JP6344714B2 - 含窒素天然有機物を用いた空気極の製造方法 - Google Patents

含窒素天然有機物を用いた空気極の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、含窒素天然有機物を用いた空気極の製造方法に関する。
革新電池候補の一つとして、亜鉛空気電池やリチウム空気電池等の金属空気電池が挙げられる。金属空気電池は、正極活物質である酸素が空気中から供給されるため、電池容器内のスペースを負極活物質の充填に最大限利用することができ、それにより原理的に高いエネルギー密度を実現することができる。このような金属空気電池の空気極として、白金等の触媒金属粒子及びカーボン等の導電粒子で構成される空気極が一般的に使用されている。
しかしながら、白金等の貴金属触媒は高価なものであるため、製造コストの増大につながる。そこで、そのような貴金属触媒を含まない炭素材料ベースの空気極が提案されている。例えば、特許文献1(特開2012−182050号公報)には、金属フリーのグラフェンを触媒として用いた空気極が開示されており、金属フリーのグラフェンにアンモニアを用いて窒素ドープ処理を行うことでリチウム−空気電池の電圧特性が改善されることが記載されている。もっとも、グラフェンには大量合成するのが難しいという問題がある。
一方、天然有機物由来の炭化物を触媒として用いて空気極を作製することも提案されている。例えば、特許文献2(特開2004−241224号公報)には、紀州備長炭に代表される硬質の炭である白炭を含む酸素還元用電極が開示されており、亜鉛空気電池等の空気電池の空気極として使用可能なことが記載されている。また、この文献には樫類やナラ類などの硬質広葉樹が白炭の原料として好ましいとされている。
ところで、含窒素天然有機物としてキチンという物質が知られている。キチンはカニやエビ等の甲殻類の有機骨格物質であり、セルロースに類似した構造の窒素を含む多糖である。そして、キチンを用いて活性炭等の炭化物を製造し、吸着剤として利用することが提案されている。例えば、特許文献3(特開平9−155186号公報)には、キチン質物質の炭化物からなる吸着剤が開示されている。また、特許文献4(特開2006−225231号公報)には、キチン質物質にアルカリ金属化合物を含浸させた後、炭化することを特徴とする活性炭の製造方法が開示されている。しかしながら、特許文献3及び4は空気極への応用を何ら提案するものではない。
特開2012−182050号公報 特開2004−241224号公報 特開平9−155186号公報 特開2006−225231号公報
本発明者らは、今般、キチン、キトサン等の含窒素天然有機物を炭化して窒素含有カーボンとし、これを含む空気極を作製することで、安価に入手可能な天然物由来の原料を用いながらも、放電特性の良い(特に放電電圧の高い)空気極が得られるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、安価に入手可能な天然物由来の原料を用いながらも、放電特性の良い(特に放電電圧の高い)空気極を得ることが可能な製造方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、含窒素天然有機物を用意する工程と、
前記含窒素天然有機物を炭化して窒素含有カーボンを得る工程と、
前記窒素含有カーボンを用いて、前記窒素含有カーボンを含む空気極を作製する工程と、
を含む、空気極の製造方法が提供される。
例2において測定された放電電圧特性である。
空気極の製造方法
本発明の空気極の製造方法においては、先ず、含窒素天然有機物を用意する。含窒素天然有機物は、例えばカニやエビ等の甲殻類やキノコ等の菌類の有機骨格物質であるキチンやその変性物のキトサン等であってよく、天然物由来の原料であるため、グラフェンやカーボンナノチューブのような技術的に高度な炭素材料と比べて、格段に安価に入手可能なものである。そして、そのような含窒素天然有機物を炭化して窒素含有カーボンを得る。次いで、この窒素含有カーボンを用いて、窒素含有カーボンを含む空気極を作製する。このように本発明の方法によれば、安価に入手可能な天然物に由来する窒素含有カーボンを用いて空気極を作製することができる。その上、本発明の空気極において窒素含有カーボンは触媒機能を有するため、空気極は白金等の貴金属触媒を不要にすることができ、製造コストの大幅な低減を図ることができる。