JP6337505B2 - 線状体の巻き取り装置および線状体の製造方法 - Google Patents
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Description
線状体が巻き取り装置に向けて連続的に送られてくる場合、別のボビンに切り替える際に、線条体の走行を中断させるのは好ましくない場合がある。このため、例えば、特許文献1〜3には線条体の走行を中断させずにボビンを切り替える技術が開示されている。
上記特許文献1〜3の技術における係止部は、図6に示すように弾性体とガイド部材からなり、弾性体とガイド部材の間に光ファイバを挟み込んで係止する構造となっているが、線速を速くすると、線状体を係止部に引っ掛ける深さ(進入深さともいう)が浅くなり、線状体が係止部から抜けやすくなって線状体を係止し難くなるという問題があった。
線速の高速化により、切断されるまでの時間は短くなるため、進入深さは浅くなる傾向にあるが、この進入深さを深くするために、例えば上記した張力を増やすと、巻かれた光ファイバが食い込みやすくなる、といった別の問題が生じる。また、進入深さが深過ぎた場合は、線状体が係止部から外れ難くなるといった問題が生じる。
本願の線状体の巻き取り装置発明は、(1)線状体の巻き取り装置であって、駆動軸と共に回転し、ボビン切り替え時に前記線状体を係止する係止部を有する回転板と、該回転板に対して着脱可能に取り付けられ、前記線状体を巻き取るボビンとを備え、前記係止部は、弾性部材と、該弾性部材に重ねて配置され、該弾性部材よりも高硬度のガイド部材とを有し、前記弾性部材と前記ガイド部材の材質が異なり、前記ガイド部材は、前記弾性部材に対向する面が平らな形状で形成され、前記弾性部材は、前記ガイド部材に対向する面が該ガイド部材に線接触で当接する凸条を有した形状で形成されている。
弾性部材がガイド部材に線接触で当接する凸条を有した形状であり、弾性部材とガイド部材との接触面積が従来構造に比べて小さくされている。よって、線状体が係止部に係止される際に、弾性部材と線状体との摩擦力が従来構造に比べて小さくて済む。この結果、係止部は、線速が上昇しても適切な進入深さを得ることができる。また、弾性部材と線状体との摩擦力の低減効果は、弾性部材の構造変更だけで達成できるので、係止部の改変も容易である。
(3)前記凸条のショアA硬度が40から70までの範囲内の値である。ショアA硬度が40を下回ると、凸条が潰れやすくなってガイド部材に線接触で当接し難くなり、摩擦力が大きくなって進入深さが浅くなる。一方、ショアA硬度が70を上回ると、凸条と線状体との摩擦力が小さくなり過ぎて進入深さが深くなり過ぎる。
弾性部材がガイド部材に線接触で当接する凸条を有した形状であり、弾性部材とガイド部材との接触面積が従来構造に比べて小さくされている。よって、線状体が係止部に係止される際に、弾性部材と線状体との摩擦力が従来構造に比べて小さくて済む。この結果、係止部は、線速が上昇しても適切な進入深さを得ることができる。
図により本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る係止部を有した回転板の構成図である。巻き取り装置は、駆動軸(図示省略)と共に回転する爪ホイール5bを備える。なお、爪ホイール5bが本発明の回転板に相当する。
爪ホイール5bは、円形状の収容部5cと、収容部5cの外周に形成された鍔状部5dとを有する。収容部5cには、後述のボビン2bが着脱可能に取り付け、鍔状部5dには、係止部10bが例えば2本の六角穴付きボルト46で固定される。
係止部10bは、弾性部材20および弾性部材20に重ねて配置されるガイド部材40で形成される。図2(A)に示すように、ガイド部材40は線状体を案内する先端爪41を有し、係止部10bは、先端爪41を先頭にして図1で説明した爪ホイール5bと共に回転する。爪ホイール5bの回転方向でみて先端爪41の後方には固定部44が設けられ、六角穴付きボルト46用のボルト穴45が固定部44を貫通して形成されている。
ガイド部材40は弾性部材20よりも高硬度に形成され、特に、内面42は、金属、あるいは内面42がロックウェル硬度Rスケール115以上の樹脂で形成される。これにより、後述する凸条との線接触状態を容易に達成できる。
また、凸条24のショアA硬度は40から70までの範囲内の値であることが好ましい。ショアA硬度が40を下回ると、凸条24が潰れやすくなってガイド部材40に線接触で当接し難くなり、摩擦力が大きくなって進入深さが浅くなる。一方、ショアA硬度が70を上回ると、凸条24と線状体との摩擦力が小さくなり過ぎて進入深さが深くなり過ぎる。
