JP6343914B2 - 化合物、重合体、液晶配向膜、液晶表示素子、及び光学異方体 - Google Patents

化合物、重合体、液晶配向膜、液晶表示素子、及び光学異方体 Download PDF

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本発明は、化合物、重合体、液晶配向膜、液晶表示素子、及び光学異方体に関する。より詳しくは、液晶表示素子、上記液晶表示素子における液晶配向膜、上記液晶配向膜を製造するための化合物及びその重合体、液晶表示素子、並びに液晶表示素子の光学補償等に使用する光学異方性フィルムに有用な光学異方体に関する。
液晶分子を配向させるための液晶配向膜は、液晶分子の配列の秩序を保ち液晶分子の有する屈折率異方性に基づく光学特性を発現するために重要なものであり、液晶表示素子を構成するために必須の構成部材である。液晶表示素子において、液晶分子の配向は、その表示特性に大きな影響を及ぼすことから種々の配向方式が検討されてきており、大きく分けて垂直配向型と水平配向型との二通りに分類できる。
垂直配向型の液晶層を用いた液晶表示装置(VAモード液晶表示装置と呼ばれることもある。)は、高コントラストなどの優れた表示特性を有することから広くディスプレイに使用されている。しかし、その視野角特性は必ずしも充分とはいえず、改善のために様々な手法が検討されている。視野角特性の改善方法として、1個の画素中に、各々配向方向の異なる複数の液晶ドメインを形成する(配向分割構造を形成する)マルチドメイン垂直配向方式(MVA方式)が一般化している。
MVA方式において、配向分割構造を形成するためには、液晶分子の傾斜配向を制御することが必要であり、その手法としては、電極上に、スリット(開口部)又はリブ(突起構造)を設ける方法が用いられている。しかし、スリットやリブを設ける方法の場合、スリットやリブが線状であることから、従来のツイステッドネマチック(TN)モードで用いられていた配向膜による傾斜配向の制御と異なり、液晶分子に対する配向規制力が画素内で不均一となりうる。このため、応答速度に分布が生じるといった問題がある。さらに、スリットやリブを設けた領域の光の透過率が低下し、表示輝度が低下するという問題もある。
傾斜配向を制御する別の方法として、光又は熱により重合可能なモノマーを液晶に混入しておき、電圧印加によって液晶分子が傾斜した状態で、混入させたモノマーを重合させ、液晶分子の傾斜配向を固定させるポリマー配向支持(PSA;Polymer Sustained Alignment)技術が開示されている(特許文献1参照)。この方法によれば、スリットやリブを設けた方法における、応答速度の分布や光透過率の低下の問題を解決することができる。しかし、この方法では液晶中にモノマーを混入することによる特性の変化、プロセス制御の難しさ、残存モノマーの影響等の問題がある。
よって、VAモード液晶表示装置についても、配向膜による傾斜配向の制御で配向分割構造を形成することが好ましい。傾斜配向を制御する力を付与する方法としては、ラビング法があり、ポリイミド等からなる膜を基板上に形成し、さらにこの膜をラビング布でこする事により配向方向及びプレチルト角の制御が行われる。しかし、ラビング法では精密な配向分割構造を形成することが困難であり、摩擦による静電気や不純物成分の発生という別の問題がある。
一方、水平配向型の液晶層を用いた液晶表示装置の一例として、IPSモード液晶表示装置が挙げられる。IPSモード液晶表示装置は、コントラストや色味などの視野角依存性が小さく、優れた表示特性を有することから広くディスプレイに使用されている。しかし、IPSモードでは、黒表示における視野角依存性の低減及び色再現性を向上するためには、電極表面においてプレチルト角を1度以下とすることが要求される。
水平配向を達成する傾斜配向を制御する力を付与する方法としても、一般的に、ラビング法が用いられている。しかし、ポリイミド膜のラビング処理によって水平配向処理を行うと、液晶分子に与えるプレチルト角は1度を超えてしまうため、目的の表示特性を得ることが困難であるといった問題がある。またラビング処理によりポリイミド膜表面に微細なラビングスジが発生し、黒表示において光漏れの原因となコントラストの高い表示が困難であった。
以上のように、垂直配向型、水平配向型のいずれの配向方式においても、配向膜を用いた液晶分子の配向方向及びプレチルト角の制御は、表示特性を向上させるために重要である。
傾斜配向を制御する力を付与する方法としては、ラビング法の他に、光配向法が知られている(特許文献2参照)。光配向法においては、光の照射パターンを変化させることにより精密な配向分割構造を容易に形成することが可能であり、膜に対して非接触で配向処理を施すことができるため静電気や不純物の発生は起こりにくい。よって、光配向法は、上述した問題を解決し、表示特性を向上できるものと期待される。
光配向法により配向付与が可能な材料としては、アゾベンゼン誘導体のように光化学的に異性化可能な部位を有する化合物(特許文献3参照)、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、カルコン誘導体等の光化学的に架橋可能な部位を有する化合物(特許文献4、5及び6参照)、ポリイミド誘導体等異方的な光分解を生じる化合物等が知られている。
特開2003−149647号公報 特許第2682771号公報 特開平5−232473号公報 特開平6−287453号公報 特開平9−118717号公報 特表2002−517605号公報
しかしながら、特許文献4〜6の光配向膜は、液晶分子の配向を規制する配向規制力(アンカリング力)の向上については注目しておらず、さらに、光配向膜の配向規制力だけでなく、液晶層に電圧を印加し続けると、時間経過により、電圧を遮断した時の液晶の配向方向と初期の液晶の配向方向が異なるAC焼き付きが生じる。AC焼き付きが生じると、黒レベルの悪化、コントラストや表示品位の低下などの問題が生じることが確認された。
そこで、本発明は、容易に形成することができ、少ない偏光照射量で効率よく配向規制力を付与することが可能であり、かつAC焼き付きの低減、液晶分子の配向及びプレチルト角の制御に優れる液晶配向膜、並びにそれに用いることが可能な化合物及びその重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために種々の材料を鋭意検討した結果、特定の化合物に由来する構成単位を有する重合体(ポリマー)を含む膜に、偏光を照射することで硬化した膜が、充分な配向規制力を有し、AC焼き付きの低減、液晶分子の配向及びプレチルト角の制御に優れることを見い出し、本発明の完成に至った。
本発明は、以下の<1>〜<16>を提供する。
<1>下記一般式(I)又は(II)で表される化合物。
Figure 0006343914

Figure 0006343914

[上記一般式(I)又は(II)中、Lは重合性基を表し、
Spはスペーサー基であり、炭素原子数6〜12個のアルキレンオキサイド基又は−(CH−(mは、8〜12の整数)を表し、
Qは、直接結合、−O−、−CO−O−又は−O−CO−を表し、
Aは、トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基からなる群より選ばれる官能基を含む構造を表し、官能基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
sは、0〜4の整数を表し、sが2〜4を表す場合は、複数存在するAは同一であっても異なっていてもよく、
X及びYは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、アルキル基中に1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−O−、−O−CO−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、
Mは、下記一般式(IIa)、下記一般式(IIb)又は下記一般式(IIc)
Figure 0006343914

(式中、破線は炭素原子への結合を表し、
及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、
及びR中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NCH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−で置き換えられていてもよく、R及びR中に存在する水素原子は、炭素原子数1〜20のアルキル基、シアノ基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよく、
環C、環C及び環Cはそれぞれ互いに独立して、
(a) トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個又は2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、及び
(c) 1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基又はエトキシ基によって置換されていてもよく、
1a及びZ1bはそれぞれ互いに独立して、単結合、−(CH−、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−OC−、−NR−、−CO−NR−、−NR−CO−、−(CH−O−、−O−(CH−、−(CH−NR−又は−NR−(CH−であり、その際にRは水素原子又は低級アルキル基を意味し;vは1〜4の整数を意味し;uは1〜3の整数であり、
i及びjはそれぞれ互いに独立して、0又は1である。)を表す。
<2>一般式(I)又は(II)において、mが9〜12の整数を表す、上記<1>に記載の化合物。
<3>一般式(IIa)〜(IIc)において、R及び/又はRが下記一般式(IId)で表される、上記<1>又は<2>に記載の化合物。
Figure 0006343914

[式中、破線は酸素原子又は窒素原子への結合を表し、
は、メチレン基(この基中に存在する水素原子は炭素原子数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい)、−CO−O−又は−CO−NH−を表し、
は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子若しくは塩素原子で置換されていてもよく、
は、炭素原子数1〜20のアルキレン基を表し、アルキレン基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は2個以上の互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−又は−NCH−で置き換えられていてもよい。]
<4>一般式(I)又は(II)において、Aは、1,4−フェニレン基を表し、1,4−フェニレン基中に存在する1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよい、上記<1>〜<3>のいずれかに記載の化合物。
<5>一般式(I)又は(II)において、X及びYが水素原子を表す、上記<1>〜<4>のいずれかに記載の化合物。
<6>一般式(I)又は(II)において、Lが下記一般式(III−1)〜(III−11)で表される重合性基からなる群より選ばれるいずれかの重合性基である、上記<1>〜<5>のいずれかに記載の化合物。
Figure 0006343914

(式中、破線はSpへの結合を表し、R30は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基を表し、R31は、水素原子、塩素原子、メチル基又はフェニル基を表し、R32は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
<7>一般式(I)又は(II)において、Lが一般式(III−1)、(III−2)又は(III−6)で表される重合性基である、上記<1>〜<5>のいずれかに記載の化合物。
Figure 0006343914

(式中、破線はSpへの結合を表し、R30及びR31は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R32は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
<8>一般式(I)又は(II)において、−(A)−が下記一般式(IVa)で表される、上記<1>〜<7>のいずれかに記載の化合物。
Figure 0006343914

[式中、左端の破線はQへの結合を表し、右端の破線は炭素原子への結合を表し、
、A及びAは、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基からなる群より選ばれる基を表し、該基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
、Z及びZは、それぞれ独立して単結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基、−OCH−、−CHO−、―CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−又は−C≡C−を表し、これらの置換基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(CH−O−Si(CH―、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−、−C≡C−又は−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、Rは、それぞれ独立して水素又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、
p、q、rはそれぞれ0〜4の整数を表し、p+q+r=sである。]
<9>一般式(IVa)において、
はトランス−1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、又は1,4−フェニレン基のいずれかの基を表し、いずれかの基中に存在する1個以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
は単結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基、−OCH−、−CHO−、―CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−のいずれかの基を表し、いずれかの基中に1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられていてもよく、
qが1を表す、上記<7>に記載の化合物。
<10>一般式(IVa)において、Aは、1,4−フェニレン基を表し、1,4−フェニレン基中に存在する1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよい、上記<8>に記載の化合物。
<11>上記<1>〜<10>のいずれかに記載の化合物を含有する組成物の重合により得られ、下記一般式(PI)又は(PII)で表される構成単位を有する、重合体。
Figure 0006343914