すなわち、本発明の空気極は実質的に貴金属、特に白金等の貴金属触媒を含まないものであることができる。様々な炭素材料に対して窒素をドープして特性を改善することは知られているが、本発明者らは含窒素天然有機物に着目し、これを炭化させて空気極に用いることで窒素ドープ処理による特性向上を行うことなく、しかも、白金等の貴金属触媒を用いることなく、良好な放電特性(特に高い放電電圧)を金属空気電池において実現可能としたのである。したがって、本発明の方法によれば、安価に入手可能な天然物由来の原料を用いながらも、放電特性の良い(特に放電電圧の高い)空気極を得ることができる。
このように本発明による空気極の製造方法は、(1)含窒素天然有機物を用意し、(2)この含窒素天然有機物を炭化し、(3)得られた窒素含有カーボンを用いて空気極を作製することを含んでなる。以下、各工程について説明する。
(1)含窒素天然有機物の用意
本発明に用いる含窒素天然有機物は、窒素原子を天然に含有する天然有機物である。含窒素天然有機物としては、含窒素天然有機物を含む未精製品を必要に応じて精製して用いてもよいし、あるいは含窒素天然有機物の精製品を入手して使用してもよい。いずれにしても、天然物を原料としているので、グラフェンやカーボンナノチューブのような技術的に高度な炭素材料と比べて、格段に安価に入手できるとの利点がある。含窒素天然有機物は、窒素原子を天然に含有する天然有機物であれば特に限定されないが、窒素原子を1質量%以上含有し、かつ、糖及び/又はアミノ酸を構成単位として有するものであるのが好ましく、より好ましくは、糖を構成単位として有し、構成単位を構成する糖の少なくとも1つがアミノ基及び/又はアミド基を有するものである。特に、構成単位を構成する糖の少なくとも1つが、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、及びN−アセチルガラクトサミンからなる群から選択される少なくとも1つであるのが好ましい。そのような含窒素天然有機物の具体例としては、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、オリゴグルコサミン、コラーゲン、ゼラチン、ペプチド、及びこれらの誘導体又は塩、さらにはそれらの任意の組合せが挙げられる。
特に好ましい含窒素天然有機物はキチン及び/又はキトサンである。キチンはカニやエビ等の甲殻類やキノコ等の菌類の有機骨格物質であり、セルロースに類似した構造の窒素を含む多糖である。一方、キトサンはキチンを脱アセチル化することによって得られる塩基性多糖類、すなわちキチンの変性物である。キチン、キトサン等の物質はキチン質物質と呼ばれ、健康食品成分、凝集剤やクロマトグラフィー用充填剤等として利用されているが、カニ殻やエビ殻等のキチンを含む有機性廃棄物が魚市場や加工場から大量に排出されているのが現状である。かかる事情から、キチン及び/又はキトサンは安価に入手できる材料であり、空気極の製造に使用できれば、高性能な空気極を安価に作製できるとともに、その廃棄処理が問題となっているキチン質物質の有効活用策の一つとなる。
前述のとおり、原料として用意した含窒素天然有機物が未精製品の場合には、含窒素天然有機物を精製するのが好ましい。この精製は、空気極としての性能劣化につながる不純物等を除去ないし低減できればよく、使用する含窒素天然有機物の種類や形態等に応じて公知の手法に従って適宜行えばよい。
例えば、含窒素天然有機物としてキチン等の有機骨格物質を用いる場合、含窒素天然有機物を含む原料(例えばカニ殻やエビ殻)に、脱灰工程、脱タンパク工程、及び脱色素工程をこの順に施すことにより精製を行うのが好ましい。脱灰工程は、原料からの炭酸カルシウムの除去を主目的としたものであり、原料を塩酸等の酸に室温等の温度で所定時間(例えば5〜600分間)浸漬することにより行えばよい。脱タンパク工程は、脱灰された原料からタンパク質を更に除去する工程であり、原料をNaOH水溶液等のアルカリに例えば室温で所定時間(例えば1〜10日間)浸漬してタンパク質の除去を行えばよい。脱色素工程は、熱エタノールに所定時間(例えば1〜100時間)浸漬することにより行えばよく、これにより漂白された白色の粉末キチンが得られる。また、脱タンパク質工程後で且つ脱色素工程の前に、塩酸等の酸に室温等の温度で所定時間(例えば1〜100時間)浸漬して無機塩の除去を行うのがより好ましい。