次に、線条体の巻き取り工程について、巻き取りを終了(例えば満巻き)したボビン2aから、別の空のボビン2bに巻き取りを切り替える一例を図により説明する。
ガイドローラ3がボビン2a,2bの間から別のボビン2b側にトラバースすると、線条体1のパスラインは、下側ローラ7の近傍を横切り、ボビン2bの胴部に近づく。次に、下側ローラ7を時計回りに回転させ、また、爪ホイール5bも係止部10bの先端爪を先頭にして時計回りに回転させるが、上側ローラ6a,6bは下側ローラ7から離れた位置にある。このため、線条体1のパスラインは変化するものの、線条体1は未だボビン2aで巻き取られる。
また、空のボビン2bでの巻き取りを開始すべく、各ローラ6a,7が線条体1を引き取りつつ奥方向に移動すると、線条体1のパスラインは爪ホイール5bに近づき、線条体1の巻始端を図3Dに示した係止部10bに引っ掛けることできる。
この後、爪ホイール5bの係止部10bに線条体1の巻始端を係止した状態で別のボビン2bによる巻き取りを開始した後、ガイドローラ3がボビン2b側からボビン2a,2bの間にトラバースし、図3Fに示すように、別のボビン2bに線状体を巻き取る。なお、爪ホイール5aの回転は停止しており、空のボビン2aを準備できる。
図6に示すように、係止部10b’のガイド部材40’の内面42’と弾性部材20’の表面22’とを面接触する構造にした場合、光ファイバの線速を500m/minに設定すると、4〜5mmの進入深さdが得られるが、線速が上昇するに連れて進入深さdは徐々に浅くなり、1500m/min以上に到達した場合、0mmの進入深さd、言い換えれば、端末線1bを係止部10bで掴めない現象も生じていた。
この例の係止部10bは、第1の実施形態と同様に、弾性部材30およびガイド部材40で形成される。ガイド部材40は図2で説明した構造と同じであり、弾性部材30も同様に略直方体状のブロック本体31を有する。ブロック本体31も図2で説明したブロック本体21と同様に鍔状部に埋設される。
本実施形態では、ブロック本体31の表面32には、図5(C)に示すように、ガイド部材40の内面42に線接触で当接する凸条34が形成されている。凸条34は、例えば2本のOリングの一部で構成されており、表面32の前端から後端に沿って形成されている。なお、ブロック本体31にはOリングを嵌め込むための溝35が形成され、Oリングの位置ずれを防止している。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
Claims (5)
- 線状体の巻き取り装置であって、
駆動軸と共に回転し、ボビン切り替え時に前記線状体を係止する係止部を有する回転板と、該回転板に対して着脱可能に取り付けられ、前記線状体を巻き取るボビンとを備え、
前記係止部は、弾性部材と、該弾性部材に重ねて配置され、該弾性部材よりも高硬度のガイド部材とを有し、前記弾性部材と前記ガイド部材の材質が異なり、
前記ガイド部材は、前記弾性部材に対向する面が平らな形状で形成され、
前記弾性部材は、前記ガイド部材に対向する面が該ガイド部材に線接触で当接する凸条を有した形状で形成されている、線状体の巻き取り装置。 - 前記凸条は、複数本形成され、前記係止部に進入する線状体に対して交差する方向に形成されている、請求項1に記載の線状体の巻き取り装置。
- 前記凸条のショアA硬度が40から70までの範囲内の値である、請求項1又は2に記載の線状体の巻き取り装置。
- 前記ガイド部材は、前記弾性部材に対向する面が金属である、あるいは該弾性部材に対向する面がロックウェル硬度Rスケール115以上の樹脂である、請求項1から3のいずれか1項に記載の線状体の巻き取り装置。
- ボビン切り替え時に駆動軸と共に回転する回転板に設けた係止部で線状体を係止し、前記回転板に対して着脱可能に取り付けられた前記ボビンを切り替えながら連続的に前記線状体を巻き取る線状体の製造方法であって、
前記係止部は、弾性部材と、該弾性部材に重ねて配置され、該弾性部材よりも高硬度のガイド部材とを有し、前記弾性部材と前記ガイド部材の材質が異なり、
前記ガイド部材は、前記弾性部材に対向する面が平らな形状で形成され、
前記弾性部材は、前記ガイド部材に対向する面が該ガイド部材に線接触で当接する凸条を有した形状で形成され、ボビン切り替え時には前記ガイド部材と前記凸条との間に前記線状体を挟み込んで係止する、線状体の製造方法。
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