(式中、LはL由来の基を表し、Sp、Q、A、X、Y、M及びsは、一般式(I)又は(II)と同様に定義される。)
<12>上記<11>に記載の重合体の硬化物を含み、垂直配向型液晶表示素子に用いられる、液晶配向膜。
<13>上記<12>に記載の液晶配向膜を備える、垂直配向型液晶表示素子。
<14>上記<11>に記載の重合体の硬化物を含み、水平配向型液晶表示素子に用いられる、液晶配向膜。
<15>上記<14>に記載の液晶配向膜を備える、水平配向型液晶表示素子。
<16>重合性液晶組成物の重合体により構成される光学異方体において、重合性液晶組成物中の重合性液晶分子を、上記<11>に記載の重合体の硬化物を含む液晶配向膜により配向させたことを特徴とする、光学異方体。
本発明によれば、容易に形成することができ、少ない偏光照射量で効率よく配向規制力を付与することが可能であり、かつAC焼き付きの低減、液晶分子の配向及びプレチルト角の制御に優れる液晶配向膜、並びにそれに用いることが可能な化合物及びその重合体を提供することができる。また、本発明によれば上記液晶配向膜を備える液晶表示素子、及び光学異方体を提供することができる。
以下、本発明の好ましい例を説明するが、本発明はこれら例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
本実施形態に係る液晶配向膜は、特定の化合物由来の構成単位を有する重合体(ポリマー)の硬化物を含む。かかる液晶配向膜は、液晶の配向及びプレチルト角の制御に優れる他、従来の液晶配向膜と比較して、高い電圧保持率(VHR)を有し得る。なお、電圧保持率(VHR)とは、液晶表示装置において各画素に印加された電圧が、一定時間(例えば液晶表示装置における一般的な1フレーム、16.7msec)の間にどれくらい保持されるかを意味する。また、本実施形態に係る液晶配向膜は、高い電圧保持率(VHR)を有し、液晶の配向及びプレチルト角の制御に優れることから、表示品位及び信頼性の点で優れる液晶表示素子及び光学異方体を効率的に製造することを可能とする。
まず、本実施形態に係る化合物について説明する。本実施形態に係る化合物は、下記一般式(I)又は(II)で表される。
Figure 0006343914

Figure 0006343914
上記一般式(I)又は(II)中、Lは重合性基を表し、
Spはスペーサー基であり、炭素原子数6〜12個のアルキレンオキサイド基又は−(CH−(mは、8〜12の整数)を表し、
Qは、直接結合、−O−、−CO−O−又は−O−CO−を表し、
Aは、トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基からなる群より選ばれる官能基を含む構造を表し、官能基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
sは、0〜4の整数を表し、sが2〜4を表す場合は、複数存在するAは同一であっても異なっていてもよく、
X及びYは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、アルキル基中に1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−O−、−O−CO−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、
Mは、下記一般式(IIa)、下記一般式(IIb)又は下記一般式(IIc)
Figure 0006343914

