JP6340699B2 - コレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物、その製造方法及び当該化粧料用エマルジョン組成物を配合した毛髪化粧料 - Google Patents
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毛髪中に含まれるコレステロールは、紫外線、乾燥等の外部環境により損傷するだけでなく、パーマネントウェーブ剤や染毛剤等に含まれるアルカリ性物質により流出し易く、毛髪の損傷により毛髪のパサつきや枝毛等が問題となっている。
また、老化により、含有されるコレステロールが減少する。
このため、毛髪に外部からコレステロールを補充して、減少した部分や損傷した部分の柔軟性や損傷回復が期待されている。
更に、本発明の他の目的は、コレステロールを均一に配合させることができ、コレステロールが経時的に分離・析出することなく、経時的安定性にも優れる、本発明のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物を配合した毛髪化粧料、特に水性の毛髪化粧料を提供することである。
(1)(A)コレステロール類、(B)油剤、(C)ソルビタン系非イオン界面活性剤、(D)アルキルエーテル系非イオン界面活性剤、及び、(F)水を必須成分として含み、前記非イオン界面活性剤((C)成分+(D)成分)の平均HLB値は10〜11であり、含有される前記(A)成分/((B)成分と(C)成分と(D)成分)の質量比が1/52〜1/60であり、含有される前記(B)成分/((C)成分と(D)成分)の質量比が1.5/1〜3/1であることを特徴とする、コレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物である。
(A)コレステロール類、(B)油剤、(C)ソルビタン系非イオン界面活性剤及び(D)アルキルエーテル系非イオン界面活性剤を加熱溶解する工程、前記(A)コレステロール類、(B)油剤、(C)ソルビタン系非イオン界面活性剤及び(D)アルキルエーテル系非イオン界面活性剤の加熱溶解混合物と、加熱した水(F)とを混合する工程、次いで室温まで冷却する工程とを備えることを特徴とする、コレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物の製造方法である。
従って、本発明のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物を、任意の化粧料、特に水性のパーマネント剤やトリートメント剤等に配合して、均一にコレステロールを含有させた毛髪化粧料、特に水性の毛髪化粧料を得ることができる。
また、本発明のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物の製造方法は、コレステロールが均一に乳化した本発明のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物を効率よく製造することができる。
更に、本発明の毛髪化粧料は、本発明のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物を含むため、コレステロールを、パーマネントウェーブ剤や染毛剤等の水性の化粧料にも均一に混合することができ、経時安定性に優れた、水性化粧料とすることができる。
本発明のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物は、(A)コレステロール類、(B)油剤、(C)ソルビタン系非イオン界面活性剤、(D)アルキルエーテル系非イオン界面活性剤、及び、(F)水を必須成分として含み、前記非イオン界面活性剤((C)成分+(D)成分)の平均HLB値は10〜11であり、含有される前記(A)成分/((B)成分と(C)成分と(D)成分)の質量比が1/52〜1/60であり、含有される前記(B)成分/((C)成分と(D)成分)の質量比が1.5/1〜3/1である、コレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物である。
本発明のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物に用いるコレステロール類(A成分)は、市場で入手しうる任意のコレステロール類の1種または2種以上を混合して用いることができる。
コレステロール類としては、例えば、動物油脂、植物油脂、魚油等からのコレステロール類を用いることができ、例えば、羊毛表面に付着したウールグリースを精製したラノリンから抽出・精製したコレステロール類や、魚油に微量に含まれているものを抽出したコレステロール等を例示することができる。
特に、動物由来のコレステロールよりも、魚油由来のコレステロールを使用することが望ましい。
