対象金属の析出物を特定するステップをさらに有する使用温度推定方法である。
また、第5の態様は、第1から第4の何れかの態様において、底部に開口を有するセル筐体を前記解析対象金属上に取り付け、前記セル筐体と前記解析対象金属とに囲まれた空間に前記電解溶液を溜め、前記電解溶液に前記対極を浸すセル作成ステップをさらに有する使用温度推定方法である。
また、第6の態様は、第2の態様において、特定した複数の前記電位ごとに、前記電解溶液の電流密度の変化速度が所定値以下になるまで、当該電位で前記解析対象金属の電位を保持する測定ステップを有し、前記電気量特定ステップでは、前記測定ステップにおける測定の間の電流値を時間積分することで前記電気量を特定する使用温度推定方法である。
また、第7の態様は、第1から第5の何れかの態様において、前記電気量特定ステップでは、特定した少なくとも1つの前記電位についての前記電気量を特定し、前記使用温度推定ステップでは、ピークが生じる電位ごとの前記関係情報のうち、特定した前記電位に関連付けられた前記関係情報を用いて前記解析対象金属の使用温度を推定する使用温度推定方法である。
また、第8の態様は、第1から第7の何れかの態様に係る使用温度推定方法で推定した解析対象金属の使用温度と、前記解析対象金属の使用時間と、前記解析対象金属の析出物量と、前記解析対象金属の作用応力とに基づいて、前記金属のクリープ寿命を推定するクリープ寿命推定方法である。
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、解析対象金属が使用される現地にて、精度よく使用温度またはクリープ寿命を推定することができる。
一実施形態に係る種類データの一例である。 一実施形態に係る析出量データの一例である。 一実施形態に係る電気量データの一例である。 一実施形態に係る分析装置の構成を示す断面図である。 一実施形態に係る使用温度推定方法を示すフローチャートである。 解析対象金属の電位と解析対象金属に流れた電流との関係を示す画面例である。 定電位ステップ法による電解の例を示す図である。
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
高温で使用される金属材料は、高温環境下にて長時間使用されると、微視的な組織変化が生じる。例えば、フェライト系材料においては、組織変化として、パーライトまたはベイナイトの分解、炭化物の凝集、およびラベス相の形成が生じる。また例えば、オーステナイト系材料においては、組織変化として、組織変化として炭化物の形成、凝集、または経時変化に伴う粗大化、σ相の形成、および不純物の粒界偏析が生じる。金属材料の使用時間および使用温度によって析出物の種類および析出量が異なる。
本実施形態に係る使用温度推定方法およびクリープ寿命推定方法は、金属材料の電気化学的解析により当該金属材料に生じている組織変化を特定し、当該金属材料の使用温度およびクリープ寿命を特定するものである。
本実施形態に係る使用温度推定方法およびクリープ寿命推定方法を実施する前に、予め、金属材料の使用温度と使用時間と析出物の種類との関係を示す種類データ、金属材料の使用温度と使用時間と析出物の面積割合との関係を示す析出量データ、金属材料の使用温度と使用時間と析出物の種類毎の面積割合との関係を示す種類別析出量データ、析出物の面積割合と析出物をすべて溶解するのに必要な電気量との関係を示す電気量データ、析出物の種類毎の面積割合と当該析出物をすべて溶解するのに必要な電気量との関係を示す種類別電気量データ、析出物の種類と当該析出物が溶解する電位との関係を示すピークデータ、および使用時間と使用温度と析出物の面積割合と作用応力とクリープ寿命との関係を示すクリープデータを用意しておく。
図1は、一実施形態に係る種類データの一例である。
図1に示す種類データは、縦軸を使用温度とし横軸を使用時間とする平面における、オーステナイト系ステンレス鋼における析出物の種類の分布を示すデータである。図1に示す種類データによると、例えば、800℃の環境下で1000時間使用されたオーステナイト系ステンレス鋼には、炭化物M23(Mは金属元素)およびその他の析出物Xが析出し、さらにラベス(Laves)相が形成されることが分かる。当該種類データは、金属材料の種類ごとに用意される。
図2は、一実施形態に係る析出量データの一例である。
図2において、縦軸は析出物の面積割合を示し、横軸は金属材料の使用時間を示す。析出量データは、金属材料の使用温度毎に、金属材料の使用時間による析出物の面積割合の変化を示す。析出量データは、高温環境下で使用された複数の金属材料を分析することで、使用温度と使用時間と析出物の面積割合とを示す実測データを収集し、重回帰分析などの手法により使用時間と析出物の面積割合との関係を使用温度ごとに求めることで、生成することができる。