(式中、破線は炭素原子への結合を表し、
及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、
及びR中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NCH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−で置き換えられていてもよく、R及びR中に存在する水素原子は、炭素原子数1〜20のアルキル基、シアノ基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよく、
環C、環C及び環Cはそれぞれ互いに独立して、
(a) トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、
(b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個又は2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、及び
(c) 1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基又はエトキシ基によって置換されていても良く、
1a及びZ1bはそれぞれ互いに独立して、単結合、−(CH−、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−OC−、−NR−、−CO−NR−、−NR−CO−、−(CH−O−、−O−(CH−、−(CH−NR−又は−NR−(CH−であり、その際にRは水素原子又は低級アルキル基を意味し;vは1〜4の整数を意味し;uは1〜3の整数であり、
i及びjはそれぞれ互いに独立して、0又は1である。)を表す。
なお、Rで表される低級アルキル基は、炭素原子数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。
上記一般式(IIa)〜(IIc)中、破線は炭素原子への結合を表し(すなわち、炭素原子との結合手を表す。以下同様。)、
及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、
及びR中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NCH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−で置き換えられていてもよく、R及びR中に存在する水素原子は、炭素原子数1〜20のアルキル基、シアノ基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記一般式(I)又は(II)において、Spはスペーサー基であり、炭素原子数6〜12個のアルキレンオキサイド基又は−(CH−(mは、8〜12の整数)を表す。本実施形態に係るスペーサー基を構成する骨格の長手方向(又はスペーサー基の主鎖部)の原子数は、8個〜12個が好ましく、9個〜12個がより好ましい。スペーサー基の主鎖部の原子数が8個〜12個であると、液晶配向膜に充分に大きな配向規制力(配向制御能力)を付与することができるとともに、液晶の焼き付き(AC焼き付き)を抑制できる液晶配向膜が得られる。上記スペーサー基の主鎖部の原子数は、直鎖アルキレン基の場合は炭素数を意味し、直鎖アルキレンオキサイドの場合は炭素数及び酸素数を意味し、分岐アルキレンオキサイドの場合は主鎖部の炭素及び酸素数を意味する。
上記の炭素原子数6〜12個のアルキレンオキサイド基としては、エチレンオキサイドユニット(−(CHCHO)−)が3〜4単位繰り返されているもの、又はプロピレンオキサイドユニット(−((CH)CHCHO)−)が3〜4単位繰り返されているものであることが好ましい。
また、Spは−(CH−(mは、8〜12の整数)であることがより好ましい。mは、8〜12の整数であり、9〜12の整数であることが好ましい。mが上記の範囲内であると、上記一般式(I)又は(II)で表される化合物を用いた液晶配向膜に充分に大きな配向規制力(配向制御能力)を付与することができるとともに、液晶の焼き付きを抑制できる液晶配向膜が得られる。
上記一般式(IIa)〜(IIc)において、R及びRで表される炭素原子数1〜30のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状であってもよく、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基中にメチル基が存在する場合は、環員数3〜8のシクロアルキル基で置き換えられていてもよく、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基中にメチレン基が存在する場合は、環員数3〜8のシクロアルキレン基で置き換えられていてもよい。
上記一般式(IId)において、液晶配向膜の配向規制力をより向上させるためには、R及びRは炭素原子数2〜8の直鎖状又は環状アルキル基であることが好ましく、炭素原子数2〜4の直鎖状又は環状アルキル基であることが更に好ましく、炭素原子数2〜4の直鎖状アルキル基であることが特に好ましい。また、液晶配向膜における電圧保持率を改善するためには、R及びRは炭素原子数1〜12の直鎖状又は環状アルキル基であることが好ましい。また、液晶配向膜における残留電荷を少なくするためには、R及びRは炭素原子数1〜6の直鎖状又は環状アルキル基であることが好ましい。
また、上記一般式(IIa)〜(IIc)において、R及び/又はRは、下記一般式(IId)で表される基であることが好ましい。
Figure 0006343914
上記一般式(IId)中、破線は酸素原子又は窒素原子への結合を表し、
は、メチレン基(この基中に存在する水素原子は炭素原子数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい)、−CO−O−又は−CO−NH−を表し、
は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子若しくは塩素原子で置換されていてもよく、
は、炭素原子数1〜20のアルキレン基を表し、アルキレン基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は2個以上の互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−又は−NCH−で置き換えられていてもよい。
上記一般式(I)又は(II)において−(A)−は、下記一般式(IVa)で表される構造であることが好ましい。このような構造を備えることで、液晶配向膜の液晶配向性をより向上させることができる。
Figure 0006343914
上記一般式(IVa)中、左端の破線はQへの結合を表し、右端の破線は炭素原子への結合を表し、
、A及びAは、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基からなる群より選ばれる基を表し、該基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
、Z及びZは、それぞれ独立して単結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基、−OCH−、−CHO−、―CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−又は−C≡C−を表し、これらの置換基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(CH−O−Si(CH―、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−、−C≡C−又は−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、Rは、それぞれ独立して水素又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、
p、q、rはそれぞれ0〜4の整数を表し、p+q+r=sである。p+q+r=2であることがより好ましく、r=1且つp+q=1であることが更に好ましい。
上記一般式(I)、(II)及び(IVa)において、液晶配向膜の配向規制力を更に改善し、アンカリング効果を向上させるためには、A、A、A及びAは、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、1,2,4,5−テトラジン−2,5−ジイル基又は1,4−フェニレン基が好ましく、ピリミジン−2,5−ジイル基であることがより好ましい。また、得られる重合体(ポリマー)の溶解性を更に改善するためには、A、A、A及びAは、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,5−チオフェニレン基又は2,5−フラニレン基としてもよい。また、液晶配向膜に配向規制力を付与するために必要な光照射量を更に少なくするためには、A、A、A及びAは、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェニレン基又は1,4−フェニレン基としてもよい。また、液晶配向膜を作製する際により長波長の光を利用した光配向を行うためには、A、A、A及びAは、ピリミジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,5−フラニレン基としてもよい。
上記一般式(I)、(II)及び(IVa)において、A、A、A及びAは、1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよい1,4−フェニレン基であることがより好ましく、1個以上の水素原子がメトキシ基で置換された1,4−フェニレン基であることが更に好ましい。A、A、A及びAが、このような基である場合、上記一般式(I)で表される化合物を含む組成物の塗工性が良く、得られるポリマーを硬化させてなる液晶配向膜の配向規制力、プレチルト角の制御性をより向上させることができる。また、高い電圧保持率を有する液晶配向膜及び液晶表示装置を得ることができる。
上記一般式(IVa)において、Z、Z及びZは、液晶配向性の熱安定性を改善するために、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−又は−O−CO−O−であることが好ましい。また、重合体の溶解性を改善するために、Z、Z及びZは、−OCH−、−CHO−、―CO−O−、−O−CO−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−又は−NR−であることが好ましい。
上記一般式(I)又は(II)で表される化合物において、X及びYは水素原子であることが好ましい。X及びYが水素原子であることにより、上記化合物を用いて得られるポリマーを使用した液晶配向膜における電圧保持率を向上させることができる。また、液晶配向膜に、より長波長の光を利用した光配向を行うためには、X及びYはフッ素原子、塩素原子又はシアノ基が好ましい。
上記一般式(I)又は(II)で表される化合物において、Lは、重合性基であり、互いに重合させることができる。上記一般式(I)において、Lが下記一般式(III−1)〜(III−11)からなる群より選ばれるいずれかの重合性基であることが好ましく、中でも一般式(III−1)、(III−2)又は(III−6)が好ましく、(III−1)が更に好ましい。
Figure 0006343914
上記一般式(III−1)〜(III−11)中、破線はSpへの結合を表し、R30は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基を表し、R31は、水素原子、塩素原子、メチル基又はフェニル基を表し、R32は独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。一般式(III−1)、(III−2)又は(III−6)で表される重合性基において、R30及びR31は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表すものであることがより好ましい。
上記一般式(I)又は(II)において、本実施形態に係る液晶配向膜における配向の安定性をより改善するためには一般式(III−1)で表される重合性基のうち、R30がメチル基、フェニル基又はフェノキシ基である重合性基が好ましく、(III−2)で表される重合性基のうち、R31がメチル基又はフェニル基である重合性基が好ましく、(III−6)、(III−7)、(III−8)又は(III−9)で表される重合性基が好ましい。また、液晶の配向及びプレチルト角の制御性をより向上させ、電圧保持率(VHR)を改善するためには、一般式(III−1)で表される重合性基が好ましい。また、得られるポリマーの溶解性を改善するためには、一般式(III−1)又は(III−2)で表される重合性基のうち、R30、R31が水素原子、塩素原子又はメチル基である重合性基が好ましく、(III−3)、(III−4)、(III−7)、(III−9)又は(III−10)で表される重合性基が好ましく、中でも一般式(III−1)、(III−3)、(III−4)又は(III−10)で表される重合性基が特に好ましい。
また、一般式(I)又は(II)で表される化合物の重合速度を改善するためには、一般式(III−1)又は(III−2)で表される重合性基のうち、R30、R31が塩素原子である重合性基が好ましく、(III−3)、(III−4)、(III−6)、(III−7)、(III−8)、(III−9)又は(III−10)で表される重合性基が好ましく、中でも一般式(III−1)又は(III−2)で表される重合性基のうち、R30、R31が塩素原子である重合性基、又は(III−3)、(III−4)若しくは(III−10)で表される重合性基がより好ましい。また、本実施形態に係る重合体の分子量分布を狭くするためには、一般式(III−1)で表される重合性基のうち、R30がメチル基である重合性基、又は(III−3)、(III−4)若しくは(III−5)で表される重合性基が好ましい。また、得られるポリマーの基材への密着性を改善するためには、一般式(III−1)で表される重合性基のうち、R30が水素原子である重合性基、(III−2)で表される重合性基のうち、R31が水素原子、塩素原子、メチル基若しくはフェニル基である重合性基、又は(III−3)、(III−4)、(III−6)若しくは(III−10)で表される重合性基が好ましく、中でも一般式(III−2)で表される重合性基のうち、R31が水素原子、塩素原子若しくはメチル基である重合性基、又は(III−6)で表される重合性基が特に好ましい。
本実施形態に係る一般式(I)又は(II)で表される化合物のうち、下記一般式(Ia)で表されるものであることがより好ましい。
Figure 0006343914
上記一般式(Ia)中、Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Sp、Q、X、Y及びMは、一般式(I)と同様に定義され、A、A、A、Z、Z、p、q及びrは、一般式(IVa)と同様に定義される。Rは、水素原子、塩素原子又はメチル基であることが好ましい。p+q+r=2であることがより好ましく、r=1かつp=1又はq=1であることが更に好ましい。
本実施形態に係る一般式(I)又は(II)で表される化合物のうち、下記一般式(Ib)で表されるものであることが更に好ましい。
Figure 0006343914
上記一般式(Ib)中、Spは一般式(I)と同様に定義され、tは0又は1の整数を表し、Z11は単結合、−COO−又は−OCO−を表し、W11は水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基又はエトキシ基を表し、W12は、下記一般式(W12−1)〜(W12−8)を表す。
Figure 0006343914
上記一般式(Ib)において、Z11は−COO−が好ましい。また、少ない偏光紫外光の照射で良好な配向を確保する観点からは、tが1であることが好ましく、W11はメチル基又はメトキシ基が好ましい。W12としては(W12−1)で表される基であることが特に好ましい。
本実施形態に係る一般式(I)又は(II)で表される化合物としては、下記一般式(I−1)〜(I−125)で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
Figure 0006343914
なお、式(I−1)〜(I−125)中、fは3〜4の整数を表し、mは一般式(I)又は(II)と同様に定義される。
本実施形態に係る重合体(ポリマー)は、下記一般式(PI)又は(PII)で表される構成単位を有する。
Figure 0006343914
上記一般式(PI)及び(PII)中、Lは一般式(I)及び(II)におけるL由来の基を表し、Sp、Q、A、X、Y、M及びsは、上記一般式(I)及び(II)と同様に定義される。
上記一般式(PI)又は(PII)で表される構成単位としては、下記一般式(PIa−1)又は一般式(PIa−2)で表される構成単位であることがより好ましく、下記一般式(PIb−1)又は下記一般式(PIb−2)で表される構成単位であることが更に好ましい。
Figure 0006343914
上記一般式(PIa−1)及び一般式(PIa−2)中、R、Q、X、Y、M、A、A、A、Z、Z、m、p、q及びrは、一般式(Ia)と同様に定義され、Rは水素原子又はメチル基を表し、fは3〜4の整数を表す。また、p+q+r=2であることがより好ましく、r=1かつp=1又はq=1であることが更に好ましい。
Figure 0006343914
上記一般式(PIb−1)及び(PIb−2)中、tは0又は1の整数を表し、Z11は単結合、−COO−又は−OCO−を表し、Rは水素原子又はメチル基を表し、fは3〜4の整数を表し、W11は水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基又はエトキシ基を表し、W12は、下記一般式(W12−1)〜(W12−8)を表す。
Figure 0006343914
上記一般式(PIb)において、Z11は−COO−が好ましい。また、少ない偏光UV光の照射で良好な配向を確保する観点からは、tが1であることが好ましく、W11はメチル基又はメトキシ基が好ましい。W12としては(W12−1)で表される基であることが特に好ましい。
上記重合体は、上記一般式(I)、(II)、(Ia)若しくは(Ib)で表される化合物、又はこれを含む重合性組成物の重合により得られる。重合性組成物は、少なくとも、上記一般式(I)で表される化合物と、重合開始剤とを含む。
重合性組成物としては、上記一般式(I)、(II)、(Ia)又は(Ib)で表される化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。重合性組成物としては、上記一般式(I)、(II)、(Ia)又は(Ib)で表される化合物と共重合可能な化合物を用いることができる。
共重合可能な化合物は、例えば、下記一般式(VI)で表される化合物を含む。共重合可能な化合物としては、例えば、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、スチレン、これらの誘導体等を挙げることができる。共重合可能な化合物は、非液晶性化合物、液晶性化合物のいずれも使用可能であるが、液晶性化合物であることが好ましい。
Figure 0006343914
上記一般式(VI)中、Vaは一価の有機基を示し、Spはメチレン基を含むスペーサー単位を表し、L、Qは上記一般式(I)又は(II)と同様に定義される。ただし、一般式(VI)で表される化合物を用いる場合、一般式(I)及び(VI)において、L、Qはそれぞれ同一であっても、異なってもよい。
上記一般式(VI)のVaは、下記一般式(VIa)で表される有機基であることが好ましい。
Figure 0006343914
上記一般式(VIa)中、破線はSpへの結合を表し、
、A、A及びAは、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、1,2,4,5−テトラジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基又は1,4−フェニレン基を表し、該基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
、Z、Z及びZは、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基、−OCH−、−CHO−、―COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−又は−C≡C−を表し、これらの置換基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(CH−O−Si(CH―、−NR16−、−NR16−CO−、−CO−NR16−、−NR16−CO−O−、−O−CO−NR16−、−NR16−CO−NR16−、−CH=CH−、−C≡C−又は−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、R16は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、
p1、q1、r1及びs1は、それぞれ独立して0又は1を表し、
12は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、上記アルキル基中の1個以上の水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、上記アルキル基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−O−、−O−CO−及び/又は−CH=CH−で置き換えられていてもよい。
、A、A及びAは、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又は1,4−フェニレン基を表すことが好ましい。これらの基は無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基若しくはメトキシ基によって置換されていることが好ましい。
p1、q1、r1及びs1はp1+q1+r1+s1が0以上3以下であることが好ましい。R12は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1〜18のアルキル基であることが好ましい。上記アルキル基中に1個のメチレン基又はたがいに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又はたがいに隣接しない2個以上のメチレン基は−O−、−CO−O−、−O−CO−及び/又は−CH=CH−で置き換えられていてもよい。
共重合可能な化合物を用いる場合には、上記一般式(I)又は(II)で表される化合物100モルに対して、共重合可能な化合物が0.1〜30モルの割合であることが好ましく、0.2〜10モルの割合であることがより好ましく、0.3〜5モルの割合であることが更に好ましい。
共重合体の中の各構成単位の並び順及びランダムネスは特に制限されない。
重合開始剤は、公知の重合開始剤を用いることができるが、重合性基の重合様式に合わせて、適宜選択することができる。重合開始剤としては、例えば、公知の刊行物「高分子の合成と反応(高分子学会編、共立出版)」等に記載された重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合における熱重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の過酸化物等が挙げられる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、キサントン、チオキサントン等の芳香族ケトン化合物、2−エチルアントラキノン等のキノン化合物、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン化合物、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等のジケトン化合物、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム等のアシルオキシムエステル化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド化合物、テトラメチルチウラム、ジチオカーバメート等のイオウ化合物、過酸化ベンゾイル等の有機化酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
カチオン重合における熱重合開始剤としては、芳香族スルホニウム塩化合物等が挙げられる。光重合開始剤としては、有機スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、フォスフォニウム化合物などが挙げられる。
重合開始剤の添加量は、重合性組成物中、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜6質量%であることがより好ましく、0.1〜3質量%であることが更に好ましい。
重合性組成物の重合は、溶剤の存在下で行ってもよい。溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−ブタノン、アセトン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの有機溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ガラス製、ステンレス製等の反応容器中で重合反応を行った後、生成物を精製することにより重合体を得ることができる。
ポリマーの重量平均分子量としては、80,000〜500,000であることが好ましく、150,000〜450,000であることがより好ましく、250,000〜400,000であることが特に好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される値を示し、標準ポリスチレン換算値で表す。測定条件は、本明細書の実施例と同一の条件とする。
また、ポリマーの分子量分布としては、Mw/Mnが1.2〜6.0となることが好ましく、1.4〜4.0となることが更に好ましい。本明細書においては、Mw及びMnはそれぞれゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量及び数平均分子量を表す。
また、本実施形態に係る液晶配向膜における配向の熱安定性を改善するためには、Z、Z、Z及びZはそれぞれ独立して−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、又は−O−CO−O−が好ましく、A、A、A及びAはそれぞれ独立して1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基又は1,4−フェニレン基が好ましい。
また、本実施形態に係る重合体の溶解性を改善するためには、Z、Z、Z及びZはそれぞれ独立して−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−、−NR−又は−CO−が好ましく、A、A、A及びAはそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基又は2,5−フラニレン基が好ましい。
また、本実施形態に係る液晶配向膜に80度以上のプレチルト角を付与するためには、Z、Z、Z及びZはそれぞれ独立して単結合、−OCH−、−CHO−、―COO−、−OCO−及び−C≡C−が好ましく、A、A、A及びAはそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロヘキシレン基、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基及び1,4−フェニレン基が好ましく、R12は炭素原子数1〜20までのアルキル基、アルコキシ基、フッ素原子、トリフルオロメチル基及びトリフルオロメトキシ基が好ましい。
[液晶配向膜用ポリマーの調製]
本実施形態に係る化合物(特に、桂皮酸誘導体)は、単独で重合体の材料として使用してもよいし、上記化合物を他のモノマーと混合した重合性組成物として使用することもできる。上記組成物において、上記桂皮酸誘導体と上記他のモノマーとを任意の混合割合で調製することが可能である。
本実施形態に重合体は、上記化合物又はこれを含む重合性組成物を溶媒中に溶解させ、基材上に塗布して溶媒を乾燥除去した後、加熱又は光照射により重合反応を行って得ることもできる。
[液晶配向膜の形成方法]
本実施形態に係る重合体(ポリマー)を含む膜又は層は、該重合体が光反応しうる構造(たとえば、桂皮酸骨格)を有することから、光照射により液晶分子に対する配向規制力と、配向規制力の熱安定性とを併せて獲得し得る。光照射により得られる膜又は層を、液晶配向膜(光配向膜)と呼ぶことができる。
かかる液晶配向膜(光配向膜)は、例えば以下の製造方法により得ることができる。液晶配向膜の製造方法は、基材上に本実施形態に係る重合体を含有する樹脂層を形成する工程(樹脂層形成工程)と、該樹脂層に光照射する工程(光照射工程)とを備える。
上記樹脂層は、本実施形態に係る重合体と溶剤とを含む重合体溶液を調製し、これを基材上に塗工することにより得られる。塗工した後、必要に応じて、溶媒を除去する工程を設けてもよい。
塗工後の溶媒の除去は、塗工面を加熱することにより行うことが好ましい。加熱温度は、50〜300℃であることが好ましく、80〜200℃であることがより好ましい。加熱時間は、2〜200分であることが好ましく、2〜100分であることがより好ましい。
得られた樹脂層に対し、光照射し、樹脂層に配向規制力(配向制御能力)を付与することで、液晶配向膜を得ることができる。液晶配向膜の配向規制力は、例えば、液晶分子を含む液晶相と液晶配向膜との界面における方位角アンカリングエネルギーを測定することにより評価することができる。液晶配向膜と液晶相との界面における方位角アンカリングエネルギーは、100μJ/m以上であることが好ましく、150μJ/m以上であることがより好ましく、250μJ/m以上であることが更に好ましい。
重合体溶液に使用する溶剤としては、本実施形態に係る重合体及び後述する任意的に使用されるその他の成分を溶解し、これらと反応しないものが好ましく用いられる。溶剤としては、例えば、1,1,2−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、ブトキシエタノール、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、フェノキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合体溶液は、必要に応じて、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、ガラス基板等との密着性を改善するためのシロキサン誘導体、塗膜のレベリング性を改善するためのレベリング剤、耐光性を改善させるための紫外線吸収剤や光安定化剤、材料の保存性を改善するための酸化防止剤や重合禁止剤等が挙げられる。
液晶配向膜の製造方法においては、上記重合体(ポリマー)溶液に代えて、本実施形態に係る一般式(I)で表される化合物(特に、桂皮酸誘導体)と溶剤とを含むモノマー溶液を用いることもできる。すなわち、基材上にモノマー溶液を塗工した後、塗膜を加熱又は光照射することでモノマーを重合させ、ポリマーを調製することにより樹脂層を形成してもよい。この場合、ポリマーの調製と、配向規制力の付与とを同時に行ってもよい。
モノマー溶液に使用する溶剤としては、上記重合体(ポリマー)溶液に使用する溶剤として例示したものを使用することができる。
ポリマーの調製と、配向規制力の付与とを同時に行う場合、熱と光とを併用してもよく、異なる波長の2種以上の光を併用してもよい。この場合はモノマー溶液中には、重合開始剤を含有させておくことが好ましい。塗工後、溶剤を除去し、非偏光を照射することで、光重合によるポリマー調製を行ってもよい。
熱重合によりポリマーを調製する場合、加熱温度は、重合が進行するのに充分であれば特に制限されないが、一般的には、50〜250℃程度であり、70〜200℃程度であることが更に好ましい。
光重合によりポリマーを調製する場合、光照射には非偏光の紫外光を用いることが好ましい。紫外光の照射エネルギーは、10mJ/cm〜8000mJ/cmであることが好ましく、40mJ/cm〜5000mJ/cmであることが更に好ましい。照度は2〜1000mW/cmであることが好ましく、4〜500mW/cmであることがより好ましい。照射する紫外光の波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましい。
基材としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース等を挙げることができる。これらの基材は、表面に電極層(導電層)、カラーフィルタ層、液晶配向層等が形成されたものであってもよい。
電極層(導電層)としては、Cr、Al、In−SnO等からなるITO膜、SnOからなるNESA膜などが挙げられる。これらの電極層のパターニングには、フォト・エッチング法を適用できる。また、電極層を形成する際にマスクを用いる方法等によって電極層をパターニングしてもよい。
上記液晶配向膜の製造方法において、あらかじめ液晶配向膜が形成された基材を用いる場合、該基材上に本実施形態に係る光配向膜を更に形成することで、配向方向及び配向角度の制御能力を基材に対して改めて付与することもできる。
塗工は、例えば、スピンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの方法で行うことができる。
重合体溶液の固形分濃度は、0.5〜10質量%であることが好ましく、基材上に溶液を塗工する方法、粘性、揮発性等を考慮して、適宜選択することができる。
樹脂層に光照射する工程では、本実施形態に係る重合体を含む樹脂層に、樹脂層表面の法線方向からの直線偏光照射、及び/又は、斜め方向からの非偏光若しくは直線偏光照射を行う。かかる光照射により、光架橋反応(例えば、桂皮酸誘導体の二量化反応)を行うことで樹脂層を硬化させ配向規制力を付与することができる。
所望のプレチルト角を付与するためには、樹脂層表面に対し、斜め方向からの直線偏光照射を行うことが好ましい。斜め方向とは、基材面と平行な方向に対する傾きをいい、この傾きの角度をプレチルト角という。プレチルト角は、使用の目的に応じて適宜調整することが可能である。垂直配向用の配向膜として用いる場合、一般的には、プレチルト角は70〜89.8°であることが好ましい。また、水平配向用の配向膜として用いる場合、一般的には、プレチルト角は1〜7°であることが好ましい。特に、IPSモードでは、プレチルト角は0〜1°であることが好ましい。
光源としては、例えば、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。これらの光源からの光に対して、偏光フィルターや偏光プリズムを用いることで直線偏光が得られる。また、このような光源から得た紫外光及び可視光は、干渉フィルターや色フィルター等を用いて、照射する波長範囲を制限してもよい。
照射エネルギーは、15mJ/cm〜1000mJ/cmであることが好ましく、20mJ/cm〜500mJ/cmであることが更に好ましい。照度は2〜500mW/cmであることがより好ましく、5〜300mW/cmであることが更に好ましい。
樹脂層に対し照射する光としては、光架橋反応により樹脂層を硬化させるため、例えば、150nm〜800nmの波長の光を含む紫外光及び可視光を用いることができる。このうち、270nm〜450nmの紫外光が特に好ましい。本実施形態に係る化合物(特に、桂皮酸誘導体)がナフチレン基を有する場合は、270nm〜450nmの紫外光照射により、配向規制力の付与の効率を一層高めることができる。このような効果は、ナフチレン基が270nm〜450nmの紫外光をよく吸収するためであると考えられる。
液晶配向膜(光配向膜)の膜厚は、10〜250nm程度が好ましく、10〜100nm程度がより好ましい。
[液晶表示素子の製造方法]
本実施形態に係る液晶配向膜は、例えば、液晶セル、液晶表示素子等に使用することができる。上記の方法により製造された液晶配向膜(光配向膜)を用いて、例えば、以下のようにして、一対の基板間に液晶組成物を挟持する液晶セル及びこれを用いた液晶表示素子を製造することができる。
本実施形態に係る液晶配向膜を用いて製造される液晶セルは、2枚の基板間に液晶が配置された構成を備える。上記基板のうち少なくとも一方が本実施形態に係る液晶配向膜が形成された基板である。
液晶セルの製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。2枚の基板のいずれもが本実施形態に係る液晶配向膜を備える場合について説明する。
まず、それぞれの液晶配向膜が対向するように2枚の基板を配置し、基板間に一定の間隙(セルギャップ)を保った状態で周辺部をシール剤により貼り合わせる。その後、液晶配向膜及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を真空充填等により注入した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
液晶セルはODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法でも製造することができる。まず、液晶配向膜を形成した基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、液晶配向膜上のシール剤により囲まれた領域に、液晶を滴下する。その後、液晶配向膜が対向するようにもう1枚の基板を貼り合わせる。次いで基板の全面に紫外光を照射し、シール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法により上記液晶セルを製造する場合でも、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、注入時の流動配向を除去することが望ましい。徐冷する過程において、液晶が液晶配向膜の配向規制力の影響で、再配向する。
シール剤としては、例えば、エポキシ樹脂等を用いることができる。
セルギャップを一定に保つためには、2枚の基板を張り合わせるのに先立って、基板間に、例えば、シリカゲル、アルミナ、アクリル樹脂等のビーズを用いることができる。これらのビーズは、液晶配向膜の塗膜上に散布して用いてもよいし、シール剤と混合させて用いてもよい。
液晶セル中に充填する液晶としては、例えば、ネマチック型液晶を用いることができる。
垂直配向型液晶セルの場合には、負の誘電異方性を有する液晶が好ましい。このような液晶としては、例えば、ジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ナフタレン系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶等が挙げられる。これらの液晶は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は、求める性能に応じて、2種以上を組み合わせて用いる。
水平配向型液晶セルの場合には、正の誘電率異方性を有する液晶が好ましい。このような液晶としては、例えば、シアノベンゼン系液晶、ジフルオロベンゼン系液晶、トリフルオロベンゼン系液晶、トリフルオロメチルベンゼン系液晶、トリフルオロメトキシベンゼン系液晶、ピリミジン系液晶、ナフタレン系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶等が挙げられる。これらの液晶は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は、求める性能に応じて、2種以上を組み合わせて用いる。
こうして製造した上記液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を得ることができる。
偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」からなる偏光板、又はH膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板等を挙げることができる。
本実施形態に係る液晶配向膜を備える液晶表示素子は、液晶配向膜の高い配向規制力のため、表示特性、信頼性等の諸性能に優れる。また、本実施形態に係る液晶配向膜は、水平配向型液晶表示素子、垂直配向型液晶表示素子のいずれの液晶表示素子にも用いることが可能であるが、AC焼き付き等を低減する効果が大きくなる点から、水平配向型液晶表示素子に用いることが好ましい。
[光学異方体の製造方法]
上記の方法で形成された液晶配向膜(又は層)を用いて、例えば以下のようにして、液晶表示素子の光学補償等に使用する光学異方性フィルムに有用な光学異方体を製造することができる。すなわち、本実施形態では、重合性液晶組成物の重合体により構成される光学異方体において、重合性液晶組成物中の重合性液晶分子を、本実施形態に係るポリマーを用いて配向させた、光学異方体を提供できる。すなわち、本実施形態に係る液晶配向膜(光配向膜)上に重合性液晶組成物を塗布し、重合性液晶組成物中の重合性液晶分子(重合性を有する液晶分子)を配向させた状態で重合させることにより、光学異方体を製造することもできる。なお、光学異方体とは、その物質中を光が進むとき、進む方向によって光の伝搬速度、屈折率、吸収等の光学的性質に違いがある物質を意味する。
重合性液晶組成物を液晶配向層上に塗布して、光学異方体を製造する場合は、バーコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ダイコーティング、キャップコーティング、ディッピング法等の公知慣用のコーティング法を利用すればよい。このとき、塗工性を高めるために、重合性液晶組成物に公知慣用の有機溶媒を添加してもよい。この場合は、重合性液晶組成物を液晶配向層上に塗布後、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等を行うことで有機溶媒を除去する。
本実施形態に係る液晶配向層を使用して光学異方体を得るには、上記のとおり液晶配向層上に重合性液晶組成物を塗布し配向させた状態で、重合性液晶組成物を重合させる。本実施形態において、重合性液晶組成物を重合させる方法としては、重合性液晶組成物に活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等が挙げられる。重合性液晶組成物の重合操作が、活性エネルギー線を照射する方法の場合は、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射し光重合する方法が好ましい。重合性液晶組成物の重合操作が、光重合の場合は、液晶配向層を光重合で形成する場合と同様に行えばよい。重合性液晶組成物に対する紫外線照射強度は、1W/m〜10kW/mの範囲が好ましく、5W/m〜2kW/mの範囲が特に好ましい。
加熱による重合性液晶組成物の重合は、重合性液晶組成物が液晶相を示す温度又はそれより低温で行うことが好ましく、特に加熱によりラジカルを放出する熱重合開始剤を使用する場合にはその開裂温度が上記の温度域内にあるものを使用することが好ましい。また、熱重合開始剤と光重合開始剤とを併用することもできる。加熱温度は、重合性液晶組成物の液晶相から等方相への転移温度にもよるが、熱による不均質な重合が誘起されてしまう温度よりも低い温度で行うことが好ましく、20℃〜300℃が好ましく、30℃〜200℃が更に好ましく、30℃〜120℃が特に好ましい。また、例えば、重合性基が(メタ)アクリロイルオキシ基である場合は、90℃よりも低い温度で行うことが好ましい。
液晶配向層と光学異方体の製造工程としては、例えば、以下の方法が挙げられる。第一工程として、基板上に、ポリマーからなる膜を形成する。第二工程として、異方性を有する光を照射して、ポリマーからなる膜に配向制御能を付与し、液晶配向層を形成する。第三工程として、液晶配向層上に重合性液晶組成物膜を形成する。第四工程として、重合性液晶組成物膜を重合させて光学異方体を形成する。この時、第四工程において、液晶配向層内で重合反応と架橋反応とが同時に進行してもよい。この製造工程においては、ポリマーからなる膜に直接光を照射するので、より液晶配向能の高い液晶配向層を得ることができる。
また、別の製造方法として以下の方法が挙げられる。第一工程として基板上に、ポリマーからなる膜を形成する。第二工程として、ポリマーからなる膜上に重合性液晶組成物膜を形成する。第三工程として、異方性を有する光を照射して、ポリマーからなる膜に配向制御能を付与し、液晶配向層を形成する。第四工程として、重合性液晶組成物膜を重合させて光学異方体を形成する。この時、光照射等により第三工程と第四工程とが同時に進行してもよく、この製造工程では工程数を削減することができる。
場合によっては、光学異方体を数層にわたり積層することもできる。その場合は上記の工程を複数繰り返せばよく、光学異方体の積層体を形成することができる。液晶配向上に光学異方体を形成した後、さらに光学異方体上に液晶配向と光学異方体を積層してもよく、液晶配向上に光学異方体を形成した後、さらに光学異方体を積層してもよい。こうして得られた、複数の光学異性体層を有する光学異方体は、液晶表示素子の液晶層と偏光板の光学補償を同時に行う、あるいは液晶表示素子の液晶層の光学補償と輝度向上を同時に行う、あるいは液晶表示素子の偏光板の光学補償と輝度向上を同時に行うなどの用途に用いることができる。
マスクを使用して特定の部分のみを紫外線照射で重合させた後、未重合部分の配向状態を、電場、磁場又は温度等をかけて変化させ、その後未重合部分を重合させると、異なる配向方向をもった複数の領域を有する光学異方体を得ることもできる。また、マスクを使用して特定の部分のみを紫外線照射で重合させる際に、予め未重合状態のモノマー組成物(a)及びモノマー組成物(b)に電場、磁場又は温度等をかけて配向を規制し、その状態を保ったままマスク上から光を照射して重合させることによっても、異なる配向方向をもった複数の領域を有する光学異方体を得ることができる。
得られた光学異方体の耐溶剤特性や耐熱性の安定化のために、光学異方体を加熱エージング処理することもできる。この場合、重合性液晶組成物膜のガラス転移点以上で加熱することが好ましい。通常は、50〜300℃が好ましく、80〜240℃が更に好ましく、100〜220℃が特に好ましい。
以上の工程により得られた光学異方体は、基板から光学異方体層を剥離して単体で光学異方体として使用することも、基板から剥離せずにそのまま光学異方体として使用することもできる。特に、他の部材を汚染し難いので、被積層基板として使用したり、他の基板に貼り合わせて使用したりするときに有用である。
[重合性液晶組成物の調製]
本実施形態において、光学異方体を製造する場合に使用する重合性液晶組成物は、単独又は他の液晶化合物との組成物において液晶性を示す、重合性液晶を含む液晶組成物である。例えば、Handbook of Liquid Crystals (D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)、あるいは、特開平7−294735号公報、特開平8−3111号公報、特開平8−29618号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−148079号公報、特開2000−178233号公報、特開2002−308831号公報、特開2002−145830号公報に記載されているような、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、エポキシ基といった重合性官能基とを有する棒状重合性液晶化合物、あるいは特開2004−2373号公報、特開2004−99446号公報に記載されているようなマレイミド基を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは特開2004−149522号公報に記載されているようなアリルエーテル基を有する棒状重号性液晶化合物、あるいは、例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)や、特開平07−146409号公報に記載されているディスコティック重合性化合物があげられる。中でも、重合性基を有する棒状液晶化合物が、液晶温度範囲として室温前後の低温を含むものを作りやすく好ましい。
重合性液晶組成物に使用する溶剤としては、特に限定はないが、該組成物に含まれる化合物が良好な溶解性を示す溶媒が使用できる。例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系炭化水素、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、アニソール等のエーテル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、等のアミド系溶剤、γ−ブチロラクトン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらは、単独で使用することもできるし、2種類以上混合して使用することもできる。また、添加剤を添加することもできる。
重合性液晶組成物は、重合性基を有していない液晶化合物を必要に応じて添加してもよい。しかし、添加量が多すぎると、得られた光学異方体から液晶化合物が溶出して積層部材を汚染する恐れがあり、加えて光学異方体の耐熱性が下がるおそれがあるので、添加する場合は、重合性液晶化合物全量に対して30質量%以下とすることが好ましく、15質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
重合性液晶組成物は、重合性基を有するが重合性液晶化合物ではない化合物を添加することもできる。このような化合物としては、通常、この技術分野で重合性モノマーあるいは重合性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができる。添加する場合は、本発明の重合性液晶組成物に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下が更に好ましい。
重合性液晶組成物には、光学活性を有する化合物、すなわちキラル化合物を添加してもよい。キラル化合物は、それ自体が液晶相を示す必要は無く、また、重合性基を有していても、有していなくても良い。また、キラル化合物の螺旋の向きは、重合体の使用用途によって適宜選択することができる。
具体的には、例えば、キラル基としてコレステリル基を有するペラルゴン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、キラル基として2−メチルブチル基を有するビーディーエイチ社製の「CB−15」、「C−15」、メルク社製の「S−1082」、チッソ社製の「CM−19」、「CM−20」、「CM」、キラル基として1−メチルヘプチル基を有するメルク社製の「S−811」、チッソ社製の「CM−21」、「CM−22」などを挙げることができる。
キラル化合物を添加する場合は、重合性液晶組成物の重合体の用途によるが、得られる重合体の厚み(d)を重合体中での螺旋ピッチ(P)で除した値(d/P)が0.1〜100の範囲となる量を添加することが好ましく、0.1〜20の範囲となる量が更に好ましい。
重合性液晶組成物には、保存安定性を向上させるために安定剤を添加することもできる。安定剤として例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類等が挙げられる。添加する場合は、重合性液晶組成物に対して1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることが特に好ましい。
ポリマー及び重合性液晶組成物より得られる光学異方体を、例えば、偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料、保護膜等の用途に利用する場合、使用する重合性液晶組成物にはその目的に応じて、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物などを添加してもよい。
以下、例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。化合物の構造は、質量スペクトル(MS)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)等により確認した。特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
<メタクリレートモノマー(a−1)の合成>
Figure 0006343914

