JP6326787B2 - 液晶配向膜用ポリマー、液晶配向膜、液晶表示素子及び光学異方体 - Google Patents

液晶配向膜用ポリマー、液晶配向膜、液晶表示素子及び光学異方体 Download PDF

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Description

本発明は、液晶配向膜用ポリマー、液晶配向膜、液晶表示素子及び光学異方体に関する。より詳しくは、液晶表示素子、上記液晶表示素子における液晶配向膜、上記液晶配向膜を製造するためのポリマー、及び、液晶表示素子の光学補償等に使用する光学異方性フィルムに有用な光学異方体に関する。
液晶分子を配向させるための液晶配向膜は、液晶分子の配列の秩序を保ち液晶分子の有する屈折率異方性に基づく光学特性を発現するために重要なものであり、液晶表示素子を構成するために必須の構成部材である。液晶表示素子において、液晶分子の配向は、その表示特性に大きな影響を及ぼすことから種々の配向方式が検討されてきており、大きく分けて垂直配向型と水平配向型との二通りに分類できる。
垂直配向型の液晶層を用いた液晶表示装置(VAモード液晶表示装置と呼ばれることもある。)は、高コントラストなどの優れた表示特性を有することから広くディスプレイに使用されている。しかし、その視野角特性は必ずしも充分とはいえず、改善のために様々な手法が検討されている。視野角特性の改善方法として、1個の画素中に、各々配向方向の異なる複数の液晶ドメインを形成する(配向分割構造を形成する)マルチドメイン垂直配向方式(MVA方式)が一般化している。
MVA方式において、配向分割構造を形成するためには、液晶分子の傾斜配向を制御することが必要であり、その手法としては、電極上に、スリット(開口部)又はリブ(突起構造)を設ける方法が用いられている。しかし、スリットやリブを設ける方法の場合、スリットやリブが線状であることから、従来のツイステッドネマチック(TN)モードで用いられていた配向膜による傾斜配向の制御と異なり、液晶分子に対する配向規制力が画素内で不均一となりうる。このため、応答速度に分布が生じるといった問題がある。さらに、スリットやリブを設けた領域の光の透過率が低下し、表示輝度が低下するという問題もある。
傾斜配向を制御する別の方法として、光又は熱により重合可能なモノマーを液晶に混入しておき、電圧印加によって液晶分子が傾斜した状態で、混入させたモノマーを重合させ、液晶分子の傾斜配向を固定させるポリマー配向支持(PSA;Polymer Sustained Alignment)技術が開示されている(特許文献1参照)。この方法によれば、スリットやリブを設けた方法における、応答速度の分布や光透過率の低下の問題を解決することができる。しかし、この方法では液晶中にモノマーを混入することによる特性の変化、プロセス制御の難しさ、残存モノマーの影響等の問題がある。
よって、VAモード液晶表示装置についても、配向膜による傾斜配向の制御で配向分割構造を形成することが好ましい。傾斜配向を制御する力を付与する方法としては、ラビング法があり、ポリイミド等からなる膜を基板上に形成し、さらにこの膜をラビング布でこする事により配向方向及びプレチルト角の制御が行われる。しかし、ラビング法では精密な配向分割構造を形成することが困難であり、摩擦による静電気や不純物成分の発生という別の問題がある。
一方、水平配向型の液晶層を用いた液晶表示装置の一例として、IPSモード液晶表示装置が挙げられる。IPSモード液晶表示装置は、コントラストや色味などの視野角依存性が小さく、優れた表示特性を有することから広くディスプレイに使用されている。しかし、IPSモードでは、黒表示における視野角依存性及び色再現性を低減するためには、電極表面においてプレチルト角を1度以下とすることが要求される。
水平配向を達成する傾斜配向を制御する力を付与する方法としても、一般的に、ラビング法が用いられている。しかし、ポリイミド膜のラビング処理によって水平配向処理を行うと、液晶分子に与えるプレチルト角は1度を超えてしまうため、目的の表示特性を得ることが困難であるといった問題がある。
以上のように、垂直配向型、水平配向型のいずれの配向方式においても、配向膜を用いた液晶分子の配向方向及びプレチルト角の制御は、表示特性を向上させるために重要である。
液晶分子の傾斜配向を制御する力を付与する方法としては、ラビング法の他に、光配向法が知られている(特許文献2参照)。光配向法においては、光の照射パターンを変化させることにより精密な配向分割構造を容易に形成することが可能であり、膜に対して非接触で配向処理を施すことができるため静電気や不純物の発生は起こりにくい。よって、光配向法は、上述した問題を解決し、表示特性を向上できるものと期待される。
光配向法により配向付与が可能な材料としては、アゾベンゼン誘導体のように光化学的に異性化可能な部位を有する化合物(特許文献3参照)、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、カルコン誘導体等の光化学的に架橋可能な部位を有する化合物(特許文献4、5及び6参照)、ポリイミド誘導体等の異方的な光分解を生じる化合物等が知られている。
特開2003−149647号公報 特許第2682771号公報 特開平5−232473号公報 特開平6−287453号公報 特開平9−118717号公報 特表2002−517605号公報
液晶配向膜を備える液晶表示素子、光学異性体等において、光配向法により液晶分子への配向付与が可能で、少ない偏光照射量でも配向規制力が高い光配向層を形成できる液晶配向膜用ポリマーが求められている。そこで、本発明は、少ない偏光照射量で効率よく液晶分子に対する配向規制力を付与することができる光配向層を形成できる液晶配向膜用ポリマーを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために種々の材料を鋭意検討した結果、特定の分子量を有する光応答性ポリマーを用いて形成される膜が、充分な配向規制力を有することを見い出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、以下の<1>〜<15>を提供する。
<1> 光に応答して化学構造が変化する構成単位を有し、かつ、重量平均分子量が80,000〜500,000である、液晶配向膜用ポリマー。
<2>上記構成単位が、下記一般式(I)で表される単量体に基づく単位である、上記<1>に記載の液晶配向膜用ポリマー。

[式中、Lは重合性基を表し、
Spはメチレン基を含むスペーサー単位を表し、
Qは直接結合、−O−、−CO−O−又は−O−CO−を表し、
Aはトランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基からなる群より選ばれる基を含み、該基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
sは、1〜4の整数を表し、sが2〜4を表す場合は、複数存在するAは同一であっても異なっていてもよく、
X及びYは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、前記アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、前記アルキル基中に1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−O−、−O−CO−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、
Mは、下記一般式(IIa)又は(IIb)

(式中、破線はMが結合する炭素原子への結合を表し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、
及びR中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NCH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−で置き換えられていてもよく、R及びR中に存在する水素原子は、炭素原子数1〜20のアルキル基、シアノ基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい。)を表す。]
<3>上記一般式(IIa)又は(IIb)において、R又はRが下記一般式(IIc)表される、上記<2>に記載の液晶配向膜用ポリマー。

[式中、破線は酸素原子又は窒素原子への結合を表し、
は、メチレン基(この基中に存在する水素原子は炭素原子数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい)、−CO−O−又は−CO−NH−を表し、
は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、前記アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子若しくは塩素原子で置換されていてもよく、
は、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、前記アルキル基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は2個以上の互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−又は−NCH−で置き換えられていてもよい。]
<4>上記一般式(I)において、Aは、1,4−フェニレン基を表し、前記1,4−フェニレン基中に存在する1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよい、上記<2>又は<3>に記載の液晶配向膜用ポリマー。
<5>上記一般式(I)において、X及びYが水素原子を表す、上記<2>〜<4>のいずれかに記載の液晶配向膜用ポリマー。
<6>上記一般式(I)において、Lが下記一般式(III−1)〜下記一般式(III−10)で表される重合性基からなる群より選ばれるいずれかの重合性基である、上記<2>〜<5>のいずれかに記載の液晶配向膜用ポリマー。