また、高温環境下で使用された複数の金属材料を分析し、析出物の種類ごとに使用時間と析出物の面積割合との関係を使用温度ごとに求めることで、種類別析出量データを生成することができる。
図3は、一実施形態に係る電気量データの一例である。
図3において、縦軸は電気量を示し、横軸は析出物の面積割合を示す。電気量データは、析出物が析出した金属材料を定電位ステップ法によって電解する場合における、析出物の面積割合に対する全ての析出物を溶解するのに必要な電気量の関係を示す。アノード電位を一定の走査速度(例えば、0.1〜1.0mV/sec)で、析出物が溶解する電位に段階的に上げることで、析出物を溶解させる方法である。電気量データは、高温環境下で使用された複数の金属材料を定電位ステップ法によって電解することで、析出物の面積割合と電気量とを示す実測データを収集し、重回帰分析などの手法により析出物の面積割合と電気量との関係を使用温度ごとに求めることで、生成することができる。
また、高温環境下で使用された複数の金属材料を分析し、析出物の種類ごとに当該析出物の面積割合と定電位電解法により当該析出物を溶解するのに必要な電気量の関係を使用温度ごとに求めることで、種類別析出量データを生成することができる。定電位電解法は、アノード電位を溶解対象の析出物が溶解する電位に設定することで当該析出物を溶解させる方法である。
なお、析出量データと電気量データの組み合わせは、析出物の溶解に要する電気量と金属の使用時間と金属の使用温度との関係を示す関係情報の一例である。また、種類別析出量データと種類別電気量データの組み合わせも、同様に関係情報の一例である。
次に、本実施形態に係る使用温度推定方法に用いる分析装置について説明する。
図4は、一実施形態に係る分析装置の構成を示す断面図である。
分析装置1は、解析対象金属Mを電解溶液に浸して電位を与えることで、析出物を溶解し、溶解に要した電気量を特定する。解析対象金属Mの例としては、火力プラント、化学プラント、ガスタービン、または舶用ボイラなどに用いられる配管が挙げられる。
分析装置1は、セル筐体101、対極102、参照極103、ポテンショスタット104、および制御装置105を備える。
セル筐体101は、電解溶液を溜めるための容器である。セル筐体101の底面は、解析対象金属Mの解析対象範囲の表面と同じ曲率を有している。セル筐体101は、底面に対して垂直に設けられ、セル筐体101の内部を第一室112と第二室113とに仕切る液絡部111を備える。液絡部111は、電気的接続を確保しつつ、第一室112と第二室113との間の電解溶液の混合を防ぐ仕切り板である。液絡部111は、例えば、ガラス製もしくはセラミックス製の多孔質板、半透膜、またはイオン交換膜によって構成されることができる。第一室112の底面には開口が設けられる。これにより、セル筐体101を解析対象金属Mに接着させて第一室112に電解溶液を満たすことで、解析対象金属Mの一部を電解溶液に浸すことができる。セル筐体101の第二室の底面には開口が設けられない。
対極102は、セル筐体101の第一室112に満たされた電解溶液に浸される電極である。対極102としては、例えばプラチナ電極を用いることができる。
参照極103は、セル筐体101の第二室113に満たされた電解溶液に浸される電極である。参照極103としては、例えば銀−塩化銀電極を用いることができる。
ポテンショスタット104は、電圧を測定および制御し、ならびに電流を測定する装置である。ポテンショスタット104は、解析対象金属Mと対極102との間に所定の電位を与える。ポテンショスタット104は、解析対象金属Mと参照極103との間の電圧を測定する。ポテンショスタット104は、解析対象金属Mに流れる電流を測定する。
制御装置105は、作業者の指示に従ってポテンショスタット104を制御する。また制御装置105は、ポテンショスタット104が測定した電圧および電流を表示する。
次に、本実施形態に係る使用温度推定方法について説明する。
図5は、一実施形態に係る使用温度推定方法を示すフローチャートである。
まず、作業者は、高温環境下に曝された解析対象金属Mにおける評価対象範囲の表面を、研磨し、および洗浄する(ステップS1)。次に、作業者は、解析対象金属Mにセル筐体101を設置する(ステップS2)。具体的には、作業者は、解析対象金属Mの表面に、セル筐体101の底面を当接させ、解析対象金属Mとセル筐体101との隙間にシール材を充填する。次に、作業者は、セル筐体101の第一室112および第二室113に電解溶液を充填する(ステップS3)。これにより、作業者は、解析対象金属Mのサンプルを採取することなく、解析対象金属Mが使用される現地において解析対象金属Mを電解溶液に充填することができる。電解溶液としては、例えばKOH溶液、NaMoO溶液、またはHSO溶液などを用いることができる。次に、作業者は、第一室112に対極102を浸し、第二室113に参照極103を浸す(ステップS4)。次に、作業者は、解析対象金属M、対極102および参照極103を、導線でポテンショスタット104に接続する(ステップS5)。