10−ブロモ−1−デカノ−ル34g、メタクリル酸22g、4−メトキシフェノ−ル70mg、p−トルエンスルホン酸一水和物2g、シクロヘキサン200mL、ジイソプロピルエーテル40mLを混合し、オイル浴で加熱して8時間還流させた。反応液を30℃まで放冷後、反応液に水100mL加えて有機層を抽出した。その有機層を、5%炭酸水素ナトリウム水溶液100mLで2回、飽和食塩水100mLで1回洗浄した。洗浄後の有機層を減圧濃縮し、無色液体である化合物(a−1−1)50gを得た。反応容器中で、p−ヒドロキシベンズアルデヒド23g、炭酸カリウム46g、化合物(a−1−1)46gを、DMF300mLに懸濁させ、90℃で6時間攪拌して反応を終了させた。反応液を10℃まで冷却した後に、反応液に水650mLを滴下して固体を析出させた。固体を濾取し、褐色粒状固体である化合物(a−1−2)72gを得た。反応容器中で、化合物(a−1−2)66gをメタノール980mLに溶解させ、そこにリン酸二水素ナトリウム水溶液(リン酸二水素ナトリウム二水和物19gを水250mLに溶解したもの)、30%過酸化水素水(32mL)を順次加えた。亜塩素酸ナトリウム水溶液(純度80%の亜塩素酸ナトリウム27gを水220mLに溶解したもの)を滴下して加えた。滴下終了後、反応液を45℃で3時間撹拌して反応を終了させた。反応液を20℃までゆっくり冷却した後に、反応液に水を滴下して固体を析出させる。固体を濾取し、固体に対して水で振りかけ洗いをした。このようにして得られた無色麟片状結晶の粗生成物を減圧下で8時間乾燥して、無色結晶である化合物(a−1−3)47gを得た。
一方、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩54g、4−ジメチルアミノピリジン0.3gを2−シアノエタノール406mLに溶解させた。この溶液に、フェルラ酸50gを2−シアノエタノール203mLに溶解した溶液を10℃で1時間かけて滴下したものを室温で4時間攪拌した。反応液と15℃の冷水とを混合し、混合液にトルエン/THF混合溶媒を加えて有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水200mLで洗浄した後に濃縮し、得られた黄色固体を再結晶することにより、白色固体である化合物(a−1−4)37gを得た。
化合物(a−1−3)39g、化合物(a−1−4)28g、4−ジメチルアミノピリジン0.3gをジクロロメタン140mLに懸濁させ、内温を10℃以下に保ちながら、ジイソプロピルカルボジイミド172gを滴下した後に、15〜25℃で3時間攪拌した。原料の消失を確認後、反応液に水を加えることにより反応を失活させた。得られた析出物を濾別し、ジクロロメタン溶液とした後にカラムクロマトグラフィーにて精製した。ジクロロメタン溶液からジクロロメタンを減圧留去した後、メタノ−ルを加え、0℃に冷却して結晶を析出させた。結晶を濾別し、減圧乾燥を行ってメタクリレートモノマー(a−1)51gを得た。
<ポリメタクリレート(M−1)の合成>
Figure 0006343914