(式中、破線はSpへの結合を表し、R30は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基を表し、R31は、水素原子、塩素原子、メチル基又はフェニル基を表し、R32は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
<7>上記一般式(I)において、Lが下記一般式(III−1)、(III−2)又は(III−6)で表される重合性基である、上記<2>〜<5>のいずれかに記載の液晶配向膜用ポリマー。

(式中、破線はSpへの結合を表し、R30及びR31は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R32は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
<8>上記一般式(I)において、−(A)−が下記一般式(IVa)で表される、上記<2>〜<7>のいずれかに記載の液晶配向膜用ポリマー。

[式中、破線はQへの結合を表し、**は炭素原子への結合を表し、
、A及びAは、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基からなる群より選ばれる基を表し、該基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
、Z及びZは、それぞれ独立して単結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基、−OCH−、−CHO−、―COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−又は−C≡C−を表し、これらの置換基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(CH−O−Si(CH―、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−、−C≡C−又は−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、Rは、それぞれ独立して水素又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、
p、q、rはそれぞれ0〜4の整数を表し、p+q+r=sである。]
<9>上記一般式(IVa)において、
はトランス−1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、又は1,4−フェニレン基のいずれかの基を表し、前記いずれかの基中に存在する1個以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
は単結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基、−OCH−、−CHO−、―CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−のいずれかの基を表し、前記いずれかの基中に1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられていてもよく、
qが1を表す、上記<8>に記載の液晶配向膜用ポリマー。
<10>上記一般式(IVa)において、Aは、1,4−フェニレン基を表し、前記1,4−フェニレン基中に存在する1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよい、上記<8>に記載の液晶配向膜用ポリマー。
<11>上記<1>〜<10>のいずれかに記載の液晶配向膜用ポリマーを用いて形成される、液晶配向膜。
<12>上記<11>記載の液晶配向膜を備える、垂直配向型液晶表示素子。
<13>
上記<11>記載の液晶配向膜を備える、水平配向型液晶表示素子。
<14>
重合性液晶組成物の重合体により構成される光学異方体において、前記重合性液晶組成物中の重合性液晶分子を、上記<1>〜<10>のいずれかに記載の液晶配向膜用ポリマーを用いて配向させたことを特徴とする、光学異方体。
本発明によれば、少ない偏光照射量で効率よく液晶分子に対する配向規制力を付与することができる光配向層を形成できる液晶配向膜用ポリマーを提供することができる。また、本発明によれば、液晶分子の配向規制力に優れた液晶配向膜を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
本実施形態に係る液晶配向膜用ポリマーは、光に応答して化学構造が変化する構成単位を有し、かつ、重量平均分子量(Mw)が80,000〜500,000であることを特徴とする。
液晶配向膜用ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、90,000〜450,000であることが好ましく、100,000〜400,000であることがより好ましい。液晶配向膜用ポリマーのMwが80,000未満であると、ガラス転移温度(Tg)が低くなり、配向規制力が低下する傾向があり、Mwが500,000を超えると、溶媒に対する溶解性が低下し、また、基材に対する塗布性が低下する傾向がある。ポリマーのMwが特定の範囲にあることにより、液晶配向膜表面の平滑性が高まり、その結果高い配向規制力が得られると、本発明者らは推定している。
液晶配向膜用ポリマーの重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比率で表される分子量分布(Mw/Mn)は、1.9〜4.0であることが好ましく、1.9〜3.8であることがより好ましい。液晶配向膜用ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定される値を示し、標準ポリスチレン換算値で表す。測定条件は、本明細書の実施例と同一の条件とする。
ポリマーの分子量は、例えば、反応溶媒の種類及び組成、反応溶液の濃度、重合開始剤の添加量、重合反応時間、熱重合の場合は反応時の温度、光重合の場合は照射エネルギー量等を適宜調節することができ、反応途中のポリマーの重量平均分子量(Mw)をGPCで測定することによって、目的の分子量を有するポリマーを得ることができる。
液晶配向膜用ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、20℃以上であることが好ましく、25℃以上であることがより好ましい。液晶配向膜用ポリマーのガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱分析)法により測定される、ポリマーの分子運動性が低いガラス状態から、温度上昇に従い分子運動性が大きくなるゴム状態へ変化する境界温度である。ポリマーのMwが特定の範囲にあることにより、Tgを20℃以上となり、形成される液晶配向膜の配列が保持され易くなるため、高い配向規制力が得られると、本発明者らは推定している。
本実施形態に係る液晶配向膜用ポリマーは、光に応答して化学構造が変化する構成単位を有する光応答性ポリマーであることから、光配向膜に用いることができる。光配向膜として、ポリマー自体のσ結合の光開裂(光分解)を利用する光分解型(a)、アゾ基、シッフ塩基、炭素−炭素二重結合等の不飽和結合部位を有する化合物の光異性化を利用する光異性化型(b)、及び、クマリン、カルコン、桂皮酸誘導体等の光二量化を利用する光二量化型(c)の配向膜が知られている。
液晶配向膜用ポリマーとして、例えば、光に応答して化学構造が変化する構成単位を有する、ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリアミック酸誘導体等を用いることができる。
ポリアミック酸誘導体としては、例えば、ポリアミック酸エステル、ポリアミック酸アンモニウム塩等が挙げられる。ポリアミック酸エステルは、炭素原子数1〜5のアルキルエステルを有することが好ましく、ポリアミック酸アンモニウム塩は、炭素原子数1〜18のアルキルアンモニウム塩を有することが好ましい。
ポリイミド又はポリアミック酸誘導体の構造を備えた液晶配向膜用ポリマーは、テトラカルボン酸二無水物又は該テトラカルボン酸二無水物をエステル化したテトラカルボン酸ジアルキルエステルと、ジアミンとの重合により合成することができる。
光分解型(a)の液晶配向膜用ポリマーがポリイミド又はポリアミック酸誘導体である場合、下記(a−1)群から選ばれるテトラカルボン酸二無水物と、下記(a−2−1)群又は(a−2−2)群から選ばれるジアミンとに基づく構成単位を有することが好ましい。
<テトラカルボン酸二無水物(a−1)群>
(a−1)群のテトラカルボン酸二無水物は、下記化学式で表される化合物を含む。
上記化合物の中でも、化学式(A−6)、(A−14)〜(A−17)、(A−20)、(A−21)、(A−28)〜(A−31)で表される化合物が好ましく、化学式(A−6)、(A−14)〜(A−17)、(A−21)で表される化合物がより好ましく、化学式(A−14)で表される化合物が更に好ましい。
<ジアミン(a−2−1)群>
(a−2−1)群のジアミンは、下記化学式で表される化合物を含む。
上記化合物の中でも、化学式(VI−1)及び(VI−13)で表される化合物が好ましい。
<ジアミン(a−2−2)群>
(a−2−2)群のジアミンは、分子中に−NH−(2級アミノ基)又は−CO−NH−(アミド基)を有する化合物を含む。−NH−を有するジアミンとしては、例えば、下記一般式(A)で表される化合物を用いることができる。

