JP6342924B2 - ポリウレタン樹脂水性分散体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリウレタン樹脂水性分散体に関する。
ポリウレタン樹脂水性分散体は、乾燥することにより得られる皮膜の機械的物性、耐久性、耐薬品性及び耐擦過性等の性能が優れることから、高機能水性分散体として、塗料、接着剤、繊維加工処理剤、紙処理剤及びインキ等に使用されており、今後も環境保全、省資源及び安全性等の観点から、ますます重要性を増していくと考えられる。従来、これらの用途では有機溶剤に溶解した溶剤系ウレタンが使用されていたが、有機溶剤の毒性、火災の危険性、環境汚染性等の欠点があるため、近年では溶剤系ウレタンからポリウレタン樹脂水性分散体への切り替えに拍車がかかっている。
しかしながら、溶剤系ウレタンはウレタン樹脂が溶媒に溶解しているため、加熱温度によらず造膜性が良好であるのに対し、ウレタン樹脂水性分散体は粒子形状を有しており、粒子同士の融着により造膜するため溶剤系ウレタンに比べ造膜性が劣ることから、得られる皮膜の性能(機械的物性、耐久性、密着性、耐薬品性、耐水性及び耐擦過性等)が低下するという問題点があった。
このため、ウレタン樹脂の造膜性を向上させたウレタン樹脂水性分散体(特許文献1参照)が提案されているが、基材への密着性には優れるものの耐薬品性、耐水性、耐ブロッキング性、耐擦過性が十分満足できるものではないという問題点があった。
特開2008−169347号公報
本発明の課題は、基材への密着性、耐薬品性、耐水性、耐ブロッキング性及び耐擦過性に優れるポリウレタン樹脂水性分散体を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち本発明は、水とポリウレタン樹脂(U)を含有し、以下の(1)〜(6)の全てを満たすポリウレタン樹脂水性分散体;該分散体を含有する水性塗料;該分散体を含有する水性インク;該分散体を含有する水性繊維加工処理剤である。
(1)(U)中のウレタン基含量が(U)の重量に基づいて0.5〜5.0mmol/gである。
(2)(U)中の末端アミノ基含量が(U)の重量に基づいて0.35mmol/g以下である。
(3)(U)の数平均分子量(Mn)が1万以上である。
(4)(U)の25℃におけるエタノールに対する膨潤率が(U)の重量に対して120〜280重量%である。
(5)(U)の体積平均粒子径(Dv)が0.01〜1μmである。
(6)(U)中に(U)の重量に基づいて0.01〜5重量%の脂肪族アミド系滑剤を含む。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は、基材への密着性、耐薬品性、耐水性、耐ブロッキング性及び耐擦過性に優れる。
<ポリウレタン樹脂(U)>
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は、上記の6つの要件をすべて満たすものである。
各要件について説明する。
要件(1) ポリウレタン樹脂(U)中のウレタン基含量は、(U)の重量に基づいて、0.5〜5.0mmol/gであり、得られる皮膜の密着性、機械的物性、耐久性、耐薬品性、耐擦過性及び耐ブロッキング性等の観点から、好ましくは0.6〜4.2mmol/g、更に好ましくは0.7〜3.4mmol/gである。ウレタン基含量が0.5mmol/g未満の場合は皮膜の機械的物性、耐久性、耐薬品性、耐擦過性及び耐ブロッキング性等が悪化し、5.0mmol/gを超えると皮膜の密着性が悪化する。
ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)並びに必要により使用する親水性基と活性水素原子を含有する化合物(c)、鎖伸長剤(d)及び反応停止剤(e)の量を適宜調整することにより、ポリウレタン樹脂(U)のウレタン基含量を所望の範囲とすることができる。
ここで親水性基とは、カルボキシル基、スルホ基、−NHSOH、及びそれらのアニオン基等のアニオン性親水性基、4級アミノ基等のカチオン性親水性基、ポリオキシエチレン基等のノニオン性親水性基等をさすものとする。
ウレタン基含量は、窒素分析計によって定量されるN原子含量と1H−NMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率及びアロハネート基及びビューレット基含量から算出する。
要件(2)
一般にポリウレタン樹脂の分子末端は、原料の水酸基に由来する水酸基、又はイソシアネート基と水の反応若しくは原料のアミノ基に由来するアミノ基となる。また、ポリウレタン樹脂(U)を水中に分散する工程において、ウレタン基、ウレア基、アロハネート基又はビューレット基が加水分解することで、末端アミノ基が生成する。この末端アミノ基は末端水酸基と比較して耐水性が悪いため、末端アミノ基の含量が高いポリウレタン樹脂は耐水性が劣る。
従って、本発明において、ポリウレタン樹脂(U)中の末端アミノ基含量は、(U)の重量に基づいて0.35mmol/g以下であり、耐水性の観点から、好ましくは0.2mmol/g以下、更に好ましくは0.15mmol/g以下、特に好ましくは0.1mmol/g以下である。末端アミノ基含量が0.35mmol/gを超えると耐水性が悪化する。
ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)並びに必要により使用する親水性基と活性水素原子を含有する化合物(c)、鎖伸長剤(d)及び反応停止剤(e)の量を適宜調整することにより、ポリウレタン樹脂(U)の末端アミノ基含量を所望の範囲にすることができる。
末端アミノ基含量は全アミン価と3級アミン価から求めることが出来る。
要件(3)
本発明において、ポリウレタン樹脂(U)のMnは、1万以上であり、得られる皮膜の機械的物性、耐久性、耐薬品性及び耐擦過性等の観点から、好ましくは1万〜100万、更に好ましくは1万〜50万、最も好ましくは1万〜30万である。
Mnが1万未満であると皮膜の機械的物性、耐久性、耐薬品性、耐水性、耐ブロッキング性及び耐擦過性等が悪化する。
ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)並びに必要により使用する親水性基と活性水素原子を含有する化合物(c)、鎖伸長剤(d)及び反応停止剤(e)の量を適宜調整することにより、ポリウレタン樹脂(U)のMnを所望の範囲にすることができる。
Mnはゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することが出来る。
GPC測定において、測定に用いられる溶剤に対するポリウレタン樹脂(U)の溶解度が90%未満の場合はGPCの測定精度が低下する。その場合、分子量の正確な測定が困難なため、当該ポリウレタン樹脂の分子量は無限大とした。
要件(4)
(U)の25℃におけるエタノールに対する膨潤率(以下エタノール膨潤率と記載する。)は(U)の重量に対して0.1〜300重量%であり、得られる皮膜の密着性、機械的物性、耐薬品性、耐水性、耐ブロッキング性及び耐擦過性の観点から、好ましくは0.5〜290重量%、さらに好ましくは50〜280重量%、特に好ましくは100〜250重量%である。25℃エタノールに対する膨潤率が0.1重量%より低いと密着性が悪化し、300重量%を超えると耐薬品性、耐水性、耐擦過性及び耐ブロッキング性が悪化する。
ポリウレタン樹脂(U)のエタノール膨潤率は、ウレタン皮膜のエタノール浸漬前後での重量変化から算出する。
エタノール膨潤率とは、ポリウレタン樹脂の架橋量の目安となるものである。
ポリウレタン樹脂(U)のエタノール膨潤率を所望の範囲とするには、(U)の3官能以上の構成単量体の含有量を適宜調整すればよい。例えば、具体的には下記[1]〜[4]の含有量を適宜調整すればよい。
[1]鎖伸長剤(d)の内、炭素数2〜10のポリアルキレンポリアミン類(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等)。
[2]鎖伸長剤(d)に含まれる炭素数2〜30のポリエポキシ化合物の内、3官能以上のもの(例えば、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等)。
[3]Mn300未満の低分子ポリオール(a2)の内、3価以上の脂肪族アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)。
[4] ポリイソシアネート(b)の内、3個以上のイソシアネート基を有するもの(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート化合物等)。
要件(5)
本発明において、ポリウレタン樹脂(U)の体積平均粒子径(Dv)は、0.01〜1μmであり、ポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性の観点から、好ましくは0.02〜0.7μm、更に好ましくは0.03〜0.4μmである。(Dv)が0.01μm未満であると高粘度のためハンドリング性が悪化し、1μmを超えると分散安定性が低下する。
(U)の体積平均粒子径(Dv)は、(U)中の親水性基、分散剤量及び分散工程で使用する分散機の種類及び運転条件によってきまる。従って、(U)の体積平均粒子径(Dv)を所望の範囲とするためには、分散工程において、後述の回転式分散機、超音波式分散機及び混練機から選択される装置を用いると共に、必要により(U)中に導入される親水性基の含有量と、必要により添加する分散剤(h)の量を適宜調整すればよい。
体積平均粒子径(Dv)は光散乱粒度分布測定装置で測定される。
要件(6)
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は、滑剤(f)をポリウレタン樹脂水性媒体中のウレタン樹脂(U)の粒子中に相溶させることにより、皮膜の耐ブロッキング性及び耐擦過性に優れる。滑剤の含有量は、皮膜の密着性、耐ブロッキング性及び耐擦過性の観点から(U)の重量に基づいて0.01〜5wt%であり、好ましくは0.02〜2wt%、特に好ましくは0.05〜1wt%である。含有量が0.01wt%未満であると耐ブロッキング性及び耐擦過性が悪化し、5wt%を超えると密着性が低下する。
