JP6341539B2 - リフトオフ法、超微細2次元パターンアレイ及びプラズモンデバイスの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、近年、リフトオフ法で加工する素子がサブミクロン領域に微細化していくと、作製したいパターンがレジストの厚さに対して相対的に小さくなり、逆テーパ状のレジストで必然的に生じるパターン外周のボケによるパターンの寸法誤差が無視できないものになってきた。パターンを高精度にするには逆テーパの程度を弱くする、あるいはさらに順テーパ形状(上辺が小さく下辺が大きい通常の台形)にする必要があるが、そうすると、残すべき薄膜と剥離すべき薄膜が側面でつながってしまうため、剥離すべき薄膜をリフトオフ(除去)しにくくなった。
特許文献1は、低温液体を用いたリフトオフプロセスに関するものである。「該基板全体を低温液体に浸漬する第2の工程」と、「該基板を溶媒につけて該有機膜とともに該有機膜上の該金属膜を除去する第3の工程」とを有する。冷却する第2の工程は、有機溶媒につける第3の工程の前に限定されている。また、冷却手段は「低温液体」に限定されている。この方法により、高い信頼性でサブミクロンサイズの微細加工が可能となると記載されている。
非特許文献1は、金属/絶縁体/金属共振器をサブ波長配列したメタ表面における完全吸収に関するものである。
非特許文献2は、メタ表面を加熱して得られる完全熱放射の実証例に関するものである。
非特許文献3は、CO2濃度計測のための高効率光源として,4.25μmと3.95μmの2波長を無偏光で等方的に熱放射するAu/Al2O3/Auメタ表面光源に関するものである。
本発明は、以下の構成を有する。
(3) 前記基板がAl2O3、HfO2,SiO2、MgF2、SiN、TiO2、ZnO、ITO、Ta2O5、Si、Ge、Au、Ag、Cu、Al又はWの群から選択される同一の又は異なるいずれか一の材料からなることを特徴とする(1)に記載のリフトオフ法。
(4) 前記薄膜層がAl2O3、HfO2,SiO2、MgF2、SiN、TiO2、ZnO、ITO、Ta2O5、Si、Ge、Au、Ag、Cu、Al又はWの群から選択されるいずれか一の材料からなることを特徴とする(1)に記載のリフトオフ法。
(6) 冷凍庫に保持又は液体窒素に浸漬して冷凍することを特徴とする(1)に記載のリフトオフ法。
(7) 前記レジスト除去液を水又は水溶液で置換する際に、最初に表面張力の小さい溶液で置換してから、徐々に表面張力の大きい溶液に置換するようにして、最後に水又は水溶液に置換することを特徴とする(1)に記載のリフトオフ法。
(8) リフトオフ工程の後に、常温に戻してから、超音波印加して、リフトオフされたレジスト層上に形成した薄膜層のみを分離する工程を更に有することを特徴とする(1)に記載のリフトオフ法。
(10) 導電体層と、前記導電体層の一面に形成された絶縁体層と、を有し、前記絶縁体層の一面に、(9)に記載の方法によって、超微細2次元パターンアレイを形成することを特徴とするプラズモンデバイスの製造方法。
(プラズモンデバイス)
まず、本発明の実施形態であるプラズモンデバイスについて説明する。
図1は、本発明の実施形態であるプラズモンデバイスの一例を示す概略図であって、平面図(a)、図1(a)のA部拡大図(b)、図1(b)のB−B’線におけるC部拡大部(c)である。プラズモンデバイスにも様々な用途のものがあるが、この事例では特に加熱により共鳴的な熱放射を示す赤外光源デバイスを示す。
図1に示すように、本発明の実施形態であるプラズモンデバイス10は、絶縁層15上に形成したヒータパターン層16上に形成されている。
絶縁層15は、例えば、SiNメンブレンである。
ヒータパターン層16は、導電体層であり、例えば、Auからなる。ヒータパターン層は、例えば、帯状に形成し、一端側に一の電極17A、他端側に別の電極17Bを形成し、電極間に電圧を印加することにより、熱放射させることができる構成とされている。
本発明の実施形態であるプラズモンデバイス10は、基板21と、基板21の一面に形成された複数の突出部31とを有して概略構成されている。
複数の突出部31により、超微細2次元パターンアレイが形成されている。
なお、本明細書で基板という時には、必ずしもSiウエハや石英基板のような一体の素材からできた構造体を指すものとは限らず、そのような基板上に単数あるいは複数の薄膜層を積層した構造体の最表面層を指す場合もある。
次に、本発明の実施形態である超微細2次元パターンアレイについて説明する。
本発明の実施形態である超微細2次元パターンアレイ13は、本発明の実施形態であるプラズモンデバイス10の平面視パターンアレイである。
突出部31は平面視矩形状であり、一辺の長さが対象となる光波長の1/2以下であり、配列周期が対象とする光波長以下である。
突出部31は、本発明の実施形態であるリフトオフ法を用いて形成されたものである。
次に、本発明の実施形態であるリフトオフ法について説明する。
図3〜8は、本発明の実施形態であるリフトオフ法の一例を示す工程図である。