式中、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48及びR49は、それぞれ独立に1級アミノ基、水素原子又は1価の有機基を示す。ただし、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48及びR49のうち2つは、1級アミノ基である。
光異性化型(b)の液晶配向膜用ポリマーがポリイミド又はポリアミック酸誘導体である場合、下記(b−1)群から選ばれるテトラカルボン酸二無水物又は下記(b−2)群から選ばれるジアミンに基づく構成単位を有することが好ましい。該ポリイミド又はポリアミック酸誘導体は、下記(b−1)群から選ばれるテトラカルボン酸二無水物又は下記(b−2)群から選ばれるジアミンに基づく構成単位と共に、上記(a−1)群から選ばれるテトラカルボン酸二無水物、上記(a−2−1)群又は(a−2−2)群から選ばれるジアミンに基づく構成単位を有していてもよい。
<テトラカルボン酸二無水物(b−1)群>
(b−1)群のテトラカルボン酸二無水物は、アゾ結合を有するテトラカルボン酸無水物を含み、例えば、下記化学式(1−8)で表される化合物が挙げられる。
<ジアミン(b−2)群>
(b−2)群のジアミンは、アゾ結合を有するジアミンを含み、例えば、下記化学式(1−1)〜(1−7)で表される化合物が挙げられる。
光二量化型(c)の液晶配向膜用ポリマーがポリイミド又はポリアミック酸誘導体である場合、上記(a−1)群から選ばれるテトラカルボン酸二無水物と、下記(c−2)群から選ばれるジアミンとに基づく構成単位を有することが好ましい。該ポリイミド又はポリアミック酸誘導体は、下記(c−2)群から選ばれるジアミンに基づく構成単位と共に、上記(a−2−1)群又は(a−2−2)群から選ばれるジアミンに基づく構成単位を有していてもよい。
<ジアミン(c−2)群>
(c−2)群のジアミンは、桂皮酸から誘導される構造を有するジアミンを含み、例えば、下記化学式(1−C1)〜(1−C5)で表される化合物が挙げられる。
光二量化型(c)の液晶配向膜用ポリマーがビニル樹脂又は(メタ)アクリル樹脂である場合、本実施形態に係る液晶配向膜用ポリマーは、下記一般式(I)で表される単量体に基づく構成単位を有していることが好ましい。上記構成単位を有する液晶配向膜用ポリマーは、光照射により二量化することで、分子配列を制御し易く、より高い配向規制力を有する配向層を形成することができる。
上記一般式(I)中、Lは重合性基を表し、
Spはメチレン基を含むスペーサー単位を表し、
Qは直接結合、−O−、−CO−O−又は−O−CO−を表し、
Aはトランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基からなる群より選ばれる基を含み、該基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
sは、1〜4の整数を表し、sが2〜4を表す場合は、複数存在するAは同一であっても異なっていてもよく、
X及びYは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、上記アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、上記アルキル基中に1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−O−、−O−CO−又は−CH=CH−で置き換えられていてもよく、
Mは、下記一般式(IIa)又は(IIb)を表す。
上記一般式(IIa)及び(IIb)中、破線は炭素原子への結合を表し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜30のアルキル基を表し、
及びR中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−NCH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−で置き換えられていてもよく、R及びR中に存在する水素原子は、炭素原子数1〜20のアルキル基、シアノ基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよい。
上記一般式(IIa)又は(IIb)において、R又はRで表される炭素原子数1〜30のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状であってもよく、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基中にメチル基が存在する場合は、環員数3〜8のシクロアルキル基で置き換えられていてもよく、直鎖状若しくは分岐状のアルキル基中にメチレン基が存在する場合は、環員数3〜8のシクロアルキレン基で置き換えられていてもよい。R又はRは、炭素原子数1〜3のアルキル基又は炭素原子数1〜3のアルケニル基であることが好ましく、該アルキル基又はアルケニル基の末端の炭素原子の水素原子のうち少なくとも1つはシアノ基で置換されていることがより好ましい。
上記一般式(IIa)又は(IIb)において、R又はRが下記一般式(IIc)表される基であることが好ましい。
上記一般式(IIc)中、破線は酸素原子又は窒素原子への結合を表し、
は、メチレン基(この基中に存在する水素原子は炭素原子数1〜5のアルキル基で置換されていてもよい)、−CO−O−又は−CO−NH−を表し、
は、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、前記アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子若しくは塩素原子で置換されていてもよく、
は、炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、前記アルキル基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は2個以上の互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−又は−NCH−で置き換えられていてもよい。
上記一般式(I)における−(A)−は、下記一般式(IVa)で表される構造であることが好ましい。このような構造を備えることで、液晶配向膜の液晶配向性をより向上させることができる。
上記一般式(IVa)中、破線はQへの結合を表し、**は炭素原子への結合を表し、
、A及びAは、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個のメチレン基又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は−O−、−NH−又は−S−に置き換えられてもよい)、1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個以上の−CH=は−N=に置き換えられてもよい)、1,4−シクロヘキセニレン基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基からなる群より選ばれる基を表し、該基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
、Z及びZは、それぞれ独立して単結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基、−OCH−、−CHO−、―COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−又は−C≡C−を表し、これらの置換基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(CH−O−Si(CH―、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−、−C≡C−又は−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、
p、q、rはそれぞれ0〜4の整数を表し、p+q+r=sである。p+q+r=2であることがより好ましく、r=1且つp+q=1であることがさらに好ましい。
上記一般式(I)及び(IVa)において、液晶配向膜の配向規制力をさらに改善し、アンカリング効果を向上させるためには、A、A、A及びAは、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、1,2,4,5−テトラジン−2,5−ジイル基又は1,4−フェニレン基が好ましく、ピリミジン−2,5−ジイル基であることがより好ましい。
得られる重合体(ポリマー)の溶解性をさらに改善するためには、A、A、A及びAは、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,5−チオフェニレン基又は2,5−フラニレン基としてもよい。また、液晶配向膜に配向規制力を付与するために必要な光照射量をさらに少なくするためには、A、A、A及びAは、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェニレン基又は1,4−フェニレン基としてもよい。さらに、液晶配向膜を作製するため、より長波長の光を利用した光配向を行うためには、A、A、A及びAは、ピリミジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェニレン基、2,6−ナフチレン基、2,5−フラニレン基としてもよい。
上記一般式(I)及び(IVa)において、A、A、A及びAは、1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよい1,4−フェニレン基であることがより好ましく、1個以上の水素原子がメトキシ基で置換された1,4−フェニレン基であることがさらに好ましい。A、A、A及びAが、このような基である場合、上記一般式(I)で表される化合物を含む組成物の塗工性が良く、得られるポリマーを硬化させてなる液晶配向膜の配向規制力、プレチルト角の制御性をより向上させることができる。また、高い電圧保持率を有する液晶配向膜及び液晶表示装置を得ることができる。
上記一般式(IVa)において、Z、Z及びZは、液晶配向性の熱安定性を改善するために、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−又は−O−CO−O−であることが好ましい。
また、重合体の溶解性を改善するために、Z、Z及びZは、−OCH−、−CHO−、―COO−、−OCO−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−又は−NR−であることが好ましい。
上記一般式(I)で表される単量体において、X及びYは水素原子であることが好ましい。X及びYが水素原子であることにより、上記化合物を用いて得られるポリマーを使用した液晶配向膜における電圧保持率を向上させることができる。
また、液晶配向膜に、より長波長の光を利用した光配向を行うためには、X及びYはフッ素原子、塩素原子又はシアノ基が好ましい。
上記一般式(I)で表される単量体において、Lは、重合性基であり、互いに重合させることができる。上記一般式(I)において、Lが下記一般式(III−1)〜(III−10)からなる群より選ばれるいずれかの重合性基であることが好ましく、中でも一般式(III−1)、(III−2)又は(III−6)が好ましく、一般式(III−1)が更に好ましい。
上記一般式(III−1)〜(III−10)中、破線はSpへの結合を表し、R30は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、フェニル基又はフェノキシ基を表し、R31は、水素原子、塩素原子、メチル基又はフェニル基を表し、R32は独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。一般式(III−1)、(III−2)又は(III−6)で表される重合性基において、R30及びR31は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表すものであることがより好ましい。
上記一般式(I)において、本実施形態に係る液晶配向膜における配向の安定性をより改善するためには一般式(III−1)で表される重合性基のうち、R30がメチル基、フェニル基又はフェノキシ基である重合性基が好ましく、一般式(III−2)で表される重合性基のうち、R31がメチル基又はフェニル基である重合性基が好ましく、一般式(III−6)、(III−7)、(III−8)又は(III−9)で表される重合性基が好ましい。
また、液晶の配向及びプレチルト角の制御性をより向上させ、電圧保持率(VHR)を改善するためには、一般式(III−1)で表される重合性基が好ましい。
また、得られるポリマーの溶解性を改善するためには、一般式(III−1)又は(III−2)で表される重合性基のうち、R30、R31が水素原子、塩素原子又はメチル基である重合性基が好ましく、(III−3)、(III−4)、(III−7)、(III−9)又は(III−10)で表される重合性基が好ましく、中でも一般式(III−1)、(III−3)、(III−4)又は(III−10)で表される重合性基が特に好ましい。
また、一般式(I)で表される化合物の重合速度を改善するためには、一般式(III−1)又は(III−2)で表される重合性基のうち、R30、R31が塩素原子である重合性基が好ましく、一般式(III−3)、(III−4)、(III−6)、(III−7)、(III−8)、(III−9)又は(III−10)で表される重合性基が好ましく、中でも一般式(III−1)又は(III−2)で表される重合性基のうち、R30、R31が塩素原子である重合性基、又は一般式(III−3)、(III−4)若しくは(III−10)で表される重合性基がより好ましい。
また、本実施形態に係るポリマーの分子量分布を狭くするためには、一般式(III−1)で表される重合性基のうち、R30がメチル基である重合性基、又は、一般式(III−3)、(III−4)若しくは(III−5)で表される重合性基が好ましい。
また、得られるポリマーの基材への密着性を改善するためには、一般式(III−1)で表される重合性基のうち、R30が水素原子である重合性基、(III−2)で表される重合性基のうち、R31が水素原子、塩素原子、メチル基若しくはフェニル基である重合性基、又は、一般式(III−3)、(III−4)、(III−6)若しくは(III−10)で表される重合性基が好ましく、中でも一般式(III−2)で表される重合性基のうち、R31が水素原子、塩素原子若しくはメチル基である重合性基、又は一般式(III−6)で表される重合性基が特に好ましい。
上記一般式(I)において、Spはメチレン基を含むスペーサーであり、アルキレン基又はオキシアルキレン基とすることができる。Spとしては、炭素原子数1〜20のアルキレン基又は炭素原子数1〜20のオキシアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数6〜14のアルキレン基又は炭素原子数6〜14のオキシアルキレン基であることがより好ましく、炭素原子数8〜12のアルキレン基又は炭素原子数8〜12のオキシアルキレン基であることがより好ましい。Spとして、このような基を選択することにより、より大きなアンカリングエネルギーを有する液晶配向膜を得ることができる。オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基が好ましい。
これらのアルキレン基及びオキシアルキレン基は、直鎖状又は分岐状であってもよく、直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR−、−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、−CH=CH−、−C≡C−又は−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、Rはアルキル基を示す。
上記一般式(I)で表される単量体は、下記一般式(Ia)で表される化合物であることがより好ましい。
上記一般式(Ia)中、Rは、水素原子、フッ素原子、塩素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、Q、X、Y及びMは、一般式(I)と同様に定義され、A、A、A、Z、Z、p、q及びrは、一般式(IVa)と同様に定義される。Rは、水素原子、塩素原子又はメチル基であることが好ましい。p+q+r=2であることがより好ましく、r=1かつp=1又はq=1であることがさらに好ましい。
一般式(I)の−(A)s−は、2個以上の1,4−フェニレン基を有していることが好ましい。該フェニレン基は、1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、シアノ基、メチル基又はメトキシ基で置換されていてもよい。また、該フェニレン基間は、それぞれ独立に、単結合であっても、炭素原子数1〜20のアルキレン基、−OCH−、−CHO−、―COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−又は−C≡C−で結合していてもよい。
本実施形態に係る一般式(I)で表される単量体は、下記一般式(Ib)で表される化合物であることがさらに好ましい。
上記一般式(Ib)中、uは2〜12の整数を表し、tは0又は1の整数を表し、Z11は単結合、−COO−又は−OCO−を表し、W11は水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基又はエトキシ基を表し、W12は、下記一般式(W12−1)〜(W12−8)を表す。
上記一般式(Ib)において、Z11は−COO−が好ましい。また、少ない偏光UV光の照射で良好な配向を確保する観点からは、uは8〜12であることが好ましく、tが1であることが好ましく、W11はメチル基又はメトキシ基が好ましい。W12としては(W12−1)で表される基であることが特に好ましい。
本実施形態に係る一般式(I)で表される化合物としては、下記一般式(I−1)〜(I−70)で表される化合物であることが特に好ましい。