滑剤(f)としては炭化水素系滑剤(例えばパラフィンワックス、合成ポリエチレン、流動パラフィン等)、高級アルコール系滑剤(例えばステアリルアルコール等)、高級脂肪酸系滑剤(例えばステアリン酸、ベヘニン酸、12ヒドロキシステアリン酸等)、脂肪族アミド系滑剤(例えばステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等)、金属石鹸系滑剤(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉛等)、エステル系滑剤(例えばブチルステアレート、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等)、シリコーン系滑剤(例えばポリジメチルシロキサン等)、フッ素系滑剤(例えばパーフルオロアルカン、パーフルオロカルボン酸エステル、ポリテトラフルオロエチレン等)が挙げられる。その中でもウレタン樹脂(U)との相溶性、耐ブロッキング性及び耐擦過性の観点でエステル系滑剤及び脂肪族アミド系滑剤が好ましい。
滑剤(f)をウレタン樹脂(U)中に相溶化させる方法としては、ウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水性媒体分散工程前のいずれかの時期に添加する方法が挙げられる。この方法で製造したポリウレタン樹脂水性分散体中では(U)中に(f)が相溶している状態であるため、皮膜形成時に(U)と(f)が別々に造膜することを防ぐことができ、皮膜の耐ブロッキング性及び耐擦過性が向上する。
ポリウレタン樹脂水性分散体中の滑剤(f)の含有量は、ガスクロマトグラフィー質量分析計(GCMS)で測定することができる。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は、下記の要件を満たすことが好ましい。
本発明において、ポリウレタン樹脂(U)中のウレア基含量は、皮膜の密着性及び耐水性の観点から、(U)の重量に基づいて2.0mmol/g以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5mmol/g以下、特に好ましくは1.0mmol/g以下、とりわけ好ましくは0.7mmol/g以下である。
ポリウレタン樹脂(U)中のウレア基含量を所望の範囲とするには、(U)の原料中のアミノ基含量、水分含量及びイソシアネート基含量を適宜調整すればよい。
ウレア基含量は窒素分析計によって定量されるN原子含量と1H−NMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率及びアロハネート基及びビューレット基含量から算出する。
本発明において、ポリウレタン樹脂(U)中のアロハネート基及びビューレット基の含有量の合計値は、造膜性及び得られる皮膜の耐水性の観点から、(U)の重量に基づいて0.1mmol/g以下であることが好ましく、更に好ましくは0.03mmol/g以下、特に好ましくは0.01mmol/g以下、とりわけ好ましくは0.003mmol/g以下、最も好ましくは0.001mmol/g以下である。
ポリウレタン樹脂(U)のアロハネート基及びビューレット基の含有量の合計値を所望の範囲とするには、(U)の原料中のアミノ基含量、水酸基及びアミノ基の当量に対するイソシアネート基の当量の比、ウレタン化反応温度等を適宜調整すればよい。特に、反応温度については、120℃以下又は180℃以上とすることによりアロハネート基及びビューレット基の生成を抑えることができる。
アロハネート基及びビューレット基の含有量はガスクロマトグラフィー法で測定される。
ポリウレタン樹脂(U)はポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)及び親水性基と活性水素原子を含有する化合物(c)を構成単量体としてなり、必要により、鎖伸長剤(d)及び反応停止剤(e)を構成単量体としてなる樹脂である。
以下各成分について説明する。
ポリオール(a)としては、数平均分子量(以下、Mnと略記)300以上の高分子ポリオール(a1)及びMn300未満の低分子ポリオール(a2)が挙げられる。
尚、本発明におけるポリオールのMnはポリエチレングリコールを標準としてゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定されるものである。但し、低分子ポリオールのMnは化学式からの計算値である。
Mn300以上の高分子ポリオール(a1)としては、ポリエーテルポリオール(a11)及びポリエステルポリオール(a12)等が挙げられる。
ポリエーテルポリオール(a11)としては、脂肪族ポリエーテルポリオール及び芳香族環含有ポリエーテルポリオールが挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリオキシエチレンポリオール[ポリエチレングリコール(以下、PEGと略記)等]、ポリオキシプロピレンポリオール[ポリプロピレングリコール等]、ポリオキシエチレン/プロピレンポリオール及びポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
脂肪族ポリエーテルポリオールの市販品としては、PTMG1000[Mn=1,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製]、PTMG2000[Mn=2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製]、PTMG3000[Mn=3,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール、三菱化学(株)製]、PTGL3000[Mn=3,000の変性PTMG、保土谷化学工業(株)製]、及びサンニックスジオールGP−3000[Mn=3,000のポリプロピレンエーテルトリオール、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
芳香族ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド(以下、EOと略記)付加物[ビスフェノールAのEO2モル付加物、ビスフェノールAのEO4モル付加物、ビスフェノールAのEO6モル付加物、ビスフェノールAのEO8モル付加物、ビスフェノールAのEO10モル付加物及びビスフェノールAのEO20モル付加物等]及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド(以下、POと略記)付加物[ビスフェノールAのPO2モル付加物、ビスフェノールAのPO3モル付加物、ビスフェノールAのPO5モル付加物等]等のビスフェノール骨格を有するポリオール並びにレゾルシンのEO又はPO付加物等が挙げられる。
(a11)のMnは、ポリウレタン樹脂(U)の機械物性の観点から、通常300以上、好ましくは300〜10,000、更に好ましくは300〜6,000である。
ポリエステルポリオール(a12)としては、縮合型ポリエステルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール及びヒマシ油系ポリオールが挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールは、低分子量(Mn300未満)多価アルコールと炭素数2〜10の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とのポリエステルポリオールである。
低分子量多価アルコールとしては、Mn300未満の2価〜8価又はそれ以上の脂肪族多価アルコール及びMn300未満の2価〜8価又はそれ以上のフェノールのアルキレンオキサイド(EO、PO、1,2−、1,3−、2,3−又は1,4−ブチレンオキサイド等を表し、以下AOと略記)低モル付加物が使用できる。
縮合型ポリエステルポリオールに使用できる低分子量多価アルコールの内好ましいのは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサングリコール、ビスフェノールAのEO又はPO低モル付加物及びこれらの併用である。
縮合型ポリエステルポリオールに使用できる炭素数2〜10の多価カルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フマル酸及びマレイン酸等)、脂環式ジカルボン酸(ダイマー酸等)、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸等)、3価又はそれ以上のポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、これらの無水物(無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及び無水トリメリット酸等)、これらの酸ハロゲン化物(アジピン酸ジクロライド等)、これらの低分子量アルキルエステル(コハク酸ジメチル及びフタル酸ジメチル等)並びこれらの併用が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールの具体例としては、ポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンイソフタレートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレンプロピレンアジペートジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール、ポリブチレンヘキサメチレンアジペートジオール、ポリジエチレンアジペートジオール、ポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートジオール、ポリ(3−メチルペンチレンアジペート)ジオール、ポリエチレンアゼレートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリブチレンアゼレートジオール、ポリブチレンセバケートジオール及びポリネオペンチルテレフタレートジオール等が挙げられる。