後続の炭化工程に先立ち、含窒素天然有機物又はその変性物を溶媒に溶解又は分散させて均質化し、その後、溶媒を除去するのが好ましい。好ましい溶媒の例としては、水、アルコール、ジメチルアセトアミド等が挙げられるが、より好ましくは水である。含窒素天然有機物が溶媒に溶解しない場合には、溶媒に溶解可能な物質に変性し、その変性物を溶媒に溶解させるのが好ましい。例えば、キチンは水溶性ではないため脱アセチル化処理を行い、一部又は全部を水溶性のキトサンに変性させるのが好ましい。この脱アセチル化処理は水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液中で所定の温度(例えば約100℃)で所定の時間(例えば1〜100時間)煮沸処理することにより好ましく行うことができる。含窒素天然有機物又はその変性物を溶媒に溶解又は分散させて得られる結果物は、溶液、分散液、ゲル等のいかなる形態であってもよい。例えば、上記のように脱アセチル化処理して得られたキトサンは典型的にはゲル形態であり、必要に応じて水等の溶媒で希釈して、酢酸等の酸を添加して酸性域のpH(好ましくはpH2〜6)に調整するのが好ましい。いずれの形態にせよ、均質化はホモジナイザー等の公知の手段を用いて行えばよい。
溶媒の除去は、加熱、凍結乾燥、真空乾燥、赤外線乾燥、送風乾燥、蒸気乾燥等の公知の手法によって行えばよく特に限定されないが、200℃以下での加熱及び/又は凍結乾燥により行われるのが好ましい。溶媒を除去するための加熱は水等の溶媒をある程度除去できればよく、好ましくは200℃以下、より好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは60〜100℃の温度で行えばよい。そして、このような加熱と凍結乾燥の両方がこの順序で行われるのが特に好ましい。こうして凍結乾燥を経て溶媒を除去することにより、精製された含窒素天然有機物を、強固な塊状になるのを避け、粉末化されやすい固形物として得ることができ、後続の工程での炭化をより効率的に行うことできる。
(2)含窒素天然有機物の炭化
こうして得られた含窒素天然有機物を炭化して窒素含有カーボンを得る。本発明に用いる天然有機物はもともと窒素を含有しているため、炭化しさえすれば窒素含有カーボンとなる。したがって、窒素ドープ処理を別途行うことなく簡便に窒素含有カーボンを得ることができる。すなわち、本発明の方法によれば、従来空気極の製造のために提案されていた窒素ドープ処理(例えばアンモニアを用いた処理)を不要にすることができる。
炭化は、含窒素天然有機物が空気極触媒として使用可能な程度に炭化される限り、いかなる方法で行われてもよい。含窒素天然有機物又はその変性物を不活性ガス雰囲気中又は真空中で焼成することにより行われるのが好ましい。この焼成は300〜1500℃で行われるのが好ましく、より好ましくは400〜1300℃、さらに好ましくは400〜1200℃、特に好ましくは500〜1100℃、最も好ましくは600〜1000℃である。不活性ガスの好ましい例としては、アルゴン、ヘリウム等が挙げられるが、アルゴンが好ましい。焼成時間は炭化が十分に行われる時間を適宜選択すればよく、特に限定されない。
(3)空気極の作製
こうして得られた窒素含有カーボンを用いて、窒素含有カーボンを含む空気極を作製する。空気極の作製は公知の手法に基づいて行えばよいが、窒素含有カーボンをバインダーと混合して混合物を得、該混合物を成形することにより行われるのが典型的である。例えば、窒素含有カーボン、バインダー、及び所望により溶媒を混合してシート状の固形物を得、このシート状固形物を圧延し、得られた圧延シートを(例えば50〜100℃で)乾燥させることにより、空気極を作製すればよい。バインダーは、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であってよく特に限定されないが、好ましい例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、及びこれらの任意の混合物が挙げられる。
空気極