かかる油剤としては、常温で液状の油剤であってコレステロールを溶解できる油剤であれば特に限定されず、任意の油剤を用いることができ、例えば、炭化水素類、油脂類、(高級)脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類、油性ゲル化剤類、揮発性油剤、スクワラン等を例示することができる。好ましくは、2−エチルヘキサン酸セチル、液状エステル及び流動パラフィンからなる群より選ばれる少なくとも1種又は2種以上の油剤が、コレステロールを均一に溶解して乳化安定性を良好に維持できることから好適に使用することができる。
かかる(C)ソルビタン系非イオン界面活性剤と(D)アルキルエーテル系非イオン界面活性剤とを組み合わせて用いることで、また得られる全体の平均HLBが10〜11の範囲とすることで、乳化状態が良く経時安定性も良いエマルジョンを調製することができる。
かかるアルキルエーテル系非イオン界面活性剤は1種又は2種以上を混合して用いることができ、好ましくは使用されるアルキルエーテルのそれぞれのHLB値は7〜14であることが望ましい。
かかる値の平均HLB値を有するように、(C)ソルビタン系非イオン界面活性剤と(D)アルキルエーテル系非イオン界面活性剤を含有させることにより、極めて乳化均質性状に優れることとなり、コレステロール類が経時的に分離することがなく、経時安定性に優れる化粧料用エマルジョン組成物が得られる。
である。
かかる割合で配合することにより、経時安定性の良い、コレステロールを均一に乳化分散した水中油性のエマルジョン組成物を得ることが可能となる。
かかる割合で配合することにより、ゲル化やクリーミングとなることなく、コレステロールを均一に乳化分散した水中油性のエマルジョン組成物を得ることが可能となる。
また、本発明の化粧料用エマルジョン組成物は、例えば水酸化ナトリウムやクエン酸等によりpHを調整して、化粧料エマルジョン組成物の保存安定性を、更に良好にすることができる。
本発明のコレステロール含有毛髪化粧料エマルジョン組成物は、コレステロール類を均質に含有しているものであり、例えば、パーマネントウェーブ剤、染毛剤、ヘアシャンプー剤、ヘアトリートメント剤、化粧水等の水性の材料に配合した場合においても、成分が分離したり析出したりすることなく、均質な水性の化粧料を得ることができる。化粧料中のその含有量は所望に応じて変化させることができ、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは2〜5質量%であり、含有されるエマルジョン粒子は、例えば平均粒径が約30〜80nm(レーザ回折式粒度分布測定装置 島津サイエンス製SALD−7000にて測定)と小さいため、化粧料に含まれるコレステロールを、外部から毛髪等の内部へ浸透させることが可能となる。
A:コレステロール含有化粧料用組成物
(実施例1〜5、比較例1〜12)
下記表1〜2の各配合成分を下記表1〜2に示す配合割合で均一に混合して各コレステロール含有毛髪化粧料用組成物を調製した。
具体的には、コレステロールであるマリンコレステロールの(A)成分と、油剤である(B)成分と、非イオン界面活性剤である(C)及び(D)成分とを90〜95℃に加熱して均一に混合した油性混合物を調製した。該油性混合物を90〜95℃に維持し、別途加熱した90〜95℃の水に該油性混合物を添加して、均一な混合物を調製し、次いで室温まで冷却して、各コレステロール含有毛髪化粧料用組成物を製造した。
得られた実施例1〜5及び比較例1〜12の各化粧料組成物の調製時における90℃の乳化性状(エマルジョン状態)を目視により評価した。
これらの結果を下記表1〜2に示す。
また、試験の評価は、下記の評価基準にしたがっておこなった。
○・・・90℃での調製時において油相部分(A+B+C+D成分)が化粧料組成物中に均一に相溶して均一にエマルジョン化している。
×・・・油相部分(A+B+C+D成分)が化粧料組成物中に90℃の調製時において均一に相溶しておらず、多少の析出等が見られる。
実施例1〜5及び比較例1〜12の各コレステロール含有毛髪化粧料用組成物を水に添加して1質量%水溶液を調製し、室温で1週間経過後の乳化性状(エマルジョン状態)を目視により評価した。
これらの結果を下記表1〜2に示す。
また、試験の評価は、下記の評価基準にしたがっておこなった。
〇・・・析出・分離なく均一にエマルジョン化している
△・・・析出・分離は無いが、均一にエマルジョン化していない
×・・・析出・分離があり、均一ではなく、エマルジョン状態を維持することができない
実施例1〜5及び比較例1〜12の各コレステロール含有毛髪化粧料用組成物の外観を目視により観察し、その結果を表1〜2に示す。
なお、試験の評価は、下記の評価基準にしたがっておこなった。
均一に乳化・・・析出・分離がなく均一にエマルジョン化している。
クリーミング・・・濃厚なエマルジョンと連続相(水相)とに分離している。
ゲル化・・・極めて粘性がたかく、水性の化粧料への均質配合は困難である。
本発明の実施例のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物を代表して、実施例4のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物に蛍光染料ナイルレッド(和光純薬工業(株))を添加して赤色に染色し、該染色したエマルジョン組成物に、アジア人毛(スタッフス製)を40℃で1時間浸漬した。その後アジア人毛を水洗し、乾燥後、該アジア人毛をエポキシ樹脂により包埋させ、ミクロトーム(ライカ製)にて該毛髪の断面片を作成し、該断面片を蛍光顕微鏡(オリンパス製)にて200倍で観察し、写真を撮影した。