(式中、mは2〜12の整数を表す。)
上記一般式(I)で表される単量体に基づく単位は、下記一般式(PI)で表される構成単位である。
上記一般式(PI)中、Laは一般式(I)におけるL由来の基を表し、Sp、Q、A、X、Y、M及びsは、上記一般式(I)と同様に定義される。
上記一般式(PI)で表される構成単位は、下記一般式(PIa)で表される構成単位であることがより好ましく、下記一般式(PIb)で表される構成単位であることがさらに好ましい。
上記一般式(PIa)中、R、Q、X、Y、M、A、A、A、Z、Z、p、q及びrは、一般式(Ia)と同様に定義される。p+q+r=2であることがより好ましく、r=1かつp=1又はq=1であることがさらに好ましい。
上記一般式(PIb)中、uは2〜12の整数を表し、tは0又は1の整数を表し、Z11は単結合、−COO−又は−OCO−を表し、W11は水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基又はエトキシ基を表し、W12は、下記一般式(W12−1)〜(W12−8)を表す。
上記一般式(PIb)において、Z11は−COO−が好ましい。また、少ない偏光UV光の照射で良好な配向を確保する観点からは、uは8〜12であることが好ましく、tが1であることが好ましく、W11はメチル基又はメトキシ基が好ましい。W12としては(W12−1)で表される基であることが特に好ましい。
上記液晶配向膜用ポリマーは、上記一般式(I)、(Ia)若しくは(Ib)で表される単量体、又はこれを含む重合性組成物の重合により得ることができる。重合性組成物は、少なくとも、上記一般式(I)で表される単量体と、重合開始剤とを含む。
重合性組成物としては、上記一般式(I)、(Ia)又は(Ib)で表される単量体の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。重合性組成物としては、上記一般式(I)、(Ia)又は(Ib)で表される単量体と共重合可能な単量体を用いることができる。
共重合可能な単量体は、例えば、下記一般式(VI)で表される単量体を含む。共重合可能な単量体としては、例えば、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、スチレン、これらの誘導体等を挙げることができる。共重合可能な単量体は、非液晶性化合物、液晶性化合物のいずれも使用可能であるが、液晶性化合物であることが好ましい。
上記一般式(VI)中、Vaは一価の有機基を示し、L、Sp、Qは、上記一般式(I)と同様に定義される。ただし、一般式(VI)で表される単量体を用いる場合、一般式(I)及び(VI)において、L、Sp、Qは、それぞれ同一であっても、異なってもよい。
上記一般式(VI)中のVaは、下記一般式(VIa)で表される有機基であることが好ましい。
上記一般式(VIa)中、破線はSpへの結合を表し、
、A、A及びAは、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、1,2,4,5−テトラジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基又は1,4−フェニレン基を表し、該基はそれぞれ無置換であるか又は1個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基又はメトキシ基によって置換されていてもよく、
、Z、Z及びZは、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜20のアルキレン基、−OCH−、−CHO−、―COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−又は−C≡C−を表し、これらの置換基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−Si(CH−O−Si(CH―、−NR16−、−NR16−CO−、−CO−NR16−、−NR16−CO−O−、−O−CO−NR16−、−NR16−CO−NR16−、−CH=CH−、−C≡C−又は−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、R16は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、
p1、q1、r1及びs1は、それぞれ独立して0又は1を表し、
12は水素、フッ素、塩素、シアノ基又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表し、上記アルキル基中の1個以上の水素原子はフッ素原子に置換されていてもよく、上記アルキル基中に、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又は互いに隣接しない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−CO−O−、−O−CO−及び/又は−CH=CH−で置き換えられていてもよい。
、A、A及びAは、それぞれ独立して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、2,6−ナフチレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基又は1,4−フェニレン基を表すことが好ましい。これらの基は無置換であるか又は一個以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、メチル基若しくはメトキシ基によって置換されていることが好ましい。
r1、s1、t1及びu1はr1+s1+t1+u1が0以上3以下であることが好ましい。
12は水素、フッ素、塩素、シアノ基又は炭素数1〜18のアルキル基であることが好ましい。上記アルキル基中に1個のメチレン基又はたがいに隣接しない2個以上のメチレン基が存在する場合は、1個のメチレン基又はたがいに隣接しない2個以上のメチレン基は−O−、−CO−O−、−O−CO−及び/又は−CH=CH−で置き換えられていてもよい。
共重合可能な化合物を用いる場合には、上記一般式(I)で表される化合物100モルに対して、共重合可能な化合物が0.1〜30モルの割合であることが好ましく、0.2〜10モルの割合であることがより好ましく、0.3〜5モルの割合であることがさらに好ましい。
共重合体の中の各構成単位の並び順及びランダムネスは特に制限されない。
重合開始剤は、公知の重合開始剤を用いることができるが、重合性基の重合様式に合わせて、適宜選択することができる。重合開始剤としては、例えば、公知の刊行物『高分子の合成と反応(高分子学会編、共立出版)』等に記載された重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合における熱重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の過酸化物等が挙げられる。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、キサントン、チオキサントン等の芳香族ケトン化合物、2−エチルアントラキノン等のキノン化合物、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン化合物、ベンジル、メチルベンゾイルホルメート等のジケトン化合物、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム等のアシルオキシムエステル化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド化合物、テトラメチルチウラム、ジチオカーバメート等のイオウ化合物、過酸化ベンゾイル等の有機化酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
カチオン重合における熱重合開始剤としては、芳香族スルホニウム塩化合物等が挙げられる。光重合開始剤としては、有機スルホニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、フォスフォニウム化合物等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、重合性組成物中、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.1〜6質量%であることがより好ましく、0.1〜3質量%であることがさらに好ましい。
重合性組成物の重合は、溶剤の存在下で行ってもよい。溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−ブタノン、アセトン、テトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの有機溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ガラス製、ステンレス製等の反応容器中で重合反応を行った後、生成物を精製することにより重合体を得ることができる。
本実施形態に係る液晶配向膜における配向の熱安定性を改善するためには、Z、Z、Z及びZはそれぞれ独立して−NR−CO−、−CO−NR−、−NR−CO−O−、−O−CO−NR−、−NR−CO−NR−、又は−O−CO−O−が好ましく、A、A、A及びAはそれぞれ独立して1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、2,5−チオフェニレン基、2,5−フラニレン基又は1,4−フェニレン基が好ましい。
本実施形態に係る液晶配向膜用ポリマーの溶解性を改善するためには、Z、Z、Z及びZはそれぞれ独立して−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−、−CFCF−、−NR−又は−CO−が好ましく、A、A、A及びAはそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基又は2,5−フラニレン基が好ましい。
本実施形態に係る液晶配向膜に80度以上のプレチルト角を付与するためには、Z、Z、Z及びZはそれぞれ独立して単結合、−OCH−、−CHO−、―COO−、−OCO−及び−C≡C−が好ましく、A、A、A及びAはそれぞれ独立してトランス−1,4−シクロヘキシレン基、トランス−1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基及び1,4−フェニレン基が好ましく、R12は炭素数1〜20までのアルキル基、アルコキシ基、フッ素、トリフルオロメチル基及びトリフルオロメトキシ基が好ましい。
[液晶配向膜の形成方法]
本実施形態に係る液晶配向膜用ポリマーは、光に応答して化学構造が変化する構成単位を有し、かつ、重量平均分子量が80,000〜500,000であることから、該液晶配向膜用ポリマーを含む膜又は層は、光照射により、液晶分子に対する配向規制力と、配向規制力の熱安定性とを併せて獲得し得る。光照射により得られる膜又は層を、液晶配向膜(光配向膜)と呼ぶことができる。
かかる液晶配向膜(光配向膜)は、例えば以下の製造方法により得ることができる。液晶配向膜の製造方法は、基材上に本実施形態に係る液晶配向膜用ポリマーを含有する樹脂層を形成する工程(樹脂層形成工程)と、該樹脂層に光照射する工程(光照射工程)とを備える。
上記樹脂層は、本実施形態に係る液晶配向膜用ポリマーと溶剤とを含むポリマー溶液を調製し、これを基材上に塗工することにより得られる。塗工した後、必要に応じて、溶媒を除去する工程を設けてもよい。
塗工後の溶媒の除去は、塗工面を加熱する事により行うことが好ましい。乾燥温度は、50〜300℃であることが好ましく、80〜200℃であることがより好ましい。乾燥時間は、2〜200分であることが好ましく、2〜100分であることがより好ましい。
得られた樹脂層に対し、光照射し、樹脂層に配向規制力(配向制御能力)を付与することで、液晶配向膜を得ることができる。液晶配向膜の配向規制力は、例えば、液晶分子を含む液晶相と液晶配向膜との界面における方位角アンカリングエネルギーを測定することにより評価することができる。アンカリングエネルギーは、例えば以下のようにして測定することができる。