本発明の実施形態であるリフトオフ法は、レジスト層形成工程S1と、凹凸部形成工程S2と、薄膜層形成工程S3と、レジスト層溶解除去工程S4と、冷凍工程S5と、を有する。
まず、図3(b)に示すように、基板21の一面21aに均一な厚さでレジスト層41を形成する。レジスト層41の材料は、例えば、ナノインプリント用レジスト(ダイセル社NIAC705)等を挙げることができる。スピンコーティング法などの湿式塗布法によって成膜する。成膜後、必要に応じて、所定の熱処理(ベーキング)を行い、レジストを次の工程に都合の良い状態に整える。
この工程では、レジスト層41に基板21表面の露出した凹部と、厚さの厚い凸部を形成する。
例えば、図4(a)〜(c)に示すように、レジスト41の一面41a側から、複数の凹部42c及び凸部42dがアレイ状に設けられた凹凸型42を押し付けて、レジスト層41に凹凸型を転写する。例えば、凹凸型42の凸部42dは、レジスト層41に凹部41cを形成する。
この工程では、レジスト層41の一部を覆い、少なくとも露出部43を完全に覆うように薄膜層33を形成する。
なお、通常、接合力を上げるために、薄膜層33形成の前に付着層を形成する。
そのため、ここでは、図5(b)に示すように、レジスト層41及び露出部43を覆うように付着層32を形成する。付着層32材料としては、Ti、Crなどを挙げることができる。
次に、図5(c)に示すように、付着層32を覆うように薄膜層33を形成する。
薄膜層33は、レジスト層41の一部を覆うように形成することが好ましい。これにより、レジスト層が露出された部分を形成することができ、次の工程で、この部分からレジスト層を溶解し、順次溶解を続けることにより、レジスト層をすべて溶解することができる。
なお、レジスト層が露出された部分を設けなくても、亀裂を形成させ、亀裂部からレジスト除去液51を侵入させて、溶解させることができるが、レジスト層が露出された部分を設ければ、レジスト除去工程を再現性良く行うことができ、また、除去に要する時間を短縮できる。
次に、図6に示すように、レジスト除去液51に浸漬して、レジスト層41を溶解除去する。レジスト除去液51としてはNMP(N−メチル―2―ピロリドン)などを挙げることができる。レジスト層41を除去した空間内にもレジスト除去液51は入り込む。
この工程では、レジスト除去液を水又は水溶液で置換してから、冷凍して、露出部43を完全に覆うように形成した薄膜層33部分を残し、他の薄膜層33部分をリフトオフし、露出部43を完全に覆うように形成した薄膜層33部分からなる突出部31を形成する。
次に、冷凍することにより、水又は水溶液53を氷55へ変換させ、図7(b)に示すように、レジスト層があった部分の水等の氷への変換による体積膨張により、露出部43を完全に覆うように形成した薄膜層33及び付着層32部分を残し、他の薄膜層33及び付着層32部分がリフトオフされる。これにより、露出部43を完全に覆うように形成した薄膜層33及び付着層32部分からなる突出部31が形成される。
水溶液としては、例えば、IPA(イソプロピルアルコール)混合水溶液を挙げることができる。
水とともにリフトオフされた他の薄膜層33及び付着層32部分を廃棄する。
必要に応じて、基板を洗浄する。この洗浄は微細加工における一般的な方法で良く、例えば、最初にアセトン、次にIPAに浸漬し、最後に乾燥窒素にてブローしてIPAを吹き飛ばす。
以上により、超微細2次元パターンアレイを形成する。
なお、分離の際に、以下の超音波印加工程を実施してもよい。
常温に戻して、氷55を水53に変換してから、水の入ったビーカーに基板を入れた状態で超音波印加して、リフトオフされたレジスト層上に形成した薄膜層のみを分離する。
次のようにして、金属膜用の大出力エッチング装置も多層レジストのような複雑な工程も用いずに、簡便な単層リフトオフ法にてプラズモン共鳴により特定の波長の赤外光を熱放射するメタ表面素子を作製した。
図9は、作製したヒータパターンの光学顕微鏡写真である。
このヒータパターン自体がプラズモン共鳴に必要な第1の導電体層としても働く。
次に、Al2O3を覆うようにレジスト(溶剤溶解型UV硬化樹脂(ダイセル,NIAC705))を塗布した。塗布にはスピンコータを用い、回転数5000rpm、回転時間40sの条件で行った。その後、70℃で40秒間、プリベークを行った。こうして塗布されたレジスト膜の厚さは170nmであった。
次に、凹凸形状を覆うように、電子ビーム蒸着装置を用いて厚さ3nmのTiを成膜した。
蒸着時には基板外周を固定金具で抑えるため、その部分にはTi、Au膜は成膜されず、レジストが露出した状態になる。この部分が次のリフトオフ時にレジスト除去液の入り込む開始点として働く。
次に、IPAの入ったビーカーを2個、純水の入ったビーカーを2個用意しておき、NMPから引き上げた基板を順次漬けて行くことにより、元レジストの空洞部内部の液体をNMPからIPAを介して水に置換した。
図10は、室温(常温)に戻した時点の基板のSEM像である。金属膜が側壁でつながって形成されたブリッジが内圧により破壊され、ブリッジは下辺にて破断していた。