縮合型ポリエステルポリオールの市販品としては、サンエスター2610[Mn=1,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]、サンエスター4620[Mn=2,000のポリテトラメチレンアジペートジオール]、及びサンエスター2620[Mn=2,000のポリエチレンアジペートジオール、三洋化成工業(株)製]等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールは、上記低分子量多価アルコールへのラクトンの重付加物であり、ラクトンとしては、炭素数4〜12のラクトン(例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン)等が挙げられる。
ポリラクトンポリオールの具体例としては、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオール及びポリカプロラクトントリオール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、上記低分子量多価アルコールと、低分子カーボネート化合物(例えば、アルキル基の炭素数1〜6のジアルキルカーボネート、炭素数2〜6のアルキレン基を有するアルキレンカーボネート及び炭素数6〜9のアリール基を有するジアリールカーボネート)とを、脱アルコール反応させながら縮合させることによって製造されるポリカーボネートポリオール等が挙げられる。低分子量多価アルコール及びアルキレンカーボネートはそれぞれ2種以上併用してもよい。
ポリカーボネートポリオールの具体例としては、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリテトラメチレンカーボネートジオール及びポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール(例えば1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールをジアルキルカーボネートと脱アルコール反応させながら縮合させて得られるジオール)等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールの市販品としては、ニッポラン980R[Mn=2,000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール、日本ポリウレタン工業(株)製]、クラレポリオールC−3090[Mn=3,000のポリ(3−メチル−5−ペンタンジオール/ヘキサメチレン)カーボネートジオール]、及びT4672[Mn=2,000のポリ(テトラメチレン/ヘキサメチレン)カーボネートジオール、旭化成ケミカルズ(株)製]等が挙げられる。
ヒマシ油系ポリオールには、ヒマシ油、及びポリオール又はAOで変性された変性ヒマシ油が含まれる。変性ヒマシ油はヒマシ油とポリオールとのエステル交換及び/又はAO付加により製造できる。ヒマシ油系ポリオールとしては、ヒマシ油、トリメチロールプロパン変性ヒマシ油、ペンタエリスリトール変性ヒマシ油、ヒマシ油のEO(4〜30モル)付加物等が挙げられる。
ポリエステルポリオール(a12)の内好ましいのは、縮合型ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールである。
Mn300未満の低分子ポリオール(a2)としては、脂肪族2価アルコール、脂肪族3価アルコール及び4価以上の脂肪族アルコールが挙げられる。(a2)の内、耐水性、耐熱黄変性の観点から好ましいのは、2〜3価の脂肪族アルコールであり、脂肪族2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6−ヘキサンジオールが特に好ましく、脂肪族3価アルコールとしては、トリメチロールプロパンが特に好ましい。
ポリウレタン樹脂(U)の必須構成成分であるポリイソシアネート(b)としては、従来ポリウレタン樹脂製造に使用されているものが使用できる。ポリイソシアネート(b)としては、2〜3個又はそれ以上のイソシアネート基を有する炭素数6〜20(イソシアネート基中の炭素を除く、以下同様)の芳香族ポリイソシアネート(b1)、炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート(b2)、炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート(b3)、炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)及び(b1)〜(b4)の誘導体(例えばイソシアヌレート化物)が挙げられる。
炭素数6〜20の芳香族ポリイソシアネート(b1)としては、例えば1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−又は2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−又はp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、クルードMDI等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ポリイソシアネート(b2)としては、例えばエチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
炭素数4〜15の脂環式ポリイソシアネート(b3)としては、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート(b4)としては、例えばm−及び/又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等が挙げられる。
ポリイソシアネート(b)の内、得られる皮膜の機械的物性、耐候性の観点から好ましいのは(b2)及び(b3)、更に好ましいのは(b3)、特に好ましいのはIPDI及び水添MDIである。
親水性基と活性水素原子を含有する化合物(c)としては、アニオン性基と活性水素原子を含有する化合物(c1)及びカチオン性基と活性水素原子を含有する化合物(c2)が挙げられる。
(c1)としては、例えばアニオン性基としてカルボキシル基を含有し、炭素数が2〜10の化合物[ジアルキロールアルカン酸(例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸及び2,2−ジメチロールオクタン酸)、酒石酸及びアミノ酸(例えばグリシン、アラニン及びバリン)等]、アニオン性基としてスルホン酸基を含有し、炭素数が2〜16の化合物[3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸及びスルホイソフタル酸ジ(エチレングリコール)エステル等]、アニオン性基としてスルファミン酸基を含有し、炭素数が2〜10の化合物[N,N−ビス(2−ヒドロキシルエチル)スルファミン酸等]等並びにこれらの化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(c1)の塩に用いられる中和剤としては、例えばアンモニア、炭素数1〜20のアミン化合物又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等)が挙げられる。
炭素数1〜20のアミン化合物としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン及びモノエタノールアミン等の1級アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン等の2級アミン並びにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルモノエタノールアミン及びトリエタノールアミン等の3級アミンが挙げられる。
(c1)の塩に用いられる中和剤としては、生成するポリウレタン樹脂水性分散体の乾燥性及び得られる皮膜の耐水性の観点から、25℃における蒸気圧が高い化合物が好適である。このような観点から、(c1)の塩に用いられる中和剤としては、アンモニア、モノメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジメチルエチルアミンが好ましく、更に好ましいのはアンモニア、モノエチルアミン、ジメチルアミン及びジエチルアミン、特に好ましいのはアンモニアである。
(c1)の内、得られる皮膜の樹脂物性及びポリウレタン樹脂水性分散体の分散安定性の観点から好ましいのは、2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸及びこれらの塩類であり、更に好ましいのは2,2−ジメチロールプロピオン酸及び2,2−ジメチロールブタン酸のアンモニア又は炭素数1〜20のアミン化合物による中和塩である。
カチオン性基と活性水素原子を含有する化合物(c2)としては、例えば炭素数1〜20の3級アミノ基含有ジオール[N−アルキルジアルカノールアミン(例えばN−メチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン及びN−メチルジプロパノールアミン)及びN,N−ジアルキルモノアルカノールアミン(例えばN,N−ジメチルエタノールアミン)等]等の化合物を中和剤で中和した塩が挙げられる。
(c2)に用いられる中和剤としては、例えば炭素数1〜10のモノカルボン酸(例えばギ酸、酢酸、プロパン酸等)、炭酸、炭酸ジメチル、硫酸ジメチル、メチルクロライド及びベンジルクロライド等が挙げられる。
(c2)に用いられる中和剤としては、生成するポリウレタン樹脂の水性分散体の乾燥性及び得られる皮膜の耐水性の観点から、25℃における蒸気圧が高い化合物が好適である。このような観点から(c2)に用いられる中和剤としては、炭素数1〜10のモノカルボン酸及び炭酸が好ましく、更に好ましいのはギ酸及び炭酸、特に好ましいのは炭酸である。