液晶配向層(膜)が形成された基板2枚を、それぞれの液晶配向層が対向し、かつ直線偏光を照射した方向が平行となるように配置し、2枚の基板の間に一定の間隙を保った状態で周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填することにより、液晶セルを作製する。光源からの光を1枚の偏光板を通して液晶セルの一方の面に入射させ、他方の面から出射する光をもう1枚の偏光板を通して強度検出しながら、入射側の偏光板と出射側の偏光板とをそれぞれ別個に回転させて、検出強度が最も小さくなるときの2枚の偏光板の偏光軸がなす角(消光位)を求めることにより、液晶によるねじれ角を測定する。アンカリングエネルギーは、所定の式にねじれ角、セルギャップ、液晶の弾性定数を代入することにより、求めることができる。
液晶配向膜と液晶相との界面における方位角アンカリングエネルギーは、偏光照射光量が30mJ/cmの場合、60μJ/m以上であることが好ましく、120μJ/m以上であることがより好ましい。また、液晶配向膜と液晶相との界面における方位角アンカリングエネルギーは、偏光照射光量が100mJ/cmの場合、150μJ/m以上であることが好ましく、210μJ/m以上であることがより好ましい。
ポリマー溶液に使用する溶剤としては、本実施形態に係る液晶配向膜用ポリマー及び後述する任意的に使用されるその他の成分を溶解し、これらと反応しないものが好ましく用いられる。溶剤としては、例えば、1,1,2−トリクロロエタン、N−メチル−2−ピロリドン、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−フェノキシエタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−アセトキシ−1−メトキシプロパン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール、2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、キシレン、トルエン等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリマー溶液は、必要に応じて、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、ガラス基板等との密着性を改善するためのシロキサン誘導体、塗膜のレベリング性を改善するためのレベリング剤、耐光性を改善させるための紫外線吸収剤や光安定化剤、材料の保存性を改善するための酸化防止剤や重合禁止剤等が挙げられる。
上記液晶配向膜の製造方法において、あらかじめ液晶配向膜が形成された基材を用いる場合、該基材上に本実施形態に係る光配向膜を更に形成することで、配向方向及び配向角度の制御能力を基材に対して改めて付与することもできる。
塗工は、例えば、スピンコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの方法で行うことができる。
ポリマー溶液の固形分濃度は、0.5〜10質量%であることが好ましく、基材上に溶液を塗工する方法、粘性、揮発性等を考慮して、適宜選択することができる。
樹脂層に光照射する工程では、本実施形態に係るポリマーを含む樹脂層に、樹脂層表面の法線方向からの直線偏光照射、及び/又は、斜め方向からの非偏光若しくは直線偏光照射を行う。かかる光照射により、光架橋反応(例えば、桂皮酸誘導体の二量化反応)を行うことで樹脂層を硬化させ配向規制力を付与することができる。
所望のプレチルト角を付与するためには、樹脂層表面に対し、斜め方向からの直線偏光照射を行うことが好ましい。斜め方向とは、基材面と平行な方向に対する傾きをいい、この傾きの角度をプレチルト角という。プレチルト角は、使用の目的に応じて適宜調整することが可能である。垂直配向用の配向膜として用いる場合、一般的には、プレチルト角は70〜89.8°であることが好ましい。また、水平配向用の配向膜として用いる場合、一般的には、プレチルト角は1〜7°であることが好ましい。特に、IPSモードでは、プレチルト角は0〜1°であることが好ましい。
光源としては、例えば、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。これらの光源からの光に対して、偏光フィルターや偏光プリズムを用いることで直線偏光が得られる。また、このような光源から得た紫外光及び可視光は、干渉フィルターや色フィルター等を用いて、照射する波長範囲を制限してもよい。
照射エネルギーは、15mJ/cm〜500mJ/cmであることが好ましく、20mJ/cm〜300mJ/cmであることがさらに好ましい。照度は2〜500mW/cmであることがより好ましく、5〜300mW/cmであることがさらに好ましい。
樹脂層に対し照射する光としては、光架橋反応により樹脂層を硬化させるため、例えば、150nm〜800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。このうち、270nm〜450nmの紫外線が特に好ましい。本実施形態に係る化合物(特に、桂皮酸誘導体)がナフチレン基を有する場合は、270nm〜450nmの紫外線照射により、配向規制力の付与の効率を一層高めることができる。このような効果は、ナフチレン基が270nm〜450nmの紫外線をよく吸収するためであると考えられる。
液晶配向膜(光配向膜)の膜厚は、10〜250nm程度が好ましく、10〜100nm程度がより好ましい。
[液晶表示素子の製造方法]
本実施形態に係る液晶配向膜は、例えば、液晶セル、液晶表示素子等に使用することができる。上記の方法により製造された液晶配向膜(光配向膜)を用いて、例えば、以下のようにして、一対の基板間に液晶組成物を挟持する液晶セル及びこれを用いた液晶表示素子を製造することができる。
本実施形態に係る液晶配向膜を用いて製造される液晶セルは、2枚の基板間に液晶が配置された構成を備える。上記基板のうち少なくとも一方が本実施形態に係る液晶配向膜が形成された基板である。
液晶セルの製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。2枚の基板のいずれもが本実施形態に係る液晶配向膜を備える場合について説明する。
まず、それぞれの液晶配向膜が対向するように2枚の基板を配置し、基板間に一定の間隙(セルギャップ)を保った状態で周辺部をシール剤により貼り合わせる。その後、液晶配向膜及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を真空充填等により注入した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
液晶セルはODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法でも製造することができる。まず、液晶配向膜を形成した基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、液晶配向膜上のシール剤により囲まれた領域に、液晶を滴下する。その後、液晶配向膜が対向するようにもう1枚の基板を貼り合わせる。次いで基板の全面に紫外光を照射し、シール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法により上記液晶セルを製造する場合でも、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、注入時の流動配向を除去することが望ましい。徐冷する過程において、液晶が液晶配向膜の配向規制力の影響で、再配向する。
シール剤としては、例えば、エポキシ樹脂等を用いることができる。
セルギャップを一定に保つためには、2枚の基板を張り合わせるのに先立って、基板間に、例えば、シリカゲル、アルミナ、アクリル樹脂等のビーズを用いることができる。これらのビーズは、液晶配向膜の塗膜上に散布して用いてもよいし、シール剤と混合させて用いてもよい。
液晶セル中に充填する液晶としては、例えば、ネマチック型液晶を用いることができる。
垂直配向型液晶セルの場合には、負の誘電異方性を有する液晶が好ましい。このような液晶としては、例えば、ジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ナフタレン系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶等が挙げられる。これらの液晶は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は、求める性能に応じて、2種以上を組み合わせて用いる。
水平配向型液晶セルの場合には、正の誘電率異方性を有する液晶が好ましい。このような液晶としては、例えば、シアノベンゼン系液晶、ジフルオロベンゼン系液晶、トリフルオロベンゼン系液晶、トリフルオロメチルベンゼン系液晶、トリフルオロメトキシベンゼン系液晶、ピリミジン系液晶、ナフタレン系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶等が挙げられる。これらの液晶は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は、求める性能に応じて、2種以上を組み合わせて用いる。
こうして製造した上記液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を得ることができる。
偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」からなる偏光板、又はH膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板等を挙げることができる。
本実施形態に係る液晶配向膜を備える液晶表示素子は、液晶配向膜の高い配向規制力のため、表示特性、信頼性等の諸性能に優れる。また、本実施形態に係る液晶配向膜を用いることから、水平配向型液晶表示素子、垂直配向型液晶表示素子のいずれの液晶表示素子も製造可能である。
[光学異方体の製造方法]
本実施形態に係る液晶配向膜(光配向膜)上に重合性液晶組成物を塗布し、重合性液晶組成物中の重合性液晶分子(重合性を有する液晶分子)を配向させた状態で重合させることにより、光学異方体を製造することもできる。なお、光学異方体とは、その物質中を光が進むとき、進む方向によって光の伝搬速度、屈折率、吸収等の光学的性質に違いがある物質を意味する。
重合性液晶組成物は、重合性液晶を含む組成物であり、単独又は他の液晶化合物との混合物であって、液晶性を示すものである。重合性液晶組成物としては、例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)、あるいは、特開平7−294735号公報、特開平8−3111号公報、特開平8−29618号公報、特開平11−80090号公報、特開平11−148079号公報、特開2000−178233号公報、特開2002−308831号公報、特開2002−145830号公報に記載されているような、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基等の構造が複数繋がったメソゲンと呼ばれる剛直な部位と、(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、エポキシ基といった重合性官能基とを有する棒状重合性液晶化合物、あるいは特開2004−2373号公報、特開2004−99446号公報に記載されているようなマレイミド基を有する棒状重合性液晶化合物、あるいは特開2004−149522号公報に記載されているようなアリルエーテル基を有する棒状重号性液晶化合物、あるいは、例えば、Handbook of Liquid Crystals(D.Demus,J.W.Goodby,G.W.Gray,H.W.Spiess,V.Vill編集、Wiley−VCH社発行、1998年)、季刊化学総説No.22、液晶の化学(日本化学会編、1994年)や、特開平07−146409号公報に記載されているディスコティック重合性化合物があげられる。中でも、重合性基を有する棒状液晶化合物が、液晶温度範囲として室温前後の低温を含むものを作りやすく好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(モノマーの合成)
(合成例1)
下記式に示す方法により、化合物1〜6の中間体を経て、目的のモノマー(I−1−1)を合成した。
(化合物1の合成)