次に、作業者は、制御装置105を操作し、ポテンショスタット104に、解析対象金属Mの電位を一定の電位掃引速度(例えば、1〜10mV/min)で分極する指示を出力する(ステップS6)。これによりポテンショスタット104は、解析対象金属Mの電位を一定の電位掃引速度で分極する。つまり、ポテンショスタット104は、アノード分極法により析出物の解析を行う。ポテンショスタット104は、解析対象金属Mの電位と、解析対象金属Mに流れた電流との関係を制御装置105に出力する。制御装置105は、解析対象金属Mの電位と、解析対象金属Mに流れた電流との関係を表示する(ステップS7)。
図6は、解析対象金属の電位と解析対象金属に流れた電流との関係を示す画面例である。
制御装置105は、図6に示すように、解析対象金属Mの電位と解析対象金属Mに流れた電流の電流値との関係を示すグラフを表示する。このとき、作業者は、制御装置105に表示されたグラフから、電流の極大値(ピーク)が生じる電位を特定する(ステップS8)。次に、作業者は、予め用意していた、析出物の種類と当該析出物が溶解する電位との関係を示すピークデータを参照し、特定した電位に基づいて、解析対象金属Mに生じた析出物の種類を特定する(ステップS9)。例えば、図6に示すグラフが得られた場合、作業者は、ピークデータを参照して電位V1、V2およびV3に対応する析出物を特定する。
次に、作業者は、予め用意していた、金属材料の使用温度と使用時間と析出物の種類との関係を示す種類データ(図1)を参照し、解析対象金属Mの使用時間とおおよその使用温度とに基づいて、解析対象金属Mに生じていると考えられる析出物の種類を特定する(ステップS10)。次に、作業者は、ステップS9で特定した析出物の種類とステップS10で特定した析出物の種類とが一致するか否かを判定する(ステップS11)。
作業者は、ステップS9で特定した析出物の種類とステップS10で特定した析出物の種類とが一致しない(過不足がある)と判定した場合(ステップS11:NO)、分析装置1を用いて、析出物の定電位ステップ法による電解を開始する(ステップS12)。
図7は、定電位ステップ法による電解の例を示す図である。
具体的には、制御装置105は、解析対象金属Mの電位を所定の走査速度(例えば、0.1〜0.5mV/sec)で走査し、図7に示すように、生じ得るすべての析出物に対応する各電位において電流密度が一定値に漸近するまで当該電位を保持するようにポテンショスタット104を制御する。電流密度が一定値に漸近することは、電流密度の変化速度が所定値以下になることと等価である。各電位は、例えばピークデータに記録された全ての電位であっても良いし、ピークデータに記録された電位のうち、ステップS10で特定した析出物に関連付けられたものであっても良い。これにより、ポテンショスタット104は、析出物を電解する。
そして、制御装置105は、ポテンショスタット104から解析対象金属Mに流れる電流の電流値を取得し、析出物の溶解に要した時間の間における電流値を積算することで、析出物の溶解に要した電気量を特定し、当該電気量を表示する(ステップS13)。
次に、作業者は、予め用意していた、析出物の面積割合と析出物をすべて溶解するのに必要な電気量との関係を示す電気量データ(図3)を参照し、特定した電気量から析出物の面積割合を特定する(ステップS14)。次に、作業者は、予め用意していた、金属材料の使用温度と使用時間と析出物の面積割合との関係を示す析出量データ(図2)を参照し、特定した面積割合と、解析対象金属Mの使用時間とから、解析対象金属Mの使用温度を推定する(ステップS15)。
このように、ピークに基づいて特定された析出物の種類と使用温度および使用時間から推定される析出物の種類が異なる場合、作業者は、想定され得る全ての析出物を対象に定電位ステップ法による電解の結果に基づいて解析対象金属Mの使用温度を推定する。ピークに基づいて特定された析出物の種類と使用温度および使用時間から推定される析出物の種類が異なるということは、アノード分極法によるピークの特定が適切でないことが想定される。そのため、想定され得る全ての析出物を対象に定電位ステップ法による電解を行うことで、ピークの特定漏れによる推定誤りを排除して、使用温度を推定することができる。
他方、作業者は、ステップS9で特定した析出物の種類とステップS10で特定した析出物の種類とが一致すると判定した場合(ステップS11:YES)、分析装置1を用いて、析出物の定電位電解法による電解を開始する(ステップS16)。