(c1)及び(c2)に用いられる中和剤は、ウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、水性媒体分散工程前、水性媒体分散工程中又は水性媒体分散後のいずれの時期に添加しても良いが、ウレタン樹脂の安定性及び水性分散体の安定性の観点から、水性媒体分散工程前又は水性媒体分散工程中に添加することが好ましい。
(c)の使用量は、(U)中の親水性基の含有量が、(U)の重量に基づいて、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%、更に好ましくは0.5〜3重量%となるよう調節する。
本発明における親水性基の含有量とは、未中和のカチオン性基又はアニオン性基の重量%を意味し、対イオンの重量は含まない。例えば、(c1)における親水性基の含有量は、2,2−ジメチロールプロピオン酸のトリエチルアミン塩の場合は、カルボキシル基(−COOH)の重量%を、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−1−プロパンスルホン酸のトリエチルアミン塩の場合はスルホ基(−SO3H)の重量%を指す。また、(c2)における親水性基の含有量は、3級アミノ基中の窒素原子のみの重量%を指す。
鎖伸長剤(d)としては、水、炭素数2〜10のジアミン類(例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン及びピペラジン)、炭素数2〜10のポリアルキレンポリアミン類(例えばジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミン)、ヒドラジン又はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド例えばアジピン酸ジヒドラジド等)、炭素数2〜30のポリエポキシ化合物(例えば、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等)及び炭素数2〜10のアミノアルコール類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール及びトリエタノールアミン)等が挙げられる。
反応停止剤(e)としては、炭素数1〜8のモノアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、セロソルブ類及びカルビトール類等)、炭素数1〜10のモノアミン類(モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン及びモノオクチルアミン等のモノ又はジアルキルアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びジイソプロパノールアミン等のモノ又はジアルカノールアミン等)が挙げられる。
(d)及び(e)の使用量は、(U)のMn、末端アミノ基含量及びウレア基含量に影響するため、本発明の効果を損ねない範囲で使用する必要がある。具体的には、(U)のMnが後述の値となるように、また、アミン化合物を使用する場合は、(U)の末端アミノ基含量が後述の値となる範囲で使用する必要がある。また、(U)中のウレア基含量が後述の値となる量を使用することが好ましい。
ポリウレタン樹脂は、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
本発明におけるポリウレタン樹脂(U)は、必要により酸化防止剤、着色防止剤、耐候安定剤、可塑剤及び離型剤等の添加剤を含有することができる。これらの添加剤の使用量は(U)の重量に基づいて通常10重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
ポリウレタン樹脂水性分散体を製造する方法としては、例えば、ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)親水性基と活性水素原子を含有する化合物(c)並びに必要により鎖伸長剤(d)及び反応停止剤(e)を有機溶媒の存在下又は非存在下で一段又は多段でイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(P)を形成し、次いで必要により該プレポリマーの(c)により導入された親水基部分を中和して塩として、有機溶媒(J)、分散剤(h)、鎖伸長剤(d)及び/又は反応停止剤(e)の存在下又は非存在下で水性媒体に分散して、イソシアネート基が実質的に無くなるまで反応[(d)による鎖伸長、及び必要により(e)による反応停止]させることで(U)及びポリウレタン樹脂水性分散体を得る方法が挙げられる。
この方法におけるウレタンプレポリマー(P)は、ポリオール(a)、親水性基と活性水素原子を含有する化合物(c)、及び必要により鎖伸長剤(d)、反応停止剤(e)と有機ポリイソシアネート成分(b)とを有機溶媒(J)の存在下又は非存在下に、活性水素含有基(カルボキシル基、スルホ基及びスルファミン酸基を除く)に対するイソシアネート基の当量比率が好ましくは1.01〜3、更に好ましくは1.1〜2となる割合でウレタン化反応させることにより形成される。
また、(U)へ架橋構造を導入するためには、ポリオール(a)、ポリイソシアネート(b)及び/又は鎖伸長剤(d)に3官能以上の多官能モノマーを使用することにより、(U)中に架橋構造を導入することが可能である。
本発明におけるポリウレタン樹脂水性分散体は、(U)の分散性及び水性分散体の安定性の観点から、必要により(U)を分散剤(h)の存在下で水に分散させることができる。
分散剤(h)としては、ノニオン性界面活性剤(h1)、アニオン性界面活性剤(h2)、カチオン性界面活性剤(h3)、両性界面活性剤(h4)及びその他の乳化分散剤(h5)が挙げられる。(h)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
(h1)としては、例えばAO付加型ノニオン性界面活性剤及び多価アルコール型ノニオン性界面活性剤が挙げられる。AO付加型としては、炭素数10〜20の脂肪族アルコールのEO付加物、フェノールのEO付加物、ノニルフェノールのEO付加物、炭素数8〜22のアルキルアミンのEO付加物及びポリプロピレングリコールのEO付加物等が挙げられ、多価アルコール型としては、多価(3〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル(例えばグリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレエート等)及びアルキル(炭素数4〜24)ポリ(重合度1〜10)グリコシド等が挙げられる。
(h2)としては、例えば炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸又はその塩[ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する硫酸エステル又はエーテル硫酸エステル及びそれらの塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を1個又は2個有するスルホコハク酸塩;炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル又はエーテルリン酸エステル及びそれらの塩[ラウリルリン酸ナトリウム及び(ポリ)オキシエチレン(付加モル数1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等];炭素数8〜24の炭化水素基を有する脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム及びラウリン酸トリエタノールアミン等];並びに炭素数8〜24の炭化水素基を有するアシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム及びラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
(h3)としては、例えば第4級アンモニウム塩型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム及びエチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等]並びにアミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩及びオレイルアミン乳酸塩等]が挙げられる。
(h4)としては、例えばベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]並びにアミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
(h5)としては、例えばポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体並びにポリアクリル酸ソーダ等のカルボキシル基含有(共)重合体及び米国特許第5906704号明細書に記載のウレタン基又はエステル基を有する乳化分散剤[例えばポリカプロラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたもの]等が挙げられる。
分散剤(h)は、ウレタン樹脂(U)のウレタン化反応前、ウレタン化反応中、ウレタン化反応後、(U)の水性媒体分散工程前、水性媒体分散工程中又は水性媒体分散後のいずれの時期に添加しても良いが、(U)の分散性及び水性分散体の安定性の観点から、水性媒体分散工程前又は水性媒体分散工程中に添加することが好ましい。
(h)の含有量はポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて通常0.01〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%である。
(U)は親水性基を有したポリウレタン樹脂である場合は、(U)の重量に基づく(c)の含有量と(h)の含有量の合計量は、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、更に好ましくは0.6〜10重量%である。