その結果を、図1に示す。
また、エマルジョン粒子が小さいため、毛髪への浸透性に優れることもわかる。
一方、本発明の範囲外となる比較例のコレステロール含有組成物は、均一にコレステロールを含有させたエマルジョンとすることができず、経時安定性に劣り、所望するコレステロール毛髪化粧料用エマルジョン組成物が得ることができないことがわかる。
実施例1〜5、比較例1〜12で得られた各毛髪化粧料組成物を用いて、下記表3〜4に示す各成分を表3〜4に示す配合割合で均一に混合して、それぞれパーマI剤、パーマII剤をそれぞれ調製した。
実施例1〜6、比較例1〜12の各毛髪化粧料用組成物を用いて調製して得られた各パーマI剤(試験例5)及びパーマII剤(試験例6)の双方について、室温で3ヶ月間保持した後の乳化性状(エマルジョン状態)を目視により評価した。
これらの結果を上記表1〜2に示す。
また、試験の評価は、下記の評価基準にしたがっておこなった。
〇・・・パーマ剤において、析出・分離なく均一にエマルジョン化している
×・・・パーマ剤において、3か月未満で析出・分離が観察され、均一なエマルジョン状態を維持することができない
実施例4のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物を用いて、表3及び表4に示す配合例で調製したパーマI剤とパーマII剤と、実施例4の処方からコレステロールを除いた以外は同様にして調製した参考例の毛髪化粧料用組成物を用いて表3及び表4に示す配合割合で調製したパーマI剤とパーマII剤を用いて、へアカラー処理ウィッグ((株)レジーナ製 ウィッグNo.337A)の毛髪に、パーマを施した。実施例4のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物を用いたパーマ剤によるパーマ後の毛髪のダメージとリッジ性能(ウェーブ性能)を、参考例によるパーマ剤によるパーマ後の毛髪のダメージとリッジ性能(ウェーブ性能)と、目視により比較して評価した。
実施例4のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物を配合したパーマ剤(パーマI剤とパーマII剤)によるパーマ後の毛髪は、参考例のパーマ後の毛髪と比較して、ダメージが少なく、リッジ性能も良好であった。
Claims (4)
- (A)コレステロール類、(B)油剤、(C)ソルビタン系非イオン界面活性剤、(D)アルキルエーテル系非イオン界面活性剤、及び、(F)水を必須成分として含み、前記非イオン界面活性剤((C)成分+(D)成分)の平均HLB値は10〜11であり、含有される前記(A)成分/((B)成分と(C)成分と(D)成分)の質量比が1/52〜1/60であり、含有される前記(B)成分/((C)成分と(D)成分)の質量比が1.5/1〜3/1であることを特徴とする、コレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物。
- 請求項1記載のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物において、(C)ソルビタン系非イオン界面活性剤はオレイン酸ソルビタンであり、(D)アルキルエーテル系非イオン界面活性剤はC16〜C22のポリオキシエチレンアルキルエーテルであることを特徴とする、コレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物。
- (A)コレステロール類、(B)油剤、(C)ソルビタン系非イオン界面活性剤、(D)アルキルエーテル系非イオン界面活性剤、及び、(F)水を必須成分として含み、前記非イオン界面活性剤((C)成分+(D)成分)の平均HLB値は10〜11であり、含有される前記(A)成分/((B)成分と(C)成分と(D)成分)の質量比が1/52〜1/60であり、含有される前記(B)成分/((C)成分と(D)成分)の質量比が1.5/1〜3/1である、コレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物を製造するにあたり、
(A)コレステロール類、(B)油剤、(C)ソルビタン系非イオン界面活性剤及び(D)アルキルエーテル系非イオン界面活性剤を加熱溶解する工程、前記(A)コレステロール類、(B)油剤、(C)ソルビタン系非イオン界面活性剤及び(D)アルキルエーテル系非イオン界面活性剤の加熱溶解混合物と、加熱した水(F)とを混合する工程、次いで室温まで冷却する工程とを備えることを特徴とする、コレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物の製造方法。 - 請求項1又は2記載のコレステロール含有毛髪化粧料用エマルジョン組成物を含む、毛髪化粧料。
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