得られたメタクリレートモノマー(a−1)16.5g、AIBN92mgをTHF82.5mLに溶解させ、窒素雰囲気下55℃で6時間反応させた。得られた溶液にヘキサンを加えることにより目的物を沈殿させ、この沈殿物を減圧乾燥することにより目的のポリメタクリレート(M−1)11gを得た。このポリメタクリレート(M−1)の重量平均分子量は248,000であった。
なお、重量平均分子量は以下の測定条件のもと、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、Gel Permeation Chromatography)により測定した。測定装置には、東ソー社製GPC装置HLC−8220GPCを用い、分析カラムにはTSKgel GMHXL×2本、TSKgel G2000XL×1本、TSKgel G1000XL×1本の計4本直列、検出器には示差屈折率(RI)検出器、較正曲線作成のための標準試料には、昭和電工製ポリスチレン標準試料STANDARD SM−105(分子量範囲1,300〜3,800,000)を用いた。得られたポリマーをTHFに1μg/mLの濃度となるよう溶解し、移動相をTHF、送液速度を1mL/分、カラム温度を40℃、試料注入量を300μLとして測定した。
<評価用液晶セルの作製>
ポリメタクリレート(M−1)5部を、N−メチル−2−ピロリドン47.5部と2−ブトキシエタノール47.5部との混合溶媒に溶解させ、室温で10分間攪拌した。次に、その溶液を、基材である二枚のガラスプレート(対となる二枚のガラスプレートのうち一枚のガラスプレートにはガラスプレートの長辺方向に沿って電極間隔5μmの櫛型パターンITO電極が形成されている)上にそれぞれスピンコーターを用いて塗布した。そのガラスプレートを80℃で3分間、さらに180℃で5分間加熱して、膜厚約0.1μmのポリメタクリレート(M−1)の塗膜を得た。ガラスプレート上にはポリメタクリレート(M−1)が均一に塗布され、平滑な膜が形成されていた。次に、超高圧水銀ランプから波長カットフィルター、バンドパスフィルター及び偏光フィルターを介して、紫外光(313nm、照度20mW/cm)を平行光としてガラスプレートの塗膜が形成されている面に照射した。このとき、紫外光は直線偏光となっており、直線偏光の電場の振動方向が櫛型パターンITO電極(ガラスプレートの長辺方向)と平行になるように、ガラスプレート面に対して法線方向から紫外光を照射した。紫外光照射エネルギーは、100mJ/cmであった。
上記の方法で作製した塗膜付きガラスプレートを用いて、液晶セルを製作した。具体的には、二枚のガラスプレートを互いの間隔が約4μmになるように対向させ、熱硬化型シール剤を用いてアンチパラレル方向に貼り合わせてセルを形成した。次に、誘電率異方性が正であるネマチック液晶混合物(LC−1)をセルに充填した後、ホットプレート上で透明点(86℃)より5℃程度高い温度までセルを加熱した後、ゆっくり室温まで冷却した。得られた液晶セルをバックライトと二枚の偏光板とを用いて観察したところ、液晶がガラスプレートの長辺方向に対して概ね一様に平行配向していたが、ITO電極のエッジ部やシール剤近傍にわずかながら異常ドメイン及び配向ムラが見られた。
なお、上記ネマチック液晶混合物(LC−1)は、表1に示した液晶化合物を同表に記載の配合量で配合することにより調製したものである。得られたネマチック液晶混合物(LC−1)に対する熱分析の結果、ネマチック−等方性液体相転移温度(透明点)は85.6℃であった。また、波長589nmにおける異常光屈折率nは1.596、波長589nmにおける常光屈折率nоは1.491であった。また、誘電率異方性は+7.0、K22(ツイスト弾性係数)は7.4pNであった。
Figure 0006343914
<AC焼き付き評価>
得られた液晶セルを二枚の直交する偏光板にはさみ、初期状態が暗となる設定下で0〜6Vの交流電圧で駆動したところ、暗から明へ切り替わる良好な光学特性が得られた。なお、閾値電圧は3.00Vであった。また、ITO電極のエッジ部やシール剤近傍の異常ドメイン及び配向ムラは見られなかった。AC焼き付き評価は、4V印加した時の液晶セルの透過率TBと、液晶セルに周波数64Hzの交流電圧10Vを60℃で72時間印加し続けた後において4V印加した時の液晶セルの透過率TAとの比より求めた。AC焼き付き値は、TA/TB=1.11であった。
<方位角アンカリングエネルギー測定>
上記液晶セルを用いて、液晶配向膜表面と液晶層との間の界面における方位角アンカリングエネルギーを、以下のトルクバランス法と呼ばれる方法(日本液晶学会討論会講演予稿集(2001年)の251〜252頁に報告された方法)により測定した。具体的には、以下のように方位角アンカリングエネルギーを測定した。
まず、上記櫛型パターンITO電極を備えたガラスプレートの代わりに10×10mmのITO電極を備えたガラスプレートを用い、上記と同じ方法でガラスプレート同士の間隔が約10μmの液晶セルを作製して、当該セルに液晶組成物(LC−1)を充填した。次に、25℃において、白色光源、偏光子(入射側偏光板)、検光子(出射側偏光板)、検出器を備えた光学測定装置(OMS−DI4RD、中央精機株式会社製)の偏光子−検光子間にこの液晶セルを配置し、偏光子と検光子を回転させながら検出器にて透過光の光量を検出し、検出した光量が最も小さい位置(消光位)となる偏光子と検光子の回転角を求め、この角度をツイスト角φとした。次いで、セルに充填された液晶を窒素ガスブロー及びヘキサンを用いて除去し、LC−1にキラル剤(メルク社製、S−811)をドープして螺旋ピッチを20μmに調整した液晶組成物(LC−1E)を新たにセルに充填して、ツイスト角φを上記と同様に測定した。得られたツイスト角φ及びφから、下記式(1)を用いて計算した方位角アンカリングエネルギーAは、251μJ/mであった。
A=2K22(2πd/p−φ)/d・sin(φ−φ) (1)
式中、dはセルギャップ(ガラスプレート同士の間隔)、pはキラル剤入り液晶の螺旋ピッチを表す。
<電圧保持率、チルト角>
方位角アンカリングエネルギー測定用の試料と同様に、10×10mmのITO電極を備えたガラス基板同士の間隔が約10μmの液晶セルを作製した。当該セルに液晶組成物(LC−1)を充填し、25℃でパルス幅64μs、5Vの交流電圧を60Hz周期で印加した際のVHR(電圧保持率)は99.1%であった。また、ElSICON製のPAS−301を用いて測定したチルト角は0.12度であった。
(実施例2)
評価用液晶セルの作製時に紫外光照射エネルギーを30mJ/cmとした以外は、実施例1と同様にして、メタクリレートモノマーの合成、ポリメタクリレートの合成、評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは241μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.11、VHR(電圧保持率)は99.1%、チルト角は0.16度であった。
(実施例3)
評価用液晶セルの作製時に紫外光照射エネルギーを500mJ/cmとした以外は、実施例1と同様にして、メタクリレートモノマーの合成、ポリメタクリレートの合成、評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは280μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.08、VHR(電圧保持率)は99.1%、チルト角は0.10度であった。
(実施例4)
Figure 0006343914