本発明における有機溶媒(J)としては、ケトン系溶媒[例えばアセトン及びメチルエチルケトン(以下、MEKと略記)]、エステル系溶媒(例えば酢酸エチル及びγ−ブチロラクトン)、エーテル系溶媒(例えばTHF)、アミド系溶媒(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン及びN−メチルカプロラクタム)、アルコール系溶媒(例えばイソプロピルアルコール)及び芳香族炭化水素系溶媒(例えばトルエン及びキシレン)等が挙げられる。これらの有機溶媒(J)は1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明における水性媒体とは、水及び水と前記有機溶媒(J)との混合物を意味する。これらの有機溶媒は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。水性媒体に使用される有機溶媒は、分散性の観点から水溶性の有機溶媒であることが好ましい。有機溶媒を使用した場合には、ポリウレタン樹脂水性分散体の製造中及び/又は製造後に必要によりこれを留去してもよい。
本発明において、ウレタンプレポリマー(P)は加熱可能な設備で加熱して反応することで得られる。例えば、容器中に(P)の原料を仕込んで均一撹拌後、加熱乾燥機や加熱炉で無撹拌下に加熱する方法や、簡易加圧反応装置(オートクレーブ)、コルベン、一軸若しくは二軸の混練機、プラストミル又は万能混練機等で、攪拌又は混練しながら加熱して反応する方法等が挙げられる。なかでも、攪拌又は混練しながら加熱して反応する方法は、得られるポリウレタン樹脂(U)の均質性が高くなり、得られる皮膜の機械的物性、耐久性、耐薬品性、耐擦過性及び耐ブロッキング性等がより優れる傾向があるため好ましい。
ポリウレタン樹脂(U)及びウレタンプレポリマー(P)を製造する際の反応温度は、ポリウレタン樹脂(U)のアロハネート基及びビューレット基の含有量の観点から、60〜120もしくは180〜250℃が好ましく、更に好ましくは60〜110℃もしくは180〜240℃であり、最も好ましくは60〜100℃もしくは180〜230℃である。120℃以下であればアロハネート基及びビューレット基が生成しづらく、180℃以上であればアロハネート基及びビューレット基が分解しやすい。また、(U)を製造する際の時間は、使用する設備により適宜選択することができるが、一般的に1分〜100時間が好ましく、更に好ましくは3分〜30時間であり、特に好ましくは5分〜20時間である。この範囲であれば、本発明の効果を十分に発揮できる(U)が得られる。
ウレタン化反応速度をコントロールするために、公知の反応触媒(オクチル酸錫及びビスマスオクチル酸塩等)及び反応遅延剤(リン酸等)等を使用することができる。これらの触媒又は反応遅延剤の添加量は、(U)の重量に基づき、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.005〜2重量%、特に好ましくは0.01〜1重量%である。
ウレタンプレポリマー(P)又はその有機溶媒溶液を水性媒体中に分散する装置としては、分散能力のある装置(A)であれば使用可能であるが、温度調整及び分散能力等の観点から、回転式分散混合装置(A1)、超音波式分散機(A2)又は混練機(A3)を用いることが好ましく、なかでも分散能力が特に優れる(A1)が更に好ましい。
回転式分散混合装置(A1)の主たる分散原理は、駆動部の回転等によって処理物に外部から剪断力を与えて微粒子化し、分散させるというものである。また、(A1)は、常圧、減圧又は加圧下で稼働させることができる。
回転式分散混合装置(A1)としては、例えばマックスブレンドやヘリカル翼等の一般的な攪拌羽を有する混合装置、TKホモミキサー[プライミクス(株)製]、クレアミックス[エムテクニック(株)製]、フィルミックス[プライミクス(株)製]、ウルトラターラックス[IKA(株)製]、エバラマイルダー[荏原製作所(株)製]、キャビトロン(ユーロテック社製)及びバイオミキサー[日本精機(株)製]等が例示される。
回転式分散混合装置(A1)を用いてウレタンプレポリマー(P)又はその有機溶媒溶液を分散処理する際の回転数は、分散能力の観点から、通常10〜30000rpm、好ましくは20〜20000rpm、更に好ましくは30〜10000rpmである。
超音波式分散装置(A2)の主たる分散原理は、駆動部の振動によって処理物に外部からエネルギーを与えて微粒子化し、分散させるというものである。また、(A2)は、常圧、減圧又は加圧下で稼働させることができる。
超音波式分散装置(A2)としては、池本理化工業(株)、コスモ・バイオ(株)及び(株)ギンセン等から市販されている超音波式分散装置等を使用できる。
超音波式分散装置(A2)を用いてウレタンプレポリマー(P)又はその有機溶媒溶液を分散処理する際の振動数は、分散能力の観点から、通常1〜100kHz、好ましくは3〜60kHz、特に好ましくは10〜30kHzである。
混練機(A3)の主たる分散原理は、(A3)の回転部で処理物を練ることでエネルギーを与えて微粒子化し、分散させるというものである。また(A3)は、常圧、減圧又は加圧下で稼働させることができる。
混練機(A3)としては、二軸押出機[池貝(株)製PCM−30等]、ニーダー[(株)栗本鐵工所製KRCニーダー等]、万能混合機[プライミクス(株)製ハイビスミックス等]及びプラストミル[(株)東洋精機製作所製ラボプラストミル等]等が例示される。
混練機(A3)を用いてウレタンプレポリマー(P)又はその有機溶媒溶液を分散処理する際の回転数は、分散能力の観点から、通常1〜1000rpm、好ましくは3〜500rpm、特に好ましくは10〜200rpmである。
分散装置(A)に供給されるウレタンプレポリマー(P)又はその有機溶媒溶液と水の重量比は、目的とする水性分散体の樹脂成分含有量によって適宜選択されるが、通常は、(P)/水性媒体=10/2〜10/100であり、好ましくは10/5〜10/50である。
また、(P)と水性媒体を分散装置(A)で処理する時間は、分散体である(P)の分解や劣化等を防ぐ観点から、通常10秒〜10時間、更に好ましくは1分〜3時間、最も好ましくは10〜60分である。
分散装置(A)にて分散を行う際は、必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、抑泡剤、酸化防止剤、着色防止剤、可塑剤及び離型剤等から選ばれる添加剤を1種以上を添加することができる。また、必要に応じて、分散後に脱溶剤、濃縮、希釈等を行ってもよい。
本発明の製造方法で得られるポリウレタン樹脂水性分散体の固形分濃度(揮発性成分以外の成分の含有量)は、水性分散体の取り扱い易さの観点から、好ましくは20〜65重量%、更に好ましくは25〜55重量%である。固形分濃度は、水性分散体約1gをペトリ皿上にうすく伸ばし、精秤した後、循環式定温乾燥機を用いて130℃で、45分間加熱した後の重量を精秤し、加熱前の重量に対する加熱後の残存重量の割合(百分率)を計算することにより得ることができる。
本発明の製造方法で得られるポリウレタン樹脂水性分散体の粘度は、好ましくは10〜100,000mPa・s、更に好ましくは10〜5,000mPa・sである。粘度はBL型粘度計を用いて、25℃の定温下で測定することができる。
本発明の製造方法で得られるポリウレタン樹脂水性分散体のpHは、好ましくは2〜12、更に好ましくは4〜10である。pHは、pH Meter M−12[堀場製作所(株)製]で25℃で測定することができる。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は、水性塗料組成物、水性接着剤組成物、水性繊維加工処理剤組成物(顔料捺染用バインダー組成物、不織布用バインダー組成物、補強繊維用集束剤組成物、抗菌剤用バインダー組成物及び人工皮革・合成皮革用原料組成物等)、水性コーティング組成物(防水コーティング組成物、撥水コーティング組成物及び防汚コーティング組成物等)、水性紙処理剤組成物や水性インキ組成物等に使用することができるが、その優れた密着性、耐薬品性、耐水性、耐ブロッキング性及び耐擦過性の観点から、特に水性塗料組成物、水性インク組成物及び水性繊維加工処理剤組成物として好適に使用することができる。
これらの用途に用いる場合には、必要によりその他の添加剤、例えば塗膜形成補助樹脂、架橋剤、触媒、顔料、顔料分散剤、粘度調整剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤等を1種又は2種以上添加することができる。
以下において本発明のポリウレタン樹脂水性分散体を用いた、水性塗料、水性インク及び繊維処理剤の調製について説明する。
水性塗料及び水性インクには、塗膜形成補助やバインダー機能の向上等を目的として、必要により本発明のポリウレタン樹脂水性分散体におけるウレタン樹脂(U)以外に、他の水性媒体分散性樹脂又は水溶性樹脂を併用していてもよい。
水性塗料、水性インク及び繊維処理剤に併用される他の水性媒体分散性樹脂又は水溶性樹脂としては、例えば本発明におけるポリウレタン樹脂以外の水性媒体分散性又は水溶性のポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂及びポリエステル樹脂等が挙げられる。
水性塗料、水性インク及び繊維処理剤における本発明のポリウレタン樹脂水性分散体の固形分の含有量は、水性塗料及び水性インクの重量に基づいて通常0.1〜60重量%、好ましくは1〜50重量%である。
水性塗料、水性インク及び繊維処理剤は、更に架橋剤、顔料、顔料分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤、凍結防止剤及び水等を1種又は2種以上含有することができる。
架橋剤としては水溶性又は水性媒体分散性のアミノ樹脂、水溶性又は水性媒体分散性のポリエポキシド、水溶性又は水性媒体分散性のブロックドポリイソシアネート化合物、ポリエチレン尿素、水溶性又は水性媒体分散性のポリカルボジイミド樹脂、水溶性又は水性媒体分散性のポリオキサゾリン樹脂等が挙げられる。
架橋剤の添加量はポリウレタン樹脂水性分散体の固形分重量を基準として、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