具体的には、制御装置105は、解析対象金属Mの電位を、電流密度が漸近するまで、ステップS9で特定した電位に保持するようにポテンショスタット104を制御する。当該電位は、ステップS9で特定した各電位で合っても良いし、特定した電位のうちの1つであっても良い。これにより、ポテンショスタット104は、ステップS9で特定された析出物を電解する。
そして、制御装置105は、ポテンショスタット104から解析対象金属Mに流れる電流の電流値を取得し、析出物の溶解に要した時間の間における電流値を積算することで、析出物の溶解に要した電気量を特定し、当該電気量を表示する(ステップS17)。
次に、作業者は、予め用意していた、析出物の種類毎の面積割合と当該析出物をすべて溶解するのに必要な電気量との関係を示す種類別電気量データを参照し、ステップS17で特定した電気量とから、ステップS16で電解された析出物の面積割合を特定する(ステップS18)。次に、作業者は、予め用意していた、金属材料の使用温度と使用時間と析出物の種類毎の面積割合との関係を示す種類別析出量データを参照し、析出物の種類と、特定した面積割合と、解析対象金属Mの使用時間とから、解析対象金属Mの使用温度を推定する(ステップS15)。なお、ステップS16で複数の析出物を電解した場合、作業者は、ステップS17〜ステップS19で各析出物について使用温度を推定することで、総合的に使用温度を推定することができる。例えば、作業者は、推定された複数の使用温度の平均値をとることで、解析対象金属Mの使用温度を推定することができる。
このように、ピークに基づいて特定された析出物の種類と使用温度および使用時間から推定される析出物の種類が一致する場合、作業者は、特定したピークに対応する電位を対象に定電位電解法による電解の結果に基づいて解析対象金属Mの使用温度を推定する。これにより、作業者は、実際に生じている析出物を解析の対象にすることができるため、精度よく使用温度を推定することができる。
作業者は、ステップS15またはステップS19で使用温度を推定すると、予め用意していた、使用時間と使用温度と析出物の面積割合と作用応力とクリープ寿命との関係を示すクリープデータを参照し、解析対象金属Mのクリープ寿命を推定する(ステップS20)。具体的には、作業者は、解析対象金属Mの使用時間と、ステップS15またはS19で推定した使用温度と、ステップS14またはステップS18で特定した析出物の面積割合と、ひずみゲージ等により予め測定された解析対象金属Mの応力とに基づいて、解析対象金属Mのクリープ寿命を推定する。
このように、本実施形態によれば、電解溶液に浸された解析対象金属Mの電位を析出物が溶解する所定の電位で、電解溶液の電流密度の変化速度が所定値以下になる時刻まで保持し、当該保持に掛かった電気量に基づいて解析対象金属Mの使用温度およびクリープ寿命を推定する。これにより、解析対象金属Mのサンプルを取得する必要が無いため、作業者は、解析対象金属が使用される現地にて、使用温度およびクリープ寿命を推定することができる。
また、本実施形態によれば、析出物の溶解に要する電気量に基づいて使用温度およびクリープ寿命を推定する。これにより、作業者は、精度よく使用温度およびクリープ寿命を推定することができる。
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
上述した実施形態では、電流のピークが生じる電位の特定、析出物の種類の特定、電解の方式の決定、使用温度の推定、およびクリープ寿命の推定を、作業者が行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態では、これらの処理の一部または全部を制御装置105が行っても良い。この場合、制御装置105は、予め種類データ、析出量データ、種類別析出量データ、電気量データ、種類別電気量データ、ピークデータ、およびクリープデータを、コンピュータが参照可能な形式で(例えば、データベースとして)記憶しておく必要がある。
また上述した実施形態では、セル筐体101を解析対象金属Mに接着し、セル筐体101内部に電解溶液を充填することで、解析対象金属Mを電解溶液に浸すが、これに限られない。例えば、他の実施形態では、電解溶液をゲル化し、解析対象金属Mに当該ゲルを接触させることで、解析対象金属Mを電解溶液に浸しても良い。