199g(1.21mol)の8−クロロオクタノール、158.3g(1.84mol)のメチルメタクリレート、1.5gの4−メトキシフェノール、22.8g(0.12mol)のp−トルエンスルホン酸を450mLのシクロヘキサンに溶解させ、6時間加熱還流させた。反応液を室温まで冷却し、溶液を水で3回洗浄した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回洗浄した後、飽和食塩水で2回洗浄した。溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を留去することにより258gの化合物1(メタクリル酸8−クロロオクチル)を無色透明な液体として得た。純度99%(GC)。
EI−MS: 232[M
(化合物2の合成)

34.6g(0.284mol)の4−ヒドロキシベンズアルデヒド、49g(0.341mol)の炭酸カリウム、0.1gの18−クラウン−6、を500mLのジメチルホルムアミドに溶解させ、窒素雰囲気下、室温で58g(0.284mol)のメタクリル酸8−クロロオクチルを加えた。反応液を90度まで加熱し6時間攪拌を行った。反応が完結したことをGCで確認した後、反応液を室温まで冷却し、ろ過を行った。200mLの酢酸エチルと200mLの水を加え、再度ろ過を行った。有機層と水層を分離し、水層に酢酸エチルを加えて3回抽出を行った。全ての有機層を合わせ、飽和食塩水で3回洗浄を行った。有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させ、溶媒を留去して粗製の化合物2を得た。得られた化合物2は、特段の精製を行うことなく次の反応に用いた。
EI−MS: 318[M
(化合物3の合成)