顔料としては、水への溶解度が1以下の無機顔料(例えば白色顔料、黒色顔料、灰色顔料、赤色顔料、茶色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料、紫色顔料及びメタリック顔料)、有機顔料(例えば天然有機顔料合成系有機顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、顔料色素型アゾ顔料、水溶性染料からつくるアゾレーキ、難溶性染料からつくるアゾレーキ、塩基性染料からつくるレーキ、酸性染料からつくるレーキ、キサンタンレーキ、アントラキノンレーキ、バット染料からの顔料及びフタロシアニン顔料)並びにそれらの水性媒体分散体等が使用できる。顔料の含有量は、水性塗料、水性インク又は繊維処理剤の重量に基づいて通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下である。
顔料分散剤としては、上述の分散剤(h)が挙げられ、顔料分散剤の含有量は、顔料の重量に基づいて通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下である。
粘度調整剤としては増粘剤、例えば無機系粘度調整剤(ケイ酸ソーダやベントナイト等)、セルロース系粘度調整剤(Mnが20,000以上のメチルセルロール、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロース等)、タンパク質系粘度調整剤(カゼイン、カゼインソーダ及びカゼインアンモニウム等)、アクリル系(Mnが20,000以上のポリアクリル酸ナトリウム及びポリアクリル酸アンモニウム等)及びビニル系粘度調整剤(Mnが20,000以上のポリビニルアルコール等)が挙げられる。
消泡剤としては、長鎖アルコール(オクチルアルコール等)、ソルビタン誘導体(ソルビタンモノオレート等)、シリコーンオイル(ポリメチルシロキサン及びポリエーテル変性シリコーン等)等が挙げられる。
防腐剤としては、有機窒素硫黄化合物系防腐剤及び有機硫黄ハロゲン化物系防腐剤等が挙げられる。
劣化防止剤及び安定化剤(紫外線吸収剤及び酸化防止剤等)としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系及びベンゾトリアゾール系劣化防止剤及び安定化剤等が挙げられる。
凍結防止剤としては、エチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。
粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、劣化防止剤、安定化剤及び凍結防止剤の含有量は、水性塗料の重量に基づいてそれぞれ通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下である。
水性塗料、水性インク及び繊維処理剤には、乾燥後の塗膜外観を向上させる目的、塗装又は印刷ラインでの目詰まり防止のため乾燥を遅延させる目的等で更に溶剤を添加してもよい。添加する溶剤としては例えば炭素数1〜20の1価アルコール(メタノール、エタノール及びプロパノール等)、炭素数1〜20のグリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール及びジエチレングリコール等)、炭素数1〜20の3価以上のアルコール(グリセリン等)及び炭素数1〜20のセロソルブ類(メチル及びエチルセロソルブ等)等が使用できる。添加する溶剤の含有量は、水性塗料又はインクの重量基づいて、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体を用いた水性塗料、水性インク及び繊維処理剤は、本発明のポリウレタン樹脂水性分散体と上記記載の各成分を混合、撹拌することで製造される。混合の際は全ての成分を同時に混合しても、各成分を段階的に投入して混合してもよい。
水性塗料及び水性インクの固形分濃度は、好ましくは3〜70重量%、更に好ましくは7〜60重量%である。
以下本発明のポリウレタン樹脂水性分散体を用いた水性繊維加工処理剤の調製について説明する。本発明のポリウレタン樹脂水性分散体を含有する繊維加工処理剤には、必要により公知の消泡剤、湿潤剤、各種樹脂水性分散体(本発明以外のポリウレタン水性分散体、アクリル水性分散体、SBRラテックス等)及び柔軟剤等を配合することができる。これらの配合量は樹脂水性分散体の場合は固形分換算でポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて30重量%以下、特に20重量%以下であることが好ましく、その他の添加剤の場合はそれぞれ1重量%以下、特に0.1〜0.5重量%であることが好ましい。また、必要により、pH調整剤を添加することもできる。pH調整剤としては、アルカリ性物質、例えば強塩基(アルカリ金属等)と弱酸(pKaが2.0を越える酸、例えば炭酸及び燐酸)の塩(重炭酸ナトリウム等)、又は酸性物質(酢酸等)が挙げられる。pH調整剤の量は通常ポリウレタン樹脂(U)の重量に基づいて0.01〜0.3重量%である。
本発明の水性繊維加工処理剤の固形分(不揮発分)濃度は特に限定されないが、通常10〜50重量%、好ましくは15〜45重量%である。また、粘度(25℃)は通常10〜100000mPa・sである。
以下、実施例を以て本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下、部は重量部を意味する。尚、以下における実施例3、10、17及び24は参考例である。
<実施例1>
撹拌機及び加熱装置を備えた簡易加圧反応装置に表1に記載の各原料を仕込んで85℃で10時間攪拌してウレタン化反応を行い、ウレタンプレポリマー(P−1)のアセトン溶液を製造した。得られたウレタンプレポリマーのアセトン溶液400.00部に、40℃で撹拌しながらトリエチルアミン(中和剤)5.82部を加え、60rpmで30分間均一化した後、エバラマイルダー[荏原製作所(株)製]を用いて水700.00部と共に乳化した後、鎖伸長剤であるジエチレントリアミン1.57部を加え、減圧下に65℃で8時間かけてアセトンを留去し、ポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)を得た。
<実施例2〜7>
表1に記載の各原料を用い、実施例1と同様にしてウレタンプレポリマー(P−2)〜(P−7)のアセトン溶液を製造した。また、表2に記載の各原料を用い、実施例1と同様にしてポリウレタン樹脂水性分散体(Q−2)〜(Q−7)を得た。
<比較例1〜7>
表1及び2に記載の各原料を用い、実施例1と同様にして、ウレタンプレポリマー(P’−1)〜(P’−7)、ポリウレタン樹脂水性分散体(Q’−1)〜(Q’−7)を得た。
実施例1〜7及び比較例1〜7で得られたポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)〜(Q−7)及び(Q’−1)〜(Q’−7)の各種物性値及び評価結果を表3に示す。尚、本発明における各種物性値の測定方法及び評価方法は以下の通りである。
各種物性値の測定方法
<ウレタン基含量及びウレア基含量>
ポリウレタン樹脂のウレタン基含量及びウレア基含量は、窒素分析計[ANTEK7000(アンテック社製)]によって定量されるN原子含量と1H−NMRによって定量されるウレタン基とウレア基の比率及び後述のアロハネート基とビューレット基含量から算出する。1H−NMR測定については、「NMRによるポリウレタン樹脂の構造研究:武田研究所報34(2)、224−323(1975)」に記載の方法で行う。すなわち1H−NMRを測定して、脂肪族を使用した場合、化学シフト6ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト7ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を測定し、該重量比と上記のN原子含量及びアロハネート基及びビューレット基含量からウレタン基及びウレア基含量を算出する。芳香族イソシアネートを使用した場合、化学シフト8ppm付近のウレア基由来の水素の積分量と化学シフト9ppm付近のウレタン基由来の水素の積分量の比率からウレア基とウレタン基の重量比を算出し、該重量比と上記のN原子含量からウレア基含量を算出する。
<末端アミノ基含量>
以下の方法でポリウレタン樹脂の全アミン価及び3級アミン価を求めて、次式により末端アミノ基含量(mmol/g)を算出する。
末端アミノ基含量(mmol/g)=(全アミン価−3級アミン価)/56.1
(1)全アミン価
100mlのフラスコ中でトルエン50mlにポリウレタン樹脂を溶解後、無水酢酸20mlを加えて、キシレンシアノールFF・メチルオレンジ混合指示薬を用いて、0.5mol/l塩酸・メチルアルコール滴定用溶液で滴定を行い(終点は、指示薬の色が緑色から赤褐色になった点)滴定ml数を読み取り、次式により全アミン価を算出する。
全アミン価=a ×f/ (S×28.05)
a:0.5mol/l塩酸・メチルアルコール滴定用溶液の滴定ml数。
f:0.5mol/l塩酸・メチルアルコール滴定用溶液の力価。
S:ポリウレタン樹脂採取量(g)
(2)3級アミン価
100mlのフラスコ中でトルエン50mlにポリウレタン樹脂を溶解後、無水酢酸20mlを加えてよく振とうし、30分間室温にて放置。キシレンシアノールFF・メチルオレンジ混合指示薬を用いて、0.5mol/l塩酸・メチルアルコール滴定用溶液で滴定を行い(終点は、指示薬の色が緑色から赤褐色になった点)滴定ml数を読み取り、次式により3級アミン価を算出する。
3級アミン価=a ×f/ (S×28.05)
a:0.5mol/l塩酸・メチルアルコール滴定用溶液の滴定ml数
f:0.5mol/l塩酸・メチルアルコール滴定用溶液の力価
S:ポリウレタン樹脂採取量(g)
<アロハネート基及びビューレット基の含量>