次に、超音波印加した。これにより、破断された金属膜を金属膜がパターン形成された基板からリフトオフ(分離)した。
また、この2波長メタ表面はフォトリソグラフィで作製したヒータパターンの上に形成されており、ヒータはSiNメンブレン上に形成され、周囲から熱絶縁されている。ヒータに電圧を印加して電流を流すと、メンブレン部分だけが高温になり(例えば300℃)、2波長の赤外光が放射される。
NMPに浸漬して、レジストを溶解・除去する工程まで実施例1と同様にして作業を行った。しかし、NMPを水に置換するところから最後までの工程を実施せずに作業を行い、アセトン、IPAで洗浄後、乾燥窒素ガスにて乾燥し、基板(比較例1)を得た。
レジストは、溶剤(NMP)にて溶解・除去されていた。しかし、図14に示すように、この方法では、モールドを転写し、残膜処理した後のレジストが順テーパ形状となるため、NMPによるレジスト溶解後、金属膜が連続したブリッジ構造を形成し、レジスト上に蒸着した金属膜はリフトオフされていなかった。
溶剤へのさらに長時間の浸漬や超音波印加によってもこれ以上の進展はなかった。
NMPに浸漬して、レジストを分解除去する工程まで実施例1と同様にして作業を行った。しかし、NMPを水に置換せずにアセトン、IPAで洗浄後、乾燥窒素ガスにて乾燥し、実施例1と同様に液体窒素に浸漬させた後、常温に戻す作業を行い、すなわち、単に冷却する作業を行い、基板(比較例2)を得た。
金属膜が連続したブリッジ構造を形成し、レジスト上に蒸着した金属膜はリフトオフされていなかった。これは、内部に水が存在しない状態で冷却しても何の効果もないことを示している。つまり、実施例1にて良好にリフトオフできたのは、冷却により金属膜が熱収縮したなどの理由によるものではなく、元レジスト空洞部分に水が入り込み、これが凍結したことによるものであることを示している。
Claims (10)
- 基板の一面に均一な厚さでレジスト層を形成する工程と、
前記レジスト層に基板表面を露出させた露出部を形成する工程と、
前記レジスト層の一部を覆い、少なくとも前記露出部を完全に覆うように薄膜層を形成する工程と、
レジスト除去液に浸漬して、前記レジスト層を溶解除去する工程と、
前記レジスト除去液を水又は水溶液で置換してから、冷凍して、前記露出部を完全に覆うように形成した薄膜層部分を残し、他の薄膜層部分をリフトオフし、前記露出部を完全に覆うように形成した薄膜層部分を有する突出部を形成する工程と、を有することを特徴とするリフトオフ法。 - 前記レジスト層の一面側から凹凸型を押し付けて、前記レジスト層に凹凸型を転写して、前記レジスト層に厚さの薄い凹部と、厚さの厚い凸部を形成してから、前記レジスト層をエッチングして、前記凹部に露出部を形成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載のリフトオフ法。
- 前記基板がAl2O3、HfO2,SiO2、MgF2、SiN、TiO2、ZnO、ITO、Ta2O5、Si、Ge、Au、Ag、Cu、Al又はWの群から選択される同一の又は異なるいずれか一の材料からなることを特徴とする請求項1に記載のリフトオフ法。
- 前記薄膜層がAl2O3、HfO2,SiO2、MgF2、SiN、TiO2、ZnO、ITO、Ta2O5、Si、Ge、Au、Ag、Cu、Al又はWの群から選択されるいずれか一の材料からなることを特徴とする請求項1に記載のリフトオフ法。
- 前記薄膜層を形成する前に、前記レジスト層の一部を覆い、少なくとも前記露出部を完全に覆うように付着層を形成することを特徴とする請求項1に記載のリフトオフ法。
- 冷凍庫に保持又は液体窒素に浸漬して冷凍することを特徴とする請求項1に記載のリフトオフ法。
- 前記レジスト除去液を水又は水溶液で置換する際に、最初に表面張力の小さい溶液で置換してから、徐々に表面張力の大きい溶液に置換するようにして、最後に水又は水溶液に置換することを特徴とする請求項1に記載のリフトオフ法。
- リフトオフ工程の後に、常温に戻してから、超音波印加して、リフトオフされたレジスト層上に形成した薄膜層のみを分離する工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載のリフトオフ法。
- 基板の一面に形成された複数の突出部からなる超微細2次元パターンアレイの製造方法であって、
前記突出部は平面視矩形状であり、
一辺の長さが対象とする光波長の1/2以下であり、
配列周期が対象波長以下であり、
前記突出部を請求項1〜8のいずれか1項に記載のリフトオフ法を用いて形成することを特徴とする超微細2次元パターンアレイの製造方法。 - 絶縁層と、前記絶縁層の一面に形成された導電体層と、を有し、
前記導電体層の一面に、請求項9に記載の方法によって、超微細2次元パターンアレイを形成することを特徴とするプラズモンデバイスの製造方法。
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