50g(約0.14mol)の化合物2、4.43g(0.029mol)リン酸二水素ナトリウム、16gの30%過酸化水素水を、60mLの水及び350mLのアセトニトリルに溶解させ、氷冷した。ついで23gの78%亜塩素酸ナトリウムを200mLの水に希釈した溶液を反応液に滴下した後、反応液を室温で一晩攪拌した。HPLCを用いて反応が完結したことを確認した。反応液にpHが1になるまで10%塩酸を加え、析出してきた白色固体をろ別した。得られた固体を水で3回洗浄した。得られた固体を、ジクロロメタンに溶解させ、これに無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥させた。溶液にヘプタンを加えてジクロロメタンを減圧留去し、析出した固体をろ別し、目的とする化合物3を30g得た。純度99%(HPLC)。
(化合物4の合成)

50g(0.246mol)の4−ブロモ−2−メトキシフェノール、47.2g(0.369mol)のアクリル酸t−ブチル、50.9g(0.369mol)の炭酸カリウムを700mLのN−メチルピロリドンに溶解させ、系を窒素置換した。反応液に0.055g(0.246mmol)の酢酸パラジウムを加えて再度窒素置換を行い、系を130℃で6時間攪拌させた。HPLCで反応が完結したことを確認した。反応液を室温まで冷却し、これに300mLの酢酸エチルと300mLの5%塩酸を加えた。有機層と水層を分離し、水層に酢酸エチルを加えて抽出を行った。全ての有機層を合わせて飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、これに80gのシリカゲルを加えてスラリーとした。これを100gアルミナ/300gシリカゲルカラムに充填し、酢酸エチル/ヘプタン混合溶液で溶出させた。溶媒を留去し、得られた粗結晶をヘプタンで再結晶して、白色固体として43.2gの化合物4を得た。純度99%(HPLC)。
EI−MS: 250[M
(化合物5の合成)

22.3g(0.06676mol)の化合物3、16.7g(0.06677mol)の化合物4、1.22g(10mmol)の4−ジメチルアミノピリジンを400mLのジクロロメタンを溶解させ、系を窒素置換したのち氷冷させた。ついで12.6g(0.1mol)のN,N’−ジイソプロピルカルボジイミドを100mLのジクロロメタンに溶解させた溶液を反応液に滴下させた後、室温で一晩攪拌を行った。反応液をろ過し、反応液を200mLの10%塩酸で洗浄し、ついで200mLの飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒をある程度留去し、これに70gのシリカゲルを加えてスラリーとし、100gアルミナ/200gシリカゲルカラムに充填し、ジクロロメタンで溶出させた。溶媒を留去し、酢酸エチル/ヘプタンの混合溶媒で再結晶することにより、白色固体として目的とする化合物5を31.8g得た。純度99%(HPLC)。
EI−MS: 566[M
(化合物6の合成)

31.8g(0.0562mol)の化合物5を200mLのジクロロメタンに溶解させ、系を窒素置換した後、氷冷した。系に32g(0.280mol)のトリフルオロ酢酸を滴下した後、室温で一晩攪拌させた。反応が完結したことをHPLCで確認した。反応液に300mLのヘプタンを加え、溶媒を留去することにより固体を析出させ、これをろ別した。得られた個体を水とヘプタンで洗浄し、目的とする化合物6を無色の結晶として26g得た。純度99%(HPLC)。
(モノマー(I−1−1)の合成)

22.9g(45mmol)の化合物6、4.9g(0.04mol)の3−ヒドロキシプロピオニトリル、0.70g(5.6mmol)の4−ジメチルアミノピリジンを200mLのジクロロメタンに溶解させ、系を窒素置換したのち氷冷させた。ついで7.87g(64mmol)のN,N’-ジイソプロピルカルボジイミドを50mLのジクロロメタンに溶解させた溶液を反応液に滴下させた後、室温で一晩攪拌を行った。反応液をろ過し、反応液を100mLの10%塩酸で洗浄し、ついで100mLの飽和食塩水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。30gアルミナ/300gシリカゲルカラムと酢酸エチル/ジクロロメタン混合溶媒を用いて精製を行った。溶媒を留去しえられた固体をメタノールを用いて再結晶し、16.4gの目的のモノマー(I−1−1)を白色個体として得た。純度99.5%(HPLC)。
EI−MS: 563[M
(実施例1)
(ポリマー(PA−1)の合成)
モノマー(I−1−1)10部をテトラヒドロフラン(THF)45部に溶解し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03部を加えた溶液を、窒素雰囲気下8時間加熱還流して反応させた。次に、反応後の溶液をメタノール600部に滴下攪拌し、析出物を回収してTHF50部に溶解した後、氷冷したヘキサン1200部に滴下攪拌し、析出した固体を回収した。得られた固体をTHF50部に溶解させ、氷冷したメタノール1200部に滴下攪拌し、析出した固体を回収し、THFに溶解させた後、真空乾燥することで、ポリマー(PA−1)を得た。得られたポリマー(PA−1)の重量平均分子量(Mw)は383,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.75であった。