また上述した実施形態では、アノード分極法により特定された析出物と、おおよその使用温度および使用時間から特定された析出物とが一致するか否かによって、定電位ステップ法による解析と定電位電解法による解析との何れを用いて使用温度を推定するか決定するが、これに限られない。例えば、他の実施形態では、常に定電位ステップ法による解析により使用温度を推定しても良い。当該実施形態では、例えば、アノード分極法により特定された析出物と、おおよその使用温度および使用時間から特定された析出物とが一致する場合、当該析出物に対応する電位を対象として定電位ステップ法による解析を行うことができる。また例えば、他の実施形態では、常に定電位電解法による解析により使用温度を推定しても良い。当該実施形態では、例えば、アノード分極法により特定された析出物と、おおよその使用温度および使用時間から特定された析出物とが一致しない場合、一致する析出物に対応する電位を対象として定電位電解法による解析を行うことができる。
この場合、作業者は、ステップS9または10による析出物の特定を行わなくても良い。
また、上述した実施形態に係る析出量データ、種類別析出量データ、電気量データ、および種類別電気量データは、いずれも作用応力に関連付けられていないデータである。他方、解析対象金属Mにクリープ事象が生じている場合、作用応力および歪量によって、析出量データ、種類別析出量データ、電気量データ、および種類別電気量データが示す関係が変化することがある。そのため、他の実施形態に係る析出量データ、種類別析出量データ、電気量データ、および種類別電気量データは、析出物の溶解に要する電気量と金属の使用時間と金属の使用温度と金属の歪みに関する物理量(例えば、作用応力または歪量)の関係を示すデータであっても良い。この場合、作業者は、ステップS14およびステップS15、またはステップS18およびステップS19において、析出量データおよび電気量データ、または種類別析出量データおよび種類別電気量データと、特定した電気量、解析対象金属Mの使用時間、および解析対象金属Mの歪みに関する物理量に基づいて、解析対象金属Mの使用温度を推定する。これにより、作業者は、解析対象金属Mにクリープ事象が生じている場合にも、正確に解析対象金属Mの使用温度を推定することができる。
1 分析装置
101 セル筐体
111 液絡部
112 第一室
113 第二室
102 対極
103 参照極
104 ポテンショスタット
105 制御装置
M 解析対象金属

Claims (7)

  1. 一定の電位を有する対極と共に電解溶液に浸された解析対象金属の電位を、析出物が溶解する所定の電位で、前記電解溶液の電流密度の変化速度が所定値以下になる時刻まで保持する電位保持ステップと、
    前記電位保持ステップで前記解析対象金属に掛かった電気量を特定する電気量特定ステップと、
    析出物の溶解に要する電気量と金属の使用時間と金属の使用温度と金属の歪みに関する物理量との関係を示す関係情報、特定した前記電気量、前記解析対象金属が高温環境下で使用された使用時間、および前記解析対象金属の歪みに関する物理量に基づいて、前記解析対象金属の使用温度を推定する使用温度推定ステップと
    を有する使用温度推定方法。
  2. 前記解析対象金属の電位を変化させたときに、電流値のピークが生じる電位を特定するピーク特定ステップをさらに備え、
    前記電位保持ステップでは、前記解析対象金属の電位を、前記ピーク特定ステップで特定した電位で保持する
    請求項1に記載の使用温度推定方法。
  3. 前記ピーク特定ステップで特定した電位に基づいて前記解析対象金属の析出物を特定するステップをさらに有する
    請求項2に記載の使用温度推定方法。
  4. 底部に開口を有するセル筐体を前記解析対象金属上に取り付け、前記セル筐体と前記解析対象金属とに囲まれた空間に前記電解溶液を溜め、前記電解溶液に前記対極を浸すセル作成ステップをさらに有する請求項1から請求項3の何れか1項に記載の使用温度推定方法。
  5. 特定した複数の前記電位ごとに、前記電解溶液の電流密度の変化速度が所定値以下になるまで、当該電位で前記解析対象金属の電位を保持する測定ステップを有し、
    前記電気量特定ステップでは、前記測定ステップにおける測定の間の電流値を時間積分することで前記電気量を特定する
    請求項2に記載の使用温度推定方法。
  6. 前記電気量特定ステップでは、特定した少なくとも1つの前記電位についての前記電気量を特定し、
    前記使用温度推定ステップでは、ピークが生じる電位ごとの前記関係情報のうち、特定した前記電位に関連付けられた前記関係情報を用いて前記解析対象金属の使用温度を推定する
    請求項1から請求項4の何れか1項に記載の使用温度推定方法。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1項に記載の使用温度推定方法で推定した解析対象金属の使用温度と、前記解析対象金属の使用時間と、前記解析対象金属の析出物量と、前記解析対象金属の作用応力とに基づいて、前記金属のクリープ寿命を推定するクリープ寿命推定方法。
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