まず、10−ブロモ−1−デカノ−ルの代わりに8−クロロ−1−オクタノ−ルを用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリレートモノマー(a−2)を合成した。次に、メタクリレートモノマー(a−1)の代わりにメタクリレートモノマー(a−2)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリメタクリレート(M−2)を合成した。ポリメタクリレート(M−2)の重量平均分子量は、383,000であった。続いて、ポリメタクリレート(M−1)の代わりにポリメタクリレート(M−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは280μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.44、VHR(電圧保持率)は99.2%、チルト角は0.19度であった。
(比較例1)
Figure 0006343914

まず、10−ブロモ−1−デカノ−ルの代わりに6−クロロ−1−ヘキサノ−ルを用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリレートモノマー(a−3)を合成した。次に、メタクリレートモノマー(a−1)の代わりにメタクリレートモノマー(a−3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリメタクリレート(M−3)を合成した。ポリメタクリレート(M−3)の重量平均分子量は、274,000であった。続いて、ポリメタクリレート(M−1)の代わりにポリメタクリレート(M−3)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは211μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.57、VHR(電圧保持率)は99.2%、チルト角は0.14度であった。
(比較例2)
評価用液晶セルの作製時に紫外光照射エネルギーを30mJ/cmとした以外は、比較例1と同様にして、メタクリレートモノマーの合成、ポリメタクリレートの合成、評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは152μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.72、VHR(電圧保持率)は99.0%、チルト角は0.15度であった。
(比較例3)
評価用液晶セルの作製時に紫外光照射エネルギーを500mJ/cmとした以外は、比較例1と同様にして、メタクリレートモノマーの合成、ポリメタクリレートの合成、評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは220μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.69、VHR(電圧保持率)は99.3%、チルト角は0.12度であった。
(実施例5)
Figure 0006343914

まず、10−ブロモ−1−デカノ−ルの代わりに9−ブロモ−1−ノナノ−ルを用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリレートモノマー(a−4)を合成した。次に、メタクリレートモノマー(a−1)の代わりにメタクリレートモノマー(a−4)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリメタクリレート(M−4)を合成した。ポリメタクリレート(M−4)の重量平均分子量は、215,000であった。続いて、ポリメタクリレート(M−1)の代わりにポリメタクリレート(M−4)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは290μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.16、VHR(電圧保持率)は99.3%、チルト角は0.13度であった。
(実施例6)
Figure 0006343914

まず、10−ブロモ−1−デカノ−ルの代わりに11−ブロモ−1−ウンデカノ−ルを用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリレートモノマー(a−5)を合成した。次に、メタクリレートモノマー(a−1)の代わりにメタクリレートモノマー(a−5)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリメタクリレート(M−5)を合成した。ポリメタクリレート(M−5)の重量平均分子量は、304,000であった。続いて、ポリメタクリレート(M−1)の代わりにポリメタクリレート(M−5)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは220μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.15、VHR(電圧保持率)は99.2%、チルト角は0.18度であった。
(実施例7)
Figure 0006343914

まず、10−ブロモ−1−デカノ−ルの代わりに12−ブロモ−1−ドデカノ−ルを用いた以外は、実施例1と同様にしてメタクリレートモノマー(a−6)を合成した。次に、メタクリレートモノマー(a−1)の代わりにメタクリレートモノマー(a−6)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリメタクリレート(M−6)を合成した。ポリメタクリレート(M−6)の重量平均分子量は、352,000であった。続いて、ポリメタクリレート(M−1)の代わりにポリメタクリレート(M−6)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは155μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.21、VHR(電圧保持率)は99.1%、チルト角は0.21度であった。
(実施例8)
<メタクリレートモノマー(a−7)の合成>
Figure 0006343914

10−ブロモ−1−デカノ−ル178g、メタクリル酸113g、4−メトキシフェノ−ル454mg、p−トルエンスルホン酸一水和物12g、シクロヘキサン1000mL、ジイソプロピルエーテル200mLを混合し、オイル浴で加熱して8時間還流させた。反応液を30℃まで放冷後、反応液に水100mL加えて有機層を抽出した。その有機層を、5%炭酸水素ナトリウム水溶液400mLで2回、飽和食塩水400mLで1回洗浄した。洗浄後の有機層を減圧濃縮し、無色液体である化合物(a−7−1)235gを得た。反応容器中で、4−ヒドロキシカルコン70g、炭酸カリウム46g、化合物(a−7−1)46gを、DMF300mLに懸濁させ、90℃で6時間攪拌して反応を終了させた。反応液を10℃まで冷却した後に、反応液に水650mLを滴下して固体を析出させた。固体を濾取し、褐色粒状固体である化合物(a−7)89gを得た。
<ポリメタクリレート(M−7)の合成>
Figure 0006343914

得られたメタクリレートモノマー(a−7)25g、AIBN209mgをTHF125mLに溶解させ、窒素雰囲気下55℃で6時間反応させた。得られた溶液にヘキサンを加えることにより目的物を沈殿させ、この沈殿物を減圧乾燥することにより目的のポリメタクリレート(M−7)16gを得た。このポリメタクリレート(M−7)の重量平均分子量は353,000であった。
続いて、ポリメタクリレート(M−1)の代わりにポリメタクリレート(M−7)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは188μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.34、VHR(電圧保持率)は99.3%、チルト角は0.24度であった。
(比較例4)
Figure 0006343914

まず、10−ブロモ−1−デカノ−ルの代わりに6−ブロモ−1−ヘキサノ−ルを用いた以外は、実施例8と同様にしてメタクリレートモノマー(a−8)を合成した。次に、メタクリレートモノマー(a−7)の代わりにメタクリレートモノマー(a−8)を用いた以外は、実施例8と同様にしてポリメタクリレート(M−8)を合成した。ポリメタクリレート(M−8)の重量平均分子量は、307,000であった。続いて、ポリメタクリレート(M−7)の代わりにポリメタクリレート(M−8)を用いた以外は、実施例8と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは145μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.81、VHR(電圧保持率)は99.3%、チルト角は0.28度であった。
(実施例9)
誘電率異方性が正であるネマチック液晶混合物(LC−1)の代わりに誘電率異方性が負であるネマチック液晶混合物(LC−2)を用い、ネマチック液晶混合物(LC−2)をセルに充填した後、ホットプレート上で透明点より5℃程度高い温度までセルを加熱した後、ゆっくり室温まで冷却した以外は、実施例1と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは244μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.11、VHR(電圧保持率)は99.0%、チルト角は0.25度であった。
なお、ネマチック液晶混合物(LC−2)は、表2に示した液晶化合物を同表に記載の配合量で配合することにより調製したものである。得られたネマチック液晶混合物(LC−2)に対する熱分析の結果、ネマチック−等方性液体相転移温度(透明点)は85.0℃であった。また、波長589nmにおける異常光屈折率nは1.585、波長589nmにおける常光屈折率nоは1.483であった。
Figure 0006343914
(実施例10)
<化合物(b−1)の合成>
Figure 0006343914