こうして本発明の製造方法により得られる空気極は、含窒素天然有機物由来の窒素含有カーボンを空気極触媒として含んでなる。したがって、本発明の空気極は他の空気極触媒、特に白金等の貴金属触媒を不要にすることができる。すなわち、従来、白金等の高価な貴金属触媒が空気極触媒として使用されてきたが、そのような貴金属触媒を不要として製造コストの低減を図ることができる。すなわち、本発明の空気極は実質的に貴金属、特に白金等の貴金属触媒を含まないのが好ましい。その上、窒素含有カーボンはそれ自体が導電性を有するので、従来使用されてきたカーボン等の導電助剤もまた不要にすることができる。したがって、本発明の空気極はその他の空気極触媒(特に貴金属触媒)及び導電助剤を実質的に又は完全に含まないのが好ましいが、本発明の趣旨を損なわない範囲内においてその他の空気極触媒及び/又は導電助剤を含んでいてもよい。
本発明の空気極における窒素含有カーボン中の窒素含有量は0.01at%以上が好ましく、より好ましくは0.02at%以上、さらに好ましくは0.05at%以上、特に好ましくは0.1at%以上である。このような量で窒素を含むことで放電特性の向上に寄与する。
本発明の空気極の厚さは、適用される金属空気電池の仕様に応じて適宜設定すればよく、典型的には0.01mm以上であり、より典型的には0.01〜10mm、さらに典型的には0.02〜5mm、特に典型的には0.03〜2mmである。
金属空気電池
本発明による空気極を用いて金属空気電池、例えば金属空気二次電池を作製することができる。金属空気電池は、典型的には、本発明の空気極と、金属負極と、空気極及び負極の間に介在する電解質とを含む。電解質は典型的には電解液である。金属負極は、亜鉛、リチウム、アルミニウム、マグネシウム等の公知の金属又はその合金であってよい。電解液は、使用する負極に適した公知の組成を適宜選択すればよく、例えば亜鉛空気電池の場合、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ金属水酸化物水溶液等であってよい。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1
(1)窒素含有カーボンの作製
含窒素天然有機物であるキチンを含む原料として、エビの殻の粉末を用意した。この原料を濃度2Mの塩酸に添加して室温で15〜30分間浸漬して、主としてCaCOを除去した後、濃度1MのNaOH水溶液に室温で2日間浸漬してタンパク質の除去を行った。濃度2Mの塩酸に室温で70時間浸漬して無機塩の除去を行った後、熱エタノールに6時間浸漬して漂白(色素除去)を行った。こうして精製された原料を濃度10MのNaOH水溶液に100℃で15時間浸漬して脱アセチル化を行い、それによりキチンをキトサンに変性させた。こうして得られたゲルを水で希釈した後、酢酸を添加して約pH3に調整した。その後、ホモジナイザーを用いて均質化し、80℃以下の水浴で加熱して水分をある程度除去した後、凍結乾燥させた。こうして得られた凍結乾燥物をAr中800℃で加熱して炭化させて、キチン由来の窒素含有カーボン試料を得た。
さらに、含窒素天然有機物を精製した精製ヒアルロン酸ナトリウムと精製ゼラチンの粉末を用意した。これらの粉末を真空中350℃で加熱して炭化させて、ヒアルロン酸及びゼラチン由来の窒素含有カーボン試料を得た。
(2)窒素含有カーボンの評価
こうして得られた窒素含有カーボン試料をTEM−EDX(JEOL製、JEM−z2500)を用いて元素分析を行ったところ、炭素に起因するピークと窒素に起因するピークを有するスペクトルが得られた。すなわち、得られたカーボン試料には窒素が確実に含有されていることが確認された。また、キチン由来の窒素含有カーボン試料のBET比表面積を、比表面積測定装置(島津製作所製、GEMINI 2375)を用いて測定したところ、445m/gであった。
例2:各種炭素材料を用いた空気極の作製及び評価
(1)各種炭素材料の用意
各種炭素材料として以下に示される試料1〜5を用意した。
‐試料1:例1で得られたキチン由来の窒素含有カーボン試料(以下、キチン炭化物という)
‐試料2:例1で得られたヒアルロン酸由来の窒素含有カーボン試料(以下、ヒアルロン酸炭化物という)
‐試料3:例1で得られたゼラチン由来の窒素含有カーボン試料(以下、ゼラチン炭化物という)
‐試料4:単層カーボンナノチューブ(Sigma−Aldrich Co.LLC.製、SWeNT SG−65)
‐試料5:カーボンブラック(和光純薬工業株式会社製、アセチレンカーボンブラック 06−0025)
(2)空気極の作製