ポリウレタン樹脂のアロハネート基及びビューレット基の含量の合計は、ガスクロマトグラフ[Shimadzu GC−9A{島津製作所(株)製}]によって算出する。0.01重量%のジ−n−ブチルアミンと0.01重量%のナフタレン(内部標準)とを含む50gのDMF溶液を調整する。サンプルを共栓付き試験管に測り取り、上記のDMF溶液を2g加え、試験管を90℃の恒温水槽で2時間加熱する。常温に冷却後、10μlの無水酢酸を加え10分間振とう攪拌する。更に50μlのジ−n−プロピルアミンを添加し、10分間振とう後、ガスクロマトグラフ測定を行う。並行してブランク測定を行い、試験値との差よりアミンの消費量を求め、アロハネート基及びビューレット基の含量の合計を測定した。
(ガスクロマトグラフ条件)
装置 :Shimadzu GC−9A
カラム:10%PEG−20M on Chromosorb WAW DMLS 60/80meshガラスカラム 3mmφ×2m
カラム温度:160℃、試料導入部温度:200℃、キャリアガス:窒素 40ml/分
検出器:FID、試料注入量:2μl
(アロハネート基及びビューレット基の含量の合計の算出式)
アロハネート基及びビューレット基の含量の合計={(B−A)/B}×0.00155/S
A:試料の(ジ−n−ブチルアセトアミドのピーク面積/ナフタレンのピーク面積)
B:ブランクの(ジ−n−ブチルアセトアミドのピーク面積/ナフタレンのピーク面積)
S:ポリウレタン樹脂採取量(g)
<Mw及びMn>
ポリウレタン樹脂又はポリウレタン水性分散体を、DMF中にポリウレタン樹脂固形分が0.0125重量%となるように加えて、常温で1時間撹拌溶解後、0.3μmの孔径のフィルターでろ過して、得られたろ液に含まれているウレタン樹脂のMwとMnを、DMFを溶媒として、また、ポリスチレンを分子量標準として用いて、GPCにより測定した。
<エタノール膨潤率>
ポリウレタン樹脂(U)のエタノール膨潤率は次に記載の方法で測定した。
ポリウレタン樹脂水性分散体10部を、縦10cm×横20cm×深さ1cmのポリプロピレン製モールドに、水分乾燥後のフィルム膜厚が200μmになる量を流し込み、室温で12時間乾燥後、循風乾燥機で、105℃で3時間加熱乾燥することによって得られるフィルムを2cm×8cmにカットして試験片を作成し、小数点以下4桁まで計量可能な電子天秤で重量(W0)を測定した。得られた試験片をエタノール中に浸漬し、25℃24時間浸漬した後取り出し、130℃循風乾燥機で3時間乾燥し、重量(W1)を測定した。得られた数値を用いて下記式にのっとって溶剤への膨潤率を算出した。
膨潤率(%) = (W1)/(W0)×100
W1;ウレタン皮膜のエタノール浸漬後の重量
W0;ウレタン皮膜のエタノール浸漬前の重量
<体積平均粒子径(Dv)>
ポリウレタン樹脂水性分散体を、イオン交換水でポリウレタン樹脂の固形分が0.01重量%となるよう希釈した後、光散乱粒度分布測定装置[ELS−8000{大塚電子(株)製}]を用いて測定した。
<滑剤の含量>
ポリウレタン樹脂の滑剤(f)の含量はガスクロマトグラフィー質量分析計(GCMS)[GCMS QP−5000{島津製作所(株)製}]によって含有する滑剤を同定した後、滑剤の検量線ピークとの面積比から算出することができる。
(GCMS条件)
装置:GCMS QP−5000
熱分解部:PYR−4A
カラム:Ultra Alloy−5
カラム温度:40℃から10℃/分の速さで昇温し、380℃で10分間保持
試料導入部温度:300℃
キャリアガス:ヘリウム 1ml/分
試料注入量:2μl
質量範囲:m/z 10〜700
評価方法
<乾燥皮膜の耐水性>
(1)外観
ポリウレタン樹脂水分散体10部を、縦10cm×横20cm×深さ1cmのポリプロピレン製モールドに、乾燥後のフィルム膜厚が200μmになる量を流し込み、室温で12時間乾燥後、循風乾燥機で105℃で3時間加熱乾燥することによって得られるフィルムを、60℃のイオン交換水に14日間浸漬した後、目視にて皮膜の表面状態を観察した。変化が無い場合を◎、白化した部分が全面積の50%未満の場合を○、全体的に白化した場合を×とした。
(2)破断伸びの維持率
取り出したフィルムを乾燥して、JIS K7311に記載の5.引張試験に基づいて測定を行ない、浸漬前の破断伸びに対する浸漬後の破断伸びの比、破断伸びの維持率を求めた。
<ポリウレタン樹脂水性分散体の機械的物性>
ポリウレタン樹脂水性分散体10部を、縦10cm×横20cm×深さ1cmのポリプロピレン製モールドに、水分乾燥後のフィルム膜厚が200μmになる量を流し込み、室温で12時間乾燥後、循風乾燥機で105℃で3時間加熱乾燥することによって得られるフィルムの物性測定を行い、破断強度を機械的物性の指標とした。破断強度が25MPaより大きい場合は機械的物性が非常に良好、10〜25MPaの場合は機械的物性が良好、10MPa未満の場合は機械的物性が十分ではないと判断した。尚、破断強度の測定は、JIS K7311に記載の5.引張試験に基づいて行った。
<ポリウレタン樹脂水性分散体の耐薬品性>
ポリウレタン樹脂水性分散体10部を、縦10cm×横20cm×深さ1cmのポリプロピレン製モールドに、水分乾燥後のフィルム膜厚が200μmになる量を流し込み、室温で12時間乾燥後、循風乾燥機で、105℃で3時間加熱乾燥することによって得られるフィルムを2cm×8cmにカットして試験片を作成した。得られた試験片をジメチルホルムアミド中に浸漬し、40℃24時間浸漬した後取り出し、表面に付着したジメチルホルムアミドを軽くふき取ってから重量(W1)を測定した。次いで、試験片を130℃循風乾燥機で3時間乾燥し、重量(W2)を測定した。得られた数値を用いて下記式にのっとって膨潤率を算出し、膨潤率が100%未満の場合は耐薬品性が非常に良好、100〜200%の場合は耐薬品性が良好、膨潤率が200%以上または溶解した場合は耐薬品性が不十分と判断した。
膨潤率(%) =100×[(W1)−(W2)]/(W2)
W1;ウレタン皮膜のジメチルホルムアミド浸漬後の重量
W2;ウレタン皮膜のジメチルホルムアミド浸漬前の重量
実施例8(水性塗料としての評価)
イオン交換水90部、増粘剤[「ビスライザーAP−2」、三洋化成工業(株)製]70部、顔料分散剤[「キャリボンL−400」、三洋化成工業(株)製]10部、酸化チタン[「CR−93」、石原産業(株)製]140部、カーボンブラック[「FW200P」、デグサ(株)製]及び炭酸カルシウム160部をペイントコンディショナーにより30分間混合分散した。ここに1−ノナノール20部、アクリル水性分散体[「ポリトロンZ330」、旭化成(株)製]200部及び実施例1で得たポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)200部を仕込み、10分間混合分散した。更にイオン交換水を用いて25℃での粘度が150mPa・sとなるよう調整し、水性塗料(W−1)を得た。尚、粘度はTOKIMEC(株)製回転式粘度計を用いて、回転数60rpmで測定した。水性塗料(W−1)について、下記試験方法に基づいて塗膜を評価した結果を表4に示す。
実施例9〜14(水性塗料としての評価)
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)の代わりにポリウレタン樹脂水性分散体(Q−2)〜(Q−7)を用いる以外は、実施例8と同様にして水性塗料(W−2)〜(W−7)を得た。
水性塗料(W−2)〜(W−7)について、下記試験方法に基づいて塗膜を評価した結果を表4に示す。
比較例8〜14
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)の代わりにポリウレタン樹脂水性分散体(Q’−1)〜(Q’−7)を用いる以外は、実施例8と同様にして比較用の水性塗料(W’−1)〜(W’−7)を得た。
水性塗料(W’−1)〜(W’−7)について、下記試験方法に基づいて塗膜を評価した結果を表4に示す。
<塗膜の密着性評価方法>
得られた水性塗料を5cm×20cmの鋼板にスプレー塗布し、120℃で10分加熱して厚さ20μmの塗膜を作製した。この塗装面に1mm角のクロスカットをいれ、次いでセロテープ(登録商標)にて剥離テストを行い、残留する1mm角塗膜の数を調べた。表示は分子に残留数を、分母にはじめにクロスカットした数を示した。
<塗膜の耐ブロッキング性評価方法>
得られた水性塗料を5cm×20cmの鋼板にスプレー塗布し、120℃で10分加熱して厚さ20μmの塗膜を作製した。この塗装面に塗装していない鋼板を重ね、ブロッキングテスターを用いて、1kg/cm2の荷重を加えながら、40℃のオーブンで24時間放置した。その後、試験サンプルを取り出して、重ね合わせた鋼板を剥離した。剥離した塗装していない鋼板への色移りを目視により以下の評価基準で評価した。
◎:塗装していない鋼板に色移りなく、剥離時に抵抗もない。
○:塗装していない鋼板に色移りしないが、剥離時にやや抵抗がある。
△:塗装していない鋼板に色移りがややあり、剥離時にやや抵抗がある。
×:塗装していない鋼板に色移りがあり、剥離時に抵抗がある。
<塗膜の耐擦過性評価方法>
得られた水性塗料を10cm×20cmの鋼板にスプレー塗布し、80℃で3分加熱して厚さ20μmの塗膜を作製した。得られた塗膜を学振型摩擦試験機を用いて、綿金巾で200gの荷重で50往復擦過した後の布への色移りを目視により以下の評価基準で評価した。
◎:綿金巾に色移りしない。
○:綿金巾にほぼ色移りしない。
△:綿金巾にやや色移りがみられる。
×:綿金巾に色移りがみられる。
<塗膜の耐水性評価方法>
得られた水性塗料を10cm×20cmの鋼板にスプレー塗布し、120℃で10分加熱して厚さ20μmの塗膜を作製した。この塗装した鋼板を80℃のイオン交換水中に14日間浸漬した後、取り出して表面を軽く拭き、塗膜表面を目視により以下の評価基準で評価した。
◎:浸漬前後で塗膜表面の変化がない。
○:浸漬前後で塗膜表面の変化がほぼない。
△:浸漬後、塗膜表面に凹凸が見られる。
×:浸漬後、塗膜が一部剥げ落ちている。
実施例15(水性インクとしての評価)
イオン交換水29部、カーボンブラック水分散体[「Aqua−Black162」、東海カーボン(株)製、固形分20wt%]4部、プロピレングリコール10部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル30部及び実施例1で得たポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)27部を仕込み、10分間混合し、水性インク(X−1)を得た。水性インク(X−1)について、下記試験方法に基づいて印刷物を評価した結果を表5に示す。
