JP6342722B2 - 微多孔膜のたるみ評価方法 - Google Patents
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Description
前記捲回体の外径を複数箇所にて測定し、
該測定により得られた外径値を用いた計算により、当該捲回体の断面形状を算出し、
前記捲回体の外径形状を、微小な厚みである円板状の複数の微小領域に分割し、これら微小領域を組み合わせた数理的なモデルで当該捲回体の外径形状を近似化してモデリングし、
前記捲回体から前記微多孔膜を繰り出したと模擬した場合に、前記微小領域に作用する張力fとひずみΔl/lとの関係を数式化し、
前記数式化した張力fと伸びΔlとの関係を、前記微小領域を組み合わせたモデルに組み合わせ、前記微多孔膜の全幅に作用する張力Fと、幅方向の各位置における伸びΔlとの関係を数式化し、
前記張力Fと伸びΔlの関係式を解き、前記微多孔膜のなかで、前記張力が作用して伸びる範囲と、前記張力が作用せずたるむ範囲とを算出し、
隣り合う2つの前記微小領域の繰り出し量を比較し、これら微小領域間に生じる領域間たるみ量を計算し、
前記領域間たるみ量の計算を、前記微多孔膜の全幅における前記微小領域の各区間において行い、得られた全区間の前記領域間たるみ量を積算して、当該微多孔膜の全幅でのたるみ形状を算出する
ことを特徴とする。
F:微多孔膜(フィルム)全幅の張力[kg]
f:微小領域(微小区間)に作用する張力[kg]
E:MD方向の弾性率[kg/cm2]
t:厚み[cm]
w:幅[cm]
Δx:微小領域(微小区間)の幅[cm]
l:微多孔膜の繰り出し長[cm]
Δl:伸び[cm]
捲回体1から微多孔膜3を繰り出した際、繰り出された微多孔膜3の中央部分をMDに垂直な面で切った際の断面形状を本明細書では「プロファイル」と呼び、図中において符号3Sで示す(図6参照)。
捲回体1から微多孔膜3を仮に2m繰り出した場合の膜端部の懸垂曲線(図5中において下向き斜めに垂れている部分)を直線で近似する。たるみ状態の二等辺三角形の底辺の長さをD、底角から対辺へ下ろした垂線(たるみ)の高さをy、たるみ幅をWdとすると(図4、図5参照)、長さD、高さyはそれぞれ以下の数式(5)、数式(6)によって求められる。ただし、aはたるみ部分の外径勾配a(外径差の1/2をΔRとすると、外径勾配a=ΔR/Wd)、Rは基準外径(基準となる外径であって、外径差が0となるもの)の1/2を表す。
<ステップ1>
従来行われてきたたるみ試験機による測定では測定誤差が大きいことから、本実施形態では、捲回体1の外径値を用いた計算によって、たるみの断面形状(上述のプロファイル3Sと同義)を算出する(図6参照)。具体的には、捲回体1の外径を複数箇所にて測定し、該測定により得られた外径値を用いた以下のごとき計算により、当該捲回体1に捲回されている最外周の微多孔膜3の断面形状(プロファイル3S)を算出する。
ここで、図7に示すような外径差を有する捲回体1から微多孔膜3を繰り出すと、外径差の違いに応じて繰り出し量に違いが生じる(図7参照)。
ただし、実際の捲回体1は図7に示したような単純な形状ではないため、計算を簡便化するため、微小な厚みである円板状の複数の微小領域に分割する(図8参照)。なお、図8等において、複数の微小領域をまとめて符号4で表す。また、端の微小領域から順に通し番号を付し、それぞれエリア1、エリア2、・・・と呼ぶことにする(図11等参照)。これら複数の微小領域4は、図8上においては長方形に見える。これら分割された複数の円板状微小領域4の組み合わせ、数理的なモデルを構築することにより、捲回体1の外側の形状を近似化してモデル化(モデリング)したもの(図8参照。以下、「外径形状」と呼ぶ)を得る。
上述したステップ3のようなモデル化を行うことで、捲回体1の幅方向の任意の位置における微多孔膜3の繰り出し量が計算可能となる。
捲回体1から微多孔膜3を繰り出したと模擬した場合に、張力による伸び範囲内において微多孔膜3は弾性体として振る舞うとして取り扱うとする。そうすると、微小領域4に掛かる張力fと、この張力fによる当該微小領域4のひずみΔl/lとの関係は、下記数式(1)で表される(図9参照)。なお、記号lは微小領域4の長さ、記号Δlは張力fが作用した際の当該微小領域の伸びを示す。
次に、ステップ3で説明した複数の円板状微小領域による近似化と組み合わせる、すなわち、微小領域4に作用する力を、近似化した捲回体1の全体(図8中、向かって右側に示すモデリング後の微小領域4を参照)に作用する力に結び付ける(換言すれば、近似化した捲回体1の全体に作用する力を微小領域4に作用する力の和で表す)ことで、捲回体1の前幅(前縁)に作用する張力Fと幅方向の位置mにおける伸びΔlmの関係は、下記数式(2)で表される(図10参照)。