試料1〜5の各々(以下、炭素試料という)を用いて空気極を以下のようにして作製した。先ず、所定量の炭素試料を秤量した。乳鉢に炭素試料を入れ、PTFE(25wt%分)を加えて少し混ぜ、試料全体が僅かに湿る程度にエタノールを加えて、試料を混合した。このPTFE及びエタノールの添加/混合工程を、混合された試料が一枚のシート状に固まるようになるまで繰り返した。得られたシート状試料を薬包紙に挟み、ロールプレス機で少しずつ薄く延ばした。この試料をポンチ(直径10mm)でくり抜いた。くり抜いた試料を60〜70℃の乾燥機中で一晩乾燥させた。こうして炭素試料1〜5をそれぞれ含む、厚さ0.2mmの空気極試料1〜5を得た。
(3)放電電圧の測定
作製された空気極試料1〜5の各々を用いて放電電圧の測定を行った。この測定は疑似3極電気化学セルを用いて行った。この電気化学セルは、空気極試料を含む作用電極と、1MのKOH水溶液(電解液)中に浸漬された亜鉛金属対極とを、ガラス繊維を介して隔離させるように設け、さらに白金ワイヤーを疑似参照電極として設けたものである。そして、電解液に浸漬された作用電極の裏側に酸素ガスを20ccmの流量で流しながら、定電流でクロノポテンショメトリー測定(放電測定)を行った。図1に、試料1、4及び5の放電電圧特性の測定結果を示す。図1に示されるように、キチン炭化物を用いた試料1では従来広く使用されるカーボンブラックよりも顕著に高く、また、近年注目されているカーボンナノチューブよりも高い放電電圧が得られた。なお、ヒアルロン酸炭化物を用いた試料2とゼラチン炭化物を用いた試料3においても、試料1と同様に高い放電電圧が得られた。

Claims (10)

  1. 含窒素天然有機物を用意する工程と、
    前記含窒素天然有機物を炭化して窒素含有カーボンを得る工程と、
    前記窒素含有カーボンを用いて、前記窒素含有カーボンを含む空気極を作製する工程と、
    を含み、
    前記含窒素天然有機物を用意する工程が、前記含窒素天然有機物を精製することを含み、
    前記炭化に先立ち、前記含窒素天然有機物又はその変性物を溶媒に溶解又は分散させて均質化し、その後、前記溶媒を除去する工程をさらに含む、空気極の製造方法。
  2. 前記炭化が、前記含窒素天然有機物又はその変性物を不活性ガス雰囲気中又は真空中で焼成することにより行われる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記焼成が300〜1500℃で行われる、請求項に記載の方法。
  4. 前記溶媒の除去が200℃以下での加熱及び/又は凍結乾燥により行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記空気極を作製する工程が、前記窒素含有カーボンをバインダーと混合して混合物を得、該混合物を成形することにより行われる、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記含窒素天然有機物が、窒素原子を1質量%以上含有し、かつ、糖及び/又はアミノ酸を構成単位として有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記含窒素天然有機物が、前記糖を構成単位として有し、前記構成単位を構成する糖の少なくとも1つがアミノ基及び/又はアミド基を有する、請求項に記載の方法。
  8. 前記構成単位を構成する糖の少なくとも1つが、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、及びN−アセチルガラクトサミンからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項又はに記載の方法。
  9. 前記含窒素天然有機物が、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、オリゴグルコサミン、コラーゲン、ゼラチン、ペプチド、及びこれらの誘導体又は塩からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記含窒素天然有機物がキチン及び/又はキトサンである、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
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