ウンデカン−1,11−ジカルボン酸100g、2−メチル−2−プロパノール39g、4−ジメチルアミノピリジン1.3gをジクロロメタンの2000mLに懸濁させた。内温を10℃以下に保ちながら、ジイソプロピルカルボジイミド80gを滴下し、15〜25℃で3時間攪拌した。原料の消失を確認後、水を加え、反応を失活させた。析出物を濾別し、ジクロロメタン溶液からカラムクロマトグラフィーにて精製した後、減圧乾燥を行い化合物(b−2)65gを得た。得られた化合物(b−2)64gをTHF325mLに溶解させ、−20℃に冷却後、その溶液にボランTHF錯体のTHF溶液(濃度:1.0M)270mLを滴下して加えた。反応溶液を室温まで上げ、さらに5時間撹拌した。反応混合物に炭酸カリウム溶液200mLを加えた後、酢酸エチルで抽出した有機層を5%炭酸水素ナトリウム水溶液400mLで2回、飽和食塩水400mLで1回洗浄した。続いて、減圧濃縮し、黄色液体である化合物(b−3)51gを得た。
4−アセトキシ安息香酸30g、化合物(a−1−4)42g、4−ジメチルアミノピリジン0.5gをジクロロメタンの210mLに懸濁させた。内温を10℃以下に保ちながら、ジイソプロピルカルボジイミド255gを滴下し、15〜25℃で3時間攪拌した。原料の消失を確認後、水を加え、反応を失活させた。析出物を濾別し、ジクロロメタンを減圧留去した後、THF300mLを加えて0℃に冷却する。THF溶液を撹拌している中に、ブチルアミン15gを加えた。アセチル基の脱保護を確認後、5%塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した有機層を飽和食塩水200mLで洗浄した。続いて、減圧留去した後、メタノ−ルを加え、0℃に冷却して結晶を析出させた。結晶を濾別し、減圧乾燥を行って化合物(b−4)43gを得た。
化合物(b−3)30g、化合物(b−4)43g、トリフェニルホスフィン34gをTHF中氷冷下撹拌している中に、内温を10℃以下に保ちながら、アゾジカルボン酸ジイソプロピル32gを滴下した。橙色になった反応溶液を室温で10時間撹拌後に濃縮し、さらに、ジクロロメタンに溶解させた後にカラムクロマトグラフィーにて精製した。ジクロロメタンを減圧留去した後、メタノ−ルを加えて再結晶を行った。結晶を濾別し、減圧乾燥を行って化合物(b−5)33gを得た。得られた化合物(b−5)30gをトリフルオロ酢酸300mLに溶解させ、室温で5時間撹拌した。反応終了を確認後、反応溶液を濃縮し、得られた黄色固体をTHF/ヘキサン混合溶媒で再結晶することにより、白色固体である化合物(b−1)26gを得た。
<ポリオルガノシロキサン(S−1)の合成>
Figure 0006343914

反応容器に、上記式(s−1)で表される化合物60g、MIBK60g、水5.0g、水酸化テトラメチルアンモニウム25質量%水溶液3.0gを加えて、55℃で3時間反応させた。終了後、MIBK180gを加えて、40mLの水で分液洗浄を行ったのち、溶媒を減圧留去して、ポリオルガノシロキサン(Sa−1)を34g得た。この重合体の重量平均分子量は6,400であった。次に、200mLのフラスコに、ポリオルガノシロキサン(Sa−1)21.3g、MIBK50g、カルボン酸である化合物(b−1)14.0g、U−CAT18X(サンアプロ(株)製の特殊アミン)0.20gを加え、90℃で10時間攪拌して反応を行った。反応終了後、この混合物をメタノール中に投入して沈殿物を回収した後、MEK中に溶解して溶液とし、水洗浄を行ってから溶媒を減圧留去することにより、ポリオルガノシロキサン(S−1)18.1gを得た。この重合体の重量平均分子量は10,300であった。
ポリメタクリレート(M−1)の代わりにポリオルガノシロキサン(S−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは232μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.22、VHR(電圧保持率)は99.0%、チルト角は0.31度であった。
(比較例5)
ウンデカン−1,11−ジカルボン酸の代わりにヘプタン−1,7−ジカルボン酸を用いた以外は、実施例10と同様にして化合物(c−1)を合成した。次に、化合物(c−1)の代わりに化合物(c−1)を用いた以外は、実施例10と同様にしてポリオルガノシロキサン(S−2)を合成した。ポリオルガノシロキサン(S−2)の重量平均分子量は、13,000であった。続いて、ポリオルガノシロキサン(S−1)の代わりにポリオルガノシロキサン(S−2)を用いた以外は、実施例10と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは187μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.62、VHR(電圧保持率)は99.3%、チルト角は0.23度であった。
(実施例11)
<メタクリレートモノマー(a−9)の合成>
Figure 0006343914

10−ブロモ−1−デカノ−ル34g、メタクリル酸22g、4−メトキシフェノ−ル70mg、p−トルエンスルホン酸一水和物2g、シクロヘキサン200mL、ジイソプロピルエーテル40mLを混合し、オイル浴で加熱して8時間還流させた。反応液を30℃まで放冷後、反応液に水100mL加えて有機層を抽出した。その有機層を、5%炭酸水素ナトリウム水溶液100mLで2回、飽和食塩水100mLで1回洗浄した。洗浄後の有機層を減圧濃縮し、無色液体である化合物(a−1−1)50gを得た。反応容器中で、p−ヒドロキシベンズアルデヒド23g、炭酸カリウム46g、化合物(a−1−1)46gを、DMF300mLに懸濁させ、90℃で6時間攪拌して反応を終了させた。反応液を10℃まで冷却した後に、反応液に水650mLを滴下して固体を析出させた。固体を濾取し、褐色粒状固体である化合物(a−1−2)72gを得た。反応容器中で、化合物(a−1−2)66gをメタノール980mLに溶解させ、そこにリン酸二水素ナトリウム水溶液(リン酸二水素ナトリウム二水和物19gを水250mLに溶解したもの)、30%過酸化水素水(32mL)を順次加えた。亜塩素酸ナトリウム水溶液(純度80%の亜塩素酸ナトリウム27gを水220mLに溶解したもの)を滴下して加えた。滴下終了後、反応液を45℃で3時間撹拌して反応を終了させた。反応液を20℃までゆっくり冷却した後に、反応液に水を滴下して固体を析出させる。固体を濾取し、固体に対して水で振りかけ洗いをした。このようにして得られた無色麟片状結晶の粗生成物を減圧下で8時間乾燥して、無色結晶である化合物(a−1−3)47gを得た。
一方、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩54g、4−ジメチルアミノピリジン0.3gを2−メトキシエタノール406mLに溶解させた。この溶液に、フェルラ酸50gを2−メトキシエタノール203mLに溶解した溶液を10℃で1時間かけて滴下したものを室温で4時間攪拌した。反応液と15℃の冷水とを混合し、混合液にトルエン/THF混合溶媒を加えて有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水200mLで洗浄した後に濃縮し、得られた黄色固体を再結晶することにより、白色固体である化合物(a−9−4)34gを得た。
化合物(a−1−3)39g、化合物(a−9−4)28g、4−ジメチルアミノピリジン0.3gをジクロロメタン140mLに懸濁させ、内温を10℃以下に保ちながら、ジイソプロピルカルボジイミド172gを滴下した後に、15〜25℃で3時間攪拌した。原料の消失を確認後、反応液に水を加えることにより反応を失活させた。得られた析出物を濾別し、ジクロロメタン溶液とした後にカラムクロマトグラフィーにて精製した。ジクロロメタン溶液からジクロロメタンを減圧留去した後、メタノ−ルを加え、0℃に冷却して結晶を析出させた。結晶を濾別し、減圧乾燥を行ってメタクリレートモノマー(a−9)51gを得た。
<ポリメタクリレート(M−9)の合成>
Figure 0006343914

次に、メタクリレートモノマー(a−1)の代わりにメタクリレートモノマー(a−9)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリメタクリレート(M−9)を合成した。ポリメタクリレート(M−9)の重量平均分子量は、285,000であった。続いて、ポリメタクリレート(M−1)の代わりにポリメタクリレート(M−9)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは228μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.32、VHR(電圧保持率)は99.3%、チルト角は0.24度であった。
(比較例6)
Figure 0006343914

まず、10−ブロモ−1−デカノ−ルの代わりに6−クロロ−1−ヘキサノ−ルを用いた以外は、実施例11と同様にしてメタクリレートモノマー(a−10)を合成した。次に、メタクリレートモノマー(a−9)の代わりにメタクリレートモノマー(a−10)を用いた以外は、実施例11と同様にしてポリメタクリレート(M−10)を合成した。ポリメタクリレート(M−10)の重量平均分子量は、298,000であった。続いて、ポリメタクリレート(M−9)の代わりにポリメタクリレート(M−10)を用いた以外は、実施例11と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは116μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.98、VHR(電圧保持率)は99.3%、チルト角は0.27度であった。
(実施例12)
<メタクリレートモノマー(a−11)の合成>
Figure 0006343914

2−[2−[2−[2−ブロモメトキシ]エトキシ]エトキシ]エタノール36g、メタクリル酸22g、4−メトキシフェノ−ル70mg、p−トルエンスルホン酸一水和物2g、シクロヘキサン200mL、ジイソプロピルエーテル40mLを混合し、オイル浴で加熱して8時間還流させた。反応液を30℃まで放冷後、反応液に水100mL加えて有機層を抽出した。その有機層を、5%炭酸水素ナトリウム水溶液100mLで2回、飽和食塩水100mLで1回洗浄した。洗浄後の有機層を減圧濃縮し、無色液体である化合物(a−11−1)50gを得た。反応容器中で、p−ヒドロキシベンズアルデヒド23g、炭酸カリウム46g、化合物(a−11−1)46gを、DMF300mLに懸濁させ、90℃で6時間攪拌して反応を終了させた。反応液を10℃まで冷却した後に、反応液に水650mLを滴下して固体を析出させた。固体を濾取し、褐色粒状固体である化合物(a−11−2)72gを得た。反応容器中で、化合物(a−11−2)66gをメタノール980mLに溶解させ、そこにリン酸二水素ナトリウム水溶液(リン酸二水素ナトリウム二水和物19gを水250mLに溶解したもの)、30%過酸化水素水(32mL)を順次加えた。亜塩素酸ナトリウム水溶液(純度80%の亜塩素酸ナトリウム27gを水220mLに溶解したもの)を滴下して加えた。滴下終了後、反応液を45℃で3時間撹拌して反応を終了させた。反応液を20℃までゆっくり冷却した後に、反応液に水を滴下して固体を析出させる。固体を濾取し、固体に対して水で振りかけ洗いをした。このようにして得られた無色麟片状結晶の粗生成物を減圧下で8時間乾燥して、無色結晶である化合物(a−11−3)47gを得た。
一方、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩54g、4−ジメチルアミノピリジン0.3gを2−シアノエタノール406mLに溶解させた。この溶液に、フェルラ酸50gを2−シアノエタノール203mLに溶解した溶液を10℃で1時間かけて滴下したものを室温で4時間攪拌した。反応液と15℃の冷水とを混合し、混合液にトルエン/THF混合溶媒を加えて有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水200mLで洗浄した後に濃縮し、得られた黄色固体を再結晶することにより、白色固体である化合物(a−1−4)37gを得た。
化合物(a−11−3)39g、化合物(a−1−4)28g、4−ジメチルアミノピリジン0.3gをジクロロメタン140mLに懸濁させ、内温を10℃以下に保ちながら、ジイソプロピルカルボジイミド172gを滴下した後に、15〜25℃で3時間攪拌した。原料の消失を確認後、反応液に水を加えることにより反応を失活させた。得られた析出物を濾別し、ジクロロメタン溶液とした後にカラムクロマトグラフィーにて精製した。ジクロロメタン溶液からジクロロメタンを減圧留去した後、メタノ−ルを加え、0℃に冷却して結晶を析出させた。結晶を濾別し、減圧乾燥を行ってメタクリレートモノマー(a−11)51gを得た。
<ポリメタクリレート(M−11)の合成>
Figure 0006343914