上記の数式(2)を解き、Δlm>0となる領域が、張力Fが作用することによって微多孔膜3が伸びる範囲(引っ張られている範囲)であり、その他の領域がたるむ部分となる。このように張力Fと伸びΔlの関係式を解くことにより、微多孔膜3のなかで、張力が作用して伸びる範囲と、張力が作用せずたるむ範囲とを算出することができる。
次に、隣り合う2つの微小領域(一例として、エリア3とエリア4)の繰り出し量を比較することで、これら微小領域間に生じるたるみ量(領域間たるみ量)を計算する(図11参照)。ここで、たるみ形状は、図12に示すような直角三角形の組み合わせたモデルで近似することとする(図12参照)。近似モデル中での最大のたるみ量となる線分BCの長さは、下記数式(3)で表される。なお、隣り合う2つの微小領域の繰り出し長さのうち、長いほうをLL、短いほうをLSとしている。
微小区間ABのたるみについて考えると、当該たるみは、点Aを中心として発生する(点Aを中心として、点Bが点Cまで下がるようにたるむ)ことから、実際のたるみ量は、点Cから線分ABへおろした垂線の長さということになる(図13参照)。この垂線の足を点Dとおくと、線分CDの長さ(すなわち点Cから線分ABへおろした垂線の長さ)は下記数式(4)で表される。
上記数式(4)で実施した計算(領域間たるみ量の計算)を、微多孔膜3の全幅における微小領域の各区間において実施し、得られた全区間の領域間たるみ量を積算する。こうすることにより、当該微多孔膜3の全幅でのたるみ形状を算出することができる(図14参照)。このように、微小領域ごとの局所的なたるみ量を積算することで、全体の形状(繰り出した微多孔膜3の断面形状(プロファイル3S))を算出することができる。
微多孔膜3の捲回体1の外径が一律でなく、中心軸1c(図2参照)に沿った位置に応じて外径差が生じている場合、当該捲回体1から微多孔膜3を繰り出すと、外径の大きさの違いに応じて繰り出し量に違いが生じるのは既に説明したとおりである(図2参照)。このような現象を前提として考えた場合に、上述したごとき本実施形態のたるみ評価方法によれば、捲回体1から微多孔膜3を繰り出さずとも、捲回体1の外径を測定して得られた外径値を利用することによって、微多孔膜3を繰り出した場合のたるみ断面形状(プロファイル3S)を算出し、当該たるみを評価することが可能である。
1c…(捲回体の)中心軸
2…コア
3…微多孔膜
3S…プロファイル(微多孔膜のたるみの断面形状)
4…(分割された)微小領域
R…捲回体の外径値
Claims (7)
- 微多孔膜がコアに捲回されてなる微多孔膜の捲回体から前記微多孔膜を水平方向に繰り出した際における当該微多孔膜のたるみを推定して評価する方法であって、
前記捲回体の外径を複数箇所にて測定し、
該測定により得られた外径値を用いた計算により、当該捲回体の断面形状を算出し、
前記捲回体の外径形状を、微小な厚みである円板状の複数の微小領域に分割し、これら微小領域を組み合わせた数理的なモデルで当該捲回体の外径形状を近似化してモデリングし、
前記捲回体から前記微多孔膜を繰り出したと模擬した場合に、前記微小領域に作用する張力fとひずみΔl/lとの関係を数式化し、
前記数式化した張力fと伸びΔlとの関係を、前記微小領域を組み合わせたモデルに組み合わせ、前記微多孔膜の全幅に作用する張力Fと、幅方向の各位置における伸びΔlとの関係を数式化し、
前記張力Fと伸びΔlの関係式を解き、前記微多孔膜のなかで、前記張力が作用して伸びる範囲と、前記張力が作用せずたるむ範囲とを算出し、
隣り合う2つの前記微小領域の繰り出し量を比較し、これら微小領域間に生じる領域間たるみ量を計算し、
前記領域間たるみ量の計算を、前記微多孔膜の全幅における前記微小領域の各区間において行い、得られた全区間の前記領域間たるみ量を積算して、当該微多孔膜の全幅でのたるみ形状を算出する
ことを特徴とする、微多孔膜のたるみ評価方法。 - 前記捲回体から前記微多孔膜を繰り出したと模擬した場合に、張力による伸び範囲内において前記微多孔膜は弾性体として振る舞うとして取り扱う、請求項1に記載の微多孔膜のたるみ評価方法。
- 前記領域間たるみ量を、直角三角形の組み合わせで近似したモデルを利用して表す、請求項1から4のいずれか一項に記載の微多孔膜のたるみ評価方法。
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