なお、ポリマーの分子量の調整は、上記窒素雰囲気下の加熱還流時間を調節し、重量平均分子量(Mw)を測定することにより行った。
(分子量の測定)
Mw及びMnは以下測定条件のもと、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー、Gel Permeation Chromatography)により測定した。
測定装置には、東ソー社製GPC装置HLC−8220GPCを用い、分析カラムにはTSKgel GMHXL×2本、TSKgel G2000XL×1本、TSKgel G1000XL×1本の計4本直列、検出器には示差屈折率(RI)検出器、較正曲線作成のための標準試料には、昭和電工製ポリスチレン標準試料STANDARDSM−105(分子量範囲1,300〜3,800,000)を用いた。得られたポリマーをTHFに1μg/mLの濃度となるよう溶解し、移動相をTHF、送液速度を1mL/分、カラム温度を40℃、試料注入量を300μLとして測定した。
(ガラス転移温度の測定)
ガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)により測定した。測定装置は、セイコーインスツル社製のDSC装置DSC6220を用いた。ポリマー試料約4mgをアルミニウム製パンに封入し、−20℃から180℃まで、10℃/分の割合で昇温したとき、ガラス転移に伴うベースラインシフトが観測された。転移開始点を接線の交点から読み取り、ガラス転移温度(Tg)とした。
(液晶配向膜の形成)
ポリマー(PA−1)5部と、N−メチルピロリドン47.5部と、2−ブトキシエタノール47.5部との混合物を室温で10分間攪拌して、均一に溶解させた。次に、該溶液を、スピンコーターを用いてガラス基板上に塗布し、100℃で3分間乾燥することで、上記ガラス基板上に膜を形成した。形成された膜を目視で観察したところ、平滑な膜が形成されていることが確認された。
次に、超高圧水銀ランプ、波長カットフィルター、バンドパスフィルター及び偏光フィルターを備えた偏光照射装置を用いて、紫外光(波長313nm)の直線偏光(照度:10mW/cm)を、形成された膜に対して、鉛直方向から3秒照射(照射光量30mJ/cm)した光配向膜と、鉛直方向から10秒照射(照射光量100mJ/cm)した光配向膜とを得た。膜厚は、約80nmであった。
(液晶セルの作製)
上記液晶配向膜を備えるガラス基板を用いて、液晶セルを作製した。より具体的には、2枚の液晶配向膜付きガラス基板を、それぞれの液晶配向膜が対向し、かつ直線偏光を照射した方向がアンチパラレル方向(180°)となるように配置し、2枚の基板間に一定の間隙(10μm)を保った状態で、周辺部をシール剤により張り合わせた。次に、液晶配向膜表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に、上記液晶組成物A又はBを、透明点をちょうど超える温度で充填し、その後、室温まで冷却することで液晶セルを作製した。このように作製した液晶セルを評価素子とし、以下に示す方法に従ってアンカリングエネルギーを測定した。
[方位角アンカリングエネルギーの測定]
上記液晶セルを用いて、液晶配向膜表面と液晶層との間の界面における方位角アンカリングエネルギーを、以下のトルクバランス法と呼ばれる方法(日本液晶学会討論会講演予稿集(2001年)の251〜252頁に報告された方法)により測定した。
まず、光配向膜への照射光量を100mJ/cmとした基板同士を張り合わせて作製した液晶セルに液晶組成物Aを真空充填し、92℃で2分間加熱後、室温まで冷却した。
次に、白色光源、偏光子(入射側偏光板)、検光子(出射側偏光板)、検出器を備えた光学測定装置(OMS−DI4RD、中央精機株式会社製)の、偏光子−検光子間に、この液晶セルを配置し、偏光子と検光子を回転させながら、検出器にて透過光の光量を検出し、検出した光量が最も小さい位置(消光位)となる、偏光子と検光子の回転角を求め、この角度をツイスト角φとした。ツイスト角φは、−0.915°であった。
次に、液晶組成物Aの代わりに液晶組成物Bを真空充填し、同様に加熱、冷却した液晶セルのツイスト角を求めた。液晶組成物Bを充填した液晶セルのツイスト角φは、−1.441°であった。
方位角アンカリングエネルギーAφ を、次式(1)により求めた。ただし、K22は液晶のツイスト弾性係数、dはセルギャップ、pはカイラル入り液晶のらせんピッチである。
φ =2K22(2πd/p−φ)/d・sin(φ−φ) (1)
光配向膜への照射光量を30mJ/cmとした基板同士を張り合わせて作製した液晶セルについても、同様にして方位角アンカリングエネルギーAφを測定した。
(実施例2)
(ポリマー(PA−2)の合成)
AIBNの量を0.06部に変更した以外は実施例1と同様にして、ポリマー(PA−2)を得た。ポリマー(PA−2)のMwは289,100、Mw/Mnは2.54であった。
(実施例3)
(ポリマー(PA−3)の合成)
モノマー(I−1−1)10部をトルエン60部に溶解し、AIBN0.06部を加えた溶液を、窒素雰囲気下8時間加熱還流して反応させた以外は、実施例1と同様にして、ポリマー(PA−3)を得た。ポリマー(PA−3)のMwは120,600、Mw/Mnは3.53であった。
(実施例4)
(ポリマー(PA−4)の合成)
モノマー(I−1−1)10部をトルエン80部に溶解し、AIBN0.06部を加えた溶液を、窒素雰囲気下8時間加熱還流して反応させた以外は、実施例1と同様にして、ポリマー(PA−4)を得た。ポリマー(PA−4)のMwは105,500、Mw/Mnは1.92であった。
(比較例1)
(ポリマー(PA−11)の合成)
モノマー(I−1−1)10部をトルエン140部に溶解し、AIBN0.06部を加えた溶液を、窒素雰囲気下8時間加熱還流して反応させた以外は、実施例1と同様にして、ポリマー(PA−11)を得た。ポリマー(PA−11)のMwは39,700、Mw/Mnは1.78であった。
(比較例2)
(ポリマー(PA−12)の合成)
モノマー(I−1−1)10部をトルエン280部に溶解し、AIBN0.06部を加えた溶液を、窒素雰囲気下8時間加熱還流して反応させた以外は、実施例1と同様にして、ポリマー(PA−12)を得た。ポリマー(PA−12)のMwは20,200、Mw/Mnは1.51であった。
実施例2〜4及び比較例1〜2で得られたポリマーについても、実施例1と同様の方法で配向膜及び液晶セルを作製し、方位角アンカリングエネルギーを測定した。
実施例1〜4及び比較例1〜2の結果を表1に示す。
以上の結果から、特定のMwを有する液晶配向膜用ポリマーを用いて形成される光配向膜は、液晶の高い配向規制力が得られ、特に偏光照射光量が低い場合にも配向規制力を発現することが確認できた。よって、本発明の液晶配向膜用ポリマーを光配向層として用いた液晶表示素子は、その表示特性であるコントラスト及び焼き付きを改善させることができる。

Claims (5)

  1. 光に応答して化学構造が変化する構成単位を有し、かつ、重量平均分子量が80,000〜500,000であり、
    前記構成単位が下記一般式(PIb)で表される構成単位である、液晶配向膜用ポリマー。

    (式中、uは2〜12の整数を表し、tは0又は1の整数を表し、Z 11 は単結合、−COO−又は−OCO−を表し、W 11 は水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、エチル基又はエトキシ基を表し、W 12 は、下記一般式(W 12 −1)〜(W 12 −4)を表す。)
  2. 請求項に記載の液晶配向膜用ポリマーを用いて形成される、液晶配向膜。
  3. 請求項に記載の液晶配向膜を備える、垂直配向型液晶表示素子。
  4. 請求項に記載の液晶配向膜を備える、水平配向型液晶表示素子。
  5. 重合性液晶組成物の重合体により構成される光学異方体において、前記重合性液晶組成物中の重合性液晶分子を、請求項に記載の液晶配向膜用ポリマーを用いて配向させたことを特徴とする、光学異方体。
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