実施例16〜21
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)の代わりにポリウレタン樹脂水性分散体(Q−2)〜(Q−7)を用いる以外は、実施例15と同様にして水性インク(X−2)〜(X−7)を得た。
水性インク(X−2)〜(X−7)について、下記試験方法に基づいて印刷物を評価した結果を表5に示す。
比較例15〜21
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)の代わりにポリウレタン樹脂水性分散体(Q’−1)〜(Q’−7)を用いる以外は、実施例15と同様にして比較用の水性塗料(X’−1)〜(X’−7)を得た。
水性インク(X’−1〜7)について、下記試験方法に基づいて印刷物を評価した結果を表5に示す。
<印刷物の密着性評価方法>
得られた水性インクを5cm×20cmのコート紙[「オーロラコート」、日本製紙(株)製]に乾燥後の膜厚が2μmとなるよう、バーコーターで塗布し、100℃で10分加熱して印刷物を作製した。この印刷物の印刷面をセロテープ(登録商標)にて剥離テストを行い、剥離した部分の面積により以下の評価基準で評価した。
◎:剥離面積が0%。
○:剥離面積が1〜10%。
△:剥離面積が11〜50%。
×:剥離面積が51〜100%。
<印刷物の耐ブロッキング性評価方法>
得られた水性インクを5cm×20cmのコート紙[「オーロラコート」、日本製紙(株)製]に乾燥後の膜厚が2μmとなるよう、バーコーターで塗布し、100℃で10分加熱して印刷物を作製した。この印刷面に印刷していないコート紙を重ね、ブロッキングテスターを用いて、1kg/cm2の荷重を加えながら、40℃のオーブンで24時間放置した。その後、試験サンプルを取り出して、重ね合わせたコート紙を剥離した。剥離した印刷していないコート紙への色移りを目視により以下の評価基準で評価した。
◎:印刷していないコート紙に色移りなく、剥離時に抵抗もない。
○:印刷していないコート紙に色移りしないが、剥離時にやや抵抗がある。
△:印刷していないコート紙に色移りがややあり、剥離時にやや抵抗がある。
×:印刷していないコート紙に色移りがあり、剥離時に抵抗がある。
<印刷物の耐擦過性評価方法>
得られた水性インクを5cm×20cmのコート紙[「オーロラコート」、日本製紙(株)製]に乾燥後の膜厚が2μmとなるよう、バーコーターで塗布し、100℃で10分加熱して印刷物を作製した。得られた印刷物の印刷面を学振型摩擦試験機を用いて、印刷していないコート紙で200gの荷重で50往復擦過した後の印刷していないコート紙への色移りを目視により以下の評価基準で評価した。
◎:印刷していないコート紙に色移りしない。
○:印刷していないコート紙にほぼ色移りしない。
△:印刷していないコート紙にやや色移りがみられる。
×:印刷していないコート紙に色移りがみられる。
<印刷物の耐水性評価方法>
得られた水性インクを5cm×20cmのコート紙[「オーロラコート」、日本製紙(株)製]に乾燥後の膜厚が2μmとなるよう、バーコーターで塗布し、100℃で10分加熱して印刷物を作製した。得られた印刷物の印刷面を学振型摩擦試験機を用いて、水で濡らした印刷していないコート紙で200gの荷重で50往復擦過した後の印刷していないコート紙への色移りを目視により以下の評価基準で評価した。
◎:印刷していないコート紙に色移りしない。
○:印刷していないコート紙にほぼ色移りしない。
△:印刷していないコート紙にやや色移りがみられる。
×:印刷していないコート紙に色移りがみられる。
実施例22(水性繊維加工処理剤としての評価)
ポリウレタン樹脂水性分散体を用いて以下のように顔料捺染糊を作製した。
実施例1で得たポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)100部に対して、粘弾性調整剤[「SNシックナー618」サンノプコ(株)製]8.9部、シリコン系消泡剤[「SNデフォーマー777」サンノプコ(株)製]0.9部、水35部、酸化チタン44.6部及び顔料[「NL レッド FR3R−D」山宋実業(株)社製]18.9部を混合して、顔料捺染糊(Y−1)を得た。顔料捺染糊(Y−1)について、下記試験方法に基づいて顔料捺染された繊維布を試験した結果を表6に示す。
実施例23〜28
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)の代わりにポリウレタン樹脂水性分散体(Q−2〜7)を用いる以外は、実施例22と同様にして顔料捺染糊(Y−2)〜(Y−7)を得た。顔料捺染糊(Y−2)〜(Y−7)について、下記試験方法に基づいて顔料捺染された繊維布を試験した結果を表6に示す。
比較例22〜28
ポリウレタン樹脂水性分散体(Q−1)の代わりにポリウレタン樹脂水性分散体(Q’−1)〜(Q’−7)を用いる以外は、実施例22と同様にして比較用の顔料捺染糊(Y’−1)〜(Y’−7)を得た。顔料捺染糊(Y’−1)〜(Y’−7)について、下記試験方法に基づいて顔料捺染された繊維布を試験した結果を表6に示す。
<顔料捺染された繊維布の密着性評価方法>
顔料捺染糊を綿金巾の型の上に縦2cm×横10cmで膜厚が0.2mmとなるようにバーコーターを用いて塗布した。これを120℃テンターで3分乾燥することにより顔料捺染された繊維布を得た。この顔料捺染された繊維布の捺染面をセロテープ(登録商標)にて剥離テストを行い、剥離した部分を目視により以下の評価基準で評価した。
◎:剥離面積が0%。
○:剥離面積が1〜10%。
△:剥離面積が11〜50%。
×:剥離面積が51〜100%。
<顔料捺染された繊維布の耐ブロッキング性評価方法>
顔料捺染糊を綿金巾の型の上に縦2cm×横10cmで膜厚が0.2mmとなるようにバーコーターを用いて塗布した。これを120℃テンターで3分乾燥することにより顔料捺染された繊維布を得た。この顔料捺染された繊維布の捺染面に捺染処理していない綿金巾を重ね、ブロッキングテスターを用いて、1kg/cm2の荷重を加えながら、40℃のオーブンで24時間放置した。その後、試験サンプルを取り出して、重ね合わせた繊維布を剥離した。剥離した捺染処理していない綿金巾への色移りを目視により以下の評価基準で評価した。
◎:捺染処理していない綿金巾に色移りなく、剥離時に抵抗もない。
○:捺染処理していない綿金巾に色移りしないが、剥離時にやや抵抗がある。
△:捺染処理していない綿金巾に色移りがややあり、剥離時にやや抵抗がある。
×:捺染処理していない綿金巾に色移りがあり、剥離時に抵抗がある。
<顔料捺染糊の耐擦過性評価方法>
顔料捺染糊を綿金巾の型の上に縦2cm×横10cmで膜厚が0.2mmとなるようにバーコーターを用いて塗布した。これを120℃テンターで3分乾燥することにより顔料捺染された繊維布を得た。この顔料捺染された繊維布の捺染面を学振型摩擦試験機を用いて、捺染処理していない綿金巾で200gの荷重で50往復擦過した後の捺染処理していない綿金巾への色移りを目視により以下の評価基準で評価した。
◎:捺染処理していない綿金巾に色移りしない。
○:捺染処理していない綿金巾にほぼ色移りしない。
△:捺染処理していない綿金巾にやや色移りがみられる。
×:捺染処理していない綿金巾に色移りがみられる。
<顔料捺染された繊維布の耐水性評価方法>
顔料捺染糊を綿金巾の型の上に縦2cm×横10cmで膜厚が0.2mmとなるようにバーコーターを用いて塗布した。これを120℃テンターで3分乾燥することにより顔料捺染された繊維布を得た。この顔料捺染された繊維布の捺染面を学振型摩擦試験機を用いて、水で濡らした捺染処理していない綿金巾で200gの荷重で50往復擦過した後の捺染処理していない綿金巾への色移りを目視により以下の評価基準で評価した。
◎:捺染処理していない綿金巾に色移りしない。
○:捺染処理していない綿金巾にほぼ色移りしない。
△:捺染処理していない綿金巾にやや色移りがみられる。
×:捺染処理していない綿金巾に色移りがみられる。
本発明のポリウレタン樹脂水性分散体は、塗料組成物、水性インク組成物、繊維加工処理剤組成物等に好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 水とポリウレタン樹脂(U)を含有し、以下の(1)〜(6)の全てを満たすポリウレタン樹脂水性分散体。
    (1)(U)中のウレタン基含量が(U)の重量に基づいて0.5〜5.0mmol/gである。
    (2)(U)中の末端アミノ基含量が(U)の重量に基づいて0.35mmol/g以下である。
    (3)(U)の数平均分子量(Mn)が1万以上である。
    (4)(U)の25℃におけるエタノールに対する膨潤率が(U)の重量に対して120〜280重量%である。
    (5)(U)の体積平均粒子径(Dv)が0.01〜1μmである。
    (6)(U)中に(U)の重量に基づいて0.01〜5重量%の脂肪族アミド系滑剤を含む。
  2. ポリウレタン樹脂(U)中のウレア基含量が(U)の重量に基づいて2.0mmol/g以下である請求項1に記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  3. ポリウレタン樹脂(U)中のアロハネート基及びビューレット基の含有量の合計値が、(U)の重量に基づいて0.1mmol/g以下である請求項1又は2に記載のポリウレタン樹脂水性分散体。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂水性分散体を含有する水性塗料。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂水性分散体を含有する水性インク。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のポリウレタン樹脂水性分散体を含有する水性繊維加工処理剤。
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