得られたメタクリレートモノマー(a−11)16.5g、AIBN92mgをTHF82.5mLに溶解させ、窒素雰囲気下55℃で6時間反応させた。得られた溶液にヘキサンを加えることにより目的物を沈殿させ、この沈殿物を減圧乾燥することにより目的のポリメタクリレート(M−11)11gを得た。このポリメタクリレート(M−11)の重量平均分子量は264,000であった。
続いて、ポリメタクリレート(M−1)の代わりにポリメタクリレート(M−11)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは208μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.15、VHR(電圧保持率)は99.3%、チルト角は0.28度であった。
(実施例13)
<ポリメタクリレート(M−12)の合成>
実施例1のメタクリレートモノマー(a−1)の代わりに以下の化合物(a−12)を用いて同様にポリメタクリレート(M−12)を合成した。
Figure 0006343914
続いて、ポリメタクリレート(M−1)の代わりにポリメタクリレート(M−12)を用いた以外は、実施例1と同様にして評価用液晶セルの作製及び評価を行った。方位角アンカリングエネルギーは148μJ/m、AC焼き付き値はTA/TB=1.46、VHR(電圧保持率)は99.1%、チルト角は0.27度であった。
実施例1〜13及び比較例1〜6におけるポリマーの種類、紫外線照射エネルギー、液晶の種類、方位角アンカリングエネルギーの測定結果、及びAC焼き付き値を表3にまとめて示す。
Figure 0006343914
以上のとおり、実施例1〜13の化合物(桂皮酸誘導体)及びそのポリマーを使用することによって、少ない直線偏光の照射によって、充分に大きなアンカリングエネルギーを有する液晶配向膜を形成することができ、AC焼き付きの値は小さいことが確認された。かかる液晶配向膜は、液晶の配向及び小さいプレチルト角の制御に優れる。また電圧保持率も高いことが確認された。一方、比較例1〜6の化合物及びそのポリマーを使用した場合には、実施例に比べアンカリングエネルギー、チルト角、電圧保持率は、同等レベルが得られるが、AC焼き付きの値が大きい液晶配向膜しか得ることができなかった。
(実施例14:光学異方体の調製及びその評価)
<配向性の評価方法>
光学異方体の配向性は、外観目視、及び、偏光顕微鏡観察することにより、5段階で評価した。
A:目視で均一な配向が得られており、偏光顕微鏡観察でも欠陥が全くない
B:目視では均一な配向が得られているが、偏光顕微鏡観察での配向面積は90%以上100%未満
C:目視ではA、Bほどの配向は得られていないが、偏光顕微鏡観察での配向面積は60%以上90%未満
D:目視では無配向に近いが、偏光顕微鏡観察での配向面積は40%以上60%未満
E:目視では無配向で、偏光顕微鏡観察での配向面積も40%未満
<塗工性の評価>
塗工性については、ガラスプレート上に重合体を塗布して形成された膜を観察し、均一に塗布され平滑な膜が得られた場合を○(良)、塗布面に欠け・むら等が1か所ある場合を△(可)、2か所以上ある場合を×(不可)とした。
<配向層の調製及び光学異方体の調製>
ポリメタクリレート(M−1)5部を、N−メチル−2−ピロリドン47.5部と2−ブトキシエタノール47.5部との混合溶媒に溶解させ、室温で10分間攪拌した。次に、その溶液を、基材である二枚のガラスプレート(対となる二枚のガラスプレートのうち一枚のガラスプレートにはガラスプレートの長辺方向に沿って電極間隔5μmの櫛型パターンITO電極が形成されている)上にそれぞれスピンコーターを用いて塗布した。そのガラスプレートを80℃で3分間、さらに180℃で5分間加熱して、膜厚約0.1μmのポリメタクリレート(M−1)の塗膜を得た。ガラスプレート上にはポリメタクリレート(M−1)が均一に塗布され、平滑な膜が形成されていた。次に、超高圧水銀ランプから波長カットフィルター、バンドパスフィルター及び偏光フィルターを介して、紫外光(313nm、照度20mW/cm)を平行光としてガラスプレートの塗膜が形成されている面に照射して配向層を得た。このとき、紫外光は直線偏光となっており、直線偏光の電場の振動方向が櫛型パターンITO電極(ガラスプレートの長辺方向)と平行になるように、ガラスプレート面に対して法線方向から紫外光を照射した。紫外光照射エネルギーは、100mJ/cmであった。
得られた配向層上にスピンコーターで重合性液晶組成物(LC−3)を塗布し、80℃で1分乾燥後、窒素雰囲気下で紫外線を1J/cm照射して、重合性液晶組成物(LC−3)を重合させて、光学異方体を得た。得られた光学異方対を評価した結果、配向性はAであり、100mJ/cmという少ない照射量で良配向を得ることができた。配向方向を観察したところ、ホモジニアス配向となっていた。また、本発明の光学異方体は製造に際して極めて少ない紫外線照射量で、配向性を付与すること及び配向方向の制御が可能であることが分かった。なお、重合性液晶混合物(LC−3)は、表4に示した液晶化合物を同表に記載の配合量で配合することにより調製したものである。
Figure 0006343914
(実施例15,16)
実施例15,16として、ポリメタクリレート(M−1)の代わりに、それぞれポリメタクリレート(M−2),(M−9)を用いた以外は、実施例14と同様にして光学異方体を得た。得られた光学異方体を評価した結果、配向性はAであり、100mJ/cmという少ない照射量で良配向を得ることができた。配向方向を観察したところ、ホモジニアス配向となっていた。
(比較例7)
ポリメタクリレート(M−1)の代わりにポリメタクリレート(M−2)を用い、重合性液晶組成物(LC−3)の代わりにネマチック液晶混合物(LC−1)を用いた以外は、実施例14と同様にして光学異方体を得た。得られた光学異方体を評価した結果、配向性はBであった。配向方向を観察したところ、ホモジニアス配向となっていた。
実施例14〜16及び比較例7におけるポリマーの種類、紫外線照射エネルギー、液晶の種類、塗工性、液晶配向性をまとめて表5に示す。
Figure 0006343914
製造時の少ない偏光照射量で効率よく配向性が付与され、液晶の配向安定性及び小さいプレチルト角の制御に優れ、高い電圧保持率(VHR)とAC焼き付きが小さい液晶配向膜、上記液晶配向膜に用いるポリマー、上記ポリマーを構成する化合物、上記液晶配向膜を用いた液晶表示素子、及び上記ポリマーを用いた光学異方体を提供することができる。かかる光学異方体は、光学補償等に使用しうる光学異方性フィルムを製造する上で有用である。

Claims (13)

  1. 下記一般式(I)又は下記一般式(II)で表される化合物。
    Figure 0006343914

    Figure 0006343914

    [上記一般式(I)又は(II)中、Lは重合性基を表し、
    Spはスペーサー基であり、炭素原子数6〜12個のアルキレンオキサイド基又は−(CH−(mは、8〜12の整数)を表し、
    Qは、直接結合、−O−、−CO−O−又は−O−CO−を表し、
    Aは、トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基からなる群より選ばれる官能基を含む構造を表し、前記官能基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
    sは、0〜4の整数を表し、sが2〜4を表す場合は、複数存在するAは同一であっても異なっていてもよく、
    X及びYは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、前記アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、前記アルキル基中に1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−O−、−O−CO−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、
    Mは、下記一般式(IIa)又は下記一般式(IIc)
    Figure 0006343914

    (式中、破線は炭素原子への結合を表し、
    は、シアノ基で置換された炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、
    環C、環C及び環Cはそれぞれ互いに独立して、
    (a) トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、
    (b) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個又は2個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、及び
    (c) 1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ(2.2.2)オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基
    からなる群より選ばれる基を表し、上記の基(a)、基(b)及び基(c)はそれぞれ無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基又はエトキシ基によって置換されていてもよく、
    1a及びZ1bはそれぞれ互いに独立して、単結合、−(CH−、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−OC−、−NR−、−CO−NR−、−NR−CO−、−(CH−O−、−O−(CH−、−(CH−NR−又は−NR−(CH−であり、その際にRは水素原子又は低級アルキル基を意味し;vは1〜4の整数を意味し;uは1〜3の整数であり、
    i及びjはそれぞれ互いに独立して、0又は1である。)を表す。]
  2. 前記一般式(I)又は(II)において、mが9〜12の整数を表す、請求項1に記載の化合物。
  3. 前記一般式(I)又は(II)において、Aは、1,4−フェニレン基を表し、前記1,4−フェニレン基中に存在する1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよい、請求項1又は2に記載の化合物。
  4. 前記一般式(I)又は(II)において、X及びYが水素原子を表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. 前記一般式(I)又は(II)において、−(A)−が下記一般式(IVa)で表される、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物。
    Figure 0006343914

    [式中、左端の破線はQへの結合を表し、右端の破線は炭素原子への結合を表し、
    、A及びAは、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基からなる群より選ばれる基を表し、該基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
    、Z及びZは、それぞれ独立して単結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基、−OCH−、−CHO−、―CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−又は−C≡C−を表し、これらの置換基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(CH−O−Si(CH―、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−、−C≡C−又は−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、Rは、それぞれ独立して水素又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、
    p、q、rはそれぞれ0〜4の整数を表し、p+q+r=sである。]
  6. 前記一般式(IVa)において、
    はトランス−1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、又は1,4−フェニレン基のいずれかの基を表し、前記いずれかの基中に存在する1個以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
    は単結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基、−OCH−、−CHO−、―CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−のいずれかの基を表し、前記いずれかの基中に1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられていてもよく、
    qが1を表す、請求項に記載の化合物。
  7. 前記一般式(IVa)において、Aは、1,4−フェニレン基を表し、前記1,4−フェニレン基中に存在する1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよい、請求項に記載の化合物。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物を含有する組成物の重合により得られ、下記一般式(PI)又は(PII)で表される構成単位を有する、重合体。
    Figure 0006343914

    (式中、LはL由来の基を表し、Sp、Q、A、X、Y、M及びsは、一般式(I)及び(II)と同様に定義される。)
  9. 請求項に記載の重合体の硬化物を含み、垂直配向型液晶表示素子に用いられる、液晶配向膜。
  10. 請求項に記載の液晶配向膜を備える、垂直配向型液晶表示素子。
  11. 請求項に記載の重合体の硬化物を含み、水平配向型液晶表示素子に用いられる、液晶配向膜。
  12. 請求項11に記載の液晶配向膜を備える、水平配向型液晶表示素子。
  13. 重合性液晶組成物の重合体により構成される光学異方体において、前記重合性液晶組成物中の重合性液晶分子を、請求項に記載の重合体の硬化物を含む液晶配向膜により配向させたことを特徴とする、光学異方体。
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